JP5066779B2 - 導電性ペースト及び回路接続方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC,LSI等の半導体素子をリードフレーム等の基板に接続するのに適した導電性ペースト、それを用いた回路接続方法及び多層回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子をリードフレーム等の基板に接続する方法としては、金−シリコン共晶接着法、半田ペースト接着法、樹脂ペースト接着法が用いられてきた。特に銀粉を含む銀ペーストが、接着時に要求される特性の達成とコストとのバランスに優れるため、広く使用されている。
特開2001−181478号公報には、樹脂とカーボンビーズ表面に銀めっきした導電性フィラーを含有してなる導電性樹脂ペースト、及びそれを用いた半導体素子と基板の開示がある。また、特開2001−152122号公報には、エポキシ樹脂と環状アミド化合物及び銀粉を必須成分とする導電性樹脂ペーストが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電子部品の小型、軽量化及び薄型化に伴い、多層回路基板の各層の電気回路間の接続材料には導電性に優れ接続信頼性の高いペースト材料が要求されている。
従来、ペースト材料は目的の導電性を得るために高価な銀粉等のフィラーを多量に配合する必要があり、コスト低減の障害となっていた。即ち、従来のペースト材料では導電性フィラーの配合量を低減すると、優れた導電特性及び接着特性の付与が難しかった。
本発明は、導電性及び接続信頼性に優れ、コスト低減の効果の大きい導電性ペーストを提供する。また、該導電性ペーストを用いた回路接続方法及び多層回路基板を提供する。
【0004】
[課題を解決するための手段]
本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] 少なくとも炭素前駆体ポリマーと熱分解消失性ポリマーを有する繊維状樹脂複合体を加熱、焼成することによって前記炭素前駆体ポリマーをカーボン化して外殻を形成し、前記熱分解消失性ポリマーの熱分解によって、分解成分を除去することにより中空状を形成して得られる中空状カーボンファイバー及び室温で液状である樹脂成分を含み、前記樹脂成分がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、付加型イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれるいずれか一つの樹脂である導電性ペーストである。また、前記樹脂成分はエポキシ樹脂であることが好ましい。
[2] 前記[1]において、前記の中空状カーボンファイバーと前記の室温で液状である樹脂成分に加えて、さらにフィラーを含む導電性ペーストである。前記のフィラーが金属、セラミックス、カーボンからなる群より選ばれた少なくとも1つであり、該フィラーの含有量が樹脂成分に対し0.1〜80重量%であることが好ましい。
[3] 前記炭素前駆体ポリマー及び前記熱分解消失性ポリマーは、500〜3200℃で行う焼成後の残炭率がそれぞれ15重量%以上であるラジカル重合性モノマーを用いて合成される樹脂及び10重量%以下である熱可塑性樹脂であることを特徴とする導電性ペーストである。
[4] 対向配置した回路基板Aの接続端子と回路基板Bの接続端子が前記[1]〜[3]の何れかに記載の導電性ペーストを介して電気的に接続した多層回路基板である。
[5] 対向配置した回路基板Aの接続端子と回路基板Bの接続端子の間に導電性ペーストを介在させて加圧、固化することにより前記回路基板Aの回路と前記回路基板Bの回路を電気的に接続してなる回路の接続方法において、前記導電性ペーストが前記[1]〜[3]の何れかに記載の導電性ペーストである回路の接続方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、中空状カーボンファイバーと樹脂を含む導電性ペースト、それを用いた回路接続方法及び多層回路基板に関する。
本発明の中空状カーボンファイバーは、例えば、炭素前駆体ポリマーと熱分解消失性ポリマーを有する繊維状樹脂複合体を加熱、焼成することによって炭素前駆体ポリマーをカーボン化して外殻を形成し、熱分解消失性ポリマーの熱分解によって、分解成分を除去することにより中空状を形成する方法により提供できる。
例えば、具体的には、熱分解消失性ポリマーと炭素前駆体ポリマーとを用いてマイクロカプセルを作成する工程、該マイクロカプセルを溶融紡糸して繊維状樹脂複合体を形成する工程、次いで前記繊維状樹脂複合体を加熱、焼成してカーボン化した外殻を有する中空状カーボンファイバーを得る工程、によって作製できる。
本発明においては前記マイクロカプセルを調製し、これを紡糸した後、焼成することで、各工程における反応制御が容易となる。また、本発明は、前述した公知の製法に比べ、カーボンナノチューブを代表とする中空状カーボンファイバーの形状制御が容易となり、且つ高収率での製造が可能となる。
【0006】
前記熱分解消失性ポリマー及び前記炭素前駆体ポリマーのポリマー粒子の変形を加熱で行う場合は、前記ポリマー粒子の軟化温度以上に加熱することが好ましく、前記ポリマーのガラス転移温度以上が更に好ましい。
【0007】
前記ポリマー粒子の直径を調整することにより、最終的に得られるカーボンファイバーの直径を制御できる。細い直径のファイバーを得るには、直径の小さいポリマー粒子を用いることが好ましい。
また、前記ポリマー粒子の体積は、100mm3以下が好ましく、最終的に得られるカーボンファイバーの直径と長さは、該ポリマー粒子の体積によって調整できる。細い直径のファイバーを得るには、体積の小さいポリマー粒子を用いることが好ましい。
【0008】
前記ファイバーのアスペクト比(長さ/直径)は、1以上が好ましく、用途に応じて最適のアスペクト比のファイバーを提供できる。
例えば、細くて長いファイバーを得る製造条件は、溶融紡糸する際に加熱温度を高くする、ポリマーの粘度を下げる、紡糸速度を速くする、紡糸の巻き取り速度を速くする、ポリマー粒子の直径と体積を小さくする、等が有効である。
【0009】
また、前記ポリマー粒子を形成する熱分解消失性ポリマーと炭素前駆体ポリマーの軟化温度の差は100℃以下が好ましい。軟化温度の差が100℃を越えると紡糸工程で熱分解消失性ポリマーと炭素前駆体ポリマーの粘度の差が大きくなり生じ糸が切断し易くなる。 前記軟化温度の差は50℃以下がより好ましく、25℃以下がさらに好ましく、15℃以下が最も好ましい。
【0010】
本発明のマイクロカプセルの調製には、熱分解消失性樹脂の残炭率が10重量%以下、7重量%以下がより好ましく、5重量%以下が更に好ましい。また、炭素前駆体ポリマーの残炭率が15重量%以上のポリマーを用いることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましい。
熱分解消失性樹脂の残炭率が10重量%以下の樹脂を用いることで、中空状カーボンファイバーの細孔径が比較的容易に制御されると共に、壁を形成するグラファイト層の構造制御が容易となる。
熱分解消失性樹脂の残炭率が15重量%より高い樹脂を用いた場合、細孔径の制御及び壁を形成するグラファイト層の構造制御が困難となり、結果的に任意形状の制御が著しく困難となる。
【0011】
上記マイクロカプセルの原料は、前記条件を満たすものであれば特に制限はないが、紡糸工程での作業性を考慮すると熱可塑性樹脂が好ましい。
例えば、熱分解消失性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリブタジエン等のジエン系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のメタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のメタクリル樹脂が好ましい。
【0012】
また、炭素前駆体ポリマーとしては、ポリアクリロニトリル系樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
【0013】
上記のマイクロカプセルの製造法は特に制限がないが、作業性を考慮すると、直径0.001μm〜100μmの熱分解性消失性樹脂粒子をシードとしたシード重合法、コアセルべーション法、界面縮合法、スプレー乾燥法、ハイブリダイザーを用いた湿式混合法などが好ましい。直径0.001μm〜1μm熱分解性消失性樹脂粒子を用いる場合はシード重合が好ましい。
シード重合法でマイクロカプセルを合成する場合には、ラジカル重合性モノマー、例えばアクリロニトリルを単量体に用いたポリアクリロニトリル系樹脂が好ましく、アクリロニトリルによって形成される単量体ユニットをポリマー中に35モル%以上含むポリアクリロニトリル系樹脂が好ましい。
【0014】
直径が0.001μm〜100μmの熱分解性消失性樹脂粒子の製造法には特に制限がなく、熱分解性消失性樹脂を粉砕必要により篩い分けする方法、逆相乳化重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合、非水分散重合、シード重合、懸濁重合などにより直接粒子を得る方法があげられる。これらの中でも作業性を考慮すると、逆相乳化重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合、非水分散重合、シード重合、懸濁重合などにより直接粒子を得る方法が好ましい。直径が0.001μm〜1μmの熱分解性消失性樹脂粒子を得る場合には、乳化重合、ソープフリー乳化重合が好ましい。
【0015】
マイクロカプセルを製造する際に重合開始剤を用いることができる。純度が高い中空状カーボンファイバーは、炭素化工程で炭素が主成分として残る化合物、例えば炭素以外の元素の含有率が30%以下であって、例えば炭素、水素、酸素、窒素、りん、硫黄、フッ素、塩素、臭素及びよう素などからから選ばれた元素で構成される重合開始剤を選択することが好ましい。該重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロ二トリル、アゾビス(2−アミノプロパン)二塩酸塩、アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾビスジメチルバレロニトリル等のジアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム等の過酸化物塩が挙げられる。
【0016】
上記で得られたマイクロカプセルは紡糸工程を経て繊維状樹脂複合体となる。紡糸の手段は特に制限されず公知の方法を用いることができる。
例えば、マイクロカプセルを溶融した際にマトリクスとなる樹脂(例えば、前記マイクロカプセルのシードとして使用したものと同じか又は異なる熱分解性消失性樹脂)と共に原料として銅製るつぼに入れ、リボンヒーターで100〜300℃に加熱して原料を溶融させた後、るつぼ底部に空けた孔(例えば、φ1mmの孔)から溶融した原料樹脂をモーターで巻き取る方式がある。
この場合、マイクロカプセルとマトリクスの配合割合は特に制限はないが、重量比で、前者1に対して後者0.3〜1.5とすることが好ましい。原料溶融時の加熱温度及びるつぼ底部に空けた孔径、巻き取りモーターの回転数及び巻き取り部の周速、形状は適当に変えることで中空状カーボンファイバーの形状を制御できる。
【0017】
次いで、前記の繊維状樹脂複合体は加熱、焼成により炭素化する工程により中空状カーボンファイバーとすることができる。
前記焼成による炭素化は500〜3200℃で行うことが好ましく、600℃〜3000℃がより好ましい。
炭素化の温度が500℃未満の場合にはグラファイト層の形成が十分ではなく、機械的強度、水素貯蔵特性、電界放出特性等の諸特性が低下する。また、炭素化の温度が3200℃より高い場合にはグラファイト層を形成する炭素原子の一部又は殆どが昇華し、グラファイト層に欠陥が生じる。
【0018】
上記中空状カーボンファイバーは、必要に応じて、金属及び金属化合物を含むことができる。金属及び金属化合物の含有量は、1重量%以下であることが好ましい。
【0019】
本発明において、樹脂成分は室温で液状であることが望ましく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、付加型イミド樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等ガある。これらの中でも、エポキシ樹脂が接着性、機械強度のバランスに優れており好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、グリシジルアミノ基含有エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる。
前記エポキシ樹脂を用いる場合には、公知の硬化剤を含むことができる。
該硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール樹脂、ジシアンジアミド等のアミン、イミダゾール、BF3・アミンコンプレックス等が挙げられる。硬化剤の導電性ペースト中の含有量は10重量%以下であることが好ましい。
【0020】
本発明の導電性ペーストは、中空状カーボンファイバーとフィラー及び樹脂を含むことを特徴とする。フィラーとしては導電性材料が好ましい。例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、鉛等の金属類が好ましく、特に銀粉が好ましい。中空状カーボンファイバーを用いる為に、前記金属類は、樹脂成分に対する金属含有率が0.1〜80重量%であることが好ましく、0.1〜50重量%がより好ましく、0.1〜20重量%が特に好ましい。金属含有率が0.1重量%未満では十分な導電性が得られず、80重量%を越えると導電性ペーストの接着力が低下する。また、目的と用途に応じて、カーボンブラック、チタン白、鉛白、酸化鉛、ベンガラ等の着色顔料、酸化アンチモン、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミニウムシリカ、炭酸マグネシウム、マグネシウムシリカ、クレー、タルク等の耐湿顔料、クロム酸ストロンチウム、クロム酸鉛、塩基性クロム酸鉛、鉛丹、ケイ酸鉛、塩ル基性ケイ酸鉛、リン酸鉛、塩基性リン酸鉛、トリポリリン酸鉛、ケイクロム酸鉛、黄鉛、シアナミド鉛、鉛酸カルシウム、亜酸化鉛、硫酸鉛等の防食顔料を用いることもできる。該顔料と、樹脂成分との配合比率は通常、固形分の重量比で2/1〜7/1の範囲が好ましい。
【0021】
また、本発明の導電性ペーストは、適当な導電性基材(被塗物)に塗布し、その塗膜を例えば80〜250℃、好ましくは120〜160℃の温度で硬化させることができる。また、電着による電着塗膜を160℃以下で硬化させるには、鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、マンガン化合物、銅化合物、亜鉛化合物、鉄化合物、クロム化合物、ニッケル化合物、スス化合物等から選ばれる1種若しくは2種以上の触媒を添加することが有効である。これらの化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、マンガンアセチルアセトナート、チタニウムアセチルアセトナート等のキレート化合物、β―ヒドロキシアミノ構造を有する化合物と酸化鉛等の酸化金属とのキレート化反応生成物、2―エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛、安息香酸鉛、酢酸鉛、乳酸鉛、蟻酸鉛、グリコー酸鉛、オクチル酸ジルコウム等のカルボキシレート等が挙げられる。本発明の導電性ペーストには、ペースト組成物の作成時の作業性及び使用時の塗布作業性をより良好ならしめるため、必要に応じて希釈剤を添加することができる。
このような希釈剤としては、ブチルセロソルブ、カルビトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、エチレングリコールジエチルエーテル、α−テルピネオール等の比較的沸点の高い有機溶剤、PGE(日本化薬株式会社製)、PP−101(東都化成株式会社製)、ED−502、503、509(旭電化株式会社製)、YED−122(油化シェルエポキシ株式会社製)、KBM−403、LS−7970(信越化学工業株式会社製)、TSL−8350、TSL−8355、TSL−9905(東芝シリコン株式会社製)等の1分子中に1〜2個のエポキシ基を有する反応性希釈剤等の公知の化合物が挙げられる。
【0022】
本発明の導電性ペーストには、必要に応じて酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の接着力向上剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ向上剤、シリコン油等の消泡剤、無機イオン交換体等のイオントラップ剤等を適宜添加することができる。
【0023】
更に、本発明の導電ペーストに用いられるフィラーとしては、例えば金、銀、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、ステンレス、酸化ケイ素、窒化ホウ素、ホウ酸アルミ等の他表面に金属(層)を有する粉体、更には、シリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、酸化鉄等を本発明の効果を損なわない範囲で添加することもできる。
フィラーの配合量は、導電性ペースト組成物総量に対して1〜85重量%が好ましい。これらのフィラーは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0024】
本発明の導電性ペーストは、粘度調整のため必要に応じて有機溶剤を使用することができる。その有機溶剤としては、ジオキサン、ヘキサン、酢酸セロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、イソホロン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用できる。
【0025】
本発明の導電性ペーストを製造するには、前記の各成分を少なくとも含む組成物を各種添加剤とともに、一括または分割して撹拌器、らいかい器、3本ロール、プラネタリーミキサー等の分散・溶解装置を適宜組み合わせ、必要に応じて加熱して混合、溶解、解粒混練または分散して均一なペースト状とすれば良い。
【0026】
本発明においては、上記により得られる導電性ペーストは導電性及び接続信頼性に優れ、コスト低減の効果の大きい。このために、該導電性ペーストを用いて更なる電子部品の小型・軽量化、薄型化を達成可能である。
特に多層配線基板において、対向配置した回路基板Aの接続端子と回路基板Bの接続端子が中空状カーボンファイバー及び樹脂を含んでなる導電性ペーストを介して電気的に接続した多層回路基板を提供できる。該多層配線基板は従来の電気部品、電子部品内蔵型の構造体の小型・軽量化、薄型化を達成する。
【0027】
また、上記で得られた導電性ペーストを用いて半導体素子の回路形成面のパッド電極部を被覆した後、前記パッド電極部と実装基材の外部接続バンプ電極端子とを接着して半導体装置を得ることができる。その後、その表面を封止用樹脂組成物で被覆・封止することにより半導体装置を得ることもできる。
【0028】
また、前記外部接続バンプ電極端子が本発明の導電性ペーストで形成されていてもよい。前記パッド電極及び外部接続用バンプ電極のいずれかが本発明の導伝電性ペーストである場合にはその他の一方は金、銅、アルミニウム等の金属であってもよい。
【0029】
本発明の樹脂ペーストを用いて半導体素子をリードフレーム等の支持部材に接着させるには、まず支持部材上に樹脂ペースト組成物をディスペンス法、スクリーン印刷法、スタンピング法等により塗布した後、半導体素子を圧着し、その後オーブン、ヒートブロック等の加熱装置を用いて加熱硬化することにより行うことができる。さらに、ワイヤボンド工程を経たのち、通常の樹脂あるいはセラミックスを用いた方法により少なくとも半導体素子の1部を被覆又は/及び封止して半導体装置を得ることができる。
【0030】
また、本発明は上記の導電性ペーストに係る回路接続方法を提供する。
対向配置した回路基板Aの接続端子と回路基板Bの接続端子の間に導電性ペーストを介在させて加圧、固化することにより前記回路基板Aの回路と前記回路基板Bの回路を電気的に接続してなる回路の接続方法において、前記導電性ペーストが少なくとも中空状カーボンファイバー及び樹脂を含むことを特徴とする。
【0031】
以下、本発明を実施例により説明する。
[実施例1]
(1) 中空状カーボンファイバーの作製
熱分解消失ポリマーとしてポリ(メチルメタクリレート)、炭素前駆体ポリマーとしてアクリロニトリルポリマを混合後、炭素前駆体ポリマーのマイクロカプセルと熱分解消失ポリマーを混合し樹脂塊を作製し、銅製るつぼに入れ、加熱溶融した。これを、るつぼの下部の孔から周速50mで回転させモーターに巻き付け、直径100〜150μmなるよう紡糸した。紡糸したものは、3000℃に加熱し、炭素化した。得られたカーボンファイバーは細孔径3nm、直径12nm、壁を構成するグラファイト層が30層からなる中空カーボンファイバーであった。
(2) 導電性ペーストの作製
上記作製した中空状カーボンファイバーを10重量部、エポキシ樹脂としてEP1009(油化シェルエポキシ社製、商品名)55重量部、銀粉30重量部にメチルエチルケトン(和光純薬製、試薬特級)5重量部を加え、ビーズミルで混合し、導電性ペーストを得た。
(3) 導電性接着フィルムの特性評価
上記作製した導電性ペーストを、支持フィルム上に塗布し、100℃で30分乾燥し、膜厚20μmの導電性接着フィルムを得た。このフィルムを用いて、熱伝導率及び電気伝導率を測定した。熱伝導率は20W/mK、電気伝導率は1×10−6Ω・cmであった。
【0032】
[実施例2]
(1) 中空状カーボンファイバーの作製
ビス(アセチルアセトナト)白金0.1重量部を含ませた熱分解消失ポリマーとしてポリ(メチルメタクリレート)60重量部、炭素前駆体ポリマーとしてアクリロニトリルポリマ30重量部を混合後、炭素前駆体ポリマーのマイクロカプセルと熱分解消失ポリマーを混合し樹脂塊を作製し、銅製るつぼに入れ、加熱溶融した。これを、るつぼの下部の孔から周速50mで回転させモーターに巻き付け、直径100〜150μmなるよう紡糸した。紡糸したものは、3000℃に加熱し、炭素化した。得られたカーボンファイバーは細孔径3nm、直径12nm、壁を構成するグラファイト層が30層からなる中空カーボンファイバーであった。
(2) 導電性ペーストの作製
上記作製した中空状カーボンファイバーを20重量部、エポキシ樹脂としてEP1009(油化シェルエポキシ社製、商品名)75重量部にメチルエチルケトン(和光純薬製、試薬特級)5重量部を加え、ビーズミルで混合し、導電性ペーストを得た。
(3) 導電性接着フィルムの特性評価
上記作製した導電性ペーストを、支持フィルム上に塗布し、100℃で30分乾燥し、膜厚20μmの導電性接着フィルムを得た。このフィルムを用いて、熱伝導率及び電気伝導率を測定した。熱伝導率は10W/mK、電気伝導率は5×10−5Ω・cmであった。
【0033】
[実施例3]
(1) エポキシ樹脂を用いた導電性ペーストの調製
YDF−170(東都化成株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量=170)7.5重量部及びYL−980(油化シェルエポキシ株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量=185)7.5重量部を80℃に加熱し、1時間撹拌を続け、均一なエポキシ樹脂溶液を得た。
該溶液にH−1(明和化成株式会社製、フェノールノボラック樹脂、OH当量=106)1.0重量部及び希釈剤としてPP−101(東都化成株式会社製、アルキルフェニルグリシジルエーテル、エポキシ当量=230)2.0重量部を100℃に加熱し、1時間撹拌を続け、均一なフェノール樹脂溶液、2P4MHZ(四国化成株式会社製イミダゾール系硬化促進剤)を添加して調製した。
次いで、上記作製した中空状カーボンファイバーを20重量部及びエポキシ樹脂75重量部にメチルエチルケトン(和光純薬製、試薬特級)5重量部を加え、ビーズミルで混合し、導電性ペーストを得た。
前記で得た導電性ペーストを用い、リードフレーム(チップサイズ:8mm×10mm、フレーム:銅)の外部接続端子とSiチップ上のパッド部を、150℃まで30分で昇温した後、150℃で1時間硬化し接着した。その後日立化成工業製エポキシ封止材(商品名CEL−4620)により封止し、半田リフロー試験用パッケージを得た。そのパッケージを温度及び湿度がそれぞれ85℃、85%の条件に設定された恒温恒湿槽中で72時間吸湿させた。その後240℃/10秒のリフロー条件で半田リフローを行った。その結果、リードフレームの外部接続端子とSiチップ上のパッド部の接続信頼性が維持されていることを確認した。
この結果から、本発明の導電性ペーストは、信頼性の高い回路接続方法であることが確認された。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、導電性及び接続信頼性に優れ、コスト低減の効果の大きい導電性ペーストを提供する。また、該導電性ペーストを用いた回路接続方法及び多層回路基板を提供する。
Claims (7)
- 炭素前駆体ポリマーと熱分解消失性ポリマーを有する繊維状樹脂複合体を加熱、焼成することによって前記炭素前駆体ポリマーをカーボン化して外殻を形成し、前記熱分解消失性ポリマーの熱分解によって、分解成分を除去することにより中空状を形成して得られる中空状カーボンファイバー及び室温で液状である樹脂成分を含み、前記樹脂成分がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、付加型イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれるいずれか一つの樹脂であることを特徴とする導電性ペースト。
- 前記樹脂成分がエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
- 請求項1又は2において、前記の中空状カーボンファイバーと前記の室温で液状である樹脂成分に加えて、さらにフィラーを含むことを特徴とする導電性ペースト。
- 請求項3において、フィラーが金属、セラミックス、カーボンからなる群より選ばれた少なくとも1つを含み、前記フィラーの含有量が樹脂成分に対し0.1〜80重量%であることを特徴とする導電性ペースト。
- 前記炭素前駆体ポリマー及び前記熱分解消失性ポリマーは、500〜3200℃で行う焼成後の残炭率がそれぞれ15重量%以上であるラジカル重合性モノマーを用いて合成される樹脂及び10重量%以下である熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の導電性ペースト。
- 対向配置した回路基板Aの接続端子と回路基板Bの接続端子が、請求項1〜5の何れかに記載の導電性ペーストを介して電気的に接続したことを特徴とする多層回路基板。
- 対向配置した回路基板Aの接続端子と回路基板Bの接続端子との間に導電性ペーストを介在させて加圧、固化することにより前記回路基板Aの回路と前記回路基板Bの回路を電気的に接続してなる回路の接続方法において、前記導電性ペーストが請求項1〜5の何れかに記載の導電性ペーストであることを特徴とする回路の接続方法。
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