JP2009033055A - リアクトル用コア - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コア1は、リアクトルを構成するコイルCで覆われる一対のコイル配置部11と、コイルCで覆われない一対の露出部12とがギャップを介することなく一体化されてなる環状のコアであり、コイルCの励磁によりコア1を通る閉磁路が形成される。露出部12は、コイル配置部11よりも比透磁率が高くなるように構成されている。露出部12の比透磁率が大きいことで、一方のコイル配置部11aと他方のコイル配置部11bとの間の空間に生じる漏れ磁束を低減することができる。また、コア1は、ギャップレス構造であるため、ギャップが存在することに伴う騒音などの問題が生じ難い。
【選択図】図1
Description
本発明コアは、その外周に配されるコイルを励磁した際に閉磁路が形成される磁性部材であり、コイル配置部と露出部とが一体化されて環状に構成されている。代表的には、一対のコイル配置部と一対の露出部とを枠状に配置した構成が挙げられる。
コイル配置部を圧粉成形体で構成する場合、通常、表面に絶縁被膜を具える軟磁性粉末とバインダ樹脂とを混合し、この混合粉末を成形後、絶縁被膜の耐熱温度以下で焼成する。そして、軟磁性粉末とバインダ樹脂との混合比を調整することで、低透磁率材料からなるコイル配置部が得られる。具体的には、バインダ樹脂の配合量を増やすことで、コイル配置部において磁束が通過する断面に対する磁性材料(軟磁性粉末)の割合を下げる。磁性材の割合が少ないことで、比透磁率が小さくなる。その他、混合粉末を成形する際の圧力を変えることでもコイル配置部を構成する材料の比透磁率を調整することができる。バインダ樹脂の配合量が多い方が、又は混合粉末の成形圧力が低い方がコイル配置部の比透磁率が低くなる傾向にある。圧粉成形体は、後述する焼結体と異なり、焼成後にバインダ樹脂が残存し、この樹脂により軟磁性粉末同士が絶縁される。そのため、圧粉成形体からなるコイル配置部は、リアクトルに用いた際、焼結体からなるコイル配置部と比較して渦電流損失を低減でき、コイルに高周波が通電される場合の使用に適する。
Fe-Co,Fe-Cr,Fe-Si-AlなどのFe基合金粉末、或は希土類金属粉末、フェライト粉末などが利用できる。このような粉末の作製法は、アトマイズ法(ガス又は水)や、機械的粉砕法が挙げられる。特に、結晶がナノサイズであるナノ結晶材料からなる粉末、好ましくは異方性ナノ結晶材料からなる粉末を用いると、高異方性で低保持力の分割片が得られる。軟磁性粉末に形成される絶縁被覆は、燐酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物又は硼素化合物などから構成されることが好ましい。バインダ樹脂は、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、又は高級脂肪酸を利用することが好ましい。
コイル配置部を焼結体で構成する場合、通常、非磁性粉末及びバインダ樹脂の混合粉末と軟磁性粉末とを混合し、この混合粉末を成形後、高温にて焼結する。焼結時、バインダ樹脂はほぼ消失して、軟磁性粉末と非磁性粉末とが焼結される。そのため、軟磁性粉末と非磁性粉末との混合比を調整することで、上述した圧粉成形体の場合と同様に、低透磁率材料からなるコイル配置部が得られる。その他、混合粉末の成形時の圧力を変えることでも、コイル配置部の比透磁率を調整できる。非磁性粉末の配合量が多い方が、又は混合粉末の成形圧力が低い方がコイル配置部の比透磁率を低くできる傾向にある。
コイル配置部を成形硬化体で構成する場合、成形硬化体を得る方法は、射出成形と注型成形とがある。射出成形は、通常、軟磁性粉末(必要に応じて更に非磁性粉末を加えた混合粉末)と流動性のあるバインダ樹脂とを混合し、この混合流体を、圧力をかけて成形型に流し込んで成形した後、バインダ樹脂を硬化させる。一方、注型成形は、射出成形と同様の混合流体を得た後、この混合流体を、圧力をかけることなく成形型に注入して成形・硬化させる。いずれの成形手法も、バインダ樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が好適に利用できる。バインダ樹脂に熱硬化性樹脂を用いた場合、成形体を加熱して樹脂を熱硬化させる。バインダ樹脂に常温硬化性樹脂或は低温硬化性樹脂を用いてもよく、この場合、成形体を常温〜比較的低温に放置して樹脂を硬化させる。その他、射出成形後に成形体を高温にて熱処理して、軟磁性粉末同士又は軟磁性粉末と非磁性粉末とを焼結させてもよい(MIM:Metal Injection Molding)。射出成形や注型成形を利用する場合も、焼結させない場合は、軟磁性粉末(非磁性粉末)とバインダ樹脂の配合を変えることで、焼結させる場合は、軟磁性粉末と非磁性粉末との配合を変えることで、コイル配置部の構成材料の比透磁率を調整できる。例えば、軟磁性粉末の配合量を減らすと、比透磁率は小さくなる傾向にある。
(実施例1)
図1は、環状のリアクトル用コアの一例を示す概略構成図である。このコア1は、磁性材料から構成され、コア1の外周の一部にコイルCが配置されてリアクトルに利用される。具体的には、コイルCで覆われる一対のコイル配置部11と、コイルCで覆われない一対の露出部12とから構成される。
部分的に比透磁率が異なる上記コア1、及び比透磁率が一様である二つのコア(以下、比較コア100,110と呼ぶ、図5,6参照)を作製し、各コア及びその近傍の磁束密度の分布状態を調べた。コア1及び比較コア110は、ギャップレス構造、比較コア100は、ギャップを有する構造とし、コア1,100,110のインダクタンスが等しくなるように比透磁率及びギャップを調整した。
軟磁性粉末として水アトマイズ純鉄粉(平均粒径100μm程度)を、バインダ樹脂としてポリエチレン(粉末)を用意する。この鉄粉とポリエチレンとを、樹脂量比(樹脂の質量/樹脂と鉄粉との合計質量)が3.8%となるように混合する。この混合粉末を所定の成形型に充填し、成形圧力980MPaで成形する。そして、成形体を250℃×60分で熱処理して、圧粉成形体からなる一対のコイル配置部を得る。
樹脂量比が0.8%となるように鉄粉とポリエチレンとを混合した混合粉末を用いて、上記と同様の条件で成形、熱処理を行って圧粉成形体からなる一対のコイル配置部及び一対の露出部を得る。即ち、これらの分割片はいずれも樹脂量比が等しい材料からなる圧粉成形体で構成されている。この比較コア100について、コア1と同様にして比透磁率を測定したところ、比透磁率:200であった。
樹脂量比が2.9%となるように鉄粉とポリエチレンとを混合した混合粉末を用いて、上記と同様の条件で成形、熱処理を行って圧粉成形体からなる一対のコイル配置部及び一対の露出部を得る。これらの分割片も、比較コア100と同様に、いずれも樹脂量比が等しい材料からなる圧粉成形体で構成されている。この比較コア110について、コア1と同様にして比透磁率を測定したところ、比透磁率:31.07であった。
上記実施例1では、コイル配置部及び露出部の全てが圧粉成形体からなる構成を説明した。別の実施形態として、露出部が圧粉成形体からなり、コイル配置部が焼結体からなる構成が挙げられる。このとき、露出部の比透磁率がコイル配置部よりも高くなるように、焼結体の材料や製造条件を調整する。
更に、別の実施形態として、露出部が圧粉成形体からなり、コイル配置部が樹脂の硬化成形体からなる構成が挙げられる。このとき、露出部の比透磁率がコイル配置部よりも高くなるように、硬化成形体の材料や製造条件を調整する。
更に、別の実施形態として、露出部が電磁鋼板を積層した積層体からなり、コイル配置部が圧粉成形体、焼結体、及び樹脂の硬化成形体のいずれかからなる構成が挙げられる。電磁鋼板は、一般に、圧粉成形体、焼結体、及び樹脂の硬化成形体のいずれよりも、比透磁率が高い傾向にある。従って、コイル配置部は、圧粉成形体、焼結体、及び樹脂の硬化成形体のいずれかを適宜選択することができる。
C,C1,C2 コイル
100,110 リアクトル用コア 101a,101b,101c,101d 分割片
102 ギャップ材 111a,111b コイル配置部 111c,111d 露出部
Claims (6)
- リアクトルを構成するコイルで覆われるコイル配置部と、コイルで覆われない露出部とを具える環状のリアクトル用コアであって、
このコアは、前記コイル配置部と前記露出部とがギャップを介することなく一体化されてなり、
前記露出部は、前記コイル配置部よりも比透磁率が高いことを特徴とするリアクトル用コア。 - 前記コイル配置部は、圧粉成形体であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル用コア。
- 前記コイル配置部は、磁性粉末と流動性のある樹脂との混合体を成形し、得られた混合成形体の樹脂を硬化させた成形硬化体であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル用コア。
- 前記露出部は、圧粉成形体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリアクトル用コア。
- 前記露出部は、電磁鋼板を積層してなる積層体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリアクトル用コア。
- 前記リアクトル用コア全体の平均透磁率が比透磁率で5〜50であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル用コア。
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