JP7061291B2 - リアクトル - Google Patents
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Description
二つの巻回部と、前記両巻回部を繋ぐ連結部とを備えるコイルと、
前記各巻回部の内側に配置される内側コア部と、前記両巻回部の外側に配置される外側コア部とを備える磁性コアと、
前記磁性コアの外周面の少なくとも一部を覆う樹脂モールド部とを備え、
前記両外側コア部のうち、少なくとも一方は、
前記巻回部の軸方向及び前記両巻回部の並び方向の双方に直交する方向を高さ方向とし、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体と磁性粉末の圧粉成形体とが前記高さ方向に積層された複合コアを備え、
前記連結部は、前記両巻回部の軸方向の一端側において、前記内側コア部の端部よりも前記軸方向の外方及び前記高さ方向の上側に突出して設けられ、
前記複合コアは、
前記両巻回部の軸方向の一端側に配置され、
前記内側コア部の外周面を延長した仮想面よりも前記高さ方向の上側に突出する箇所を有し、
前記高さ方向の上側に前記複合材料の成形体が配置され、前記高さ方向の下側に前記圧粉成形体が積層された第一の複合コアを含み、
前記樹脂モールド部は、前記第一の複合コアを覆う第一の外側樹脂部を含む。
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の実施形態に係るリアクトルは、
二つの巻回部と、前記両巻回部を繋ぐ連結部とを備えるコイルと、
前記各巻回部の内側に配置される内側コア部と、前記両巻回部の外側に配置される外側コア部とを備える磁性コアと、
前記磁性コアの外周面の少なくとも一部を覆う樹脂モールド部とを備え、
前記両外側コア部のうち、少なくとも一方は、
前記巻回部の軸方向及び前記両巻回部の並び方向の双方に直交する方向を高さ方向とし、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体と磁性粉末の圧粉成形体とが前記高さ方向に積層された複合コアを備え、
前記連結部は、前記両巻回部の軸方向の一端側において、前記内側コア部の端部よりも前記軸方向の外方及び前記高さ方向の上側に突出して設けられ、
前記複合コアは、
前記両巻回部の軸方向の一端側に配置され、
前記内側コア部の外周面を延長した仮想面よりも前記高さ方向の上側に突出する箇所を有し、
前記高さ方向の上側に前記複合材料の成形体が配置され、前記高さ方向の下側に前記圧粉成形体が積層された第一の複合コアを含み、
前記樹脂モールド部は、前記第一の複合コアを覆う第一の外側樹脂部を含む。
複合材料の成形体は、非磁性材料である樹脂を比較的多く含む(例、10体積%以上)。そのため、複合材料の成形体は、代表的には圧粉成形体よりも比透磁率が小さく、磁気飽和し難い。従って、上記複合コアを含む磁性コアは、複合材料の成形体を含まず、圧粉成形体からなる磁性コアに比較して比透磁率が小さくなり易く、磁気飽和し難い。この点から、本開示のリアクトルは、代表的にはギャップ板や上述の樹脂ギャップ部を備えていないギャップレス構造でありながら、使用電流値が大きい場合でも磁気飽和し難い。ひいては、本開示のリアクトルは、使用電流値が大きい場合でも、所定のインダクタンスを維持できる。また、上記複合コアを含む磁性コアは、圧粉成形体を含まず、複合材料の成形体からなる磁性コアに比較して、外部への漏れ磁束を低減し易い。そのため、漏れ磁束に起因する損失を低減できる。従って、本開示のリアクトルは、低損失である。
(A)上記複合コアを含む磁性コアは、圧粉成形体を含まず、複合材料の成形体からなる磁性コアに比較して、同じインダクタンスを有する場合に体積を小さくできる。特に、本開示のリアクトルでは、二つの外側コア部のうち、巻回部の一端側、即ち連結部が配置される側の外側コア部が第一の複合コアを含む。また、第一の複合コアは、内側コア部よりも高さ方向の上側、即ち連結部が配置される側に突出する箇所を含む。ここで、従来のリアクトルでは、代表的には、内側コア部の高さ方向の上面と、外側コア部の高さ方向の上面、即ち外側コア部において連結部が配置される側の面とが面一である(例、特許文献1の図4)。このような従来のリアクトルでは、外側コア部の連結部側の面と、両巻回部の端面と、両巻回部の外周面のうち高さ方向の上面を延長した仮想面とで囲まれる空間は、デッドスペースである。第一の複合コアにおける連結部側の突出箇所は、上記デッドスペースに配置される。上記デッドスペースを活用して、第一の複合コアの高さを高められることで、上述の従来のリアクトルよりも、磁性コアの軸長さを短くできる。ひいては、本開示のリアクトルは、軸長さを短くできる。
(a)第一の複合コアは、複合材料の成形体と圧粉成形体との積層物である。そのため、複合材料の成形体と圧粉成形体という二つの成形体を独立して成形できる。例えば、圧粉成形体を直方体状といった単純な形状とすれば、圧粉成形体を容易に、かつ精度よく成形できる。複合材料の成形体は、上述の連結部近くの形状に対応しつつ、複合材料の成形体における圧粉成形体に接触する面にも対応した形状であっても、射出成形等で容易に、かつ精度よく成形できる。従って、複合材料の成形体及び圧粉成形体の双方の製造性に優れる。更に、両成形体の界面を構成する面を平面とすれば、両成形体を隙間なく積層し易い。この点からも、製造性に優れるリアクトルにできる。
前記第一の複合コアを構成する前記複合材料の成形体において前記両巻回部の並び方向の中央部の厚さは、前記両巻回部の並び方向の両端部の厚さよりも厚い形態が挙げられる。
前記連結部は、前記両巻回部を構成する巻線の一部が折り曲げられてなり、
前記第一の複合コアは、前記連結部が配置される凹部を有し、
前記第一の複合コアを構成する前記複合材料の成形体は、前記凹部を形成する内周面の少なくとも一部を構成する形態が挙げられる。
前記両巻回部の端面と前記第一の複合コアとを保持する枠状の保持部材を備え、
前記保持部材は、前記第一の複合コアを構成する前記複合材料の成形体が一体成形されている形態が挙げられる。
前記複合コアは、
前記両巻回部の軸方向の他端側に配置され、
前記内側コア部の前記仮想面よりも前記高さ方向に突出する箇所を有する第二の複合コアを含み、
前記樹脂モールド部は、前記第二の複合コアを覆う第二の外側樹脂部を含み、
前記第二の複合コアを構成する前記複合材料の成形体は、前記第二の複合コアを構成する前記圧粉成形体よりも前記巻回部の軸方向の外方に突出する張出部を備える形態が挙げられる。
前記内側コア部は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体を含む形態が挙げられる。
前記複合材料の成形体の比透磁率は、5以上50以下であり、
前記圧粉成形体の比透磁率は、前記複合材料の成形体の比透磁率の2倍以上である形態が挙げられる。
前記圧粉成形体の比透磁率は、50以上500以下である形態が挙げられる。
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
主として、図1~図4を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
図1は、実施形態1のリアクトル1の概略を示す斜視図であり、コイル2の巻回部2a,2bを繋ぐ連結部2jが紙面左斜め下側になるように配置した状態を示す。
図2は、実施形態1のリアクトル1を巻回部2a,2bの軸方向と両巻回部2a,2bの並び方向との双方に直交する方向からみた平面図である。図2では、分かり易いように保持部材5を省略し、樹脂モールド部6を二点鎖線で仮想的に示す。
図3は、実施形態1のリアクトル1を巻回部2a側から両巻回部2a,2bの並び方向にみた側面図である。図3では、磁性コア3が分かり易いように保持部材5、樹脂モールド部6を省略している。
図4は、実施形態1のリアクトル1に備えられる第一の複合コア30を外端面3o側から巻回部2a,2bの軸方向にみた正面図である。
以下、図1,図3,図4では紙面下側、図2では紙面垂直方向奥側をリアクトル1の設置側として説明する。この設置方向は例示であり、適宜変更できる。
実施形態1のリアクトル1は、図1に示すように、二つの巻回部2a,2bを備えるコイル2と、巻回部2a,2bの内側及び外側に配置される磁性コア3と、磁性コア3の外周面の少なくとも一部を覆う樹脂モールド部6とを備える。二つの巻回部2a,2bは隣り合って並び、各軸が平行するように配置される(図2)。コイル2は、両巻回部2a,2bを繋ぐ連結部2jを備える。磁性コア3は、図2に示すように、各巻回部2a,2bの内側に配置される内側コア部31と、両巻回部2a,2bの外側に配置される外側コア部32とを備える。磁性コア3は、内側コア部31と外側コア部32とで環状の閉磁路を構成する。各内側コア部31は、その軸方向が巻回部2a,2bの軸方向に沿うように配置される。両内側コア部31は、両巻回部2a,2bの一端側(図2では紙面下側)に配置される外側コア部32と、両巻回部2a,2bの他端側(図2では紙面上側)に配置される外側コア部32とに挟まれる。このようなリアクトル1は、代表的には、コンバータケース等の設置対象(図示せず)に取り付けられて使用される。
なお、以下の説明では、高さ方向とは、リアクトル1が設置された状態において、上述の巻回部2a,2bの軸方向及び並び方向の双方に直交する方向とする。高さ方向に沿った長さを高さと呼ぶ。
磁性コア3の軸方向とは、内側コア部31の軸方向に沿った方向とする。ここでは、内側コア部31の軸方向は、巻回部2a,2bの軸方向に沿う(実質的に平行である)。上記軸方向に沿った長さを軸長さと呼ぶ。
幅方向とは、上記高さ方向及び上記軸方向の双方に直交する方向とする。ここでは、磁性コア3の幅方向は、両巻回部2a,2bの並び方向に沿う。上記幅方向に沿った長さを幅と呼ぶ。
コイル2は、筒状の巻回部2a,2bと、連結部2jとを備える。本例のコイル2は、1本の連続する巻線2wが螺旋状に巻回されることで巻回部2a,2bが構成される。上記巻線2wにおいて巻回部2a,2b間に渡される部分によって連結部2jが構成される。連結部2jは、両巻回部2a,2bを電気的に直列に接続すると共に、機械的に接続する。
《概要》
本例の磁性コア3は、図2に示すように巻回部2a,2b内に配置される箇所を有し、主として内側コア部31を構成する部材と、巻回部2a,2b外に配置され、主として外側コア部32を構成する部材との合計四つの柱状の部材を備える。主として内側コア部31を構成する部材として、複合材料の成形体37を備える。主として外側コア部32を構成する部材として、第一の複合コア30、第二の複合コア34を備える。各複合材料の成形体37の一端面と複合コア30の内端面3eとが接続される。各複合材料の成形体37の他端面と複合コア34の内端面3eとが接続される。この接続によって上記四つの部材は、環状に構成される。
第一の複合コア30は、図3に示すように巻回部2a,2bの軸方向の一端側、即ち連結部2j側に配置される外側コア部32を主として構成する。複合コア30は、複合材料の成形体35と圧粉成形体39という異種のコア部材が高さ方向に積層されて構成される。複合コア30における高さ方向の上側、即ち連結部2j側に複合材料の成形体35が配置される。複合コア30における高さ方向の下側、即ち連結部2jとは反対側(ここでは設置側)に圧粉成形体39が配置される。また、複合コア30は、内側コア部31よりも高さ方向に突出した箇所を有する。そのため、複合コア30の最大高さh32は内側コア部31の高さh31よりも高い(h31<h32)。
本例の圧粉成形体39は、直方体状であり(図1,図3,図4)、単純な形状である。そのため、圧粉成形体39を容易に、かつ高精度に成形できる。圧粉成形体39の外周面のうち、高さ方向の上側に配置される一面(図3,図4では上面)は、複合材料の成形体35が積層される面(以下、圧粉成形体39の上面と呼ぶ)である。また、圧粉成形体39の外周面のうち、内端面3eの一部を構成する面は、主として内側コア部31を構成する複合材料の成形体37の端面が接触する面である。
外側コア部32を構成する部材の大きさ、後述する内側コア部31を構成する部材の大きさは、リアクトル1が所定の磁気特性を満たすように、構成材料等に応じて調整される。
圧粉成形体39の高さh39は、内側コア部31(複合材料の成形体37)の高さh31よりも大きい(h31<h39,図3)。圧粉成形体39の高さh39は、内側コア部31の高さh31と、内側コア部31から高さ方向の下側に突出する長さとの合計値である。本例では、圧粉成形体39の突出長さは、以下を満たす。上記突出長さとは、圧粉成形体39において、内側コア部31の外周面を延長した仮想面、特に高さ方向の下側の面から、圧粉成形体39の高さ方向の下側の面(図3では下面。ここでは設置側の面)までの距離とする。本例の突出長さは、圧粉成形体39における上記高さ方向の下側の面が、巻回部2a,2bの外周面のうち、高さ方向の下側の面と面一になる程度の大きさである。
圧粉成形体39における内端面3eを構成する面の面積は、二つの内側コア部31の端面の合計面積よりも大きい。
基部350の最大軸長さは、圧粉成形体39の最大軸長さに等しい(図2,図3)。
基部350の高さは、圧粉成形体39の上面から連結部2jの高さ方向の下端近くに至る程度である(図3)。
突出部351の軸長さは、基部350の最大軸長さよりも短い。突出部351の内側縁は、内端面3eにも傾斜面35fにも至らない(図2)。例えば、突出部351の軸長さは、基部350の最大軸長さの40%以上75%以下が挙げられる。
突出部351の高さは、連結部2jの高さ方向の下端近くから上端近くに至る程度である(図3)。基部350の高さと突出部351の高さとの合計値、即ち複合材料の成形体35の高さh35は、内側コア部31における上述の仮想面よりも高さ方向の上側の面から、巻回部2a,2bの外周面のうち、高さ方向の上側の面に至る程度である(図3)。例えば、複合材料の成形体35の高さh35は、内側コア部31の高さh31の30%以上60%以下が挙げられる。
本例では、各複合材料の成形体37は、主として巻回部2a,2b内に配置される。各複合材料の成形体37の端部は、第一の複合コア30,第二の複合コア34と共に巻回部2a,2b外に配置されて外側コア部32を構成する(図3)。各複合材料の成形体37は、ギャップ板等の磁気ギャップを有さず、複合材料から構成される一体物である。
≪複合材料の成形体≫
複合材料の成形体35,37は、磁性粉末と樹脂とを含む。磁性粉末は、樹脂中に分散される。このような複合材料の成形体35,37は、射出成形や注型成形等の適宜な成形方法によって製造できる。代表的には、磁性粉末と樹脂とを含む原料を用意し、流動状態の原料を成形型に充填した後、固化することが挙げられる。磁性粉末には、軟磁性材料からなる粉末や、粉末粒子の表面に絶縁材料等からなる被覆層を備える粉末等が利用できる。軟磁性材料は、鉄や鉄合金(例、Fe-Si合金、Fe-Ni合金等)といった金属、フェライト等の非金属等が挙げられる。
圧粉成形体39は、磁性粉末の集合体である。圧粉成形体39は、代表的には、磁性粉末(上述参照)とバインダーとを含む混合粉末を所定の形状に圧縮成形した後、熱処理を施したものが挙げられる。バインダーは樹脂等を利用できる。バインダーの含有量は30体積%以下程度が挙げられる。熱処理を施すと、バインダーが消失したり、熱変性物になったりする。そのため、圧粉成形体39は、複合材料の成形体35,37よりも磁性粉末の含有割合を高め易い(例えば80体積%超、更に85体積%以上)。磁性粉末の含有割合が多いことで、圧粉成形体39は、樹脂を含有する複合材料の成形体35,37よりも飽和磁束密度や比透磁率が高い傾向にある。
複合材料の成形体35,37の比透磁率は、例えば5以上50以下であることが挙げられる。複合材料の成形体35,37の比透磁率は、10以上45以下、更に40以下、35以下、30以下とより低くしてもよい。このような低透磁率の複合材料の成形体35,37を含む磁性コア3を備えるリアクトル1は、磁気飽和し難い。
複合材料の成形体35,37,圧粉成形体39と同様の組成からなるリング状の試料(外径34mm、内径20mm、厚さ5mm)を作製する。
上記リング状の試料に一次側:300巻き、二次側:20巻きの巻線を施し、B-H初磁化曲線をH=0(Oe)~100(Oe)の範囲で測定する。
得られたB-H初磁化曲線のB/Hの最大値を求める。この最大値を比透磁率とする。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線である。
その他、リアクトル1は、コイル2と磁性コア3との間に介在される保持部材5を備えてもよい。
樹脂モールド部6は、磁性コア3の少なくとも一部を覆うことで、磁性コア3を外部環境から保護したり、機械的に保護したり、磁性コア3とコイル2やリアクトル1の周囲部品との間の電気絶縁性を高めたりする機能を有する。樹脂モールド部6は、図1に例示するように磁性コア3を覆い、巻回部2a,2bの外周を覆わず露出させると、放熱性にも優れる。巻回部2a,2bが液体冷媒等の冷却媒体に直接接触できるためである。
実施形態1のリアクトル1は、例えば、以下のようにして製造できる。第一の複合コア30、第二の複合コア34、複合材料の成形体37をそれぞれ用意する。コイル2、磁性コア3、必要に応じて保持部材5を組み付ける。作製した組物を樹脂モールド部6の成形金型(図示せず)に収納し、流動状態の樹脂によって少なくとも複合コア30,34を被覆する。
実施形態1のリアクトル1は、電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品、例えば種々のコンバータや電力変換装置の構成部品等に利用できる。コンバータの一例として、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC-DCコンバータ)や、空調機のコンバータ等が挙げられる。
実施形態1のリアクトル1は、複合材料の成形体35と圧粉成形体39とを含む第一の複合コア30を備える。複合コア30を含む磁性コア3は、複合材料の成形体を含まず、圧粉成形体からなる磁性コアに比較して比透磁率が小さくなり易い。このような磁性コア3を備える実施形態1のリアクトル1は、ギャップ板等の磁気ギャップを備えていなくても、使用電流値が大きい場合に磁気飽和し難い。また、このリアクトル1は、使用電流値が大きい場合でもインダクタンスの低下を低減できる。更に、磁性コア3が複合材料の成形体35と圧粉成形体39とを含む。そのため、磁性コア3は、圧粉成形体を含まず、複合材料の成形体からなる磁性コアに比較して、外部への漏れ磁束を低減し易い。このようなリアクトル1は低損失である。
(1)以下の点から、より磁気飽和し難い。
第一の複合コア30に備えられる複合材料の成形体35は、幅方向の中央部の厚さが局所的に厚い。そのため、外側コア部32において磁束が通過し易い箇所の体積を大きく確保できる。
第二の複合コア34を備えて、両外側コア部32を構成する部材が複合材料の成形体35を含む。
内側コア部31を構成する部材が複合材料の成形体37を含む。
複合材料の成形体35と圧粉成形体39との界面が磁束方向に平行に配置される。そのため、上記界面が磁路に与える影響を実質的に無視でき、所定の磁気特性を維持できる。
第一の複合コア30は凹部355を有する。そのため、複合コア30は、連結部2jとの接触を回避しつつ、巻回部2a,2bの外周面のうち、高さ方向の上側の面から突出しない範囲で高さh35を高くし易い。ひいては複合コア30の最大高さh32を高くし易い。その結果、磁性コア3の軸長さL3をより短くできる。
第一の複合コア30の内端面3eにおいて、主として内側コア部31を構成する複合材料の成形体37の端面が接続される領域の全体が圧粉成形体39で構成される。このような複合コア30は、複合材料の成形体35よりも高い比透磁率を有する圧粉成形体39を多く含む。そのため、上記の内側コア部31との接続領域の一部が複合材料の成形体35で構成される場合よりも、複合コア30の軸長さを短くし易い。
圧粉成形体39が単純な形状であり、容易に、かつ精度よく成形できる。
複合材料の成形体35と圧粉成形体39との双方で凹部355を形成する。そのため、複合材料の成形体35も比較的単純な形状であり、容易に、かつ精度よく成形できる。
複合材料の成形体35の下面及び圧粉成形体39の上面は、高さ方向に直交に配置される平面である。そのため、両成形体を隙間なく積層し易い。
第一の複合コア30と第二の複合コア34とが同一形状、同一の大きさであり、同一の原料、同一の製造条件で製造できる。
各巻回部2a,2bの内側に配置され、内側コア部31を構成する部材(ここでは、複合材料の成形体37)を同一の原料、同一の製造条件で製造できる。
一つの巻回部2a又は2bの内側に配置され、内側コア部31を構成する部材の個数が一つであり、磁性コア3、ひいてはリアクトル1の組付部品点数が少ない。
磁性コア3が複合材料の成形体37を含むため、複合材料の成形体を含まず、圧粉成形体からなる磁性コアに比較して、渦電流損等の鉄損を低減できる。
複合材料の成形体35の突出部351が外端面3o寄りに設けられることで、外部への漏れ磁束を低減できる。この点からも、漏れ磁束に起因する損失を低減できる。
以下、実施形態1との相違点を詳細に説明し、実施形態1と重複する構成及び効果等は詳細な説明を省略する。
図5Aを参照して、実施形態2のリアクトルを説明する。ここでは、第一の複合コア30Aを詳細に説明する。
図5A,後述する図5Bはいずれも第一の複合コア30A,30Bのみを示し、その他のリアクトルの構成要素を省略する。図5A,5Bは、図4と同様に、第一の複合コア30A,30Bを外端面3o側からみた正面図である。
図5Bを参照して、実施形態3のリアクトルを説明する。ここでは、第一の複合コア30Bを詳細に説明する。
図6,図7をそれぞれ参照して、実施形態4,5のリアクトルを説明する。図6、図7では、磁性コア3C,3Dのみを示し、その他のリアクトルの構成要素を省略する。
図6,図7は、紙面下方をリアクトルの設置側とし、リアクトルを設置した状態において磁性コア3C,3Dを巻回部の並び方向(図6,図7では紙面垂直方向)にみた側面図である。図6,図7に示す複合材料の成形体35では、基部350と突出部351との境界、基部350と後述の張出部352との境界を二点鎖線で仮想的に示す。
以下、磁性コア3C,3Dを詳細に説明する。
実施形態4のリアクトルに備えられる磁性コア3Cは、主として外側コア部32を構成する第一の複合コア30C、第二の複合コア34Cと、主として内側コア部31を構成する複合材料の成形体37とを備える。
実施形態5のリアクトルに備えられる磁性コア3Dは、第一の複合コア30D、第二の複合コア34Dと、複合材料の成形体37とを備える。第一の複合コア30Dは、主として巻回部2a,2bの一端側、即ち連結部2j側(図7では左側)に配置される外側コア部32を構成する。第二の複合コア34Dの一部は、主として巻回部2a,2bの他端側、即ち連結部2jとは反対側(図7では右側)に配置される外側コア部32を構成し、他部は、内側コア部31の一部を構成する。複合材料の成形体37は、主として内側コア部31を構成する。
図8を参照して、実施形態6のリアクトルを説明する。
図8Aは、実施形態6のリアクトルに備えられる保持部材5Aを、コア側から貫通孔5hの軸方向にみた正面図である。図8Bは、図8Aに示す保持部材5Aに圧粉成形体39を配置した状態を示す正面図である。
例えば、上述の実施形態1~6に対して、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
例えば、上記外側コア部を圧粉成形体又は複合材料の成形体で構成してもよい。又は、複合材料の成形体、圧粉成形体、軟磁性材料からなる板材の積層体、及び焼結体から選択される二種以上の成形体で構成してもよい(但し、複合材料の成形体及び圧粉成形体を含む場合は除く)。板材の積層体は、代表的には電磁鋼板等の板材が積層されたものが挙げられる。焼結体は、代表的には、フェライトコア等が挙げられる。
例えば、図7に示す第二の複合コア34Dにおいて、内側コア部31を構成する箇所を延長してもよい。又は、外側コア部32を構成する複合コアとは別に、内側コア部を構成する複合コアを別途備えてもよい。
例えば、複合コアは、複合材料の成形体及び圧粉成形体に加えて、上述の軟磁性材料からなる板材の積層体や焼結体等を含むことが挙げられる。
図3を用いて説明すると、図3に示す連結部2jは両巻回部2a,2bにおける高さ方向の上側の面に面一な位置に設けられるが、例えば連結部2jを両巻回部2a,2bの上記上側の面よりも高い位置に設けてもよい。この場合、内側コア部31の外周面を延長した仮想面から連結部2jの上端までの間により大きなデッドスペースが生じる。第一の複合コアは、このデッドスペースを低減するように設けることが挙げられる。
この場合、連結部は、各巻回部から引き出される巻線の両端部のうち、一端部同士を接続させるとよい。端部同士の接続は、巻線の端部同士が直接接続される形態と、間接接続される形態とが挙げられる。直接接続には、溶接や圧着等が利用できる。間接接続には、巻線の端部に取り付けられる適宜な金具等を利用できる。
(F-1)温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサ等のリアクトルの物理量を測定するセンサ。
(F-2)コイルの巻回部の外周面の少なくとも一部に取り付けられる放熱板。
放熱板は、例えば金属板、熱伝導性に優れる非金属無機材料からなる板材等が挙げられれる。
(F-3)リアクトルの設置側の面と、設置対象又は上記の放熱板との間に介在される接合層。
接合層は、例えば接着剤層が挙げられる。電気絶縁性に優れる接着剤とすると、放熱板が金属板であっても、巻回部と放熱板との間の絶縁性を高められて好ましい。
(F-4)外側樹脂部に一体に成形され、リアクトルを設置対象に固定するための取付部。
2 コイル
2a,2b 巻回部、2j 連結部、2w 巻線
3,3C,3D 磁性コア
31 内側コア部、32 外側コア部、3e 内端面、3o 外端面
30,30A,30B,30C,30D,30E 第一の複合コア
34,34C,34D 第二の複合コア
35,37 複合材料の成形体
350 基部、351 突出部、352 張出部、355 凹部
35f 傾斜面
39 圧粉成形体
5,5A 保持部材
5h 貫通孔、50 爪部、52 溝部、53 底部、55 凹部
57,58 隙間
6 樹脂モールド部
60 第一の外側樹脂部、64 第二の外側樹脂部
Claims (8)
- 二つの巻回部と、前記両巻回部を繋ぐ連結部とを備えるコイルと、
前記各巻回部の内側に配置される内側コア部と、前記両巻回部の外側に配置される外側コア部とを備える磁性コアと、
前記磁性コアの外周面の少なくとも一部を覆う樹脂モールド部とを備え、
前記両外側コア部のうち、少なくとも一方は、
前記巻回部の軸方向及び前記両巻回部の並び方向の双方に直交する方向を高さ方向とし、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体と磁性粉末の圧粉成形体とが前記高さ方向に積層された複合コアを備え、
前記連結部は、前記両巻回部の軸方向の一端側において、前記内側コア部の端部よりも前記軸方向の外方及び前記高さ方向の上側に突出して設けられ、
前記複合コアは、
前記両巻回部の軸方向の一端側に配置され、
前記内側コア部の外周面を延長した仮想面よりも前記高さ方向の上側に突出する箇所を有し、
前記高さ方向の上側に前記複合材料の成形体が配置され、前記高さ方向の下側に前記圧粉成形体が積層された第一の複合コアを含み、
前記樹脂モールド部は、前記第一の複合コアを覆う第一の外側樹脂部を含むリアクトル。 - 前記第一の複合コアを構成する前記複合材料の成形体において前記両巻回部の並び方向の中央部の厚さは、前記両巻回部の並び方向の両端部の厚さよりも厚い請求項1に記載のリアクトル。
- 前記連結部は、前記両巻回部を構成する巻線の一部が折り曲げられてなり、
前記第一の複合コアは、前記連結部が配置される凹部を有し、
前記第一の複合コアを構成する前記複合材料の成形体は、前記凹部を形成する内周面の少なくとも一部を構成する請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。 - 前記両巻回部の端面と前記第一の複合コアとを保持する枠状の保持部材を備え、
前記保持部材は、前記第一の複合コアを構成する前記複合材料の成形体が一体成形されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記複合コアは、
前記両巻回部の軸方向の他端側に配置され、
前記内側コア部の前記仮想面よりも前記高さ方向に突出する箇所を有する第二の複合コアを含み、
前記樹脂モールド部は、前記第二の複合コアを覆う第二の外側樹脂部を含み、
前記第二の複合コアを構成する前記複合材料の成形体は、前記第二の複合コアを構成する前記圧粉成形体よりも前記巻回部の軸方向の外方に突出する張出部を備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記内側コア部は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体を含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記複合材料の成形体の比透磁率は、5以上50以下であり、
前記圧粉成形体の比透磁率は、前記複合材料の成形体の比透磁率の2倍以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記圧粉成形体の比透磁率は、50以上500以下である請求項7に記載のリアクトル。
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