JP6460393B2 - リアクトル - Google Patents
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Description
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
図1〜図5を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
・全体構成
実施形態1のリアクトル1は、図1〜図5に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなる巻回部2a,2bを有するコイル2と、巻回部2a,2b内に配置される部分を有する磁性コア3と、巻回部2a,2bの内面と磁性コア3との間に介在される介在部材5と、コイル2と磁性コア3と介在部材5との組合体10を収納するケース4と、ケース4内に充填され、組合体10を封止する封止樹脂部6と、を備える。磁性コア3は、巻回部2a,2bの内側に全体が配置される複数の内コア片31m,…と、巻回部2a,2bの外側に配置される部分を有する外コア片32m,32mと、各内コア片31m,31m間や内コア片31mと外コア片32mとの間に介在されるギャップ材31g,…と、を組み合わせてなる。実施形態1のリアクトル1は、介在部材5が、複数のコア片間の間隔を確保して、各コア片の位置決めを行うコア保持部51(図3を参照)を有する点、ギャップ材31gが、封止樹脂部6の構成樹脂によって形成されている点(図2,3を参照)、を特徴の一つとする。以下、各構成を詳細に説明する。なお、以下の説明において、組合体10をケース4内に設置したときの設置側(ケース4の底板部40側)を下側、その対向側(ケース4の開口側)を上側とする。
コイル2は、図5に示すように、一本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して形成された一対の筒状の巻回部2a,2bと、両巻回部2a,2bを連結する連結部2rと、を備える。各巻回部2a,2bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列(横並び)されている。連結部2rは、両巻回部2a,2bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各巻回部2a,2bを別々の巻線により作製し、各巻回部2a,2bの巻線の端部同士を溶接や圧着などにより接合することで形成しても良い。コイル2の両端部は、巻回部2a,2bから適宜な方向に引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置が接続される。
磁性コア3は、図5に示すように、複数の柱状の内コア片31m,…と、U字状の一対の外コア片32m,32mと、コア片間に介在される複数のギャップ材31g,…(図2を参照)と、を備える。内コア片31m,…は、巻回部2a,2b内に全体が配置される磁性片であり、外コア片32m,32mは、巻回部2a,2b外に配置される部分を有する磁性片のことである。外コア片32m,32mは、巻回部2a,2b内に部分的に配置される部分を有していてもよく、この例では、外コア片32m,32mは、巻回部2a,2b外に配置される部分と、巻回部2a,2b内に配置される部分との双方を有する。外コア片32m,32mは、U字の開口部が向かい合うように配置され、内コア片31m,…は、外コア片32m,32m間に横並び(並列)に配置される。図5では、各内コア片31m,31m間に間隔を有するが、この各内コア片31m,31m間の隙間に、後述する封止樹脂部6の構成樹脂が充填されることで、ギャップ材31g,…(図2を参照)が形成される。また、この例では、内コア片31mとそれに対向する外コア片32mとの間の隙間にも、封止樹脂部6の構成樹脂が充填されて、ギャップ材31gが形成される。この配置によって、磁性コア3は環状に組み付けられ、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。
内コア片31mは、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましい。ここでは、図5に示すように、内コア片31mの形状は直方体状であり、その角部は、巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。内コア片31mの個数は、適宜選択できる。
一対の外コア片32m,32mは、同一の形状であり、図5の上方から見て略U字状である。外コア片32mは、巻回部2a,2b外に配置されて巻回部2a,2b間に跨るように配置される直方体状の外コア基部321と、この外コア基部321から突出して巻回部2a,2b内にそれぞれ配置される一対の突出部322と、を有する。外コア基部321と一対の突出部322,322とは一体に成形された一体物である。また、ここでは、外コア基部321は、一対の突出部322,322とは反対側に突出する部分が一体に成形されている。この突出する部分の横断面積は内コア片31mや突出部322の横断面積と実質的に同一である。上記一対の突出部322,322の端面は、内コア片31mの端面とほぼ同じ形状及び大きさであり、その大きさ及び突出長さは、コイル2に応じた所定の磁路断面積を有するように適宜選択できる。一対の突出部322,322は、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましく、ここでは、角部が実質的に巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。
ギャップ材31gは、各コア片間に形成された隙間に、後述する封止樹脂部6の構成樹脂が充填されて形成されている。ギャップ材31gについては、後のリアクトルの製造方法の説明で詳述する。
介在部材5は、巻回部2a,2bの内面と磁性コア3のうち巻回部2a,2b内に配置されるコア部分との間に介在され、コイル2と磁性コア3との間を絶縁する部材である。ここでは、一対の介在部材5,5を備え、巻回部2a,2bのそれぞれに対して個別に配置される。一対の介在部材5,5は、同一の形状であるため、以下では、巻回部2a,2bの一方の巻回部に対して配置される一方の介在部材5について説明する。この例では、介在部材5は、巻回部の軸方向に沿った分割面を有する一対の分割介在部材5A,5Bで構成されている。以下、主に図2,3,5を参照して、介在部材5の各構成を詳細に説明する。
天板部520及び脚部521,521の内面には、内方に突出された複数のコア保持部51,…が一体に成形されている。つまり、天板部520及び脚部521,521は、コア保持部51を支持する支持部52となる。各コア保持部51,…は、天板部520と脚部521とで形成される角部から脚部521に沿って延びるI型の突状である。各コア保持部51,…は、図3に示すように、各内コア片31m,…間の隙間の四隅に介在されている。図3において点線で囲まれる領域が内コア片31mの横断面積に相当する。
天板部520には、後述する封止樹脂部6をケース4内に充填する際に、封止樹脂部6の未固化の構成樹脂を、各内コア片31m,31m間の隙間まで流入させる流路53が形成されている。この例では、流路53として、各内コア片31m,31m間の隙間が露出されるように天板部520に複数の貫通孔53h,…が形成されている。ケース4内に充填された上記未固化の構成樹脂は、気泡の包含を抑制するため、通常、ケース4の下側から充填されるため、貫通孔53h,…は、特に、内コア片31m,…の下面側に配置される分割介在部材5Bに形成されていることが好ましい。また、貫通孔53hを備えることで、上記未固化の構成樹脂の充填時に、貫通孔53hから脱気することも可能である。
ケース4は、図4に示すように、組合体10が載置される平板状の底板部40と、組合体10の周囲を囲むように底板部40から立設される略矩形枠状の側壁部41とを有し、底板部40とは反対側(上側)が開口した略矩形箱状である。リアクトル1は、ケース4に組合体10を収納することよって、組合体10の外部環境(粉塵や腐食など)からの保護や機械的保護を図ることができる。この例では、ケース4の底板部40の下面が冷却ベースといった設置対象(図示せず)の上面に接するように固定され、リアクトル1が設置対象上に設置される。図1では、底板部40が下方となる設置状態を示すが、底板部40が上方、又は側方となる設置状態もあり得る。
この例に示すリアクトル1は、図2〜4に示すように、組合体10の設置面に接合層7を備える。接合層7は、組合体10のうちコイル2の下面と底板部40との間に介在される。接合層7を備えることで、組合体10を底板部40に強固に固定でき、コイル2の動きの規制、放熱性の向上、設置対象への固定の安定化などを図ることができる。接合層7の構成材料は、絶縁性樹脂、特にセラミックスフィラーなどを含有して放熱性に優れるもの(例えば、熱伝導率が0.1W/m・K以上、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上)が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。接合層7は、例えばシート状のものを用いたり、塗布やスプレーしたりして形成するとよい。
封止樹脂部6は、図1に示すように、ケース4内に充填され、ケース4内に収納された組合体10を封止する部材である。封止樹脂部6は、組合体10におけるコイル2の両巻線端部を除く上面が埋設されるまで充填されている(図2を参照)。リアクトル1は、封止樹脂部6で組合体10を封止することによって、組合体10をケース4に固定し、組合体10の電気的・機械的保護、外部環境からの保護、コイル2に通電したときに発生する磁性コア3の振動、及びこの振動に起因する騒音の低減などを図ることができる。
上記構成を備えるリアクトル1は、例えば、コイル2と複数のコア片31m,…32m,32mと介在部材5とを組み付けて組合体10とする⇒組合体10をケース4内に収納する⇒ケース4内に封止樹脂部6の未固化の構成樹脂を充填・固化する、という手順によって製造することができる。
まず、図5に示すように、複数の内コア片31m,…を、一対の分割介在部材5A,5Bで挟み込む。このとき、各分割介在部材5A,5Bに成形されたコア保持部51,…を、各内コア片31m,…間に介在させる。そうすると、各内コア片31m,…の位置決めが行われると共に、各内コア片31m,…間にギャップ材31gの厚みに対応した隙間が形成される。一対の分割介在部材5A,5Bで挟み込まれた内コア片31m,…の組物を、コイル2の各巻回部2a,2b内に挿入する。そして、この組物の両端から一対の外コア片32m,32mを組み付けて組合体10とする。外コア片32m,32mは、各突出部322,322を、一対の分割介在部材5A,5Bの両端部に形成された空間に挿入する。そうすると、各分割介在部材5A,5Bに形成された端部にあるコア保持部51,…に突出部322,322の端面が当て止めされるため、巻回部2a,2b内に突出部322,322が位置決めされた状態で配置される。この組合体10は、介在部材5によって各コア片31m,…32m,32mのそれぞれの位置決めがなされた状態の一体物として取り扱える。
次に、組合体10をケース4内に収納する(図4を参照)。ここでは、組合体10の下面に接合層7を配置した後、組合体10をケース4内に収納する。また、各外コア片32m,32mの外コア基部321の上面にステー450を配置し、ステー450をケース4のステー取付部45にネジ451で留めることで、組合体10をケース4内に固定する。
組合体10が収納されたケース4内に、封止樹脂部6の未固化の構成樹脂を充填する。ケース4内に充填された上記未固化の構成樹脂は、コイル2の外周や磁性コア3の外周を覆うと共に、コイル2と磁性コア3との隙間に行き渡る。そして、上記未固化の構成樹脂は、介在部材5に備わる流路53に沿って、上記各コア片31m,…32m,32m間に形成された隙間まで流入して充填される。この状態で、上記構成樹脂を固化することで、組合体10を封止すると共に、各コア片31m,…32m,32m間のギャップ材31gが形成される。
以上説明したリアクトル1は、封止樹脂部6の成形時に、コイル2と磁性コア3と介在部材5との組合体10を封止すると共に、各コア片31m,…間のギャップ材31g,…を形成できる。そのため、従来のように、予めコア片とギャップ材とを接着剤などで固定する作業を簡略化することができ、リアクトル1の生産性に優れる。
上記リアクトル1は、温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサなどのリアクトル1の物理量を測定するセンサ(図示せず)を備えることができる。例えば、両巻回部2a,2bの間に形成される空間にセンサを配置することができる。
2 コイル
2a,2b 巻回部 2r 連結部 2w 巻線
3 磁性コア
31m 内コア片 31g ギャップ材
32m 外コア片 321 外コア基部 322 突出部
4 ケース
40 底板部 41 側壁部
45 ステー取付部
450 ステー 451 ネジ
5 介在部材
5A,5B 分割介在部材
51 コア保持部
52 支持部 520 天板部 521 脚部
53 流路 53h 貫通孔
6 封止樹脂部
7 接合層
Claims (5)
- 横並びされた一対の巻回部を有するコイルと、
複数のコア片及び各コア片間に介在されるギャップ材を組み合わせてなり、前記巻回部内に配置される部分を有する磁性コアと、
前記巻回部の内面と前記磁性コアとの間に介在され、前記複数のコア片間の間隔を確保して、各コア片の位置決めを行うコア保持部を有する介在部材と、
前記コイルと前記磁性コアと前記介在部材との組合体を収納するケースと、
前記ケース内に充填され、前記組合体を封止する封止樹脂部と、を備え、
前記複数のコア片は、
直方体状であり、前記巻回部内に全体が配置される内コア片と、
前記巻回部外に配置されて前記巻回部間に跨るように配置される外コア基部と、前記内コア片の端面と同じ形状及び大きさの端面を有し、前記外コア基部から突出して前記巻回部内にそれぞれ配置される一対の突出部とを有し、前記外コア基部と前記突出部のそれぞれとが一体物であるU字状の外コア片とを備え、
前記介在部材は、前記巻回部の軸方向に沿った分割面を有し、前記複数のコア片を挟み込む一対の分割介在部材で構成されており、
前記分割介在部材は、前記内コア片及び前記外コア片の突出部の軸方向に沿った一面の全面に配置される天板部と、前記天板部から立設される一対の脚部とを備え、
前記コア保持部は、前記天板部と前記脚部とで形成される各角部から前記脚部に沿って延びるI型の突状であり、
前記ギャップ材は、前記封止樹脂部の構成樹脂によって形成されているリアクトル。 - 前記天板部及び前記脚部の少なくとも一方は、前記封止樹脂部を成形する際に、前記封止樹脂部の未固化の構成樹脂を前記複数のコア片間まで流入させる流路を備える請求項1に記載のリアクトル。
- 前記封止樹脂部は、軟質性樹脂で構成されている請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
- 前記外コア片と、前記外コア片が載置される前記ケースの載置面との間に隙間を有し、
前記封止樹脂部は、前記隙間まで充填されている請求項3に記載のリアクトル。 - 前記封止樹脂部は、硬質性樹脂で構成されている請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
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