JP2010111876A - フルオレン系組成物及びその成形体 - Google Patents

フルオレン系組成物及びその成形体 Download PDF

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【課題】添加剤の分散性に優れ、少量の配合で添加剤の機能を発現できるフルオレン系組成物及びその成形体を得る。
【解決手段】下記式(I)で表される化合物又はその誘導体と、添加剤とを含有するフルオレン系組成物を調製し、この組成物で成形体を形成する。

式中、X及びXは同一又は異なって、ヒドロキシル基、−O(AO)H基(式中、Aは、C2−3アルキレン基を表し、pは1以上の整数)
【選択図】なし

Description

本発明は、フルオレン骨格を有する化合物と添加剤とを含む組成物及びその成形体に関する。
樹脂材料には、機能を向上させるため、着色剤(色素など)やフィラーなどの添加剤が配合される場合がある。添加剤としては、例えば、帯電防止や導電性の用途では樹脂に配合される導電性粒子、着色フィルター用途では透明樹脂に配合される色素などの着色剤、高強度構造物の用途では樹脂に配合される補強剤(例えば、カーボン繊維やカーボン粉末などの炭素材など)などが用いられている。
樹脂に着色剤やフィラーなどの添加剤を配合するとその機能は向上するものの、樹脂が脆くなったり、分散安定性が低下する。特に、添加剤として、芳香環を含有する化合物を用いると、その傾向が顕著である。例えば、芳香環を有する着色剤を配合すると、樹脂(樹脂組成物)の成形性が低下する場合がある。また、カーボン繊維やカーボン粉末などの炭素材は、充分な機能を発現させるためには樹脂に対する配合量が多くなり、樹脂の機械的特性などを低下させる。
なお、フルオレン骨格を有する樹脂として、例えば、特開平2−73816号公報(特許文献1)には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとマレイン酸とテレフタル酸とから得られた耐熱性又は溶剤不溶性の不飽和ポリエステルが開示されている。
特開平2−73816号公報(特許請求の範囲、第2頁左下欄3〜7行)
従って、本発明の目的は、添加剤の分散性に優れ、少量の配合で添加剤の機能を発現できるフルオレン系組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、添加剤が芳香環を有する化合物であっても、高度に分散でき、樹脂の特性を有効に発現できるフルオレン系組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、着色剤や充填剤の分散性及び発色性(着色度)を向上できるフルオレン系組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン骨格を有する化合物又はその誘導体と添加剤とを組み合わせると、添加剤の分散性を向上でき、少量であっても添加剤の機能を有効に発現できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の組成物は、下記式(I)で表される化合物又はその誘導体と、添加剤とを含有する。
[式中、X及びXは同一又は異なって、ヒドロキシル基、−O(AO)H基(式中、Aは、C2−3アルキレン基を表し、pは1以上の整数を表す)、アミノ基又はN−モノ置換アミノ基を表し、R〜Rは同一又は異なって、非反応性基を表し、m1及びm2は同一又は異なって0又は1〜3の整数、m1+m2=1〜6の整数であり、n1〜n4は同一又は異なって0〜4の整数である。ただし、m1+n1及びm2+n2は、0〜5の整数である。]
前記式(I)で表される化合物の誘導体は、樹脂状物質(オリゴマーや樹脂)であってもよく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール系樹脂、アニリン系樹脂などの樹脂であってもよい。前記添加剤は、充填剤、着色剤、難燃剤などで構成されていてもよい。前記添加剤は芳香環を有する化合物であってもよい。前記添加剤は炭素材であってもよい。前記添加剤の割合は、化合物(I)又はその誘導体100重量部に対して、添加剤0.1〜300重量部程度である。前記添加剤の割合は、化合物(I)の誘導体が樹脂の場合、この樹脂100重量部に対して、0.3〜50重量部程度であってもよい。本発明の組成物は、コーティング組成物(又は塗布液)として用いることもできる。
本発明には、前記組成物で形成された成形体も含まれる。本発明には、前記化合物(I)又はその誘導体を用いて、添加剤の分散性を向上させる方法も含まれる。このように本発明では、添加剤の分散性を向上できるため、添加剤の特性を向上できる。例えば、前記化合物(I)又はその誘導体を用いることにより、着色剤による発色性又は着色度を向上できる。
本発明では、フルオレン骨格を有する化合物と添加剤とを組み合わせているため、添加剤の分散性が向上し、少量の配合でも添加剤の機能を発現できる。さらに、添加剤が芳香環を有する化合物であっても、分散性に優れ、樹脂の特性が低下するのを防止できる。例えば、着色剤や充填剤の分散性及び発色性(着色度)を大きく向上できる。
図1は、特開2002−338220号公報の実施例1で得られた円柱状の鉄−炭素複合体の側面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図2は、特開2002−338220号公報の実施例1で得られた円柱状の鉄−炭素複合体の長手方向を横切る断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図3は、参考例2で製造されたナノフレークカーボンチューブとそのチューブ内空間に充填された炭化鉄からなる炭素質材料の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図4は、円柱状の鉄−炭素複合体(ナノフレークカーボンチューブ)のTEM像の模式図(a−1)、および入れ子構造の多層カーボンナノチューブのTEM像の模式図(a−2)である。 図5は、実施例32で得られたプレート断面の電子顕微鏡写真である。 図6は、比較例37で得られたプレート断面の電子顕微鏡写真である。
本発明のフルオレン系組成物は、前記式(I)で表される化合物又はその誘導体と添加剤とを含有する。
[フルオレン骨格を有する化合物(I)又はその誘導体]
前記式(I)において、pは、オキシアルキレン基の繰り返し数を示し、好ましくは1〜50の整数、好ましくは1〜30の整数、さらに好ましくは1〜10(例えば、1〜5)の整数である。
前記X及びXで表されるN−モノ置換アミノ基としては、炭化水素基(C1−6アルキル基、C5−6シクロアルキル基、C6−10アリール基など)で置換されたN−モノ置換アミノ基が挙げられる。
及びXの置換位置は特に制限されず、フルオレンに対してo−,m−又はp−位のいずれであってもよいが、m−及び/又はp−位が好ましい。
前記式(I)において、「非反応性基」とは、エステル結合形成反応、ウレタン結合形成反応、アミド結合形成反応、イミド結合形成反応などの反応に対して非反応性の基を意味する。R〜Rで表される非反応性基には、炭化水素基、アルコキシ基、N,N−ジ置換アミノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。前記炭化水素としては、直鎖又は分岐C1−6アルキル基(メチル基など)、直鎖又は分岐C2−6アルケニル基(ビニル基など)、C5−6シクロアルキル基(シクロヘキシル基など)、C5−6シクロアルケニル基(シクロヘキセニル基など)、C6−10アリール基(フェニル基など)、C6−10アリール−直鎖又は分岐C1−4アルキル基(ベンジル基など)などが挙げられる。前記アルコキシ基には、メトキシ基などの直鎖又は分岐C1−6アルコキシ基が含まれ、N,N−ジ置換アミノ基には、前記N−モノ置換アミノ基に対応し、前記炭化水素基で二置換されたアミノ基(ジメチルアミノ基など)が含まれる。ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が含まれる。
n1及びn2は、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1である。n3及びn4は、好ましくは0〜3の整数、さらに好ましくは0〜2の整数、特に0又は1である。m1及びm2は、それぞれ1〜3の整数、好ましくは1〜2の整数(特に1)である場合が多く、通常、それぞれ1(m1=m2=1)、2(m1=m2=2)又は3(m1=m2=3)であってもよい。
なお、基X(又はX)の置換位置は、特に限定されず、フルオレンの9位に置換するフェニル基の2〜6位から選択できる。例えば、基X(又はX)の置換位置は、m1(又はm2)が1の場合、例えば、2〜6位(好ましくは2又は4位、特に4位)であってもよく、m1(又はm2)が2の場合、例えば、3,4−位、3,5−位などであってもよく、m1(又はm2)が3の場合、例えば、3,4,5−位、2,3,4−位、2,3,5−位、2,3,6−位などであってもよい。
前記式(I)の化合物のうち、m1=m2=1、2又は3である化合物、すなわち、ビスフェノールフルオレン[9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類]、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類及びそのC2−4アルキレンオキシド付加体などのビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類);並びにビスアニリンフルオレン及びビス(N−モノ置換アニリン)フルオレンなどのビスアニリンフルオレン類(9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類)が好ましい。
前記ビスフェノールフルオレン類のうち、ビスフェノールフルオレンとしては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスフェノールフルオレン,BPF);ビスクレゾールフルオレン(BCF、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;これらの化合物に対応し、置換基R及びRがC3−10シクロアルキルやC6−12アリール基であるビスフェノールフルオレン類が挙げられる。
9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記ビスフェノールフルオレン(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類)に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン(BCAF))、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど];これらの化合物に対応し、置換基R及びRがC3−10シクロアルキルやC6−12アリール基である9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類などが挙げられる。
9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記9,9−ビス(モノ又はジヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,3,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,3,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどが含まれる。
また、前記ビスフェノールフルオレン類のうち、アルキレンオキシド付加物としては、ビスフェノールフルオレン類のヒドロキシル基1モルに対してC2−4アルキレンオキサイド1〜10モル(好ましくは1〜5モル、特に1〜3モル)程度が付加した化合物が挙げられる。アルキレンオキサイド1モルが付加した化合物としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレン,BPEF)などの9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールエタノールフルオレン,BCEF)、9,9−ビス(4−ヒドロキシイソプロポキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシイソプロポキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジアルキルヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(シクロアルキルヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリールヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレンなど]、これらの化合物に対応する9,9−ビス[ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレンなど}、これらの化合物に対応する9,9−ビス[トリ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレンなど}などが挙げられる。
前記ビスアニリンフルオレン(9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類)としては、例えば、9,9−ビス(モノアミノフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(ビスアニリンフルオレン);9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノ−2−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アミノ−C1−4アルキルフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アミノ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン;これらの化合物に対応する9,9−ビス(ジ又はトリアミノフェニル)フルオレン類;これらの化合物のアルキレンオキサイド付加体;これらの化合物に対応し、アミノ基がN−モノ置換アミノ基であるビスアニリンフルオレン類;これらの化合物に対応し、置換基R及びRがC3−10シクロアルキルやC6−12アリール基であるビスアニリンフルオレン類が挙げられる。
なお、n=0のビスフェノールフルオレン類は、例えば、文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報に記載されている方法に準じて、塩化水素ガスおよびメルカプトプロピオン酸を触媒として用い、フルオレノンとフェノール類とを縮合させることにより製造できる。また、前記塩化水素ガスに代えて、塩酸水や硫酸を用いてもよい。
なお、ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類は、種々の合成方法、例えば、(a)塩化水素ガス及びメルカプトカルボン酸の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報)、(b)酸触媒(及びアルキルメルカプタン)の存在下、9−フルオレノンとアルキルフェノール類とを反応させる方法(特開2000−26349号公報)、(c)塩酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(特開2002−47227号公報)、(d)硫酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させ、炭化水素類と極性溶媒とで構成された晶析溶媒で晶析させてビスフェノールフルオレンを製造する方法(特開2003−221352号公報)などを利用して製造できる。
また、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類は、上記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、対応する多価アルコール類(ジヒドロキシフェノール類、トリヒドロキシフェノール類)を使用することにより製造できる。これらの方法のうち、特に、塩酸を使用する方法(c)、又は特定の晶析溶媒を使用する方法(d)を応用すると、より高収率でかつ高純度の生成物が得られる場合が多い。
さらに、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類と、対応するアルキレンオキシド(C2−4アルキレンオキシド)又はアルキレンカーボネート(C2−4アルキレンカーボネート)を、必要に応じて触媒(塩基触媒など)の存在下で反応させる方法や、フルオレノンと対応するフェノキシC2−4アルコール類とを反応させる方法(例えば、特開平11−349657号公報)などにより製造してもよい。また、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体は、上記製造方法において、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類又はフェノキシC2−4アルコール類に代えて、対応するアルコール類[9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類、ジ又はトリ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ベンゼン類など]を使用することにより製造できる。
なお、X及びXがアミノ基であるビスアニリンフルオレンは、前記ビスフェノールフルオレンの製造方法において、フェノール類に代えて対応するアニリン類を用いることにより調製できる。
前記式(I)で表される化合物の誘導体としては、樹脂状物質(オリゴマーや樹脂)、例えば、前記ビスフェノールフルオレン類と単官能化合物との反応生成物[モノカルボン酸(飽和又は不飽和C2−10脂肪族モノカルボン酸、飽和又は不飽和C5−10脂環族モノカルボン酸、及び芳香族C6−14モノカルボン酸など)とのエステル;モノイソシアネート化合物とのウレタン化合物など];前記ビスアニリンフルオレン類と単官能化合物との反応生成物(前記モノカルボン酸とのアミドなど);前記ビスフェノールフルオレン類又はビスフェノールアニリン類を構成モノマーとして含むオリゴマー及びポリマー(樹脂)(以下、オリゴマー及びポリマーを単に「ポリマー」又は「樹脂」と称する場合がある)などが挙げられる。これらの誘導体のうち、樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂)が好ましい。
なお、前記式(I)で表される化合物の誘導体の分子量(重量平均分子量)は、例えば、300〜1000000程度から選択でき、好ましくは400〜500000、さらに好ましくは500〜100000程度であってもよい。特に、前記式(I)で表される化合物の誘導体が、樹脂である場合、重量平均分子量は、1000〜1000000、好ましくは3000〜300000、さらに好ましくは5000〜100000程度であってもよい。また、前記式(I)で表される化合物の誘導体が、オリゴマー(又はモノマー)である場合、重量平均分子量は、400〜50000、好ましくは450〜30000、さらに好ましくは500〜10000程度であってもよい。
ビスフェノールフルオレン類の樹脂としては、熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリウレタン系樹脂など)、熱硬化性樹脂[不飽和ポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂(ウレタン系樹脂);エポキシ系樹脂;ビニルエステル系樹脂;前記ビスフェノールフルオレン類とカルボキシル基を有する重合性単量体とのエステル化反応により得られる(メタ)アクリル系樹脂;フェノール系樹脂など]などが挙げられる。これらの樹脂において、前記ビスフェノールフルオレン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビスアニリンフルオレン類の樹脂としては、熱可塑性樹脂(ポリアミド系樹脂;熱可塑性ポリイミド系樹脂など)、熱硬化性樹脂(ポリイミド系樹脂;アニリン樹脂など)などが挙げられる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。また、これらの樹脂において、前記ビスアニリンフルオレン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(1)ポリエステル系樹脂(不飽和ポリエステル樹脂を含む)
ポリエステル系樹脂は、少なくとも前記ビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類)で構成されたジオール成分と、ジカルボン酸成分との反応により得ることができ、ポリエステル系樹脂には、飽和又は不飽和ポリエステル系樹脂の他、芳香族ジカルボン酸を重合成分として用いたポリアリレート系樹脂も含まれる。
ポリエステル系樹脂のジオール成分は、前記ビスフェノールフルオレン類と他のジオール類とを組み合わせて構成してもよい。このようなジオール類としては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、デカンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−12アルキレングリコールなど)、(ポリ)オキシアルキレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジ乃至テトラC2−4アルキレングリコールなど)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンやそのアルキレンオキサイド付加体(2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパンなど)など)、芳香族ジオール(例えば、ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールAD、ビスフェノールFやそれらのアルキレンオキサイド(C2−3アルキレンオキサイド)付加体(2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパンなど)、キシリレングリコールなど)などが挙げられる。これらのジオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
好ましいジオール類は、直鎖状又は分岐鎖状C2−10アルキレングリコール、特にC2−6アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレングリコール)である。ジオール類としては、少なくともエチレングリコールを用いる場合が多い。このようなジオール類(例えば、エチレングリコール)を用いると、重合反応性を高めることができるとともに、樹脂に柔軟性を付与することもできる。
ビスフェノールフルオレン類と前記ジオール類との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=100/0〜50/50、好ましくは100/0〜75/25(例えば、100/0〜70/30)、さらに好ましくは100/0〜90/10(例えば、100/0〜80/20)程度であってもよい。
前記ジオール成分には、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、前記9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類などのポリオールを併用してもよい。
ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成可能な誘導体[例えば、酸無水物;酸ハライド(酸クロライドなど);低級アルキルエステル(C1−2アルキルエステルなど)など]などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸などの飽和C3−20脂肪族ジカルボン酸(好ましくは飽和C3−14脂肪族ジカルボン酸など);マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸などの不飽和C4−20脂肪族ジカルボン酸(好ましくは不飽和C4−14脂肪族ジカルボン酸など);これらのエステル形成可能な誘導体などが挙げられる。不飽和ポリエステル系樹脂において、脂肪族不飽和ジカルボン酸(マレイン酸又はその酸無水物など)の割合は、例えば、ジカルボン酸成分全体に対して10〜100モル%、好ましくは30〜100モル%、さらに好ましくは50〜100モル%(例えば、75〜100モル%)程度であってもよい。
脂環族ジカルボン酸としては、飽和脂環族ジカルボン酸(シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸などのC3−10シクロアルカン−ジカルボン酸など)、不飽和脂環族ジカルボン酸(1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、1,3−シクロヘキセンジカルボン酸などのC3−10シクロアルケン−ジカルボン酸など);多環式アルカンジカルボン酸類(ボルナンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸などのジ又はトリシクロC7−10アルカン−ジカルボン酸)、多環式アルケンジカルボン酸類(ボルネンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸などのジ又はトリシクロC7−10アルケン−ジカルボン酸)、これらのエステル形成可能な誘導体などが例示できる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸など)、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸などの芳香族C8−16ジカルボン酸;及びこれらのエステル形成可能な誘導体などが挙げられる。
ジカルボン酸は、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
ジカルボン酸成分としては、通常、脂肪族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸から選ばれた少なくとも一種、特に、脂肪族ジカルボン酸(飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成可能な誘導体、特にアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸などの飽和C3−14脂肪族ジカルボン酸など)や脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカンジカルボン酸)が好ましい。
また、ポリアリレート系樹脂では、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分が使用され、芳香族ジカルボン酸は他のジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸)と併用してもよい。芳香族ジカルボン酸と他のジカルボン酸との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=100/0〜10/90、好ましくは100/0〜30/70、さらに好ましくは100/0〜50/50程度であってもよい。
ポリエステル系樹脂において、ジカルボン酸成分とジオール成分(ビスフェノールフルオレン類及びジオール類など)との割合(モル比)は、通常、前者/後者=1.5/1〜0.7/1、好ましくは1.2/1〜0.8/1(特に、1.1/1〜0.9/1)程度であってもよい。
ポリエステル系樹脂の重量平均分子量Mw(ポリスチレン換算)は、特に制限されず、例えば、400〜50×10、好ましくは500〜30×10(例えば1000〜20×10)、さらに好ましくは3000〜30×10程度である。なお、不飽和ポリエステル系樹脂の場合、二重結合当りの分子量は、300〜1000、好ましくは350〜800、さらに好ましくは400〜700程度であってもよい。ポリエステル系樹脂の末端基は、ヒドロキシル基でも、カルボキシル基でもよく、必要により保護基によって保護されていてもよい。
ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、例えば、直接重合法(直接エステル化法)又はエステル交換法などにより、ビスフェノールフルオレン類で構成されたジオール成分と前記ジカルボン酸成分とを縮合反応させることにより製造できる。
(2)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂としては、慣用の方法に従って、例えば、少なくとも前記ビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類)で構成されたジオール成分とホスゲンとの反応(ホスゲン法)、又は前記ビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類)と炭酸エステルとの反応(エステル交換法)により得られるポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
ジオール成分は、ビスフェノールフルオレン類単独で構成してもよく、ビスフェノールフルオレン類と他のジオール類(前記ポリエステル系樹脂の項で例示のジオール類、特に芳香族ジオールや脂環族ジオールなど)とで構成してもよい。他のジオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。他のジオール類のうち、特に、ビスフェノールA、AD、Fなどのビスフェノール類などの芳香族ジオールが好ましい。ビスフェノールフルオレン類とジオール類との割合は、前記ポリエステル系樹脂の場合と同様の範囲から選択できる。
ポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制限されず、例えば、重量平均分子量1×10〜100×10(例えば、1×10〜100×10)、好ましくは5×10〜50×10(例えば、1×10〜50×10)、さらに好ましくは1×10〜25×10(例えば、1×10〜10×10)程度であってもよい。
(3)ポリウレタン系樹脂(ウレタン系樹脂)
ポリウレタン系樹脂を構成するジオール成分は、前記ビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類)単独で構成してもよく、ビスフェノールフルオレン類と共に、前記ポリエステル系樹脂の項で例示のジオール類と併用してもよい。さらに、ビスフェノールフルオレン類を構成単位として含むジオール成分、例えば、ビスフェノールフルオレン類で構成されたジオール成分とジカルボン酸成分との反応により生成するポリエステルジオール、ビスフェノールフルオレン類で構成されたジオール成分とアルキレンオキサイドとの反応により生成するポリエーテルジオールなども、ポリウレタン系樹脂のジオール成分として利用できる。ジオール成分も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、必要であれば、ジオール成分は、トリオールなどのポリオール成分と併用してもよい。
ジオール成分において、ビスフェノールフルオレン類(又は単位)の含有量は、例えば、ジオール成分全体に対して、10〜100モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜70モル%程度であってもよい。
ポリウレタン系樹脂を構成するジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート[パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ビス(イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、1,2−ビス(イソシアナトフェニル)エタン、1,3−ビス(イソシアナトフェニル)プロパン、1,4−ビス(イソシアナトフェニル)ブタン、ポリメリックMDIなど]、脂環族ジイソシアネート[シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDIなど]、脂肪族ジイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)など]などのジイソシアネート化合物が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジイソシアネート化合物は、必要であれば、ポリイソシアネート化合物(例えば、1,6,11−ウンデカントリイソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどの脂肪族トリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの脂環族トリイソシアネートなどのトリイソシアネート化合物など)、モノイソシアネート化合物(メチルイソシアネートなどのC1−6アルキルイソシアネート;シクロアルキルイソシアネートなどのC5−6シクロアルキルイソシアネート;フェニルイソシアネートなどのC6−10アリールイソシアネートなど)と併用してもよい。前記イソシアネート化合物には、前記ポリイソシアネート化合物の多量体や変性体などの誘導体も含まれる。
ポリウレタン系樹脂は慣用の方法、例えば、ジオール成分1モルに対してジイソシアネート成分0.7〜2.5モル、好ましくは0.8〜2.2モル、さらに好ましくは0.9〜2モル程度の割合で用い、ウレタン化反応させることにより得ることができる。なお、ジオール成分1モルに対して0.7〜1.1モル程度のジイソシアネート成分を用いると、熱可塑性樹脂を得ることができ、過剰モル(例えば、1.5〜2.2モル程度)のジイソシアネート成分を用いると、末端に遊離のイソシアネート基を有する熱硬化性樹脂を得ることができる。
(4)エポキシ系樹脂
エポキシ系樹脂を構成するジオール成分又はポリオール成分は、前記ビスフェノールフルオレン類単独で構成してもよく、前記ビスフェノールフルオレン類と、前記ポリエステル系樹脂の項で例示の他のジオール類(特に芳香族ジオールや脂環族ジオールなど)と組み合わせて構成してもよい。他のジオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジオール類のうち、特に、ビスフェノールA、AD、Fなどのビスフェノール類などの芳香族ジオールが好ましい。ビスフェノールフルオレン類とジオール類との割合は、前記ポリエステル系樹脂の場合と同様の範囲から選択できる。さらに、前記ビスフェノールフルオレン類と必要により他のジオール類は、ポリオール類(例えば、フェノールノボラックなど)と併用してもよい。
エポキシ樹脂は少なくとも前記ビスフェノールフルオレン類とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCFG)などの9,9−ビス(モノグリシジルオキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス[3,4−ジ(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレン(ビスカテコールフルオレンテトラグリシジルエーテル)などの9,9−ビス(ジグリシジルオキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス[3,4,5−トリ(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(トリグリシジルオキシフェニル)フルオレン類など]、9,9−ビス(グリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシフェニル)フルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル)(BPEFG)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCEFG)などの9,9−ビス(モノグリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン類;これらに対応する9,9−ビス(ジ又はトリ(グリシジルオキシアルコキシ)フェニル)フルオレン類など]などが挙げられる。エポキシ系樹脂の重量平均分子量Mwは、例えば、300〜30,000程度、好ましくは400〜10,000程度、さらに好ましくは500〜5,000程度であってもよい。
(5)ビニルエステル系樹脂
ビニルエステル系樹脂は、慣用の方法、例えば、前記ビスフェノールフルオレン単位を有するエポキシ樹脂と、少なくともカルボキシル基を有する重合性単量体(不飽和モノカルボン酸)との反応により得ることができる。カルボキシル基を有する重合性単量体は、必要により前記ポリエステル系樹脂の項で例示のジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸や、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸など))と組み合わせて用いてもよい。
カルボキシル基を有する重合性単量体としては、不飽和モノカルボン酸が使用できる。不飽和モノカルボン酸としては、通常、(メタ)アクリル酸が使用でき、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸モノアルキルエステル(モノメチルマレートなど)などを用いてもよい。これらの単量体は、単独で又は二種以上組合せて使用してもよい。
不飽和モノカルボン酸の使用量は、前記エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して0.5〜1.2モル、好ましくは0.7〜1.1モル、さらに好ましくは0.8〜1モル程度であってもよい。
ビニルエステル系樹脂は、ビスフェノールフルオレン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によっても得ることができる。グリシジル(メタ)アクリレートの使用量は、例えば、ビスフェノールフルオレン類1モルに対して1〜3モル、好ましくは1〜2モル程度であってもよい。
なお、代表的なビニルエステル系樹脂には、特開2004−2635号公報や特開2004−2636号公報に記載のビニルエステル系樹脂なども含まれる。
(6)アクリル系樹脂
前記アクリル系樹脂としては、前記ビスフェノールフルオレン類とカルボキシル基を有する重合性単量体との反応により得ることができる。カルボキシル基を有する重合性単量体としては、通常、不飽和モノカルボン酸、特に(メタ)アクリル酸が使用でき、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸モノアルキルエステル(モノメチルマレートなど)などを用いてもよい。さらに、不飽和カルボン酸は、酸クロライド、C1−2アルキルエステルなどの反応性誘導体であってもよい。これらの単量体は、単独で又は二種以上組合せて使用してもよい。
不飽和モノカルボン酸の使用量は、前記ビスフェノールフルオレン類のヒドロキシル基1モルに対して0.5〜1.2モル、好ましくは0.7〜1.1モル、さらに好ましくは0.8〜1モル程度であってもよい。このようなアクリル系樹脂はオリゴマー(樹脂前駆体)である場合が多い。
オリゴマーの形態のアクリル系樹脂は、必要により共重合性単量体と重合してアクリル系共重合体を形成してもよい。共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステル;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;スチレンなどの芳香族ビニル単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類などが例示できる。これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(7)フェノール系樹脂
フェノール系樹脂の製造において、ビスフェノールフルオレン類としては、前記式(I)において、n1及びn2が0又は1、X及びXがヒドロキシル基である化合物が使用できる。また、n1及びn2が1の場合、R及びRの置換位置は、アルデヒドの付加反応を妨げない位置である。
アルデヒド類としては、脂肪族C1−4アルデヒド、通常、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒドが使用できる。
また、前記ビスフェノールフルオレン類と共に、共縮合成分、例えば、フェノール類(フェノール、クレゾールなどのC1−4アルキル−フェノール、レゾルシンなどのジヒドロキシベンゼンなど)、尿素、グアナミン類、メラミン類などを併用してもよい。ビスフェノールフルオレン類と共縮合成分との割合は、前者/後者(モル比)=100/0〜5/95、好ましくは100/0〜10/90、さらに好ましくは100/0〜20/80程度であってもよい。
なお、フェノール系樹脂は、慣用のフェノール樹脂の製造方法に従って製造でき、酸触媒の存在下では、ノボラック型フェノール系樹脂が得られ、塩基触媒の存在下では、レゾール型フェノール系樹脂が得られる。
(8)ポリアミド系樹脂
ジアミン成分は、ビスアニリンフルオレン類(9,9−ビス(モノアミノフェニル)フルオレン類)単独で構成してもよく、ビスアニリンフルオレン類とジアミン類とを組み合わせて構成してもよい。ジアミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカンジアミンなどの鎖状C2−14脂肪族ポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタンなどの環状C6−14アミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどのC6−20芳香族ジアミン;m−キシリレンジアミンなどのC7−14芳香脂肪族ジアミンが例示できる。これらのジアミン類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビスアニリンフルオレン類とジアミン類との割合は、前者/後者(モル比)=100/0〜5/95、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは80/20〜20/80程度である。
ポリアミド樹脂のジカルボン酸類としては、前記ポリエステル系樹脂の項で例示のジカルボン酸類(脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸)が使用できる。ジカルボン酸は単独で又は二種以上組合せて使用できる。
また、ポリアミド樹脂の調製において、共重合成分として、アミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸など)及びラクタム(ε−カプロラクタムなどのC3−12ラクタムなど)から選択された少なくとも一種の成分を用いてもよい。
(9)ポリイミド系樹脂
ビスアニリンフルオレン類(9,9−ビス(モノアミノフェニル)フルオレン類)は単独で用いてもよく、ジアミン成分と組み合わせて使用してもよい。ジアミン成分としては、前記ポリアミド系樹脂の項で例示のジアミン類の他、ジアミノフェニルエーテル、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)プロパンなどのビス(ジアミノフェニル)アルカンなどが例示できる。ジアミン類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
原料のポリカルボン酸類としては、テトラカルボン酸、例えば、ピロメリット酸又はその無水物、ビフェニルテトラカルボン酸又はその無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はその無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンなどのビス(ジカルボキシフェニル)アルカン又はその無水物、2,2−ビス(3,4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのビス(カルボキシフェニル)フルオロアルカン、ビスマレイミドなどが例示できる。これらのポリカルボン酸類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリイミド樹脂は熱可塑性であってもよく熱硬化性であってもよい。
(10)アニリン系樹脂
アニリン系樹脂の原料として使用するビスアニリンフルオレン類としては、前記式(I)において、n1及びn2が0又は1、Xがアミノ基又はヒドロキシル基(Xが少なくともアミノ基)である化合物が使用できる。また、n1及びn2が1の場合、R及びRの置換位置は、アルデヒドの付加反応を妨げない位置である。
前記ビスアニリンフルオレン類は単独で使用してもよく、アニリン類(アニリン、メチルアニリンなどのC1−4アルキル−アニリン、ジアミノベンゼンなど)と組み合わせて使用してもよい。ビスアニリンフルオレン類とアニリン類との割合は、前者/後者(モル比)=100/0〜5/95、好ましくは100/0〜10/90、さらに好ましくは100/0〜20/80程度である。
アルデヒド類としては、前記フェノール樹脂の項で記載のアルデヒド類(ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなど)が使用できる。
なお、アニリン系樹脂は、慣用のアニリン樹脂の製造方法に従って製造でき、酸触媒の存在下では、ノボラック型アニリン系樹脂が得られ、塩基触媒の存在下では、レゾール型アニリン系樹脂が得られる。
なお、化合物(I)の誘導体が熱硬化性樹脂である場合、本発明の組成物は、適当な硬化剤などを含んでいてもよい。例えば、前記エポキシ系樹脂やウレタン系樹脂を含む樹脂組成物は、アミン系硬化剤などを含んでいてもよく、前記不飽和ポリエステル系樹脂やビニルエステル系樹脂を含む樹脂組成物は、開始剤(過酸化物など)、重合促進剤(オクテン酸金属塩などの有機金属化合物など)、共重合性モノマー((メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどの反応性稀釈剤)などを含んでいてもよい。なお、硬化剤を使用する場合、添加剤の分散性をさらに向上させるため、硬化剤を、前記化合物(I)又はその誘導体で構成してもよい。例えば、前記エポキシ樹脂の硬化剤を、前記ビスフェノールフルオレン類や前記ビスアニリンフルオレン類などで構成してもよい。
化合物(I)又はその誘導体は、他の樹脂(熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂)と組み合わせてもよい。例えば、低分子又はオリゴマーの形態の化合物(I)又はその誘導体は、他の樹脂と組み合わせてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、非晶質ポリオレフィンなど)、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート、ポリアリレート、液晶ポリエステルなど)、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロンMXDなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱可塑性エラストマー、フッ化樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
他の樹脂と、化合物(I)又はその誘導体との割合(重量比)は、前者/後者=99/1〜1/99(例えば、90/10〜10/90)程度の範囲から選択でき、通常、99/1〜50/50、好ましくは98/2〜70/30、さらに好ましくは97/3〜80/20程度である。
[添加剤]
本発明において、添加剤は、室温(例えば、15〜25℃程度の温度)で液状であってもよく、固体状(例えば、粉粒状固体)であってもよい。添加剤には、充填剤(フィラー)又は補強剤、着色剤(染顔料)、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤(天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸やその金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン類など)、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤(シランカップリング剤やチタン系カップリング剤など)、低応力化剤(シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末など)、耐熱性改良剤(硫黄化合物やポリシランなど)、炭素材などが含まれる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤のうち、充填剤(フィラー)、着色剤(例えば、黒色顔料、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料などの染顔料)、難燃剤、炭素材が好ましい。また、充填剤又は補強剤(補強材)、着色剤、導電剤などとして機能する炭素材も好ましい。
充填剤又はフィラーとしては、例えば、酸化物系無機充填剤(シリカ、アルミナ、ジルコニア、マイカなど)、非酸化物系無機充填剤(炭化ケイ素、窒化ケイ素、黒鉛など)などが挙げられる。用途によっては、アルミニウム、亜鉛、銅などの金属粉末も使用できる。より詳細には、シリカ系充填剤(ケイ砂、石英、ノバキュライト、ケイ藻土など)、合成無定形シリカ、ケイ酸塩系充填剤(カオリナイト、雲母、滑石、ウオラストナイト、アスベスト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなど)、ガラス系充填剤(ガラス粉末、ガラス球、中空ガラス球、ガラスフレーク、泡ガラス球など)、非酸化物系無機充填剤(黒鉛、カーボンブラック、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ化チタン、窒化チタン、炭化チタンなど)、炭酸塩系充填剤(炭酸カルシウムなど)、金属酸化物系充填剤(酸化亜鉛、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、酸化チタン、酸化ベリリウムなど)などが挙げられる。これらの充填剤としては、繊維状、針状(ウィスカーを含む)、粉粒状、鱗片状などの種々の形状の充填剤が使用できる。繊維状充填剤には、炭素繊維、活性炭素繊維、ガラス繊維、アルミノケイ酸繊維、酸化アルミニウム繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維等の無機繊維、アラミド繊維などの有機繊維なども含まれる。これらの充填剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
着色剤(又は色素)には、無機顔料や有機染顔料などが含まれる。着色剤(顔料、染料、色素など)は、水溶性であってもよく、油溶性であってもよい。無機顔料としては、黒色顔料[カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等)など]、白色顔料[チタン系白色顔料(酸化チタンなど)、亜鉛系白色顔料(酸化亜鉛、硫化亜鉛など)、複合白色顔料(リトポンなど)、体質顔料(ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ベントナイトなど)など]、クロムエローなどの黄色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、クロムグリーンなどの緑色顔料、紺青などの青色顔料、マンガンバイオレットなどの紫色顔料、カドミウム系顔料、鉛系顔料、コバルト系顔料などが挙げられる。有機染顔料としては、アゾ系染顔料(ピグメントイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン6Bなど)、フタロシアニン系染顔料(フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなど)、レーキ系染顔料(レーキレッド、ウォッチャンレッドなど)、シアニン系染顔料、カルバゾール系染顔料、ピロメテン系染顔料、アンスラキノン系染顔料、ナフトキノン系染顔料、キナクリドン系染顔料、ペリレン系染顔料、ペリノン系染顔料、イソインドリン系染顔料、ジオキサジン系染顔料、スレン系染顔料などが挙げられる。着色剤は、機能性色素、例えば、近紫外吸収色素、蛍光色素、フォトクロミック色素、有機光導電材料(キャリアー生成材料、キャリアー移動材料など)、液晶表示用色素、太陽エネルギー貯蔵材料、レーザー用色素、写真用色素、ジアゾ感光紙用色素、熱変色性色素(示温性色素)、感圧・感熱色素(カラーフォーマー)、昇華転写用色素、トナー用電荷移動剤などであってもよい。
これらの着色剤(又は色素)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
難燃剤には、無機系難燃剤(ホウ酸系難燃剤、リン系難燃剤、その他の無機系難燃剤)、有機系難燃剤(窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤など)、コロイド難燃物質(Sbなど)などの各種の難燃剤が含まれる。
ホウ酸系難燃剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなどが挙げられる。リン系難燃剤としては、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、赤燐、リン酸エステル[トリクレジルホスフェート、トリ(β−クロロエチル)ホスフェート、トリ(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ(ジブロモプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−ジクロロプロピルホスフェートなど]などが挙げられる。その他の無機系難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、酸化スズの水和物、ホウ砂などの無機金属水和物、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、膨張黒鉛などが挙げられる。窒素系難燃剤としては、例えば、ホスホニトリル、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、炭酸グアニジンなどが挙げられる。ハロゲン系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA誘導体(TBA)、テトラブロモビスフェノールS誘導体、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモエタン(TBE)、テトラブロモブタン(TBB)、ヘキサブロモシクロデカン(HBCD)などの臭素系難燃剤、塩素化パラフィン、塩素化ポリフェニル、塩素化ジフェニル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレンなどの塩素系難燃剤が挙げられる。これらのハロゲン系難燃剤は、三酸化アンチモンなどと併用することにより、さらに高い難燃性を発揮する。これらの難燃剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
炭素材としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック(前記例示のカーボンブラック、導電性カーボンブラックなど)、炭素繊維(前記例示の炭素繊維など)、フラーレン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
カーボンナノチューブ(ナノスケールカーボンチューブ)は、ナノサイズの直径を有するカーボンチューブであればよく、カーボンチューブのチューブ内空間部には金属(鉄など)などが内包されていてもよい。代表的なナノスケールカーボンチューブには、(i)単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブ、(ii)アモルファスナノスケールカーボンチューブ、(iii)ナノフレークカーボンチューブ、(iv)ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブから選択された少なくとも1種のカーボンナノチューブ(a)と、炭化鉄又は鉄とからなり、このカーボンナノチューブ(a)のチューブ内空間部に充填されている炭化鉄又は鉄(b)とで構成された鉄−炭素複合体などが例示できる。カーボンナノチューブは、単独で又は2種以上組み合わせた混合物であってもよい。
これらのカーボンナノチューブのうち、特に、溶媒やフルオレン骨格を有する化合物(樹脂)中での分散性の観点から、アモルファスナノスケールカーボンチューブ(ii)、ナノフレークカーボンチューブ(iii)、鉄−炭素複合体(iv)などが好ましい。これらのチューブの分散性が良好である理由は明らかではないが、これらのチューブの最外層の炭素網面が不連続であるため、これらのチューブに対する溶媒やフルオレン骨格を有する化合物(樹脂)などの親和性が高くなっているためと考えられる。
以下、カーボンナノチューブについて詳述する。
(カーボンナノチューブ)
カーボンナノチューブは、黒鉛シート(すなわち、黒鉛構造の炭素原子面ないしグラフェンシート)がチューブ状に閉じた中空炭素物質であり、その直径はナノメートルスケールであり、壁構造は黒鉛構造を有している。カーボンナノチューブのうち、壁構造が一枚の黒鉛シートでチューブ状に閉じたものは単層カーボンナノチューブと呼ばれ、複数枚の黒鉛シートがそれぞれチューブ状に閉じて、入れ子状になっているものは多層カーボンナノチューブ(入れ子構造の多層カーボンナノチューブ)と呼ばれている。本発明では、これら単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのいずれも使用できる。
単層カーボンナノチューブのサイズは、直径が0.4〜10nm程度および長さが1〜500μm程度、好ましくは直径が0.7〜5nm程度および長さが1〜100μm程度、さらに好ましくは直径が0.7〜2nm程度および長さが1〜20μm程度であってもよい。
また、多層カーボンナノチューブのサイズは、直径が1〜100nm程度および長さが1〜500μm程度、好ましくは直径が1〜50nm程度および長さが1〜100μm程度、さらに好ましくは直径が1〜40nm程度および長さが1〜20μm程度であってもよい。
(アモルファスナノスケールカーボンチューブ)
アモルファスナノスケールカーボンチューブとしては、特に限定されないが、例えば、WO00/40509(特許第3355442号公報)に記載のナノチューブ、すなわち、カーボンからなる主骨格を有し、直径が0.1〜1000nmであり、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブであって、直線状の形態を有し、X線回折法(入射X線:CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される炭素網平面(002)の平面間隔(d002)が3.54Å以上(特に3.7Å以上)であり、回折角度(2θ)が25.1度以下(特に24.1度以下)であり、2θバンドの半値幅が3.2度以上(特に7.0度以上)であるカーボンチューブ(アモルファスナノスケールカーボンチューブ)が例示できる。
アモルファスナノスケールカーボンチューブは、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケルなどの金属の塩化物の少なくとも1種からなる触媒の存在下で、分解温度が200〜900℃である熱分解性樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコールなどを励起処理することにより得られる。
出発原料としての熱分解性樹脂の形状は、特に限定されず、フィルム状乃至シート状、粉末状、塊状などの任意の形状であってもよい。例えば、基板上に薄膜化アモルファスナノスケールカーボンチューブを形成させた炭素材料を得る場合には、基板上に熱分解性樹脂を塗布あるいは載置した状態で、適切な条件下に励起処理すればよい。
励起処理としては、例えば、不活性雰囲気中、好ましくは450〜1800℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以上で加熱処理する方法や、室温〜3000℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以上でのプラズマ処理する方法などの方法(又は処理)が例示できる。
アモルファスナノスケールカーボンチューブは、アモルファス構造(非晶質構造)を有するナノスケールのカーボンナノチューブで、中空直線状であり、細孔が高度に制御されている。その形状は、主に円柱、四角柱などであり、先端の少なくとも一方が、キャップを有していない(開口している)場合が多い。先端が閉口している場合には、形状がフラット状である場合が多い。
アモルファスナノスケールカーボンチューブの外径は、通常1〜1000nm程度の範囲にある場合が多く、好ましくは1〜200nm程度、さらに好ましくは1〜100nm程度の範囲にあってもよい。また、アモルファスナノスケールカーボンチューブのアスペクト比(チューブの長さ/直径)は、例えば、2倍以上(例えば、2〜500倍程度)であり、好ましくは5倍以上(例えば、5〜200倍程度)である。
ここで、「アモルファス構造」とは、規則的に配列した炭素原子の連続的な炭素層からなる黒鉛質構造ではなく、不規則な炭素網平面からなる炭素質構造を意味し、多数の微細なグラフェンシートが不規則に配列していることを意味する。代表的な分析手法である透過型電子顕微鏡による像からは、非晶質構造のナノスケールカーボンチューブは、炭素網平面の平面方向の広がりが、アモルファスナノスケールカーボンチューブの直径の1倍より小さいことがわかる。このように、アモルファスナノスケールカーボンチューブ網面が不規則に分布したアモルファス構造を有しているため、最外層を構成する炭素網面は、チューブ長手方向の全長にわたって連続しておらず、不連続となっている。特に、最外層を構成する炭素網面の長さは、20nm未満(例えば、0.1〜15nm程度)、特に5nm未満(1〜3nm程度)である場合が多い。
非晶質炭素は一般的にはX線回折を示さないが、ブロードな反射を示す。黒鉛質構造では、炭素網平面が規則的に積み重なっているので、炭素網平面間隔(d002)が狭くなり、ブロードな反射は高角側(2θ)に移行して、次第に鋭くなり(2θバンドの半値幅が狭くなり)、d002回折線として観測できるようになる(黒鉛的位置関係で規則正しく積み重なっている場合はd002=3.354Åである)。
これに対し、非晶質構造は、上記のように一般的にはX線による回折を示さないが、部分的に非常に弱い干渉性散乱を示す。X線回折法(入射X線=CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定されるアモルファスナノスケールカーボンチューブの理論的な結晶学的特性は、以下のように規定される:炭素網平面間隔(d002)は、3.54Å以上(例えば、3.6〜4.1Å程度)、好ましくは3.7Å以上(例えば、3.75〜3.95Å程度)である;回折角度(2θ)は、25.1度以下(例えば、20〜25度程度)、好ましくは24.1度以下(例えば、21〜24度程度)である;前記2θバンドの半値幅は、3.2度以上(例えば、4.0〜11.0度程度)、好ましくは7.0度以上(例えば、7.5〜10.0度程度)である。
典型的なアモルファスナノスケールカーボンチューブは、X線回折による回折角度(2θ)が18.9〜22.6度の範囲内にあり、炭素網平面間隔(d002)は3.9〜4.7Åの範囲内にあり、2θバンドの半値幅は7.6〜8.2度の範囲内にある場合が多い。
アモルファスナノスケールカーボンチューブの形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。すなわち、透過型電子顕微鏡によるアモルファスナノスケールカーボンチューブ像の長さをLとし、そのアモルファスナノスケールカーボンチューブを伸ばした時の長さをLとした場合に、L/Lが0.9以上(例えば、1〜100)となる形状特性を意味するものとする。
このようなアモルファスナノスケールカーボンチューブのチューブ壁部分は、あらゆる方向に配向した複数の微細な炭素網平面(グラフェンシート)からなる非晶質構造を有しており、これらの炭素網平面の炭素平面間隔により活性点を有するためか、樹脂との親和性に優れているという利点を有する。
(鉄−炭素複合体)
鉄−炭素複合体は、特に限定されないが、例えば、特開2002−338220号公報に記載の鉄−炭素複合体、すなわち、(a)ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる群から選ばれるカーボンチューブと、(b)炭化鉄又は鉄とからなり、前記カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に炭化鉄又は鉄(b)が充填されている鉄−炭素複合体などが例示できる。すなわち、鉄−炭素複合体は、炭化鉄又は鉄が、チューブ内空間部の100%の範囲に完全に充填されているものではなく、チューブ内空間部の10〜90%の範囲に充填されている(すなわち、部分的に充填されている)ことを特徴とするものである。なお、このようなナノフレークカーボンチューブにおいて、壁部は、パッチワーク状ないし張り子状(いわゆるpaper mache状)である。
なお、「ナノフレークカーボンチューブ」とは、フレーク状の黒鉛シートが複数枚(通常は多数)パッチワーク状ないし張り子状(paper mache状)に集合して構成されている、黒鉛シートの集合体からなる炭素製チューブを意味する。
前記鉄−炭素複合体は、特開2002−338220号公報に記載の方法に従って製造でき、例えば、(1)不活性ガス雰囲気中、圧力を10−5Pa〜200kPa程度に調整し、反応炉内の酸素濃度を、反応炉容積をA(リットル)とし酸素量をB(Ncc)とした場合の比B/Aが1×10−10〜1×10−1程度となる濃度に調整した反応炉内でハロゲン化鉄を600〜900℃程度まで加熱する工程、及び(2)上記反応炉内に不活性ガスを導入し、圧力10−5Pa〜200kPa程度で熱分解性炭素源を導入して600〜900℃程度で加熱処理を行う工程を包含する製造方法により製造される。ここで、酸素量Bの単位である「Ncc」は、気体の25℃での標準状態に換算したときの体積(cc)という意味である。
鉄−炭素複合体は、(a)ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる群から選ばれるカーボンチューブと(b)炭化鉄又は鉄とからなるものであって、前記カーボンチューブ内空間部(すなわち、チューブ壁で囲まれた空間)の実質上全てが充填されているのではなく、前記空間部の一部、より具体的には10〜90%程度、好ましくは30〜80%程度、さらに好ましくは40〜70%程度が炭化鉄又は鉄により充填されている。
鉄−炭素複合体においては、特開2002−338220号公報に記載されているように、炭素部分は、製造工程(1)及び(2)を行った後、特定の速度で冷却するとナノフレークカーボンチューブとなり、製造工程(1)及び(2)を行った後、不活性気体中で加熱処理を行い、特定の冷却速度で冷却することにより、入れ子構造の多層カーボンナノチューブとなる。
(1)ナノフレークカーボンチューブと炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体
ナノフレークカーボンチューブと炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体は、典型的には円柱状である。このような円柱状の鉄−炭素複合体の一例を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図1および図2に示す。図1は、特開2002−338220号公報の実施例1で得られた円柱状の鉄−炭素複合体の側面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、図2は、特開2002−338220号公報の実施例1で得られた円柱状の鉄−炭素複合体の長手方向を横切る断面のTEM写真である。また、図4の(a−1)に円柱状の鉄−炭素複合体(ナノフレークカーボンチューブ)のTEM像の模式図を示す。図4の(a−1)において、100は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向のTEM像を模式的に示しており、200は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像を模式的に示している。
鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブは、代表的には、中空円筒状の形態を有し、その断面をTEM観察した場合、弧状グラフェンシート像が同心円状に集合しており、個々のグラフェンシート像は、不連続な環を形成しており、その長手方向をTEMで観察した場合、略直線状のグラフェンシート像が、長手方向にほぼ並行に多層状に配列しており、個々のグラフェンシート像は、長手方向全長にわたって連続しておらず、不連続となっているという特徴を有している。
また、図4の(a−1)に円柱状の鉄−炭素複合体(ナノフレークカーボンチューブ)のTEM像の模式図を示す。図4の(a−1)において、100は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向のTEM像を模式的に示しており、200は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像を模式的に示している。
より詳しくは、鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブは、図2及び図4の(a−1)の200から明らかなように、その長手方向に垂直な断面をTEM観察した場合、多数の弧状グラフェンシート像が同心円状(多層構造のチューブ状)に集合しているが、個々のグラフェンシート像は、例えば、図4の(a−1)の210、214に示すように、完全に閉じた連続的な環を形成しておらず、途中で途切れた不連続な環を形成している。一部のグラフェンシート像は、図4の(a−1)の211に示すように、分岐している場合もある。不連続点においては、一つの不連続環を構成する複数の弧状TEM像は、図4の(a−1)の222に示すように、層構造が部分的に乱れている場合もあれば、図4の(a−1)の223に示すように隣接するグラフェンシート像との間に間隔が存在している場合もあるが、TEMで観察される多数の弧状グラフェンシート像は、全体として、多層状のチューブ構造を形成している。
また、図1及び図4の(a−1)の100から明らかなように、ナノフレークカーボンチューブの長手方向をTEMで観察した場合、多数の略直線状のグラフェンシート像が鉄−炭素複合体の長手方向にほぼ並行に多層状に配列しているが、個々のグラフェンシート像110は、鉄−炭素複合体の長手方向全長にわたって連続しておらず、途中で不連続となっている。一部のグラフェンシート像は、図4の(a−1)の111に示すように、分岐している場合もある。また、不連続点においては、層状に配列したTEM像のうち、一つの不連続層のTEM像は、図4の(a−1)の112に示すように、隣接するグラフェンシート像と少なくとも部分的に重なり合っている場合もあれば、113に示すように隣接するグラフェンシート像と少し離れている場合もあるが、多数の略直線状のTEM像が、全体として多層構造を形成している。
このようなナノフレークカーボンチューブの構造は、多層カーボンナノチューブと大きく異なっている。図4の(a−2)に、入れ子構造の多層カーボンナノチューブのTEM像の模式図を示す。図4の(a−2)において、300は、入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向のTEM像を模式的に示しており、400は、入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像を模式的に示している。すなわち、図4の(a−2)の400に示すように、入れ子構造の多層カーボンナノチューブは、その長手方向に垂直な断面のTEM像が、410に示すように、完全な円形のTEM像となっている同心円状のチューブであり、かつ図4の(a−2)の300に示すように、その長手方向の全長にわたって連続する直線状グラフェンシート像310などが平行に配列している構造(同心円筒状ないし入れ子状の構造)である。
以上より、詳細は未だ完全には解明されていないが、鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブは、フレーク状のグラフェンシートが多数パッチワーク状ないし張り子状に重なり合って全体としてチューブを形成しているようである。
このようなナノフレークカーボンチューブとそのチューブ内空間部に内包された炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体は、特許第2546114号に記載されているような入れ子構造の多層カーボンナノチューブのチューブ内空間部に金属が内包された複合体に比し、カーボンチューブの構造において大きく異なっている。
鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブをTEM観察した場合において、その長手方向に配向している多数の略直線状のグラフェンシート像に関し、個々のグラフェンシート像の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。すなわち、図4の(a−1)の100に示されるように、110で示される略直線状のグラフェンシートのTEM像が多数集まってナノフレークカーボンチューブの壁部のTEM像を構成しており、個々の略直線状のグラフェンシート像の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。このように、鉄−炭素複合体においては、その壁部を構成するナノフレークカーボンチューブの最外層は、チューブ長手方向の全長にわたって連続していない不連続なグラフェンシートから形成されており、その最外面の炭素網面の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。
鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブの壁部の炭素部分は、上記のようにフレーク状のグラフェンシートが多数長手方向に配向して全体としてチューブ状となっているが、X線回折法により測定した場合に、炭素網面間の平均距離(d002)が、0.34nm以下(例えば、0.335〜0.339nm程度)の黒鉛質構造を有するものである。
また、本発明で使用する鉄−炭素複合体のナノフレークカーボンチューブからなる壁部の厚さは、49nm以下(例えば、0.1〜40nm程度)、特に0.1〜20nm程度、好ましくは1〜10nm程度であって、全長に亘って実質的に均一である。
(2)入れ子構造の多層カーボンナノチューブと炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体
前記のように、工程(1)及び(2)を行った後、特定の加熱工程を行うことにより、得られる鉄−炭素複合体を構成するカーボンチューブは、入れ子構造の多層カーボンナノチューブとなる。
こうして得られる入れ子構造の多層カーボンナノチューブは、図4の(a−2)の400に示すように、その長手方向に垂直な断面のTEM像が実質的に完全な円を構成する同心円状のチューブであり、かつ、その長手方向の全長にわたって連続したグラフェンシート像が平行に配列している構造(同心円筒状ないし入れ子状の構造)を有する。
鉄−炭素複合体を構成する入れ子構造の多層カーボンナノチューブの壁部の炭素部分は、X線回折法により測定した場合に、炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下(例えば、0.335〜0.339nm程度)の黒鉛質構造を有するものである。
また、鉄−炭素複合体の入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる壁部の厚さは、49nm以下(例えば、0.1〜40nm程度)、特に0.1〜20nm程度、好ましくは1〜10nm程度であって、全長に亘って実質的に均一である。
(b)内包されている炭化鉄又は鉄
ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる群から選ばれるカーボンチューブ内空間部の炭化鉄又は鉄による充填率(10〜90%)は、鉄−炭素複合体を透過型電子顕微鏡で観察し、各カーボンチューブの空間部(すなわち、カーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の像の面積に対する、炭化鉄又は鉄が充填されている部分の像の面積の割合である。
炭化鉄又は鉄の充填形態は、カーボンチューブ内空間部に連続的に充填されている形態、カーボンチューブ内空間部に断続的に充填されている形態などがあるが、基本的には断続的に充填されている。従って、本発明で使用する鉄−炭素複合体は、金属内包炭素複合体ないし鉄化合物内包炭素複合体、炭化鉄又は鉄内包炭素複合体ともいうべきものである。
また、鉄−炭素複合体に内包されている炭化鉄又は鉄は、カーボンチューブの長手方向に配向しており、結晶性が高く、炭化鉄又は鉄が充填されている範囲のTEM像の面積に対する結晶性炭化鉄又は鉄のTEM像の面積の割合(以下「結晶化率」という)は、一般に、90〜100%程度、特に95〜100%程度である。
内包されている炭化鉄又は鉄の結晶性が高いことは、鉄−炭素複合体の側面からTEM観察した場合、内包物のTEM像が格子状に配列していることから明らかであり、電子線回折において明確な回折パターンが得られることからも明らかである。
また、本発明で使用する鉄−炭素複合体に炭化鉄又は鉄が内包されていることは、電子顕微鏡、EDX(エネルギー分散型X線検出器)により容易に確認することができる。
(鉄−炭素複合体の全体形状)
鉄−炭素複合体は、湾曲が少なく、直線状であり、壁部の厚さが全長に亘ってほぼ一定の均一厚さを有しているので、全長に亘って均質な形状を有している。その形状は、柱状で、主に円柱状である。
鉄−炭素複合体の外径は、通常、1〜100nm程度、特に1〜50nm程度の範囲にあり、好ましくは1〜30nm程度の範囲にあり、より好ましくは10〜30nm程度の範囲にある。チューブの長さ(L)の外径(D)に対するアスペクト比(L/D)は、5〜10000程度であり、特に10〜1000程度である。
鉄−炭素複合体の形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。すなわち、透過型電子顕微鏡により鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を200〜2000nm四方の範囲で観察し、像の長さをWとし、該像を直線状に伸ばした時の長さをWoとした場合に、比W/Woが、0.8以上、特に、0.9以上となる形状特性を意味するものとする。
鉄−炭素複合体は、バルク材料としてみた場合、次の性質を有する。すなわち、本発明では、上記のようなナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブから選ばれるカーボンチューブのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に鉄または炭化鉄が充填されている鉄−炭素複合体は、顕微鏡観察によりかろうじて観察できる程度の微量ではなく、多数の該鉄−炭素複合体を含むバルク材料であって、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料、或いは、炭化鉄又は鉄内包炭素質材料ともいうべき材料の形態で大量に得られる。
後述する参考例2で製造されたナノフレークカーボンチューブとそのチューブ内空間に充填された炭化鉄からなる炭素質材料の電子顕微鏡写真(透過型電子顕微鏡写真)を、図3に示す。図3からもわかるように、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料においては、基本的にはほとんど全ての(特に99%又はそれ以上の)カーボンチューブにおいて、その空間部(即ち、カーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の10〜90%の範囲に炭化鉄又は鉄が充填されており、空間部が充填されていないカーボンチューブは実質上存在しないのが通常である。ただし、場合によっては、炭化鉄又は鉄が充填されていないカーボンチューブも微量混在することがある。
また、炭素質材料においては、上記のようなカーボンチューブ内空間部の10〜90%に鉄または炭化鉄が充填されている鉄−炭素複合体が主要構成成分であるが、鉄−炭素質複合体以外に、ススなどが含まれている場合がある。そのような場合は、鉄−炭素質複合体以外の成分を除去して、炭素質材料中の鉄−炭素質複合体の純度を向上させ、実質上鉄−炭素複合体のみからなる炭素質材料を得ることもできる。
また、従来の顕微鏡観察で微量確認し得るに過ぎなかった材料とは異なり、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料は大量に合成できるので、その重量を容易に1mg以上とすることができる。
炭素質材料は、炭素質材料1mgに対して25mm以上の照射面積で、CuKαのX線を照射した粉末X線回折測定において、内包されている鉄または炭化鉄に帰属される40°<2θ<50°のピークの中で最も強い積分強度を示すピークの積分強度をIaとし、カーボンチューブの炭素網面間の平均距離(d002)に帰属される26°<2θ<27°のピークの積分強度Ibとした場合に、IaのIbに対する比R(=Ia/Ib)が、0.35〜5程度、特に0.5〜4程度であるのが好ましく、より好ましくは1〜3程度である。
本明細書において、上記Ia/Ibの比をR値と呼ぶ。このR値は、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を、X線回折法において25mm以上のX線照射面積で観察した場合に、炭素質材料全体の平均値としてピーク強度が観察されるために、TEM分析で測定できる1本の鉄−炭素複合体における内包率ないし充填率ではなく、鉄−炭素複合体の集合物である炭素質材料全体としての、炭化鉄又は鉄充填率ないし内包率の平均値を示すものである。
なお、多数の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料全体としての平均充填率は、TEMで複数の視野を観察し、各視野で観察される複数の鉄−炭素複合体における炭化鉄又は鉄の平均充填率を測定し、さらに複数の視野の平均充填率の平均値を算出することによっても求めることができる。このような方法で測定した場合、鉄−炭素複合体からなる炭素質材料全体としての炭化鉄又は鉄の平均充填率は、10〜90%程度、特に40〜70%程度である。
(ナノフレークカーボンチューブ)
前記鉄−炭素複合体を酸処理することにより、内包されている鉄又は炭化鉄が溶解除去され、チューブ内空間部に鉄又は炭化鉄が存在しない中空のナノフレークカーボンチューブを得ることができる。
上記酸処理に使用する酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸などを例示でき、その濃度は0.1〜2N程度のものが好ましい。酸処理方法としては、種々の方法により行うことが可能であるが、例えば、1Nの塩酸100mlに対して、1g程度の鉄内包ナノフレークカーボンチューブを分散し、室温で6時間程度撹拌処理し、ろ過分離した後、さらに、1Nの塩酸100mlで同様の処理を2回行なうことで、中空のナノフレークカーボンチューブを得ることができる。
このような酸処理によってもナノフレークカーボンチューブの基本的構成は特に変化を受けない。よって、チューブ内空間部に鉄又は炭化鉄が存在しない中空のナノフレークカーボンチューブにおいても、その最外面を構成する炭素網面の長さは、500nm以下であり、特に2〜500nm、特に10〜100nmである。
さらに、本発明では、添加剤が芳香環を有する化合物であっても、分散性を向上することができる。前記添加剤のうち、芳香環を有する化合物としては、例えば、カーボンブラック(酸性カーボンブラック、中性カーボンブラック、ケッチェンブラックなど)、黒鉛、カーボン繊維(炭素繊維)、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブなどのカーボン材料(炭素材)や、カラーレジスト用着色色素(赤(R)、青(B)、緑(G)など)、近赤外線吸収色素、キャリア輸送剤や太陽電池用電荷移動剤などの機能性色素や機能性顔料(フタロシアニン系染顔料、カルバゾール系染顔料、シアニン系染顔料、アゾ系染顔料、ピロメテン系染顔料など)などが挙げられる。これらの中でも、着色剤、カーボンブラック(特に中性カーボンブラック)、カーボンナノチューブや黒鉛などの炭素材と、前記化合物(I)又はその誘導体とを組み合わせると効果的である。
添加剤の割合は、化合物(I)又はその誘導体の種類により適宜選択できるが、例えば、化合物(I)又はその誘導体100重量部に対して、0.1〜300重量部程度の範囲から選択でき、化合物(I)又はその誘導体が樹脂である場合、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部(特に1〜20重量部)程度である。
化合物(I)又はその誘導体が低分子化合物又はオリゴマーである場合、添加剤の割合は、化合物(I)又はその誘導体100重量部に対して、例えば、10〜300重量部、好ましくは30〜200重量部程度であってもよい。
特に、本発明では、化合物(I)又はその誘導体100重量部に対して、添加剤1〜500重量部[例えば、3〜450重量部(例えば、3〜200重量部)]、好ましくは5〜400重量部(例えば、10〜350重量部)、さらに好ましくは20〜300重量部(例えば、30〜250重量部)程度の高い添加剤濃度であっても、物性や成形性を低下させることなく、効率よく分散性を向上できる。そのため、本発明の組成物は、化合物(I)又はその誘導体および添加剤を含むマスターバッチなどとしても好適に利用できる。
また、添加剤の割合は、化合物(I)又はその誘導体を含む樹脂成分100重量部に対して、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部程度であってもよい。
本発明の組成物の形態は、フルオレン骨格を有する化合物の形態(樹脂など)などに応じて適宜選択でき、例えば、粉粒状、ペレット(樹脂ペレット、マスターバッチペレットなど)状などの形態であってもよく、後述するようにコーティング組成物(塗布液)の形態などであってもよい。
また、本発明の組成物は、コーティング組成物(塗布液)として用いることもできる。コーティング組成物は、化合物(I)又はその誘導体および添加剤で構成すればよく、無溶剤型コーティング組成物(コーティング剤)であってもよく、溶媒を含むコーティング組成物(コーティング剤)であってもよい。溶媒を含むコーティング組成物は、溶液であってもよく、分散液であってもよい。コーティング組成物(塗布液)において、溶媒としては、特に限定されず、フルオレン骨格を有する化合物や添加剤の種類に応じて、慣用の溶媒、例えば、炭化水素類(ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン系溶媒(ジクロロメタンなどのハロアルカン、モノクロロベンゼンなどのハロアレーンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルキルアルコール類など)、ジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルカンジオール類、ジエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸エチルなどの酢酸エステル類など)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトンなどのジアルキルケトン類、シクロヘキサノンなどの環状ケトン類など)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブアセテートなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトールなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
溶媒の割合は、塗布性を損なわない範囲であればよく、前記組成物の固形分(例えば、前記フルオレン骨格を有する化合物および添加剤)1重量部に対して、溶媒0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜30重量部程度であってもよい。
本発明の組成物は、フルオレン骨格を有する化合物と、添加剤と、必要により他の成分(溶媒など)とを混合することにより製造又は調製できる。混合方法としては、組成物の形態に応じて適宜選択でき、例えば、リボンブレンダ、タンブルミキサ、ヘンシエルミキサ、サンドミル、ダイノミル、ホモジナイザー、アトライター、ボールミル、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、フルイダイザーなどの混合機又は分散機を用いる方法や、オープンローラ、ニーダ、バンバリーミキサ、押出機などの混練機による混合手段などを用いた溶融混練による方法などが利用できる。また、コーティング組成物では、なお、混合機又は分散機の種類(ペイントシェーカーなど)によっては、分散メディア、例えば、ビーズ(ガラスビーズ、ジルコニアビーズなど)を使用してもよい。これらの混合方法は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、本発明のフルオレン系組成物は、組成物の形態(樹脂ペレット、コーティング組成物など)に応じて、公知の成形方法、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、塗布法(スピンコーティング法、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、キャスティング成形法など)などによって成形物を得ることができる。なお、成形物の形状としては、二次元的構造(フィルム、シート、塗膜(又は薄膜)、板など)、三次元的構造(例えば、管、棒、チューブ、レザー、中空品など)などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
合成例1
シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)1モル、エチレングリコール(EG)0.1モル、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン(BPEF)0.9モルを原料として通常の溶融重合で共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwは51,000、ガラス転移点Tgは120℃であった。
実施例1
合成例1で得られた共重合ポリエステル100重量部にカーボンブラック(三菱化学(株)製、MA100)3重量部をドライブレンドし、押出機を用いて樹脂温度210℃で溶融混練し、樹脂ペレットを得た。次に、得られたペレットについて、卓上型ホットプレス機(樹脂温度220℃)を用いてプレート(0.1mm厚)を成形した。成形したプレートについて、分光測色計(マクベスカラーアイCE−3000)を用いて着色度を測定した。D65光源(10度視野)を使用し、CIE 1976(Lab−標色系)で評価した結果、L値は5.51であった。
比較例1
合成例1で得られた共重合ポリエステルのかわりにポリスチレンを用いること以外は、実施例1と同様に行い、着色度の評価としてL値を測定した結果、9.38であり、実施例1に比べて、着色度は低かった。
実施例2
エポキシ樹脂としてビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(大阪ガスケミカル(株)製、Mw550.6)100重量部をトルエン100重量部に溶解し、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA100)6.5重量部、硬化剤として変性脂肪族ポリアミン系硬化剤(アデカハードナーEH−458)27重量部を加え、攪拌分散後、ポリプロピレンプレート上に0.3mm厚の塗膜を形成し、60℃で3時間加熱して試料を調製した。調製した塗膜について、分光測色計(マクベスカラーアイCE−3000)を用いて着色度を測定した。D65光源(10度視野)を使用し、CIE 1976(Lab−標色系)で評価した結果、L値は6.69であった。
比較例2
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA系エポキシ樹脂(アデカレジンEP−4520)100重量部を2−ブタノン100重量部に溶解すること以外は、実施例2と同様に行い、着色度の評価としてL値を測定した結果、15.32であり、実施例2に比べて、着色度は低かった。
実施例3
ビニルエステル樹脂として、フルオレン骨格を有するアクリル系モノマー(ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、大阪ガスケミカル(株)製、Mw546.6)100重量部にt−ブチルパーオキシベンゾエート2重量部を加え、その後さらにトルエン100重量部及びカーボンブラック(三菱化学(株)製、MA100)6.5重量部を加え、攪拌分散後、ポリプロピレンプレート上に0.2mm厚の塗膜を形成し、70℃で1時間、150℃で1時間、180℃で1時間の3工程の加熱処理を経て試料を調製した。調製した塗膜について、分光測色計(マクベスカラーアイCE−3000)を用いて着色度を測定した。D65光源(10度視野)を使用し、CIE 1976(Lab−標色系)で評価した結果、L値は6.38であり、着色度が高かった。
合成例2
合成例1のエチレングリコール(EG)を0.2モル、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)を0.8モルに代えた以外は、合成例1と同様にして、通常の溶融重合で共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwは42,000、ガラス転移点Tgは118℃であった。
実施例4
合成例2で得られた共重合ポリエステル35重量部、ポリカーボネート(帝人化成(株)製、パンライト(L−1225L))35重量部、カーボンファイバー(東邦テナックス(株)製、UAL1)30重量部を二軸押出成形機を用いて270℃で混練し、得られたストランドをペレタイザーで切断しペレットを得た。得られたペレットを110℃で12時間熱風乾燥した後、成形温度270℃で射出成形して試験片を得た。得られた試験片についてそれぞれ5サンプルずつ測定を行った結果、それぞれの平均値は、水平方向の導電率が4.3Ω・cm、引張強度が136MPa、最大ひずみが8.1%、曲げ強度が192MPaであった。
比較例4
実施例4の共重合ポリエステル35重量部をポリカーボネート(帝人化成(株)製、パンライト(L−1225L))35重量部に代えた以外は、実施例4と同様にして試験片を得た。得られた試験片について、同様の試験を行った結果、導電率が50.5Ω・cm、引張強度が137MPa、最大ひずみが7.1%、曲げ強度が177MPaであった。
実施例5
実施例4の共重合ポリエステルを40重量部、ポリカーボネート(帝人化成(株)製、パンライト(L−1225L))を40重量部、カーボンファイバー(東邦テナックス(株)製、UAL1)30重量部を、ニッケルめっきされたカーボンファイバー(東邦テナックス(株)製、MC)20重量部に代えた以外は、実施例4と同様にして試験片を得た。得られた試験片について、同様の試験を行った結果、導電率が9.06Ω・cm、引張強度が120MPa、最大ひずみが6.8%、曲げ強度が150MPaであった。
比較例5
実施例5の共重合ポリエステル35重量部をポリカーボネート(帝人化成(株)製、パンライト(L−1225L))35重量部に代える以外は、実施例5と同様にして試験片を得た。得られた試験片について、同様の試験を行った結果、導電率が715Ω・cm、引張強度が95MPa、最大ひずみが4.5%、曲げ強度が144MPaであった。
合成例3
合成例1のCHDA1モルに代えてテレフタル酸1モルを用いるとともに、EGを0.3モル、BPEFを0.7モル用いる以外は合成例1と同様にして共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwは45,000、ガラス転移点Tgは142℃であった。
実施例6
合成例3で得られた共重合ポリエステル5gをクロロホルム45gに溶解させ、樹脂濃度が10重量%のクロロホルム溶液を作成した。得られた10重量%濃度のクロロホルム溶液5gに、フタロシアニン色素(東洋インキ(株)製、Lionol Blue FG−7315)0.05gを混合し(共重合ポリエステル:色素(重量比)=10:1)、ペイントシェーカーで2時間分散を行い、フィラー分散液を得た。
実施例7
フタロシアニン色素を0.15gに代えた以外は、実施例6と同様にしてフィラー分散液を作成した。
実施例8
フタロシアニン色素を0.25gに代えた以外は、実施例6と同様にしてフィラー分散液を作成した。
比較例6
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例6と同様にフィラー分散液を作成した。
比較例7
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例7と同様にフィラー分散液を作成した。
比較例8
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例8と同様にフィラー分散液を作成した。
実施例9および比較例9
実施例6〜8、比較例6〜8で得られた分散液を、白黒隠蔽紙およびガラス板上にコーティングし、得られたコーティング塗膜についてグロス計(Quality Engineering Associates, Inc.製、IAS−1000)を用いて、白黒隠蔽紙の白色背景部、黒色背景部およびガラス板の光沢値をJIS−K7105に準拠して、角度60℃の測定条件で測定した。得られた結果を表1に示す。色素の含有量が同じ条件では、いずれの場合も、比較例の分散液から得られた塗膜より、フルオレン骨格を有する実施例の分散液から得られた塗膜の方が高い光沢値を示した。
合成例4
合成例3のEGを0.6モル、BPEFを0.4モルに代えた以外は合成例3と同様にして共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwは44,000、ガラス転移点Tgは128℃であった。
実施例10
共重合ポリエステルを合成例4で得られた共重合ポリエステルに代えるとともに、フタロシアニン色素をカーボンブラック(Degussa(株)製、Printex 75R)に代えた以外は、実施例6と同様にして、フィラー分散液を得た。
実施例11
カーボンブラックを0.15gに代えた以外は、実施例10と同様にして分散液を作成した。
実施例12
カーボンブラックを0.25gに代えた以外は、実施例10と同様にして分散液を作成した。
実施例13
カーボンブラックを、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA100(pH=3.5))に代えた以外は、実施例10と同様にして分散液を作成した。
実施例14
カーボンブラックを、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA40(pH=7.5))に代えた以外は、実施例10と同様にして分散液を作成した。
実施例15
カーボンブラックを、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA600(pH=7))に代えた以外は、実施例10と同様にして分散液を作成した。
実施例16
カーボンブラックを、キナクリドン(Ciba(株)製、PV19)に代えた以外は、実施例10と同様にして分散液を作成した。
実施例17
カーボンブラックを、黄色のオイルダイ(Ciba(株)製、PY147)に代えた以外は、実施例10と同様にして分散液を作成した。
比較例10
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例10と同様にして分散液を作成した。
比較例11
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例11と同様にして分散液を作成した。
比較例12
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例12と同様にして分散液を作成した。
比較例13
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例13と同様にして分散液を作成した。
比較例14
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例14と同様にして分散液を作成した。
比較例15
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例15と同様にして分散液を作成した。
比較例16
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例16と同様にして分散液を作成した。
比較例17
共重合ポリエステルをポリカーボネート(GE Plastic(株)製、Lexan 121R−111)に代えた以外は、実施例17と同様にして分散液を作成した。
実施例18および比較例18
実施例10〜17、比較例10〜17で得られた溶液を、それぞれ、白黒隠蔽紙およびガラス板上にコーティングし、得られたコーティング塗膜についてグロス計(Quality Engineering Associates, Inc.製、IAS−1000)を用いて、白黒隠蔽紙の白色背景部、黒色背景部およびガラス板の光沢値を測定した。得られた結果を表2に示す。カーボンブラックなどの添加剤の含有量が同じ条件では、いずれの場合も、比較例の分散液よりも、フルオレン骨格を有する実施例の分散液から得られた塗膜の方が高い光沢値を示した。
実施例19
合成例4で得られた共重合ポリエステル100重量部および有機ベントナイト(ホージュン(株)製、エスベン−E)1重量部を二軸押出成形機を用いて210℃で混練し、得られたストランドをペレタイザーで切断しペレットを得た。得られたペレットを110℃で12時間熱風乾燥した後、射出成形し、試験片を得た。
実施例20
有機ベントナイトを3重量部にした以外は、実施例19と同様にして試験片を作成した。
実施例21
有機ベントナイトを5重量部にした以外は、実施例19と同様にして試験片を作成した。
比較例19
合成例4で得られた共重合ポリエステルのみを射出成形し、試験片を得た。
実施例22
実施例19〜21、比較例19で得られた試験片の弾性率、引張強度、破断伸び、および破断エネルギーを測定した。得られた結果を表3に示す。有機ベントナイトを混合することにより高い物性値が得られた。
実施例23
エポキシ成分としてビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(大阪ガスケミカル(株)製)2.31g、硬化成分としてビスフェノールフルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)1.75g、メチルエチルケトン(MEK)5.94g、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA100)1.2gをペイントシェーカーで1時間分散した。得られたフィラー分散液を、ガラス板上にスピンコーター(回転数500rpm、10秒)を用いて膜にし、水平方向の導電性を測定したところ、抵抗率は6.79E+03(6.79×10)Ω・cmであった。
比較例23
エポキシ成分を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭電化(株)製、EP4520)2gに代え、硬化成分を、アミン系硬化剤(旭電化(株)製「EH458」)0.8gに代え、MEKを4.7gに代えた以外は実施例23と同様にして膜を作成し、導電性を測定したところ、抵抗率は2.44E+05(2.44×10)Ω・cmであった。
参考例1
アモルファスナノスケールカーボンナノチューブの製造
アモルファスナノスケールカーボンナノチューブを以下に示す方法で作製した。
60μm×10mm×10mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムに、無水塩化鉄粉末(粒径500μm以下)10mgを均一にふりかけた後、プラズマ励起した。プラズマ励起の条件は、以下の通りであった:
雰囲気:アルゴン(Ar)
内圧:0.01torr
投入電力:300W
RF周波数:13.56MHz
反応終了後(プラズマ励起後)、アモルファスナノスケールカーボンチューブ(外径;10〜60nm、長さ;5〜6μm)が形成されたことを、走査電子顕微鏡(SEM)およびX線回折により確認した。得られたアモルファスナノスケールカーボンチューブのX線回折角度(2θ)は19.1度であり、それから計算される炭素網平面間隔(d002)は、4.6Å、2θのバンドの半値幅は8.1度であった。
参考例2
原料としてトルエンを用い、触媒として塩化第2鉄を用い、特開2002−338220号公報に記載の方法に従って反応を行うことにより、炭化鉄がナノフレークカーボンチューブのチューブ内空間部に部分的に内包された鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を得た。
得られた鉄−炭素複合体は、SEM観察の結果から、外径20〜100nm、長さ1〜10ミクロンで直線性の高いものであった。また、炭素からなる壁部の厚さは、5〜40nmであり、全長に亘って実質的に均一であった。前記壁部は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察において、その炭素壁面が、入れ子状でもスクロール状でもなく、パッチワーク状(いわゆる paper mache状ないし張り子状)になっているように見え、また、X線回折法から炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するナノフレークカーボンチューブであることを確認した。また、X線回折、エネルギー分散型X線分析(EDX)により、鉄−炭素複合体に炭化鉄が内包されていることを確認した。
得られた多数の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、ナノフレークカーボンチューブの空間部(すなわち、ナノフレークカーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)への炭化鉄の充填率が20〜60%の範囲の種々の充填率を有する鉄−炭素複合体が混在していた。また、得られた多数の鉄−炭素複合体のナノフレークカーボンチューブ内空間部への炭化鉄のTEM観察像の複数の視野を観察して算出した平均充填率は30%であった。さらに、X線回折から算出されたR値は、0.57であった。
実施例24
合成例2で得られた共重合ポリエステル1gを、THF4gに溶解させた樹脂溶液に、参考例1で得られたアモルファスナノスケールカーボンチューブ0.03gを入れ、ペイントシェーカーで分散させた。得られた分散液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に膜厚が5μmになるようにコーティングし、得られたコーティング膜の表面抵抗値を測定したところ、2.43E+06(2.43×10)Ω/□であった。
実施例25
合成例2で得られた共重合ポリエステル1gを、THF4gに溶解させた樹脂溶液に、参考例2で得られた鉄−炭素複合体0.03gをTHF2gに溶解させた溶液を滴下し、ペイントシェーカーで分散させた。得られた分散液をPETフィルム上に膜厚が5μmになるようにコーティングし、得られたコーティング膜の表面抵抗値を測定したところ、4.79E+08(4.79×10)Ω/□であった。
実施例26
合成例2で得られた共重合ポリエステル1gを、THF4gに溶解させた樹脂溶液に、市販のカーボンナノチューブ(シンセンナノテクポート(株)製、径10nm〜20nm)0.03gをTHF2gに溶解させた溶液を滴下し、ペイントシェーカーで分散させた。この分散液をPETフィルム上に膜厚が5μmになるようにコーティングし、得られたコーティング膜の表面抵抗値を測定したところ、8.94E+08(8.94×10)Ω/□であった。
合成例5
両末端に水酸基を持つ数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールエーテル(PTMG)100重量部、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)52.84重量部を加え、窒素雰囲気下、130℃で60分攪拌し、プレポリマーを合成した。このプレポリマーに、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)66.34重量部およびグリセリン3.32重量部を加えて攪拌し、フルオレン骨格を有するポリウレタン樹脂を得た。
実施例27
実施例1の共重合ポリエステルを、合成例5で得られたポリウレタンに代えた以外は実施例1と同様にしてプレートを成形した。成形したプレートについて、実施例1と同様にして着色度を測定したところ、L値は6.89であった。
比較例27
合成例5のBPEFを、PTMGに代えた以外は実施例27と同様にしてプレートを成形した。成形したプレートについて、実施例27と同様にして着色度を測定したところ、L値は9.75であり、実施例27に比べて着色度は低かった。
合成例6
撹拌器、温度計、冷却コンデンサー、滴下ロート、及び不活性ガス導入管を備えた4つ口フラスコ(2L)に、窒素ガスを導入しながら、イソフタル酸1mol及びプロピレングリコール2molを添加し、210℃で3時間脱水反応を行った。ソリッド酸価(固形分酸価)が15mgKOH/g以下となるまで反応した後、150℃まで冷却して無水マレイン酸1molを添加し、反応を継続した。ソリッド酸価が100〜150mgKOH/gとなったところで110℃に冷却し、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシフェニル)フルオレン(BPEFG)2molを添加し、ソリッド酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた後、メタクリル酸2mol、反応混合物に対してトリエチルアンモニウムヨーダイド0.1重量%、及び重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテル500ppmを加えて、さらに3時間反応させた。その後、ジエチレングリコールジメタクリレートをソリッド(固形分)に対し40重量%添加し、ビニルエステル樹脂を得た。
合成例7
BPEFGに代えて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを用いる以外は、合成例6と同様にしてビニルエステル樹脂を得た。
実施例28
合成例6で得られたフルオレン骨格を有するビニルエステル樹脂100重量部にカーボンブラック(三菱化学(株)製、MA100)3重量部を混合し、25℃で6重量%オクテン酸コバルトをソリッドに対し0.5重量%添加して充分に攪拌し、硬化剤(化薬アクゾ(株)製、328E)をソリッドに対し1.0重量%添加し、さらに約1分間攪拌して、硬化物を得た。実施例1と同様にして着色度を測定したところ、得られた硬化物のL値は5.12であった。
比較例28
ビニルエステル樹脂を、合成例7で得られたビニルエステル樹脂に代えた以外は、実施例28と同様にして硬化物を得た。実施例1と同様にして着色度を測定したところ、得られた硬化物のL値は8.97となり、実施例28に比べて着色度は低かった。
実施例29
合成例4で得られた共重合ポリエステルおよびカーボンブラック(三菱化学(株)製、MA100)を、それぞれ、120℃で1日乾燥した。ステアリン酸マグネシウム(関東化学(株)製)と前記カーボンブラックとを、ペイントシェーカーを用いて、前者/後者(重量比)=20/80の割合で混合した。前記共重合ポリエステルと前記カーボンブラックとを、前者/後者(重量比)=99/1の割合で、二軸押出機(テクノベル(株)製、KZW15−30MG)を用いて共押出し、複合物を得た。なお、共押し出しにおいて、フィード領域のバレル温度、第2のバレル温度、第3のバレル温度を220℃に設定し、ダイ部分の温度を210℃に設定して共押出しした。前記複合物を、150℃でホットプレスし、鏡面研磨された表面を有するプレートを作製した。成形したプレートについて、分光測色計(マクベスカラーアイCE−3000)を用いて着色度(輝度)を測定した。D65光源(10度視野)を使用し、CIE 1976(Lab−標色系)で評価した結果、L値は5.45であった。
比較例29
合成例4で得られた共重合ポリエステルをポリエチレンテレフタレート樹脂(根来産業(株)製、重量平均分子量Mw=44000)に代える以外は実施例29と同様にして、プレートを得た。成形したプレートについて、実施例29と同様にして着色度を測定したところ、L値は11.59であった。
比較例30
合成例4で得られた共重合ポリエステルをポリスチレン(出光石油化学(株)製、US310)に代える以外は実施例29と同様にして、プレートを得た。成形したプレートについて、実施例29と同様にして着色度を測定したところ、L値は11.38であった。
実施例30
合成例4で得られた共重合ポリエステルとカーボンブラックとの割合を、前者/後者(重量比)=97/3の割合に代える以外は、実施例29と同様にして、プレートを得た。成形したプレートについて、実施例29と同様にして着色度を測定したところ、L値は5.51であった。
比較例31
合成例4で得られた共重合ポリエステルをポリエチレンテレフタレート樹脂(根来産業(株)製、重量平均分子量Mw=44000)に代える以外は実施例30と同様にして、プレートを得た。成形したプレートについて、実施例30と同様にして着色度を測定したところ、L値は9.41であった。
比較例32
合成例4で得られた共重合ポリエステルをポリスチレン(出光石油化学(株)製、US310)に代える以外は実施例30と同様にして、プレートを得た。成形したプレートについて、実施例30と同様にして着色度を測定したところ、L値は9.38であった。
実施例31
合成例4で得られた共重合ポリエステルとカーボンブラックとの割合を、前者/後者(重量比)=95/5の割合に代える以外は、実施例29と同様にして、プレートを得た。成形したプレートについて、実施例29と同様にして着色度を測定したところ、L値は6.08であった。
比較例33
合成例4で得られた共重合ポリエステルをポリエチレンテレフタレート樹脂(根来産業(株)製、重量平均分子量Mw=44000)に代える以外は実施例31と同様にして、プレートを得た。成形したプレートについて、実施例31と同様にして着色度を測定したところ、L値は8.58であった。
比較例34
合成例4で得られた共重合ポリエステルをポリスチレン樹脂(出光石油化学(株)製、US310)に代える以外は実施例31と同様にして、プレートを得た。成形したプレートについて、実施例31と同様にして着色度を測定したところ、L値は8.40であった。
実施例32〜34および比較例35〜37
実施例29において、共重合ポリエステルの割合及び/又は樹脂の種類を、表4に示す割合及び/又は樹脂に代え、実施例29と同様にして、プレートの作製を試み、以下に示す基準で評価した。
AA:添加剤を含まない場合と同様に、問題なくプレート成形可能で扱いやすい
A:プレート成形できるが、プレートはややもろい
B:プレート成形できるが、プレートはもろい
C:プレート成形できずもろい
D:極めてもろくカーボンブラックが凝集する。
結果を表4に示す。なお、表4において、共重合ポリエステルの代わりに使用した樹脂「PET」は比較例33で使用したポリエチレンテレフタレート樹脂、「PC」はポリカーボネート樹脂(三菱化学(株)製、ユーピロン)、「PS」は比較例34で使用したポリスチレン樹脂をそれぞれ示す。
表4からも明らかなように、実施例32〜34では、添加剤(カーボンブラック)を高濃度で使用しても、成形性を低下させることなく成形できた。
また、実施例32および比較例37で得られたプレート断面の電子顕微鏡写真(いずれも倍率50000倍)を、それぞれ、図5および図6に示す。図5および図6からも明らかなように、実施例32の成形体では、比較例37の成形体に比べて、添加剤(カーボンブラック)が凝集することなく均一に分散していた。
実施例35
ビスフェノールフルオレン1モルと、ホスゲン1モルを反応させ、フルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂(重量平均分子量約20000)を得た。実施例1において、共重合ポリエステルを、得られたフルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂に代える以外は、実施例1と同様にしてプレートを成形した。得られたプレートについて、実施例1と同様に着色度を測定したところ、実施例1と同様の高い着色度を示した。
本発明のフルオレン系組成物及びその成形体は、添加剤の分散性が向上し、少量でその機能を発揮するため、樹脂本来の特性を損なうことがない。そのため、本発明の組成物およびその成形体では、添加剤の種類に応じて、添加剤の特性、例えば、着色性、発色性、導電性、機械的強度などを効率よく向上できる。具体的には、例えば、着色剤(色素)では、着色剤による着色性又は着色度などを向上でき、導電剤では、導電剤による導電性を向上できる。また、本発明の組成物は、コーティング可能であるため、広い範囲の用途において適用可能である。さらに、本発明の組成物は、添加剤の濃度が高くても、効率よく分散性を向上できるので、マスターバッチなどとしても有用である。このようなマスターバッチにおいて、添加剤(充填剤、導電剤、着色剤など)の含有量は、前記式(I)で表される化合物又はその誘導体100重量部に対して、30〜500重量部、好ましくは50〜400重量部、さらに好ましくは75〜300重量部(例えば、100〜250重量部)程度であってもよい。
従って、本発明の組成物及びその成形体は、塗料、帯電防止材、帯電トレイ、導電シート、電子機器や液晶部材の保護膜、光ディスク、インクジェットプリンター、デジタルペーパ、有機半導体レーザー、感熱記録材料、ホログラム記録材料、色素増感型太陽電池、電磁波障害(EMI)シールドフィルム、フォトクロミック材料、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、有機感光体、カラーフィルター又はカラーフィルター用色材(例えば、ブラックマトリックス(BM)、R,G,B画素が配置されたカラーフィルター層など)、摺動部材、自動車部品材料、航空・宇宙材料、色素型太陽電池、キャリア輸送剤、インキ、接着剤、粘着剤、建材、内装材、樹脂充填材、着色ガラス、発光体、センサーなどに好適である。
100…ナノフレークカーボンチューブの長手方向のTEM像
200…ナノフレークカーボンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像
300…入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向のTEM像
400…入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像

Claims (15)

  1. 下記式(I)で表される化合物の樹脂と、他の樹脂と、添加剤とを含有する組成物であって、前記樹脂が、下記式(I)で表される化合物を構成モノマーとして含む熱可塑性樹脂であり、前記他の樹脂が熱可塑性樹脂である組成物。
    [式中、X及びXは同一又は異なって、ヒドロキシル基、−O(AO)H基(式中、Aは、C2−3アルキレン基を表し、pは1以上の整数を表す)、アミノ基又はN−モノ置換アミノ基を表し、R〜Rは同一又は異なって、非反応性基を表し、m1及びm2は同一又は異なって1〜3の整数、m1+m2=1〜6の整数であり、n1〜n4は同一又は異なって0〜4の整数である。ただし、m1+n1及びm2+n2は、1〜5の整数である。]
  2. 前記式(I)で表される化合物の樹脂と、添加剤とを含有する組成物であって、前記樹脂が、前記式(I)で表される化合物を構成モノマーとして含む熱可塑性樹脂であり、かつ前記添加剤が、充填剤、着色剤、導電剤、難燃剤および炭素材から選択された少なくとも1種である組成物。
  3. 前記式(I)で表される化合物の樹脂と、添加剤とを含有する組成物であって、前記式(1)において、X及びXはヒドロキシル基、又は−O(AO)H基であり、前記樹脂が、(i)前記式(I)で表される化合物を構成モノマーとして含むポリウレタン系樹脂、(ii)前記式(I)で表される化合物を構成モノマーとして含むエポキシ系樹脂、(iii)前記式(I)で表される化合物を構成モノマーとして含むビニルエステル系樹脂、及び(iv)前記式(I)で表される化合物とカルボキシル基を有する重合性単量体とのエステル化反応により得られる(メタ)アクリル系樹脂から選択された少なくとも1種の熱硬化性樹脂であり、かつ前記添加剤が、充填剤、着色剤、難燃剤および炭素材から選択された少なくとも1種である組成物。
  4. さらに、他の樹脂を含む請求項2又は3記載の組成物。
  5. 化合物(I)の樹脂と、他の樹脂との割合(重量比)が、前者/後者=99/1〜1/99である請求項1又は4記載の組成物。
  6. 化合物(I)の樹脂と、他の樹脂との割合(重量比)が、前者/後者=98/2〜70/30である請求項1、4又は5に記載の組成物。
  7. 式(1)において、X及びXが、ヒドロキシル基、又は−O(AO)H基であり、樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、およびポリウレタン系樹脂から選択された少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1、2、4、5又は6に記載の組成物。
  8. 添加剤が、充填剤、着色剤、難燃剤および炭素材から選択された少なくとも1種である請求項1記載の組成物。
  9. 添加剤が芳香環を有する化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
  10. 添加剤が、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、フラーレン、およびカーボンナノチューブから選択された少なくとも1種の炭素材である請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. 添加剤が、カーボンナノチューブである請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
  12. 化合物(I)の樹脂100重量部に対して、添加剤0.1〜300重量部を含有する請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
  13. 化合物(I)の樹脂100重量部に対して、添加剤30〜250重量部を含有する請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
  14. 粉粒状、ペレット状又はコーティング組成物である請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の組成物で形成された成形体。
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