JP5945906B2 - リアクトルの収納構造体、および電力変換装置 - Google Patents

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本発明は、コイルと磁性コアとを備えるリアクトルを、このリアクトルと協働する回路部品と共に構造体ケースに収納したリアクトルの収納構造体、このリアクトルの収納構造体を適用したコンバータを備える電力変換装置に関する。
リアクトルやモータといった、コイルと、コイルが配置される磁性コアとを備える磁性部品が種々の分野で利用されている。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車といった車両に載置される電力変換装置のコンバータの一構成部品として利用されるリアクトルを開示している。この特許文献1のリアクトルの磁性コアは、コイルの内部に配置される内側コア部と、コイルの外周に配置される外側コア部とを備え、外側コア部は、純鉄粉といった磁性体粉末と、この粉末が分散される樹脂とを含む複合材料(以下、樹脂コア材とする)で構成されている。以下、このタイプのリアクトルを樹脂コアタイプのリアクトルと称する。
上記リアクトルは、このリアクトルと協働する回路部品(例えば、コンバータであればスイッチング素子など)と共に、大きめのケース(以下、リアクトルと回路部品を一体に収納するケースを構造体ケースと呼ぶ)に収納され、車両に搭載される。ここで、樹脂コアタイプのリアクトルでは、リアクトルに備わる磁性コアから磁束が漏れ易く、この漏れ磁束が当該回路部品に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、樹脂コアタイプのリアクトルは、アルミニウムといった非磁性金属からなるリアクトルケースに収納された状態で構造体ケースに収納される(特許文献1の図1を参照)。
特開2011−199257号公報
近年では、地球環境への配慮からハイブリット自動車などの車両の軽量化が望まれており、車両を構成する各部品に対してグラム単位の軽量化を図ることでトータルとして車両の軽量化を達成することが望まれている。そのため、リアクトルの軽量化、もしくはリアクトルを他の回路部品と共に構造体ケースに収納したリアクトルの収納構造体を如何に軽量化するかが検討されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、従来よりも軽量なリアクトルの収納構造体を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、コンバータとして機能する本発明リアクトルの収納構造体を備える電力変換装置を提供することにある。
本発明者らは、従来のリアクトルの収納構造体の代表例であるコンバータの構成を再検討した結果、リアクトルがリアクトルケースと構造体ケースで二重に覆われていることに着目し、本発明リアクトルの収納構造体を完成させるに至った。以下、本発明リアクトルの収納構造体を規定する。
本発明リアクトルの収納構造体は、筒状のコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを備えるリアクトルを、このリアクトルと協働する回路部品と共に構造体ケースに収納したリアクトルの収納構造体である。このリアクトルの収納構造体では、リアクトルの磁性コアのうち、コイルの外周側に配置される箇所の少なくとも一部が、磁性体粉末と樹脂とを含む樹脂コア材から構成されている。そして、本発明リアクトルの収納構造体に備わる構造体ケースは、リアクトルと回路部品との間に電磁遮蔽部を備えることを特徴とする。
上記本発明リアクトルの収納構造体の構成によれば、リアクトルケースを省略することができるため、リアクトルの収納構造体を従来よりも軽量化することができる。ここで、単にリアクトルケースを省略しただけでは、リアクトルの樹脂コア材でできた部分から漏れる漏れ磁束によって回路部品に悪影響が生じる可能性がある。これに対して、本発明リアクトルの収納構造体では、この漏れ磁束を電磁遮蔽部で遮蔽することで、漏れ磁束による回路部品への悪影響を回避している。
本発明リアクトルの収納構造体の一形態として、構造体ケースは、リアクトルが載置される底板部と、底板部の縁部から立設され、底板部とで有底筒状のケース本体を構成する側壁部と、ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部と、底板部から突設され、電磁遮蔽部として機能する仕切り部と、を備える。その場合、底板部と側壁部と蓋部とで囲まれるケース内空間のうち、仕切り部を挟む一方の空間に前記リアクトルが収納され、他方の空間に回路部品が収納される。
上記構成によれば、構造体ケースの内部が閉じているため、リアクトルの漏れ磁束が構造体ケースの外に漏れることを効果的に防止することができる。そのため、リアクトルの収納構造体の近傍に配置される電気機器に、リアクトルの漏れ磁束が悪影響を及ぼすことを回避できる。
本発明リアクトルの収納構造体の一形態として、一方の空間と他方の空間とが連通せずに閉じている形態を挙げることができる。このような形態とするには、仕切り部を、底板部と側壁部と蓋部の全てに接続すると良い。
上記構成であれば、リアクトルが配置される一方の空間から、回路部品が配置される他方の空間に、リアクトルの漏れ磁束が侵入することを効果的に防止でき、漏れ磁束による回路部品の誤動作を回避することができる。
本発明リアクトルの収納構造体の一形態として、仕切り部と蓋部との間に所定の隙間が空けられており、一方の空間と他方の空間とが、上記隙間を介して連通している形態とすることができる。
上記構成によれば、リアクトルの漏れ磁束が構造体ケースの外に漏れることを防止しつつ、仕切り部と蓋部との隙間近傍の空間を磁路の一部として利用することができる。詳細は、後述する実施形態で説明する。
本発明リアクトルの収納構造体の一形態として、一方の空間における内側面とリアクトルとの間が2〜10mmの範囲で離隔され、両者の間にリアクトルのインダクタンスの調整に利用されるコア外空間が形成されている形態とすることができる。
コア外空間をリアクトルのインダクタンスの調整に利用することで、リアクトルの磁性コアを小型・軽量化することができる、即ちリアクトルを小型・軽量化することができる。その結果、リアクトルの収納構造体の軽量化を図ることができる。
本発明リアクトルの収納構造体の一形態として、電磁遮蔽部の導電率は、1MS/m(メガジーメンス毎メートル)以上であることが好ましい。
電磁遮蔽部の導電率が1MS/m以上であれば、漏れ磁束を確実に遮蔽することができる。このような導電率を達成する材質としては、例えば鉄系合金やアルミニウム(その合金を含む)、マグネシウム(その合金を含む)などを挙げることができる。
本発明リアクトルの収納構造体の一形態として、リアクトルと、構造体ケースにおけるリアクトルの載置面との間に、放熱板を備えることが好ましい。
放熱板を設けることで、リアクトルの動作時にリアクトルで生じた熱をリアクトルから効率良く放熱することができる。
本発明リアクトルの収納構造体の一形態として、リアクトルの収納構造体をコンバータに適用する形態が挙げられる。その場合、リアクトルの収納構造体(=コンバータ)は、回路部品としてスイッチング素子とそのスイッチング素子の動作を制御する駆動回路とを備える。また、リアクトルは、スイッチング素子のスイッチング動作を平滑にするようにスイッチング素子に接続される。このような構成のリアクトルの収納構造体は、スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するコンバータとして機能する。
上記リアクトルの収納構造体を電力変換装置の少なくとも一部(全部でも良い)に適用することもできる。例えば、入力電圧を変換するコンバータと、上記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを備え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するための電力変換装置であって、電力変換装置の一部(全部でも良い)に本発明リアクトルの収納構造体を適用した本発明電力変換装置を挙げることができる。
軽量な本発明リアクトルの収納構造体を用いた本発明電力変換装置は、これらを備える機器(例えば、ハイブリット自動車などの車両)の軽量化に寄与する。
本発明リアクトルの収納構造体では、リアクトルの漏れ磁束を封じ込めるリアクトルケースが省略されているため、本発明リアクトルの収納構造体は、従来構成よりも軽量である。
(A)リアクトルと、このリアクトルと協働する回路部品とを構造体ケースに収納した本発明リアクトルの収納構造体の概略縦断面図、(B)は構造体ケースの蓋部を省略した本発明リアクトルの収納構造体の概略上面図である。 二つの仕切り部を備える本発明リアクトルの収納構造体の概略上面図である。 (A)は本発明リアクトルの収納構造体に用いる横置き型リアクトルの概略斜視図、(B)は(A)のB−B断面図である。 (A)は本発明リアクトルの収納構造体に用いる縦置き型リアクトルの概略斜視図、(B)は(A)のB−B断面図である。 ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す概略構成図である。 本発明電力変換装置の一例を示す概略回路である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
<実施形態1>
≪全体構成≫
図1に示すように、本発明リアクトルの収納構造体10は、リアクトル1と、このリアクトル1と協働する回路部品5と、これらを収納する構造体ケース4と、を備える。このリアクトルの収納構造体10の最も特徴とするところは二つある。一つ目は、使用するリアクトル1がリアクトルケースを持たないポット型リアクトルであること、二つ目は、リアクトル1と回路部品5との間にリアクトル1の漏れ磁束を遮蔽する電磁遮蔽部となる仕切り部42が設けられていることである。以下、リアクトルの収納構造体10の各構成を詳細に説明する。
≪リアクトル≫
本発明におけるポット型リアクトルには横置き型と縦置き型とがあり、両者の相違点は収納ケースに対するコイルの軸の向きが異なることである。まず、図3を参照して、横置き型リアクトル1についてその構成と配置を詳細に説明する。次いで、図4を参照して縦置き型リアクトル1’を簡単に説明する。
図3に示す横置き型のリアクトル1は、一つのコイル2と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3と、を備え、磁性コア3の一部(具体的には、外側コア部32もしくはその一部)が磁性粉末と樹脂とを含む樹脂コア材で構成されるポット型リアクトルである。ポット型リアクトルは通常、漏れ磁束を封じ込めるリアクトルケースを備えるが、本発明におけるリアクトル1は、そのリアクトルケースを備えていないことが特徴である。
〔コイル2〕
コイル2は、1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる筒状体である。巻線2wは、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線が好適に利用できる。導体は、図示する横断面形状が長方形である平角線の他、円形状である丸線、多角形状である異形線などを利用できる。絶縁被覆を構成する絶縁性材料は、ポリアミドイミドといったエナメル材料が代表的である。絶縁被覆の厚さは、20μm以上100μm以下が好ましく、厚いほどピンホールを低減でき、絶縁性を高められる。コイル2の巻き数(ターン数)は適宜選択でき、30〜70程度のものが車載部品に好適に利用することができる。
(端面形状)
図3(B)は、リアクトル1をコイル2の軸方向に直交する平面で切断した断面図(図3(A)のB−B断面)である。コイル2は、その軸方向の断面形状が一様であり、端面形状と等しい。コイル2の端面形状は、図3(B)に示すように円形である。その他、コイル2の端面形状は、並行配置された一対の直線部と、両直線部の端部同士を繋ぐように配置された一対の半円弧部とから構成されるレーストラック状であっても良い。
(配置)
このコイル2は、その内周に磁性コア3の一部(内側コア部31)が挿入された状態で、かつコイル2の軸方向が後述する構造体ケース4の底板部40に平行となるように構造体ケース4に収納されている(図1を合わせて参照。図3の紙面下方が底板部40となる)。つまり、コイル2の軸方向が底板部40に平行となるこの配置が横置き型の配置である。なお、コイル2の端面形状がレーストラック状の場合、その外周面において直線部がつくる平面空間が構造体ケース4の底板部40に平行となるようにコイルを配置する。端的に言うと、コイル2は、構造体ケース4に対して横長に収納すればよい。
上記コイル2は、その外周面のほぼ全周が磁性コア3(外側コア部32)に覆われている。但し、コイル2の外周面の一部が構造体ケース4の底板部40に接触するなど、コイル2の周方向の一部が磁性コア3に覆われていない箇所を備えていても良い。
(巻線端部の処理)
コイル2を形成する巻線2wは、ターン形成部分から適宜引き延ばされて外側コア部32の外部に引き出された引出箇所を有し、その両端部の絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる端子部材(図示せず)が接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。ここで、図3に示す例では、コイル2の軸方向に直交するように巻線2wの両端部を上方に引き出しているが、両端部の引き出し方向は適宜選択することができる。例えば、巻線2wの両端部をコイル2の軸方向に平行するように引き出してもよいし、各端部の引き出し方向をそれぞれ異ならせることもできる。なお、上記引出箇所のうち、少なくとも磁性コア3(特に外側コア部32)に接触する可能性がある箇所には、絶縁紙や絶縁性テープ(例えば、ポリイミドテープ)、絶縁フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)などの絶縁材を配置したり、絶縁材をディップコーティングしたり、絶縁性チューブ(熱収縮チューブや常温収縮チューブなど)によって覆ったりすることが好ましい。
〔磁性コア〕
磁性コア3は、図3(A)に示すようにコイル2内に挿通された柱状の内側コア部31と、内側コア部31の少なくとも一方の端面31e、及びコイル2の筒状の外周面の少なくとも一部を覆うように形成された外側コア部32とを備え、コイル2を励磁した際に閉磁路を形成する。本例では、内側コア部31と外側コア部32の磁気特性が異なる構成、具体的には、内側コア部31の飽和磁束密度が、外側コア部32のそれよりも高く、外側コア部32の透磁率が、内側コア部31のそれよりも低い構成を説明する。このような構成とすることで、単一の材質から構成され、全体の飽和磁束密度が均一的な磁性コアと比較した場合、内側コア部31の断面積(磁束が通過する面)を小さくでき、もってリアクトル1を小型・軽量化することができる。なお、内側コア部31と外側コア部32とが同じ構成材料で形成され、同じ磁気特性を持つものであっても良い。
(内側コア部)
内側コア部31は、コイル2の内周形状に沿った外形を有する円柱体である。内側コア部31は、その全体が圧粉成形体から構成され、ギャップ材やエアギャップが介在していない中実体とすることができる。ギャップが存在しないことで、ギャップ箇所での漏れ磁束がコイル2に影響を及ぼすことを抑制できる。但し、内側コア部31を、圧粉成形体や電磁鋼板でできた複数のコア片の間に、コア片よりも透磁率が低いギャップ材やエアギャップを介在させた形態としても良い。
内側コア部31を構成する圧粉成形体は、代表的には、表面にシリコーン樹脂などからなる絶縁被膜を備える軟磁性粉末や、この軟磁性粉末に加えて適宜結合剤を混合した混合粉末を成形後、上記絶縁被膜の耐熱温度以下で焼成することにより得られる。圧粉成形体の作製にあたり、軟磁性粉末の材質や、軟磁性粉末と結合剤との混合比、絶縁被膜を含む種々の被膜の量などを調整したり、成形圧力を調整したりすることで飽和磁束密度を変化させることができる。例えば、飽和磁束密度の高い軟磁性粉末を用いたり、結合剤の配合量を低減して軟磁性材料の割合を高めたり、成形圧力を高くしたりすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。
上記軟磁性粉末として、Fe,Co,Niなどの鉄族金属、Feを主成分とするFe基合金、例えばFe−Si,Fe−Ni,Fe−Al,Fe−Co,Fe−Cr,Fe−Si−Alなどといった鉄基材料からなる粉末、希土類金属粉末、フェライト粉末などが挙げられる。特に、鉄基材料は、フェライトよりも飽和磁束密度が高い磁性コアを得易い。軟磁性粉末に形成される絶縁被膜は、例えば、燐酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、又は硼素化合物などが挙げられる。この絶縁被膜は、特に磁性粉末を構成する磁性粒子が鉄族金属やFe基合金といった金属からなる場合に備えると、渦電流損を効果的に低減できる。結合剤は、例えば、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、又は高級脂肪酸が挙げられる。この結合剤は、上記焼成により消失したり、シリカなどの絶縁物に変化したりする。圧粉成形体は、磁性粒子間に絶縁被膜などの絶縁物が存在することで、磁性粒子同士が絶縁されて渦電流損失を低減でき、コイル2に高周波の電力が通電される場合であっても、上記損失を低減することができる。圧粉成形体は、公知のものを利用することができる。
ここでは、内側コア部31は、絶縁被膜を備える軟磁性材料からなる圧粉成形体から構成されており、飽和磁束密度が1.6T以上、かつ外側コア部32の飽和磁束密度の1.2倍以上である。また、内側コア部31の比透磁率は例えば100〜500であり、内側コア部31及び外側コア部32からなる磁性コア3全体の比透磁率は例えば10〜100である。一定の磁束を得る場合、内側コア部31の飽和磁束密度の絶対値が高いほど、また、内側コア部31の飽和磁束密度が外側コア部32よりも相対的に大きいほど、内側コア部31の断面積を小さくできる。そのため、内側コア部31の飽和磁束密度が高い形態は、リアクトルの小型化に寄与することができる。内側コア部31の飽和磁束密度は、1.8T以上、更に2T以上が好ましく、外側コア部32の飽和磁束密度の1.5倍以上、更に1.8倍以上が好ましく、いずれも上限は設けない。なお、圧粉成形体に代えて、珪素鋼板に代表される電磁鋼板の積層体を利用すると、内側コア部31の飽和磁束密度を更に高め易い。
図3(A)に示す例では、内側コア部31におけるコイル2の軸方向の長さ(以下、単に長さと呼ぶ)がコイル2の長さよりも長い。そして、コイル2内に挿通配置された状態において内側コア部31の両端面31e,31e及びその近傍がコイル2の各端面からそれぞれ突出している。内側コア部31の突出長さは適宜選択することができる。ここでは、内側コア部31においてコイル2の各端面からそれぞれ突出する突出長さを等しくしているが、異ならせてもよいし、コイル2のいずれか一方の端面からのみ突出部分が存在するように内側コア部31を配置することができる。なお、内側コア部31の長さとコイル2の長さとが等しい形態、内側コア部31の長さがコイル2の長さよりも短い形態とすることもできる。
また、コイル2と内側コア部31との間の絶縁性をより高めるために、内側コア部31とコイル2との間に絶縁材(図示略)を介在させてもよい。絶縁材は、例えば、コイル2の内周面や内側コア部31の外周面に、絶縁性テープを貼り付けたり、絶縁紙や絶縁シートを配置したりすることが挙げられる。また、内側コア部31の外周に、絶縁性材料からなるボビン(図示せず)を配置してもよい。ボビンの構成材料には、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が好適に利用できる。また、ボビンは、分割片を組み合せて筒状となる形態とすると、内側コア部31の外周に配置し易い。
(外側コア部32)
外側コア部32は、内側コア部31と組み合わされることで、閉磁路を構成する。本例では、コイル2の両端面、コイル2の外周面の実質的に全て、及び内側コア部31の両端面31e,31e及びその近傍を覆うように形成されており、以下のような断面形状を有する。リアクトル1においてコイル2が存在する空間について、縦断面、横断面(図3(B))及び水平断面(コイル2の軸を通り、構造体ケース4の底板部40に平行な平面で切断した断面)をとった場合、各断面形状がいずれも環状である。外側コア部32の一部が内側コア部31の両端面31e,31eを連結するように設けられていることで、磁性コア3は閉磁路を形成する。
外側コア部32は、閉磁路が形成できればよく、その形状(コイル2の被覆空間)は特に問わない。例えば、コイル2の外周の一部が外側コア部32により覆われていない形態を許容する。この形態は、例えば、コイル2の外周面において構造体ケース4の開口側空間が外側コア部32に覆われず露出された形態が挙げられる。或いは、構造体ケース4の底板部40にコイル2を外周から支持する台座(図示略)を設け、台座とコイル2との間には外側コア部32が介在されない形態や、コイル2の外周面が構造体ケース4の少なくとも一方の側壁部41に接し、その接触箇所には外側コア部32が介在されない形態が挙げられる。
ここでは、外側コア部32は、その全体が磁性粉末と樹脂とを含む樹脂コア材(成形硬化体)により形成され、内側コア部31と外側コア部32とは接着剤を介在することなく、外側コア部32の構成樹脂により接合されている。また、外側コア部32もギャップ材やエアギャップが介在していない形態としている。従って、磁性コア3は、その全体に亘ってギャップ材を介することなく一体化された一体化物である。外側コア部32を、磁性粉末と樹脂とを含む樹脂コア材から構成することで、任意の形状の外側コア部32を容易に製造できる、外側コア部32の磁気特性を容易に変更できる、といった利点がある。その他、外側コア部32は、磁性粉末と樹脂粉末とを加圧成形した加圧成形体であっても良い。
また、外側コア部32は、コイル2と内側コア部31の全体を覆っているため、コイル2と内側コア部31との封止材としても機能する。従って、リアクトル1は、外側コア部32により、コイル2や内側コア部31を外部環境から保護したり、機械的保護の強化を図ったりすることができる。
成形硬化体からなる外側コア部32は、代表的には、射出成形、注型成形により形成することができる。射出成形は、通常、磁性材料からなる粉末と流動性のある樹脂とを混合し、この混合流体を、所定の圧力をかけて成形型に流し込んで成形した後、上記樹脂を硬化させる。注型成形は、射出成形と同様の混合流体を得た後、この混合流体を、圧力をかけることなく成形型に注入して成形・硬化させる。一方、加圧成形体からなる外側コア部32は、磁性材料からなる粉末と樹脂材料からなる粉末とを混合し、この混合粉末を成形型に充填した後、加圧成形する。
いずれの成形手法も、磁性粉末には、上述した内側コア部31に利用する軟磁性粉末と同様のものを利用することができる。特に、外側コア部32に利用する軟磁性粉末は、純鉄粉末やFe基合金粉末といった鉄基材料からなるものが好適に利用できる。材質の異なる複数種の磁性粉末を混合して用いてもよい。軟磁性材料(特に金属材料)からなる磁性粒子の表面に燐酸塩などからなる絶縁被膜を備える被覆粉末を利用してもよい。被覆粉末を利用すると、渦電流損を低減できる。磁性粉末は、平均粒径が1μm以上1000μm以下、更に10μm以上500μm以下の粉末が利用し易い。粒径が異なる複数種の粉末を利用すると、飽和磁束密度が高く、低損失なリアクトルが得られ易い。
また、上記いずれの成形手法も、バインダとなる樹脂には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が好適に利用できる。熱硬化性樹脂を用いた場合、成形体を加熱して樹脂を熱硬化させる。バインダとなる樹脂に常温硬化性樹脂、或いは低温硬化性樹脂を用いてもよく、この場合、成形体を常温〜比較的低温に放置して樹脂を硬化させる。成形硬化体は、非磁性材料である樹脂が比較的多く存在するため、内側コア部31を構成する圧粉成形体と同じ軟磁性粉末を用いた場合でも、圧粉成形体よりも飽和磁束密度が低く、かつ透磁率も低いコアを形成し易い。
成形硬化体の構成材料に磁性粉末及びバインダとなる樹脂に加えて、アルミナやシリカといったセラミックスからなるフィラーを混合させてもよい。磁性粉末に比較して比重が小さい上記フィラーを混合することで、磁性粉末の偏在を抑制して、全体に磁性粉末が均一的に分散した外側コア部を得易い。また、上記フィラーが熱伝導性に優れる材料から構成される場合、放熱性の向上に寄与することができる。上記フィラーを混合する場合、フィラーの含有量は、成形硬化体を100質量%とするとき、0.3質量%以上30質量%以下が挙げられ、磁性粉末とフィラーとの合計含有量は、外側コア部を100体積%とするとき、20体積%〜70体積%が挙げられる。また、フィラーを磁性粉末よりも微粒とすると、フィラーを磁性粒子間に介在させて、偏在を効果的に防止して、磁性粉末を均一的に分散できる上に、フィラーの含有による磁性粉末の割合の低下を抑制し易い。
ここでは、外側コア部32は、平均粒径100μm以下の鉄基材料からなる粒子の表面に上記被膜を備える被覆粉末とエポキシ樹脂との成形硬化体から構成され、比透磁率:5〜30、飽和磁束密度:0.5T以上内側コア部31の飽和磁束密度未満である。外側コア部32の透磁率を内側コア部31よりも低くすることで、磁性コア3の漏れ磁束を低減したり、ギャップレス構造の磁性コア3としたりすることができる。成形硬化体の透磁率や飽和磁束密度は、磁性粉末とバインダとなる樹脂との配合を変えることで調整することができる。例えば、磁性粉末の配合量を減らすと、透磁率が低い成形硬化体が得られる。各コア部31,32の飽和磁束密度や比透磁率は、各コア部31,32から作製した試験片を用意し、市販のB−HカーブトレーサーやVSM(試料振動型磁力計)などを用いることで測定することができる。
以上説明した横置き型のリアクトル1の他、図4に示すように、縦置き型リアクトル1’を利用しても良い。収納ケース4に対する向き以外、縦置き型リアクトル1’の基本的構成は、上述した横置き型のリアクトル1と同様である。以下、構造体ケース4に対するリアクトル1’の向きのみを説明する。
縦置き型のリアクトル1’では、リアクトル1’に備わるコイル2の軸が底板部40(図1参照)に垂直になるように構造体ケース4に収納されている。また、コイル2に挿通された内側コア部31もその軸が底板部40に垂直になるように構造体ケース4に収納され、内側コア部31の一方の端面31eが構造体ケース4の底板部40(図4では紙面下方側)に接している。一方、リアクトル1’に備わる外側コア部32は、構造体ケース4に収納されたコイル2の外周面と、内側コア部31の一方の端面31eの近傍の外周面と、内側コア部31の他方の端面31e及びその近傍の外周面とを覆う。
上記構成を備えるリアクトル1,1’は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
≪構造体ケース4≫
〔構造体ケースの全体構成〕
構造体ケース4は、代表的には、図1に示すように矩形状の底板部40と、底板部40から立設される4つの側壁部41と、で構成される有底筒状のケース本体と、ケース本体の開口部を閉じる蓋部43と、を備える直方体状の箱体である。この構造体ケース4はさらに、底板部40から突設される仕切り部42を備える。上記構造体ケース4のうち、必須の構成は、底板部40と側壁部41と仕切り部42であり、蓋部43はオプションである。但し、蓋部43があれば、構造体ケース4の外側に配置される電気機器にリアクトル1の漏れ磁束が影響を及ぼすことを回避できる。
構造体ケース4の必須構成である底板部40と側壁部41と仕切り部42は一体に形成されたものを利用することができる。もちろん、三つの部材40,41,42は別体であっても良いし、そのうちの任意の二つが一体に形成されたものであっても良い。なお、仕切り部42は、一つに限定されるわけではなく、図2を用いて後述するように二つ以上あっても構わない。
〔仕切り部〕
仕切り部42は、リアクトル1の樹脂コア材でできた部分から漏れる漏れ磁束が回路部品5に悪影響を及ぼさないように、樹脂コア材でできた部分と回路部品5との間に配置され、漏れ磁束を遮蔽する電磁遮蔽部である。図1に示す例では、仕切り部42は、底板部40と側壁部41と蓋部43の全てに接続され、構造体ケース4の内部空間を完全に二つの空間に仕切っている。そのため、仕切り部42を挟む一方の空間11(他方の空間12)で発生した磁束は仕切り部42に遮蔽され他方の空間12(一方の空間11)に侵入できないようになっている。そこで、本実施形態のリアクトルの収納構造体10では、仕切り部42で仕切られた一方の空間11にリアクトル1を配置し、他方の空間12にはリアクトル1と協働する回路部品5を配置して、リアクトル1の漏れ磁束が回路部品5に悪影響を及ぼさないようにしている。なお、言うまでもないが、協働するリアクトル1と回路部品5とは図示しない配線で接続されており、その配線を通す部分が仕切り部42に設けられている。
次に、仕切り部が複数ある場合(即ち、リアクトル構造体が複数のリアクトルを備える場合)を図2に基づいて説明する。図2に示すリアクトルの収納構造体10’は、二つの仕切り部42A,42Bを備える。この場合、仕切り部42Aから見れば、仕切り部42Aよりも紙面右側の空間(一方の空間11A)と、それ以外の空間(他方の空間12A)とに分けられる。そこで、仕切り部42Aの紙面右側にある一方の空間11Aにリアクトル1Aを配置する。次に、仕切り部42Bから見れば、仕切り部42よりも紙面左側の空間(一方の空間11B)と、それ以外の空間(他方の空間12B)とに分けられる。そこで、仕切り部42Bの紙面左側にある一方の空間11Bにリアクトル1Bを配置する。そして、仕切り部42Aにおける他方の空間12Aと、仕切り部42Bにおける他方の空間12Bとで共有される紙面中央の空間に、回路部品5を配置する。仕切り部が三つ以上ある場合も、同様の考え方に基づいて、各仕切り部の他方の空間同士で共有される部分に回路部品を配置すると良い。
ここで、上記仕切り部42は、その機能上、リアクトル1からの漏れ磁束が回路部品5に到達しないように配置されていれば良く、底板部40と側壁部41と蓋部43に完全に接続されている必要はない。例えば、仕切り部42と蓋部43との間(図1(A)の白抜き矢印で示す部分)に隙間があっても構わない。このような構成とすることで、リアクトル1が配置される一方の空間11だけでなく、回路部品5が配置される他方の空間12もリアクトル1のインダクタンスの調整に利用することができる。但し、この場合には、仕切り部42の上端の位置が、回路部品5よりも10mm以上高い位置とする必要がある。そうしないと、リアクトル1からの漏れ磁束による回路部品5への悪影響を回避できず、仕切り部42を設けた意味がなくなる恐れがある。
また、リアクトル1のインダクタンスの調整のために、仕切り部42と側壁部41との間に隙間が形成されていても良い。例えば、仕切り部42が、底板部40と蓋部43に繋がっているが側壁部41には繋がっていない形態、仕切り部42が、底板部40に繋がっているが蓋部43と側壁部41には繋がっていない形態とすることができる。もちろんその場合も、リアクトル1からの漏れ磁束による回路部品5への悪影響を回避できるように、隙間の大きさを調整する必要がある。
〔構造体ケースにおけるリアクトルの配置状態〕
一方の空間11に配置されるリアクトル1と、構造体ケース4の内周面との間には図示するように間隔が空けられている。具体的には、リアクトル1の底面は、底板部40と接触しているが、リアクトル1の上面と側面は、蓋部43と仕切り部42と側壁部41から離隔している。つまり、リアクトル1の外周面と構造体ケース4の内周面との間にコア外空間が形成されている。このコア外空間は、リアクトル1のインダクタンスの調整に利用することができる。この場合、コア外空間によるインダクタンスの調整分だけリアクトル1の磁性コア3(外側コア部32)の寸法を小さくできるため、リアクトル1の軽量化、即ちリアクトルの収納構造体10の軽量化を図ることができる。なお、図示の構成と異なり、構造体ケース4の一方の空間11に殆ど隙間なくリアクトル1を配置しても構わない。例えば、構造体ケース4自身をリアクトル1を作製する際の金型として利用すれば、一方の空間11に隙間なくリアクトル1が配置される。
リアクトル1のインダクタンスの調整に利用されるコア外空間を確保するための構造体ケース4の内周面とリアクトル1との間隔は、2〜10mmとすることが好ましい。この間隔は、リアクトル1の使用条件や目標とするインダクタンスの値によって変化するが、上記範囲とすることで概ねコア外空間を設けることのメリットとデメリットとのバランスが良く、好ましい。メリットは、既述のように磁性コア3をサイズダウンできることである。デメリットは、コア外空間を確保するために一方の空間11が大きくなる傾向にあることである。
〔構成材料〕
構造体ケース4は、1MS/m以上の導電率を有する非磁性金属、例えばアルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金などで構成することが好ましい。そうすることで、リアクトル1からの漏れ磁束を構造体ケース4内に封じ込めることができる。ここで、構造体ケース4を構成する各部40〜43の材質は、同じであっても良いし異なっていても良い。
その他、構造体ケース4は、絶縁性樹脂と非磁性金属とを含む複合材で構成しても良い。例えば、非磁性金属からなる多孔質体の空孔に絶縁性樹脂を配置した複合材、あるいは絶縁性樹脂中に非磁性金属からなる粉末が分散された複合材などを利用することができる。このような複合材を利用すれば、構造体ケース4の軽量化、即ちリアクトルの収納構造体10の軽量化を図ることができる。ここで、構造体ケース4全体を複合材で構成しても良いし、構造体ケース4の一部のみを複合材で構成しても良い。後者の場合、例えば、リアクトル1が載置されるため高強度であることが望ましい底板部40はアルミニウムなどの非磁性金属の板材で構成し、底板部40以外の部分は上記複合材で構成するといった形態を挙げることができる。
≪構造体ケースに対するリアクトルの固定≫
リアクトル1は、接着剤などで構造体ケース4の底板部40に接着することができる。その場合、接着剤は優れた電気絶縁性を有することが好ましい。絶縁性接着剤を用いることで、リアクトル1と構造体ケース4との間の絶縁を確保することができる。さらに、接着剤は、熱伝導性に優れることが好ましく、例えば、アルミナなどの熱伝導性・電気絶縁性に優れるフィラーを含有するシリコーン樹脂やアクリル樹脂、エポキシ樹脂などが好適に利用できる。この接着剤による層の厚さを薄くすると共に多層構造とすると、合計厚さが薄くても電気絶縁性を高められる。また、この接着剤は、シート状のものを利用すると、作業性に優れる。
〔放熱板〕
図1(A)に示す本実施形態では、リアクトル1と、構造体ケース4の底板部40との間に放熱板6を介在させ、両者1,4とを接合している。放熱板6を設けることで、リアクトル1で発生した熱を効率的に構造体ケース4に放熱することができ、リアクトル1を安定して動作させることができる。この放熱板6と底板部40の接着、放熱板6とリアクトル1との接着には、上述した絶縁性接着剤を利用することが好ましい。
上記放熱板6の材質としては、例えば、アミドイミド樹脂や、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂を利用することができる。このような材質は、熱伝導性に優れる上、電機絶縁性にも優れるため、コイル2と構造体ケース4との間の絶縁を確実にすることができる。上記樹脂でできた放熱板6には、窒化珪素(Si)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ほう素(BN)、炭化珪素(SiC)などのセラミックフィラーが含まれていても良い。放熱板6にセラミックフィラーを含有させることで、放熱板6の熱伝導性、電気絶縁性を高めることができる。
〔その他〕
コイル2と構造体ケース4との間の絶縁性を高めるために、絶縁紙や絶縁性シート、絶縁性テープといった絶縁材をコイル2と構造体ケース4との間に介在させた形態としてもよい。例えば、コイル2の表面に上記絶縁性テープなどを巻回することで、コイル2の内周面及び外周面の双方(コイル2の端面を含んでいてもよい)に絶縁材が存在する形態とすることができる。この絶縁材は、コイル2と構造体ケース4との間に求められる最低限の絶縁を確保できる程度に存在すればよく、できるだけ薄くすることで、当該絶縁材の介在による熱伝導性の低下を抑制できる上に、小型化を図ることができる。
≪リアクトルの収納構造体の効果≫
リアクトルの収納構造体10は、リアクトルケースを備えないことで、従来構成よりも軽量で扱い易いため、このようなリアクトルの収納構造体10を採用した機器の軽量化を図ることができる。また、リアクトルケースを省略することでコスト面でも有利である。
<変形実施形態>
実施形態1では、外側コア部32内にコイル2を埋設したが、コイルを内側樹脂部で予め成形したコイル成形体(図示略)を用い、このコイル成形体を外側コア部内に埋設する構成としても良い。
コイル成形体は、コイルの軸方向の長さを内側樹脂部により保持した構成である。特に、コイルの軸方向の長さを自由長よりも圧縮した状態に保持したコイル成形体とすることで、小型化できる。内側樹脂部がコイルを覆う空間は、コイルの両端面と外周面の少なくとも一部とすることが挙げられる。さらにコイル内周面の少なくとも一部を内側樹脂部で覆っても良い。コイルの内周面を覆う内側樹脂部の厚さを調整することで、当該樹脂部を内側コア部の位置決めに利用することができる。但し、コイルを構成する巻線の端部は内側樹脂部から露出させておく。
コイル成形体は、コイル内周側に内側コア部を嵌める中空孔が形成された構成でもよいし、コイルと内側コア部とを内側樹脂部により一体に成形した構成でも良い。
コイル成形体の製造には、例えば、特開2009−218293号公報に記載される製造方法を利用することができる。成形には、射出成形やトランスファー成形、注型成形が挙げられる。
<実施形態2>
実施形態1で説明したリアクトルの収納構造体10は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車といった車両に搭載される電力変換装置に用いられるコンバータに適用することができる。
電力変換装置を備える車両として、例えば、図5に例示する車両1200を挙げることができる。図5に示す車両1200は、メインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、図5では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態としても良い。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図6に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET,IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。
以上、図6を参照して説明した電力変換装置1100全体に、実施形態1で説明したリアクトルの収納構造体10の構成を適用する。具体的には、図1に示すような仕切り部42を有する構造体ケース10の一方の空間11に図6のリアクトルLを配置し、他方の空間12に図6のスイッチング素子1111,1111と駆動回路1112とインバータ1120を回路部品5として配置する。もちろん、リアクトルLはリアクトルケースを備えないものとする。そうすることで、図6の電力変換装置1100の軽量化を図ることができる。
なお、車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150の中には、DC−DC変換を行うものもある。これら給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態や変形例に示すリアクトル収納構造体を適用することもできる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータにも、上記実施形態のリアクトルの収納構造体を利用することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
本発明リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載される双方向DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。
10,10’ リアクトルの収納構造体
11,11A,11B 一方の空間
12,12A,12B 他方の空間
1,1’,1A,1B リアクトル
2 コイル
2w 巻線
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面
32 外側コア部
4 構造体ケース
40 底板部 41 側壁部 43 蓋部
42,42A,42B 仕切り部(電磁遮蔽部)
5 回路部品
6 放熱板
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子 1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪

Claims (8)

  1. 筒状のコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを備えるリアクトルを、このリアクトルと協働する回路部品と共に構造体ケースに収納したリアクトルの収納構造体であって、
    前記リアクトルはリアクトルケースを備えない状態で前記構造体ケースに収納され、そのリアクトルに備わる前記磁性コアのうち、前記コイルの外周側に配置される箇所の少なくとも一部は、磁性体粉末と樹脂とを含む樹脂コア材から構成されており、
    前記構造体ケースは、
    前記リアクトルが載置される底板部と、
    前記底板部の縁部から立設され、前記底板部とで有底筒状のケース本体を構成する側壁部と、
    前記ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部と、
    前記底板部から突設され、前記リアクトルと前記回路部品との間に電磁遮蔽部として機能する仕切り部と、を備え、
    前記底板部と前記側壁部と前記蓋部とで囲まれるケース内空間のうち、前記仕切り部を挟む一方の空間に前記リアクトルが収納され、他方の空間に前記回路部品が収納され、
    前記一方の空間における前記構造体ケースの内周面と、前記リアクトルとの間が2〜10mmの範囲で離隔され、両者の間に前記リアクトルのインダクタンスの調整に利用されるコア外空間が形成されているリアクトルの収納構造体。
  2. 前記一方の空間と前記他方の空間とが連通せずに閉じている請求項1に記載のリアクトルの収納構造体。
  3. 前記仕切り部と前記蓋部との間に所定の隙間が空けられており、前記一方の空間と前記他方の空間とが、前記隙間を介して連通している請求項1に記載のリアクトルの収納構造体。
  4. 前記仕切り部の上端の位置が、前記回路部品よりも10mm以上高い位置にある請求項3に記載のリアクトルの収納構造体。
  5. 前記電磁遮蔽部の導電率は、1MS/m以上である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のリアクトルの収納構造体。
  6. 前記リアクトルと、前記構造体ケースにおけるリアクトルの載置面との間に、放熱板を備える請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のリアクトルの収納構造体。
  7. 前記回路部品としてスイッチング素子とそのスイッチング素子の動作を制御する駆動回路とを備え、
    前記リアクトルは、前記スイッチング素子のスイッチング動作を平滑にするように前記スイッチング素子に接続されており、
    前記スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するコンバータとして機能する請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のリアクトルの収納構造体。
  8. 入力電圧を変換するコンバータと、前記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを備え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するための電力変換装置であって、
    前記電力変換装置の少なくとも一部が、請求項7に記載のリアクトルの収納構造体で構成される電力変換装置。
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