JP5051469B2 - リアクトル - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド自動車などの車載用DC-DCコンバータの構成部品などに利用されるリアクトルに関する。特に、部品点数を削減できるリアクトルに関する。
ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるDC-DCコンバータの構成部品として、磁性コアの外周に、巻線を螺旋状に巻回してなるコイルが配置されたリアクトルがある。磁性コアは、その外周にコイルが配置される一対のコイル巻回部と、コイルが配置されない一対の端部コアとで構成される環状のものが代表的である(特許文献1)。
このようなリアクトルは、一般に、コイルと磁性コアとの組合体が樹脂被覆に覆われ、その状態で、冷媒が流通される取付ベース上にボルトなどで固定される。また、コイルを構成する巻線の端部は、樹脂被覆から露出され、端子台に接続される。端子台は、例えば、ねじで樹脂被覆に固定される。
特開2007-116066号公報 図1
しかし、上記のリアクトルでは、コイルとコアとの組合体を取付ベースに固定するためのボルトと、端子台を樹脂被覆(組合体)に固定するためのねじとが個別に必要であり、リアクトルを構成する部品点数が多くなるという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、部品点数を低減できるリアクトルを提供することにある。
本発明のリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、コイル内に配置される箇所を有する磁性コアと、前記コイルとコアとの組合体の外側を覆う樹脂被覆部と、樹脂被覆部を取付ベースに固定するための固定部材と、前記巻線の端部が接続される端子台とを備えるリアクトルに係る。このリアクトルにおいて、前記固定部材により端子台も樹脂被覆部に固定されることを特徴とする。
この構成によれば、コイルとコアとの組合体を取付ベースに固定する固定手段と、端子台を組立体に固定するための固定手段とを兼用することができる。
本発明リアクトルの一形態として、さらに、前記コイルを、その自由長よりも圧縮した状態に保持するプレモールド部を備え、このプレモールド部の外周が前記樹脂被覆部により覆われていることが挙げられる。
この構成によれば、プレモールド部によりコイルを圧縮状態とするため、リアクトルの製造時、プレモールド部で成形されたコイルを容易にハンドリングすることができる。また、プレモールド部が、磁性コアとコイルとの絶縁や位置決めを行うボビン(筒状ボビン及び枠状ボビン)の機能を果たすことができ、個別にボビンを用意したり、ボビンを磁性コアに組み付ける作業を行う必要がない。
本発明リアクトルの一形態として、前記固定部材は、樹脂被覆部及び端子台を貫通して取付ベースに螺合されるボルトであることが挙げられる。
この構成によれば、ボルトにより樹脂被覆部と端子台とをまとめて貫通し、取付ベースに固定することで、簡易な構成にて組立体と端子台とを一括して取付ベースに固定することができる。
本発明リアクトルの一形態として、リアクトルを平面視した場合、前記磁性コアの一部と端子台とが重複するように配置されていることが挙げられる。
この構成によれば、磁性コアの一部と端子台とが重複させることで、リアクトルを平面視した場合の面積を小さくすることができる。
本発明リアクトルの一形態として、リアクトルを平面視した場合、前記磁性コアと端子台とが重複しないように配置されていることが挙げられる。
この構成によれば、磁性コアと端子台とが重複しないように配置されていることで、リアクトルを平面視した場合の面積は比較的大きいが、リアクトルの高さを小さくすることができる。
本発明のリアクトルによれば、リアクトルを構成する部品の点数を削減することができる。
以下に、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
[全体構成の概要]
図1は、本例のリアクトルを示す透視斜視図、図2の(A)は、同リアクトルの平面図、(B)は同リアクトルの正面図である。図において同一符号は同一物を示す。この点は、後述する他の実施例においても同様である。
このリアクトル10は、巻線1wを螺旋状に巻回してなるコイル1と、コイル1の内周に挿入配置されたコイル巻回部2cを有する環状の磁性コア2と、このコイルとコアとの組合体の外側を覆う樹脂被覆部3と、樹脂被覆部を冷却ベース(取付ベース)に固定するためボルト4(固定部材)と、巻線の端部が接続される端子台5とを備える。このリアクトル10の最も特徴とするところは、樹脂被覆部3の冷却ベース7(図2(B))への固定と、端子台5の樹脂被覆部3への固定をボルト4で行っていることにある。以下、各構成をより詳細に説明する。
[コイル]
コイル1は、1本の連続する巻線1wを螺旋状に巻回してなり、並列状態に配置された一対のコイル素子を備える。巻線1wは、導体の外周に絶縁被覆層を備える被覆線が好適に利用できる。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆層がエナメルからなる被覆平角線を利用している。両コイル素子は、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されており、巻返し部1rにより連結されている。巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。また、各コイル素子を別々に作製し、各コイル素子を形成する巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイルとしてもよい。
コイルを形成する巻線1wの両端部1es,1efは、ターン形成部分から適宜引き延ばされて、後述する樹脂被覆部3の外部に引き出され、絶縁被覆層が剥がされて露出された導体部分に、導電材料からなる端子部材6が接続される。この端子部材6を介して、コイル1に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。巻線1wの導体部分と端子部材6との接続には、TIG溶接などの溶接が利用できる。
本例において、巻線がターン形成部分から各端部に至る経路は次の通りである。巻線1wの一方の端部1esに至る経路は、まずターン形成部分から緩やかなS字を描くように上方に引き出され、リアクトルの正面側に寄せられる。続いて、この巻線1wは、ほぼ直角方向にエッジワイズ曲げされて巻線1wの他方の端部側に伸延され、さらにエッジワイズ巻きされて下方に伸延される。そして、その巻線1wの端部1esに端子部材6が接続されている。一方、巻線1wの他方の端部1efに至る経路も、ほぼ同様に2回のエッジワイズ巻きが巻線1wに施され、下方に伸延されて構成され、巻線の端部1efに端子部材6が接続される。但し、巻線1wがターン形成部分から他方の端部1efに至る経路は、水平方向に伸延する巻線部分が、ターン形成部分から一方の端部1esに至る経路のそれよりも短く、ほぼ逆J字状に形成されている(図2(B))。その結果、両端子部材6は、互いにリアクトルの上部で横並びに配置される。いずれの端子部材6も、巻線1wの外側に圧着される角筒部と、この角筒部の一端側において直角方向に伸延する環状の端子面とを備えている。
[磁性コア]
磁性コア2は、各コイル素子がそれぞれ配置される一対の直方体状のコイル巻回部2cと、コイル1が配置されない一対の端部コア2eとを有し、離間して配置されるコイル巻回部2cを挟むように端部コア2eが配置されて閉ループ状(環状)に形成される。コイル巻回部2cは、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなるコア片と、非磁性材料(ここではアルミナ)からなるギャップ材とを交互に積層して構成され、端部コア2eは、上記軟磁性材料からなる。ここでは、断面がほぼ扁平な台形の角柱状の端部コア2eを用いている。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材は、インダクタンスの調整のためにコア片間に設けられる隙間に配置される部材である。コア片の分割数やギャップ材の個数は、リアクトル10が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。なお、図面では省略しているが、通常、コイル1と磁性コア2との間には絶縁及び相互の位置合わせのためにボビンが介在される。このボビンは、例えば、コイル巻回部2cを取り囲む筒状ボビンと、筒状部の両端部で端部コア2eとコイル端面との間に介在される枠状ボビンとを備える。
[樹脂被覆部]
樹脂被覆部3は、コイル1と磁性コア2との組合体の外側を覆う。本例では、ほぼ直方体状となる樹脂被覆部3を形成している。樹脂被覆部3は、コイル1と磁性コア2との組合体を適宜な金型に収納し、金型内に樹脂を充填することで形成する。樹脂被覆部3が直方体状であれば、成形時の金型を簡易な構造にできる。本例では、この直方体状の樹脂被覆部3の上面から巻線1wの各端部が引き出される。また、この樹脂被覆部3は、ほぼ四隅に上面から下面に貫通する合計4つのボルト孔3hが設けられている。後述するように、このボルト孔3hにボルト4を貫通させて、樹脂被覆部3で一体化された組合体を冷却ベース7(図2(B))に固定する。さらに、本例では、端部コア2eの底面及びターン形成部分の底面を樹脂被覆部3から露出させている。この構成により、両底面を直接冷却ベース7に接触させることができ、端部コア2e及びコイル1からの熱を効率的に冷却ベース7に伝達して、効率的な放熱を可能にできる。
樹脂被覆部3の構成樹脂には、リアクトル10の使用時の最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な材料が好適に利用できる。特に、絶縁性に優れる材料が好ましい。例えば、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。ここでは、エポキシ樹脂を利用している。
[ボルト(固定部材)]
ボルト4は、上述したように、樹脂被覆部3で一体化したコイル1と磁性コア2との組合体を冷却ベース7に対して固定する機能を持ち、さらに後述する端子台5を樹脂被覆部3に固定する機能も有する。ボルト4の先端部には、雄ねじが形成され、その雄ねじが冷却ベース7に形成される雌ねじにねじ込まれる。
[端子台]
端子台5は、巻線1wの端部に接続される端子部材6を固定する台座の機能を有する。本例では、角棒状の樹脂成形体を端子台5として用い、この端子台5を樹脂被覆部3の上面において、リアクトル正面側の縁部に沿うように配置している。つまり、端子台5は、リアクトルを平面視した場合、一方の端部コア2eの上部に重なるように配置される。
この端子台5の両端部には、一対のボルト孔5h(図1)が形成されている。このボルト孔は、樹脂被覆部3のボルト孔3hと位置合わせされ、ボルト4により貫通される。つまり、樹脂被覆部3と端子台5を一括してボルト4で貫通することにより、ボルト4で樹脂被覆部3を冷却ベース7に固定するだけでなく、端子台5をも樹脂被覆部3に固定し、ひいては端子台5も冷却ベース7に対して固定することができる。
また、この端子台5の中央部には一対のねじ孔が形成されている。各ねじ孔に、巻線の端子部材6における環状の端子面及び図示しない給電線の端部に接続される同様の端子面を重ねて位置合わせし、両端子面をねじで貫通して端子孔にねじ込むことで、端子部材6を介して巻線1wの端部を給電線に接続する。本例では、絶縁材料のみで端子台5が構成されているが、この端子台には、図示しない端子金具が設けられていても良い。例えば、金属片からなる端子金具の中間部が端子台に埋設され、端子金具の両端部が端子台から露出されて、この端子金具の一端部に巻線の端部が溶接などで接合され、他端部に給電線が端子部材を介してねじ止めされるなどの構成としてもよい。その場合、端子台に端子金具が必要になるが、巻線端部の端子部材は省略できる。
[作用・効果]
上述したように、本例のリアクトルによれば、樹脂被覆部3と冷却ベース7との固定及び端子台5と樹脂被覆部3との固定を、1種類のボルト4により行うことができる。つまり、このボルト4は、樹脂被覆部3と冷却ベース7との固定用及び端子台5と樹脂被覆部3との固定用に兼用できるため、各用途ごとに個別のボルトを用いる必要がなく、部品点数を削減することができる。
次に、実施例1と同様の端子台をコイルとコアの組立体の正面に並列配置した実施例を図3、図4に基づいて説明する。以下の説明は、実施例1との相違点を中心に行い、共通点の説明は省略する。
まず、本例では、端子台5の配置構造が実施例1と異なる。この端子台5は、端部コア2eと重ならないように並べて配置されている。具体的には、樹脂被覆部3の一部が、一方の端部コア2eの下部において正面側に突出するように成形されている。つまり、この樹脂被覆部3は、コイル1と磁性コア2の組合体を覆う直方体部と、その直方体部から正面側に突出する突出部3tとを備えている。この突出部3tは、細長い矩形板状である。この突出部3tの上面に、棒状の端子台5が配置される。端子台5及び突出部3tにはボルト孔5h、3hが形成され、ボルト4は端子台5と共に樹脂被覆部3の突出部3tを一括して貫通する。
この端子台5の配置構造の相違に伴って、巻線1wがターン形成部から各端部1es,1efに至るまでの経路も異なる。巻線1wの一方の端部1esに至る経路は、まずターン形成部分から鉛直上方に引き出された巻線1wがほぼ直角にフラットワイズ曲げされて一方の端部コア2eの正面側にまで引き出される。さらに、その巻線1wは、順次、鉛直下方へのフラットワイズ曲げ、巻線1wの他方の端部側へのエッジワイズ曲げ、鉛直下方へのエッジワイズ曲げを施されてクランク状の経路を形成する。そして、その端部1esに端子部材6が接続される。一方、巻線1wの他方の端部1efに至る経路も、巻線1wに上記と同様のフラットワイズ曲げとエッジワイズ曲げとを組み合わせてクランク状に形成され、端部1efにも同様の端子部材6が接続される。但し、巻線1wがターン形成部分から他方の端部1efに至る経路は、水平方向に伸延する巻線部分が、ターン形成部分から一方の端部1esに至る経路のそれよりも短く、他方の端部1efにつながる端子部材6は、一方の端部1esにつながる端子部材6の側方に並列される。本例での巻線1wの各端部は、樹脂被覆部3における直方体部の正面から引き出される。
本例のリアクトルにおいても、ボルト4は、樹脂被覆部3と冷却ベース7との固定用及び端子台5と樹脂被覆部3との固定用に兼用できるため、各用途ごとに個別のボルトを用いる必要がなく、部品点数を削減することができる。この実施例2に係るリアクトルは、平面視した場合の面積は実施例1よりも大きいものの、高さは実施例1よりも低い。また、樹脂被覆部3の樹脂量を実施例1のそれよりも少なくできる。
次に、凹型の端子台を水平配置した実施例を図5、図6に基づいて説明する。以下の説明は、実施例2との相違点を中心に行い、共通点の説明を省略する。
本例では、実施例2の直方体部における正面を端部コア2eの外形に沿った形状に成形した樹脂被覆部3としている。そのため、端部コア2eの下部から正面側に突出する突出部3tは、平面視した場合、ほぼ凹型となる。この凹型の突出部3tの両側、つまり、端部コア2eを覆う樹脂被覆部3の両側にボルト孔3hが設けられている。
この凹型の突出部3tの上面に凹型の端子台5が配置される。端子台5は、長辺部の両側から直角方向に伸びる短辺部を備える。長辺部は端部コア2eの正面に位置し、短辺部の先端が端部コア2eから側方に露出するコイル1にほぼ対向するように配置される。そして、各短辺部に一つずつボルト孔5hが形成されている。その他、実施例2との相違点として、巻線1wの各端部が、樹脂被覆部3の上面から引き出されている点が挙げられる。
本例のリアクトルにおいても、ボルト4は、樹脂被覆部3と冷却ベース7との固定用及び端子台5と樹脂被覆部3との固定用に兼用できるため、各用途ごとに個別のボルトを用いる必要がなく、部品点数を削減することができる。この実施例3の場合、実施例2に比べて樹脂被覆部3の樹脂量を少なくでき、端子台5が実施例2より若干大型化する点を考慮しても、リアクトル全体として軽量化できる。また、樹脂被覆部3を実施例1や2に比べて複雑な形状としたことで表面積を広く採れ、放熱効果が高い。さらに、本例のリアクトルを平面視した面積は、実施例2のそれとほぼ同等である。そして、本例は、樹脂被覆部3の上面から巻線1wが引き出されているが、樹脂被覆部3の上方に突出する巻線1wの高さがボルト4の頭部の高さと同様であるため、リアクトルの高さとしては実施例2と同じである。
次に、凹型の端子台を水平配置した実施例を図7、図8に基づいて説明する。以下の説明は、実施例3との相違点を中心に行い、共通点の説明を省略する。
本例は、樹脂被覆部3の形態はほぼ実施例3と共通であり、端子台5の形態も実施例3と同じである。但し、本例では、巻線1wがターン形成部から各端部1es,1efに至る経路が実施例3とは相違する。巻線1wの一方の端部1esに至る経路は、まずターン形成部分から上方に引き出され、直角方向にエッジワイズ曲げされて巻線1wの他方の端部側に伸延される。続いて、この巻線1wはエッジワイズ巻きされて下方に伸延され、次いでフラットワイズ曲げされて一方の端部コア2eの上面を跨ぎ越え、さらにフラットワイズ曲げされて端部コア2eの正面側で下方に伸延される。そして、その巻線1wの端部1esに端子部材6が接続されている。一方、巻線1wの他方の端部1efに至る経路も、ほぼ同様に2回のエッジワイズ巻きと2回のフラットワイズ曲げが巻線1wに施され、下方に伸延される巻線の端部1efに端子部材6が接続される。但し、巻線1wがターン形成部分から他方の端部1efに至る経路は、水平方向に伸延する巻線部分が、ターン形成部分から一方の端部1esに至る経路のそれよりも短く、ほぼ逆J字状に形成されている(図8(B))。その結果、両端子部材6は、互いに端子台5の長辺上において、横並びに配置される。そして、端部コア2eの上面より上方に突出し取り回された巻線部分が全て樹脂被覆部3に覆われ、このような巻線1wの各端部は、樹脂被覆部3の正面側から引き出される。
本例のリアクトルでも、ボルト4は、樹脂被覆部3と冷却ベース7との固定用及び端子台5と樹脂被覆部3との固定用に兼用できるため、各用途ごとに個別のボルトを用いる必要がなく、部品点数を削減することができる。この実施例4は、実施例1に比べて高さが小さく、平面視した場合の面積は、実施例3と同様である。また、本例は、実施例2に比して樹脂被覆部3の樹脂量を低減できる。
次に、凹型の端子台を縦方向に配置した実施例を図9、10に基づいて説明する。以下の説明は、実施例1との相違点を中心に行い、共通点の説明を省略する。
本例では、巻線端部の取り回し構造は、実施例1とほぼ共通している。但し、樹脂被覆部3の形態が異なっている。具体的には、正面が端部コア2eの形状に沿った形状に成形され、かつリアクトル10の下部で、両側にフランジ状に突出する突出部3tを有している。この左右の各突出部3tには、一対ずつのボルト孔3hが形成されている。
また、本例では、横軸の両側に縦軸を有する凹型の端子台5を用いている。この端子台5の横軸の両端部にも側方に突出する突片部を有しており、この各突片部にボルト孔5hが形成されている。このような端子台5は、上述した樹脂被覆部3のうち、端部コア2eの形状に沿って成形された個所、つまり端部コア2eの上面に重複するように配置される。その際、端子台のボルト孔5hが樹脂被覆部のボルト孔3hに位置合わせされる。この端子台5の配置により、端部コア2eの上部に横軸が、端部コア2eの両側に各縦軸が配置されることになる。そして、ボルト4により端子台のボルト孔5hと樹脂被覆部のボルト孔3hとを一括して貫通し、冷却ベース7にねじ込むことで、リアクトルの固定を行う。
本例のリアクトルでも、ボルト4は、樹脂被覆部3と冷却ベース7との固定用及び端子台5と樹脂被覆部3との固定用に兼用できるため、各用途ごとに個別のボルトを用いる必要がなく、部品点数を削減することができる。本例の場合、巻線端部の取り回し構造は、実施例1とほぼ共通しており、横軸上に端子部材6が固定されるため、リアクトルの高さは実施例1と同等である。また、端子台5が正面側の端部コア2eの上部に重なるように配置されているため、リアクトルの奥行きも実施例1と同様であり、実施例2〜4に比べれば小さい。一方、リアクトルの横幅は、側方に突出した樹脂被覆部3を有するため、実施例2〜4に比べれば大きい。さらに、本例の場合、他の実施例に比べて短いボルト4を利用することができる。
次に、コイルを、その自由長よりも圧縮した状態に保持するプレモールド部を備える実施例を図11、12に基づいて説明する。本例は、図1〜図10の樹脂被覆部3に覆われるコイル1と磁性コア2のうち、コイル1の構成が実施例1〜5と相違するだけであり、巻線端部の取り回し構造、端子台5の構造、樹脂被覆部3の構造などは、実施例1〜5と同様にすることができる。以下の説明では、プレモールド部8を備えるコイル成形体を中心に説明し、各図面における巻線端部の構成は図示を省略している。
[コイル成形体]
コイル成形体は、プレモールド部8により、各コイル素子をそれぞれ圧縮状態に保持するように形成されている。ここでは、プレモールド部8は、巻線1wの両端部を除き、コイル1の外周全体をコイル1の形状に沿って覆っている。また、コイル1は、プレモールド部8により隣接するターン同士が互いに接触するように圧縮状態で保持されている。プレモールド部8において両コイル素子のターン形成部分を覆う箇所の厚さは、実質的に均一であり、巻返し部1rを覆う箇所は、図11に示すようにコイル1の軸方向にせり出した形状である。
各コイル素子の内周もプレモールド部8の構成樹脂により覆われており、コイル成形体は、この構成樹脂により形成される中空孔8hを有する。各中空孔8hにはそれぞれ、磁性コア2のコイル巻回部2cが挿通配置される。各コイル巻回部2cがコイル素子の内周の適切な位置に配置されるように構成樹脂の厚さを調整すると共に、中空孔8hの形状をコイル巻回部2cの外形に合わせている(ここでは直方体状)。そのため、各コイル素子の内周に存在する構成樹脂は、コイル巻回部2cの位置決め部として機能する。図11に示す例では、各コイル素子の内周の全面を構成樹脂により覆う構成としている。なお、磁性コア2とコイル1との間の絶縁距離を確保でき、かつコイル巻回部2cの位置決めができる程度に構成樹脂が存在すれば、コイル素子の内周の全面を構成樹脂により覆っていなくてもよい。
プレモールド部8の構成樹脂は、リアクトル10の使用時の最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な材料が好適に利用できる。特に、絶縁性に優れる材料が好ましい。例えば、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。ここでは、エポキシ樹脂を利用している。
[コイル成形体の製造]
上記コイル成形体は、以下のような成形金型を利用して製造することができる。成形金型は、開閉可能な一対の第一金型及び第二金型から構成されるものが利用できる。第一金型は、コイル1の一端側(図1において巻線1wの端部を引き出している側)に位置する端板と、各コイル素子の内周に挿入される中子とを備え、第二金型は、コイル1の他端側(図1において巻返し部1r側)に位置する端板と、コイル1の周囲を覆う周側壁とを備える。また、これら第一、第二金型は、駆動機構により金型内部において進退可能な複数の棒状体を備え、これらの棒状体により、各コイル素子の端面(ターン形成部分が環状に見える面)を適宜押圧してコイル素子を圧縮する。上記棒状体は、コイル1の圧縮に対する十分な強度と、プレモールド部8の成形時の熱などに対する耐熱性とを有しており、かつコイル1においてプレモールド部8で被覆されない箇所を少なくするために、極力細くしている。
上記成形金型の表面とコイル1との間に一定の隙間が形成されるように成形金型内にコイル1を配置する。このとき、コイル1は未だ圧縮されていない。
次に、成形金型を閉じて、各コイル素子の内周に、第一金型の中子を挿入する。このとき、中子とコイル素子の内周の間隔は、中子の全周に亘ってほぼ均一となるようにする。
続いて、棒状体を成形金型内に進出して各コイル素子を圧縮する。この圧縮により、各コイル素子を構成する隣接するターン同士が接触され、各ターン間に隙間の無い状態となる。
この状態で樹脂注入口から成形金型内に樹脂を注入して固化した後、成形金型を開いて、コイル1が圧縮状態に保持されたコイル成形体1を取り出す。なお、棒状体で押圧されていた箇所に形成された複数の小穴は、適宜な絶縁材などで充填してもよいし、そのまま放置しておいてもよい。
[リアクトルの組立]
上述した成形体の中空孔を貫通する環状の磁性コア2を形成すれば、組立体を構成できる。例えば、図12に示すように、磁性コア2は、コイル成形体から露出する端部コア2e
と、各コイルの中空孔内に配されて端部コア2e同士を連結するコイル巻回部2cとで構成する。そのうち、コイル巻回部2cは、コア片2m同士の間に介在されるギャップ板2gとから構成される。本例では、各コア片2mは、圧粉磁性体からなる直方体状のブロックとし、ギャップ板2gはアルミナ板とした。これらコア片2m、ギャップ板2g及び端部コア2eは、適宜な接着剤で接着され、環状の磁性コア2を構成する。組立体が構成できれば、後は、実施例1〜5に説明したように、組立体の外周を覆うように樹脂被覆部3を形成し、端子台5を樹脂被覆部3と共にボルト4で冷却ベース7に固定すればよい。本例では、中空孔8hを有するコイル成形体を作製した後にコイル巻回部2cを挿入したが、プレモールド部8の成形時にコイル巻回部2cを一括してモールドしても良い。
[作用・効果]
本例によれば、プレモールド部8により、コイル1を圧縮状態に保持したコイル成形体とできるため、リアクトル組立時にコイル成形体を長さが伸縮しない単一の部品として取り扱うことができる。また、コイル1と磁性コア2との絶縁を確保すると共に、コイル1を圧縮状態に押えるために用いていた枠状ボビンを省略できる。また、コイル1の内周面がプレモールド部8で実質的に均一な厚みで覆われているため、中空孔8hに磁性コア2を挿入すれば、磁性コア2とコイル1を同軸状に位置合わせすることができ、筒状ボビンを省略できる。さらに、プレモールド部8により、コイル1と磁性コア2の絶縁の確保もできる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ボルト4の螺合される対象は、冷却ベース7自体ではなく、冷却ベース7に固定した台板などであってもよい。
本発明のリアクトルは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車などの車両に備えるコンバータの構成部品などに好適に利用できる。
実施例1に係るリアクトルの斜視図である。 (A)は実施例1に係るリアクトルの平面図、(B)は正面図である。 実施例2に係るリアクトルの斜視図である。 (A)は実施例2に係るリアクトルの平面図、(B)は正面図である。 実施例3に係るリアクトルの斜視図である。 (A)は実施例3に係るリアクトルの平面図、(B)は正面図である。 実施例4に係るリアクトルの斜視図である。 (A)は実施例4に係るリアクトルの平面図、(B)は正面図である。 実施例5に係るリアクトルの斜視図である。 (A)は実施例5に係るリアクトルの平面図、(B)は正面図である。 実施例6に係るリアクトルに用いるコイル成形体の斜視図である。 図11のコイル成形体と磁性コアとの組み合わせ手順を示す説明図である。
符号の説明
10 リアクトル
1 コイル
1w 巻線 1r 巻返し部 1es,1ef 端部
2 磁性コア
2c コイル巻回部 2e 端部コア 2m コア片 2g ギャップ板
3 樹脂被覆部
3h ボルト孔 3t 突出部
4 ボルト
5 端子台
5h ボルト孔
6 端子部材
7 冷却ベース
8 プレモールド部
8h 中空孔

Claims (5)

  1. 巻線を巻回してなるコイルと、
    コイル内に配置される箇所を有する磁性コアと、
    前記コイルとコアとの組合体の外側を覆う樹脂被覆部と、
    樹脂被覆部を取付ベースに固定するための固定部材と、
    前記巻線の端部が接続される端子台とを備えるリアクトルであって、
    前記固定部材により端子台も樹脂被覆部に固定されることを特徴とするリアクトル。
  2. さらに、前記コイルを、その自由長よりも圧縮した状態に保持するプレモールド部を備え、
    このプレモールド部の外周が前記樹脂被覆部により覆われていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記固定部材は、樹脂被覆部及び端子台を貫通して取付ベースに螺合されるボルトであることを特徴とする請求項1または2に記載のリアクトル。
  4. リアクトルを平面視した場合、前記磁性コアの一部と端子台とが重複するように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. リアクトルを平面視した場合、前記磁性コアと端子台とが重複しないように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル。
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