JP2013219318A - リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コイル2と、コイル2の内部に挿通される部分を有する磁性コア3とを備えるリアクトル1である。磁性コア3が、コイル2の内部に配置された内側コア部31,31、およびコイル2から露出している外側コア部32,32を有する。内側コア部31は、樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなり、外側コア部32の比透磁率は内側コア部31の比透磁率よりも大きい。また、外側コア部32は、その外周にコアモールド部5Mを備えるコア成形体5の形態で用いられる。コアモールド部5Mは、外側コア部31の外周面のうち、少なくともリアクトル1の外方に向いた部分と内側コア部31に対向する部分とを覆う。外側コア部32と内側コア部31との間に配置されるコアモールド部5Mは磁性コア3のギャップ材として機能する。
【選択図】図3
Description
[1]リアクトルの外方に向いた部分(コアモールド部を剥いだときに、リアクトルの外観上から視認できる部分と言い換えても良い)
[2]内側コア部に対向する部分(コアモールド部を剥いだとしても、リアクトルの外観上から視認することはできない)
図1〜3に示す本実施形態1のリアクトル1は、コイル2と磁性コア3との組合体10である。このリアクトル1のコイル2は一対のコイル素子2A,2Bを有し、磁性コア3は一対の内側コア部31,31と一対の外側コア部32,32とを備える(特に、図3を参照)。このリアクトル1の特徴とするところは、図3に示すように、外側コア部32の外周面に、外側コア部32を保護するコアモールド部5Mが形成され、かつこのコアモールド部5Mのうち、外側コア部32と内側コア部31との間に配置される部分がギャップ材として機能することである。以下、本実施形態1のリアクトル1の各構成を詳細に説明する。
組合体10(リアクトル1)に備わるコイル2は、一対のコイル素子2A,2Bと、両コイル素子2A,2Bを連結するコイル素子連結部2rとを備える。各コイル素子2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行するように横並びに並列されている。本実施形態では、これらコイル素子2A,2Bは接続部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回することで形成されており、その巻線をU字状に屈曲させることで上記コイル素子連結部2rが形成されている。もちろん、両コイル素子2A,2Bは、別個の巻線を螺旋状に巻回することで形成しても良く、その場合、例えば、コイル素子2A,2Bの端部同士を圧接や溶接などで接合する。
組合体10(リアクトル1)に備わる磁性コア3は、各コイル素子2A,2Bの内部に配置される一対の内側コア部31,31と、コイル素子2A,2Bから露出し、内側コア部31,31をその両側から挟み込む一対の外側コア部32,32(特に、図3の点線丸囲みを参照)とを備える。そして、外側コア部32の比透磁率は、内側コア部31の比透磁率よりも高い。このように両コア部31,32の比透磁率を異ならせることで、磁性コア3全体の比透磁率を調整し、磁性コア3を磁気飽和し難くできる。ここで、本発明のリアクトル1では、後段で詳述するように外側コア部32の外周面に形成されるコアモールド部5Mが、内側コア部31と外側コア部32との間でギャップ材として機能し、磁性コア3をさらに磁気飽和し難くしている。
・磁性コア3全体…比透磁率=10以上50以下、より好ましくは10以上35以下、さらに好ましくは10以上30以下
・内側コア部31…比透磁率=5以上50以下
・外側コア部32…比透磁率=50以上500以下
磁性コア3を構成する内側コア部31,31は、繋ぎ目がない一本の柱状体であって、樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂で構成されている。内側コア部31,31を磁性粉末混合樹脂で構成したのは、磁性粉末混合樹脂がその構成上、低比透磁率体にし易いからである。
内側コア部31を構成する磁性粉末混合樹脂は、代表的には、バインダとなる樹脂に磁性粉末を混合したものである。磁性粉末には、鉄基材料や希土類金属などの軟磁性材料、これら軟磁性材料に絶縁被覆を備える被覆粉末などを利用できる。特に、被覆粉末を用いることで、磁性粉末混合樹脂における渦電流損を効果的に低減することができる。絶縁被覆としては、例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物などが挙げられる。一方、バインダとなる樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。その他、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、あるいは低温硬化性樹脂を用いてもよい。また、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウムやガラス繊維が混合されたBMC(Bulk molding compound)や、ミラブル型シリコーンゴム、ミラブル型ウレタンゴムなどを用いることもできる。
本発明のリアクトル1における外側コア部32は、図3に示すように、コア成形体5の形態で利用される。コア成形体5は、外側コア部32と、その外周の少なくとも一部を覆うコアモールド部5Mとを有する。
圧粉成形体は、代表的には、表面に絶縁被膜を有する磁性粉末を加圧成形した後、適宜熱処理を施すことで製造することができる。圧粉成形体の材料には、鉄基材料や希土類金属などの軟磁性材料からなる粒子の表面に絶縁被覆を備える被覆粉末やフェライト粉末に、熱可塑性樹脂などの樹脂や高級脂肪酸などの添加剤(上記熱処理によって消失、又は絶縁物に変化するもの)を加えた混合材料を用いることが挙げられる。上記製造方法によって、軟磁性粒子の周囲が絶縁被覆(例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物など)で覆われ、当該粒子間に絶縁物が介在する圧粉成形体が得られる。絶縁被覆を備える圧粉成形体は、絶縁性に優れ、渦電流損を低減することができる。軟磁性材料をフェライトとする場合、絶縁被覆を備えていなくても、絶縁性に優れる。
次に、上述した外側コア部32の少なくとも一部を覆い、外側コア部32を外部環境から保護するコアモールド部5Mを説明する。具体的なコアモールド部5Mの被覆領域は、外側コア部32の外周面のうち、少なくともリアクトルの外方に向いた部分、および上述した内側コア部31に対向する部分である。逆に言えば、それ以外の部分は、コアモールド部5Mで覆われていても良いし、覆われていなくても良い任意部分である。ここで、コイル素子2A,2Bが並列される並列タイプのリアクトル1では、冷却ベースなどのリアクトル1の設置対象に対向する外側コア部32の底面が、任意部分である。
上記構成を備えるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
以上説明した構成とすることで、例えば100Aの大電流で使用しても磁気飽和し難いリアクトル1とすることができる。それは、外側コア部32の比透磁率を内側コア部31の比透磁率よりも高くし、かつ外側コア部32と内側コア部31との間にギャップ材(コアモールド部5M)を配置することで、磁性コア3全体のインダクタンスを調整しているからである。
実施形態1では、外側コア部32を圧粉成形体とした構成を説明した。これに対して、外側コア部32を磁性粉末混合樹脂とすることもできる。
・磁性コア3全体…比透磁率=5以上30以下
・内側コア部31…比透磁率=5以上25以下
・外側コア部32…比透磁率=10以上40以下
実施形態1では組合体10からなるリアクトル1を説明した。これに対して、組合体10を放熱板上に搭載したリアクトルとしても良い。以下、図1を参照して放熱板の構成を説明する。
実施形態2では、一つのコイル素子2Cを有するコイル2’と、磁性コア3’の組合体10’からなるリアクトル1’を図4に基づいて説明する。なお、このリアクトル1’は、紙面下側が冷却ベースの設置面である。
実施形態1、実施形態1−1、実施形態1−2、実施形態2などの本発明によるリアクトルは、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
10 組合体
2 コイル
2A,2B コイル素子 2r コイル素子連結部
2a,2b 端部
3 磁性コア
31 内側コア部
32 外側コア部
5 コア成形体 5M コアモールド部 5Mc 凹部
1’ リアクトル
10’ 組合体
2’ コイル 2C コイル素子 2a,2b 端部
3’ 磁性コア
31’ 内側コア部
32’ 外側コア部 32A 円筒状分割片 32B,32C 板状分割片
5’ コア成形体 5M’ コアモールド部
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子 1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪
Claims (11)
- コイルと、前記コイルの内部に挿通される部分を有する磁性コアと、を備え、
前記磁性コアが、前記コイルの内部に配置された内側コア部、および前記コイルから露出している外側コア部を有するリアクトルであって、
前記内側コア部は、樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなり、
前記外側コア部の比透磁率は、前記内側コア部の比透磁率よりも大きく、
前記外側コア部と、その外側コア部を保護するコアモールド部とを有するコア成形体を備え、
前記外側コア部の外周面のうち、少なくともリアクトルの外方に向いた部分と前記内側コア部に対向する部分とが前記コアモールド部により覆われているリアクトル。 - 前記コア成形体は、前記内側コア部の端部を収納する凹部を備える請求項1に記載のリアクトル。
- 前記外側コア部のうち、リアクトルの設置対象に向いた底面には、前記コアモールド部が形成されていない請求項1または2に記載のリアクトル。
- 前記内側コア部を構成する磁性粉末混合樹脂の磁性成分の含有量は、全体を100体積%としたとき、20体積%以上75体積%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。
- 前記外側コア部は、圧粉成形体である請求項1〜4のいずれか一項に記載のリアクトル。
- 前記外側コア部は、樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のリアクトル。
- 前記外側コア部を構成する磁性粉末混合樹脂の磁性成分の含有量は、外側コア部の全体を100体積%としたとき、20体積%以上75体積%以下であることを特徴とする請求項6に記載のリアクトル。
- 前記外側コア部の比透磁率は50以上500以下、
前記内側コア部の比透磁率は5以上50以下、
前記外側コア部、前記内側コア部、および前記コアモールド部のうちの前記外側コア部と前記内側コア部との間に配置されている部分を含む磁性コア全体の比透磁率は、10以上50以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のリアクトル。 - 前記外側コア部の比透磁率は10以上40以下、
前記内側コア部の比透磁率は5以上25以下、
前記外側コア部、前記内側コア部、および前記コアモールド部のうちの前記外側コア部と前記内側コア部との間に配置されている部分を含む磁性コア全体の比透磁率は、5以上30以下である1〜7のいずれか一項に記載のリアクトル。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載のリアクトルを備えるコンバータ。
- 請求項10に記載のコンバータを備える電力変換装置。
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