JP2011165977A - リアクトル - Google Patents

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康 野村
Izumi Memezawa
泉 目々澤
Mutsumi Ito
睦 伊藤
Hajime Kawaguchi
肇 川口
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Abstract

【課題】振動による騒音を低減することができるリアクトルを提供する。
【解決手段】リアクトル1αは、巻線を巻回してなる一つのコイル10と、コイル10内に挿通された柱状の内側コア部21及びコイル10の外周を覆う連結コア部22の両コア部21,22により閉磁路を形成する磁性コア20とを具える。内側コア部21が連結コア部22よりも飽和磁束密度が高いことでリアクトル1αを小型にできると共に、連結コア部22が内側コア部21よりも透磁率が低いことで、リアクトル1αは、所望のインダクタンスを満たす。更に、リアクトル1αは、コイル10に通電したときに生じる磁性コア20の振動を抑制するための制振材30を具えることで、圧粉成形体からなる内側コア部21が磁歪により振動しても、制振材30によりこの振動を吸収して振動を抑制することで、騒音を低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車載用DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に用いられるリアクトルに関するものである。特に、使用時の振動を抑制して、騒音を低減することができるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータに利用されるリアクトルとして、O字状といった環状の磁性コアの外周に、巻線を巻回してなる一対のコイルが並列に配置された形態が挙げられる。
その他、特許文献1では、一つのコイルの内周に配置される円柱状の内側コア片と、このコイルの外周を覆うように配置される円筒状の外側コア片と、このコイルの各端面に配置される一対の円板状の連結コア片とを具える断面E字状の磁性コア、所謂ポット型コアを具えるリアクトルを開示している(特許文献1 図1)。ポット型コアでは、上記連結コア片により、同心状に配置された内側コア片及び外側コア片を連結して閉磁路を形成する。
車載部品などの設置スペースが狭い部品には、小型であることが望まれることから、特許文献1では、内側コア片の飽和磁束密度を外側コア片及び連結コア片よりも高くすることで内側コア片の断面積を小さくし、リアクトルを小型にすることを提案している。
特開2009-033051号公報
しかし、従来のリアクトルでは、騒音の低減対策が不十分である。
リアクトルにおいて騒音が発生する主原因として、コイルへの通電時、リアクトルが振動することが挙げられる。特に、10kHz程度の周波数の電力をコイルに供給する場合、この周波数が可聴域であることから、この周波数域の振動に起因する騒音対策を十分に行うことが望まれる。リアクトルの振動には、主として、磁性コアによる振動と、コイルによる振動とがあり、磁性コアによる振動として、磁歪によるものが挙げられる。
磁歪とは、磁性体を磁界内に配置することで磁性体が機械的歪を受ける現象、端的には、磁性体が伸長する現象をいう。特に、磁性コアが圧粉成形体である場合、当該圧粉成形体を形成する磁性粒子が比較的自由に変形できることで、磁歪が生じ易い。コイルへの通電時、この磁歪により上記磁性粒子が振動することにより、磁性コアが振動源となり、振動が生じる。リアクトルがケースを具える場合には、上記振動がケースに伝わり、振動騒音が大きくなる。
その他、磁性コアに働く磁気吸引力によっても、コア片同士やケースと磁性コア同士との間で振動が生じる。また、コイルに働く電磁力により、例えば、コイルのターン間が近接離反を繰り返すことで、コイルが振動する。更に、コイル、磁性コア、コイルと磁性コアとを絶縁するボビン、ケースといったリアクトルの構成部材が相互に共振することもある。
上述のように磁性コアにギャップが存在しなくても、振動による騒音が生じ得るため、騒音の要因となる振動そのものを抑制することが望まれる。
そこで、本発明の目的は、振動を抑制して騒音を低減することができるリアクトルを提供することにある。
本発明は、特に、騒音の原因と成り得る磁性コアの振動を抑制するための制振材を少なくとも一つ具えることで上記目的を達成する。
本発明は、巻線を巻回してなる一つのコイルと、このコイルが配置される磁性コアとを具えるリアクトルに係るものである。上記磁性コアは、上記コイル内に挿通された柱状の内側コア部と、上記コイルの外周の少なくとも一部を覆う連結コア部とを有し、上記内側コア部と上記連結コア部との両コア部により閉磁路を形成する。上記内側コア部は、上記連結コア部よりも飽和磁束密度が高い。かつ、上記内側コア部は、圧粉成形体から構成されている。上記連結コア部は、上記内側コア部よりも透磁率が低い。かつ、上記連結コア部は、磁性材料と樹脂との混合物から構成されている。これら内側コア部と連結コア部とは、当該連結コア部を構成する上記樹脂により一体化されている。そして、このリアクトルは、上記コイルに通電したときに生じる上記磁性コアの振動を抑制するための制振材を具える。
上記構成を具える本発明リアクトルは、制振材により、磁性コアの振動を吸収して振動を抑制することができるため、当該振動に起因する騒音を低減することができる。特に、電磁鋼板からなる磁性コアと比較して磁歪が生じ易い圧粉成形体により内側コア部が構成されていても、上述のように制振材を具えることで本発明リアクトルは、騒音を効果的に低減することができる。また、本発明リアクトルは、磁性コア内に、アルミナ板といった非磁性材料からなる中実のギャップ材を有さない構成、所謂ギャップレス構造とすることで、上記磁歪により内側コア部が中実のギャップ材に接触することが無いため、この接触に起因する騒音が生じ得ない。このことからも、本発明リアクトルは、磁性コアに起因する騒音を低減することができる。
また、本発明リアクトルでは、コイルを一つだけとし、所謂ポット型コアを具える形態であるため、複数のコイル素子を具えるリアクトルと比較して小型である。更に、本発明リアクトルは、磁性コアが単一の材料で構成されておらず、異なる材料から構成され、上述のように磁性コアの磁気特性が部分的に異なっている。具体的には、内側コア部の飽和磁束密度が連結コア部の飽和磁束密度よりも高い。そのため、単一の材料で構成された磁性コアと同じ飽和磁束密度を得る場合、本発明リアクトルは、内側コア部の断面積を小さくすることができ、小型である。その上、上述のようにアルミナ板といった中実のギャップ材を有していないギャップレス構造とすると、内側コア部の外周面にコイルの内周面を近付けて配置することができる。即ち、コイルと内側コア部との間の隙間を小さくする、好ましくは、上記隙間を実質的に無くすことができる。ここで、磁性コアが上記ギャップ材を有する場合、ギャップ箇所にコイルを近付けて配置すると、当該ギャップ箇所からの漏れ磁束による影響がコイルに及んで損失が生じる。従って、上記ギャップ材を有する磁性コアを利用する場合、上記損失を低減するために、コイルの内周面と内側コア部の外周面との間にある程度の隙間を設ける必要がある。これに対して、本発明リアクトルをギャップレス構造とした場合、内側コア部の外周面にコイルの内周面を近付けて配置しても上記損失が生じない。従って、コイルと内側コア部とを近付けて配置することで、本発明リアクトルは、更に小型である。
更に、本発明リアクトルは、連結コア部の透磁率が内側コア部の透磁率よりも低いことで、所定のインダクタンスを十分に満たすことができる。特に、連結コア部は、磁性材料と樹脂との比率を調整することで磁気特性を容易に変更することができるため、インダクタンスの調整を容易に行える。また、本発明リアクトルは、内側コア部と連結コア部とを別部材とし、連結コア部の構成樹脂により両者を一体化することで、接着剤が不要である。
その上、本発明リアクトルは、内側コア部を圧粉成形体としていることで、三次元形状の部材を簡単に形成することができるため、例えば、コイルの内周面の形状に適合した外形を有する内側コア部を容易に形成することができる。内側コア部の外形がコイルの内周面の形状に近似していることで、内側コア部の外周面にコイルの内周面を接近させて配置することができるため、リアクトルを更に小型にすることができる。
加えて、本発明リアクトルは、連結コア部の構成材料を磁性材料と樹脂との混合物とし、当該樹脂により内側コア部と連結コア部とを一体化する。また、連結コア部の上記構成樹脂により、コイルと内側コア部とを一体化することもできる。例えば、コイルと内側コア部との組物の外周を覆うように連結コア部を成形することで、所定の特性を有する磁性コアを形成できると共に、リアクトルを製造することができる。このように連結コア部の形成、磁性コアの形成、及びリアクトルの製造を同時に行えることで、本発明リアクトルは、生産性にも優れる。
上述のように本発明リアクトルは、騒音の低減に加えて、小型化、生産性の向上、といった優れた効果を奏することができる。
上記制振材の構成材料は、主として磁性コアの振動を抑制することが可能な程度の柔軟性を有する材料、例えば、弾性率が0.5MPa以上20MPa以下を満たす材料、或いはJIS K 6253(2006)に規定のタイプAデュロメータが0〜70を満たす材料、或いは上記弾性率とタイプAデュロメータとの双方を満たす材料であって、リアクトルの使用時における最高到達温度に対する耐熱性を具える材料が挙げられる。また、放熱性に優れる材料が好ましい。具体的な構成材料として、例えば、シリコーン樹脂、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどが挙げられる。特に、シリコーン樹脂は、絶縁性にも優れて好ましい。また、制振材は、上記材料からなるシート状体(板状体)や帯状体、柱状体、筒状体といった種々の形状からなる素材を利用して、所望の形状に形成することができる。或いは、上記樹脂により所望の形状に成形してもよい。
ここで、本発明リアクトルの使用形態として、上記コイルと上記磁性コアとの組合体をそのまま利用する裸形態、上記組合体をケースに収納させた形態、上記組合体の表面の少なくとも一部を覆う外側樹脂部を具える形態が挙げられる。各使用形態に応じて、上記制振材の配置箇所を選択することができる。代表的には、上記制振材が、上記内側コア部の表面(外周面、端面、及び筒状の場合は内周面の少なくとも一つ)、及び上記連結コア部の表面の少なくとも一部に配置された形態が挙げられる。より具体的には、以下の形態A〜Fが挙げられる。
[形態A] 上記柱状の内側コア部の少なくとも一方の端面、又はこの端面を覆うように設けられた連結コア部の表面に上記制振材が配置された形態。
[形態B] 上記制振材が筒状体であり、上記内側コア部の外周面に上記制振材が配置された形態。
この形態Bの類似形態として、上記コイルの外周面に上記制振材が配置された形態が挙げられる。
[形態C] 上記磁性コアの外形をつくる面の少なくとも一部に上記制振材が配置された形態。
[形態D] 上記連結コア部自体が制振材として機能する形態。
[形態E] 上記内側コア部が中空の筒状体であり、この内側コア部の内部空間に上記制振材が充填された形態。
[形態F] 形態A〜形態Eの二つ以上の形態を組み合わせた形態
即ち、上記形態Aの本発明リアクトルは、巻線を巻回してなる一つのコイルと、
このコイル内に挿通された柱状の内側コア部、及び上記コイルの外周の少なくとも一部を覆う連結コア部の両コア部により閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
上記内側コア部は、上記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、かつ圧粉成形体から構成されており、
上記連結コア部は、上記内側コア部よりも透磁率が低く、かつ磁性材料と樹脂との混合物から構成されており、
上記内側コア部と上記連結コア部とが上記樹脂により一体化されており、
上記内側コア部の少なくとも一方の端面を覆うように設けられた連結コア部の表面に、上記コイルに通電したときに生じる上記磁性コアの振動を抑制するための制振材を具えることを特徴とする。
上記形態によれば、特に、上述したケースや外側樹脂部を具える使用形態とし、当該ケースや外側樹脂部と連結コア部との間に上記制振材が介在する場合、磁歪による内側コア部の振動を上記ケースや外側樹脂部に伝達され難くすることができる。従って、このリアクトルは、騒音を低減することができる。
或いは、別の形態Aの本発明リアクトルは、巻線を巻回してなる一つのコイルと、
このコイル内に挿通された柱状の内側コア部、及び上記コイルの外周の少なくとも一部を覆う連結コア部の両コア部により閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
上記内側コア部は、上記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、かつ圧粉成形体から構成されており、
上記連結コア部は、上記内側コア部よりも透磁率が低く、かつ磁性材料と樹脂との混合物から構成されており、
上記内側コア部と上記連結コア部とが上記樹脂により一体化されており、
上記内側コア部の少なくとも一方の端面は、上記コイルの端面から突出しており、
上記突出している内側コア部の端面に、上記コイルに通電したときに生じる上記磁性コアの振動を抑制するための制振材を具えることを特徴とする。
上記形態によれば、特に、上述したケースや外側樹脂部と内側コア部との間に上記制振材が介在する場合、磁歪による内側コア部の振動を制振材が直接吸収することができ、上記ケースや外側樹脂部に伝達され難くすることができる。或いは、上記制振材の外周に更に連結コア部が設けられている場合、即ち、制振材が内側コア部と連結コア部との間に介在される場合、磁歪による内側コア部の振動を制振材により吸収して連結コア部に伝達され難くすることができる。そのため、この形態のリアクトルは、上記内側コア部の振動を上記ケースや外側樹脂部に更に伝達され難くすることができ、騒音を低減することができる。
上記形態Aにおいて、上記リアクトルを設置したときに当該リアクトルの設置側となる面に対して上記コイルの軸方向が直交するように当該リアクトルが配置される場合(以下、この配置状態を縦型配置と呼ぶ)、上記内側コア部において設置側となる端面、又はこの設置側の端面を覆うように設けられた連結コア部の表面に上記制振材が配置されることが好ましい。
上記縦型配置では、上記制振材が無ければ、リアクトルの振動が設置対象に伝えられて騒音が生じ得る。これに対して、上記縦型配置の形態のリアクトルでは、上述のように磁性コアの設置側の面に制振材が配置されている構成、即ち、内側コア部又は連結コア部と設置対象との間に制振材が介在される構成、或いは、内側コア部又は連結コア部と設置対象との間に外側樹脂部やケースが介在し、制振材が設置対象に接触する構成である。従って、このリアクトルは、設置対象への振動の伝達を抑制して、騒音を低減することができる。
或いは、上記形態Aにおいて、上記リアクトルを設置したときに当該リアクトルの設置側となる面に対して上記コイルの軸方向が平行するように当該リアクトルが配置される場合(以下、この配置形態を横型配置と呼ぶ)、上記内側コア部の両端面、又は各端面を覆うように設けられた連結コア部の表面にそれぞれ上記制振材に配置されることが好ましい。
上述のように内側コア部の両端面、又は各端面の外方に存在する連結コア部を挟むように制振材が配置される、即ち、内側コア部の端面と連結コア部或いはケースや外側樹脂部との間や、連結コア部とケースや外側樹脂部との間に制振材が介在されることで、内側コア部の振動をこれらの制振材により十分に吸収して、上記振動を上述したケースや外側樹脂部に伝達され難くすることができる。従って、このリアクトルは、騒音を低減することができる。
上述した形態B及びその類似形態の本発明リアクトルは、巻線を巻回してなる一つのコイルと、
このコイル内に挿通された柱状の内側コア部、及び上記コイルの外周の少なくとも一部を覆う連結コア部の両コア部により閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
上記内側コア部は、上記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、かつ圧粉成形体から構成されており、
上記連結コア部は、上記内側コア部よりも透磁率が低く、かつ磁性材料と樹脂との混合物から構成されており、
上記内側コア部と上記連結コア部とが上記樹脂により一体化されており、
上記内側コア部の外周面、及び上記コイルの外周面の少なくとも一方に、上記コイルに通電したときに生じる上記リアクトルの振動を抑制するための筒状の制振材を具えることを特徴とする。
上述のように内側コア部の外周面に上記筒状の制振材を具える場合、この制振材は、内側コア部とコイルとの間に介在されることで、磁歪による内側コア部の振動を吸収して、コイルやコイルの外方に設けられた連結コア部に伝達され難くすることができる。或いは、上述のようにコイルの外周面に上記制振材を具える場合、この制振材は、コイルとコイルの外方に設けられた連結コア部との間に介在されることで、コイルの振動やコイルに伝えられた内側コア部の振動を連結コア部に伝達され難くすることができる。内側コア部の外周面及びコイルの外周面の双方に上記制振材を具える場合、上記内側コア部やコイルの振動を連結コア部に更に伝達され難くすることができる。従って、この形態のリアクトルは、上述した裸形態、ケースや外側樹脂部を具える形態のいずれの使用形態でも、騒音を低減することができる。
上述した形態Cの本発明リアクトルは、巻線を巻回してなる一つのコイルと、
このコイル内に挿通された柱状の内側コア部、及び上記コイルの外周の少なくとも一部を覆う連結コア部の両コア部により閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
上記内側コア部は、上記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、かつ圧粉成形体から構成されており、
上記連結コア部は、上記内側コア部よりも透磁率が低く、かつ磁性材料と樹脂との混合物から構成されており、
上記内側コア部と上記連結コア部とが上記樹脂により一体化されており、
上記磁性コアの外形をつくる面の少なくとも一部に、上記コイルに通電したときに生じる上記磁性コアの振動を抑制するための制振材を具えることを特徴とする。
上記形態によれば、特に、上述したケースや外側樹脂部と磁性コアとの間に上記制振材が介在することで、磁歪が生じ易い内側コア部を含む磁性コアの振動やコイルの振動を上記制振材により吸収して、上記ケースや外側樹脂部に伝達され難くすることができる。従って、このリアクトルは、騒音を低減することができる。
上述した形態Dの本発明リアクトルは、巻線を巻回してなる一つのコイルと、
このコイル内に挿通された柱状の内側コア部、及び上記コイルの外周の少なくとも一部を覆う連結コア部の両コア部により閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
上記内側コア部は、上記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、かつ圧粉成形体から構成されており、
上記連結コア部は、上記内側コア部よりも透磁率が低く、かつ磁性材料と樹脂との混合物から構成されており、
上記内側コア部と上記連結コア部とが上記樹脂により一体化されており、
上記連結コア部の樹脂は、シリコーン樹脂、クロロプレンゴム、及びブチルゴムのいずれかであり、上記コイルに通電したときに生じる上記磁性コアの振動を抑制するための制振材として機能することを特徴とする。
上記形態によれば、特に、上述したケースや外側樹脂部と内側コア部との間に上記制振材として機能する連結コア部が介在することで、磁歪による内側コア部の振動やコイルの振動を連結コア部で吸収することができ、上記ケースや外側樹脂部に伝達され難くすることができる。従って、このリアクトルは、騒音を低減することができる。特に、この形態によれば、制振材を別部材として具えるのではなく、連結コア部自体が制振材としての機能を兼ねることで、部品点数を低減することができる。
上述した形態Eの本発明リアクトルは、巻線を巻回してなる一つのコイルと、
このコイル内に挿通された柱状の内側コア部、及び上記コイルの外周の少なくとも一部を覆う連結コア部の両コア部により閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
上記内側コア部は、上記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、かつ圧粉成形体から構成されており、
上記連結コア部は、上記内側コア部よりも透磁率が低く、かつ磁性材料と樹脂との混合物から構成されており、
上記内側コア部と上記連結コア部とが上記樹脂により一体化されており、
上記内側コア部が中空の筒状体であり、この内側コア部の内部空間に、上記コイルに通電したときに生じる上記磁性コアの振動を抑制するための制振材が充填されていることを特徴とする。
上記形態によれば、内側コア部の一端面から他端面に亘って制振材が存在する、即ち、制振材は概ね内側コア部に囲まれるように存在することで、内側コア部の振動を当該制振材により十分に吸収することができる。そのため、磁歪による内側コア部の振動を連結コア部や上述したケースや外側樹脂部に伝達され難くすることができる。従って、このリアクトルは、騒音を低減することができる。
上記形態Eにおいて、上記内側コア部の内部空間から、上記内側コア部の少なくとも一方の端面に連続して上記制振材が配置された形態とすることができる。
上記形態によれば、内側コア部の内部空間に制振材が存在する場合と比較して、内側コア部の振動をより吸収することができる。特に、内側コア部の端面に配置される制振材が内側コア部と連結コア部との間に介在される場合、内側コア部の振動を更に吸収することができる。そのため、磁歪による内側コア部の振動を連結コア部や上述したケースや外側樹脂部に伝達され難くすることができ、このリアクトルは、騒音を低減することができる。
本発明リアクトルは、振動を抑制して騒音を低減することができる。
図1は、実施形態1のリアクトルの概略構成を示す断面図であり、図1(I)は、横型配置のリアクトルであって、連結コア部の表面に制振材を具える例、図1(II)は、縦型配置のリアクトルであって、連結コア部の設置側面に制振材を具える例、図1(III)は、内側コア部の端面に制振材を具える例、図1(IV)は、内側コア部の端面に制振材を具え、この制振材が連結コア部で覆われている例を示す。 図2は、実施形態のリアクトルに具えるコイルと内側コア部とを組み合わせた組物の概略斜視図であり、図2(I)は、横型配置の例、図2(II)は、縦型配置の例を示す。 図3は、実施形態2のリアクトルの概略構成を示す断面図である。 図4は、実施形態3のリアクトルの概略構成を示す断面図である。 図5は、実施形態5のリアクトルの概略構成を示す断面図であり、図5(I)は、内側コア部の内部空間に制振材を具える例、図5(II)は、内側コア部の内側空間及び端面に制振材を具える例を示す。
以下、図面を参照して、実施形態のリアクトルを説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、図1,3〜5では、分かり易いように巻線の両端部を省略している。
(実施形態1)
図1,2を参照して、実施形態1のリアクトル1α〜1δを説明する。リアクトル1α〜1δの基本的構成は共通しているため、代表して、リアクトル1αをまず説明し、リアクトル1β,1γ,1δについては、リアクトル1αに対する相違点(構成及び効果)を中心に説明し、共通点は説明を省略する。
{リアクトル1α}
リアクトル1αは、巻線を巻回してなる一つのコイル10と、コイル10がつくる磁束の通路となる磁性コア20と、コイル10と磁性コア20との組合体を収納するケース40とを具える。磁性コア20は、コイル10内に挿通された内側コア部21と、コイル10内に配置されず、コイル10の外周を覆う連結コア部22とを具える。リアクトル1αの特徴とするところは、磁性コア20の構成材料、及び磁性コア20の振動を抑制するための制振材30を具える点にある。以下、各構成を詳細に説明する。
[コイル]
コイル10の説明は、図2を適宜参照して行う。コイル10は、1本の連続する巻線10wを螺旋状に巻回してなる円筒状体である。巻線10wは、銅やアルミニウムといった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を具える被覆線が好適である。ここでは、コイル10は、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線をエッジワイズ巻きにしたエッジワイズコイルである。上記絶縁被覆の厚さは、20μm以上100μm以下が挙げられる。巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。上記エッジワイズコイルは、占積率を高め易い。また、ここでは、コイル10を円筒状とすることで、エッジワイズコイルであっても成形性に優れる。
コイル10を形成する巻線10wの両端部は、図2に示すようにターン部分から適宜引き延ばされ、後述する連結コア部22の外部に引き出され、絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる端子部材(図示せず)が接続される。この端子部材を介して、コイル10に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。巻線10wの導体部分と端子部材との接続には、TIG溶接などの溶接の他、圧着などが利用できる。
図2(I)に示すコイル10は、リアクトルを設置対象に固定したときに、リアクトルの設置側となる面に対して、コイル10の軸方向が平行するようにリアクトルが配置される横型配置の状態を示す。なお、図2(I)に示すコイル10では、コイルの軸方向に直交する方向に巻線10wの端部を引き出した状態を示すが、図2(II)に示すように巻線10wの端部を軸方向に沿って引き出す場合もある。
図2(II)に示すコイル10は、リアクトルを設置対象に固定したときに、リアクトルの設置側となる面に対して、コイル10の軸方向が直交するようにリアクトルが配置される縦型配置の状態を示す。
上記横型配置、縦型配置は、適宜選択することができる。図1(I)に示すリアクトル1αでは、横型配置のコイル10を具える。横型配置の形態の場合、コイル10内に配置された内側コア部21の両端面がケース40の側壁に平行するように、コイル10及び内側コア部21の組物がケース40に収納される。
[磁性コア20]
磁性コア20は、上記コイル10内に挿通された内側コア部21と、この内側コア部21とコイル10との組物を覆うように設けられた連結コア部22とを具える。特に、磁性コア20は、内側コア部21の構成材料と、連結コア部22の構成材料とが異なることで、部分的に磁気特性が異なる。具体的には、内側コア部21は、連結コア部22よりも飽和磁束密度が高く、連結コア部22は、内側コア部21よりも透磁率が低い。
《内側コア部》
内側コア部21は、上記円筒状のコイル10の内周面の形状に沿った外形を有する。即ち、内側コア部21は、図2に示すように、端面の形状が円形である円柱体である。また、内側コア部21は、その全体が圧粉成形体から構成されている。更に、この内側コア部21は、アルミナ板といった中実のギャップ材やエアギャップ、接着剤が介在していない。
圧粉成形体は、代表的には、表面に絶縁被膜を具える軟磁性粉末を成形後、上記絶縁被膜の耐熱温度以下で焼成することにより得られる。軟磁性粉末に加えて適宜結合剤を混合した混合粉末を利用したり、上記絶縁被膜としてシリコーン樹脂などからなる被膜を具えた粉末を利用したりすることができる。圧粉成形体の飽和磁束密度は、軟磁性粉末の材質や、上記軟磁性粉末と上記結合剤との混合比、種々の被膜の量などを調整することで変化させることができる。例えば、飽和磁束密度の高い軟磁性粉末を用いたり、結合剤の配合量を低減して軟磁性材料の割合を高めたりすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。その他、成形圧力を変える、具体的には成形圧力を高くすることでも飽和磁束密度を高められる傾向にある。所望の飽和磁束密度となるように軟磁性粉末の選択や成形圧力の調整などを行うとよい。
上記軟磁性粉末は、Fe,Co,Niといった鉄族金属粉末の他、Fe-Si,Fe-Ni,Fe-Al,Fe-Co,Fe-Cr,Fe-Si-AlなどのFe基合金粉末、或は希土類金属粉末、フェライト粉末などが利用できる。特に、Fe基合金粉末は、飽和磁束密度が高い圧粉成形体を得易い。このような粉末は、アトマイズ法(ガス又は水)や、機械的粉砕法などにより製造することができる。特に、結晶がナノサイズであるナノ結晶材料からなる粉末、好ましくは異方性ナノ結晶材料からなる粉末を用いると、高異方性で低保磁力の圧粉成形体が得られる。軟磁性粉末に形成される絶縁被膜は、例えば、燐酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物又は硼素化合物などが挙げられる。結合剤は、例えば、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、又は高級脂肪酸が挙げられる。この結合剤は、上記焼成により消失したり、シリカなどの絶縁物に変化したりする。圧粉成形体は、絶縁被膜などの絶縁物が存在することで、軟磁性粉末同士が絶縁されて、渦電流損失を低減することができ、コイルに高周波の電力が通電される場合であっても、上記損失を少なくすることができる。圧粉成形体は、公知のもの、例えば、特開2006-202956号公報に記載される軟磁性材料からなるものを利用してもよい。
上述のような圧粉成形体からなる内側コア部の飽和磁束密度は、1.6T以上、特に2T以上が好ましく、比透磁率は、50超1000以下であることが好ましい。
内側コア部の形状は適宜選択することができ、例えば角柱状とすることができるが、上述のように円柱体とすることで、成形性に優れる。
図1(I)に示すリアクトル1αでは、内側コア部21におけるコイルの軸方向の長さ(以下、単に長さと呼ぶ)がコイル10の長さよりも若干長く、内側コア部21の両端面がコイル10の端面から突出している。内側コア部21の長さは、コイル10の長さに等しくてもよいし、若干短くてもよい。内側コア部21の長さがコイル10の長さと同等以上であることで、コイル10がつくる磁束を内側コア部21に十分に通過させることができる。
《連結コア部》
連結コア部22は、磁性コア20が閉磁路となるように上記内側コア部21に連結される。図1(I)に示す連結コア部22は、コイル10と、コイル10内に挿通された内側コア部21との組物の表面全体、即ち、コイル10の外周面及び端面、内側コア部21の両端面を実質的に覆うように直方体状に形成されている。従って、リアクトル1αでは、コイル10と磁性コア20との組合体の外形が連結コア部22によりつくられる。また、リアクトル1αでは、内側コア部21と連結コア部22とが接着剤を介在することなく、連結コア部22の構成樹脂により一体化されたギャップレス構造である。更に、リアクトル1αは、連結コア部22の構成樹脂により、内側コア部21、連結コア部22、及びコイル10を一体化する。
連結コア部22の形状は、磁性コア20が閉磁路を形成することができれば特に問わない。例えば、内側コア部の少なくとも一方の端面が連結コア部から露出され、当該端面と連結コア部の表面とで磁性コアの外形をつくる形態としてもよい。或いは、コイルの外周の少なくとも一部が連結コア部により覆われず露出された形態としてもよい。所望の形状となるように連結コア部を形成することができる。
そして、連結コア部22は、その全体が磁性材料と樹脂との混合物(成形硬化体)により形成されている。成形硬化体は、代表的には、射出成形、注型成形により形成することができる。射出成形は、通常、軟磁性粉末(必要に応じて更に非磁性粉末を加えた混合粉末)と流動性のあるバインダ樹脂とを混合し、この混合流体を、所定の圧力をかけて成形型に流し込んで成形した後、バインダ樹脂を硬化させる。注型成形は、射出成形と同様の混合流体を得た後、この混合流体を、圧力をかけることなく成形型に注入して成形・硬化させる。いずれの成形手法も、軟磁性粉末には、上述の軟磁性粉末、特に、平均粒径が10μm以上500μm以下の純鉄粉末やFe基合金粉末が好適に利用できる。金属粒子の表面に燐酸鉄などからなる被膜を具える被覆粉末を利用してもよい。連結コア部22に利用する軟磁性粉末は、上述した内側コア部21に利用する軟磁性粉末と同様のものを利用することができる。また、いずれの成形手法も、バインダ樹脂には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が好適に利用できる。バインダ樹脂に熱硬化性樹脂を用いた場合、成形体を加熱して樹脂を熱硬化させる。バインダ樹脂に常温硬化性樹脂或は低温硬化性樹脂を用いてもよく、この場合、成形体を常温〜比較的低温に放置して樹脂を硬化させる。成形硬化体は、非磁性材料であるバインダ樹脂が多く残存するため、圧粉成形体と同じ軟磁性粉末を用いたとしても、圧粉成形体よりも飽和磁束密度が低く、かつ透磁率も低くなる。連結コア部22が樹脂成分を具えることで、コイル10や内側コア部21に対して、粉塵や腐食といった外部環境からの保護や機械的保護を図ることができる。また、リアクトル1αでは、コイル10の全体が連結コア部22により覆われていることで、連結コア部22の形成が容易である。なお、成形型には、ケース40を代用することができる。
上記射出成形や注型成形を利用する場合も、軟磁性粉末とバインダ樹脂との配合を変えることで、連結コア部22の透磁率を調整することができる。例えば、軟磁性粉末の配合量を減らすと、透磁率は小さくなる傾向にある。リアクトル1αが所望のインダクタンスを有するように、連結コア部22の透磁率を調整するとよい。
上述のような成形硬化体からなる連結コア部の比透磁率は、5以上50以下が好ましく、飽和磁束密度は、0.5T以上内側コア部の飽和磁束密度未満が好ましい。
[ケース]
コイル10と磁性コア20との組合体を収納するケース40は、例えば、アルミニウムといった金属から構成され、底面部と、底面部から立設される側壁部とを具え、底面部と対向する側が開口した箱状体を利用することができる。上記組合体をケース40に収納することで、コイル10や磁性コア20を外部環境から保護したり、機械的に保護したりすることができる。また、ケース40には、設置対象に固定するための取付部(例えば、ボルトで固定する場合、ボルト孔を設けるためのフランジ部)を一体に設けておくと、固定用部材を低減することができる。
[制振材]
そして、リアクトル1αは、磁性コア20の表面の一部、具体的には、直方体状の連結コア部22の表面の一部、より具体的には、連結コア部22において内側コア部21の各端面を覆うように設けられた箇所の表面の一部にそれぞれ制振材30を具える。即ち、リアクトル1αでは、連結コア部22を介して内側コア部21の両端面を挟むように一対の制振材30が存在する。
上記制振材30は、種々の形態とすることができる。例えば、制振材30を所定の大きさのシート状体からなるものとする場合、接着剤を適宜用いたり、制振材自体の密着力により、磁性コア20に接合することで磁性コア20の表面に配置することができる。或いは、制振材30を帯状体からなるものとする場合、磁性コア20の表面に巻回するなどし、接着剤を適宜用いたり、接着層を具える帯状体を利用することで磁性コア20の表面に配置することができる。或いは、制振材30を樹脂により構成する場合、当該樹脂により磁性コア20の表面を覆ったり、磁性コア20とケース40との間に当該樹脂を充填して硬化することで、磁性コア20の表面に制振材を配置することができる。
ここでは、制振材30は、シリコーン樹脂の成形体としている。また、ここでは、直方体状に形成された連結コア部22の対向する二面(内側コア部21の各端面に平行に配置される二面)の全面を覆うように制振材30を具える構成としている。なお、制振材の大きさは、適宜選択することができ、例えば、上記連結コア部22の対向する二面の一部にのみ制振材を配置させてもよい。より具体的には、上記連結コア部22の対向する二面に、内側コア部21の端面形状に沿った円形状の制振材を設けてもよい。特に、この円形状の制振材は、連結コア部22において、内側コア部21の端面の延長上に配置されることが好ましい。また、この場合、ケースの内面に所定の形状の制振材が形成されるように突部を具えるケースを用いたり、連結コア部22を成形後、適切な形状、大きさに切断した上記シート状体や帯状体を接着剤などで所定の位置に貼り付けることで、連結コア部22の所定の位置にのみ制振材を設けることができる。
[その他の構成要素]
コイル10と磁性コア20との間の絶縁性は、上記コイル10を構成する巻線10wの絶縁被覆により確保することができる。上記絶縁性をより高めるために、コイル10において磁性コア20に接触する箇所に、絶縁物を介在させてもよい。例えば、コイル10の内・外周面に絶縁性テープを貼り付けたり、絶縁紙や絶縁シートを配置したりすることが挙げられる。また、コイル10の外周や内側コア部21の外周に絶縁性材料からなる筒状のボビン(図示せず)を配置してもよい。特に、内側コア部21の外周に配置するボビンは、その両端から外周に延びる環状のフランジ部を具えるボビンとすると、コイル10の端面と連結コア部22との間の絶縁性を高められる。ボビンの構成材料には、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が好適に利用できる。
[リアクトルの製造方法]
リアクトル1αは、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、コイル10、及び圧粉成形体からなる内側コア部21を用意して、コイル10内に内側コア部21が挿入されたコイル10と内側コア部21との組物を作製する。上述のようにコイル10と内側コア部21との間に適宜絶縁物を配置させてもよい。このコイル10と内側コア部21との組物をケース40に収納する。上記組物が連結コア部22内の適切な位置に配置されるように、ケース40内に位置決め部を適宜具えておくことが好ましい。この位置決め部は、ケースに一体に成形されたものでもよいし、ケースと別部材としてもよい。特に、位置決め部を上記別部材とする場合、例えば、連結コア部22の構成材料と同じ材料により形成すると、当該位置決め用の部材を連結コア部22の一部として利用することができる。また、位置決め部は、連結コア部が所定の磁路を確保できる範囲で適宜大きさを選択することができる。
上記組物が収納されたケース40内に、連結コア部22を構成する磁性材料の粉末とバインダ樹脂との混合流体を流し込んで、バインダ樹脂を硬化させ、所定の形状の連結コア部22を成形する。なお、連結コア部22の成形を複数回に分けて行い、連結コア部22の成形の途中段階で製造される中間成形物を上記位置決め部に利用してもよい。具体的には、ケース40に上記混合流体の一部を充填して硬化して連結コア部22の一部のみを成形し、この中間成形物の上に上記組物を配置する。その後、連結コア部22の残部を成形すると共に、上記バインダ樹脂により当該残部と上記中間成形物とを一体化して、連結コア部22を完全に成形する。
また、ここでは、上記連結コア部22の成形時、ケース40に仕切り部材(図示せず)を配置させておき、成形された連結コア部22の表面において制振材30が配置される箇所とケース40の内面との間に隙間を設けておく。そして、連結コア部22の成形後、上記隙間に制振材30の構成材料を適宜流し込んで硬化させ、制振材30を成形する。この工程により、連結コア部22の表面において内側コア部21の各端面を覆う箇所に制振材30が配置されたリアクトル1αが得られる。
[効果]
リアクトル1αは、連結コア部22の表面において内側コア部21の端面を覆う箇所の表面に、この表面とケース40とに挟まれるように制振材30を具える。この構成により、リアクトル1αは、圧粉成形体から構成された内側コア部21が磁歪により振動しても、この振動が制振材30に吸収されて、ケース40に伝達されることを抑制することができる。従って、リアクトル1αは、上記振動に伴う騒音を低減することができる。
また、リアクトル1αは、内側コア部21の飽和磁束密度が連結コア部22よりも高いことで、全体が均質である磁性コアと同じ飽和磁束密度を得る場合、内側コア部21の断面積(磁束が通過する面)を小さくすることができる。内側コア部21の小型化により磁性コア20を小型にできることで、引いてはリアクトル1αを小型にすることができる。また、リアクトル1αは、コイル10が配置される内側コア部21の飽和磁束密度が高いと共に、コイル10が配置されない連結コア部22の透磁率が低いことで、所望のインダクタンスを有することができる。更に、リアクトル1αは、磁性コア20の全体に亘って、ギャップが一切存在しないことで、ギャップ箇所での漏れ磁束がコイル10に影響を及ぼすことが無いため、コイル10の内周面に内側コア部21を近付けて配置することができる。従って、コイル10の内周面と内側コア部21の外周面との間の隙間を小さくでき、このことからも、リアクトル1αは小型である。特に、リアクトル1αでは、内側コア部21の外形をコイル10の内周面の形状に沿った円柱状としたことで、上記隙間を更に小さくできる。
更に、リアクトル1αは、連結コア部22の形成と同時に、連結コア部22の構成樹脂により内側コア部21と連結コア部22とを接合して環状の磁性コア20を形成することで製造される。このようにリアクトル1αは、製造工程が少なく、生産性に優れる。
その上、リアクトル1αは、接着剤レス構造であることで、磁性コア20の組立にあたり、接着剤を省略することができる。
{リアクトル1β}
上記リアクトル1αは、横型配置の形態である。これに対し、リアクトル1βは、図2(II)に示す縦型配置のコイル10がケース41に収納された縦型配置の形態である。
この形態では、図1(II)に示すように、コイル10内に配置された内側コア部21の一方の端面がケース41の底面側、他方の端面がケース41の開口側に向くように、コイル10及び内側コア部21の組物がケース41に収納される。従って、この形態では、内側コア部21を含む磁性コア20やコイル10の振動がケース41の底面に伝えられる。そのため、リアクトル1βでは、連結コア部22において内側コア部21の設置側の端面を覆う箇所の表面、即ち、連結コア部22の設置側面とケース41の内底面との間に制振材30が介在されている。
上記リアクトル1βは、例えば、ケース41の底面に制振材30を配置しておき、その上にコイル10と内側コア部21との組物を収納して連結コア部22を成形することで製造することができる。このようなリアクトル1βも、リアクトル1αと同様に中実のギャップ材及び接着剤を介在していないギャップレス構造である。
上記構成を具えるリアクトル1βは、圧粉成形体から構成された内側コア部21が磁歪により振動しても、この振動を制振材30により吸収してケース41に伝達されることを抑制し、上記振動に伴う騒音を低減することができる。特に、リアクトル1βでは、その設置側面が重力方向下方となるように配置される場合、コイル10と磁性コア20との組合体の自重により、当該組合体が制振材30に密着することができる。従って、制振材30は、上記振動を吸収し易い。また、リアクトル1βでは、内側コア部21の一方の端面にのみ制振材30を配置するだけで振動を効果的に抑制することができ、部品点数が少ない。その他、リアクトル1βは、制振材30をケース41に容易に配置でき、リアクトルの生産性に優れる。
なお、後述するリアクトル1γ,1δ、及び実施形態2〜5のいずれも横型配置の形態を説明するが、リアクトル1βと同様に縦型配置の形態に変更可能である。
{リアクトル1γ,1δ}
上記リアクトル1αは、連結コア部22の表面にのみ制振材30を具える形態である。これに対し、リアクトル1γ,1δは、内側コア部21の両端面にそれぞれ制振材31を具える形態である。特に、リアクトル1γ,1δはいずれも、内側コア部21の両端面がそれぞれ、コイル10の両端面から突出している。リアクトル1γでは、内側コア部21の各端面に接合された制振材31がケース40の内面に接触する構成である。即ち、リアクトル1γでは、制振材31が内側コア部21の端面とケース40の内面とで挟まれた構成である。一方、リアクトル1δでは、内側コア部21の各端面に接合された制振材31の表面を覆うように連結コア部22が存在する構成である。即ち、リアクトル1δでは、制振材31が内側コア部21の端面と連結コア部22とで挟まれた構成である。
上記リアクトル1γ,1δは、例えば、内側コア部21の各端面に制振材31を接着剤などで予め接合しておき、この内側コア部21とコイル10との組物をケース40に収納して連結コア部22を成形することで製造することができる。
上記構成を具えるリアクトル1γ,1δは、圧粉成形体から構成された内側コア部21が磁歪により振動しても、この振動を制振材31により吸収してケース40に伝達されることを抑制し、上記振動に伴う騒音を低減することができる。特に、リアクトル1γ,1δでは、内側コア部21の両端面に制振材31を具えることで、上記磁歪による振動を効果的に吸収することができる。その他、リアクトル1γ,1δは、制振材31を内側コア部21の端面に容易に配置でき、リアクトルの生産性に優れる。また、リアクトル1δでは、制振材31が内側コア部21と連結コア部22とに挟まれる構成であることから、制振材31を非磁性材料から構成し、所定の厚さに調整することで、この制振材31を、インダクタンスを調整するためのギャップ材として機能させることができる。
なお、実施形態1の変形例として、上述のように連結コア部を複数回に分けて成形し、連結コア部の所望の位置(例えば、内側コア部の端面を覆う箇所)に制振材を配置して、制振材の全体が連結コア部により覆われた形態とすることができる。この場合も、連結コア部内に存在する制振材により、内側コア部などの振動を吸収することができる。また、連結コア部に内蔵された制振材を非磁性材料から構成し、所定の厚さに調整することで、この制振材を上述のようにインダクタンスを調整するためのギャップ材として機能させることができる。
(実施形態2〜実施形態5)
以下、図3〜図5を適宜参照して、実施形態2〜実施形態5のリアクトルを説明する。実施形態2〜実施形態5のリアクトルも、基本的構成は実施形態1のリアクトルと共通している。即ち、巻線を巻回してなる一つの円筒状のコイル10と、コイル10内に挿通された内側コア部21及びコイル10内に配置されない連結コア部22を有する磁性コア20と、コイル10と磁性コア20との組合体を収納するケース40とを具える。そして、実施形態2〜実施形態5のリアクトルも、磁性コア20の振動を抑制するための制振材を具え、制振材の配置形態が異なる。以下、この相違点(構成及び効果)を中心に説明し、共通点は説明を省略する。
{実施形態2}
図3に示す実施形態2のリアクトル2は、制振材が筒状体であり、円柱状の内側コア部21の外周面、及びコイル10の外周面の双方にそれぞれ、筒状の制振材32,33を具える形態である。即ち、リアクトル2では、筒状の制振材32が内側コア部21の外周面とコイル10の内周面とで挟まれ、筒状の制振材33がコイル10の外周面と連結コア部22とで挟まれた構成である。また、制振材32,33のいずれも、連結コア部22に内蔵されて、リアクトル2の表面に露出していない。
上記筒状の制振材32,33は、例えば、上述したシート状体や帯状体を利用し、内側コア部21の外周面やコイル10の外周面に巻回し、接着剤などで固定することで、形成することができる。或いは、筒状の制振材32,33として、絶縁性、耐熱性に優れる樹脂からなる熱収縮チューブや常温収縮チューブを利用することができる。上記チューブに内側コア部21やコイル10を挿入して収縮させることで、接着剤を利用することなく、内側コア部21の外周面やコイル10の外周面に制振材32,33を密着させることができる。
上記リアクトル2は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、内側コア部21の外周面に制振材32を配置し、制振材32を具える内側コア部21をコイル10内に挿通し、更に、このコイル10の外周に制振材33を配置して、制振材32,33を有する内側コア部21及びコイル10の組物を作製する。この組物をケース40に収納して連結コア部22を成形することで製造することができる。
上記構成を具えるリアクトル2は、圧粉成形体から構成された内側コア部21が磁歪により振動しても、この振動を制振材32により吸収してケース40に伝達されることを抑制することができる。また、リアクトル2では、制振材33により、内側コア部21の振動、及びコイル10の振動を吸収することができる。従って、リアクトル2は、上記振動に伴う騒音を低減することができる。その他、リアクトル2では、制振材32,33として上述した収縮チューブを利用すると、内側コア部21やコイル10に制振材を簡単に配置でき、リアクトルの生産性に優れる。
なお、リアクトル2では、内側コア部21の外周面、及びコイル10の外周面の双方に制振材32,33をそれぞれ具える構成としたが、内側コア部21の外周面のみ、或いはコイル10の外周面のみに制振材を配置した構成とすることができる。
{実施形態3}
図4に示す実施形態3のリアクトル3は、磁性コア20の外形をつくる面の一部に制振材34を具える形態である。具体的には、リアクトル3は、磁性コア20の外形をつくる直方体状の連結コア部22の表面においてケース40に囲まれる箇所、即ち、直方体状の連結コア部22の表面をつくる六つの面のうちの五つの面を覆うように制振材34が配置されている。従って、制振材34は、連結コア部22の表面とケース40の内面とで挟まれた構成である。
上記リアクトル3は、例えば、コイル10と磁性コア20との組合体を別途作製しておき、連結コア部22においてケース40に囲まれる上記五つの面に、上述したシート状体や帯状体を接着剤などで接合し、制振材34を具える当該組合体をケース40に収納することで製造することができる。或いは、ケース40の内面のうち、上記組合体に接触する箇所の少なくとも一部、好ましくは全部に上述したシート状体や帯状体を利用して、或いは上述のように樹脂により成形して制振材34を設ける。この制振材34を有するケース40に、コイル10と円柱状の内側コア部21との組物を収納して、連結コア部22を成形することでもリアクトル3を製造することができる。
上記構成を具えるリアクトル3は、磁性コア20及びコイル10の振動を制振材34により吸収してケース40に伝達されることを抑制することができ、上記振動に伴う騒音を低減することができる。その他、リアクトル3では、上記組合体の表面、或いはケース40の内面に制振材34を簡単に配置することができ、リアクトルの生産性に優れる。
{実施形態4}
実施形態4のリアクトルは、連結コア部を構成する樹脂自体が制振材として機能する形態である。そのため、実施形態4のリアクトルは、制振材として機能し得る程度の柔軟性を有する樹脂、例えば、シリコーン樹脂、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを連結コア部の構成樹脂に利用する。このリアクトルは、端的に言うと、図1(I),(II)に示すリアクトル1α,1βにおいて制振材30が介在せず、連結コア部22の表面がケース40に直接接触する形態である。このような実施形態4のリアクトルは、コイルと内側コア部との組物をケースに収納して、上記特定の樹脂からなるバインダ樹脂と磁性材料の粉末との混合流体をケースに流し込んで硬化させることで製造することができる。
上記構成を具える実施形態4のリアクトルは、圧粉成形体から構成された内側コア部が磁歪により振動しても、この振動を連結コア部が吸収してケースに伝達されることを抑制することができる。また、連結コア部は、コイルの振動をも吸収することができる。更に、上述のような柔軟性を有する樹脂をバインダ樹脂としていることで、連結コア部自体が振動し難い。従って、実施形態4のリアクトルは、上記振動に伴う騒音を低減することができる。その上、実施形態4のリアクトルは、連結コア部が磁気回路と制振材とを兼備することで、部品点数が少ない。
{実施形態5}
図5に示す実施形態5のリアクトル5αは、内側コア部21が中空の筒状体であり、この内側コア部21の内部空間に制振材35が充填されている形態である。より具体的には、リアクトル5αは、内側コア部21の一端面から他端面に亘って、その内部に柱状の制振材35を具える。この制振材35は、その外周面が内側コア部21の内周面に接触し、その各端面が連結コア部22に覆われた構成である。
上記制振材35は、上述したシリコーン樹脂などを柱状に成形し、この柱状の制振材35を筒状に形成した内側コア部21の内部空間に充填し、接着剤などで適宜固定することで、内側コア部21内に配置することができる。或いは、筒状に形成した内側コア部21の内部空間に上述したシリコーン樹脂などを充填して硬化することで、内側コア部21内に制振材35を配置することができる。この場合、制振材35を内側コア部21内に固定するための接着剤が不要である。そして、リアクトル5αは、上記制振材35を内蔵した内側コア部21を用意し、この内側コア部21とコイル10との組物をケース40に収納して連結コア部22を成形することで製造することができる。
なお、リアクトル5αでは、制振材35の両端面が連結コア部22に覆われる構成としているが、少なくとも一方の端面がケース40の内面に接触する構成としてもよい。このとき、制振材35の外周面の全面が内側コア部の内周面に接触する構成としてもよいし、制振材35の外周面の一部が内側コア部から突出して連結コア部により覆われる構成としてもよい。
内側コア部21の内部空間に充填された制振材35を具えると共に、更に、図5(II)に示すリアクトル5βのように、内側コア部21の両端面にそれぞれ制振材31が配置された構成とすることができる。上記制振材35と制振材31とは連続している。このリアクトル5βは、上述のように制振材35を具える内側コア部21を作製した後、当該内側コア部21の端面及び制振材35の端面を覆うように、制振材31を配置し、これら制振材31,35を具える内側コア部21とコイル10との組物をケース40に収納して連結コア部22を成形することで製造することができる。なお、リアクトル5βにおいて内側コア部21の長さ、或いは制振材31の厚さを調整して、リアクトル1γのように制振材31がケース40の内面に接触する構成としてもよい。
上記構成を具えるリアクトル5α,5βは、圧粉成形体から構成された内側コア部21が磁歪により振動しても、この振動を制振材35により吸収してケース40に伝達されることを抑制することができる。特に、リアクトル5βでは、制振材31をも具えることで、内側コア部21の振動を更に吸収できる。従って、リアクトル5α,5βは、上記振動に伴う騒音を低減することができる。また、リアクトル5α,5βに具える内側コア部21は、圧粉成形体であることで、筒状といった複雑な形状であっても簡単に製造することができる。
(変形例1)
上記実施形態1〜5では、コイルを構成する巻線の絶縁被覆や別途配置させる絶縁物により、コイルと磁性コアとの間の絶縁を確保する構成を説明した。その他、コイルの表面を覆う内側樹脂部を具えるコイル成形体とすることができる。また、上記内側樹脂部により、コイルと内側コア部とを一体に成形したコイル成形体としてもよい。
上記内側樹脂部の構成樹脂は、リアクトルの使用温度に対する耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な絶縁性材料が好適に利用できる。例えば、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。上記樹脂に、更に、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合したものを利用すると、コイルの熱を放出し易く、放熱性に優れるリアクトルが得られる。また、この内側樹脂部により、コイルを自由長よりも圧縮した状態に保持して、コイルの長さを適宜調整した成形体としてもよい。
上記コイル成形体は、金型に、コイルと中子、或いはコイルと内側コア部とを配置し、コイルを適宜圧縮した状態で上記内側樹脂部を構成する樹脂を金型内に充填して硬化させることで、製造することができる。このようなコイル成形体は、例えば、特開2009-218293号公報に記載されるコイル成形体の製造方法を利用することができる。
このようなコイル成形体を利用することで、コイルと磁性コアとの間の絶縁性を高められる上に、リアクトルの組立時にコイルの外形が内側樹脂部により保持されることでコイルを取り扱い易く、リアクトルの生産性に優れる。
(変形例2)
上記実施形態1〜5では、いずれもケースを具える構成を説明したが、ケースに代えて、コイルと磁性コアとの組合体の外周の少なくとも一部を覆う外側樹脂部を具えるリアクトルとすることができる。上記組合体の外周の実質的に全部を外側樹脂部により覆った形態としてもよいし、上記組合体の一部を露出させた形態としてもよい。
そして、上記組合体と外側樹脂部との間に制振材が介在するように外側樹脂部を設けると、磁性コアなどの振動を外側樹脂部に伝達し難くすることができ、騒音を低減することができる。また、上記組合体の設置側面を外側樹脂部で覆わず、当該設置側面が露出された形態とする場合、この設置側面と設置対象との間に制振材を配置することで、設置対象に振動が伝達されることを抑制して、騒音を低減することができる。
外側樹脂部の構成樹脂には、エポキシ樹脂やウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、不飽和ポリエステル、更に、これらの樹脂に上述したセラミックスからなるフィラーを混合したものなどを利用することができる。フィラーを含有することで、リアクトルの放熱性を高められる。外側樹脂部の熱伝導率は、0.5W/m・K以上であることが好ましい。
外側樹脂部を具えるリアクトルは、ケースを省略することで小型である上に、コイルや内側コア部だけでなく、連結コア部をも外部環境から保護したり、機械的に保護したりすることができる。外側樹脂部を具える場合、コイルを構成する巻線の両端部は、外側樹脂部から露出させて端子部材の取り付けができるようにする。また、このリアクトルを設置対象に固定するための取付部(例えば、ボルトで固定する場合、ボルト孔を設けるためのフランジ部)を外側樹脂部に、或いは外側樹脂部と連結コア部との双方に設けておくと、固定するための部品を低減することができる。連結コア部のみに上記取付部を設けることもできる。
なお、上述した実施の形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1〜5を適宜組み合わせて複数の制振材を具える形態とすることができる。また、例えば、リアクトルの使用形態を裸形態とする場合、磁性コアの外形をつくる面の任意の箇所に制振材を設けることができる。但し、内側コア部と連結コア部との間、磁性コアとケースや外側樹脂部、或いは設置対象との間、連結コア部内など、制振材が挟持されるように配置される方が振動の吸収効果が高いと期待される。
本発明リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車といった車両に搭載される双方向DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。
1α,1β,1γ,1δ,2,3,5α,5β リアクトル
10 コイル 10w 巻線 20 磁性コア 21 内側コア部 22 連結コア部
30,31,32,33,34,35 制振材 40,41 ケース

Claims (11)

  1. 巻線を巻回してなる一つのコイルと、
    このコイル内に挿通された柱状の内側コア部、及び前記コイルの外周の少なくとも一部を覆う連結コア部の両コア部により閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
    前記内側コア部は、前記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、かつ圧粉成形体から構成されており、
    前記連結コア部は、前記内側コア部よりも透磁率が低く、かつ磁性材料と樹脂との混合物から構成されており、
    前記内側コア部と前記連結コア部とが前記樹脂により一体化されており、
    前記コイルに通電したときに生じる前記磁性コアの振動を抑制するための制振材を具えることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記制振材は、前記内側コア部の表面、及び前記連結コア部の表面の少なくとも一部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記制振材は、前記内側コア部の少なくとも一方の端面を覆うように設けられた連結コア部の表面に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリアクトル。
  4. 前記内側コア部の少なくとも一方の端面は、前記コイルの端面から突出しており、
    前記制振材は、前記突出している内側コア部の端面に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリアクトル。
  5. 前記リアクトルは、前記リアクトルを設置したときに設置側となる面に対して、前記コイルの軸方向が直交するように設置され、
    前記制振材は、前記内側コア部において設置側となる端面、又はこの設置側の端面を覆うように設けられた連結コア部の表面に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記制振材は、
    筒状体であり、
    前記内側コア部の外周面、及び前記コイルの外周面の少なくとも一方に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクトル。
  7. 前記制振材は、前記磁性コアの外形をつくる面の少なくとも一部に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリアクトル。
  8. 前記連結コア部の樹脂は、シリコーン樹脂、クロロプレンゴム、及びブチルゴムのいずれかであり、
    前記連結コア部が前記制振材として機能することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリアクトル。
  9. 前記内側コア部は、中空の筒状体であり、
    前記制振材は、前記内側コア部の内部空間に充填されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリアクトル。
  10. 前記制振材は、前記内側コア部の内部空間から、前記内側コア部の少なくとも一方の端面に連続して配置されていることを特徴とする請求項9に記載のリアクトル。
  11. 前記制振材は、シリコーン樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のリアクトル。
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