JP5098449B2 - 組電池 - Google Patents

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Description

本発明は、組電池に関し、特に組電池を構成する二次電池の絶縁皮膜に関する。
車両走行エネルギーを放出する車両用の組電池に用いられる二次電池は、急加速時や大制動時などにおいて大電流の充放電を行うため、二次電池の温度上昇が大きな問題となっている。二次電池の劣化が温度上昇に正相関をもつ。このため、車両用の組電池では、ファンなどの強制通風冷却装置を用いて組電池を冷却することが一般的となっている。
また、二次電池を多数隣接配列してなる組電池では、互いに接触する二次電池の外周側面の電気絶縁性向上のため、電気絶縁樹脂シートを巻き付けたり(特許文献2)、熱収縮性の樹脂フィルムで被覆したり(特許文献1)することが提案されている。
特開2002−157983号公報 特開2004−319342号公報
しかしながら、上記した強制通風冷却装置による組電池の冷却は、電池系の体格重量の増大のみならず貴重な蓄電電力の損失も発生させるという問題があった。また、上記した樹脂シートや樹脂フィルムによる二次電池の被覆はその冷却性を大幅に低下させるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、電池系の体格重量の低減及び蓄電電力の損失低減が可能な組電池を提供することをその目的としている。
上記課題を解決する組電池は、冷却流体により直接乃至間接的に冷却される金属製の電池ケース及びこの電池ケースの少なくとも外周側面を被覆する絶縁皮膜を有する外周被覆型の二次電池と、冷却流体により直接乃至間接的に冷却される金属製の電池ケース及びこの電池ケースの少なくとも外周側面が絶縁皮膜により被覆されずに露出する外周露出型の二次電池とを交互に配列してなり、前記絶縁皮膜は、有機系絶縁材料よりも熱伝導性に優れた無機系絶縁材料を主成分として形成されていることを特徴としている。
外周被覆型の二次電池は、隣りの二次電池の外周側面に隣接乃至近接する二次電池の外周側面、無機系絶縁材料を主成分とする絶縁皮膜により被覆されて形成されている。このようにすれば、二次電池間の電気絶縁を良好に確保しつつ二次電池内部の熱を電池ケースの外周側面を通じて外部に良好に放散することができる。このため、電池寿命を悪化させることなく従来よりも格段に強制通風冷却装置を小型軽量化することができ、それに伴ってバッテリ蓄電電力を節約することができる。
従って、この発明では、外周被覆型の二次電池と露出型の二次電池とを交互に配列して組電池を構成するため、互いに隣接乃至近接する二次電池間の電気絶縁性を確保しつつ、絶縁皮膜形成費用を半減することができる。そのうえ、露出型の二次電池の放熱性を更に向上することができる。好適には、外周被覆型の二次電池の外周側面は露出型の二次電池の外周側面に接していることが好適である。このようにすれば、良好に冷却される露出型の二次電池の外周側面が低温となるため、外周被覆型の二次電池の外周側面から露出型の二次電池の外周側面への伝熱冷却により外周被覆型の二次電池も良好に冷却することができる。
無機系絶縁材料を主成分とする絶縁皮膜(以下、無機絶縁皮膜とも言う)は、溶射、缶体の陽極酸化などの公知の種々の無機絶縁皮膜形成方法を採用することができる。たとえば、缶体がアルミニウム製である場合には、その陽極酸化が好適であり、量産性に富む。陽極酸化アルミ膜は多孔性であることが知られているが、封孔処理を行うことにより絶縁性を強化することができる。
好適な態様において、前記電池ケースは、一端が開口する缶体と、前記絶縁皮膜が外周側面に被覆された前記缶体の開口にレーザー溶接により接合された蓋板とを有する。このようにすれば、耐熱性に優れた無機絶縁皮膜をレーザー溶接前に缶体の外周側面に形成することができ、缶体への無機絶縁皮膜被着時における電極アセンブリへの悪影響を防止することができる。
好適な態様において、前記絶縁皮膜は、窒化アルミ膜、窒化ケイ素膜、酸化アルミ膜、炭化ケイ素膜、ダイアモンドライクカーボン膜のうちの少なくとも1つを主成分として形成されている。これにより、従来の樹脂膜に比べて二次電池の冷却性を改善することができる。
また、本発明の組電池に係る外周被覆型の二次電池は、冷却流体により直接乃至間接的に冷却される金属製の電池ケース及びこの電池ケースの少なくとも外周側面を被覆する絶縁皮膜を有しており、前記絶縁皮膜、高熱伝導性及び電気絶縁性を有する無機材料粉末が皮膜形成可能な範囲だけ混合された樹脂膜として形成することもできる
すなわち、外周被覆型の二次電池は、無機材料粉末が混入された樹脂膜により電池ケースの外周側面被覆されてる。このようにすれば、従来の絶縁皮膜形成プロセスをほとんど変更することなく、電池間の電気絶縁性を確保しつつ電池の熱伝導率を向上することができ、冷却装置の負担を軽減することができる。無機材料粉末の含有量は成膜性を確保できる範囲でできるだけ多くすることが好ましい。好適には、30〜90wt%の無機材料粉末を混合することが好適である。無機材料粉末の平均粒径は、膜厚未満とすることが好適であるが、膜厚以上としてもよい。無機材料粉末の形状は好適には表面積が小さい略球形とされるが、フィレット状など他の形状としてもよい。
好適な態様において、前記無機材料粉末は、窒化アルミ粉末、窒化ケイ素粉末、酸化アルミ粉末、炭化ケイ素粉末、ダイアモンドライクカーボン粉末、ダイアモンド粉末、酸化鉄粉末などのセラミック粉末の他、アモルファス粉末、ガラス粉末などの無機非晶質粉末が採用される。
好適な態様において、前記二次電池の外周側面は、冷却流体により強制冷却される。これにより、二次電池の冷却能力の改善と強制通風冷却装置の簡素化とを両立させることができる。
好適な態様において、前記電池ケースの端面は、絶縁皮膜により被覆されることなく冷却流体に接触可能に露出している。これにより、電池の冷却性を更に改善することができる。
本発明を採用した組電池について以下の実施形態を参照して具体的に説明する。
(実施形態1)
円筒形の二次電池に比べて組電池として高密度配列が可能な扁平形の二次電池1を図1を参照して説明する。二次電池1は、扁平密閉缶状の電池ケース4と、電池ケース4の上端面から突出する一対の電極端子31、32とを有している。二次電池1は単電池と通称されることもある。
電池ケース4は、深絞り加工などにより有底扁平缶形状に形成された金属製の缶体41と、缶体41の上端開口を閉鎖する金属平板製の蓋板42とからなり、蓋板42の外周縁は缶体41の上端開口縁にレーザー溶接されている。蓋板42には互いに所定間隔を隔てて一対の端子孔が形成され、電極端子31、32はこれらの端子孔を貫通して上方に突出している。この実施形態では、缶体41及び蓋板42はアルミ合金板により形成されている。端子孔を封止するシール樹脂は電極端子31、32の固定機能も有する。一対の電極端子31、32は、電池ケース4内に収容された電極アセンブリの正極板及び負極板に接続されている。上記した二次電池1の構造自体は従来通りであるため、これ以上の説明は省略する。缶体41の外周側面及び外底面は、無機絶縁皮膜21により被覆されている。
無機絶縁皮膜21は、酸化アルミ膜であり、この実施形態では缶体41の陽極酸化とその後の封孔処理により約50μm程度の厚さに形成されている。高耐圧絶縁性能を要求される用途では、この陽極酸化アルミ膜の絶縁耐圧は不足するが、二次電池1の電圧はリチウム二次電池でさえも4V未満であるため、近接乃至隣接する2つの二次電池間の電気絶縁確保には十分である。アルミ部品の陽極酸化及びその後の封孔処理についてはいわゆるアルマイト加工として周知であるためこれ以上の説明は省略する。
比較例として、従来の樹脂被覆型の二次電池1を図2を参照して説明する。二次電池1の構造自体は図1に示すこの実施例の二次電池1のそれと同じである。ただし、蓋板42を缶体41にレーザー溶接する前に絶縁皮膜としての樹脂フィルム22を缶体41に被着する場合には耐熱上の理由から缶体41の上端部に樹脂被着を行なわない部位を設けることが好ましく、その結果、この露出部位における隣接缶体との接触が問題となる。もしくは、レーザー溶接時の温度上昇に耐え得る耐熱性樹脂を採用することも可能であるが、このような耐熱性樹脂フィルムは加工が難しくコストも高くなる。
レーザー溶接後に缶体41に樹脂フィルム22を被着することは更に好適であり、この場合には缶体41との密着性を向上するために熱収縮樹脂フィルムの採用が好適である。ただし、熱収縮樹脂フィルムは変形量が多いため変形時の破れなどを防止するため膜厚を大きくすることが好適であり、その結果として缶体41の外周側面からの放熱性が悪化する。
上記したこの実施形態の二次電池1を採用した組電池5を図3に示す。組電池5は、各二次電池1の外周側面の扁平面部が小さい隙間7を隔てて対面するように二次電池1の厚さ方向へ一列に配列されている。もちろん、各二次電池1の扁平面部を密着させてもよい。通常において、奇数番目の二次電池1と偶数番目の二次電池1とは正負の電極端子31、32が逆となるように配列され、接続部材(図略)により二次電池1の直列接続が容易とされている。
各二次電池1の外周側面の扁平面部間の隙間7には、図略のファン装置により形成された冷却風が送風される。隙間7を設けない場合には、冷却風の送風方向を変更可能である。
なお、この実施形態では、隙間7が設けられているため通常では互いに隣接する電池ケース4間に電流リークは生じない。しかし、結露や導線性ごみなどの付着により電流リークが生じる可能性を根絶するため、上記絶縁皮膜が設けられている。もちろん、互いに隣接する電池ケース4を接触させる場合には絶縁皮膜の設置は必須となる。
(実施形態2)
実施形態2を図1を参照して説明する。この実施形態は、実施形態1の無機絶縁皮膜21を溶射膜としたものである。すなわち、無機絶縁皮膜21は、酸化アルミ(アルミナ)などの無機粉末を溶射法により0.2mm程度の厚さに成膜されている。溶射成膜法自体は従来と同じである。ただし、溶射は電池ケース4を通じての電極アセンブリや電解質を熱劣化させるため、電極アセンブリや電解質を電池ケース4に収容する前に実施されることが好適である。
なお、無機粉末としては、なるべく熱伝導性に優れた電気絶縁性材料であれば、既述の種々の材料を採用することができる。
(実施形態3)
実施形態3を図1を参照して説明する。この実施形態は、実施形態1の無機絶縁皮膜21を無機粉末混合樹脂膜としたものである。無機材料粉末としては、窒化アルミ粉末、窒化ケイ素粉末、酸化アルミ粉末、炭化ケイ素粉末、ダイアモンドライクカーボン粉末、ダイアモンド粉末、アモルファス粉末、ガラス粉末などを採用することができる。樹脂としては、成膜性に優れた公知の種々の材料を採用することができるが、レーザー溶接前に無機絶縁皮膜21を形成する場合には、PTFEなどの耐熱性樹脂が好適である。
(実施形態4)
実施形態4を図1を参照して説明する。この実施形態は、実施形態1において、奇数番目の二次電池1の電池ケース4には無機絶縁皮膜21を被覆し、偶数番目の二次電池1の電池ケース4には無機絶縁皮膜21を設けないようにしたものである。このようにすれば、偶数番目の二次電池1を更に良好に冷却することができる。なお、奇数番目の電池ケース4の扁平面部と偶数番目の電池ケース4の扁平面部とを接触させても良い。このようにすれば、奇数番目の電池ケース4から無機絶縁皮膜21を通じて低温の偶数番目の電池ケース4に伝熱冷却により放熱することができる。
(変形態様)
電池ケース4に被覆する無機絶縁皮膜21の耐電圧は小さくて良いため、CVD法やPVD法により無機絶縁皮膜21を成膜してもよい。
(変形態様)
無機絶縁皮膜21は、外周側面の他、缶体41の外底面や蓋板42の上面に設けても良い。なお、レーザー溶接前に溶接部位の無機絶縁皮膜21をあらかじめ剥がしておいてもよい。
実施形態の二次電池の斜視図である。 比較例の二次電池の斜視図である。 実施形態の組電池の斜視図である。
符号の説明
1 二次電池
4 電池ケース
5 組電池
7 隙間
21 無機絶縁皮膜
22 樹脂フィルム
31、32 電極端子
41 缶体
42 蓋板

Claims (4)

  1. 冷却流体により直接乃至間接的に冷却される金属製の電池ケース及びこの電池ケースの少なくとも外周側面を被覆する絶縁皮膜を有する外周被覆型の二次電池と、
    冷却流体により直接乃至間接的に冷却される金属製の電池ケース及びこの電池ケースの少なくとも外周側面が絶縁皮膜により被覆されずに露出する外周露出型の二次電池とを交互に配列してなり、
    前記絶縁皮膜は、有機系絶縁材料よりも熱伝導性に優れた無機系絶縁材料を主成分として形成されていることを特徴とする組電池。
  2. 請求項1記載の組電池において、
    前記電池ケースは、一端が開口する缶体と、前記絶縁皮膜が外周側面に被覆された前記缶体の開口にレーザー溶接により接合された蓋板とを有する組電池。
  3. 請求項1又は2に記載の組電池において、
    前記絶縁皮膜は、窒化アルミ膜、窒化ケイ素膜、酸化アルミ膜、炭化ケイ素膜、ダイアモンドライクカーボン膜のうちの少なくとも1つを主成分として形成されている組電池。
  4. 請求項1乃至3のいずれか記載の組電池において、
    前記電池ケースの端面は、絶縁皮膜により被覆されることなく冷却流体に接触可能に露出している組電池。
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