JP6288513B2 - リアクトル - Google Patents
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Description
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の実施形態に係るリアクトルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
〈リアクトルの全体構成〉
図1〜図5を参照して、実施形態1のリアクトル1Aを説明する。リアクトル1Aは、巻線2wを巻回してなるコイル2と、コイル2が配置されて閉磁路を形成する磁性コア3との組合体10を備える。リアクトル1Aの主たる特徴とするところは、コイル2と磁性コア3の内側コア部31との間に介在され、内側コア部31に発生した熱をコイル2に伝える放熱シート4(図2,図3参照)を備える点を一つの特徴とする。以下、リアクトル1Aの特徴部分及び関連する部分の構成、並びに主要な効果を順に説明し、その後、各構成について詳しく説明する。なお、以下の説明では、便宜上、リアクトル1A(組合体10)の設置対象側を下側、その反対側を上側として説明する。また、図中の同一符号は同一名称物を示す。
〈組合体〉
(コイル)
コイル2は、図1,図2に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対の巻回部2a,2bと、両巻回部2a,2bを連結する連結部2rとを有する。両巻回部2a,2bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列(横並び)に配置されている。この例では、各巻回部2a,2bは四角筒状に形成され、各巻回部2a,2bのコイル軸方向における端面形状は、角部が丸められた略矩形環状である。即ち、各巻回部2a,2bの内周面は、4つの平面と、隣り合う平面同士を連結する4つの角(曲面)とで構成されている。巻線2wは、平角線からなる導体の表面に絶縁被覆を有する被覆平角線である。そして、コイル2(巻回部2a,2b)は、被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルである。
磁性コア3は、図2に示すように、コイル2(巻回部2a,2b)の内側に配置される一対の柱状の内側コア部31,31と、コイル2(巻回部2a,2b)から突出され、内側コア部31に連結される一対のブロック状の外側コア部32,32とを有する。各内側コア部31はそれぞれ、横並びに配置された各巻回部2a,2bの内側に位置し、コイル2が配置される部分である。各外側コア部32は、各巻回部2a,2bの外側に位置し、コイル2が実質的に配置されない(即ち、コイル2から露出する)部分である。磁性コア3は、横並びに配置された両内側コア部31を両端から挟むように各外側コア部32が配置され、内側コア部31の両端面31eが外側コア部32の内端面32eにそれぞれ連結されることによって環状に形成されており、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。
放熱シート4は、コイル2(巻回部2a,2b)の内周面と、コイル2の内周面に対向する内側コア部31の外周面との間の一部に介在され、コイル2と内側コア部31に接触して、内側コア部31に発生した熱をコイル2に伝える機能を有する。この例では、放熱シート4は、コイル2の内周面と内側コア部31の外周面との間であって、図2〜図4に示すように、内側コア部31の外周面(4つの平面)のうち、設置対象に対向する設置対象側の面(即ち、下面)に配置されている。つまり、放熱シート4は、内側コア部31のミドル本体部31bが露出する面に配置されており、ミドル本体部31bに接触している。また、放熱シート4は、内側コア部31の下面と同等の大きさ(面積)を有し、内側コア部31(ミドル本体部31b)の実質的に下面全体に接触して配置されている。
放熱シート4の熱伝導率は、1W/m・K以上であり、好ましくは2W/m・K以上、更に3W/m・K以上である。
この例に示す放熱シート4は、ゴム材料に伝熱性フィラーを配合した弾性材料で構成されている。ゴム材料には、天然ゴムや合成ゴムを利用できる。合成ゴムとしては、例えば、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、オレフィン系ゴム、ニトリル系ゴム、ジエン系ゴム、エチレン系ゴム、ウレタン系ゴムなどが挙げられる。伝熱性フィラーとしては、例えば、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化硼素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスのフィラーが挙げられる。放熱シート4には、市販品や公知のものを利用できる。
リアクトル1Aでは、図1〜図4に示すように、コイル2と内側コア部31との間に介在され、コイル2の動きを規制するコイル固定部6を備える。具体的には、コイル2(巻回部2a,2b)の内周面と、コイル2の内周面に対向する内側コア部31の外周面との間で、且つ、内側コア部31の外周面のうち、放熱シート4が配置されていない部分の少なくとも一部にコイル固定部6が介在されている。この例では、コイル固定部6は、内側コア部31の外周面(4つの平面)のうち、下面を除く、上面及び左右側面にそれぞれ配置されている。
内側介在部60は、コイル2(巻回部2a,2b)の内周面と内側コア部31の外周面との間に介在される部分であり、コイル2の内周面と内側コア部31の外周面との間に形成される内周空間において、その周方向の一部に介在されている。内側介在部60は、後述する製造過程における熱処理により、上記内周空間内という実質的に閉空間内で樹脂が体積膨張することで、この体積膨張によってコイル2を押圧して、コイル2の動きを規制する。更に、樹脂自体の接着力によって、コイル2と内側コア部31との双方に密着することからも、コイル2の動きを規制する。
ターン介在部62は、図4の破線円内に示すように、コイル2(巻回部2a,2b)の隣り合うターン2t,2t間のうち、少なくとも一組の隣り合うターン2t,2t間に介在される部分である。この例では、ターン介在部62は、巻回部2a,2bの内周面から外方に向かって、ターン2tの途中までにのみ存在している。即ち、ターン介在部62は、巻回部2a,2bの内周面の近傍にのみ存在しており、巻回部2a,2bの外周面に達しない領域に存在する。このターン介在部62は、上述の内側介在部60に連続しており、内側介在部60を構成する発泡樹脂の一部が隣り合うターン2t,2t間のうち上述の内周面の近傍に侵入して存在する部分である。図4に示す例では、全ての隣り合うターン2t,2t間にターン介在部62が存在する場合を示すが、ターン介在部62が介在していないターン2t,2t間が存在することを許容する。
コイル固定部6は、複数の気泡及びこれらの気泡を内包する樹脂、即ち発泡樹脂から構成されている。コイル固定部6はコイル2に接することから、コイル固定部6を構成する樹脂は、電気絶縁性に優れるもの、コイル2の最高到達温度に対する耐熱性に優れるもの(150℃以上、更に180℃以上)が好ましく、更に、外部環境に対する耐食性に優れるものが好ましい。具体的な樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ナイロンなどが挙げられる。
コイル固定部6は、例えば、未発泡の樹脂シートを所定の形状に切断し、この樹脂シート600(図2参照)をコイル2(巻回部2a,2b)の内周面と内側コア部31の外周面との間の所定の位置に配置した後、発泡に必要な熱処理を施すことで形成できる。樹脂シートを利用することで、厚さが均一であり、所定の形状に容易に加工できる上に、可撓性に優れるため任意の箇所に配置し易く、作業性に優れる。更に、樹脂シートであることから、液状樹脂に比べ、コイル固定部6(内側介在部60)の厚さや形状を一定にでき、また、液ダレなどの問題も生じないので、作業性を改善できる。樹脂シート600の配置は、例えば、内側コア部31をコイル2内に配置した後、コイル2と内側コア部31との間に形成される内周空間に樹脂シート600を挿入して配置することが挙げられる。或いは、内側コア部31の外周面に樹脂シート600を貼り付けるなどして配置した後、この内側コア部31をコイル2内に配置することが挙げられる。
図2を主に参照して、リアクトル1Aの製造方法の一例を説明する。
まず、内側コア部31、外側コア部32をインサート成形などによって作製して用意する。また、巻線2wをエッジワイズ巻きしてコイル2を作製して用意する。
実施形態1のリアクトル1Aによれば、コイル2の内周面と内側コア部31の外周面との間に放熱シート4が接触するように介在されていることで、放熱シート4により内側コア部31の熱をコイル2に伝えて、コイル2を介して放熱できる。従って、内側コア部31からコイル2への放熱経路を確保でき、内側コア部31の放熱性を改善できることから、リアクトル1Aは放熱性に優れる。特に、リアクトル1Aでは、放熱シート4が内側コア部31の設置対象側の面(下面)に配置されていることから、内側コア部31からコイル2を介して設置対象に至る放熱経路が形成され、内側コア部31から設置対象への放熱経路を短くできる。よって、内側コア部31の熱をコイル2を介して設置対象に伝え易く、内側コア部31の熱を効率良く放熱でき、放熱性を高めることができる。更に、内側コア部31のミドル本体部31bが露出する面に放熱シート4が配置されており、放熱シート4がミドル本体部31bに接触していることから、放熱シート4によりミドル本体部31bの熱を直接コイル2に伝えることができる。よって、ミドル樹脂モールド部31cが介在しない分、放熱経路の熱抵抗を低減できるので、内側コア部31の熱を効率良く放熱でき、放熱性を高めることができる。
以下、リアクトル1Aの各構成の詳細、その他の利用可能な構成などを列挙して説明する。
コイル2は、図1,図2に示すように、連続する1本の巻線2wによって形成されている。具体的には、一方の巻回部2aを一端側から他端側に向かって形成した後、他端側から引き出した巻線2wをU字状に屈曲させて連結部2rを形成し、引き続き、他方の巻回部2bを他端側から一端側に向かって形成して作製している。その他、コイル2は、各巻回部2a,2bを別々の巻線によって形成し、各巻回部2a,2bの他端側の巻線端部同士を溶接や半田付け、圧着などによって直接接合したり、別途用意した導電性材料からなる連結部材(例えば、板材)を介して接合したりすることで作製することも可能である。また、この例では、各巻回部2a,2bの軸方向端面が略矩形環状であるが、略円環状など、適宜変更することが可能である。
(内側コア部)
内側コア部31は、図2に示すように、コア片31mとギャップ材31gとを交互に積層したミドル本体部31bと、ミドル本体部31bの外周面を覆うミドル樹脂モールド部31cとを有する。この例では、コア片31mとギャップ材31gとを接着剤によって接着している。ミドル本体部31bの形状は、適宜選択することができる。この例では、ミドル本体部31bは、四角柱状体である。
外側コア部32は、図2に示すように、コア片からなるサイド本体部32bと、サイド本体部32bの表面の一部を除いて全体を覆うサイド樹脂モールド部32cとを有する。サイド本体部32bの形状は、適宜選択できる。この例では、サイド本体部32bは、上面及び下面がドーム状(内側コア部31の端面31eが接続される内端面32eから外方に向かって断面積が小さくなる変形台形状)の柱状体である。サイド本体部32bの形成材料は、上述のコア片31mと同じ形成材料を利用でき、軟磁性粉末の成形体や複数の磁性薄板の積層体を利用できる。ここでは、両サイド本体部32bは圧粉成形体としている。
放熱シート4は、ゴムやゲル、樹脂などの有機材料に、セラミックスなどの無機材料の伝熱性フィラーを配合した複合材料で構成することが挙げられる。実施形態1のリアクトル1Aでは、放熱シート4は、構成材料にゴム材料を使用したゴムタイプの放熱シートである。放熱シート4としては、ゴムタイプのシート以外にも、ゲルタイプや熱融着タイプの各種放熱シートを利用できる。ゲルタイプや熱融着タイプの放熱シートは、市販品や公知のものを利用できる。
(取付部)
両外側コア部32の樹脂モールド部32cにはそれぞれ、組合体10を設置対象に固定するための取付部33が一体に形成されている(図2参照)。この例では、各外側コア部32にそれぞれ2つずつ、計4つ設けられている。取付部33は、外側コア部32における上下方向(高さ方向)の略中間位置から突出するように形成されている。取付部33の形成箇所は、設置対象の固定箇所(例えば、ボルトボス部)に対応する位置である。この取付部33には、組合体10を設置対象に固定するための固定部材(例えば、ボルト)が挿通される挿通孔を有する筒状のカラー35が埋設されている。カラー35は、挿通孔の変形を防止する観点から、高剛性の材料、例えばステンレスなどの金属材料で形成することが好ましい。
両外側コア部32の樹脂モールド部32cにはそれぞれ、巻回部2a,2bの間に介在される仕切部34が一体に形成されている(図2参照)。両仕切部34によって、巻回部2a,2b同士の接触を防止し、巻回部2a,2b間の絶縁性を高められる。
リアクトル1Aは、図2に示すように、リアクトル動作時の物理量(例えば、温度、電流値、電圧値、加速度など)を測定するためのセンサ7sを備える形態とすることができる。図2に示すセンサ7sは、サーミスタといった感熱素子を有する温度センサであり、感熱素子を保護する保護部(例えば、樹脂などのチューブ)と、感熱素子からの電気信号が流れる配線7cとを有する。また、センサ7sの配置箇所は、巻回部2a,2bの間とし、センサ7sはホルダ70に収納されている。
リアクトル1Aの一使用例として、組合体10を封止材などで覆わずに、このままの状態(即ち、コイル2の外周面を露出させた状態)で冷却ベースやコンバータケースなどの設置対象(図示せず)に取り付けて使用することが挙げられる。具体的には、冷却ベースなどの設置対象上にリアクトル1Aの下面を載置し、リアクトル1Aをボルトなどで設置対象に固定する。リアクトル1A(組合体10)を設置対象上に設置する際、組合体10(特に、コイル2)の設置対象に対向する設置対象側の面(設置面)に接合層(図示せず)を形成したり、上述した放熱シート(図示せず)を配置してもよい。組合体10(特に、コイル2)の設置面(即ち、下面)に接合層や放熱シートを備えることで、コイル2と設置対象との絶縁を確保し易い。また、接合層を備えることで、ボルトによる固定に加えて、組合体10(特に、コイル2)を設置対象に強固に固定できる。放熱シートを備えることで、組合体10(特に、コイル2)の放熱性を改善できる。
実施形態2では、実施形態1のリアクトル1Aに対して、更に放熱板9を備える形態を説明する。図7に示す実施形態2のリアクトル1Bは、放熱板9を備える点を除いて、放熱シートやコイル固定部6を含め、コイル2や磁性コア3などの基本的な構成は、上述した実施形態1のリアクトル1Aと同様であるので、以下では相違点を中心に説明する。
放熱板9は、リアクトル使用時に発熱するコイル2の任意の箇所に配置することができ、代表的には、コイル2の設置対象側の面、即ちコイル2の設置面に配置することが挙げられる。図7に示すリアクトル1Bでは、コイル2の下面に放熱板9が配置されており、この放熱板9はコイル2と設置対象(図示せず)との間に介在されることになる。
実施形態2のリアクトル1Bは、実施形態1のリアクトル1Aが奏する上述した作用効果に加えて、放熱板9を備えることで、放熱板9をコイル2の放熱経路に利用することができ、放熱性をより高められる。
実施形態1では、コイル2の動きを規制するコイル固定部6を備える形態を説明した。実施形態3では、図8〜図10を参照して、放熱シート4がコイル2の動きを規制する機能を兼ね備える構成を説明する。なお、実施形態3のリアクトル1Cは、コイル2と内側コア部31との間に放熱シート4が配置されていることなどの基本的な構成は、上述した実施形態1のリアクトル1Aと同様であるので、以下では相違点を中心に説明する。
この例に示す放熱シート4は、ゴム材料(弾性材料)で構成され、コイル2と内側コア部31との間に挟み込まれて弾性変形している。つまり、放熱シート4は、コイル2(巻回部2a,2b)の内周面と内側コア部31の外周面との間に弾性変形した状態で介在されており、弾性変形によってコイル2(巻回部2a,2b)の内周面を径方向に押圧して、この押圧力によってコイル2(巻回部2a,2b)の動きを規制する。
リアクトル1Cでは、図8に示すように、コイル2と外側コア部32との間に介在され、コイル2の動きを規制する端部弾性部材5を備える。端部弾性部材5は、コイル2(巻回部2a,2b)の端面と、コイル2の端面に対向する外側コア部32の内端面32eとの間の少なくとも一部に配置され、コイル2の端面を軸方向に押圧する部材である。この例では、コイル2の端面と外側コア部32の内端面32eとの間であって、外側コア部32の内端面32eにおける上述のコイル対向領域(図5参照)に対応する位置に端部弾性部材5を一対配置している。また、各端部弾性部材5の形状は、上記コイル対向領域に対応する大きさのL字状の板材である。端部弾性部材5の構成材料には、放熱シート4を構成する上述のゴム材料を用いることができる。この例では、端部弾性部材5は、放熱シート4と同様のゴム材料(弾性材料)で構成されている。
実施形態3のリアクトル1Cによれば、放熱シート4が、内側コア部31の熱をコイル2に伝える機能に加えて、コイル2の動きを規制する機能を兼ね備える。具体的には、コイル2の内周面と内側コア部31の外周面との間に放熱シート4が配置され、放熱シート4がコイル2を径方向に押圧することで、コイル2の動きが規制され、磁性コア3(内側コア部31)に対してコイル2が固定される。また、コイル2が径方向に押圧されるため、コイル2のターン同士の間隔が維持された状態で保持される。そのため、実施形態1で説明したコイル固定部6を備えていなくても、リアクトル動作時のコイル2や磁性コア3の振動、車両走行時の振動、或いは外部環境の影響などによって、内側コア部31に対してコイル2が軸方向、径方向や周方向に動くことを規制できる。コイル2の動きが規制されることから、コイル2が磁性コア3(内側コア部31や外側コア部32)と衝突したり擦れたり、コイル2の隣り合うターン同士が衝突したり擦れたりすることを抑制できる。従って、衝突や擦れに起因する騒音や、コイル2の絶縁被覆の損傷を低減できる。更に、コイル2の動きが規制されることから、巻線端部2eとバスバとの接続箇所に応力がかかり難くなり、接続箇所の変形や損傷を抑制できる。よって、実施形態3のリアクトル1Cによれば、放熱シート4によって、内側コア部31の放熱性の改善と、コイルの固定とを両立できる。
上述した実施形態1〜3のリアクトル1A〜1Cにおいて、例えば図13に示すように、組合体10を内部に収納するケース8を備える形態とすることができる。図13では、リアクトル1Cについて、組合体10を内部に収納すると共に、液体冷媒Cが供給及び排出される冷却ケース8を備える形態を示す。
図13に示すケース8は、ケース8内に液体冷媒Cを供給する供給口80iと、ケース8内から液体冷媒Cを排出する排出口80oとを有し、液体冷媒Cが供給及び排出できる。この例では、排出口80oから排出された液体冷媒Cは、冷却器(図示せず)などにより冷却されて、再び供給口80iからケース8内に循環供給されるようになっている。また、図13に示すように、組合体10が液体冷媒Cに常時浸漬されるように、供給口80iからの液体冷媒Cの供給量と、排出口80oからの液体冷媒Cの排出量とを制御している。
液体冷媒Cは、リアクトル使用時の最高到達温度によって形態が変化しないもの(気化しないもの)が好適に利用できる。具体的には、オートマチックトランスミッションの潤滑油であるATF(Automatic Transmission Fluid)、フロリナート(登録商標)などのフッ素系不活性液体、HCFC−123やHFC−134aなどのフロン系冷媒、メタノールやアルコールなどのアルコール系冷媒、アセトンなどのケトン系冷媒などが挙げられる。リアクトルがハイブリッド自動車などに搭載される車載用部品の用途では、例えば上記ATFを流用することができ、液体冷媒Cを別途用意しなくてもよい。
また、図13に示すように、組合体10の設置対象側の面(即ち、下面)に上述した接合層89を備えてもよい。図13に示す接合層89は、組合体10の下面(2つの外側コア部32の下面及びコイル2の下面)とケース8の取付面81との間に介在される。この接合層89によって、ボルト36による固定に加えて、組合体10を強固に固定できる。特に、この例では、組合体10の下面は、上述したように、実質的に平面で構成されていることから、ケース8の取付面81に面接触することができ、組合体10が安定して固定される。また、組合体10の下面が平面的であることで、接合層89との接触面積を十分に確保でき、組合体10(コイル2)の熱をケース8に伝達し易い。この場合、コイル2が設置対象であるケース8の取付面81に接合層89によって固定されることから、実施形態1で説明したコイル固定部6や実施形態3で説明した放熱シート4などによるコイル2の動きを規制する効果に加えて、コイル2の動きを一層規制できる。換言すれば、コイル固定部6や放熱シート4などによってコイル2の動きが規制されることから、コイル2が接合層89から剥離することが抑制される。
10 組合体
2 コイル 2a,2b 巻回部
2r 連結部 2w 巻線 2e 巻線端部
2t ターン
20 端子金具
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面
31b ミドル本体部
31m コア片 31g ギャップ材
31c ミドル樹脂モールド部
31t 薄肉部
32 外側コア部 32e 内端面
32b サイド本体部
32c サイド樹脂モールド部
32t 突壁部
33 取付部 34 仕切部
35 カラー 36 ボルト
3b コア成形体
4 放熱シート
5 端部弾性部材
6 コイル固定部
60 内側介在部 62 ターン介在部
600 未発泡の樹脂シート
7s センサ 7c 配線
70 ホルダ 72 フック
8 ケース C 液体冷媒
80i 供給口 80o 排出口
81 取付面 82 ボス部
89 接合層
9 放熱板
Claims (5)
- 巻線を巻回してなるコイルと、前記コイルが配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを備えるリアクトルであって、
前記磁性コアは、前記コイルの内側に配置される内側コア部を有し、
前記コイルの内周面と、前記コイルの内周面に対向する前記内側コア部の外周面との間の少なくとも一部に介在される放熱シートを備え、
前記放熱シートは、前記コイルと前記内側コア部に接触しており、
前記内側コア部が、磁路となるミドル本体部と、前記ミドル本体部の外周面の少なくとも一部を覆うミドル樹脂モールド部とを有し、
前記内側コア部において、前記ミドル本体部の外周面のうち、設置対象に対向する設置対象側の面が前記ミドル樹脂モールド部で覆われておらず露出しており、
前記放熱シートが、前記内側コア部における前記ミドル本体部が露出する前記設置対象側の面に配置されているリアクトル。 - 前記放熱シートが、前記内側コア部の外周面のうち、設置対象に対向する設置対象側の面の少なくとも一部に配置されている請求項1に記載のリアクトル。
- 前記放熱シートが、弾性材料で構成され、前記コイルと前記内側コア部との間に挟み込まれて弾性変形している請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
- 発泡樹脂から構成され、前記発泡樹脂の体積膨張による押圧力によって前記コイルの動きを規制するコイル固定部を備え、
前記コイル固定部は、前記コイルの内周面と、前記コイルの内周面に対向する前記内側コア部の外周面との間で、且つ、前記内側コア部の外周面のうち、前記放熱シートが配置されていない部分の少なくとも一部に介在され、
前記コイル固定部は、前記コイルの内周面と前記内側コア部の外周面との間に介在される内側介在部と、前記コイルのターン間に介在されるターン介在部とを有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 巻線を巻回してなるコイルと、前記コイルが配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを備えるリアクトルであって、
前記磁性コアは、前記コイルの内側に配置される内側コア部を有し、
前記コイルの内周面と、前記コイルの内周面に対向する前記内側コア部の外周面との間の少なくとも一部に介在される放熱シートと、
発泡樹脂から構成され、前記発泡樹脂の体積膨張による押圧力によって前記コイルの動きを規制するコイル固定部と、を備え、
前記放熱シートは、前記コイルと前記内側コア部に接触しており、
前記コイル固定部は、前記コイルの内周面と、前記コイルの内周面に対向する前記内側コア部の外周面との間で、且つ、前記内側コア部の外周面のうち、前記放熱シートが配置されていない部分の少なくとも一部に介在され、
前記コイル固定部は、前記コイルの内周面と前記内側コア部の外周面との間に介在される内側介在部と、前記コイルのターン間に介在されるターン介在部とを有するリアクトル。
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