JP2015012147A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
【課題】放熱性に優れ、振動や騒音を抑制できるリアクトルを提供する。
【解決手段】コイルと磁性コアとの組合体と、前記組合体の一部を収納するリアクトルケースと、前記リアクトルケース内に充填されて、前記組合体を前記リアクトルケースに封止する封止材とを備え、前記リアクトルケースは、前記組合体が載置され、前記組合体と共に液体冷媒が供給される箇所に配置される底板部と、前記底板部に立設され、前記組合体における前記底板部側の領域の周囲を囲むと共に前記封止材を支持する枠状の側壁部とを備え、前記側壁部の高さが前記組合体の高さよりも低いリアクトル。
【選択図】図1
【解決手段】コイルと磁性コアとの組合体と、前記組合体の一部を収納するリアクトルケースと、前記リアクトルケース内に充填されて、前記組合体を前記リアクトルケースに封止する封止材とを備え、前記リアクトルケースは、前記組合体が載置され、前記組合体と共に液体冷媒が供給される箇所に配置される底板部と、前記底板部に立設され、前記組合体における前記底板部側の領域の周囲を囲むと共に前記封止材を支持する枠状の側壁部とを備え、前記側壁部の高さが前記組合体の高さよりも低いリアクトル。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関する。特に、放熱性に優れ、振動や騒音を抑制できるリアクトルに関するものである。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。特許文献1、2は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータに利用されるリアクトルを開示している。特許文献1は、巻線を螺旋状に巻回してなるコイルと環状の磁性コアとの組合体の全周を樹脂で覆った被覆体を収納部に収納し、収納部内に流通される液体冷媒に上記被覆体を浸漬させて放熱性を高めることを開示している。特許文献2は、上記組合体をリアクトルケースに収納して樹脂によって封止し、上記組合体が載置されるリアクトルケースの底板を金属製とし、接着剤によって底板とコイルとを接合することで放熱性を高めることを開示している。
リアクトルに対して、放熱性に優れることに加え、振動や騒音を低減することが望まれている。
特許文献1に記載されるリアクトルでは、コイルと磁性コアとの組合体の全周が一体の樹脂で覆われており、コイル及び磁性コアと液体冷媒とが直接接触しない。そのため、リアクトルに対して、液体冷媒による放熱効果を更に高めることが望まれる。仮にこの樹脂を省略すれば放熱性を高められるが、この場合、振動や騒音が問題になる。ここで、リアクトルの使用時、磁性コアは、コイルに流れる電流によってつくられる磁束を受けて磁歪により伸縮することがある。特に、磁性コアを複数のコア片の組物(ギャップ材の有無は問わない)としている場合、磁歪による伸縮によってコア片やギャップ材が接触・離反などして振動や騒音を生じ得る。また、リアクトルの使用時、コイルを形成する隣り合うターンに電気的な吸引力が生じ、この吸引力が電流の大きさに応じて変化することで、コイル自体も振動する。コイルが振動すると、コイルと磁性コアとが接触・離反して更なる振動や騒音を生じ得る。また、上記樹脂を省略することで、コイルと磁性コアとが一体に固定されず、相互の位置関係が経時的にずれる恐れもある。特に、上記樹脂を省略すると液体冷媒の流動によってコイルや磁性コアといった構成部材の相互位置がずれ易いと考えられる。
特許文献2に記載されるリアクトルでは、空冷であり、液体冷媒を用いた場合に比較して、放熱性の向上に関して検討の余地がある。しかし、仮にこのリアクトルを特許文献1に記載されるように液体冷媒に浸漬させても、コイルと磁性コアとの組合体の全周が樹脂に覆われている上に、組合体の大半がリアクトルケースに囲まれていることで、コイルや磁性コアと液体冷媒とが直接接触できない。従って、この構成では、液体冷媒の冷却による高い放熱効果を十分に得られない。
そこで、本発明の目的の一つは、放熱性に優れ、振動や騒音を抑制できるリアクトルを提供することにある。
本発明のリアクトルは、コイルと磁性コアとの組合体と、前記組合体の一部を収納するリアクトルケースと、前記リアクトルケース内に充填されて、前記組合体を前記リアクトルケースに封止する封止材とを備える。前記リアクトルケースは、前記組合体が載置され、前記組合体と共に液体冷媒が供給される箇所に配置される底板部と、前記底板部に立設され、前記組合体における前記放熱板側の領域の周囲を囲むと共に前記封止材を支持する枠状の側壁部とを備える。前記側壁部の高さが前記組合体の高さよりも低い。
本発明のリアクトルは、放熱性に優れる上に、振動や騒音を抑制できる。
[本発明の実施の形態の説明]
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。
(1) 実施形態に係るリアクトルは、コイルと磁性コアとの組合体と、上記組合体の一部を収納するリアクトルケースと、上記リアクトルケース内に充填されて、上記組合体を上記リアクトルケースに封止する封止材とを備える。上記リアクトルケースは、上記組合体が載置され、上記組合体と共に液体冷媒が供給される箇所に配置される底板部と、上記底板部に立設され、上記組合体における上記底板部側の領域の周囲を囲むと共に上記封止材を支持する枠状の側壁部とを備える。上記側壁部の高さが上記組合体の高さよりも低い。
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。
(1) 実施形態に係るリアクトルは、コイルと磁性コアとの組合体と、上記組合体の一部を収納するリアクトルケースと、上記リアクトルケース内に充填されて、上記組合体を上記リアクトルケースに封止する封止材とを備える。上記リアクトルケースは、上記組合体が載置され、上記組合体と共に液体冷媒が供給される箇所に配置される底板部と、上記底板部に立設され、上記組合体における上記底板部側の領域の周囲を囲むと共に上記封止材を支持する枠状の側壁部とを備える。上記側壁部の高さが上記組合体の高さよりも低い。
この明細書では、上記組合体が載置された底板部の一面(搭載面)に直交する方向の大きさを高さと呼ぶ。上記側壁部の高さとは、上記リアクトルケースに上記封止材を充填したときに封止材が最も多く充填される領域について、上記底板部の載置面から側壁部の開口縁までの高さとする。上記組合体の高さとは、上記組合体が上記底板部の載置面に載置された状態において、上記底板部の載置面から上記組合体の最も高い個所までの高さとする。組合体における最も高い個所とは、以下の(1),(2)を除いた領域とする。
(1)コイルを構成する巻線の端部領域(端子金具が接続される領域、又は端子金具が接続されずに電源などの外部装置が直接接続される領域)
(2)コイルが複数のコイル素子とこれらコイル素子を接続する連結部とを備える形態の場合に上記連結部
(1)コイルを構成する巻線の端部領域(端子金具が接続される領域、又は端子金具が接続されずに電源などの外部装置が直接接続される領域)
(2)コイルが複数のコイル素子とこれらコイル素子を接続する連結部とを備える形態の場合に上記連結部
実施形態のリアクトルは、以下の理由により、放熱性に優れる。
リアクトルケースが、側壁部の高さが組合体の高さよりも低い、端的に言うと浅いケースであるため、底板部に載置されたコイルと磁性コアの組合体の一部が側壁部に覆われず、リアクトルケースから露出される。組合体におけるリアクトルケースからの露出領域、特にコイルの一部や、磁性コアにおけるコイルが配置されない領域と液体冷媒とが直接接触することができる。つまり、組合体における上記露出領域は、冷却能力が高い液体冷媒によって冷却されるため、効果的に放熱できる。
リアクトルケースが、側壁部の高さが組合体の高さよりも低い、端的に言うと浅いケースであるため、底板部に載置されたコイルと磁性コアの組合体の一部が側壁部に覆われず、リアクトルケースから露出される。組合体におけるリアクトルケースからの露出領域、特にコイルの一部や、磁性コアにおけるコイルが配置されない領域と液体冷媒とが直接接触することができる。つまり、組合体における上記露出領域は、冷却能力が高い液体冷媒によって冷却されるため、効果的に放熱できる。
かつ、実施形態のリアクトルは、以下の理由により、振動や騒音を低減、抑制できる。
コイルと磁性コアとの組合体の一部、具体的には組合体における底板部側の領域がその周方向の全域に亘って枠状の側壁部に囲まれている上に、この領域と上記側壁部との間に封止材が充填されている。これら側壁部と封止材とによって、コイルと磁性コアとの組合体における一体物としての剛性を、樹脂のみで覆われる場合に比較して十分に高められる。このように剛性に優れることで、実施形態のリアクトルは、磁歪による磁性コアの伸縮に起因する振動、通電時におけるコイル自体の振動、及びこれらの振動に起因する騒音を効果的に抑制できる。特に、磁性コアが複数の部材(コア片など)を組み合わせて構築される形態では、この組物をその周方向に沿って囲むように側壁部及び封止材が存在して一体化されるため、磁歪に起因する磁性コアの構成部材同士の接触・離反動作などを良好に抑制、低減できる。
コイルと磁性コアとの組合体の一部、具体的には組合体における底板部側の領域がその周方向の全域に亘って枠状の側壁部に囲まれている上に、この領域と上記側壁部との間に封止材が充填されている。これら側壁部と封止材とによって、コイルと磁性コアとの組合体における一体物としての剛性を、樹脂のみで覆われる場合に比較して十分に高められる。このように剛性に優れることで、実施形態のリアクトルは、磁歪による磁性コアの伸縮に起因する振動、通電時におけるコイル自体の振動、及びこれらの振動に起因する騒音を効果的に抑制できる。特に、磁性コアが複数の部材(コア片など)を組み合わせて構築される形態では、この組物をその周方向に沿って囲むように側壁部及び封止材が存在して一体化されるため、磁歪に起因する磁性コアの構成部材同士の接触・離反動作などを良好に抑制、低減できる。
その他、実施形態のリアクトルは、以下の効果を奏する。
(α)封止材によってコイルと磁性コアとが強固に固定されて、相互の位置が長期に亘りずれ難い。
(β)リアクトルケースが浅いため、ケースを備えていながらも、組合体の収納を行い易い、軽量である、材料を低減できる、という効果を奏する。
(γ)リアクトルケースを封止材の金型に利用できるため、コイルと磁性コアとの組合体の全周を射出成形などによって成形する場合に比較して、複雑な形状の金型が不要であり、リアクトルの製造性に優れる。
(α)封止材によってコイルと磁性コアとが強固に固定されて、相互の位置が長期に亘りずれ難い。
(β)リアクトルケースが浅いため、ケースを備えていながらも、組合体の収納を行い易い、軽量である、材料を低減できる、という効果を奏する。
(γ)リアクトルケースを封止材の金型に利用できるため、コイルと磁性コアとの組合体の全周を射出成形などによって成形する場合に比較して、複雑な形状の金型が不要であり、リアクトルの製造性に優れる。
(2) 実施形態のリアクトルの一例として、上記底板部と上記側壁部とが異種の材料で構成された形態が挙げられる。
上記形態は、例えば、底板部の構成材料を熱伝導性に優れる金属とすることで放熱性をより高められ、側壁部の構成材料を耐食性や耐薬品性、電気絶縁性などに優れる樹脂とすることで、液体冷媒に対する耐食性の向上、コイルとリアクトルケースとの絶縁性の向上、軽量化などを図ることができる。
(3) 実施形態のリアクトルの一例として、上記磁性コアのうち、上記コイルが配置されずに露出され、上記液体冷媒が接触する領域にコーティング層を備える形態が挙げられる。
上記形態は、コイルの一部と液体冷媒とが直接接触することで放熱性に優れる。かつ、上記形態は、磁性コアにおける上述のコイルに覆われない領域にコーティング層を備えることで、この領域と液体冷媒とが接触しないため、磁性コアにおける液体冷媒との接触に起因する腐食を効果的に防止できる。また、上記形態は、磁性コアにおける上述のコイルに覆われない領域が圧粉成形体である場合に、この領域にコーティング層を備えることで、圧粉成形体の構成粉末が液体冷媒に混入することを効果的に防止できる。
(4) 実施形態のリアクトルの一例として、上記リアクトルの動作時の物理量を測定するセンサを備え、上記コイルが互いに接続されると共に、軸が平行するように並列に配置される一対のコイル素子を備え、上記センサが上記一対のコイル素子と上記底板部とで囲まれる空間に接着剤によって固定された形態が挙げられる。
上記形態は、コイルとセンサとが近接して配置されているため、センサがリアクトルの物理量、特にコイルの物理量(温度や電流、電圧、磁束量、リアクトルの振動を測定可能な加速度センサなど)を正確に測定し易く、測定値の信頼性を高められる。特に、このセンサの配置箇所は、液体冷媒の流れに直接曝される箇所ではなく、液体冷媒の温度や圧力などの物理量の影響を受け難い箇所であるため、リアクトルの動作時の物理量の測定に適している。また、測定した物理量に基づいてコイルへの通電状態、液体冷媒の流量や温度などを管理することで、リアクトルを安定的に動作させることができる。更に、上記空間は、コイル素子と底板部とでつくられるデッドスペースといえ、上記形態は、デッドスペースにセンサを備えることで、センサの配置に伴う大型化を招かず、小型である。加えて、上記形態は、センサが接着剤によって底板部やコイルに固定される上に封止材によっても固定されるため、センサの位置がずれ難い。
(5) 実施形態のリアクトルの一例として、上記底板部を固定する固定部を備え、上記リアクトルケースに封止された上記組合体を収納すると共に、上記液体冷媒が供給及び排出される冷却ケースを有する形態が挙げられる。
上記形態は、冷却ケースの固定部にリアクトルケースの底板部が固定されることで、組合体が冷却ケースに収納された状態を維持できる。この冷却ケース内に液体冷媒が供給されることで、上記形態は、放熱性に優れる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[実施形態1]
図1〜図5を参照して、実施形態1のリアクトルを説明する。
図1〜図5を参照して、実施形態1のリアクトルを説明する。
(リアクトルの全体構成)
リアクトル1は、図1に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなるコイル2と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するリアクトルケース4と、リアクトルケース4内に充填されて組合体10を封止する封止材100とを備える。リアクトル1は、後述するように、液体冷媒8L(図5)に直接曝される箇所に取り付けられて使用される。リアクトルケース4は、組合体10が載置される底板部40と、底板部40から立設する側壁部41とを備える。封止材100はリアクトルケース4(側壁部41)によって支持される。リアクトル1では、リアクトルケース4が組合体10の一部のみを収納可能な程度に深さが浅い点を特徴の一つとする。以下、リアクトル1の主要な構成部材であるコイル2及び磁性コア3の概略、特徴点であるリアクトルケース4、特徴点であるリアクトル1の使用状態、及び特徴点に基づく主要な効果をまず説明する。
リアクトル1は、図1に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなるコイル2と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するリアクトルケース4と、リアクトルケース4内に充填されて組合体10を封止する封止材100とを備える。リアクトル1は、後述するように、液体冷媒8L(図5)に直接曝される箇所に取り付けられて使用される。リアクトルケース4は、組合体10が載置される底板部40と、底板部40から立設する側壁部41とを備える。封止材100はリアクトルケース4(側壁部41)によって支持される。リアクトル1では、リアクトルケース4が組合体10の一部のみを収納可能な程度に深さが浅い点を特徴の一つとする。以下、リアクトル1の主要な構成部材であるコイル2及び磁性コア3の概略、特徴点であるリアクトルケース4、特徴点であるリアクトル1の使用状態、及び特徴点に基づく主要な効果をまず説明する。
・コイル及び磁性コアの概略
コイル2は、ここでは、図1,図3,図4に示すように、一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを接続する連結部2rとを備える。各コイル素子2a,2bは、角部を丸めた矩形筒状のエッジワイズコイルであり、各軸方向が平行するように並列(横並び)されている。連結部2rは、コイル素子2a,2bを形成する巻線2wの一部がU字状に屈曲されて形成されている。ここでは、図2に示すように、コイル素子2a,2bのターン形成面の一部(図2では上面)と、連結部2rとが実質的に面一となるように、連結部2rが設けられている。
コイル2は、ここでは、図1,図3,図4に示すように、一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを接続する連結部2rとを備える。各コイル素子2a,2bは、角部を丸めた矩形筒状のエッジワイズコイルであり、各軸方向が平行するように並列(横並び)されている。連結部2rは、コイル素子2a,2bを形成する巻線2wの一部がU字状に屈曲されて形成されている。ここでは、図2に示すように、コイル素子2a,2bのターン形成面の一部(図2では上面)と、連結部2rとが実質的に面一となるように、連結部2rが設けられている。
磁性コア3は、ここでは、図4に示すように一対の柱状の内側コア部31,31と、一対の柱状の外側コア部32,32とを備える。各内側コア部31,31はそれぞれ、横並びされたコイル素子2a,2b内に挿通配置されて、コイルの配置部分として利用される。外側コア部32,32は、コイル2が実質的に配置されずにコイル2から露出された部分である。横並びされた両内側コア部31,31を繋ぐように外側コア部32,32が配置され、環状の磁性コア3を形成する。内側コア部31と外側コア部32とを適宜、接着剤や粘着テープなどで接合することで環状に組み付けた状態を維持し易い。
ここでは、図2に示すように外側コア部32,32においてリアクトルケース4に収納されて、封止材100に封止される側の領域(図2において下方側の領域)が、内側コア部31,31よりも突出している。具体的には、外側コア部32,32における底板部40側に配置される端面(図2では下面)と、コイル3のターン形成面の他部(図2では下面)とが実質的に面一である。従って、組合体10がケース4に収納された状態では、コイル2と外側コア部32,32とが底板部40の一面(載置面40i)に接するように配置される。
ここでは、内側コア部31は、鉄などに代表される軟磁性材料を用いた圧粉成形体からなる複数のコア片31m(図2,図4)と、コア片31mよりも比透磁率が低い複数のギャップ材31g(図2,図4)との組物であり、外側コア部32は、上記圧粉成形体である。
・リアクトルケース
リアクトルケース4は、図3に示すように、リアクトル1の製造過程では、ケース4の底部を構成する平板状の底板部40と、ケース4の壁部を構成する枠状の側壁部41とが独立した部材である。リアクトル1の完成状態では、図1に示すように、底板部40と側壁部41とが固定部材(後述)によって一体に固定されて、底板部40と対向する側(図1,図2では上側)が開口した浅い箱状に形成される。
リアクトルケース4は、図3に示すように、リアクトル1の製造過程では、ケース4の底部を構成する平板状の底板部40と、ケース4の壁部を構成する枠状の側壁部41とが独立した部材である。リアクトル1の完成状態では、図1に示すように、底板部40と側壁部41とが固定部材(後述)によって一体に固定されて、底板部40と対向する側(図1,図2では上側)が開口した浅い箱状に形成される。
ここでは、底板部40と側壁部41とは、異種の材料で構成されている。具体的には、組合体10が載置される底板部40は、アルミニウム合金といった金属製であり、コイル2の熱を外部に伝える放熱部材(放熱経路)として機能する。特に、リアクトル1では、組合体10と底板部40とを接合層42(図3)によって接合しており、コイル2の熱を底板部40に良好に伝達でき、放熱性に優れる。特に、リアクトル1では、両コイル素子2a,2bがエッジワイズコイルであるため、コイル2における底板部40に近接配置される領域を広く確保し易く、放熱性を高め易い。特に、リアクトル1では、磁性コア3の外側コア部32,32における底板部40側の面(図2では下面)がコイル2における底板部40側の面(図2では下面)と面一であることで、外側コア部32,32も接合層42によって底板部40に接合される。そのため、磁性コア3の熱も、底板部40に良好に伝達でき、リアクトル1は、放熱性に優れる。その他、リアクトルケース4の構成材料の少なくとも一部をアルミニウムなどの軽合金とすることで、リアクトル1の軽量化に寄与することができる。
一方、側壁部41は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)といった樹脂製であり、比較的硬いことで、リアクトルケース4の剛性を高められる。また、側壁部41を樹脂製にすることで、コイル2とリアクトルケース4との電気絶縁性を高められる、リアクトル1の軽量化に寄与することができる、液体冷媒8Lに対する耐食性、耐薬品性に優れる、といった効果を奏する。
ここでは、側壁部41は、図3に示すように矩形枠状であり、全周に亘って均一的な高さhsを有する。矩形枠の4つの角部にはそれぞれ、外方に突出する突片が一体に成形されている。各突片は、底板部40との取付箇所(ここではボルト45が取り付けられる箇所)と、後述する冷却ケース8(図5)への取付箇所となる取付部411を構成する。側壁部41を樹脂製とすることで、このような異形状であっても、射出成形などを利用して容易に製造できる。
そして、リアクトルケース4は、組合体10を収納すると、組合体10の一部のみが側壁部41に覆われ、組合体10の他部が側壁部41に覆われず、即ち、ケース4に収納されず露出される大きさである。具体的には、図2に示すように、側壁部41の高さhsが組合体10の高さhよりも低い(hs<h)。側壁部41の高さhsは、組合体10が載置された底板部40の一面、即ち搭載面(内面)40iに直交する方向(図2では上下方向)の大きさを高さと呼ぶとき、底板部40の載置面(内面)40iから側壁部41の開口縁までの高さである。組合体10の高さhは、組合体10が底板部40の載置面(内面)40iに載置された状態において、載置面(内面)40iから組合体40の最も高い個所までの高さとする。ここでは、最も高い個所とは、コイル2のターン形成面のうち、ケース4から最も離れた面であり、図2では上面である。なお、組合体10における最も高い個所を外側コア部32とすることができる。例えば、外側コア部32の底面部40側の面と対向し、ケース4から離れた面(図2では上面)を、コイル2のターン形成面と同等以上とした場合、外側コア部32の上面が最も高い個所になる。
側壁部41の高さhsは、低いほど、組合体10において側壁部41に覆われる高さ方向の領域が小さくなり、液体冷媒8Lとの接触領域48が大きくなるため、放熱性を高められる。一方、側壁部41の高さhsは、高いほど、組合体10の周囲を囲む封止材100の高さ(充填高さ)hpを高められることから、リアクトル1の剛性を高められ、振動や騒音を抑制、低減し易い。放熱性と振動・騒音の抑制との両立を考慮すると、側壁部41の高さhsは、組合体10の高さの70%以下、更に60%以下、特に50%以下が好ましく、10%以上、更に15%以上、特に20%以上が好ましい。ここでは、側壁部41の高さhsは、組合体10の高さの約40%であり、底板部40の載置面40iから外側コア部32の上面までの高さの約50%である。
側壁部41の高さhsが本例のように枠状の側壁部41の全周に亘って均一的である場合、例えば、封止材100の充填高さhpを側壁部41の全周に亘って側壁部41の高さhsと同じ高さにすることができる。この場合、高さhsの側壁部41と充填高さhp=hsの封止材100との双方によってリアクトル1の剛性を高められて好ましい。側壁部41は、その周方向にみたとき、部分的に高さが異なる領域を有することを許容する。この場合、封止材100の充填高さhpは、側壁部41における最も低い個所の高さに規制される。従って、この場合、側壁部41の高さhsとは、封止材100の充填高さhpを最も高くとり得る部分の高さとする。側壁部41を樹脂製とすることで、射出成形などを利用して、高さが部分的に異なる形態を容易に製造することができる。
・封止材
封止材100は、リアクトルケース4内に充填されて、コイル2と磁性コア3との組合体10を一体に固定する機能、振動を吸収して騒音を抑制する機能、組合体10における封止部分(埋設部分)の機械的保護及び環境からの保護(ここでは特に液体冷媒8Lとの接触腐食に対する保護)の機能、放熱経路としての機能、組合体10とその周囲部品とを離隔して絶縁性を高める機能など、多数の機能を有する。
封止材100は、リアクトルケース4内に充填されて、コイル2と磁性コア3との組合体10を一体に固定する機能、振動を吸収して騒音を抑制する機能、組合体10における封止部分(埋設部分)の機械的保護及び環境からの保護(ここでは特に液体冷媒8Lとの接触腐食に対する保護)の機能、放熱経路としての機能、組合体10とその周囲部品とを離隔して絶縁性を高める機能など、多数の機能を有する。
具体的な封止材100は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの絶縁性樹脂が挙げられる。特に、エポキシ樹脂のように比較的硬い樹脂であると、振動・騒音の抑制機能を良好に得られて好ましい。
封止材100は、側壁部41によってその形状が支持される。この例に示す封止材100では、枠状の側壁部41の周方向に沿って、組合体10の全周を囲むように存在する。リアクトル1では、一方の外側コア部32から、一方のコイル素子2a、他方の外側コア部32を経て他方のコイル素子2bというループを描くように封止材100が設けられており、このループ形状が環状の側壁部41によって維持されている。
封止材100の充填高さhpは、側壁部41の高さhsに規制される。上述のように側壁部41の高さhsが組合体10の高さhよりも低いため、封止材100の充填高さhpも、組合体10の高さhよりも低い(hp<h)。封止材100の充填高さhpは、側壁部41の高さhsと等しくすると(hp=hs)、組合体10を囲むように存在する封止材100が多くなり、リアクトル1の剛性を高められる。また、hp=hsのとき、組合体10において側壁部41に囲まれない露出領域は封止材100にも埋設されない領域となる。この露出領域は、順次供給される液体冷媒8Lに接触できる。即ち、この露出領域(接触領域48)は、冷却能力が高い状態にある液体冷媒8Lに常時接触でき、放熱性に優れる。一方、封止材100の充填高さhpが側壁部41の高さhsよりも低い場合(hp<hs)、側壁部41において封止材100が充填されていない空き部分(hs−hpの高さを有する部分)に液体冷媒8Lを一時的に貯留することができる。この場合、上述の空き部分に貯留される液体冷媒8Lによって組合体10を冷却することができる。但し、封止材100の充填高さhpが低過ぎると、側壁部41及び封止材100による剛性を高める効果を十分に得られない。従って、封止材100の充填高さhpは、側壁部41の高さhsの70%以上100%以下が好ましい。また、封止材100の充填作業性を考慮すると、封止材100の充填高さhpは、側壁部41の高さhsの95%以下が好ましい。ここでは、封止材100の充填高さhpは、側壁部41の高さhsの約80%である。
封止材100には、上述の樹脂に、窒化珪素(Si3N4)、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ほう素(BN)、炭化珪素(SiC)、ムライトなどのセラミックスからなるフィラーを含有するものを利用することができる。少なくとも1種の上記セラミックスからなるフィラーを含有することで、封止材100の放熱性や絶縁性などを更に高められる。フィラーの材質によっては、振動・騒音抑制効果も期待できる。
(リアクトルの製造方法)
リアクトル1は、例えば、以下の(1)〜(4)の工程を経て製造することができる(図3参照)。
リアクトル1は、例えば、以下の(1)〜(4)の工程を経て製造することができる(図3参照)。
(1) 準備工程
コイル2と磁性コア3との組合体10、リアクトルケース4の構成部品である底板部40、側壁部41を用意する。底板部40の搭載面(内面)40iに接合層42となる両面接着シートを配置したり、接着剤を塗布したり、スクリーン印刷したりする。上述のように底板部40と側壁部41とが独立していることから、側壁部41を取り外した状態で底板部40に接着シートの配置や接着剤の塗布などを行うと、作業性に優れる。
コイル2と磁性コア3との組合体10、リアクトルケース4の構成部品である底板部40、側壁部41を用意する。底板部40の搭載面(内面)40iに接合層42となる両面接着シートを配置したり、接着剤を塗布したり、スクリーン印刷したりする。上述のように底板部40と側壁部41とが独立していることから、側壁部41を取り外した状態で底板部40に接着シートの配置や接着剤の塗布などを行うと、作業性に優れる。
(2) ケース組立工程
上述の接着シートなどを備える底板部40と、側壁部41とを組み付けて、一体のリアクトルケース4を形成する。ここでは、まず、複数のボルト45によって、底板部40と側壁部41とを一体化する。底板部40と側壁部41とには、ボルト45が取り付けられるボルト孔を設けておく。
上述の接着シートなどを備える底板部40と、側壁部41とを組み付けて、一体のリアクトルケース4を形成する。ここでは、まず、複数のボルト45によって、底板部40と側壁部41とを一体化する。底板部40と側壁部41とには、ボルト45が取り付けられるボルト孔を設けておく。
(3) 組合体の収納工程
組み立てたリアクトルケース4に、組合体10を収納する。すると、組合体10は、底板部40の接着シートなどの上に載置される。この状態で接着シートや接着剤の材質に応じた温度にして適宜硬化して、接合層42とし、この接合層42によって組合体10と底板部40とを接合する。ここでは、接合層42によって、底板部40と側壁部41とも接合されるように、接合層42の大きさを調整している。また、ここでは、接合層42の硬化工程と、底板部40及び側壁部41を接合する接着剤の硬化工程とを同時に行えることから、硬化工程を低減でき、リアクトル1の製造性に優れる。このリアクトル1では、底板部40と側壁部41との固定部材として、接合層42と上述のボルト45とを併用している。
組み立てたリアクトルケース4に、組合体10を収納する。すると、組合体10は、底板部40の接着シートなどの上に載置される。この状態で接着シートや接着剤の材質に応じた温度にして適宜硬化して、接合層42とし、この接合層42によって組合体10と底板部40とを接合する。ここでは、接合層42によって、底板部40と側壁部41とも接合されるように、接合層42の大きさを調整している。また、ここでは、接合層42の硬化工程と、底板部40及び側壁部41を接合する接着剤の硬化工程とを同時に行えることから、硬化工程を低減でき、リアクトル1の製造性に優れる。このリアクトル1では、底板部40と側壁部41との固定部材として、接合層42と上述のボルト45とを併用している。
なお、底板部40に設けた接着シートや接着剤の塗布層などの上に組合体10を載置してから、底板部40に側壁部41を組み付けて、リアクトルケース4を組み立てることもできる。ケース4は、浅いことから、ケース4を組み立ててから組合体10を収納する場合には組合体10を収納し易く、底板部40に組合体10を載置してから側壁部41を組合体10の周囲に配置した後、ケース4を組み立てる場合では組合体10の周囲に側壁部41を配置し易い。つまり、いずれの場合も組立作業性に優れる。
(4) 封止材の充填工程
組合体10を収納したリアクトルケース4内に液状(未硬化)の封止材100を所望の充填高さhpとなるように充填し、適宜、硬化する。こうすることで、枠状の側壁部41の周方向に沿って、組合体10の全周を囲むように容易に封止材100を設けられる。ここでは、コイル3、更にここでは組合体10の全体が底板部10の載置面40iに設けられた接合層42によって予め固定されているため、封止材100の充填時、組合体100におけるケース4内の位置がずれることがなく、充填作業性に優れる。また、ケース4は、浅いことから、充填高さhpが比較的低いため、充填時間の短縮、脱気時間の短縮、硬化時間の短縮などを図ることができ、リアクトル1の製造性に優れる。
組合体10を収納したリアクトルケース4内に液状(未硬化)の封止材100を所望の充填高さhpとなるように充填し、適宜、硬化する。こうすることで、枠状の側壁部41の周方向に沿って、組合体10の全周を囲むように容易に封止材100を設けられる。ここでは、コイル3、更にここでは組合体10の全体が底板部10の載置面40iに設けられた接合層42によって予め固定されているため、封止材100の充填時、組合体100におけるケース4内の位置がずれることがなく、充填作業性に優れる。また、ケース4は、浅いことから、充填高さhpが比較的低いため、充填時間の短縮、脱気時間の短縮、硬化時間の短縮などを図ることができ、リアクトル1の製造性に優れる。
(使用状態)
リアクトル1の使用状態の一例を、図5を参照して説明する。
リアクトル1の使用状態の一例を、図5を参照して説明する。
リアクトル1は、例えば、冷却ケース8に収納され、ケース8内に固定されて利用される。ケース8は、その内部に液体冷媒8Lが供給・排出される容器であり、液体冷媒8Lをケース8内に供給する供給口80iと、ケース8内の液体冷媒8Lをケース8外に排出する排出口80oと、リアクトル1を収納しかつ液体冷媒8Lを貯留可能な空間と、リアクトル1の底板部40を固定する固定部(ここではボルト9が取り付けられるボルト穴)とを備える。液体冷媒8Lは、外部の冷却器(図示せず)によって適宜冷却され所定の温度にされて、ポンプなどの輸送機構(図示せず)によって供給口80iからケース8内に供給される。ケース8内に導入された液体冷媒8Lは、リアクトル1に接触して、リアクトル1を冷却する。リアクトル1に接触して昇温した液体冷媒8Lは、排出口80oからケース8外へ排出され、上述の冷却器などに戻される。このように適宜な輸送機構を利用することで、液体冷媒8Lをケース8内に循環供給することができる。
図5に示す例では、冷却ケース8は、断面矩形状の容器であり、平面で構成される取付面(内底面)81にリアクトル1の底板部40が載置される載置領域を有する。ここでは、この載置領域に、ボルト9が挿入される上記ボルト穴を有する。また、底板部40の外表面とこの載置領域とは面接触する。リアクトル1のリアクトルケース4に備える取付部400,411とボルト穴とにボルト9をねじ込むことで、冷却ケース8内にリアクトル1を固定することができる。リアクトル1の底板部40と冷却ケース8の取付面81とが面接触することで、底板部40を介して伝えられた熱を冷却ケース8に良好に伝えられる。
なお、冷却ケース8は、取付面81から突出し、リアクトル1の底板部40を支持する固定用リブ(図示せず)を備える形態とすることができる。この形態は、固定用リブの端面にリアクトル1の底板部40を配置してボルト9などで固定すると、底板部40の外表面とケース8の取付面81との間に、固定用リブの突出高さ(取付面81に対して直交方向の大きさ)に基づく隙間を設けることができる。底板部40と取付面81との間に設けられる上記隙間は、液体冷媒8Lの流通路に利用することができる。つまり、この固定形態では、リアクトル1は、底板部40の外表面において固定用リブの端面との接触個所を除く実質的に全体が液体冷媒8Lと接触することができ、放熱性により優れる。固定用リブの高さ、固定用リブの個数は適宜選択することができる。固定用リブの個数は、リアクトル1における取付部400,411の個数以上とする。ボルト9が止め付けられる固定用リブには、ネジ加工を行う。
供給口80i及び排出口80oの開口部の大きさ、冷却ケース8における配置箇所は、適宜選択できる。これらを調整したり、輸送条件などを調整したりすることで、例えば、リアクトル1を液体冷媒8Lに浸漬させた状態としたり(図5)、リアクトル1が順次供給された液体冷媒8Lに接触できる状態としたりすることができる。ここでは、リアクトル1をケース8に収納して固定した状態において、供給口80iをケース8の上方(リアクトル1から離れる側)に設け、排出口80oをケース8の取付面81の近く(リアクトル1の固定領域の近く)に設けている。また、排出口80oの口径φoを供給口80iの口径φiよりも小さくし、リアクトル1におけるケース8の取付面81との接触領域を除く全体が液体冷媒Lに常時浸漬されるようにしている。
冷却ケース8の材質は、例えば、金属が挙げられる。金属は、熱伝導率が一般に高く放熱性に優れる、材質によっては液体冷媒8Lに対する耐食性や耐薬品性に優れる、耐熱性に優れる、機械的強度に優れるといった利点を有する。一方、冷却ケース8の材質は、樹脂といった非金属材料が挙げられる。樹脂は、軽量である、材質によっては液体冷媒8Lに対する耐食性や耐薬品性に優れるといった利点を有する。冷却ケース8の具体的な材質は、後述するリアクトルケース4の材質の項に列挙するものが挙げられる。リアクトルケース4と冷却ケース8とは、同一材質である形態、一部が共通の材質である形態、全部が異なる形態のいずれでもよい。
液体冷媒8Lは、リアクトル1の使用時の最高到達温度によって形態が変化しないもの(例えば、液体では気化しないもの)であると、冷却能力が高く、好適に利用できる。具体的な材質は、オートマチックトランスミッションの潤滑油であるATF(Automatic Transmission Fluid)、フロリナート(登録商標)などのフッ素系不活性液体、HCFC−123やHFC−134aなどのフロン系冷媒、メタノールやアルコールなどのアルコール系冷媒、アセトンなどのケトン系冷媒などが挙げられる。リアクトル1が自動車用途である場合などでは、ATFを流用すると、液体冷媒8Lを別途用意しなくてよく、循環供給機構を構築すれば、液体冷媒8Lを利用したリアクトル1の放熱構造を簡単に形成できる。
(用途)
上述のリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
上述のリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
(主要な効果)
リアクトル1は、以下の理由によって、放熱性に優れる。
(1)リアクトル1は、その大半、具体的には、固定対象(冷却ケース8)に接触する箇所以外の全体が液体冷媒8Lに接触できるため、液体冷媒8Lの高い冷却能力を利用して、効果的に放熱できる。
(2)リアクトル1は、特に、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するリアクトルケース4が浅いため、組合体10の一部がケース4に覆われず露出されている。そのため、使用時に発熱して高温になり易いコイル3及びこのコイル3からの熱を受けて高温になり易い磁性コア2の双方についてケース4に覆われない露出領域は、液体冷媒8Lと接触できるため、液体冷媒8Lの高い冷却能力を利用して、効果的に放熱できる。
リアクトル1は、以下の理由によって、放熱性に優れる。
(1)リアクトル1は、その大半、具体的には、固定対象(冷却ケース8)に接触する箇所以外の全体が液体冷媒8Lに接触できるため、液体冷媒8Lの高い冷却能力を利用して、効果的に放熱できる。
(2)リアクトル1は、特に、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するリアクトルケース4が浅いため、組合体10の一部がケース4に覆われず露出されている。そのため、使用時に発熱して高温になり易いコイル3及びこのコイル3からの熱を受けて高温になり易い磁性コア2の双方についてケース4に覆われない露出領域は、液体冷媒8Lと接触できるため、液体冷媒8Lの高い冷却能力を利用して、効果的に放熱できる。
(3)コイル2と磁性コア3との組合体10において封止材10に埋設されている領域については、組合体10と底板部40とが接合層42によって接合されているため、熱伝導性に優れる金属製の底板部40を介して、コイル2及び磁性コア3の双方の熱を効果的に放熱できる。
(4)コイル素子2a,2bが角筒状のエッジワイズコイルであることから、コイル2における底板部40側の領域を平面状にし易く、接合層42を介して底板部40との接触面積を大きく確保し易いことからも、効果的に放熱できる。
(4)コイル素子2a,2bが角筒状のエッジワイズコイルであることから、コイル2における底板部40側の領域を平面状にし易く、接合層42を介して底板部40との接触面積を大きく確保し易いことからも、効果的に放熱できる。
かつ、リアクトル1は、リアクトルケース4の側壁部41及びケース4内に充填される封止材100の双方が組合体10の周囲を囲むように環状に存在するため、一体物としての剛性を高められて、振動や騒音を抑制、低減できる。
以下、リアクトル1の各構成要素について、その他の利用可能な構成を列挙する。
・コイル
コイル2は、代表的には、接続部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して構成される。各コイル素子2a,2bは互いに同一の巻数であり、両コイル素子2a,2bは電気的に直列に接続される。コイル素子2a,2bの端面形状は、上述の角筒状などの他、円環状など、適宜変更することができる。
コイル2は、代表的には、接続部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して構成される。各コイル素子2a,2bは互いに同一の巻数であり、両コイル素子2a,2bは電気的に直列に接続される。コイル素子2a,2bの端面形状は、上述の角筒状などの他、円環状など、適宜変更することができる。
各コイル素子を別々の巻線によって作製し、各コイル素子の巻線の一端部同士を溶接や半田付け、圧着などによって直接接合されたコイルや、別途用意した連結部材(例えば、板材)を介して接合されたコイルとすることができる。
巻線2wは、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁材(代表的にはポリアミドイミド)からなる絶縁被覆を備える被覆線を好適に利用できる。導体は、丸線や平角線が代表的である。この例のように、巻線2wに(被覆)平角線を用いてエッジワイズコイルとした場合、丸線を用いた場合よりも占積率が高いコイルを形成し易いため、小型にし易い。
コイル2を形成する巻線2wの両端部は、絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、端子金具(図示せず)が接続される。端子金具を介して、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。端子金具を介さずに外部装置の接続箇所に直接接続されることもある。巻線2wと端子金具との接合は、適宜な時期に行うとよい。
・磁性コア
内側コア部31,外側コア部32は、軟磁性材料を主成分とするコア片を備える。磁性コア3は、コア片よりも比透磁率が低い材料からなるギャップ材やエアギャップを備えることができる。実施形態1では、図2,図4に示すように内側コア部31をコア片31mとギャップ材31gとが交互に積層配置された積層体とし、外側コア部32をコア片としているが、外側コア部32にギャップ材やエアギャップを備えた形態としたり、磁性コア3全体にギャップ材やエアギャップを有さない形態としたりすることができる。実施形態1では、内側コア部31を直方体状、外側コア部32を、その端面が凸形状(ドーム形状)の異形柱状体としているが、例えば、内側コア部31を円柱状など、外側コア部32を直方体状などとすることができる。コア片やギャップ材31gの形状、個数は適宜選択することができる。
内側コア部31,外側コア部32は、軟磁性材料を主成分とするコア片を備える。磁性コア3は、コア片よりも比透磁率が低い材料からなるギャップ材やエアギャップを備えることができる。実施形態1では、図2,図4に示すように内側コア部31をコア片31mとギャップ材31gとが交互に積層配置された積層体とし、外側コア部32をコア片としているが、外側コア部32にギャップ材やエアギャップを備えた形態としたり、磁性コア3全体にギャップ材やエアギャップを有さない形態としたりすることができる。実施形態1では、内側コア部31を直方体状、外側コア部32を、その端面が凸形状(ドーム形状)の異形柱状体としているが、例えば、内側コア部31を円柱状など、外側コア部32を直方体状などとすることができる。コア片やギャップ材31gの形状、個数は適宜選択することができる。
軟磁性材料には、鉄や鉄合金、希土類元素を含む合金といった金属、フェライトといった非金属などが挙げられる。鉄合金としては、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−N系合金、Fe−Ni系合金、Fe−C系合金、Fe−B系合金、Fe−Co系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、及びFe−Al−Si系合金などが挙げられる。コア片は、上記軟磁性材料からなる軟磁性粉末を用いた成形体や、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、ケイ素鋼板に代表される電磁鋼板)を複数積層した積層体を利用できる。上記成形体は、圧粉成形体(圧粉磁心)、焼結体、軟磁性粉末と樹脂とを含む複合材料などが挙げられる。
圧粉成形体は、代表的には、原料粉末を加圧成形後、適宜熱処理を施すことで製造される。原料粉末は、上述の軟磁性材料からなる軟磁性粉末、上述の軟磁性材料が金属の場合に金属粒子の表面に絶縁被覆を備える被覆粉末、軟磁性粉末や被覆粉末に熱可塑性樹脂などの樹脂や高級脂肪酸などの添加剤(代表的には、熱処理によって消失、又は別の物質(例えば、絶縁物)に変化するもの)を適宜混合した混合粉末が挙げられる。絶縁被覆は、例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物などが挙げられる。被覆粉末を利用すると、金属粒子間に絶縁物が介在して絶縁性に優れ、低損失な圧粉成形体が得られる。また、圧粉成形体は、原料粉末に純鉄粉(好ましくは被覆粉末)を用いると、成形性に優れ、コア片を製造し易い。圧粉成形体の磁気特性は、例えば、飽和磁束密度が1.0T以上、更に1.6T以上、1.8T以上、2T以上、比透磁率が50以上500以下、が挙げられる。
複合材料は、代表的には、射出成形、トランスファー成形、MIM(Metal Injection Molding)、注型成形、軟磁性粉末と粉末状の固体樹脂とを用いたプレス成形などにより製造できる。列挙した製法のうちプレス成形以外の方法では、軟磁性粉末と樹脂とを含む混合物を成形型に充填して成形した後、上記樹脂を適宜硬化することで、所望の立体形状の複合材料が容易に得られる。
複合材料は、複雑な形状のコア片を容易に成形できて好ましい。また、射出成形などによって複合材料のコア片を成形した場合、表面に極薄く樹脂層が形成される傾向にある。従って、磁性コア3のうち、少なくともコイル2に覆われず露出される領域(例えば、外側コア部32)を複合材料とすると、液体冷媒8Lに対する耐食性に優れるリアクトル1とすることができる。また、この樹脂層によって、液体冷媒8L内に複合材料中の粉末が脱落して混入することも防止できると期待される。内側コア部31を複合材料とすることももちろんできる。
複合材料に用いる軟磁性粉末は、上述の軟磁性材料からなる粉末を利用できる。圧粉成形体、複合材料のいずれにおいても、単一の材質の軟磁性粉末のみを用いた形態、材質の異なる複数種の軟磁性粉末を含む形態のいずれも利用できる。また、軟磁性粉末の平均粒径は、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下程度が挙げられる。粒径が異なる複数種の粉末(粗大粉末及び微細粉末)を含む混合粉末を利用してもよい。上記の粒径範囲であると、例えば、複合材料では、上記混合物の流動性に優れて、射出成形などを利用してコア片を製造し易い。
複合材料中のバインダとなる樹脂は、代表的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。その他、PPS樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、又は低温硬化性樹脂を利用することができる。
上記複合材料中の軟磁性粉末の含有量は、複合材料を100体積%とするとき、20体積%以上75体積%以下が挙げられる。軟磁性粉末が20体積%以上であることで、磁性成分の割合が十分に高いため、飽和磁束密度を高め易い。軟磁性粉末が75体積%以下であると、軟磁性粉末と樹脂とを含む混合物の流動性に優れ、複合材料の製造性に優れる。軟磁性粉末の含有量は、30体積%以上、更に40体積%以上が挙げられる。また、軟磁性粉末の含有量は、70体積%以下、更に65体積%以下、60体積%以下が挙げられる。
軟磁性粉末及び樹脂に加えて、アルミナやシリカなどのセラミックスといった非磁性体からなる粉末(フィラー)を含有する複合材料とすることができる。この複合材料は、放熱性の向上、軟磁性粉末の偏在の抑制(均一的な分散)を図ることができる。フィラーは、軟磁性粉末よりも微粒であると、フィラーの含有による軟磁性粉末の割合の低下を抑制できる。フィラーの含有量は、複合材料を100質量%とするとき、0.2質量%以上20質量%以下であると、上記効果を十分に得られる。
上記複合材料は、軟磁性粉末の材質や含有量、フィラーの有無などを調整することで、コア片の磁気特性を容易に調整できる。つまり、所望の磁気特性を有するコア片や磁性コア3を製造し易い。また、複合材料は、樹脂を含有することから、軟磁性粉末の材質が圧粉成形体を構成する粒子の材質と同じである場合でも、飽和磁束密度が低く、かつ比透磁率も低くなる傾向にある。複合材料の磁気特性は、例えば、飽和磁束密度が0.6T以上、更に1.0T以上、比透磁率が5以上50以下、更に10以上35以下が挙げられる。この場合、比透磁率が比較的低いため、ギャップ材31gを省略してギャップレス構造の磁性コア3とすることができる。磁性コア全体の比透磁率(ギャップ材を含む場合はギャップ材も含めた全体の比透磁率)は5以上50以下が挙げられる。
なお、上述の比透磁率及び飽和磁束密度は、以下のようにして測定する。各コア片と同じ材料で、外径34mm、内径20mm、厚さ5mmのリング状試験片を作製する。この試験片に、一次側300巻、二次側20巻きの巻線を施し、試験片のB−H初磁化曲線をH=0(Oe)〜100(Oe)の範囲で測定する。測定には、例えば、理研電子株式会社製BHカーブトレーサ「BHS−40S10K」を用いることができる。得られたB−H初磁化曲線の勾配(B/H)の最大値を求め、この最大値をコア片の比透磁率とする。通常、H=0又はH=0付近で、B−H初磁化曲線の勾配(B/H)は最大となる。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線である。また、ここでの比透磁率とはいわゆる直流透磁率であって、交流磁場中で測定された交流比透磁率とは異なる。コア片の飽和磁束密度は、上記試験片に対して電磁石で10000(Oe)の磁界を印加し、十分に磁気飽和させたときの磁束密度とする。
磁性コア3は、その全体が一様な磁気特性を有する形態、部分的に磁気特性が異なる形態のいずれも利用できる。例えば、内側コア部31と外側コア部32とで磁気特性を異ならせることができる。全体が一様な磁気特性を有する形態は、例えば、(1)内側コア部31と外側コア部32とが共に圧粉成形体である形態、(2)内側コア部31と外側コア部32とが共に複合材料である形態が挙げられる。部分的に磁気特性が異なる形態は、例えば、(1)全てのコア片が複合材料から構成され、内側コア部31のコア片31mと外側コア部32とで異なる磁性粉末の材質や割合である形態、(2)全てのコア片が圧粉成形体であり、内側コア部31のコア片31mと外側コア部32とで異なる材質である形態、(3)内側コア部31のコア片31m(外側コア部32)が複合材料、外側コア部32(内側コア部31のコア片31m)が圧粉成形体や上述の磁性薄板の積層体である形態が挙げられる。
内側コア部31のコア片31mの飽和磁束密度>外側コア部32の飽和磁束密度とすると、内側コア部31における磁束を通過させる箇所の面積を小さくし易く、リアクトル1の小型化を図ることができる。内側コア部31のコア片31mの比透磁率<外側コア部32の比透磁率とすると、外側コア部32の比透磁率が相対的に高いことで、外側コア部32での漏れ磁束を低減し易い。
ギャップ材31gの具体的な材料は、アルミナや不飽和ポリエステルなどの非磁性材料、PPS樹脂などの非磁性材料と磁性材料(例えば、鉄粉などの軟磁性粉末)とを含む混合物などが挙げられる。ギャップ材31gを上記混合物で構成する場合は、ギャップ材31gの比透磁率は、例えば、1.05以上2以下が挙げられる。ギャップ材31gは内側コア部31のコア片31mの端面31e(図4)に対応した形状の平板が代表的である。
・インシュレータ
更に、リアクトル1は、コイル2と磁性コア3との間にインシュレータ5を介在することができる。この形態は、インシュレータ5によって、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高めたり、コイル2と磁性コア3との相互の位置をずれ難くしたりすることができる。
更に、リアクトル1は、コイル2と磁性コア3との間にインシュレータ5を介在することができる。この形態は、インシュレータ5によって、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高めたり、コイル2と磁性コア3との相互の位置をずれ難くしたりすることができる。
図4にインシュレータ5の一例を示す。図4に示すインシュレータ5は、各コイル素子2a、2bの軸方向に分割可能な一対の同一形状の分割片50a,50bを組み合わせて構成される。各分割片50a,50bはそれぞれ、コイル素子2a又はコイル素子2bと内側コア部31との間に介在されて両者を絶縁する周壁部51と、各コイル素子2a,2bの端面と外側コア部32の内端面32eとの間に介在されて両者を絶縁する一対の枠板部52とを備える。周壁部51と枠板部52とは、一体成形物であり、枠板部52の一面から周壁部51が突出している。周壁部51と枠板部52とを別部材とすることができる。
周壁部51は、複数の帯片で構成される。ここでは、¬型の帯片であり、枠板部52における内側コア部31が挿通される開口縁(ここでは、内側コア部31の端面31eの形状に沿った矩形状の周縁)における四つの角部にそれぞれ帯片が設けられている。このような周壁部51が内側コア部31の外周に配置されると、内側コア部31の外周面の一部が帯片間からが露出される。
上記帯片におけるコイル2の軸方向に沿った長さ(突出長さ)は、適宜選択できる。ここでは、分割片50a,50bをコイル2及び磁性コア3に組み合わせたとき、突き合わされた一方の分割片50aの帯片と他方の分割片50bの帯片との合計長さは、内側コア部31における軸方向の長さ(以下、内側コア部の長さと呼ぶ)に実質的に等しくしている。つまり、各分割片50a,50bの帯片の長さは、内側コア部の長さの約半分である。この場合、図4に示すように、帯片の端部を凹凸形状などとして、両分割片50a,50bの帯片同士が係合する構成とすると、両分割片50a,50bの位置決めを行い易く、組合体10の組立作業性に優れる、両分割片50a,50bが位置ずれし難い、分割片50a,50bの連結状態を維持し易い、といった利点がある。コイル2と磁性コア3との絶縁を確保できれば、上記合計長さを内側コア部31の長さよりも短くしても構わない。周壁部51の形状は適宜変更できる。例えば、周壁部51は、内側コア部31の外周面の周方向全周を覆う筒状体としたり、]型の帯片としたりすることができる。
各枠板部52は、コイル素子2a,2bの両端面、及び内側コア部31の端面31eと外側コア部32の内端面32eとの間に介在され、コイル素子2a,2bと外側コア部32との間を絶縁する。枠板部52は、各内側コア部31がそれぞれ挿通可能な一対の開口部(貫通孔)を有するB字状の平板部材である。各枠板部52においてコイル2側に配置される面は、コイル2の端面に面接触するように、コイル素子2a,2bの螺旋状の端面に沿った傾斜形状になっている。また、コイル素子2a,2bの螺旋状の端面に沿って、枠板部52の厚さが徐々に薄く(又は厚く)なっている。
その他、分割片50a,50bは、枠板部52におけるコイル2側に配置される面から突出し、コイル素子2a,2b間に介在されて両者の絶縁を確保する仕切り板53、枠板部52における外側コア部32側に配置される面から突出し、外側コア部32を位置決めする一対の突起からなる位置決め部54を備える。仕切り板53の大きさ、配置領域、位置決め部54の形状、大きさ、配置箇所は、適宜選択できる。例えば、位置決め部を溝で構成してもよい。その他、少なくとも一つの分割片において、枠板部52におけるコイル2側に配置される面から突出し、コイル2の連結部2rと外側コア部32との間に介在される庇部(図示せず)を備えることができる。上述したコイル2側の面に設けられる螺旋状の傾斜、仕切り板53、位置決め部54、及び庇部の少なくとも一つを省略することができる。
インシュレータ4の構成材料は、PPS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
・リアクトルケース
リアクトルケース4の構成材料には、金属や樹脂が挙げられる。具体的な金属は、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、銀やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼などが挙げられる。アルミニウムやその合金は、軽量で放熱性に優れるケース4とすることができる。マグネシウムやその合金は、軽量で制振性に優れるケース4とすることができる。ステンレス鋼は、液体冷媒8Lに対する耐食性、機械的強度に優れるケース4とすることができる。特に、金属は、樹脂に比較して、強度、剛性に優れる傾向にあり、振動や騒音を抑制、低減し易く、放熱性にも優れるリアクトル1を構築できる。その他、金属製のケース4はシールド効果も期待できる。
リアクトルケース4の構成材料には、金属や樹脂が挙げられる。具体的な金属は、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、銀やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼などが挙げられる。アルミニウムやその合金は、軽量で放熱性に優れるケース4とすることができる。マグネシウムやその合金は、軽量で制振性に優れるケース4とすることができる。ステンレス鋼は、液体冷媒8Lに対する耐食性、機械的強度に優れるケース4とすることができる。特に、金属は、樹脂に比較して、強度、剛性に優れる傾向にあり、振動や騒音を抑制、低減し易く、放熱性にも優れるリアクトル1を構築できる。その他、金属製のケース4はシールド効果も期待できる。
一方、リアクトルケース4の構成材料となる具体的な樹脂は、PPS樹脂、PBT樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂などが挙げられる。樹脂は、軽量で、電気絶縁性、液体冷媒8Lに対する耐食性や耐薬品性に優れるケース4とすることができる。
特に、底板部40は、リアクトル1が冷却ケース8に設置されるときに、冷却ケース8に接して固定されることから、強度、放熱性に優れることが好ましい。この点から、底板部40は、上述の金属から構成されることが好ましい。底板部40の厚さは、強度、シールド性、放熱性、騒音特性などを考慮して、例えば、2mm以上5mm以下程度が挙げられる。
側壁部41も金属製とすると、上述のように振動や騒音を抑制、低減し易いリアクトル1を構築できる。ここで、図1,図2に示すようにリアクトルケース4は、底板部40と側壁部41とを分解可能な構成としているため、両者が異種の材料で構成された形態とすることができる。例えば、底板部40と側壁部41とが異種の金属で構成された形態とすることができる。又は、側壁部41を上述の樹脂から構成される形態とすると、コイル2との間の絶縁性の向上及びコイル2と側壁部41とを近接配置できることによるリアクトル1の小型化、ケース4の軽量化、液体冷媒8Lに対する耐薬品性の向上などを図ることができる。例えば、樹脂製の側壁部41の場合、コイル2の外周面と側壁部41の内面との間隔を0mm以上1.0mm以下程度とすることができる。側壁部41の厚さは、コイル2と磁性コア3との組合体10の外周を囲む封止材100を十分に保持でき、かつリアクトル1を十分な剛体に維持でき、並びに液体冷媒8Lによる冷却効果をある程度受けられるように、できるだけ薄いことが好ましい。なお、同種の材料で底板部40と側壁部41とを構成する場合でも、それぞれが独立していることで、別個に製造でき、両者が一体成形物である場合よりも製造し易い。また、この場合、上述の接合層42の形成などを行い易い。
底板部40、側壁部41の外形は適宜選択することができる。ここでは、底板部40は、図3に示すように矩形状であり、四隅のそれぞれから突出したフランジ部を備える。このフランジ部は、冷却ケース8に固定するための取付部400を構成する。側壁部41も取付部411を有しており、底板部40と側壁部41とを組み付けてリアクトルケース4を形成した場合、底板部40の取付部400と側壁部41の取付部411とが重なるように側壁部41も矩形枠状に設けられている。取付部400,411にはそれぞれ、ボルト9(図5)が挿通されるボルト孔が連通するように設けられている。取付部400,411の形状、個数などは適宜選択することができる。側壁部41が樹脂製である場合、ボルト孔を金属管によって構成すると強度に優れる。
底板部40と側壁部41との連結は、ここではボルト45と接着剤とを併用しているが、いずれか一方のみとすることができる。底板部40と側壁部41とを接着剤によって一体化する場合、この接着剤によって両者間を密閉して未硬化の封止材100の漏洩を防止でき、パッキンなどのシール材を省略できる。ボルト45のみによって底板部40と側壁部41とを一体化する場合、底板部40と側壁部41との間にパッキン(図示せず)を備えると、封止材100の充填にあたり、底板部40と側壁部41との隙間から未硬化の封止材100が漏れることを防止できる。
接合層42は、代表的には、リアクトル1の使用時における最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有する樹脂が好適に利用できる。特に、底板部40が金属製である場合、コイル2との絶縁性を高めるために、接合層42の構成材料は絶縁性樹脂が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性の絶縁性樹脂が接合層42に好適に利用できる。この絶縁性樹脂に、上述のセラミックスフィラーが含有された形態とすると、放熱性を向上させることができる。接合層42の熱伝導率は、0.1W/m・K以上、更に0.15W/m・K以上、0.5W/m・K以上、1W/m・K以上、特に2.0W/m・K以上であると、熱伝導性に優れて好ましい。例えば、アルミナからなるフィラーを含有するエポキシ系接着剤を利用すると、熱伝導率が3W/m・K以上の接合層42とすることができる。
[実施形態2]
実施形態1では、リアクトルケース4を構成する底板部40と側壁部41とが独立した部材である形態を説明した。底板部と側壁部とが一体に成形されたリアクトルケース(図示せず)を備える形態とすることができる。この形態では、例えば、金属製のリアクトルケースとすると、上述のように剛性を高められて、振動や騒音を抑制できる上に、熱伝導性に優れるため、放熱性をより高められる。例えば、樹脂製のリアクトルケースとすると、上述のように軽量化、絶縁性、液体冷媒8Lに対する耐食性や耐薬品性に優れる。また、いずれの場合も、側壁部の高さが低く、浅いケースであることから、ケースを製造し易く、組合体10の収納も行い易い。
実施形態1では、リアクトルケース4を構成する底板部40と側壁部41とが独立した部材である形態を説明した。底板部と側壁部とが一体に成形されたリアクトルケース(図示せず)を備える形態とすることができる。この形態では、例えば、金属製のリアクトルケースとすると、上述のように剛性を高められて、振動や騒音を抑制できる上に、熱伝導性に優れるため、放熱性をより高められる。例えば、樹脂製のリアクトルケースとすると、上述のように軽量化、絶縁性、液体冷媒8Lに対する耐食性や耐薬品性に優れる。また、いずれの場合も、側壁部の高さが低く、浅いケースであることから、ケースを製造し易く、組合体10の収納も行い易い。
[実施形態3]
実施形態1では、コイル2と磁性コア3との組合体10において、封止材100に埋設されない領域(接触領域48)が、樹脂などにも覆われず、完全に露出した形態を説明した。この露出領域の少なくとも一部にコーティング層を設けることができる。特に、磁性コア3のうち、コイル2が配置されず露出され、液体冷媒8Lが接触する領域、ここでは外側コア部32にコーティング層(図示せず)を備える形態とすると、外側コア部32の主成分が金属である場合に、外側コア部32における液体冷媒8Lに対する耐食性を高められる。特に、外側コア部32が金属粉末の圧粉成形体である場合、軟磁性粉末の充填率が高いため、錆び易い素材であることから、コーティング層を備えると、錆の発生を効果的に防止できる。また、外側コア部32が圧粉成形体である場合、コーティング層によって、圧粉成形体の構成粉末が液体冷媒8Lに脱落して、液体冷媒8L中に混入することを抑制できる。
実施形態1では、コイル2と磁性コア3との組合体10において、封止材100に埋設されない領域(接触領域48)が、樹脂などにも覆われず、完全に露出した形態を説明した。この露出領域の少なくとも一部にコーティング層を設けることができる。特に、磁性コア3のうち、コイル2が配置されず露出され、液体冷媒8Lが接触する領域、ここでは外側コア部32にコーティング層(図示せず)を備える形態とすると、外側コア部32の主成分が金属である場合に、外側コア部32における液体冷媒8Lに対する耐食性を高められる。特に、外側コア部32が金属粉末の圧粉成形体である場合、軟磁性粉末の充填率が高いため、錆び易い素材であることから、コーティング層を備えると、錆の発生を効果的に防止できる。また、外側コア部32が圧粉成形体である場合、コーティング層によって、圧粉成形体の構成粉末が液体冷媒8Lに脱落して、液体冷媒8L中に混入することを抑制できる。
磁性コア3のうち、複合材料で構成される部分を有する場合、複合材料は、上述のように表面に極薄く樹脂層が形成されることから、コーティング層を設けてなくてもよいが、コーティング層を設けることができる。
コーティング層の構成材料には、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アミドイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂(いわゆるワニス)、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などの各種の樹脂や有機物を利用することができる。また、コーティング層の厚さは0.1mm以上3mm以下が好ましい。コーティング層の厚さを0.1mm以上とすることで、液体冷媒8Lによる組合体10の露出領域(特に磁性コア3の外側コア部32)の腐食を防止できる。コーティング層の厚さを3mm以下とすることで、コーティング層が厚過ぎず、コーティング層を備える領域についても、液体冷媒8Lによる冷却効果が期待できる。コーティング層の形成には、例えば、対象(コア片など)を液状のコーティング剤に浸漬させた後、適宜な方法で硬化させる浸漬法、対象に刷毛やスプレーなどでコーティング剤を塗布する塗布法などが利用できる。
外側コア部32に加えて内側コア部31の表面にもコーティング層31c(図2,図4)を備えることができる。この形態は、内側コア部31の耐食性の向上、コイル2との絶縁性の向上、及び液体冷媒8L中への磁性コア3の構成材料の脱落・混入の防止を図ることができる。内側コア部31のコーティング層31cは、例えば、コア片31mとギャップ材31gとの積層体を作製し、この積層体に対して、上述の浸漬法や塗布法を利用して形成することができる。コーティング層31cを比較的厚く形成する場合、上述のインシュレータ5(特に周壁部51)を省略しても、コイル2と内側コア部31との間の絶縁を確保できる。即ち、コーティング層31cをインシュレータとして機能させることができ、部品点数を低減できる。
その他、磁性コア3の一方又は両方の内側コア部31と、周壁部51と、一方の枠板部52とを樹脂によって一体に成形したコア部品(図示せず)とすることができる。又は、磁性コア3の一方又は両方の内側コア部31と、一方の外側コア部32と、周壁部51と、一方の枠板部52とを樹脂によって一体に成形したコア部品(図示せず)とすることができる。このコア部品では、上記樹脂をコーティング層やインシュレータとして機能させることができる。また、上記コア部品を利用する形態は、組み付け作業が必要な部品点数を低減できるため、リアクトル1の製造性に優れる。この樹脂には、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、ナイロン6、ナイロン66、PBT樹脂などの熱可塑性樹脂が利用できる。又、コイル2と磁性コア3との組合体10の全体を覆うようにコーティング層を設けることができる。
[実施形態4]
図6に示すように、リアクトルの動作時の物理量を測定するためのセンサ7を備える形態とすることができる。特に、センサ7の配置箇所は、コイル2が一対のコイル素子2a,2bを備える場合、両コイル素子2a,2bとリアクトルケース4の底板部40とで囲まれる空間(図6では台形状空間)とすることが挙げられる。センサ7の配置箇所を上記空間とすると、リアクトル、特にコイル2の物理量を正確に測定し易い。ここで、実施形態1のリアクトル1は、液体冷媒8Lに浸漬される得る箇所(冷却ケース8内)に収納される。そのため、センサ7を液体冷媒8Lに接触し得る箇所に配置すると、リアクトル1の物理量を適切に測定できない恐れがある。一方、リアクトル1では、上記空間に封止材100が充填される。従って、上記空間にセンサ7が配置されることで、上記空間内のセンサ7の周囲が封止材100で覆われ、センサ7が液体冷媒8Lに直接接触することがない。特に、センサ7が、上記空間に、別途接着剤70によって固定された形態とすると、センサ7が液体冷媒8Lに接触せず、かつ、センサ7を接着剤70で固定してから封止材100を充填することで、封止材100の充填時にセンサ7の位置がずれることも防止できて好ましい。
図6に示すように、リアクトルの動作時の物理量を測定するためのセンサ7を備える形態とすることができる。特に、センサ7の配置箇所は、コイル2が一対のコイル素子2a,2bを備える場合、両コイル素子2a,2bとリアクトルケース4の底板部40とで囲まれる空間(図6では台形状空間)とすることが挙げられる。センサ7の配置箇所を上記空間とすると、リアクトル、特にコイル2の物理量を正確に測定し易い。ここで、実施形態1のリアクトル1は、液体冷媒8Lに浸漬される得る箇所(冷却ケース8内)に収納される。そのため、センサ7を液体冷媒8Lに接触し得る箇所に配置すると、リアクトル1の物理量を適切に測定できない恐れがある。一方、リアクトル1では、上記空間に封止材100が充填される。従って、上記空間にセンサ7が配置されることで、上記空間内のセンサ7の周囲が封止材100で覆われ、センサ7が液体冷媒8Lに直接接触することがない。特に、センサ7が、上記空間に、別途接着剤70によって固定された形態とすると、センサ7が液体冷媒8Lに接触せず、かつ、センサ7を接着剤70で固定してから封止材100を充填することで、封止材100の充填時にセンサ7の位置がずれることも防止できて好ましい。
センサ7は、例えば、温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサ、加速度センサなどが挙げられる。より具体的なセンサ7として、サーミスタといった感熱素子と、感熱素子を保護する保護部(例えば、樹脂などのチューブ)とを備える温度センサが挙げられる。接着剤70は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤などを利用できる。上述の接合層42を形成する接着シートや接着剤の上に、センサ7を固定する接着剤70を別途設けることができるが、この接着シートなどをセンサ7の固定にも利用することができる。つまり、接合層42がセンサ7を固定する接着剤70を兼ねる。この場合、この接着シートなどの硬化工程で、組合体10と底板部40との接合、底板部40と側壁部41との接合、センサ7の底板部40への固定を同時に行えて、リアクトル1の製造性に優れる。
[実施形態5]
実施形態1では、リアクトル1の収納対象として冷却ケース8を説明したが、実施形態のリアクトルとして、冷却ケース8を備える形態とすることができる。
実施形態1では、リアクトル1の収納対象として冷却ケース8を説明したが、実施形態のリアクトルとして、冷却ケース8を備える形態とすることができる。
[実施形態6]
実施形態1〜5のリアクトルは、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
実施形態1〜5のリアクトルは、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、図7に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、図7では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態とすることができる。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図8に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET,IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施形態1〜5のリアクトル1などを備える。特に、コンバータ1110内に液体冷媒8Lを供給可能な冷却ケース8を備える場合、この冷却ケース8内にリアクトル1などを収納することで、放熱性に優れる上に、振動や騒音を抑制できる構造を容易に構築することができる。電力変換装置1100やコンバータ1110は、放熱性に優れる上に、振動や騒音を抑制できるリアクトル1などを備えることで、放熱性に優れ、振動や騒音を抑制できる。
なお、車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態1〜5のリアクトルなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施形態1〜5のリアクトルなどを利用することもできる。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や空調機のコンバータなどの種々のコンバータ、電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
1 リアクトル 10 組合体 100 封止材
2 コイル
2a,2b コイル素子 2r 連結部 2w 巻線
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面 31m コア片 31g ギャップ材
32 外側コア部 32e 内端面 31c コーティング層
4 リアクトルケース
40 底板部 40i 載置面(内面) 41 側壁部 42 接合層
400,411 取付部 45 ボルト 48 液体冷媒との接触領域
5 インシュレータ
50a,50b 分割片 51 周壁部 52 枠板部 53 仕切り板
54 位置決め部
7 センサ
70 接着剤
8 冷却ケース
80i 供給口 80o 排出口 81 取付面
8L 液体冷媒
9 ボルト
h 組合体の高さ hs 側壁部の高さ hp 充填高さ
1100 電力変換装置 1110 コンバータ
1111 スイッチング素子 1112 駆動回路 L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両 1210 メインバッテリ 1220 モータ
1230 サブバッテリ 1240 補機類 1250 車輪
2 コイル
2a,2b コイル素子 2r 連結部 2w 巻線
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面 31m コア片 31g ギャップ材
32 外側コア部 32e 内端面 31c コーティング層
4 リアクトルケース
40 底板部 40i 載置面(内面) 41 側壁部 42 接合層
400,411 取付部 45 ボルト 48 液体冷媒との接触領域
5 インシュレータ
50a,50b 分割片 51 周壁部 52 枠板部 53 仕切り板
54 位置決め部
7 センサ
70 接着剤
8 冷却ケース
80i 供給口 80o 排出口 81 取付面
8L 液体冷媒
9 ボルト
h 組合体の高さ hs 側壁部の高さ hp 充填高さ
1100 電力変換装置 1110 コンバータ
1111 スイッチング素子 1112 駆動回路 L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両 1210 メインバッテリ 1220 モータ
1230 サブバッテリ 1240 補機類 1250 車輪
Claims (5)
- コイルと磁性コアとの組合体と、
前記組合体の一部を収納するリアクトルケースと、
前記リアクトルケース内に充填されて、前記組合体を前記リアクトルケースに封止する封止材とを備え、
前記リアクトルケースは、
前記組合体が載置され、前記組合体と共に液体冷媒が供給される箇所に配置される底板部と、
前記底板部に立設され、前記組合体における前記底板部側の領域の周囲を囲むと共に前記封止材を支持する枠状の側壁部とを備え、
前記側壁部の高さが前記組合体の高さよりも低いリアクトル。 - 前記底板部と前記側壁部とは、異種の材料で構成されている請求項1に記載のリアクトル。
- 前記磁性コアのうち、前記コイルが配置されずに露出され、前記液体冷媒が接触する領域にコーティング層を備える請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
- 前記リアクトルの動作時の物理量を測定するセンサを備え、
前記コイルは、互いに接続されると共に、軸が平行するように並列に配置される一対のコイル素子を備え、
前記センサは、前記一対のコイル素子と前記底板部とで囲まれる空間に接着剤によって固定されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記底板部を固定する固定部を備え、前記リアクトルケースに封止された前記組合体を収納すると共に、前記液体冷媒が供給及び排出される冷却ケースを有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
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