JP2008028313A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
【課題】コイルで発生した熱をコアに充分に伝えることができ、コアからケース等への放熱効果を高めることができるリアクトルを提供する。
【解決手段】環状のコアと、このコアの外周に設けられるコイル3と、上記コアと上記コイルとの間に介在するボビン4a,4bとを備えるリアクトルであって、上記ボビンを金属材料で形成するとともに、上記ボビンの表面に絶縁被覆層9を設けて構成される。
【選択図】 図4
【解決手段】環状のコアと、このコアの外周に設けられるコイル3と、上記コアと上記コイルとの間に介在するボビン4a,4bとを備えるリアクトルであって、上記ボビンを金属材料で形成するとともに、上記ボビンの表面に絶縁被覆層9を設けて構成される。
【選択図】 図4
Description
本願発明は、ハイブリッド車や燃料電池自動車のような電気自動車に搭載されるリアクトルに関する。
近年、環境問題からハイブリッド車や燃料電池車等の直流電源でモータを駆動して走行する自動車が開発されている。上記のような自動車では、直流電源であるバッテリーの電圧を昇圧する昇圧コンバータが搭載されており、リアクトルはこの昇圧コンバータの主要部品である。
上記リアクトルは、環状コアの外周に絶縁部材であるボビンを介してコイルを装着して構成されている。上記リアクトルは、上記コイルに流れる電流により発熱して温度が上昇する。上記コイルの温度が上昇すると、コイルの抵抗がさらに増加して損失も大きくなり、効率を低下させる。
上記問題を緩和するため、たとえば特許文献1に記載されているように、上記コアを放熱性の良い部材に押し付けることにより放熱性能を高めている。
上述したように、上記リアクトルは、コアの外周に絶縁部材であるボビンを介してコイルを装着して構成されている。ところが、上記従来のボビンは樹脂材料で形成されているため熱伝導率が低い。このため、コイルで発生した熱を充分にコアに伝達できない。したがって、上記特許文献1に記載されているように、コアを放熱性のある部材に押し付けても、充分な放熱効果を得ることはできない。
本願発明は、コイルで発生した熱をコアに充分に伝えることができ、コアからケース等への放熱効果を高めることができるリアクトルを提供することを課題としている。
本願発明は、環状のコアと、このコアの外周に設けられるコイルと、上記コアと上記コイルとの間に介在するボビンとを備えるリアクトルであって、上記ボビンを金属材料で形成するとともに、上記ボビンの表面に絶縁被覆層を設けて構成される。
上記ボビンを金属材料で形成することにより、上記ボビンの熱伝導性能を格段に高めることができる。上記金属材料として、電気抵抗及び熱電導率の大きい金属材料を採用するのが好ましい。電気抵抗が大きいと渦電流の発生が抑制され、また、熱電導率が大きいと放熱性が高まるからである。たとえば、マグネシウム合金や請求項2に記載した発明のようにアルミニウム材料によって上記ボビンを形成することができる。
一方、アルミ等の金属材料は電気伝導性があるため、コイルに接触させて位置決め等を行うことはできない。このため、本願発明では、金属製ボビンの表面に絶縁被覆層を形成する。上記絶縁被覆層は種々の手法や材料で形成することができる。また、ボビンの全表面に絶縁被覆層を設けてもよいし、コイルに対接する部分のみに上記絶縁被覆層を形成してもよい。
請求項3に記載した発明は、上記ボビンをアルミニウム材料で形成するとともに、上記絶縁被覆層を陽極酸化処理皮膜で形成したものである。
陽極酸化処理皮膜とは、一般にアルマイト皮膜と呼ばれるものである。アルミニウムを硫酸やシュウ酸等の酸溶液中で陽極として直流電流を流し、水が電気分解して発生する酸素とアルミニウムとを反応させる。すると、表面に多孔質で電気絶縁性の高い酸化アルミニウム皮膜が生成される。この酸化アルミニウム皮膜を、高温高圧の水蒸気中にさらすと、多孔質の孔が塞がって耐蝕性のあるアルマイト皮膜が形成される。
本願発明では、上記陽極酸化処理皮膜のうち、硬質アマルイト皮膜と呼ばれる皮膜を採用するのが好ましい。硬質アルマイト皮膜は、JISH8603に記載されているように、低温の電解浴又は各種の有機酸を添加した特殊な電解浴を用いて処理されたアルミニウム材の陽極酸化処皮膜である。硬質アルマイト皮膜は、通常のアルマイト皮膜に比べて硬く(250Hv以上)、また耐磨耗性に優れている。しかも、厚さの大きい皮膜(30〜100μm)を形成できる。また、上記硬質アルマイト皮膜は、熱伝導率が67W/mKと樹脂材料に比べて格段に大きく、高い放熱性能を発揮させることができる。上記陽極酸化皮膜の厚さは、リアクトルの動作仕様によって設定することができる。たとえば、500Vの耐圧性を確保する場合には、17μm以上の厚さの陽極酸化皮膜を設けるのが好ましい。
請求項4に記載した発明のように、上記絶縁被覆層を無機フィラーを含む樹脂から形成することもできる。上記コイルの発熱温度に耐えることができ、また、使用温度での保形性等の機械的強度があれば、種々の樹脂材料を採用することができる。たとえば、請求項5に記載した発明のように、上記絶縁被覆層を構成する樹脂材料として、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の少なくともいずれかを採用することができる。上記絶縁被覆層の厚さは、充分な絶縁性能を発揮できるとともに、コイルを保持できる強度を確保できる厚さに設定することができる。
上記フィラーは、絶縁材料であって、これが配合される樹脂材料よりも熱伝導率が高いものを採用する。たとえば、請求項6に記載した発明のように、上記無機フィラーとして、シリカ又はアルミナの少なくともいずれかを採用するのが好ましい。熱伝導率の高いフィラーを配合することにより、電気絶縁性を備えるとともに高熱伝導性の絶縁被覆層を形成できる。
上記樹脂材料及び上記無機フィラーの配合割合も特に限定されることはなく、リアクトルの使用条件に応じた強度と耐久性を確保できればよい。上記樹脂被覆層は、上記樹脂の有機溶剤溶液中に上記無機フィラーを添加して調整される被覆材料を上記ボビンの表面に塗着する塗着工程と、上記有機溶剤を除去する有機溶剤除去工程を含んで形成することができる。
請求項7に記載した発明のように、上記絶縁被覆層を、少なくとも機械的特性の異なる複数の層を備えて構成することができる。熱伝導性及び電気絶縁性を高めるとともに上記コイルを上記コアの外周に確実に保持するために、種々の機械的特性が異なる層を設けることができる。たとえば、上記目的を達成するため、機械的強度、変形特性、耐熱性、接着特性等が異なる被覆層を形成することができる。
上記コアや上記コイルに対接する部分にある程度の変形能がなければ、組付の際にコアやコイルを傷める恐れがある。また、リアクトルは作動中に振動が発生するとこが多いが、この振動を吸収できなければコイルやコアを傷める恐れもある。さらに、コイルと絶縁被覆層との密着性が高まることにより、より高い放熱効果を期待することもできる。
一方、上記絶縁被覆層は、全体としてコイルを確実に保持できるとともに、絶縁破壊等があってはならない。このため、互いに補完し合う異なる機械的特性を備える複数の層を形成するのが好ましい。
請求項8に記載した発明のように、上記絶縁被覆層を、上記ボビン表面に形成される内層と、上記内層に積層形成される外層とを備えて構成し、上記内層を、上記外層より高い機械的強度を備えるように設定するのが好ましい。
また、請求項9に記載した発明のように、上記内層及び上記外層を無機フィラーを含む樹脂から形成するとともに、上記内層のフィラー配合量を、上記外層のフィラー配合量より大きくすることができる。
一般に、無機フィラーの配合割合を増加させれば、熱伝導性及び電気絶縁性のみならず、機械的強度も向上する。無機フィラーの配合割合を多くすることにより、電気絶縁性と機械的強度とを高めた内層と、上記フィラーの配合量が少なく自己潤滑性能を有するポリアミドイミド樹脂等で上記コイルに対する保護層として機能する外層を形成するのが好ましい。
また、請求項10に記載したように、上記内層と上記外層とを異なる樹脂材料を用いて形成することができる。
上記内層と上記外層とを異なる樹脂材料を用いて形成することにより、機械的強度のみならず変形能等の機械的特性が異なる層を形成することもできる。
さらに、請求項11に記載した発明のように、上記内層として陽極酸化皮膜を成形する一方、上記外層を無機フィラーを含む樹脂から形成することができる。
上記陽極酸化処理皮膜は、高い絶縁破壊電圧等を備える一方、硬度及び強度が非常に高い。このため、組付けの際等にコイルの絶縁被覆等を傷める恐れがある。上記外層を樹脂で形成することにより、コイルあるいはコアに接触させても、表面を傷める恐れはなくなる。したがって、樹脂製のボビンと同様に取り扱うことが可能となる。
上記絶縁被覆層は、樹脂材料を用いたものや陽極酸化処理皮膜に限定されることはない。請求項12に記載したように、上記絶縁被覆層を、上記コア表面に無機質材料を焼成付着させた無機質焼成層で構成することができる。
たとえば、上記無機質焼成層を、炭化ケイ素や窒化ケイ素等の絶縁性セラミックあるいは結晶ガラスセラミック等で形成することができる。ボビンを構成する部材と上記絶縁被覆層の熱膨張率等が異なる場合には、軟質金属等の応力緩和層を設けることもできる。
無機質焼成層は、陽極酸化処理皮膜と同様に硬質である。このため、無機質焼成層にコイルが接触すると、コイルを傷める恐れがある。また、そのままでは、コイルに対する接触面積も小さい。この場合、請求項13に記載した発明のように、上記無機質焼成層の外面に、無機フィラーを含む高熱伝導性の樹脂からなる外層を形成するのが好ましい。
図1は、リアクトルの内部構造を理解できるように一部を破断した全体斜視図である。
リアクトル1は、磁性材料で形成されたコア2と、このコア2の周囲に巻回されたコイル3と、上記コア2と上記コイル3との間に介挿されるボビン4a,4bと、コイル3の外周部を覆うように設けられるカバー5とを備えて構成されている。
本実施例のコア2は、長手方向直線部に配置される複数の直方体状ブロック6aと、長手方向両端部に配置される一対の平面視C字状のブロック6bとを組付けてトラック状に構成されている。上記各ブロック間には非磁性材料で形成されたスペーサ7が介挿されており、各ブロック間に所定の隙間が設定されている。
上記コア2に対して、コイル3を位置決め保持するとともにコア2との間の絶縁を行うために、上記コア2と上記コイル3のとの間にボビン4a,4bが設けられる。本実施例では、図2に示すように、コア2の直線部分の直方体状ブロック6aに被着される第1のボビン4aと、上記第1のボビンの両側に設けられて上記コイル3の軸方向位置を位置決めする第2のボビン4bとを備えて構成されている。上記第1のボビン4aは、コアの直線部分に側方から組み付けることができるように、2つの部材に分割して形成されている。
図3に示すように、本実施例に係る上記リアクトル1は、アルミ合金等の熱伝導性の高いケース7に収容され、図示しない封止樹脂で封止される。実施例では、上記ケース7の一方の内面と一方の上記ブロック6bとの間に圧縮バネ8を設けることにより、他方のブロック6bをケース内面に弾性的に接触させた状態で上記ケース内に収容されている。コア2の一部をケース7の内面に押圧接触させることにより、上記コア2から上記ケース7への放熱経路を確保している。
本実施例では、図4に示すように、上記第1のボビン4a及び第2のボビン4bをアルミニウム材料で形成するとともに、上記ボビン4a,4bの外周面に絶縁被覆層9を形成している。
上記ボビン4a,4bを構成するアルミニウム合金として、工業用純アルミニウム(JISA1070、JISA1050、JISA1100)及び種々のアルミニウム合金(JISA2000系、JISA3000系、JISA4000系、JISA5000系、JIS6000系)等のアルミニウム材料を採用できる。なお、上記ボビンを形成する材料はアルミニウム材料に限定されることはない。熱伝導率が大きく、リアクトルの特性に悪影響を与えない材料であれば種々の金属材料を採用することができる。
上記絶縁被覆層9は、種々の手法によって形成することができる。
第1の実施例−陽極酸化処理皮膜(アルマイト皮膜)の形成
陽極酸化処理皮膜は、アルミニウム材料で形成したボビン4a,4bを硫酸溶液等の電解質溶液中で陽極とし、鉛等を陰極として電流を流すことによって得られる。アルミニウム材料を陽極として電解質溶液を電気分解すると、アルミニウムイオンが電解質溶液中に溶け出すが、同時に水の電気分解によって生じる酸素と結合して表面に酸化皮膜が形成され、これが陽極酸化処理皮膜(アルマイト皮膜)となる。
具体的工程は、脱脂工程−水洗工程−エンチング工程−水洗工程−中和工程−電解工程(アルマイト処理工程)−水洗工程−封孔工程−湯洗工程−乾燥工程を含んで陽極酸化処理皮膜が形成される。
本願発明に係る陽極酸化処理皮膜として、硬質陽極酸化処理皮膜(硬質アルマイト皮膜)を形成するのが好ましい。硬質陽極酸化処理皮膜は、低温の電解浴又は各種の有機酸を添加した特殊な電解浴を用いて処理が行われる。硬質陽極酸化処理皮膜は、通常の陽極酸化処理皮膜に比べて厚い皮膜(30〜100μm)を形成することができる。また、絶縁破壊電圧も、通常のアルマイト皮膜に比べて格段に高い(30V/μm)。しかも、熱伝導率も樹脂材料に比べてはるかに大きい(67W/mK)。したがって、従来の樹脂製のボビンに代えてアルミニウム材料で形成したボビンを採用することができる。たとえば、上記アルマイト皮膜のみで500Vの耐圧性を確保できる絶縁被覆層9を構成する場合には、17μm以上のマルマイト皮膜を形成するのが好ましい。
第2の実施例−無機フィラーを含む樹脂絶縁被覆層の形成
上記絶縁被覆層9を、高い熱伝導性を有する樹脂材料から形成することができる。
上記樹脂から形成される絶縁被覆層9は、樹脂材料を溶媒に溶かした樹脂溶液に高熱伝導性を有するフィラーを配合して被覆材を形成し、この被覆材を上記ボビン4a,4bの表面に塗着し、その後上記溶媒を除去することにより形成することができる。
上記樹脂材料は、少なくとも上記コイル3で発生する温度に対する耐熱性を備えているものを採用すればよく、たとえば、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂等を採用できる。具体的には、上記樹脂材料として住友スリーエム社製のジェット・メルト接着材のハイメルトシリーズ7375を採用し、これにアルミナ、シリカ等のフィラーを配合して、上記樹脂被覆材を形成することができる。
高い熱伝導性と電気絶縁性を確保するため、上記無機フィラーとして、シリカやアルミナを採用するのが好ましい。上記樹脂材料に、上記無機フィラーを配合することにより、熱伝導性能が高まるばかりでなく、被覆層の機械的強度も向上し、絶縁性能を確保しつつ上記コイル3をボビン4に確実に保持することができる。
また、樹脂材料から形成される絶縁被覆層9は、上記の樹脂をベースとしているため、ある程度は弾性あるいは塑性変形することができる。このため、コイルの組付の際には絶縁被覆層表面が各コイルの外面に対応して変形させられ、上記コイル3に対する絶縁被覆層9の接触面積が増加するのを期待できる。また、上記樹脂の絶縁被覆層9は、金属製のボビン4a,4bより熱伝導率は小さいが、厚さが小さいためボビン全体としての熱伝導性が格段に高まる。
第3の実施例−無機質焼成層の形成
上記絶縁被覆層9として、無機質焼成層を形成することができる。上記無機質焼成層は、上記ボビン4a,4bの表面に無機質材料を焼成付着させて形成されるものである。上無機質焼成層を構成する材料として、たとえば、炭化ケイ素や窒化ケイ素等の絶縁性セラミックあるいは結晶ガラスセラミック等を採用できる。
セラミック焼成層はボビン4a,4bを構成する金属より硬度が高く、また、熱膨張係数は小さい。このため、境界層で熱応力が発生する恐れがある。上記問題を緩和するために、上記ボビン4a,4bの表面と上記焼成層との間に軟質金属等の応力緩和層を設けることもできる。
第4の実施例−複数の絶縁被覆層の形成
図5に、第4の実施例の具体的形態を示す。この実施例に係る絶縁被覆層9は、上記ボビン4aの表面側に形成される内層9aと、この内層9aに積層形成されるとともにコイル3の内周部に対接する外層9bとから構成されている。
上記外層9bは、上記コイル3に接触させられ、少なくともコイル内周部から作用する圧力を支持できるように構成される。なお、上記外層9bは、圧力を支持してコイル3を保持できればよく、ある程度の変形は許容される。一方、上記内層5aは、上記外層5bよりより高い機械的強度を備え、上記コイル3が、上記ボビン4a,4bの表面に接触するのを阻止できるように形成されている。
上記内層9aを、上記第1の実施例に記載した陽極酸化皮膜から形成する一方、上記外層9bを、上記第2の実施例に記載した無機フィラーを含む樹脂被覆層で形成することができる。
上記構成を採用することにより、熱伝導性能、絶縁破壊電圧及び強度が極めて高いにもかかわらず、コア2やコイル3を傷める恐れのないボビンを形成することが可能となる。
また、上記内層9aを、上記第3の実施例に記載した無機質焼成層から形成する一方、上記外層9bを、上記第2の実施例に記載した無機フィラーを含む樹脂被覆層で形成することもできる。
上記無機質焼成層も、上記陽極酸化皮膜と同様に非常に硬度が高い。このため、上記無機フィラーを含む樹脂被覆層から構成される外層9bを設けることにより、内層9aに上記陽極酸化皮膜を形成した場合と同様の効果を得ることができる。
さらに、上記無機フィラーの配合割合が異なる樹脂材料から内層9aと外層9bとを形成することもできる。すなわち、フィラーは樹脂材料に比べて変形能が低いため、フィラーの割合が増加するほど、被覆材の硬度も上がる。また、フィラーの添加量が増加するほど、熱伝導性及び電気絶縁性も向上する。したがって、上記内層9aの形成材料に対する無機フィラーの配合割合を、上記外層9bの形成材料の配合割合より多くすることによって、上記内層9aの機械的強度を高めることができる。一方、フィラーの添加量があまりに多いと、脆性が出現してクラック等が生じやすくなる。また、硬度が大きくなると、巻線を傷める恐れも生じる。
上記問題を緩和するため、上記内層9aよりフィラーの配合割合を少なくした外層9bを形成することにより、上記不都合を回避することができる。すなわち、上記外層9bは、フィラーの配合量が少ないため、内層9aに比べて変形しやすい。したがって、コイル3の内周部によく馴染み、接触面積が増加して密着性も高まる。この結果、被覆層全体としての熱伝導性を高めることができる。
なお、外層9bと内層9aの機械的強度は、フィラーの配合量を変えるばかりでなく、異なる種類の樹脂材料を用いて形成することができる。たとえば、上記内層9aに、外層9bに採用される樹脂材料より硬度や機械的強度の高い樹脂材料を採用すればよい。
本願発明は、上述の実施例に限定されることはない。実施例では、アルミニウム合金製のボビンを採用したが、たとえば、マグネシウム合金を採用することもできる。
また、ボビンの形態も特に限定されることはなく、金属で形成できる形態であれば種々のボビンに適用することができる。
また、実施の形態では、第1のボビン4aと第2のボビン4bの双方を金属材料から形成したが、一方のみを金属材料で形成することもできる。さらに、実施例では、ボビンの表面全体に絶縁被覆層を形成したが、コイル3に対接させられる部分のみに絶縁被覆層を形成することもできる。
3 コイル
4a ボビン
4b ボビン
9 絶縁被覆層
4a ボビン
4b ボビン
9 絶縁被覆層
Claims (13)
- 環状のコアと、このコアの外周に設けられるコイルと、上記コアと上記コイルとの間に介在するボビンとを備えるリアクトルであって、
上記ボビンを金属材料で形成するとともに、上記ボビンの表面に絶縁被覆層を設けた、リアクトル。 - 上記ボビンがアルミ材料で形成されている、請求項1に記載のリアクトル。
- 上記絶縁被覆層が陽極酸化処理皮膜から形成されている、請求項2に記載のリアクトル。
- 上記絶縁被覆層が無機フィラーを含む樹脂から形成されている、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のリアクトル。
- 上記樹脂が、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の少なくともいずれかである請求項4に記載のリアクトル。
- 上記無機フィラーが、シリカ又はアルミナの少なくともいずれかである、請求項4又は請求項5のいずれかに記載のリアクトル。
- 上記絶縁被覆層は、少なくとも機械的特性の異なる複数の層を備えて構成されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載のリアクトル。
- 上記絶縁被覆層は、上記ボビン表面に形成される内層と、上記内層に積層形成される外層とを備えて構成されており、
上記内層は、上記外層より高い機械的強度を備えて構成されている、請求項7に記載のリアクトル。 - 上記内層及び上記外層を無機フィラーを含む樹脂から形成するとともに、
上記内層のフィラー配合量は、上記外層のフィラー配合量より大きい、請求項8に記載のリアクトル。 - 上記内層と上記外層とが異なる樹脂材料を用いて形成されている、請求項8又は請求項9のいずれかに記載のリアクトル。
- アルミ材料で形成されたボビンの表面に、上記内層として陽極酸化皮膜を形成するとともに、
上記外層を無機フィラーを含む樹脂から形成した、請求項8に記載のリアクトル。 - 上記絶縁被覆層が、上記ボビン表面に無機質材料を焼成付着させた無機質焼成層である、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のリアクトル。
- 上記無機質焼成層の外面に、無機フィラーを含む樹脂からなる外層が形成されている、請求項12に記載のリアクトル。
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