JP2016192432A - リアクトル - Google Patents

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Shintaro Nanbara
慎太郎 南原
浩平 吉川
Kohei Yoshikawa
浩平 吉川
崇志 高田
Takashi Takada
崇志 高田
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Abstract

【課題】コイルとコイルに対向配置される金属部材との間の絶縁性及び放熱性に優れると共に、製造性に優れるリアクトルを提供する。【解決手段】巻回部を有するコイルと、前記巻回部内に配置される部分を有する磁性コアと、前記巻回部と前記磁性コアとの間の絶縁を確保する介在部材と、を備えるリアクトルであって、前記介在部材は、前記巻回部の内周面と前記磁性コアとの間に介在される内側介在部と、前記内側介在部と一体に成形され、前記巻回部の外周面の少なくとも一部を覆う外カバー部と、を備え、前記外カバー部は、前記巻回部の外周面と対向配置される金属部材との対向領域が、以下の(A)及び(B)の少なくとも一方を満たすリアクトル。(A)熱伝導率が0.5W/m・K以上の絶縁性材料により構成されている。(B)厚さが前記内側介在部の厚さよりも薄い。【選択図】図2

Description

本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC−DCコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関する。特に、コイルと、コイルに対向配置される金属部材と、の間の絶縁性及び放熱性に優れると共に、製造性に優れるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。特許文献1には、コイルと、コイルが配置される磁性コアと、コイルと磁性コアとの間に介在される介在部材と、コイルと磁性コアと介在部材との組合体を収納する金属製のケースと、を備えるリアクトルが開示されている。この金属製のケースの内面には、絶縁性材料からなる接合層が形成されており、この接合層上に組合体を配置することで、コイルとケースとの間の絶縁性を確保している。
特開2014−093375号公報
リアクトルの放熱性を高めるなどの目的で、組合体を金属板の上に載置したり、上述のように組合体を金属製のケースに収納したりする構造が採られることがある。このようなリアクトルに対して、上記金属板や金属製のケースといった組合体の近傍に配置される金属部材と、コイルと、の間の絶縁性に優れると共に、放熱性に優れ、かつ製造性にも優れることが望まれている。
特許文献1に記載されるように、コイルと金属部材との間に介在される接合層を、絶縁性材料からなる接着層(接着剤や接着シート)と、放熱性に優れる材料からなる放熱層と、の多層構造とすれば、コイルと金属部材との間の絶縁性を確保できると共に、放熱性に優れるリアクトルとできる。しかし、接着層にピンホールが存在すると絶縁性を損なう虞があるため、接着層を厚くしたり多層構造としたりすることがなされている。また、金属部材に接合層を介して組合体を設置する場合、設置後に、コイルと金属部材との間に絶縁性が確保されたことを確認することは難しい。そのため、コイルと金属部材との間に設けた接着層にピンホールが生じていたり、接着層(接合層)に対するコイルの配置がずれていたりしても、それらの確認ができず、絶縁性の信頼性に欠ける虞がある。
コイルと金属部材との間に接着層を介在する代わりに、コイルと金属部材との間に比較的大きな隙間を設けることで、両者の間の絶縁性を確保することも考えられる。しかし、この場合、隙間を確保する部材が必要となり、部品点数が増加したり、その部品を取り付けるための作業工程が増えたりする。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的の一つは、コイルとコイルに対向配置される金属部材との間の絶縁性及び放熱性に優れると共に、製造性に優れるリアクトルを提供することにある。
本発明の一態様に係るリアクトルは、巻回部を有するコイルと、前記巻回部内に配置される部分を有する磁性コアと、前記巻回部と前記磁性コアとの間の絶縁を確保する介在部材と、を備えるリアクトルであって、前記介在部材は、前記巻回部の内周面と前記磁性コアとの間に介在される内側介在部と、前記内側介在部と一体に成形され、前記巻回部の外周面の少なくとも一部を覆う外カバー部と、を備える。前記外カバー部は、前記巻回部の外周面と対向配置される金属部材との対向領域が、以下の(A)及び(B)の少なくとも一方を満たす。
(A)熱伝導率が0.5W/m・K以上の絶縁性材料により構成されている。
(B)厚さが前記内側介在部の厚さよりも薄い。
上記リアクトルは、コイルとコイルに対向配置される金属部材との間の絶縁性及び放熱性に優れると共に、製造性に優れる。
実施形態1に係るリアクトルの概略斜視図である。 実施形態1に係るリアクトルが備える組合体の概略分解斜視図である。 実施形態1に係るリアクトルが備える介在部材を示す概略斜視図である。 実施形態1に係るリアクトルを図1に示す(IV)−(IV)切断線で切断した状態を示す断面図である。 実施形態1に係るリアクトルを図1に示す(V)−(V)切断線で切断した状態を示す断面図である。 介在部材の他の形態を示すリアクトルの横断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係るリアクトルは、巻回部を有するコイルと、前記巻回部内に配置される部分を有する磁性コアと、前記巻回部と前記磁性コアとの間の絶縁を確保する介在部材と、を備えるリアクトルであって、前記介在部材は、前記巻回部の内周面と前記磁性コアとの間に介在される内側介在部と、前記内側介在部と一体に成形され、前記巻回部の外周面の少なくとも一部を覆う外カバー部と、を備える。前記外カバー部は、前記巻回部の外周面と対向配置される金属部材との対向領域が、以下の(A)及び(B)の少なくとも一方を満たす。
(A)熱伝導率が0.5W/m・K以上の絶縁性材料により構成されている。
(B)厚さが前記内側介在部の厚さよりも薄い。
上記金属部材は、コイルの巻回部の外周面近傍に配置されるものをいう。例えば、コイルと磁性コアと介在部材との組合体を収納するケースであって、金属製の底部及び金属製の側壁部の少なくとも一方を有するもの、上記組合体を載置する載置面が金属製である部材(例えば金属板)、上記組合体を設置する金属製の設置対象などが挙げられる。上記のリアクトルは、上記ケースや上記金属板などを含む場合がある。
上記のリアクトルは、内側介在部と外カバー部とが一体に成形されているため、コイルと磁性コアと介在部材とを組み合わせて組合体を作製すると、巻回部の内周面と磁性コアとの間に内側介在部が配置され、巻回部の外周面に外カバー部が配置される。つまり、巻回部の内周面と磁性コアとの間の絶縁と、巻回部の外周面と金属部材との間の絶縁と、の異なる箇所におけるコイルの絶縁構造を、一つの部材で行うことができる。そのため、従来のように、巻回部と磁性コアとの絶縁を行う介在部材とは別に、コイルと金属部材との間に接合層(接着層)を配置したり、コイルと金属部材との間に隙間を確保したりする必要がなく、部品点数及び作業工程を削減できる。よって、上記のリアクトルは、製造性に優れる。
上記のリアクトルは、組合体を作製した時点で、巻回部の外周面の所定領域(金属部材と対向配置される領域)が外カバー部で覆われているかを目視確認できる。外カバー部で覆われている領域は絶縁性を確保できるため、組合体の作製時点で巻回部の絶縁性を目視確認できることで、絶縁性の信頼性が高い。金属部材に配置する前に巻回部の絶縁性の確保を確認できるため、組合体を金属部材に配置する際に、従来のような接合層(接着層)に対する組合体のずれなどを考慮する必要がない。よって、上記のリアクトルは、組立作業性に優れ、製造性に優れる。また、金属部材との対向領域にのみ外カバー部を配置することができ、外カバー部の大型化を抑制できる。
上記のリアクトルは、外カバー部のうち金属部材との対向領域が放熱性に優れる。具体的には、外カバー部の上記対向領域が、熱伝導率が0.5W/m・K以上の絶縁性材料により構成されていることで、外カバー部が内側介在部の厚さと同等以上の厚さを有していたとしても、放熱性に優れる。また、外カバー部の厚さが内側介在部の厚さよりも薄いことで、外カバー部の熱伝導率が0.5W/m・K未満の絶縁性材料により構成されていたとしても、放熱性に優れる。勿論、外カバー部の上記対向領域は、熱伝導率が0.5W/m・K以上の絶縁性材料により構成されており、かつ内側介在部の厚さよりも薄い厚さを有することが好ましい。外カバー部の上記対向領域が放熱性に優れることで、リアクトルの動作時にコイルと磁性コアとが発熱しても、外カバー部を介して金属部材の外方に放熱できる。よって、上記のリアクトルは、放熱性に優れる。
(2)上記のリアクトルの一例として、前記外カバー部の構成材料の熱伝導率をα(W/m・K)、厚さをt(m)としたとき、前記外カバー部の前記対向領域は、5×10−5(W/K)≦α×t≦0.1(W/K)を満たす形態が挙げられる。
上記のリアクトルは、外カバー部の上記対向領域が上記条件を満たすことで、効果的に放熱性を向上できる。外カバー部の上記対向領域は、厚さが厚過ぎると、熱伝導率が0.5W/m・K以上の絶縁性材料により構成されていたとしても、効果的な放熱性は得られ難く、またリアクトルの大型化を招く。一方、外カバー部の上記対向領域は、厚さが薄過ぎると強度が低下する虞がある。よって、外カバー部の上記対向領域が、その構成材料の熱伝導率及び厚さが上記条件を満たすような熱伝導率及び厚さであることで、上記のリアクトルは、より放熱性に優れる。
(3)上記のリアクトルの一例として、前記外カバー部のうち少なくとも前記対向領域は、前記内側介在部と異なる絶縁性材料により構成されている形態が挙げられる。
上記のリアクトルとして、外カバー部を放熱性に優れる材料により構成し、内側介在部を強度に優れる材料により構成することが挙げられる。この構成によれば、外カバー部が比較的脆弱な樹脂で構成されていたとしても、内側介在部により強度を維持することができる。放熱性を向上する方法として、セラミックスのフィラーを含有する樹脂を利用することが考えられる。セラミックスの含有量を多くするほど放熱性を高めることができるが、脆くなり易い。上記構成によれば、外カバー部をセラミックスのフィラーを含有する樹脂により構成することで放熱性を向上することができ、内側介在部を強度に優れる材料により構成することで、外カバー部の脆弱化を補強することができる。
(4)上記のリアクトルの一例として、前記介在部材は、前記巻回部の軸方向に二分割される一対の分割介在部材を組み合わせて構成されており、前記一対の分割介在部材の一方は、前記磁性コアのうち前記巻回部内に配置される内コア片及びギャップ材の全てを収納可能な筒状部を有する内側介在部と、前記巻回部の軸方向全長に亘って覆う外カバー部と、を備える形態が挙げられる。
上記構成によれば、筒状部が内コア片及びギャップ材の全てを収納することで、筒状部に対して内コア片及びギャップ材の位置決めが容易にでき、かつその位置決め状態を安定して保持することができる。内コア片及びギャップ材を筒状部に収納した状態で取り扱うことができるため、リアクトルの組立作業性に優れる。また、外カバー部が巻回部をその軸方向全長に亘って覆うことで、巻回部の軸方向に沿って一様に巻回部の外周面と金属部材との間に介在されることになり、安定した絶縁性を確保することができる。
(5)介在部材が一対の分割介在部材を組み合わせて構成される上記のリアクトルの一例として、前記一対の分割介在部材は、互いに係合する係合部を備える形態が挙げられる。
上記構成によれば、分割介在部材同士の係合が容易であり、係合した分割介在部材同士が位置ずれし難い。よって、分割介在部材同士の係合によってコイルと磁性コアも位置ずれし難く、組合体が取り扱い易く、リアクトルの組立作業性により優れる。
(6)上記のリアクトルの一例として、前記コイルと前記磁性コアと前記介在部材との組合体を収納する有底容器状のケースを更に備え、前記金属部材は、前記ケースの底部及び側壁部の少なくとも一方を含む形態が挙げられる。
上記構成によれば、コイルの巻回部を載置する載置面を有するケースの底部や、コイルの巻回部の外周を囲む側壁部が金属で構成されているものの、巻回部の上記載置面との対向領域や、上記側壁部との対向領域に外カバー部が配置されている。よって、巻回部とケースの底部との間の絶縁と、巻回部とケースの側壁部との間の絶縁と、を一つの部材で行うことができる。また、放熱性に優れる外カバー部を介して、ケースの金属部分を放熱経路とすることによる良好な放熱性の確保を図ることができる。ケースを備えることで、このケースに組合体が収納されるため、組合体の機械的保護、外部環境からの保護などを図ることができる。
(7)上記のリアクトルの一例として、前記外カバー部のうち少なくとも前記対向領域は、前記巻回部の隣り合うターン間に介在される複数の突起を備える形態が挙げられる。
上記構成によれば、ターン間に介在される突起を放熱経路として利用することができるため、巻回部からの熱をより効率的に外カバー部を介して金属部材の外方に放熱できる。よって、上記構成によれば、より放熱性を向上することができる。また、ターン間に外カバー部を構成する樹脂による突起が介在されることで、ターン間の電気絶縁材としても機能できる上に、ターン間に介在することで巻回部の軸方向の伸縮や径方向の変形などを防止できる。即ち、これらの突起は、巻回部の形状維持部材や寸法維持部材などとしても機能できる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
<実施形態1>
図1〜図5を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
〔リアクトル〕
・全体構成
実施形態1のリアクトル1は、図1に示すように、巻線を螺旋状に巻回してなる巻回部2a,2bを有するコイル2と、コイル2の巻回部2a,2b内外に配置される部分を有する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保する介在部材5と、の組合体10を備える。リアクトル1は、コンバータケースなどの設置対象(図示せず)に取り付けられて使用される。コイル2の巻回部2a,2bの外周面近傍には、金属部材4が設けられる。ここでは、組合体10を収納する金属製のケース40を備え、金属部材4は、ケース40を構成する底部41及び側壁部42である(図4,5を参照)。図1では、説明の便宜上、ケース40(金属部材4)を省略している。また、通常、ケース40内には封止樹脂が充填されるが、図4,5ではこの封止樹脂を省略している。リアクトル1は、介在部材5が、巻回部2a,2bの内周面と磁性コア3との間に介在される内側介在部51と、巻回部2a,2bの外周面の少なくとも一部を覆う外カバー部52と、を備え、内側介在部51と外カバー部52とが一体に成形されている点を特徴の一つとする。そして、外カバー部52は、金属部材4との対向領域に放熱構造を有する点を特徴の一つとする。以下、構成要素ごとに詳細に説明する。
・コイル
コイル2は、図2に示すように、一本の連続する巻線を螺旋状に巻回して形成された一対の筒状の巻回部2a,2bと、両巻回部2a,2bを連結する連結部2rと、を備える。各巻回部2a,2bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列(横並び)されている。連結部2rは、両巻回部2a,2bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。コイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各巻回部2a,2bを別々の巻線により作製し、各巻回部2a,2bの巻線の端部同士を溶接や圧着などにより接合することで形成しても良い。コイル2の両端部は、巻回部2a,2bから適宜な方向に引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置が接続される。
本実施形態の各巻回部2a,2bは角筒状に形成されている。角筒状の巻回部2a,2bとは、その端面形状が四角形状(正方形状を含む)の角を丸めた形状の巻回部のことである。もちろん、巻回部2a,2bは円筒状に形成しても構わない。円筒状の巻回部とは、その端面形状が閉曲面形状(楕円形状や真円形状、レーストラック形状など)の巻回部のことである。
巻回部2a,2bを含むコイル2は、銅やアルミニウム、マグネシウム、あるいはその合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線によって構成することができる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線をエッジワイズ巻きにすることで、各巻回部2a,2bを形成している。
・磁性コア
磁性コア3は、図2に示すように、複数の柱状の内コア片31m,…と、U字状の一対の外コア片32m,32mと、各コア片間に介在される複数のギャップ材31g,…と、を備える。内コア片31m,…は、巻回部2a,2b内に全体が配置される磁性片であり、外コア片32m,32mは、巻回部2a,2b外に配置される部分を有する磁性片のことである。外コア片32m,32mは、巻回部2a,2b内に部分的に配置される部分を有していてもよく、この例では、外コア片32m,32mは、巻回部2a,2b外に配置される部分と、巻回部2a,2b内に配置される部分との双方を有する。外コア片32m,32mは、U字の開口部が向かい合うように配置され、内コア片31m,…とギャップ材31g…との積層物が、外コア片32m,32m間に横並び(並列)に配置される。この配置によって、磁性コア3は環状に組み付けられ、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。
・・内コア片
内コア片31mは、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましい。ここでは、図2に示すように、内コア片31mの形状は直方体状であり、その角部は、巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。内コア片31mの個数は、適宜選択できる。
・・外コア片
一対の外コア片32m,32mは、同一の形状であり、図2の上方から見て略U字状である。外コア片32mは、巻回部2a,2b外に配置されて巻回部2a,2b間に跨るように配置される直方体状のブロックと、このブロックから突出して巻回部2a,2b内にそれぞれ配置される一対の突出部分と、を有する。ブロックと一対の突出部分とは一体に成形された一体物である。ブロックにおける一対の突出部分とは反対側の外表面は、平坦面であるが、湾曲面や突出部分を有するなどとすることができる。上記一対の突出部分の端面は、内コア片31mの端面とほぼ同じ形状及び大きさであり、その大きさ及び突出長さは、コイル2に応じた所定の磁路断面積を有するように適宜選択できる。一対の突出部分は、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましく、ここでは、角部が実質的に巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。
U字状の外コア片32m,32mにおける上記ブロックの下面は、内コア片31mの下面よりも突出しており、コイル2と磁性コア3とを組み付けると、上記ブロックの下面は、コイル2の下面と面一となる。
この例では、内コア片31m及び外コア片32mは、いずれも圧粉成形体である。圧粉成形体は、代表的には、鉄や鉄合金(Fe−Si合金、Fe−Ni合金など)といった軟磁性の金属の粉末と、適宜バインダ(樹脂など)や潤滑剤とを含む原料粉末を成形した後、成形に伴う歪みの除去などを目的とした熱処理を施して得られる。金属粉末に絶縁処理を施した被覆粉末や、金属粉末と絶縁材とを混合した混合粉末を原料粉末に用いることで、成形後、金属粒子と金属粒子間に介在する絶縁材とによって実質的に構成される圧粉成形体が得られる。この圧粉成形体は、絶縁材を含むことで、渦電流を低減できて低損失である。
・・ギャップ材
ギャップ材31gは、コア片31m,32mよりも比透磁率が低い材料、代表的にはアルミナなどの非磁性材で構成される。この例では、ギャップ材31gは、平面視長方形状の非磁性材の平板としている。ギャップ材31gの形状や個数は適宜選択できる。各コア片31m,32m間に介在されるギャップ材31gは、そのギャップ材31gに代えて、又はギャップ材31gと併用してエアギャップとすることができる。
・介在部材
介在部材5は、コイル2と磁性コア3との間に介在され、コイル2と磁性コア3との間を絶縁する部材である。介在部材5は、図2,3に示すように、コイル2の軸方向に二分割される一対の分割介在部材5A,5Bを備える。介在部材5は、一対の分割介在部材5A,5Bを組み合わせたとき、巻回部2a,2b内に配置される内側介在部51と、巻回部2a,2bの外周面に配置される外カバー部52と、巻回部2a,2bと外コア片32mとの間に介在される端面介在部53と、を備える。ここでは、分割介在部材5Aは、内側介在部51と外カバー部52と端面介在部53とが一体に成形されており、分割介在部材5Bは、端面介在部53で成形されている。
・・内側介在部
内側介在部51は、巻回部2a,2bの内周面と磁性コア3との間に介在されて、巻回部2a,2bの内周面と磁性コア3との間の絶縁を確保する部材である。内側介在部51は、内コア片31m,…とギャップ材31g,…との積層物を収納可能な筒状部である。ここでは、内側介在部51は、積層物の4つの角部のそれぞれに対応するように、4つの湾曲した介在片51fから構成されている。各介在片51fが積層物の各角部に沿うように湾曲していることで、内側介在部51に積層物を収納し易くなっている。内側介在部51は、4つの介在片51f,…によって形成される横断面形状が内コア片31mの外形に沿った筒状となっている。各介在片51fは、端面介在部53側の一端部で繋がった枠状となるように形成されている。つまり、内側介在部51は、筒状部の側面に、筒状部の軸方向の一端側が開口し、他端側(端面介在部53側)が閉塞されたスリットが形成されている。内側介在部51にスリットが形成されていることで、各内コア片31m,…及びギャップ材31g,…を把持した状態でスリットの開口側から内側介在部51内に挿入させることができ、収納作業が行い易い。
内側介在部51の各介在片51fの先端部分には、分割介在部材5Bの端面介在部53に形成された係合部53eと係合する係合部51eが形成されている。分割介在部材5Aの内側介在部51(各介在片51f)の係合部51eと、分割介在部材5Bの端面介在部53の係合部53eとを係合することで、分割介在部材5A,5Bが互いに位置決めされた状態で一体化できる。両者の係合については、後述する。
内側介在部51は、巻回部2a,2bと磁性コア3との間の絶縁を機能の一つとする。そのため、内側介在部51の構成材料には、樹脂などの絶縁材料を好適に利用できる。具体的な絶縁材料として、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂などの熱可塑性樹脂を利用することができる。その他、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を利用することも可能である。
・・外カバー部
外カバー部52は、図2〜5に示すように、巻回部2a,2bの外周面の少なくとも一部を覆い、巻回部2a,2bの外周面と後述する金属部材4との間の絶縁を確保する部材であり、かつ組合体10の発熱を外部に放熱するための介在部材である。外カバー部52は、各巻回部2a,2bの直線状部に沿って配置される平板面52fと、各巻回部2a,2bの角R部に沿って配置される角R面52rと、を備え、内側介在部51と一体に成形された一体成型品である。ここでは、外カバー部52は、4つの平板面52f,…と、4つの角R面52r,…と、隣り合う角R面52r,52rを連結する渡り部52cと、を備え、巻回部2a,2bが形作る直方体状の外形の一部を覆う断面W字状である(図5を参照)。外カバー部52は、各巻回部2a,2bの設置面(下面)と、外方側(各巻回部2a,2bの対向する側と反対側)の側面(左右面)と、を覆うように配置されている。
外カバー部52は、巻回部2a,2bの軸方向に沿った長さが、巻回部2a,2bの軸方向の長さに実質的に等しい又は若干長い(図4を参照)。よって、外カバー部52で巻回部2a,2bの軸方向全長を確実に覆うことができるため、巻回部2a,2bと金属部材4との絶縁を確保することができる。ここでは、巻回部2a,2bの軸方向全長と同等の長さを有する一体の外カバー部52で、巻回部2a,2bの軸方向全長を覆う形態としたが、巻回部2a,2bの軸方向に二分割される一対の分割外カバー部を組み合わせて、巻回部2a,2bの軸方向全長を覆う形態としてもよい。
外カバー部52は、少なくとも巻回部2a,2bにおける金属部材4との対向領域を覆うように配置されている。外カバー部52は、さらに上記対向領域以外の領域を覆うように配置されていてもよく、この場合、巻回部2a,2bの機械的保護を図ることができる。例えば、金属部材4が巻回部2a,2bの一面のみに沿って配置される金属板の場合、外カバー部52は、巻回部2a,2bと金属板との間にだけ配置されるような板状であってもよいし、金属部材(金属板)との対向領域以外を覆うような形状(例えば図5に示す断面W字状)であってもよい。
外カバー部52は、組合体10の発熱を外部へ放熱する放熱経路を機能の一つとする。そのため、外カバー部52は、少なくとも金属部材4との対向領域に放熱構造を有する。外カバー部52の放熱構造として、(A)構成材料を放熱性に優れる材料とする、(B)厚さを薄くする、の少なくとも一方を満たす点を特徴の一つとする。
・・・構成材料
外カバー部52は、巻回部2a,2bと金属部材4との間の絶縁を機能の一つとする。そのため、外カバー部52の構成材料には、上述した内側介在部51の構成材料と同様の絶縁性樹脂材料を好適に利用できる。
外カバー部52の放熱構造として、外カバー部52が、熱伝導率が0.5W/m・K以上の絶縁性材料により構成されていることが挙げられる。外カバー部52の構成材料の熱伝導率は高いほど好ましく、熱伝導率が1.0W/m・K以上、さらに1.5W/m・K以上、2W/m・K以上、特に2.5W/m・K以上であることが好ましい。
上記熱伝導率を有する構成材料には、上述した絶縁性樹脂をベース樹脂として、このベース樹脂に、熱伝導率が高く、かつ電気絶縁性に優れるフィラーを含有した複合樹脂を利用することが挙げられる。上記フィラーの熱伝導率は、高いほど好ましく、20W/m・K以上、さらに50W/m・K以上、特に100W/m・K以上が好ましい。このようなフィラーとして、非金属無機材料からなるものが挙げられる。具体的には、窒化珪素(Si):20W/m・K〜150W/m・K程度、アルミナ(Al):20W/m・K〜30W/m・K程度、窒化アルミニウム(AlN):200W/m・K〜250W/m・K程度、窒化ほう素(BN):50W/m・K〜65W/m・K程度、及び炭化珪素(SiC):50W/m・K〜130W/m・K程度から選択される1種以上のセラミックスが挙げられる。複合樹脂は、単一の材質のフィラーのみを含有してもよいし、複数種の材質のフィラーを組み合わせて含有してもよい。また、上記セラミックスは、平均粒径が1μm〜100μm程度の粒子からなる粉末であると、ベース樹脂に均一的に混合し易く好ましい。粒径が異なる複数種の粉末(同一材質でも異なる材質でもよい)を用いると、含有量を高めても、複合樹脂の粘度が高くなり難く、流動性に優れる。
外カバー部52の熱伝導率は、上記複合樹脂のセラミックスの材質や含有量により異ならせることができ、フィラーの含有量が多いほど高くなる傾向にある。外カバー部52の構成樹脂の熱伝導率が0.5W/m・K以上となるように、ベース樹脂に応じて、上記セラミックスの材質やフィラーの含有量を調整するとよい。ただし、フィラーが多過ぎると、外カバー部52の脆化や複合樹脂の粘度の増加(流動性の低下)を招くため、上記セラミックスからなるフィラーの含有量は、複合樹脂を100質量%とするとき、30質量%〜90質量%程度が好ましい。
外カバー部52は、少なくとも金属部材4との対向領域が上記熱伝導率を有する絶縁材料により構成されていればよく、対向領域と対向領域以外の領域とを異なる絶縁材料により構成することもできる。対向領域と対向領域以外の領域とを異なる絶縁材料により構成する場合、まず対向領域及び対向領域以外の領域の一方の領域を成形し(一次成形)、次に対向領域及び対向領域以外の領域の他方の領域を成形する(二次成形)。一次成形で用いる絶縁材料と二次成形で用いる絶縁材料の双方に熱可塑性樹脂を用いる場合、二次成形で用いる樹脂の溶融温度は、一次成形で用いる溶融温度よりも低いものを用いる。また、一次成形で用いる絶縁材料に熱硬化性樹脂を用いる場合、二次成形で用いる絶縁材料は熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。対向領域と対向領域以外の領域とを異なる絶縁材料により構成することで、例えば、対向領域が放熱性に優れる代わりに若干脆弱であったとしても、対向領域以外の領域により強度を維持することができる。対向領域と対向領域以外の領域とを同一の絶縁材料で構成することで、外カバー部52全体を放熱部材として用いることができ、製造性にも優れる。
上述した内側介在部51も、外カバー部52と同様に、放熱性に優れる材料により構成してもよい。そうすることで、内側介在部51の放熱性も向上できる。また、外カバー部52を放熱性に優れる材料により構成し、内側介在部51を強度に優れる材料により構成することもできる。この場合、外カバー部52が放熱性に優れる代わりに若干脆弱であったとしても、内側介在部51により介在部材5の強度を維持することができる。
外カバー部52の構成として、絶縁性樹脂にフィラーを含有した複合樹脂を用いる以外に、例えば、絶縁性フィルムやシートを利用することができる。絶縁性フィルムやシートの外カバー部52を内側介在部51と一体成形する場合、絶縁性フィルムやシートを金型内に配置した状態で成形樹脂を充填して成形するフィルムインサート成形によって容易に行うことができる。
・・・厚さ
外カバー部52の放熱構造の別の形態として、外カバー部52の厚さが内側介在部51よりも薄いことが挙げられる。内側介在部51と外カバー部52とを一体成形する際、通常、全体が均一的な厚さである形態が代表的である。外カバー部52の厚さを薄くすることで、組合体10の発熱が外カバー52を介して放熱され易く、放熱性を向上できる。外カバー部52の厚さは、内側介在部51の厚さの90%以下、さらに70%以下、特に50%以下とすることが挙げられる。ただし、厚さを薄くし過ぎると、巻回部2a,2bと金属部材4との間の絶縁性が低下したり、外カバー部52の強度が低下したりするため、10%以上とする。具体的には、外カバー部52の厚さは、0.1mm以上2.0mm以下程度、好ましくは、0.2mm以上1.0mm以下程度とすることが挙げられる。
・・・放熱構造について
外カバー部52の放熱構造として、外カバー部52の構成材料の熱伝導率をα(W/m・K)、厚さをt(m)としたとき、5×10−5(W/K)≦α×t≦0.1(W/K)を満たすことが好ましい。外カバー部52の厚さが厚過ぎると、熱伝導率が放熱性に優れる材料により構成されていたとしても、効果的な放熱性は得られ難く、またリアクトルの大型化を招く。一方、外カバー部52の厚さが薄過ぎると絶縁性が低下したり強度が低下したりする虞がある。また、外カバー部52の構成材料の熱伝導率を向上するためにセラミックスからなるフィラーを多くすると脆化し易い。他に、熱伝導率が低くても厚さが薄いと放熱性を確保できることもある。よって、外カバー部52の放熱性構造として、その構成材料の熱伝導率と厚さとを調整することで、外カバー部52の放熱性を向上すると共に、外カバー部52と金属部材4との間の絶縁性を確保でき、外カバー部52の強度も確保できる。外カバー部52の放熱構造として、さらに1×10−4(W/K)≦α×t≦5×10−2(W/K)、特に2×10−4(W/K)≦α×t≦1×10−2(W/K)を満たすことが好ましい。
・・端面介在部
端面介在部53は、巻回部2a,2bと外コア片32mとの間に介在される部分を有し、外コア片32mの一対の突出部分がそれぞれ挿通される挿通孔53h,53hを有するB字状の平板枠である。分割介在部材5Aに備わる端面介在部53は、巻回部2a,2bと対面する側の面に、上述した内側介在部51と、外カバー部52と、仕切り部53dと、が一体に成形されている。分割介在部材5Bに備わる端面介在部53は、巻回部2a,2bと対面する側の面に、分割介在部材5Aと係合する係合部53eと、仕切り部53dと、が一体に成形されており、外コア片32mと対面する側の面に台座が一体に成形されている。
分割介在部材5Aは、内側介在部51と外カバー部52とが、その両者51,52の間に巻回部2a,2bが収納できるように、端面介在部53に一体に成形されている。内側介在部51と外カバー部52とが端面介在部53を介して一体に成形されていることで、巻回部2a,2bと磁性コア3との絶縁と、巻回部2a,2bと金属部材4(ケース40の底部41及び側壁部42)との絶縁と、を一つの部材で行うことができる。端面介在部53は、挿通孔53h,53hの並列方向の外方に向かって突出する突出部分を有する。分割介在部材5Aは、この突出部分の外縁近傍に外カバー部52が一体に成形されており、分割介在部材5Bは、この突出部分に、分割介在部材5A,5Bを組み合わせたときに分割介在部材5Aの外カバー部52の端部が当て止めされる。
仕切り部53dは、内側介在部51,51間の位置で、端面介在部53のコイル2側の面から突出するように設けられている。この仕切り部53dは、分割介在部材5A,5Bを巻回部2a,2bに組み付けたときに、巻回部2a,2b間に介在され、巻回部2a,2bの隔離状態を保持する。この隔離によって、巻回部2a,2b間の絶縁を確保することができる。この仕切り部53dは、分割介在部材5A,5Bの双方に設けられている。分割介在部材5Bに設けられている台座は、コイル2の連結部2rと対向するように配置されている。
分割介在部材5Bに設けられている係合部53eは、端面介在部53のコイル2側の面から突出するように設けられており、この突出部分(凸状部分)が、分割介在部材5A(内側介在部51)に形成された凹状の係合部51eと係合する。係合部53eは、内側介在部51に形成された係合部51eに対応して形成されており、挿通孔53h,53hごとに、その挿通孔53hの四隅に円弧状の突状片が形成されている。
端面介在部53の構成材料には、上述した内側介在部51の構成材料と同様の絶縁性樹脂材料を好適に利用できる。また、外カバー部52と同様に、放熱性に優れる材料により構成してもよい。そうすることで、端面介在部53の放熱性も向上できる。
・金属部材
・・ケース
リアクトル1におけるコイル2の外周面近傍に配置される金属部材が、例えば、図4,5に示すように、組合体10を収納するケース40の少なくとも一部である形態が挙げられる。ケースを備えるリアクトル1は、組合体10の環境からの保護、機械的保護、ケースの少なくとも一部が金属で構成されていることによる良好な放熱性の確保を図ることができる。
ケース40は、代表的には、組合体10の載置面を有する底部41と、底部41から立設されて組合体10の周囲を囲む側壁部42と、を備え、底部41に対向する側が開口した有底容器状の箱体が挙げられる。少なくとも載置面は平面であると、組合体10を安定して載置できる上に後述の接着層43を備える場合には接着層43を形成し易い。
ケースは、例えば、その全体が金属で構成されたものが挙げられる。金属は、一般に樹脂と比較して熱伝導性に優れる上に、強度に優れる。そのため、金属製のケース40を備えるリアクトル1は、ケース40全体を放熱経路に利用できて放熱性に優れたり、組合体10の保護を良好に行えたりする。ケース40を構成する金属には、熱伝導性に優れる上に、軽量であるアルミニウムやアルミニウム合金などが好適に利用できる。その他の金属として、マグネシウムやマグネシウム合金などが挙げられる。金属製のケース40は、代表的には一体成形されたものが挙げられる。他に、底部41と側壁部42とが着脱可能な独立部材であるケース40とすることもできる。この場合、底部41が金属板から構成され、側壁部42が樹脂などの絶縁材料で構成されたものとすることもできる。
・・金属板
リアクトル1におけるコイル2の外周面近傍に配置される別の金属部材として、例えば、組合体10を載置する載置面を有し、設置対象に取り付けられる金属板である形態が挙げられる。この形態のリアクトル1は、代表的には上記組合体10を載置する金属板を備え、この金属板が上述の設置対象に取り付けられる。
金属板は、例えば、放熱部材や設置対象への固定部材などとして機能する。この形態では、上記組合体10の周囲が上述のケースの側壁部や封止樹脂に覆われず、露出している。そのため、設置対象が例えば液体冷媒による冷却構造を備える場合には、上記組合体10(特にコイル2)は、液体冷媒に直接曝されて冷却される。
・・設置対象
リアクトル1におけるコイル2の外周面近傍に配置される別の金属部材として、例えば、リアクトル1が設置されるコンバータケースなどが挙げられる。この形態のリアクトル1は、組合体10がそのまま設置対象に取り付けられる。
・・その他
上述の金属板に代えて、組合体10の載置領域のみが金属で構成され、その他の領域が非金属で構成された複合板とし、この複合板の金属部分を金属部材4とすることができる。金属部分を構成する金属は、上記ケースの項で述べた金属を利用できる。非金属部分の構成材料は、セラミックスなどの非金属無機材料などが利用でき、この場合、高い放熱性と絶縁性とを期待できる。
・接着層
この例のリアクトル1は、組合体10と金属部材4(ケース40の底部41)との間に接着層43を更に備える(図1,4,5)。接着層43には、接着強度に優れる材料を好適に利用できる。例えば、接着層43は、絶縁性接着剤、具体的には、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤などにより構成することができる、接着層43は、例えば、設置面の上に塗布したり、スクリーン印刷を利用したりすることで形成できる。接着層43にシート状接着剤を利用することもできる。接着層43を備えることで、組合体10と金属部材4とを強固に固定できる。
この例のリアクトル1は、コイル2の一面(下面)と、磁性コア3の外コア片32mの一面(ブロックの下面)とが面一となっている。そのため、コイル2と磁性コア3と介在部材5とを組み付けると、外コア片32m,32mと、外コア片32m,32mが載置される金属部材4との間には、外カバー部52の厚み分の隙間を有する。ここでは、接着層43は、この隙間を埋めるように配置されている。組合体10をケース40に収納し、このケース40内に封止樹脂(図示せず)を充填する場合、封止樹脂で上記隙間を埋めることもできる。封止樹脂が軟質性樹脂によって構成されている場合、外コア片32m,32mとケースとの間に封止樹脂が介在されていることで、磁性コアの振動を封止樹脂により緩衝することができ、ケースへの磁性コアの振動伝達を抑制することができる。
〔リアクトルの製造方法〕
上記構成を備えるリアクトル1は、例えば、一方の分割介在部材5Aにコア片31m,…及びギャップ材31g,…と、コイル2と、を配置⇒分割介在部材5Aに他方の分割介在部材5Bを係合⇒外コア片32m,32mを配置、という手順によって製造することができる。
まず、一方の分割介在部材5Aに、内コア片31m,…及びギャップ材31g,…を取り付ける。このとき、分割介在部材5Aに一方の外コア片32mを取り付けておいてもよい。分割介在部材5Aの内側介在部51に内コア片31m,…及びギャップ材31g,…を収納すると、内コア片31m,…及びギャップ材31g,…とが位置決めされた状態となる。次に、分割介在部材5Aの内側介在部51と外カバー部52との間に各巻回部2a,2bを装着する。そうすると、巻回部2a,2bの内周面と内コア片31m,…及びギャップ材31g,…との間に内側介在部51が配置され、巻回部2a,2bの外周面に外カバー部52が配置される。
内コア片31m,…及びギャップ材31g,…と、コイル2と、を装着した分割介在部材5Aに,分割介在部材5Bを組み合わせる。このとき、分割介在部材5Aの内側介在部51に形成された係合部51eと、分割介在部材5Bに形成された係合部53eと、を係合することで、両部材5A,5Bを固定できる。
分割介在部材5A,5Bを組み合わせたら、各部材5A,5Bの端面介在部53の挿通孔53h,53hに各外コア片32m,32mを挿通する。そうすると、分割介在部材5A,5B(介在部材5)によって、内コア片31,…及びギャップ材31g,…と、外コア片32m,32mとが位置決めされた状態となる。
〔主要な効果〕
以上説明したリアクトル1は、内側介在部51と外カバー部52とが一体に成形されているため、巻回部2a,2bと磁性コア3との間の絶縁と、巻回部2a,2bと金属部材4との間の絶縁と、の異なる箇所におけるコイル2の絶縁構造を、一つの部材で行うことができる。そのため、従来のように、巻回部と磁性コアとの絶縁を行う介在部材とは別に、コイルと金属部材との間に接合層を配置したり、コイルと金属部材との間に隙間を確保したりする必要がなく、部品点数及び作業工程を削減できる。よって、上記のリアクトル1は、製造性に優れる。
上記のリアクトル1は、組合体10を作製した時点で、巻回部2a,2bの外周面の所定領域(金属部材4と対向配置される領域)が外カバー部52で覆われているかを目視確認できる。外カバー部52で覆われている領域は絶縁性を確保できるため、組合体10の作製時点で巻回部2a,2bの絶縁性を目視確認できることで、絶縁性の信頼性が高い。
上記のリアクトル1は、外カバー部52のうち金属部材4との対向領域に放熱構造を有するため、リアクトル1の動作時にコイル2と磁性コア3とが発熱しても、外カバー部52を介して金属部材4の外方に効率的に放熱できる。
上記のリアクトル1は、内側介在部51が内コア片31m,…及びギャップ材31g,…の全てを収納でき、外カバー部52が巻回部2a,2bの軸方向全長に亘って覆うことができるような一体物であることで、リアクトル1の組立作業性に優れ、リアクトル1の製造性に優れる。
・その他の構成
上記リアクトル1は、温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサなどのリアクトル1の物理量を測定するセンサ(図示せず)を備えることができる。例えば、両巻回部2a,2bの間に形成される空間にセンサを配置することができる。
<変形例1>
実施形態1では、外カバー部52が、各巻回部2a,2bの設置面(下面)と、外方側(各巻回部2a,2bの対向する側と反対側)の側面(左右面)と、を覆うように配置される断面W字状である形態を説明した。その他に、図6に示すような形態であってもよい。図6では、金属部材4が側壁部のない載置面である。外カバー部52は、図6の上図に示すように、各巻回部2a,2bの内方側(各巻回部2a,2bの対向する側)の側面を除く外周に亘って配置される断面環状であってもよい。この場合、外カバー部52のうち巻回部2a,2bの上面を覆う領域は、巻回部2a,2bに跨る平板面52fで形成されている。コイル2には、端子部材に接続されるために引き延ばされた端部や、巻回部2a,2bを連結する連結部2rが形成されているためである。また、コイル2には上記端部及び連結部2rがあるため、外カバー部52が環状である場合、外カバー部52はコイル2の連結部2r側から配置されるような分割介在部材とする。
その他に、外カバー部52は、図6の中図及び下図に示すように、各巻回部2a,2bの設置面(下面)側にのみ配置される形状であってもよい。この場合、外カバー部52は、各巻回部2a,2bの設置面に配置される2つの平板面52f,…と、各平板面に続く4つの角R面52r,…と、隣り合う角R面52r,52rを連結する渡り部52cと、を備える形態(図6の中図)であってもよいし、隣り合う角R面52r,52rを連結しない形態(図6の下図)であってもよい。外カバー部52として、隣り合う角R面52r,52rを連結しない場合、設置面側の各巻回部2a,2bの間に隙間が生じる。組合体10をケースに収納して、ケース内に封止樹脂を充填する場合、この隙間を封止樹脂の未固化の構成樹脂の流路として利用することができる。
<実施形態2>
外カバー部は、コイルとの対向面に、コイルの隣り合うターン間に介在される複数の突起を備えることもできる。この複数の突起として、櫛歯状の突起が挙げられる。ターン間に介在される突起を放熱経路として利用することができるため、コイルからの熱をより効率的に外カバー部を介して金属部材の外方に放熱できる。この突起の構成材料として、上述した放熱性に優れる樹脂を用いることが好ましい。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータなどの種々のコンバータ、並びに電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
1 リアクトル 10 組合体
2 コイル 2a,2b 巻回部 2r 連結部
3 磁性コア 31m 内コア片 32m 外コア片 31g ギャップ材
4 金属部材
40 ケース 41 底部 42 側壁部 43 接着層
5 介在部材 5A,5B 分割介在部材
51 内側介在部 51f 介在片 51e 係合部
52 外カバー部
52f 平板面 52r 角R面 52c 渡り部
53 端面介在部
53h 挿通孔 53e係合部 53d 仕切り部

Claims (7)

  1. 巻回部を有するコイルと、
    前記巻回部内に配置される部分を有する磁性コアと、
    前記巻回部と前記磁性コアとの間の絶縁を確保する介在部材と、を備えるリアクトルであって、
    前記介在部材は、前記巻回部の内周面と前記磁性コアとの間に介在される内側介在部と、前記内側介在部と一体に成形され、前記巻回部の外周面の少なくとも一部を覆う外カバー部と、を備え、
    前記外カバー部は、前記巻回部の外周面と対向配置される金属部材との対向領域が、以下の(A)及び(B)の少なくとも一方を満たすリアクトル。
    (A)熱伝導率が0.5W/m・K以上の絶縁性材料により構成されている。
    (B)厚さが前記内側介在部の厚さよりも薄い。
  2. 前記外カバー部の構成材料の熱伝導率をα(W/m・K)、厚さをt(m)としたとき、
    前記外カバー部の前記対向領域は、5×10−5(W/K)≦α×t≦0.1(W/K)を満たす請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記外カバー部のうち少なくとも前記対向領域は、前記内側介在部と異なる絶縁性材料により構成されている請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記介在部材は、前記巻回部の軸方向に二分割される一対の分割介在部材を組み合わせて構成されており、
    前記一対の分割介在部材の一方は、前記磁性コアのうち前記巻回部内に配置される内コア片及びギャップ材の全てを収納可能な筒状部を有する内側介在部と、前記巻回部の軸方向全長に亘って覆う外カバー部と、を備える請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記一対の分割介在部材は、互いに係合する係合部を備える請求項4に記載のリアクトル。
  6. 前記コイルと前記磁性コアと前記介在部材との組合体を収納する有底容器状のケースを更に備え、
    前記金属部材は、前記ケースの底部及び側壁部の少なくとも一方を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
  7. 前記外カバー部のうち少なくとも前記対向領域は、前記巻回部の隣り合うターン間に介在される複数の突起を備える請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のリアクトル。
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