JP2013162069A - リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 - Google Patents

リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ギャップレスでかつ組立作業性に優れるリアクトルを提供する。
【解決手段】筒状のコイル2と、このコイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3と、を備えるリアクトル1である。リアクトル1の磁性コア3は、断面T字型コア部30と、コイル2の外周を覆う筒状の外側コア部32と、断面T字型コア部30(内側コア部31)と外側コア部32とを連結する他側端部コア部34と、を備える。断面T字型コア部30の比透磁率μは、外側コア部32の比透磁率μおよび他側端部コア部34の比透磁率μに比べて高い。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハイブリッド自動車や電気自動車などの駆動源に電力を利用する車両に搭載される車載用DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトル、このリアクトルを備えるコンバータ、及びこのコンバータを備える電力変換装置に関する。特に、ギャップレスでかつ組立作業性に優れるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば特許文献1,2には、ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるコンバータに利用されるリアクトルが開示されている。リアクトルは、巻線を巻回してなる筒状のコイルと、コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを備える。磁性コアの形状としては、特許文献1,2に開示されるように、コイルの内側に配置される内側コア部と、コイルの外周側に配置される外側コア部と、コイルの各端面側にそれぞれ配置され、内側コア部と外側コア部とを連結する一対の一側端部コア部および他側端部コア部とを備える、所謂ポット型コアが挙げられる。
磁性コアを構成する磁性材料には、電磁鋼板を積層した積層鋼板、表面に絶縁被膜を有する磁性粉末を加圧成形した圧粉成形体、バインダとなる樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂などが利用されている。また、特許文献1,2には、磁性コアの一部を高比透磁率材料で形成し、残りを磁性粉末混合樹脂(特許文献1では成形硬化体)といった低比透磁率材料で形成することが開示されている。このように磁性コアの磁気特性を部分的に異ならせることで、磁性コア全体の比透磁率を調整することができ、ギャップレスで磁性コアの磁気飽和を回避することができる。
特開2009−33051号公報 特開2011−138939号公報
しかし、従来構成では部品点数が多く、組立作業性が芳しくないという問題があった。また、ハイブリッド自動車などの車両に搭載され、大電流で使用されるリアクトルの場合、磁気飽和し難いギャップレス構造のリアクトルとするために、磁性コアのどの部分を高比透磁率とし、どの部分を低比透磁率とするかについても検討の余地がある。
そこで、本発明の目的の一つは、ギャップレスでかつ組立作業性に優れるリアクトルを提供することにある。また、本発明の別の目的は、このリアクトルを備えるコンバータ、及びこのコンバータを備える電力変換装置を提供することにある。
本発明リアクトルは、筒状のコイルと、コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを備え、磁性コアは、コイルの内部に配置される柱状の内側コア部と、コイルの外周を覆う筒状の外側コア部と、内側コア部と外側コア部とを連結する一側端部コア部および他側端部コア部と、を備える。この本発明リアクトルでは、内側コア部と一側端部コア部とが繋ぎ目なく一体に形成された断面T字型コア部を形成している。そして、本発明リアクトルは、リアクトルに備わる断面T字型コア部、外側コア部、および他側端部コア部の比透磁率をそれぞれμ、μ、及びμとしたとき、各コア部の比透磁率がμ>μ、およびμ>μを満たすことを特徴とする。
内側コア部と一側端部コア部とを一体化した断面T字型コア部とすることで、磁性コアを構成する部品点数を従来よりも減らすことができるので、リアクトルの組立作業性を従来よりも向上させることができる。また、断面T字型コア部を採用することで、この断面T字型コア部にコイルを嵌め込むだけで、両者の位置関係を決めることができる。このことも、リアクトルの組立作業性が向上する要因である。
上記構成のように、高比透磁率の断面T字型コア部と、その断面T字型コア部よりも低比透磁率の外側コア部および他側端部コア部とで磁性コアを構成することで、磁性コア全体の比透磁率を容易に調整することができる。そのため、本発明リアクトルでは、磁性コア全体の比透磁率を調整し、磁性コアの磁気飽和を抑制するためのギャップが不要となる。特に、内側コア部と一側端部コア部を含む断面T字型コア部を、磁性コア中で最も比透磁率が高い部分とすることで、磁性コアの飽和磁束密度を大きくすることができるので、大電流での使用に耐え得るリアクトルとすることができる。なお、各コア部を連結するには接着剤を用いるが、本明細書ではこの接着剤をギャップとは解さない。
本発明リアクトルの一形態として、外側コア部と他側端部コア部とが繋ぎ目なく一体に形成された有底筒状コア部を形成している形態とすることができる。
上記構成によれば、リアクトルの組立作業性をさらに向上させることができる。それは、断面T字型コア部と有底筒状コア部の二つを組み合わせるだけで磁性コアを完成させることができるからである。
本発明リアクトルの一形態として、外側コア部と他側端部コア部とが、別個に形成されており、他側端部コア部の比透磁率μが、前記外側コア部の比透磁率μよりも大きい形態としても良い。
上記構成とすることで、コイルの銅損を低減することができる。従来構成のリアクトルでは、内側コア部と端部コア部とが連結される角部において、磁束が端部コアを流れずに、内側コア部から外側コア部(或いは、その逆)に向かってショートカットする漏れ磁束(つまりコイル端部を透過する漏れ磁束)が多くなり、コイルに生じる銅損が大きくなる。これに対して、上記構成のように断面T字型コア部のμ>他側端部コア部のμ>外側コア部のμとすると、断面T字型コア部の内側コア部から他側端部コア部への磁束の流れを円滑にし、もって内側コア部から外側コア部に向かってショートカットする漏れ磁束を低減することができる。因みに、内側コア部と一側端部コア部とが連結される角部では上記漏れ磁束が従来構成のように多くなることはない。それは、内側コア部と一側端部コア部とが一体に形成された断面T字型コア部となっており、しかも断面T字型コア部の比透磁率が磁性コア中で最も高いからである。
本発明リアクトルの一形態として、リアクトルに備わる各コア部および各コア部を組み合わせた磁性コアは次に列挙する磁気特性を備えることが好ましい。
・断面T字型コア部の比透磁率は15〜500
・外側コア部および他側端部コア部の比透磁率は5〜15
・磁性コア全体の比透磁率は10〜50
なお、ここでいう上記各コア部の比透磁率とは、次のようにして求めたものをいう。コア部と同じ材料で、外径34mm、内径20mm、厚さ5mmのリング状試験片を作製する。この試験片に、一次側300巻き、二次側20巻きの巻線を施して、試験片のB−H初磁化曲線をH=0〜100エルステッド(Oe)の範囲で測定する。この測定には、例えば、理研電子株式会社製BHカーブトレーサ「BHS−40S10K」を使用することができる。そして、得られたB‐H初磁化曲線の勾配(B/H)の最大値を求め、それをコア部の比透磁率とする。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線である。
一方、上記各コア部の飽和磁束密度は、上記試験片に対して電磁石で10000(Oe)の磁界を印加し、十分に磁気飽和させたときの磁束密度とする。
上記構成を備えるリアクトルは、100A以上の大電流で使用しても磁気飽和することがなく、例えば、車載用のリアクトルとして好適に利用することができる。
本発明リアクトルの一形態として、断面T字型コア部が、圧粉成形体で形成されており、外側コア部および他側端部コア部がいずれも、磁性粉末混合樹脂で形成されていることが好ましい。
ギャップレスに形成される本発明リアクトルにおいて、磁性コアを構成する各コア部は、圧粉成形体もしくは磁性粉末混合樹脂で形成される。断面T字型コア部は、圧粉成形体もしくは磁性粉末混合樹脂のいずれでも良いが、『断面T字型コア部の比透磁率>他のコア部の比透磁率』を満たす必要がある。ここで、圧粉成形体と磁性粉末混合樹脂の比透磁率の大小関係は、含まれる磁性成分の含有量を反映して、圧粉成形体>磁性粉末混合樹脂となるので、上記構成のように断面T字型コア部を圧粉成形体、その他のコア部を磁性粉末混合樹脂とすれば、『断面T字型コア部の比透磁率>他のコア部の比透磁率』の関係を確実に満たすことができる。
なお、断面T字型コア部を圧粉成形体とする場合、その他のコア部は断面T字型コア部よりも磁性成分の含有量が少ない圧粉成形体としても良い。また、断面T字型コア部を磁性粉末混合樹脂としても良く、その場合、その他のコア部は断面T字型コア部よりも磁性成分の含有量が少ない磁性粉末混合樹脂とすれば良い。
本発明リアクトルの一形態として、リアクトルに備わる他側端部コア部は、断面T字型コア部を構成する内側コア部の先端が嵌め込まれる第一凹部を備える形態を挙げることができる。
他側端部コア部に第一凹部を形成することにより、断面T字型コア部の内側コア部から他側端部コア部への磁束の流れをスムーズにし、コイル端部を通過して内側コア部から外側コア部(あるいは、その逆)にショートカットする漏れ磁束が生じることを抑制できる。また、リアクトルを組み立てる際、断面T字型コア部に対する他側端部コア部の位置を容易に決めることができ、リアクトルの組立作業性を向上させることができる。さらに、第一凹部と内側コア部との嵌め合いによって、リアクトルを組み立てる際や組み立てた後に両者の位置がズレることを効果的に防止できる。
本発明リアクトルの一形態として、リアクトルに備わる他側端部コア部は、コイルの端部が嵌め込まれる第二凹部を備える形態を挙げることができる。
他側端部コア部に第二凹部を形成することにより、リアクトルを組み立てる際、他側端部コア部とコイルとの相対的な位置を容易に決めることができ、リアクトルの組立作業性を向上させることができる。また、第二凹部とコイルとの嵌め合いによって、リアクトルを組み立てる際や組み立てた後に両者の位置がズレることを効果的に防止できる。なお、第一凹部と第二凹部の両方を設ける場合、第一凹部を第二凹部よりも深く形成することが好ましい。そうすることで、内側コア部から外側コア部にショートカットする漏れ磁束を効果的に抑制できる。
本発明リアクトルの一形態として、断面T字型コア部を構成する一側端部コア部と、コイルとの間に配置され、断面T字型コア部に対するコイルの位置を決める位置決め部材を備える形態を挙げることができる。
位置決め部材を設けることで、断面T字型コア部に対するコイルの位置を容易に決めることができるし、リアクトルを組み立てる際や組み立てた後に両者の位置がズレることを効果的に防止できる。また、この位置決め部材は絶縁性材料で形成することが好ましく、そうすることで、断面T字型コア部とコイルとの間の絶縁をより確実にすることができる。
本発明リアクトルの一形態として、断面T字型コア部を構成する一側端部コア部の外端面は、リアクトルを設置する設置対象に対向する取付面であることが好ましい。
既に述べたように、断面T字型コア部は、磁性コアを構成する各コア部のうち最も高い比透磁率を有するコア部である。即ち、断面T字型コア部の磁性成分の含有率が、磁性コアを構成する各コア部のうちで最も高い。磁性成分は一般に絶縁成分に比べて高い熱伝導率を有するので、上記一側端部コア部を設置対象への取付面とすると、リアクトルの運転時に生じた熱を効率的に設置対象(冷却ベースの表面や、リアクトルがケースに収納される場合はケースの内底面など)に放熱することができる。
本発明リアクトルの一形態として、コイルは、その表面を覆う絶縁性樹脂からなる樹脂モールド部を備える形態とすることができる。
樹脂モールド部により、リアクトルにおけるコイルと磁性コアとの間の絶縁性を高めることができる。上記樹脂モールド部は、さらにコイルと断面T字型コア部とを一体化させる機能を有していても良い。つまり、コイルと断面T字型コア部とが樹脂モールド部によって一体化されて一つの部材となっていても良い。そうすることで、リアクトルの組立作業性を向上させることができる。
本発明のリアクトルは、コンバータの構成部品に好適に利用することができる。本発明のコンバータは、スイッチング素子と、スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にするリアクトルとを備え、スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するものである。そして、リアクトルが上記した本発明のリアクトルであることを特徴とする。
また、本発明のコンバータは、電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。本発明の電力変換装置は、入力電圧を変換するコンバータと、コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを備え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するためのものである。そして、コンバータが上記した本発明のコンバータであることを特徴とする。
本発明のコンバータ及び電力変換装置は、組立作業性に優れる本発明のリアクトルを備えることで、量産性に優れる。
本発明リアクトルは、内側コア部と一側端部コア部とが一体となった断面T字型コア部を有するため、従来よりも磁性コアの構成部品が少なく、組立作業性に優れる。また、その断面T字型コア部の比透磁率が磁性コア中で最も高いため、本発明リアクトルは、大電流で使用した場合でも磁気飽和し難いリアクトルとなる。また、本発明のコンバータ及び電力変換装置は、上記した本発明のリアクトルを備えることで、量産性に優れる。
実施形態1に係るリアクトルの概略斜視図である。 (A)は、実施形態1に係るリアクトルを構成する部材の分解斜視図、(B)は(A)に示す他側端部コア部を下方から見た斜視図である。 実施形態1に係るリアクトルに備わるコイルの概略斜視図である。 ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す概略構成図である。 本発明コンバータを備える本発明電力変換装置の一例を示す概略回路図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、以下の説明では、リアクトルの設置対象(例えば、冷却ベース)が紙面下側にあるものとする。
<実施形態1>
図1,2に示す本実施形態のリアクトル1は、筒状のコイル2(特に図3を参照)と、このコイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3と、を備える。磁性コア3は、図2に示すように、従来同様、コイル2の内側に配置される柱状の内側コア部31と、コイル2の外周を覆う筒状の外側コア部32と、内側コア部31と外側コア部32とを連結する一側端部コア部33および他側端部コア部34と、を備える。この本発明リアクトル1の最も特徴とするところは、〔1〕内側コア部31と一側端部コア部33とが繋ぎ目なく一体に形成された断面T字型コア部30となっていること、〔2〕この断面T字型コア部30の比透磁率μが、外側コア部32の比透磁率μおよび他側端部コア部34の比透磁率μに比べて高いこと(μ>μ,μ>μ)、にある。以下、このリアクトル1の各構成を詳細に説明する。
≪コイル≫
本実施形態では、コイル2は、その表面に絶縁性樹脂からなる樹脂モールド部2rが形成されたコイル成形体20の形態で使用されている(図2参照)。樹脂モールド部2rは、コイル2を一定の形状に保持する機能を有しており、リアクトル1の組み立て時などにおいて、コイル2が伸縮せず、コイル2の取り扱いが容易になる。また、樹脂モールド部2rにより、コイル2を自由長よりも圧縮した状態に保持することもできるため、コイル2の長さを自然長よりも短くでき、コイル2を小型にすることができる。さらに、樹脂モールド部2rは、コイル2とその周辺に配置される他の構成部品(磁性コア3)との間の絶縁性を高める機能を有する。
コイル2は、図3に示すように、1本の連続する巻線を螺旋状に巻回してなる筒状体である。巻線は、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料(代表的にはポリアミドイミドといったエナメル材料)からなる絶縁被覆を備える被覆線が好適である。導体は、断面形状が長方形状である平角線、円形状である丸線、多角形状である異形線などの種々の形状のものを利用できる。絶縁被覆を備える平角線を用いる場合、図3に示すように、平角線をエッジワイズ巻きしてコイル2を形成すると、コイル2の占積率を高めることができ、コイル2の小型化(即ち、リアクトルの小型化)を図ることができる。
コイル2の端面形状(コイル2の軸に直交する方向の断面形状)は、図3に示すように、円形状が代表的である。円筒状のコイル2は、巻線に平角線を用いた場合でも巻回し易く、コイルの製造性に優れる上に、小型なコイルにし易い。コイル2の端面形状は、非円形状とすることも可能である。例えば、楕円などの実質的に曲線のみからなる形状、多角形(例えば、長方形など)の各角部を丸めた形状や直線と円弧とを組み合わせてなるレーストラック形状といった直線と曲線とを組み合わせてなる形状などが挙げられる。
コイル2を形成する巻線の端部2a,2bは両方とも、ターン部分から他側端部コア部34側に引き延ばされている(図2を参照)。端部2a,2bでは、平角線の絶縁被覆が剥がされ、露出した導体に銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる端子部材(図示せず)が取り付けられる。この端子部材を介して、コイル2に電力が供給される。
一方、図2に示すコイル2の表面を覆う樹脂モールド部2rの厚さは、適宜選択することができ、例えば、0.1mm〜10mm程度が挙げられる。樹脂モールド部2rの厚さは、厚いほど絶縁性の向上を図ることができ、薄いほど放熱性の向上を図ることができ、0.1mm〜3mm程度が好ましい。なお、樹脂モールド部2rは、被覆箇所の全域に亘って実質的に均一な厚さとしてもよいが、所望の機能(コイルの絶縁や部品の保持など)を満たせば、部分的に異なる厚さとしてもよい。
樹脂モールド部2rを形成する絶縁性樹脂は、コイル2と磁性コア3との間を十分に絶縁可能な程度の絶縁特性と、リアクトル1の使用時における最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性とを有し、トランスファー成形や射出成形などが可能な樹脂が好適に利用できる。例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。また、樹脂モールド部2rには、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを絶縁性樹脂に混合したものを利用すると、絶縁性に優れる上に放熱性にも優れる。例えば、熱伝導率が1W/m・K以上、更に2W/m・K以上を満たすものが放熱性に優れて好ましい。ここでは、樹脂モールド部2rにフィラーを含有したエポキシ樹脂(熱伝導率:2W/m・K)を利用している。
樹脂モールド部2rを備えるコイル成形体20の製造には、例えば、特開2009−218293号公報に記載された製造方法を利用することができる。具体的には、射出成形やトランスファー成形、注型成形などの種々の成形方法により、コイル2の表面に樹脂モールド部2rを形成することができる。
樹脂モールド部2rには、放熱部材を埋設しても良い。例えば、コイル成形体20の内周側で樹脂モールド部2rから露出するように、断面円弧型の雨樋状の放熱部材を樹脂モールド部2rに埋設する。もちろん、コイル成形体20の外周面側にも樹脂モールド部2rから露出するように放熱部材を樹脂モールド部2rに埋設しても良い。
≪磁性コア≫
磁性コア3は、図2(A)に示すように、断面T字型コア部30と、外側コア部32と、他側端部コア部34とを組み合わせて形成され、その全体に亘って実質的にギャップが設けられていないギャップレス構造である(なお、図2(B)では、他側端部コア部34のみ下面から見た図となっている)。各コア部間の連結には接着剤などが用いられているが、本発明ではこの接着剤をギャップとは見做さない。
[断面T字型コア部]
断面T字型コア部30は、板状の一側端部コア部33の一面側に、柱状の内側コア部31が立設された構成を備え、内側コア部31を縦断する断面が文字通りT字型となった磁性部材である。内側コア部31と一側端部コア部33との間に繋ぎ目はなく、断面T字型コア部30において局部的な磁性成分の偏りは殆どない。内側コア部31の軸方向長さは、コイル2の軸方向の長さよりも長く、内側コア部31の外周にコイル2を配置すれば、コイル2の紙面上方端面(他側端部コア部34が配置される側)から内側コア部31の先端が突出する。
上記一側端部コア部33の下面(内側コア部31が設けられる側とは反対側の面)は、図示しない設置対象への取付面となる。設置対象は、冷却ベースであっても良いし、リアクトル1をケースに収納して冷却ベースに固定するのであれば、そのケースの底面であっても良い。
なお、図面上、内側コア部31は円柱状、一側端部コア部33は円盤状としたが、このような形状に限定されるわけではない。例えば、内側コア部31の横断面が多角形状の柱状体であっても良いし、横断面が異形状(例えば、断面がレーストラック形状のもの)の柱状体であっても良い。また、一側端部コア部33も平面視したときの輪郭が多角形状の板体であっても良いし、異形状の板体であっても良い(後述する他側端部コア部34も同様)。
本実施形態1のリアクトル1を組み立てる際は、断面T字型コア部30を平面に載置し、内側コア部31の部分にコイル成形体20を嵌め込めば良い。ここで、本実施形態では、断面T字型コア部30の内側コア部31の外周に、環状の位置決め部材52が嵌め込まれている(内側コア部31とは別体で、図面上、内側コア部31の中間部に留まっているが、リアクトル1の組み立て時には一側端部コア部33の位置まで下がる)。位置決め部材52によって、断面T字型コア部30に対するコイル成形体20の位置を容易に決めることができ、断面T字型コア部30とコイル成形体20との位置ズレも効果的に防止できる。この位置決め部材52は、絶縁性材料(例えば、ボビンに使用する材質と同じもの)で形成することが好ましく、そうすることで、コイル2と断面T字型コア部30との絶縁を確実にすることができる。
[外側コア部]
外側コア部32は、筒状の磁性部材であり、その内部にコイル成形体20を挿入できる形状に形成されている。外側コア部32の内周面には、外側コア部32の軸方向に沿った二本の溝部32a,32bが形成されている。この溝部32a,32bは、コイル成形体20のうち、コイル2のターン部分から引き出されて、ターン部分の外周側に突出している部分の形状に沿うように形成されている。そのため、コイル成形体20のいずれの端面側からもコイル成形体20の外周に外側コア部32を嵌め込むことができる。また、上記溝部32a,32bは、コイル成形体20の外周に外側コア部32を嵌め込んだときに外側コア部32の軸方向周りの回転を抑制する機能もある。
[他側端部コア部]
他側端部コア部34は、板状の磁性部材であって、外側コア部32に対向する面に第一凹部34cと第二凹部34dを備える(図2(B)参照)。第一凹部34cは、内側コア部31の先端の形状に対応した形状(本実施形態では円形凹部)、第二凹部34dは、コイル成形体20の端面形状に対応した形状となっており、第一凹部34cの方が、第二凹部34dよりも深くなっている。そのため、断面T字型コア部30にコイル成形体20を嵌め込んで、そのコイル成形体20の外周に外側コア部32を嵌め込み、さらに外側コア部32の開口端を他側端部コア部34で封止すれば、他側端部コア部34の第一凹部34c(第二凹部34d)に内側コア部31(コイル成形体20)の先端が嵌まり込む。これら第一凹部34cと第二凹部34dは、組み合わせる部材同士の位置決めを容易にする機能と、リアクトル1の組み立ての際、および組み立て後の部材同士の位置ズレを防止する機能を備える。なお、第一凹部34cには、リアクトル1の磁気特性を改善する機能もあるが、その点については後述する。
上記他側端部コア部34にはさらに、貫通孔34a,34bが形成されている。この貫通孔34a,34bから、磁性コア3の外部にコイル2の端部2a,2bを引き出せるようになっている。ここで、コイル2の端部2a,2bには、コイル2のターン部分に比較して、高電圧が加わる場合がある。そのため、本実施形態では、コイル2をモールドする樹脂モールド部2rが、貫通孔34a,34bに対応する部分まで延長して設けられている(図2参照)。なお、樹脂モールド部2rの代わりに、絶縁紙や絶縁テープ(例えば、ポリイミドテープ)、絶縁フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)などの絶縁材を適宜巻き付けることで、高電圧が加わる部分の絶縁を確保しても良い。その他、絶縁材をディップコーティングする、あるいは絶縁性チューブ(熱収縮チューブ及び常温収縮チューブのいずれでもよい)を配置することで、当該絶縁を確保しても良い。
[各コア部の構成材質]
各コア部30,32,34は、圧粉成形体もしくは磁性粉末混合樹脂のいずれかで構成することができる。
(圧粉成形体)
まず、圧粉成形体について説明する。圧粉成形体は、代表的には、表面に絶縁被膜を有する磁性粉末を加圧成形した後、適宜熱処理を施すことで製造することができる。圧粉成形体の材料には、鉄基材料や希土類金属などの軟磁性材料からなる粒子の表面に絶縁被覆を備える被覆粉末やフェライト粉末に、熱可塑性樹脂などの樹脂や高級脂肪酸などの添加剤(上記熱処理によって消失、又は絶縁物に変化するもの)を加えた混合材料を用いることが挙げられる。上記製造方法によって、軟磁性粒子の周囲が絶縁被覆(例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物など)で覆われ、当該粒子間に絶縁物が介在する圧粉成形体が得られる。絶縁被覆を備える圧粉成形体は、絶縁性に優れ、渦電流損を低減することができる。軟磁性材料をフェライトとする場合、絶縁被覆を備えていなくても、絶縁性に優れる。
使用する磁性粉末の平均粒径は、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下とすることが好ましい。磁性粉末は、粒径が異なる複数種の粉末が混合されたものでも良い。微細な粉末と粗大な粉末とを混合した磁性粉末を圧粉成形体の材料に用いた場合、飽和磁束密度が高く、低損失なリアクトルが得られ易い。なお、圧粉成形体における磁性粉末と材料に用いた粉末とは、その大きさが実質的に同じである(維持されている)。
圧粉成形体における磁性粉末(磁性成分)の含有量は、圧粉成形体を100%とするとき、体積割合で70体積%以上とすることが望ましく、80体積%以上とすることがさらに望ましい。圧粉成形体における磁性粉末の含有量の調整は、例えば、磁性粒子の表面に形成される絶縁被覆の厚さや、圧粉成形体の作製時に磁性粉末に加えられる樹脂や添加剤の量によって調節できる。
上記磁性粉末の含有量から分かるように、圧粉成形体において絶縁成分に比べて磁性成分が圧倒的に多いため、圧粉成形体は高比透磁率でかつ高飽和磁束密度の磁性部材とすることができる。この圧粉成形体の比透磁率は50〜500、飽和磁束密度は1.0〜2.0T、熱伝導率は10〜30W/m・K程度とすることが望ましい。
圧粉成形体の磁気特性は、磁性粉末の含有量を変化させることで調整できる。もちろん、磁性粉末の材質を変更することでも圧粉成形体の磁気特性を調整できる。その他、加圧成形時の成形圧力を調整することでも、圧粉成形体の磁気特性(特に、飽和磁束密度)を変化させることができる。その場合、成形圧力を高くすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。
(磁性粉末混合樹脂)
磁性粉末混合樹脂は、代表的には、バインダとなる樹脂に磁性粉末を混合したものである。磁性粉末には、圧粉成形体に利用する磁性粉末と同様のものを利用できる。特に、絶縁被覆を備える被覆粉末を用いることで、磁性粉末混合樹脂における渦電流損を効果的に低減することができる。一方、バインダとなる樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。その他、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、或いは低温硬化性樹脂を用いてもよい。
磁性粉末混合樹脂でコア部を形成する場合、代表的には、射出成形、トランスファー成形、MIM(Metal Injection Molding)、注型成形、磁性粉末と粉末状の固形樹脂とを用いたプレス成形などを利用することができる。射出成形の場合は、磁性粉末と樹脂との混合材料を所定の圧力をかけて成形型に充填して成形した後、上記樹脂を硬化させることで磁性粉末混合樹脂を得ることができる。トランスファー成形やMIMの場合も、上記混合材料を成形型に充填して成形を行う。注型成形の場合は、上記混合材料を、圧力をかけることなく成形型に注入して成形・硬化させることで磁性粉末混合樹脂を得ることができる。
磁性粉末混合樹脂における磁性粉末の平均粒径も、圧粉成形体に用いる磁性粉末と同様に、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下とすることが好ましい。また、磁性粉末は、粒径が異なる複数種の粉末が混合されたものでも良い。平均粒径が上記範囲を満たす磁性粉末を材料に用いると、流動性が高く、射出成形などを利用して磁性粉末混合樹脂を生産性良く製造できる。
その他、磁性粉末混合樹脂には、磁性粉末及び樹脂に加えて、アルミナやシリカなどのセラミックスといった非磁性材料からなる粉末(フィラー)が含有されていても良い。フィラーは、放熱性の向上、磁性粉末の偏在の抑制(均一的な分散)に寄与する。また、フィラーが微粒であり、磁性粒子間に介在することで、フィラーの含有による磁性粉末の割合の低下を抑制できる。フィラーの含有量は、磁性粉末混合樹脂を100質量%とするとき、0.2質量%以上20質量%以下、更に0.3質量%以上15質量%以下、特に0.5質量%以上10質量%以下であると、上記効果を十分に得られる。
磁性粉末混合樹脂は、磁性粉末混合樹脂における磁性粉末の含有量は、磁性粉末混合樹脂を100%とするとき、体積割合では20体積%以上70体積%以下とすることが好ましい。磁性粉末が20体積%以上であることで、比透磁率や飽和磁束密度などの磁気特性を確保し易い。磁性粉末が70体積%以下であると、樹脂との混合が行い易く、磁性粉末混合樹脂の製造性に優れる。磁性粉末混合樹脂は、磁性粉末の含有量を調整したり、磁性粉末の材質を変更することで、比透磁率といった磁気特性を変化させることができる。磁性粉末の含有量は、更に好ましくは40体積%以上65体積%以下である。特に磁性粉末が鉄或いはFe−Si合金のような材料であれば、磁性粉末の含有量が40体積%以上であることで、磁性粉末混合樹脂の飽和磁束密度を0.8T以上とし易い。また、磁性粉末の含有量が65体積%以下であることで、磁性粉末と樹脂との混合がより行い易く、より製造性に優れる。
上記磁性粉末の含有量から分かるように、磁性粉末混合樹脂は、圧粉成形体に比べて磁性粉末の含有量が少なく、低比透磁率とすることができる。この磁性粉末混合樹脂の比透磁率は5〜50、飽和磁束密度は0.6〜1.5Tとすることが望ましい。また、磁性粉末混合樹脂の熱伝導率は、0.25〜2.5W/m・K程度とすることが望ましい。
[各コア部の磁気特性]
実施形態の説明の冒頭に述べたように、断面T字型コア部30の比透磁率をμ、外側コア部32の比透磁率をμ、他側端部コア部34の比透磁率をμとしたとき、μ>μ、およびμ>μを満たす。具体的な数値として、μ=15〜500、μ,μ=5〜15、磁性コア3全体の比透磁率=10〜50とすることが好ましい。このような磁気特性の関係を持たすためには、各コア部を次のように構成すると良い。
(1)コア部30=圧粉成形体/その他コア部32,34=圧粉成形体(但し、コア部30よりも低比透磁率)
(2)コア部30=磁性粉末混合樹脂/その他コア部32,34=磁性粉末混合樹脂(但し、コア部30よりも低比透磁率)
(3)コア部30=圧粉成形体/その他コア部32,34=磁性粉末混合樹脂
特に、上記(3)の構成とすると、例えば100A以上の大電流での使用でも磁気飽和し難いリアクトル1を作製することができる。
上記各コア部の比透磁率のより好ましい関係は、μ>μ=μ、最も好ましい関係は、μ>μ>μである。特に後者の関係とすることで、内側コア部31と他側端部コア部34とが連結される角部において、コイル2の銅損を効果的に低減することができる。他側端部コア部34のμが、外側コア部32のμよりも高い、即ち、外側コア部32よりも他側端部コア部34の方が磁束を流し易いので、内側コア部31から外側コア部32に磁束がショートカットし難いからである。一方、内側コア部31と一側端部コア部33とが連結される角部では、ショートカットする漏れ磁束によるコイル2の銅損は既に低減されている。それは、両コア部31,33が一体となった断面T字型コア部30となっており、しかもその断面T字型コア部30が磁性コア3中で最も高比透磁率であるからである。
ここで、上述した各コア部の比透磁率の関係を調整する以外に、各コア部の連結状態を調整することでも、内側コア部31と他側端部コア部34とが連結される角部におけるコイル2の銅損を効果的に低減することができる。具体的には、図2を参照して既に説明したように、内側コア部31の軸方向長さをコイル2の軸方向長さよりも長くし、他側端部コア部34の第一凹部34cに内側コア部31の先端を嵌め込む構成とする。このような構成であれば、磁束を流し易い内側コア部31が、他側端部コア部34の内部に差し入れられた状態になるため、内側コア部31から他側端部コア部34に向かって磁束が流れ易く、ショートカットする磁束が少なくなる。もちろん、各コア部の比透磁率を調整した上で、内側コア部31が他側端部コア部34の内部に差し入れられる構成としても構わない。
≪本発明リアクトルの効果≫
本発明リアクトル1は、内側コア部31と一側端部コア部33とが一体となった断面T字型コア部30となっており、磁性コア3が従来よりも少ない部品点数からなるため、組立作業性に優れる。また、断面T字型コア部30の比透磁率が磁性コア3中で最も高いため、本発明リアクトル1は大電流で使用した場合でも磁気飽和し難い。さらに、比透磁率が高い、即ち磁性成分の含有量が高く、熱伝導性に優れる断面T字型コア部30の一側端部コア部33が設置対象への取付面となっているため、本発明リアクトル1は放熱性に優れる。
<変形実施形態1>
実施形態1で説明したリアクトル1は、ケース(図示せず)に収納した状態で冷却ベースに取り付けても構わない。ケースとしては、底板部と、その底板部から立設される側壁部とからなる有底筒状で、底板部に対向する側が開口しているものを利用することができる。もちろん、その開口部を封止する蓋部を備えていても構わない。上記底板部と側壁部とは一体に形成されていても良いし、別体のものを組み合わせることで形成されていても良い。底板部と側壁部とが別体の場合、両者の構成材料が異なっていても構わない。
ケースは、リアクトル1を外部環境(粉塵や腐食など、物理的衝撃)からの保護する機能を備える他、放熱経路としても機能する。その構成材料は、熱伝導性に優れる金属材料、特に、磁性コア3を構成する磁性材料よりも熱伝導率が高い材料が好ましい。また、非磁性かつ導電性材料で形成されたケースとすると、ケース外部への漏れ磁束を防止できる。よって、ケースの構成材料には、アルミニウムやその合金、あるいはマグネシウムやその合金などを用いることが好ましい。
<変形実施形態2>
実施形態1のリアクトル1では、コイル2の表面に樹脂モールド部2rを備えるコイル成形体20を用いた例を説明したが、樹脂モールド部2rを備えないコイル2を用いても良い。その場合、コイル2と外側コア部32との間、コイル2と断面T字型コア部30との間、およびコイル2と他側端部コア部34との間に、絶縁性のボビンを配置すると良い。ボビンの材質としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂を挙げることができる。
<変形実施形態3>
実施形態1のリアクトル1において、外側コア部32と他側端部コア部34とが繋ぎ目なく一体に形成された有底筒状コアを用いても良い。そうすることで、磁性コア3を構成する部品点数をより少なくすることができ、リアクトル1の組立作業性をさらに向上させることができる。
<実施形態2>
上述した本発明に係る実施形態や変形実施形態のリアクトル1は、コイルの通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的にはハイブリッド自動車や電気自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に利用できる。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、図4に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、図4では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態であってもよい。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図5に示すように、複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET、IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上述した実施形態1や変形実施形態のリアクトル1を備える。コイルにおける銅損による損失を低減することが可能な本発明に係るリアクトル1を備えることで、電力変換装置1100やコンバータ1110は、リアクトルの損失が少なく、高効率である。
なお、車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150の中には、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上述した実施形態1や変形例のリアクトルなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上述した実施形態1や変形実施形態のリアクトルなどを利用することもできる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更して実施することが可能である。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載されるDC−DCコンバータや空調機のコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。
1 リアクトル
2 コイル 2a,2b コイル端部 2r 樹脂モールド部
20 コイル成形体
3 磁性コア
30 断面T字型コア部
31 内側コア部 33 一側端部コア部
32 外側コア部
32a,32b 溝部
34 他側端部コア部
34a,34b 貫通孔 34c 第一凹部 34d 第二凹部
52 位置決め部材
1100 電力変換装置 1110 コンバータ 1120 インバータ
1200 車両
1111 スイッチング素子 1112 駆動回路 L リアクトル
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1210 メインバッテリ 1220 モータ
1230 サブバッテリ 1240 補機類 1250 車輪

Claims (12)

  1. 筒状のコイルと、前記コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを備え、前記磁性コアは、前記コイルの内部に配置される柱状の内側コア部と、前記コイルの外周を覆う筒状の外側コア部と、前記内側コア部と前記外側コア部とを連結する一側端部コア部および他側端部コア部と、を備えるリアクトルであって、
    前記内側コア部と前記一側端部コア部とが繋ぎ目なく一体に形成された断面T字型コア部を形成しており、
    前記断面T字型コア部、前記外側コア部、および前記他側端部コア部の比透磁率をそれぞれμ、μ、及びμとしたとき、各コア部の比透磁率がμ>μ、およびμ>μを満たすことを特徴とするリアクトル。
  2. 前記外側コア部と前記他側端部コア部とが繋ぎ目なく一体に形成された有底筒状コア部を形成していることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記外側コア部と前記他側端部コア部とが、別個に形成されており、前記他側端部コア部の比透磁率μが、前記外側コア部の比透磁率μよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  4. 前記断面T字型コア部の比透磁率は15〜500、
    前記外側コア部および前記他側端部コア部の比透磁率は5〜15、
    前記磁性コア全体の比透磁率は10〜50、であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。
  5. 前記断面T字型コア部が、圧粉成形体で形成されており、
    前記外側コア部および前記他側端部コア部がいずれも、磁性粉末混合樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリアクトル。
  6. 前記他側端部コア部は、前記断面T字型コア部を構成する前記内側コア部の先端が嵌め込まれる第一凹部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリアクトル。
  7. 前記他側端部コア部は、前記コイルの端部が嵌め込まれる第二凹部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のリアクトル。
  8. 前記断面T字型コア部を構成する一側端部コア部と、前記コイルとの間に配置され、前記断面T字型コア部に対する前記コイルの位置を決める位置決め部材を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のリアクトル。
  9. 前記断面T字型コア部を構成する前記一側端部コア部の外端面は、リアクトルを設置する設置対象に対向する取付面であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のリアクトル。
  10. 前記コイルは、その表面を覆う絶縁性樹脂からなる樹脂モールド部を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のリアクトル。
  11. スイッチング素子と、前記スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にするリアクトルとを備え、前記スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するコンバータであって、
    前記リアクトルは、請求項1〜10のいずれか一項に記載のリアクトルであることを特徴とするコンバータ。
  12. 入力電圧を変換するコンバータと、前記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを備え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するための電力変換装置であって、
    前記コンバータは、請求項11に記載のコンバータであることを特徴とする電力変換装置。
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