JP6651876B2 - リアクトル - Google Patents
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Description
(1)本発明の一態様に係るリアクトルは、巻回部を有するコイルと、前記巻回部の内側に配置される内側コア部及び前記巻回部の外側に配置される外側コア部を有する磁性コアと、前記コイルと前記磁性コアとの組合体が載置される載置部材と、を備える。前記磁性コアは、複数のコア片と、前記コア片間に設けられるギャップとを有する。前記外側コア部は、前記載置部材に載置される下面と、その反対側の上面とを有する。そして、前記外側コア部の下面及び上面がそれぞれ、前記載置部材に対して固定されている。
本発明の実施形態に係るリアクトルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<リアクトルの構成>
図1〜図5を参照して、実施形態1のリアクトルを説明する。実施形態1のリアクトル1は、図1〜図4に示すように、巻回部2cを有するコイル2と、巻回部2cの内側に配置される内側コア部31及び巻回部2cの外側に配置される外側コア部32を有する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との組合体10が載置される載置部材(この例では、ケース4)とを備える。内側コア部31は、図3,図4に示すように、複数の内コア片31mと、内コア片31m間に設けられるギャップ31gとを有する。リアクトル1の特徴の1つは、外側コア部32における載置部材(ケース4の底板部40)に載置される下面とその反対側の上面とがそれぞれ、載置部材(ケース4)に対して固定されている点にある。以下の説明において、載置部材(ケース4の底板部40)側を「下」、その反対側を「上」として説明する。以下、リアクトルの構成について詳しく説明する。
コイル2は、図1〜図3に示すように、巻線を巻回してなる一対の巻回部2c,2cと、両巻回部2cを繋ぐ連結部2rとを有する。巻回部2cは巻線を螺旋状に巻回して筒状に形成され、両巻回部2cは互いに軸が平行するように横並び(並列)に配置されている。巻線は、平角線の導体(銅など)と、導体の外周に絶縁被覆(ポリアミドイミドなど)とを有する被覆平角線(いわゆるエナメル線)である。また、コイル2は、1本の連続する巻線で形成され、巻回部2cが四角筒状に形成されたエッジワイズコイルである。
磁性コア3は、図2,図3に示すように、コイル2(巻回部2c)の内側に配置される一対の内側コア部31と、コイル2(巻回部2c)の外側に配置される一対の外側コア部32とを有する。各内側コア部31はそれぞれ、横並びに配置された各巻回部2cの内側に位置し、コイル2が配置される部分である。内側コア部31は、その軸方向の端部の一部が巻回部2cから突出していてもよい。各外側コア部32は、両巻回部2cの外側に位置し、コイル2が実質的に配置されない(即ち、巻回部2cから突出(露出)する)部分である。磁性コア3は、横並びに配置された両内側コア部31を両端から挟むように各外側コア部32が配置され、各内側コア部31の両端面が外側コア部32の内端面32eにそれぞれ対向して接続されることによって環状に形成されている。磁性コア3には、コイル2に通電して励磁した際に磁束が流れ、閉磁路が形成される。
内側コア部31は、図3に示すように、複数の内コア片31mを有し、各内コア片31m間にギャップ31g(図4参照)が設けられている。この例では、ギャップ31gに後述する封止樹脂6が充填されている。ギャップ31gは、封止樹脂6が充填されず、空間(エアギャップ)であってもよい。
外側コア部32は、図3に示すように、内側コア部31の両端部に配置され、内側コア部31と共に環状の磁性コア3を形成する。この例では、外側コア部32は、ブロック状の1つのコア片で構成されている。つまり、磁性コア3は、図3に示すように、内側コア部31を構成する内コア片31mと、外側コア部32を構成するコア片との複数のコア片で構成されている。外側コア部32の形状は、特に限定されない。この例では、外側コア部32は、平面視で(上面から見て)ドーム状をなし、内端面32eが平坦面になっている。また、外側コア部32を構成するコア片は、軟磁性材料を含有する材料で形成されており、上述した圧粉成形体や複合材料などが利用できる。この例では、外側コア部32は圧粉成形体である。
この例に示すリアクトル1(組合体10)は、図3に示すように、コイル2と磁性コア3との間に介在される絶縁介在部材5を備える。絶縁介在部材5は、電気絶縁材料で形成され、コイル2と磁性コア3との間の電気的絶縁を確保する機能を有する。
この例に示すリアクトル1は、図1,図2及び図4に示すように、組合体10が載置される載置部材として、組合体10を収納するケース4を備える。ケース4は、組合体10が載置される底板部40と、組合体10の周囲を囲むように底板部40から立設される側壁部41とを有し、底板部40とは反対側(上方)が開口している。この例では、側壁部41の形状が矩形枠状である。ケース4に組合体10が収納されることよって、組合体10を外部環境(粉塵や腐食など)から保護したり、機械的に保護できる。この例では、ケース4の底板部40の下面が冷却ベースといった設置対象(図示せず)の上面に接するように固定され、リアクトル1が設置対象上に設置される。図1では、底板部40が下方となる設置状態を示すが、底板部40が上方、又は側方となる設置状態もあり得る。ケース4の開口部にカバー(図示せず)を取り付けてもよい。
この例に示すリアクトル1では、図1,図4に示すように、ケース4内に組合体10を封止する封止樹脂6を備える。封止樹脂6は、ケース4内に組合体10を収納した後、未固化の封止樹脂を充填して固化させることで形成されている。この例では、コイル2の巻線端部2eを除く、組合体10の略全体が封止樹脂6に埋設されるように、封止樹脂6がケース4内に充填されている。組合体10が封止樹脂6で封止されることよって、組合体10の電気的・機械的保護、外部環境からの保護などを図ることができる。
リアクトル1は、外側コア部32の下面及び上面がそれぞれ、載置部材であるケース4に対して固定されている。以下、主に図2,図4を参照して、外側コア部32の固定構造について詳しく説明する。
(接着層)
リアクトル1では、図4に示すように、外側コア部32の下面とケース4の底板部40との間に、外側コア部32の下面と底板部40とを接着する接着層70を備える。この接着層70によって外側コア部32の下面が底板部40に固定されている。この例では、接着層70が、組合体10(外側コア部32及びコイル2)の下面とケース4の底板部40との間に形成されており、コイル2の下面も底板部40に固定されている。接着層70の形成材料としては、リアクトル駆動時の最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有する樹脂(接着剤)が好ましく、更に電気絶縁性を有する樹脂が好ましい。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性脂が挙げられる。接着層70は、例えば接着剤を塗布して形成する他、基材の両面に接着剤を塗布した接着シートを用いることも可能である。この例では、接着層70は、エポキシ系接着剤で形成されている。
(固定具)
リアクトル1では、図2,図4に示すように、外側コア部32の上面に配置され、外側コア部32の上面をケース4に対して固定する固定具を備える。この例では、固定具として、ステー80を用いている。ステー80は、帯状の部材であり、外側コア部32の上面に幅方向(内側コア部31が並ぶ方向)に沿って架け渡され、その両端部がそれぞれケース4内の四隅に設けられたステー取付部45にネジ801で取り付けられている。このステー80によって外側コア部32の上面がステー80を介してケース4に固定されている。ステー80は、例えば、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、銀やその合金、鉄や鋼、オーステナイト系ステンレス鋼などの金属で形成することが挙げられる。
上述した実施形態1と同様の構成のリアクトルについて、外側コア部の下面のみを固定した場合(片端固定)と外側コア部の上下面を固定した場合(両端固定)のそれぞれの固有周波数を試算した。ここでは、次式により固有周波数fn(Hz)を算出した(添え字のnはモード次数を表す)。また、外側コア部の高さ(上下方向の長さ)を変え、それぞれの場合における固有周波数を試算した。その結果を表1に示す。
E=40000(MPa)
I=13500(mm4)
ρ=7.2×10−6(kg/mm3)
A=720(mm2)
実施形態1のリアクトル1は、次の効果を奏する。
上述した実施形態1では、載置部材がケース4(図2参照)である場合を例に挙げて説明したが、載置部材が平板状の部材であってもよい。この場合、外側コア部の下面と載置部材の平板とを接着層によって接着して、外側コア部の下面を平板に固定することが挙げられる。一方、固定具のステー(板バネ)を、外側コア部の上面に配置すると共に平板に取り付けることで、外側コア部の上面を平板に対して固定することが挙げられる。載置部材に用いる平板状の部材は、ケース4と同様に、アルミニウムやその合金などの金属で形成することが挙げられる。また、この場合、組合体の少なくとも一部をモールド樹脂で被覆してもよい。モールド樹脂としては、エポキシ樹脂、PPS樹脂、PA樹脂などが好適に利用できる。組合体をモールド樹脂で一体化する場合、ギャップ31g(図4参照)にモールド樹脂を充填してもよい。
上述した実施形態1では、図4に示すように、ギャップ31gに封止樹脂6が充填されている場合を例に挙げて説明したが、ギャップ31gがエアギャップであってもよい。実施形態1では、図3に示す絶縁介在部材5(分割片5A,5B)を用い、仕切り部53によってコア片間の間隔を保持しつつ、貫通孔54によって樹脂の流路を確保している。エアギャップとする場合は、例えば絶縁介在部材5の形状を筒状にして、ギャップ31gに樹脂が充填されないようにすればよい。具体的には、分割片5A,5Bにおいて、側面部52を延長して、分割片5A,5Bを内側コア部31の上面側及び下面側に配置した際にそれぞれの側面部52の端縁同士が互いに接触するようにすると共に、樹脂の流路となる貫通孔54を形成しないようにする。これにより、封止樹脂6を充填した際に未固化の樹脂がギャップ31gに流入することが防止され、コア片間にエアギャップを形成できる。
図6,図7を参照して、実施形態2のリアクトルを説明する。実施形態2のリアクトルは、載置部材であるケース4において、側壁部41の内面から突出して設けられ、外側コア部32の内側コア部31に対向する内端面32eに接触する突起部46を有する点が、実施形態1と主に相違する。以下の説明においては、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同様の構成については重複する説明を省略する。
2 コイル
2c 巻回部 2r 連結部
2e 巻線端部
3 磁性コア
31 内側コア部
31m 内コア片 31g ギャップ
32 外側コア部
32e 内端面
4 ケース(載置部材)
40 底板部 41 側壁部
45 ステー取付部
46 突起部
5 絶縁介在部材
5A,5B 分割片
51 平板部 52 側面部
53 仕切り部 54 貫通孔(流路)
6 封止樹脂
70 接着層 71 接着層
80 ステー(固定具) 801 ネジ
Claims (3)
- 巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側に配置される内側コア部及び前記巻回部の外側に配置される外側コア部を有する磁性コアと、
前記コイルと前記磁性コアとの組合体が載置される載置部材と、を備えるリアクトルであって、
前記磁性コアは、複数のコア片と、前記コア片間に設けられるギャップとを有し、
前記外側コア部は、前記載置部材に載置される下面と、その反対側の上面とを有し、
前記外側コア部の下面と前記載置部材とを接着する接着層と、
前記外側コア部の上面に配置され、前記外側コア部の上面を前記載置部材に対して固定する固定具と、
前記外側コア部の上面と前記固定具とを接着する接着層と、を備え、
前記外側コア部の下面及び上面がそれぞれ、前記載置部材に対して固定されており、
前記リアクトルの固有周波数が、駆動周波数よりも高く、10kHz超であるリアクトル。 - 前記載置部材が、前記組合体が載置される底板部と、前記組合体の周囲を囲む側壁部とを有するケースであり、
前記ケース内に充填され、前記組合体を封止する封止樹脂を備え、
前記ギャップに前記封止樹脂が充填されている請求項1に記載のリアクトル。 - 前記載置部材が、前記組合体が載置される底板部と、前記組合体の周囲を囲む側壁部とを有するケースであり、
前記磁性コアは、一対の前記内側コア部と、これら内側コア部の両端部に配置される一対の前記外側コア部とを有する環状の磁性コアであり、
前記ケースは、前記側壁部の内面から突出して設けられ、前記外側コア部の前記内側コア部に対向する内端面に接触する突起部を有する請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
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