JP2016111276A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
【課題】コイルと磁性コアとの組合体を覆う封止樹脂部の酸化劣化を抑制するリアクトルを提供する。【解決手段】コイル2と、コイル内に配置される部分を有する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との組合体を収納するケース4と、ケース内に充填され、組合体を封止する封止樹脂部6と、ケース4の開口側に配置され、封止樹脂部6が大気と接する表面のうち、少なくともコイル2の上面に対向する領域を覆う酸化防止層7と、を備える。酸化防止層7は、酸素透過度が1000ml/m2/day/atm以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC−DCコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関する。特に、コイルと磁性コアとの組合体を覆う封止樹脂部の酸化劣化を抑制できるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。特許文献1には、一対のコイル素子(巻回部)を有するコイルと、コイルが配置される磁性コアと、コイルと磁性コアとの組合体を収納するケースと、ケース内に充填される封止樹脂部とを備えるリアクトルが開示されている。ケース内に封止樹脂部が充填されることで、ケースに収納した組合体などの位置の固定、組合体などの機械的な保護や外部環境からの保護(耐食性の向上)、材質によっては放熱性の向上、絶縁性の向上などを図ることができる。
しかし、特許文献1のリアクトルでは、ケースの開口側において封止樹脂部が露出しているため、大気と接する表面において、封止樹脂部が酸化劣化する虞がある。封止樹脂部が酸化劣化すると、封止樹脂部に割れが生じることがある。そうすると、封止樹脂部によって組合体の固定ができず、動作時の振動などによって騒音が生じたりする。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的の一つは、コイルと磁性コアとの組合体を覆う封止樹脂部の酸化劣化を抑制できるリアクトルを提供することにある。
本発明の一態様に係るリアクトルは、コイルと、前記コイル内に配置される部分を有する磁性コアと、前記コイルと前記磁性コアとの組合体を収納するケースと、前記ケース内に充填され、前記組合体を封止する封止樹脂部と、前記ケースの開口側に配置され、前記封止樹脂部が大気と接する表面のうち、少なくとも前記コイルの上面に対向する領域を覆う酸化防止層と、を備える。前記酸化防止層は、酸素透過度が1000ml/m2/day/atm以下である。
上記リアクトルは、コイルと磁性コアとの組合体を覆う封止樹脂部の酸化劣化を抑制できる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るリアクトルは、コイルと、前記コイル内に配置される部分を有する磁性コアと、前記コイルと前記磁性コアとの組合体を収納するケースと、前記ケース内に充填され、前記組合体を封止する封止樹脂部と、前記ケースの開口側に配置され、前記封止樹脂部が大気と接する表面のうち、少なくとも前記コイルの上面に対向する領域を覆う酸化防止層と、を備える。前記酸化防止層は、酸素透過度が1000ml/m2/day/atm以下である。
上記構成によれば、封止樹脂部のうち少なくともコイルの上面に対向する領域(以下、コイル対向領域と呼ぶことがある)が大気と接することを抑制できるため、封止樹脂部の酸化劣化を抑制できる。コイルが発熱すると高温となるため、この高温となるコイルの上面に位置する封止樹脂部は酸化劣化し易い。また、コイルの上面に位置する封止樹脂部は、コイル外に配置される部分の磁性コアの上面に位置する封止樹脂部よりも厚みが薄い場合があり、コイルの発熱が封止樹脂部の上面まで伝わり易く、酸化劣化し易い。よって、酸化防止層が少なくともコイル対向領域に配置されることで、封止樹脂部の酸化劣化を効果的に抑制できる。封止樹脂部の酸化劣化を抑制することで、酸化劣化によって引き起こされる封止樹脂部の割れを抑制できるため、封止樹脂部によって組合体を強固に固定でき、リアクトルの動作時の振動などを抑制できる。
(2)上記のリアクトルの一例として、前記酸化防止層は、前記封止樹脂部との接着力が2.0N/cm以上である形態が挙げられる。
上記構成によれば、酸化防止層を封止樹脂部に対して強固に接着できるため、酸化防止層のずれや剥離などを抑制できる。
(3)上記のリアクトルの一例として、前記酸化防止層は、非延伸樹脂で構成されている形態が挙げられる。
上記構成によれば、コイルの発熱に伴い酸化防止層に熱が加わったとしても、酸化防止層が伸縮することを抑制し易い。酸化防止層の形成は、例えば、ケース内に充填された封止樹脂部が固化する前に、厚さの薄いフィルム状もしくはフィルム状よりも厚さの厚い板状の酸化防止層(成形体)を封止樹脂部の上面に載置したり、液状の樹脂を塗布して酸化防止層としたりすることが挙げられる。この場合、封止樹脂部が固化することで、封止樹脂部に対して酸化防止層が固定される。上記構成によれば、封止樹脂部の固化時に酸化防止層に導入される歪み(残留歪み)を抑制、もしくは残留歪みによって酸化防止層が収縮することを抑制し易い。また、酸化防止層が比較的厚さの厚い板状の成形体で形成される場合、成形体は射出成形によって形成されることが挙げられる。上記構成によれば、射出成形時に導入される歪み(残留歪み)を抑制し易く、酸化防止層が収縮することを抑制し易い。酸化防止層の伸縮を抑制することで、酸化防止層の剥離や皺などが生じることを抑制し易く、リアクトルの見た目を向上し易い。
(4)上記のリアクトルの一例として、前記酸化防止層は、液状の樹脂を塗布して形成されている形態が挙げられる。
上記構成によれば、巻線端部の引出し箇所でも酸化防止層を隙間なく形成し易い。酸化防止層をフィルム状や板状の成形体で形成する際、例えば、予め巻線端部の引出し部分の挿通孔を形成した成形体を用意し、巻線端部を挿通孔に挿通することで酸化防止層を形成する。その場合、挿通孔の開口と巻線端部の引出し箇所との間には酸化防止層で覆われない隙間が形成される。一方、酸化防止層を液状の樹脂を塗布して形成する場合、巻線端部の引出し箇所にまで液状の樹脂を塗布できるため、この巻線端部の引出し箇所周辺に隙間が生じることがない。よって、巻線端部の引出し箇所周辺の封止樹脂部の酸化劣化も効果的に抑制できる。
(5)上記のリアクトルの一例として、前記封止樹脂部は、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂で構成されている形態が挙げられる。
エポキシ樹脂やウレタン樹脂は、軟質であり、安価であるため好ましい。また、エポキシ樹脂やウレタン樹脂は、酸化防止層に対する接着力を付与し易い。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
<実施形態1>
図1〜図4を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
図1〜図4を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
(リアクトル)
・全体構成
実施形態1のリアクトル1は、図1に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなる巻回部2a,2bを有するコイル2と、巻回部2a,2bの内外に配置される部分を有する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4と、ケース4内に充填される封止樹脂部6とを備える。実施形態1のリアクトル1は、封止樹脂部6が大気と接する面のうち、少なくともコイル2の上面に対向する面を覆う酸化防止層7を備える点を特徴の一つとする。以下、各構成を詳細に説明する。なお、以下の説明において、ケース4の底板部40側を下側、その反対側のケース4の開口側を上側とする。
・全体構成
実施形態1のリアクトル1は、図1に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなる巻回部2a,2bを有するコイル2と、巻回部2a,2bの内外に配置される部分を有する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4と、ケース4内に充填される封止樹脂部6とを備える。実施形態1のリアクトル1は、封止樹脂部6が大気と接する面のうち、少なくともコイル2の上面に対向する面を覆う酸化防止層7を備える点を特徴の一つとする。以下、各構成を詳細に説明する。なお、以下の説明において、ケース4の底板部40側を下側、その反対側のケース4の開口側を上側とする。
・コイル
コイル2は、図3に示すように、一本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して形成された一対の筒状の巻回部2a,2bと、両巻回部2a,2bを連結する連結部2rとを備える。各巻回部2a,2bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列(横並び)されている。連結部2rは、両巻回部2a,2bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各巻回部2a,2bを別々の巻線により作製し、各巻回部2a,2bの巻線の端部同士を溶接や圧着などにより接合することで形成しても良い。コイル2の両端部は、巻回部2a,2bから適宜な方向に引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置が接続される。
コイル2は、図3に示すように、一本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して形成された一対の筒状の巻回部2a,2bと、両巻回部2a,2bを連結する連結部2rとを備える。各巻回部2a,2bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列(横並び)されている。連結部2rは、両巻回部2a,2bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各巻回部2a,2bを別々の巻線により作製し、各巻回部2a,2bの巻線の端部同士を溶接や圧着などにより接合することで形成しても良い。コイル2の両端部は、巻回部2a,2bから適宜な方向に引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置が接続される。
本実施形態の各巻回部2a,2bは角筒状に形成されている。角筒状の巻回部2a,2bとは、その端面形状が四角形状(正方形状を含む)の角を丸めた形状の巻回部のことである。もちろん、巻回部2a,2bは円筒状に形成しても構わない。円筒状の巻回部とは、その端面形状が閉曲面形状(楕円形状や真円形状、レーストラック形状など)の巻回部のことである。
巻回部2a,2bを含むコイル2は、銅やアルミニウム、マグネシウム、あるいはその合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線によって構成することができる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線をエッジワイズ巻きにすることで、各巻回部2a,2bを形成している。
・磁性コア
磁性コア3は、図3に示すように、複数の柱状の内コア片31m,…と、U字状の一対の外コア片32m,32mと、コア片間に介在される複数のギャップ材31g,…とを備える。外コア片32m,32mは、U字の開口部が向かい合うように配置され、内コア片31mとギャップ材31gとの積層物が、外コア片32m,32m間に横並び(並列)に配置される。この配置によって、磁性コア3は環状に組み付けられ、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。磁性コア3における内コア片31mと外コア片32mの一部は、コイル2の巻回部2a,2b内に配置される部分を構成し、外コア片32mの残部は、コイル2が配置されず、コイル2から突出した部分を構成する。
磁性コア3は、図3に示すように、複数の柱状の内コア片31m,…と、U字状の一対の外コア片32m,32mと、コア片間に介在される複数のギャップ材31g,…とを備える。外コア片32m,32mは、U字の開口部が向かい合うように配置され、内コア片31mとギャップ材31gとの積層物が、外コア片32m,32m間に横並び(並列)に配置される。この配置によって、磁性コア3は環状に組み付けられ、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。磁性コア3における内コア片31mと外コア片32mの一部は、コイル2の巻回部2a,2b内に配置される部分を構成し、外コア片32mの残部は、コイル2が配置されず、コイル2から突出した部分を構成する。
・・内コア片
内コア片31mは、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましい。ここでは、図3に示すように、内コア片31mの形状は直方体状であり、その角部は、巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。内コア片31mの個数は、適宜選択できる。
内コア片31mは、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましい。ここでは、図3に示すように、内コア片31mの形状は直方体状であり、その角部は、巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。内コア片31mの個数は、適宜選択できる。
・・外コア片
一対の外コア片32m,32mは、同一の形状であり、図3の上方から見て略U字状である。外コア片32mは、巻回部2a,2b外に配置されて巻回部2a,2b間に跨るように配置される直方体状のブロックと、このブロックから突出して巻回部2a,2b内にそれぞれ配置される一対の突出部分とを有する。ブロックと一対の突出部分とは一体に成形された一体物である。また、ここでは、ブロックは、一対の突出部分とは反対側に、これら突出部分と同じ突出長さで突出する部分が一体に成形されている。上記一対の突出部分の端面は、内コア片31mの端面(後述するギャップ材31gの端面)とほぼ同じ形状および大きさであり、その大きさおよび突出長さは、コイル2に応じた所定の磁路断面積を有するように適宜選択できる。一対の突出部分は、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましく、ここでは、角部が実質的に巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。
一対の外コア片32m,32mは、同一の形状であり、図3の上方から見て略U字状である。外コア片32mは、巻回部2a,2b外に配置されて巻回部2a,2b間に跨るように配置される直方体状のブロックと、このブロックから突出して巻回部2a,2b内にそれぞれ配置される一対の突出部分とを有する。ブロックと一対の突出部分とは一体に成形された一体物である。また、ここでは、ブロックは、一対の突出部分とは反対側に、これら突出部分と同じ突出長さで突出する部分が一体に成形されている。上記一対の突出部分の端面は、内コア片31mの端面(後述するギャップ材31gの端面)とほぼ同じ形状および大きさであり、その大きさおよび突出長さは、コイル2に応じた所定の磁路断面積を有するように適宜選択できる。一対の突出部分は、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましく、ここでは、角部が実質的に巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。
また、U字状の外コア片32m,32mにおける上記ブロックの下面は、内コア片31mの下面よりも突出しており、コイル2と磁性コア3とを組み付けると、上記ブロックの下面は、コイル2の下面と面一となる。即ち、組合体10の設置面は、コイル2の一面(下面)と、磁性コア3の外コア片32mの一面(ブロックの下面)によって構成される。そのため、リアクトル1は、組合体10がケース4の底板部40に安定して配置される上、コイル2に加えて磁性コア3の一部もケース4の底板部40に接触することにより、放熱性を高められる。
この例では、内コア片31mおよび外コア片32mは、いずれも圧粉成形体である。圧粉成形体は、代表的には、鉄や鉄合金(Fe−Si合金、Fe−Ni合金など)といった軟磁性の金属の粉末と、適宜バインダ(樹脂など)や潤滑剤とを含む原料粉末を成形した後、成形に伴う歪みの除去などを目的とした熱処理を施して得られる。金属粉末に絶縁処理を施した被覆粉末や、金属粉末と絶縁材とを混合した混合粉末を原料粉末に用いることで、成形後、金属粒子と金属粒子間に介在する絶縁材とによって実質的に構成される圧粉成形体が得られる。この圧粉成形体は、絶縁材を含むことで、渦電流を低減できて低損失である。
・・ギャップ材
ギャップ材31gは、コア片31m,32mよりも比透磁率が低い材料、代表的にはアルミナなどの非磁性材で構成される。この例では、ギャップ材31gは、平面視長方形状の非磁性材の平板としている。ギャップ材31gの形状や個数は適宜選択できる。各コア片31m,32m間に介在されるギャップ材31gは、そのギャップ材31gに代えて、又はギャップ材31gと併用してエアギャップとすることができる。
ギャップ材31gは、コア片31m,32mよりも比透磁率が低い材料、代表的にはアルミナなどの非磁性材で構成される。この例では、ギャップ材31gは、平面視長方形状の非磁性材の平板としている。ギャップ材31gの形状や個数は適宜選択できる。各コア片31m,32m間に介在されるギャップ材31gは、そのギャップ材31gに代えて、又はギャップ材31gと併用してエアギャップとすることができる。
・絶縁介在部材
絶縁介在部材5は、コイル2と磁性コア3との間に介在され、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高める機能を有する部材である。この例に示す絶縁介在部材5は、図3に示すように、コイル2(巻回部2a,2b)の軸方向に分割される一対の分割材50a,50bを組み合わせてなる。
絶縁介在部材5は、コイル2と磁性コア3との間に介在され、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高める機能を有する部材である。この例に示す絶縁介在部材5は、図3に示すように、コイル2(巻回部2a,2b)の軸方向に分割される一対の分割材50a,50bを組み合わせてなる。
各分割片50a,50bは、巻回部2a,2bと磁性コア3のうち巻回部2a,2b内に配置される部分(主に内コア片31m)との間に介在される内側介在部51と、巻回部2a,2bと外コア片32m,32mとの間に介在される端面介在部52とを備える。端面介在部52は、外コア片32mの一対の突出部分がそれぞれ挿通可能な二つの挿通孔52h,52hを有するB字状の平板の枠状部である。分割材50aは、一対の内側介在部51,51と、一方の外コア片32m側に配設される端面介在部52とが一体成形されている。分割材50bは、他方の外コア片32m側に配設される端面介在部52である。各分割材50a,50bは、互いに係合する係合部を備える。分割材50aの係合部は、内側介在部51,51の先端部分に凹状に形成された切欠きであり、分割材50bの係合部は、端面介在部52から突出した凸状片である。絶縁介在部材5の形状は例示であり、適宜変更できる。
絶縁介在部材5の構成材料には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの絶縁性材料が利用できる。絶縁介在部材5は、上記の樹脂を射出成形するなど、公知の成形方法によって容易に作製できる。
・ケース
ケース4は、図2に示すように、組合体10が載置される平板状の底板部40と、組合体10の周囲を囲むように底板部40から立設される略矩形枠状の側壁部41とを有し、底板部40とは反対側(上方)が開口した略矩形箱状である。リアクトル1は、ケース4に組合体10を収納することよって、組合体10の外部環境(粉塵や腐食など)からの保護や機械的保護を図ることができる。この例では、ケース4の底板部40の下面が冷却ベースといった設置対象(図示せず)の上面に接するように固定され、リアクトル1が設置対象上に設置される。図1では、底板部40が下方となる設置状態を示すが、底板部40が上方、又は側方となる設置状態もあり得る。
ケース4は、図2に示すように、組合体10が載置される平板状の底板部40と、組合体10の周囲を囲むように底板部40から立設される略矩形枠状の側壁部41とを有し、底板部40とは反対側(上方)が開口した略矩形箱状である。リアクトル1は、ケース4に組合体10を収納することよって、組合体10の外部環境(粉塵や腐食など)からの保護や機械的保護を図ることができる。この例では、ケース4の底板部40の下面が冷却ベースといった設置対象(図示せず)の上面に接するように固定され、リアクトル1が設置対象上に設置される。図1では、底板部40が下方となる設置状態を示すが、底板部40が上方、又は側方となる設置状態もあり得る。
この例に示すケース4は、底板部40と側壁部41とが一体に成形された金属製のケースである。一般に、金属は熱伝導率が比較的高いので、金属製のケースであれば、その全体を放熱経路に利用でき、組合体10に発生した熱を外部の設置対象(例えば、冷却ベース)に効率良く放熱でき、リアクトル1の放熱性を高められる。ケース4の構成材料としては、例えば、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、銀やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼などが挙げられる。アルミニウムやマグネシウム、これらの合金で形成した場合、ケース4を軽量にできる。
また、この例に示すケース4は、ケース4内の四隅にステー取付部45が設けられている。そして、各外コア片32mにおけるブロックの上面にステー(図示せず)を掛け渡すように配置し、ステーをステー取付部45にネジ(図示せず)で留めることにより、組合体10を底板部40側に押圧した状態で、組合体10をケース4に固定できる。
・接合層
この例に示すリアクトル1は、図2,4に示すように、組合体10の設置面に接合層8を備える。接合層8は、組合体10と底板部40との間に介在される。接合層8を備えることで、組合体10を底板部40に強固に固定でき、コイル2の動きの規制、放熱性の向上、設置対象への固定の安定化などを図ることができる。接合層8の構成材料は、絶縁性樹脂、特にセラミックスフィラーなどを含有して放熱性に優れるもの(例えば、熱伝導率が0.1W/m・K以上、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上)が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。接合層8としてシート状のものを用いると、接合層8を配置し易い。
この例に示すリアクトル1は、図2,4に示すように、組合体10の設置面に接合層8を備える。接合層8は、組合体10と底板部40との間に介在される。接合層8を備えることで、組合体10を底板部40に強固に固定でき、コイル2の動きの規制、放熱性の向上、設置対象への固定の安定化などを図ることができる。接合層8の構成材料は、絶縁性樹脂、特にセラミックスフィラーなどを含有して放熱性に優れるもの(例えば、熱伝導率が0.1W/m・K以上、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上)が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。接合層8としてシート状のものを用いると、接合層8を配置し易い。
・封止樹脂部
封止樹脂部6は、図1に示すように、ケース4内に充填され、ケース4内に収納された組合体10を封止する部材である。封止樹脂部6は、組合体10におけるコイル2の上面が埋設されるまで充填されている(図4を参照)。リアクトル1は、封止樹脂部6で組合体10を封止することよって、組合体10をケース4に固定し、組合体10の電気的・機械的保護、外部環境からの保護、コイル2に通電したときに発生する磁性コア3の振動、およびこの振動に起因する騒音の低減などを図ることができる。
封止樹脂部6は、図1に示すように、ケース4内に充填され、ケース4内に収納された組合体10を封止する部材である。封止樹脂部6は、組合体10におけるコイル2の上面が埋設されるまで充填されている(図4を参照)。リアクトル1は、封止樹脂部6で組合体10を封止することよって、組合体10をケース4に固定し、組合体10の電気的・機械的保護、外部環境からの保護、コイル2に通電したときに発生する磁性コア3の振動、およびこの振動に起因する騒音の低減などを図ることができる。
封止樹脂部6の構成材料には、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、PPS樹脂などが利用できる。特に、エポキシ樹脂やウレタン樹脂は、軟質であり、安価であるため好ましい。放熱性を高める観点から、封止樹脂部6には、アルミナやシリカなどの熱伝導率の高いセラミックスのフィラーを混合してもよい。
・酸化防止層
酸化防止層7は、図1,4に示すように、ケース4の開口側に配置され、封止樹脂部6が大気と接する表面のうち、少なくともコイル2の上面に対向する領域を覆う部材である。この例に示す酸化防止層7は、図1,4に示すように、コイル2の上面(ただし、コイル2の巻線2wの両端部を除く)と、外コア片32m,32mの実質的に上面に対向する領域とを覆うように形成されている。酸化防止層7が上記領域に形成されることで、封止樹脂部6が大気と接して酸化劣化することを抑制できる。
酸化防止層7は、図1,4に示すように、ケース4の開口側に配置され、封止樹脂部6が大気と接する表面のうち、少なくともコイル2の上面に対向する領域を覆う部材である。この例に示す酸化防止層7は、図1,4に示すように、コイル2の上面(ただし、コイル2の巻線2wの両端部を除く)と、外コア片32m,32mの実質的に上面に対向する領域とを覆うように形成されている。酸化防止層7が上記領域に形成されることで、封止樹脂部6が大気と接して酸化劣化することを抑制できる。
酸化防止層7は、封止樹脂部6が大気と接する表面のうち、少なくともコイル2の上面に対向する領域に形成される。これは、コイル2が発熱すると高温となるため、この高温となるコイル2の上面では酸化劣化し易いためである。また、コイル2の上面に位置する封止樹脂部6は、外コア片32m,32mの上面に位置する封止樹脂部6よりも厚みが薄いため(図4を参照)、コイル2の発熱が封止樹脂部6の上面まで伝わり易く、酸化劣化して割れ易いためである。ここでは、酸化防止層7は、外コア片32m,32mの上面に対向する領域に亘っても形成されている。酸化防止層7は、組合体10の実質的に全体を覆うように形成されていることが好ましい。酸化防止層7が組合体10の全体を覆うように形成されていることで、封止樹脂部6の酸化劣化をさらに抑制することができ、酸化防止層7の形成も行い易い。酸化防止層7は、封止樹脂部6が大気と接する表面の90%以上の領域に形成されていることが挙げられる。酸化防止層7は、さらに封止樹脂部6が大気と接する表面の95%以上の領域、特に100%の領域に形成されていることが挙げられる。
酸化防止層7は、厚みが10μm以上2000μm以下であることが挙げられる。酸化防止層7の厚みは、後述する酸素透過度にもよるが、10μm以上であることで酸化劣化を抑制し易い。一方、酸化防止層7の厚みが、2000μm以下であることで無駄に厚くならず、酸化防止層7の構成材料の無駄を削減でき、リアクトル1の大型化も抑制できる。酸化防止層7の厚みは、酸化防止層7が厚さの薄いフィルム状の成形体で形成される場合、12μm以上50μm以下程度が挙げられる。この厚さ範囲のフィルム状の酸化防止層7だと、市販品を利用することができる。また、酸化防止層7がフィルム状よりも厚さの厚い板状の成形体で形成される場合、酸化防止層7の厚みは、1000μm以上2000μm以下程度が挙げられ、さらに好ましくは1000μm以上1500μm以下が挙げられる。この厚さ範囲の板状の酸化防止層7だと、市販のシートを利用したり、射出成形によって形成したりすることができる。他に、酸化防止層7が液状の樹脂を塗布して形成される場合、10μm以上50μm以下程度が挙げられ、さらに好ましくは10μm以上20μm以下が挙げられる。上述した酸化防止層7の形態の違いによって挙げられる酸化防止層7の厚みは一例であって、酸素の透過を抑制できれば特に問わない。
酸化防止層7は、酸素透過度が1000ml/m2/day/atm以下である。この酸化透過度は、室温(25℃程度)で、相対湿度50%程度のときの値である。酸素透過度は、低ければ低いほど酸化劣化を抑制できる。酸素透過度は、100ml/m2/day/atm以下が好ましく、さらに50ml/m2/day/atm以下、20ml/m2/day/atm以下、特に1ml/m2/day/atm以下が好ましい。
酸化防止層7は、封止樹脂部6との接着力が2.0N/cm以上であることが挙げられる。酸化防止層7は、封止樹脂部6の表面上に形成されるため、封止樹脂部6との接着力が2.0N/cm以上であることで、封止樹脂部6と酸化防止層7とをより強固に接着できる。酸化防止層7の封止樹脂部6との接着力は、封止樹脂部6の材質にもよるが、2.5N/cm以上が好ましく、さらに3.0N/cm以上、特に5.0N/cm以上が好ましい。例えば、封止樹脂部6がエポキシ樹脂で構成されている場合、酸化防止層7と封止樹脂部6との接着力は3.0N/cm程度以上、封止樹脂部6がウレタン樹脂で構成されている場合、酸化防止層7と封止樹脂部6との接着力は2.5N/cm程度以上が好適である。この接着力は、例えば、JIS K 6854−1(1999年)におけるピール法によって測定できる。
酸化防止層7は、耐熱温度(常用耐熱温度)が100℃以上であることが挙げられる。酸化防止層7は、コイル2の上面に対向する面に形成されるため、耐熱温度が100℃以上であることで、コイル2の発熱温度で軟化することを抑制できる。酸化防止層7の耐熱温度は、125℃以上が好ましく、さらに150℃以上が好ましい。
酸化防止層7の構成材料には、例えば、パラ系アラミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などが利用できる。酸化防止層7は、非延伸樹脂で構成されることで、コイル2が発熱して高温となっても、その熱によって酸化防止層7が収縮することを抑制し易い。また、酸化防止層7が射出成形によって形成される場合、射出成形時に導入される歪み(残留歪み)を抑制し易く、酸化防止層が収縮することを抑制し易い。さらに、酸化防止層7が、後述するように、ケース4内に充填された封止樹脂部6の固化時に固定される場合、封止樹脂部6の固化時に酸化防止層7に導入される歪み(残留歪み)を抑制、もしくは残留歪みによって酸化防止層7が収縮することを抑制し易い。
酸化防止層7は、例えば、上述した構成材料で構成されたフィルム状や板状の成形体を封止樹脂部6の上面に載置して形成することが挙げられる。酸化防止層7が成形体の場合、巻線2wの端部の引出し部分の挿通孔および切欠きを形成したフィルムを用意し、巻線2wの端部をこの挿通孔に挿通することおよび切欠きに嵌め込むことで、酸化防止層7を形成する。このとき、酸化防止層7に形成した挿通孔を、封止樹脂部6に対する酸化防止層7の位置決めとして利用できる。他に、上述した構成材料で構成された液状の樹脂を封止樹脂部6の上面に塗布して形成することが挙げられる。液状の樹脂を塗布して酸化防止層7を形成する場合、巻線2wの端部の引出し箇所にも隙間なく塗布できるため、封止樹脂部6に対して隙間なく酸化防止層7を形成し易い。
(リアクトルの製造方法)
上記構成を備えるリアクトル1は、例えば、組合体10の作製⇒組合体10をケース4内に収納⇒ケース4内に封止樹脂部6を充填⇒酸化防止層7の配置という工程により製造することができる。
上記構成を備えるリアクトル1は、例えば、組合体10の作製⇒組合体10をケース4内に収納⇒ケース4内に封止樹脂部6を充填⇒酸化防止層7の配置という工程により製造することができる。
・組合体の作製
まず、コイル2と磁性コア3との組合体10を作製する(図3を参照)。組合体10は、内コア片31mとギャップ材31gとを交互に積層して積層物を作製し、コイル2に絶縁介在部材5を配置した後、上記の積層物をコイル2の各巻回部2a,2b内にそれぞれ挿通配置する。その後、U字状の外コア片32m,32mをU字の開口部が向かい合うように配置し、外コア片32m,32m間にコイル2を配置した上記の積層物を並列に配置する。各外コア片32mの突出部分がそれぞれ巻回部2a,2b内に挿入配置されるよう、上記の積層物と外コア片32mとを組み付ける。これにより、環状の磁性コア3が構成されると共に、組合体10が組み立てられる。
まず、コイル2と磁性コア3との組合体10を作製する(図3を参照)。組合体10は、内コア片31mとギャップ材31gとを交互に積層して積層物を作製し、コイル2に絶縁介在部材5を配置した後、上記の積層物をコイル2の各巻回部2a,2b内にそれぞれ挿通配置する。その後、U字状の外コア片32m,32mをU字の開口部が向かい合うように配置し、外コア片32m,32m間にコイル2を配置した上記の積層物を並列に配置する。各外コア片32mの突出部分がそれぞれ巻回部2a,2b内に挿入配置されるよう、上記の積層物と外コア片32mとを組み付ける。これにより、環状の磁性コア3が構成されると共に、組合体10が組み立てられる。
・組合体をケース内に収納
次に、組合体10をケース4内に収納する(図2を参照)。このとき、各外コア片32m,32mの上面(ブロックの上面)にステー(図示せず)を配置し、ステーをケース4のステー取付部45にネジ(図示せず)で留めることによって組合体10をケース4内に固定することもできる。
次に、組合体10をケース4内に収納する(図2を参照)。このとき、各外コア片32m,32mの上面(ブロックの上面)にステー(図示せず)を配置し、ステーをケース4のステー取付部45にネジ(図示せず)で留めることによって組合体10をケース4内に固定することもできる。
・ケース内に封止樹脂部を充填
次に、組合体10が収納されたケース4内に封止樹脂部6を充填する(図1を参照)。封止樹脂部6の固化のタイミングは、後述する酸化防止層7の配置で説明する。
次に、組合体10が収納されたケース4内に封止樹脂部6を充填する(図1を参照)。封止樹脂部6の固化のタイミングは、後述する酸化防止層7の配置で説明する。
・酸化防止層の配置
酸化防止層7を、封止樹脂部6が大気と接する表面のうち、少なくともコイル2の上面に対向する面に配置する。酸化防止層7がフィルム状や板状の成形体の場合、酸化防止層7の配置は、上述した封止樹脂部6の充填後、封止樹脂部6が固化する前に、酸化防止層7を封止樹脂部6の上面に載置することが挙げられる。その後、封止樹脂部6を固化させることで、封止樹脂部6に対して酸化防止層7を固定する。他に、酸化防止層7が液状の樹脂を塗布して形成される場合、酸化防止層7の配置は、下記二つの形態が挙げられる。一つ目は、上述した封止樹脂部6の充填後、封止樹脂部6が半固化した状態で、液状の樹脂を塗布する形態である。その後、封止樹脂部6を完全に固化させることで、封止樹脂部6の上面に酸化防止層7が形成される。二つ目は、上述した封止樹脂部6の充填後、その封止樹脂部6を固化させた後、封止樹脂部6の上面に液状の樹脂を塗布する形態である。液状の樹脂は、スプレーや刷毛などによって塗布できる。上述したいずれの酸化防止層7の配置であっても、封止樹脂部6の上面の所望の範囲に所望の厚さの酸化防止層7を形成できる。
酸化防止層7を、封止樹脂部6が大気と接する表面のうち、少なくともコイル2の上面に対向する面に配置する。酸化防止層7がフィルム状や板状の成形体の場合、酸化防止層7の配置は、上述した封止樹脂部6の充填後、封止樹脂部6が固化する前に、酸化防止層7を封止樹脂部6の上面に載置することが挙げられる。その後、封止樹脂部6を固化させることで、封止樹脂部6に対して酸化防止層7を固定する。他に、酸化防止層7が液状の樹脂を塗布して形成される場合、酸化防止層7の配置は、下記二つの形態が挙げられる。一つ目は、上述した封止樹脂部6の充填後、封止樹脂部6が半固化した状態で、液状の樹脂を塗布する形態である。その後、封止樹脂部6を完全に固化させることで、封止樹脂部6の上面に酸化防止層7が形成される。二つ目は、上述した封止樹脂部6の充填後、その封止樹脂部6を固化させた後、封止樹脂部6の上面に液状の樹脂を塗布する形態である。液状の樹脂は、スプレーや刷毛などによって塗布できる。上述したいずれの酸化防止層7の配置であっても、封止樹脂部6の上面の所望の範囲に所望の厚さの酸化防止層7を形成できる。
(主要な効果)
本実施形態のリアクトル1によれば、封止樹脂部6のうち少なくともコイル2の上面に対向する面が大気と接することを抑制できるため、封止樹脂部6の酸化劣化を抑制できる。よって、酸化劣化によって引き起こされる封止樹脂部6の割れを抑制できるため、封止樹脂部6によって組合体10を強固に固定でき、リアクトル1の動作時の振動などを抑制できる。
本実施形態のリアクトル1によれば、封止樹脂部6のうち少なくともコイル2の上面に対向する面が大気と接することを抑制できるため、封止樹脂部6の酸化劣化を抑制できる。よって、酸化劣化によって引き起こされる封止樹脂部6の割れを抑制できるため、封止樹脂部6によって組合体10を強固に固定でき、リアクトル1の動作時の振動などを抑制できる。
・その他の構成
上記リアクトル1は、温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサなどのリアクトル1の物理量を測定するセンサ(図示せず)を備えることができる。例えば、両巻回部2a,2bの間に形成される空間にセンサを配置することができる。
上記リアクトル1は、温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサなどのリアクトル1の物理量を測定するセンサ(図示せず)を備えることができる。例えば、両巻回部2a,2bの間に形成される空間にセンサを配置することができる。
<試験例>
コイルと磁性コアとの組合体と、その組合体を収納するケースと、ケース内で組合体を封止する封止樹脂部とを備えるリアクトルを作製した。封止樹脂部は、エポキシ樹脂で構成される。このリアクトルにおいて、封止樹脂部の上面に酸化防止層を形成したリアクトル(試験例1〜7)、および封止樹脂部の上面に何も配置しないリアクトル(試験例8)を作製し、各リアクトルについて封止樹脂部の状態、および封止樹脂部と酸化防止層との接着力を調査した。
コイルと磁性コアとの組合体と、その組合体を収納するケースと、ケース内で組合体を封止する封止樹脂部とを備えるリアクトルを作製した。封止樹脂部は、エポキシ樹脂で構成される。このリアクトルにおいて、封止樹脂部の上面に酸化防止層を形成したリアクトル(試験例1〜7)、および封止樹脂部の上面に何も配置しないリアクトル(試験例8)を作製し、各リアクトルについて封止樹脂部の状態、および封止樹脂部と酸化防止層との接着力を調査した。
・試験例1〜4,6,7
ケース内に封止樹脂部を充填後、封止樹脂部の固化前に、表1に示す材質のフィルム状の酸化防止層を封止樹脂部の上面に載置した。各酸化防止層は、組合体の上面に対向する面を覆うように載置した。各酸化防止層の酸素透過度および厚みは、表1に示す。酸化防止層の耐熱温度は、試験例1〜4では125℃、試験例6,7では90℃であった。試験例1〜4,7は非延伸フィルムであり、試験例6は延伸フィルムである。
ケース内に封止樹脂部を充填後、封止樹脂部の固化前に、表1に示す材質のフィルム状の酸化防止層を封止樹脂部の上面に載置した。各酸化防止層は、組合体の上面に対向する面を覆うように載置した。各酸化防止層の酸素透過度および厚みは、表1に示す。酸化防止層の耐熱温度は、試験例1〜4では125℃、試験例6,7では90℃であった。試験例1〜4,7は非延伸フィルムであり、試験例6は延伸フィルムである。
・試験例5
ケース内に封止樹脂部を充填して固化させた後、表1に示す材質の液状の樹脂を封止樹脂部の上面に刷毛で塗布して酸化防止層を形成した。酸化防止層は、組合体の上面に対向する面を覆うように塗布した。酸化防止層の酸素透過度は、表1に示す。酸化防止層の厚みは、10μmとなるように塗布した。酸化防止層の耐熱温度は、130℃であった。
ケース内に封止樹脂部を充填して固化させた後、表1に示す材質の液状の樹脂を封止樹脂部の上面に刷毛で塗布して酸化防止層を形成した。酸化防止層は、組合体の上面に対向する面を覆うように塗布した。酸化防止層の酸素透過度は、表1に示す。酸化防止層の厚みは、10μmとなるように塗布した。酸化防止層の耐熱温度は、130℃であった。
・試験例8
封止樹脂部の上面に何も配置しなかった。
封止樹脂部の上面に何も配置しなかった。
各試験例について、封止樹脂部に対する酸化防止層の接着力を測定した。測定方法は、JIS K 6854−1(1999年)におけるピール法とした。その結果を表1に併せて示す。
また、各試験例について、加熱温度150℃の下で100時間放置した後、リアクトルの封止樹脂部の状態を目視観察して調べた。その結果を表1に併せて示す。
上述した試験例1〜8のリアクトルについて、酸素透過度が1000未満である酸化防止層を封止樹脂部の上面に形成した試験例1〜6のリアクトルは、封止樹脂部に割れは発生していなかった。特に、耐熱温度が125℃以上であり、非延伸樹脂で形成された酸化防止層を用いた試験例1〜5のリアクトルは、収縮皺も発生していなかった。一方、酸化防止層を形成していない試験例8や、酸化防止層を形成していても酸素透過度が大きい試験例7は、割れが発生していた。これは、封止樹脂部が大気と接することで、封止樹脂部が酸化劣化したためと考えられる。また、酸素透過度が1000ml/m2/day/atm未満であっても延伸樹脂で形成された酸化防止層を用いた試験例6では、収縮皺が発生していた。これは、封止樹脂部の固化時に酸化防止層に導入される歪みによって酸化防止層が収縮して皺が発生したためと考えられる。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータなどの種々のコンバータ、並びに電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
1 リアクトル 10 組合体
2 コイル
2a,2b 巻回部 2r 連結部 2w 巻線
3 磁性コア
31m 内コア片 31g ギャップ材 32m 外コア片
4 ケース
40 底板部 41 側壁部 45 ステー取付部
5 絶縁介在部材 50a,50b 分割材
51 内側介在部 52 端面介在部 52h 挿通孔
6 封止樹脂部
7 酸化防止層
8 接合層
2 コイル
2a,2b 巻回部 2r 連結部 2w 巻線
3 磁性コア
31m 内コア片 31g ギャップ材 32m 外コア片
4 ケース
40 底板部 41 側壁部 45 ステー取付部
5 絶縁介在部材 50a,50b 分割材
51 内側介在部 52 端面介在部 52h 挿通孔
6 封止樹脂部
7 酸化防止層
8 接合層
Claims (5)
- コイルと、
前記コイル内に配置される部分を有する磁性コアと、
前記コイルと前記磁性コアとの組合体を収納するケースと、
前記ケース内に充填され、前記組合体を封止する封止樹脂部と、
前記ケースの開口側に配置され、前記封止樹脂部が大気と接する表面のうち、少なくとも前記コイルの上面に対向する領域を覆う酸化防止層と、を備え、
前記酸化防止層は、酸素透過度が1000ml/m2/day/atm以下であるリアクトル。 - 前記酸化防止層は、前記封止樹脂部との接着力が2.0N/cm以上である請求項1に記載のリアクトル。
- 前記酸化防止層は、非延伸樹脂で構成されている請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
- 前記酸化防止層は、液状の樹脂を塗布して形成されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記封止樹脂部は、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂で構成されている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112530664A (zh) * | 2019-09-18 | 2021-03-19 | 株式会社自动网络技术研究所 | 电抗器 |
CN114243183A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-03-25 | 扬州金快乐电源有限公司 | 一种防磨损封闭式铅酸电池组件 |
-
2014
- 2014-12-09 JP JP2014249383A patent/JP2016111276A/ja active Pending
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