JP2013209483A - 高屈折率アンチブロッキング層形成組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 第1成分および第2成分を含む、高屈折率アンチブロッキング層形成組成物であって、第1成分が、不飽和二重結合含有アクリル共重合体であり、第2成分が、(A)2またはそれ以上のアクリレート基を有する、フェノールノボラック型アクリレート、および(B)炭素数2または3のアルキレンオキシド構造を分子中に1〜2mol有する、芳香族基含有モノまたはポリ(メタ)アクリレート、を含み、第2成分100質量部に対して、フェノールノボラック型アクリレート(A)は60〜85質量部および(メタ)アクリレート(B)は15〜30質量部含まれており、第1成分のSP値(SP1)および第2成分のSP値(SP2)の差△SPが1〜4の範囲内であり、高屈折率アンチブロッキング層形成組成物を塗装した後に、第1成分および第2成分が層分離を生じ、表面に微細な凹凸を有するアンチブロッキング層が形成される、高屈折率アンチブロッキング層形成組成物。
【選択図】 なし
Description
第1成分および第2成分を含む、高屈折率アンチブロッキング層形成組成物であって、
第1成分が、不飽和二重結合含有アクリル共重合体であり、
第2成分が、
(A)2またはそれ以上のアクリレート基を有する、フェノールノボラック型アクリレート、および
(B)炭素数2または3のアルキレンオキシド構造を分子中に1〜2mol有する、芳香族基含有モノまたはポリ(メタ)アクリレート
を含み、
第2成分100質量部に対して、フェノールノボラック型アクリレート(A)は60〜85質量部および(メタ)アクリレート(B)は15〜30質量部含まれており、
第1成分のSP値(SP1)および第2成分のSP値(SP2)の差△SPが1〜4の範囲内であり、
組成物中に含まれる第1成分および第2成分の質量比は、第1成分:第2成分=0.5:99.5〜20:80であり、
高屈折率アンチブロッキング層形成組成物を塗装した後に、第1成分および第2成分が層分離を生じ、表面に微細な凹凸を有するアンチブロッキング層が形成される、
高屈折率アンチブロッキング層形成組成物、を提供するものであり、これにより上記課題が解決される。
で示される化合物であるのが好ましい。
透明高分子基材、および、
上記高屈折率アンチブロッキング層形成組成物を、基材に塗装することによって形成されるアンチブロッキング層、
を有するアンチブロッキングフィルムであって、
アンチブロッキング層は、1.565〜1.620の屈折率を有し、かつ、
アンチブロッキング層は、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.09μmであり、十点平均粗さ(Rz)が0.01〜0.5μmである、
アンチブロッキングフィルム、も提供する。
基材が、厚さ20〜300μmのPETフィルムであり、
アンチブロッキングフィルムは、20℃において引っ張り速度5m/分の条件においてフィルムをMD方向に15%引き伸ばした際、アンチブロッキング層にクラックが発生しないことを特徴とするものが挙げられる。
基材が、厚さ30〜200μmのポリカーボネートフィルムであり、
アンチブロッキングフィルムは、25℃および60度/秒の条件において180°折り曲げた際、アンチブロッキング層および基材の何れにおいてもクラックが発生しないことを特徴とするものが挙げられる。
本発明の高屈折率アンチブロッキング層形成組成物は、第1成分および第2成分を含む。上記第1成分は、不飽和二重結合含有アクリル共重合体である。上記第2成分は、(A)2またはそれ以上のアクリレート基を有する、フェノールノボラック型アクリレート、および(B)炭素数2または3のアルキレンオキシド構造を分子中に1〜2mol有する、芳香族基含有モノまたはポリ(メタ)アクリレート、を含む。そして、第2成分100質量部に対して、フェノールノボラック型アクリレート(A)は60〜85質量部および(メタ)アクリレート(B)は15〜30質量部含まれることを条件とする。さらに、上記第1成分のSP値(SP1)および第2成分のSP値(SP2)の差△SPが1〜4の範囲内であり、組成物中に含まれる第1成分および第2成分の質量比は、第1成分:第2成分=0.5:99.5〜20:80であることを条件とする。この高屈折率アンチブロッキング層形成組成物は、塗装した後に、第1成分および第2成分が層分離を生じ、表面に微細な凹凸を有するアンチブロッキング層が形成されることを特徴とする。
第1成分として、不飽和二重結合含有アクリル共重合体が用いられる。不飽和二重結合含有アクリル共重合体は、例えば(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合およびエポキシ基を有するモノマーとを反応させた樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合およびイソシアネート基を有するモノマーとを反応させた樹脂などにアクリル酸やグリシジルアクリレートなどの不飽和二重結合を有しかつ他の官能基を有する成分を付加させたものなどが挙げられる。これらの不飽和二重結合含有アクリル共重合体は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。この不飽和二重結合含有アクリル共重合体は、重量平均分子量で2000〜100000であるのが好ましく、5000〜50000であるのがより好ましい。
第2成分は、
(A)2またはそれ以上のアクリレート基を有する、フェノールノボラック型アクリレート、および
(B)炭素数2または3のアルキレンオキシド構造を分子中に1〜2mol有する、芳香族基含有モノまたはポリ(メタ)アクリレート、
を含む。以下、各成分(A)および(B)について詳述する。
本発明の高屈折率アンチブロッキング層形成組成物は、第2成分として、(A)2またはそれ以上のアクリレート基を有する、フェノールノボラック型アクリレートを含む。高屈折率アンチブロッキング層形成組成物が、第2成分として、フェノールノボラック型アクリレート(A)を含むことによって、得られるアンチブロッキング層が、透明であり、かつ、高い硬度を有する高屈折率層となる。これにより、干渉縞の発生を効果的に防ぐことができる。
で示される、フェノールノボラック型アクリレートであるのが好ましい。上記式(I)中、nは2〜4でありmは0〜3であるであるのがより好ましく、nは2〜4でありmは0〜1であるのがさらに好ましい。
本発明の高屈折率アンチブロッキング層形成組成物は、第2成分として、(B)炭素数2または3のアルキレンオキシド構造を分子中に1〜2mol有する、芳香族基含有モノまたはポリ(メタ)アクリレートを含む。この(メタ)アクリレート(B)は、粘度300mPa・s未満であり、かつ屈折率が1.56〜1.64の範囲内であるのが好ましい。
本発明の高屈折率アンチブロッキング層形成組成物における第2成分は、上記成分(A)および(B)に加えて、他の(メタ)アクリレート類を含んでもよい。このような(メタ)アクリレート類として、例えば、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマー化合物が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマー化合物は、高屈折率アンチブロッキング層形成組成物を塗装した後の活性エネルギー線の照射により、(メタ)アクリロイル基の反応に基づく硬化反応が生じ、高硬度を有するアンチブロッキング層が得られるという利点がある。
上記高屈折率アンチブロッキング層形成組成物は、第1成分および第2成分、そして必要に応じた溶媒、光重合開始剤、触媒、光増感剤などの添加剤を混合することにより調製される。本発明の高屈折率アンチブロッキング層形成組成物中における第1成分と第2成分との比率は、第1成分:第2成分=0.5:99.5〜20:80である。この比率は、第1成分:第2成分=1:99〜20:80がより好ましく、1:99〜15:85であるのがさらに好ましい。
サンプル:樹脂0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒10mlをホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解する。
溶媒:
良溶媒…ジオキサン、アセトンなど
貧溶媒…n−ヘキサン、イオン交換水など
濁点測定:50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、濁りが生じた点を滴下量とする。
φi:濁点における各溶媒の体積分率
δi:溶媒のSP値
ml:低SP貧溶媒混合系
mh:高SP貧溶媒混合系
本発明はさらに、上記高屈折率アンチブロッキング層形成組成物を用いて形成されるアンチブロッキングフィルムも提供する。このアンチブロッキングフィルムは、透明高分子基材、および、上記高屈折率アンチブロッキング層形成組成物を、基材に塗装することによって形成されるアンチブロッキング層、を有する。そして本発明におけるアンチブロッキング層は、優れたアンチブロッキング性能を有することに加えて、1.565〜1.620という高い屈折率を有することも特徴とする。
本件発明においては、ZnO、TiO2、CeO2、SnO2、ZrO2などの高屈折率剤を含まなくても高屈折率化が達成されているため、このような高屈折率剤を含める必要がない。そのため、上記のように高い全光線透過率および低いヘイズ値を達成することが可能となる。より詳しくは、上記高屈折率アンチブロッキング層形成組成物は、ZnO、TiO2、CeO2、SnO2、ZrO2およびインジウム−スズ酸化物の総含有量が組成物中の0.0001質量%以下であるのが好ましい。金属酸化物などの高屈折率剤が、アンチブロッキング層中に存在する場合は、樹脂成分のみの層と比較して、一般に伸長性および耐屈曲性が劣ることとなるためである。
イソボロニルメタクリレート187.2g、メチルメタクリレート2.8g、メタクリル酸10.0gからなる混合物を混合した。この混合物を、攪拌羽根、窒素導入管、冷却管および滴下漏斗を備えた1000ml反応容器中の、窒素雰囲気下で110℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル360gにターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエート2.0gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの80.0g溶液と同時に3時間かけて等速滴下し、その後、1時間、110℃で反応させた。
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流装置のついた反応装置に、フェノールノボラック樹脂(重量平均分子量700〜900、エポキシ当量150〜200)150g及びエピクロルヒドリン550gを混合し、100℃、100〜200mgの減圧条件下にて48.5%の水酸化ナトリウム水溶液110gを2時間かけて滴下した。反応終了後、温度を室温まで冷却し過剰の水酸化ナトリウム水溶液を酸で中和、減圧下にて加熱し過剰のエピクロルヒドリンを除去した後、生成物をメチルイソブチルケトンに溶解させ、水洗濾別により副生成塩を除去してフェノールノボラック型のエポキシ樹脂溶液を得た。
得られたフェノールノボラック型のエポキシ樹脂の固形分100重量部に対し、メトキノン1000ppm、トリフェニルホスフィン2000ppmを加え、100℃にてアクリル酸を滴下し、酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させフェノールノボラック型エポキシアクリレート(1)を得た。
得られたフェノールノボラック型エポキシアクリレート(1)は、重量平均分子量が950であり、水酸基価は140mgKOH/g、屈折率は1.572であった。またSP値は12.7であった。
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流装置のついた反応装置に、フェノールノボラック樹脂(重量平均分子量900〜1100、エポキシ当量150〜200)150g及びエピクロルヒドリン550gを混合し、100℃、100〜200mgの減圧条件下にて48.5%の水酸化ナトリウム水溶液110gを2時間かけて滴下した。反応終了後、温度を室温まで冷却し過剰の水酸化ナトリウム水溶液を酸で中和、減圧下にて加熱し過剰のエピクロルヒドリンを除去した後、生成物をメチルイソブチルケトンに溶解させ、水洗濾別により副生成塩を除去してフェノールノボラック型のエポキシ樹脂溶液を得た。
得られたフェノールノボラック型のエポキシ樹脂の固形分100重量部に対し、メトキノン1000ppm、トリフェニルホスフィン2000ppmを加え、100℃にてアクリル酸を滴下し、酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させフェノールノボラック型エポキシアクリレート(2)を得た。
得られたフェノールノボラック型エポキシアクリレート(2)は、重量平均分子量が1200であり、水酸基価は137mgKOH/g、屈折率は1.571であった。またSP値は12.6であった。
第1成分として、製造例1で得られた不飽和二重結合含有アクリル共重合体(I)を用いた。第2成分の成分(A)として、製造例2で得られたフェノールノボラック型エポキシアクリレート(1)を、成分(B)として、エトキシ化オルトフェニルフェノールアクリレート(エトキシ構造を分子中に1mol有するアクリレート、25℃における粘度130mPa・s、屈折率1.577、SP値10.6)を用いてアンチブロッキング層形成組成物を調製した。表1に示された原料を、表1に示された固形分質量で順次混合し、撹拌して、アンチブロッキング層形成組成物を得た。
また、成分(B)の屈折率は、JIS K0062に準拠した方法により、アッベ屈折率計を用いて測定した。
塗工後、70℃にて1分間乾燥させ、紫外線照射機(Fusion製)にて350mJの紫外線を照射し、PETフィルムおよび膜厚6.5μmのアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムを得た。
塗工後、70℃にて1分間乾燥させ、紫外線照射機(Fusion製)にて350mJの紫外線を照射し、ポリカーボネートフィルムおよび膜厚5.0μmのアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムを得た。
成分(A)の種類および量を表1に記載されたものに変更し、第2成分に含まれる他の(メタ)アクリレート類としてペンタエリスリトールトリアクリレート(SP値:12.7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アンチブロッキング層形成組成物を調製した。得られたアンチブロッキング層形成組成物を用いて、実施例1と同様にして2種類のアンチブロッキングフィルムを得た。
表2に示された配合により、アンチブロッキング層形成組成物を、実施例と同様にして調製した。得られたアンチブロッキング層形成組成物を用いて、実施例1と同様にして2種類のアンチブロッキングフィルムを得た。
表2に示された配合により、アンチブロッキング層形成組成物を、実施例と同様にして調製した。
得られたアンチブロッキング層形成組成物を、帝人デュポン製188μm光学用PETフィルム(KEFW)に滴下し、バーコーター#13を用いて塗工した。塗工後、70℃にて1分間乾燥させ、紫外線照射機(Fusion製)にて350mJの紫外線を照射し、PETフィルムおよび膜厚6.5μmのアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムを得た。
また、得られたアンチブロッキング層形成組成物を、帝人化成製100μm光学用PCフィルム(ピュアエース)に滴下し、バーコーター#10を用いて塗工した。塗工後、70℃にて1分間乾燥させ、紫外線照射機(Fusion製)にて350mJの紫外線を照射し、ポリカーボネートフィルムおよび膜厚5.0μmのアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムを得た。
表2に示された配合により、アンチブロッキング層形成組成物を、実施例と同様にして調製した。
得られたアンチブロッキング層形成組成物を、帝人デュポン製188μm光学用PETフィルム(KEFW)に滴下し、バーコーター#16を用いて塗工した。塗工後、70℃にて1分間乾燥させ、紫外線照射機(Fusion製)にて350mJの紫外線を照射し、PETフィルムおよび膜厚6.5μmのアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムを得た。
また、得られたアンチブロッキング層形成組成物を、帝人化成製100μm光学用PCフィルム(ピュアエース)に滴下し、バーコーター#12を用いて塗工した。塗工後、70℃にて1分間乾燥させ、紫外線照射機(Fusion製)にて350mJの紫外線を照射し、ポリカーボネートフィルムおよび膜厚5.0μmのアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムを得た。
表2に示された配合により、アンチブロッキング層形成組成物を、実施例と同様にして調製した。
得られたアンチブロッキング層形成組成物を、帝人デュポン製188μm光学用PETフィルム(KEFW)に滴下し、バーコーター#20を用いて塗工した。塗工後、70℃にて1分間乾燥させ、紫外線照射機(Fusion製)にて350mJの紫外線を照射した。比較例12のアンチブロッキング層形成組成物を用いた場合においては、PETフィルムおよび膜厚6.5μmのアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムを得た。一方で、比較例8および13のアンチブロッキング層形成組成物を用いた場合においては、コーティング組成物が硬化せず、アンチブロッキング層を設けることができなかった。
また、得られたアンチブロッキング層形成組成物を、帝人化成製100μm光学用PCフィルム(ピュアエース)に滴下し、バーコーター#14を用いて塗工した。塗工後、70℃にて1分間乾燥させ、紫外線照射機(Fusion製)にて350mJの紫外線を照射した。比較例12のアンチブロッキング層形成組成物を用いた場合においては、ポリカーボネートフィルムおよび膜厚5.0μmのアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムを得た。一方で、比較例8および13のアンチブロッキング層形成組成物を用いた場合においては、コーティング組成物が硬化せず、アンチブロッキング層を設けることができなかった。
実施例1で得られたアンチブロッキングフィルムを用い、さらにこの硬化樹脂層上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いるスパッタリング法によって、ITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約30nm、製膜後の表面抵抗値は約150Ω/□であった。得られた透明導電性積層体の干渉縞は視認されなかった。
アッベ屈折計(アタゴ社製2T 測定範囲 nD=1.3〜1.7)を用いて下記方法にて測定した。
主プリズムに、中間液(モノブロモナフタレンなど)をスポイドで1滴を落とし、測定するサンプルを置いた。サンプル上に中間液をスポイドで1滴を落とし、副プリズムを閉じた。ここで、中間液層に空気が入らないことを条件とした。
副プリズムにランプ光を入射させ、接眼鏡をのぞきながら測定つまみを回して、屈折視野の明暗の境を交点に合わせ、目盛視野の値を小数点以下4桁まで読み取り、屈折率を測定した。
鉛筆引掻塗膜硬さ試験機(東洋精機製作所製 型式P 加圧荷重100g〜1kg)を用いて測定した。
三菱ユニ製 鉛筆引かき値試験用鉛筆(日本塗料検査協会検査済みのもの)を使用し、芯の先端が平滑で円形の断面になるように研磨紙(3M P−1000)にて調整した。試料を測定台に設置後、引掻角度が45°になるよう鉛筆を固定し、荷重750gの条件で試験を行った。試験毎に、芯を平滑にしながら、試験場所をずらして5回試験を繰り返した。
塗膜表面に凹みの発生有無下記評価基準に基づき、目視で確認した。
例えば2Hの鉛筆を用いた試験の場合、
凹みの発生が1本も無い場合、2Hと判断した。
凹みの発生が1〜2本の場合、鉛筆の硬度を1段階下げて評価し、1段階下げて凹みの発生が1本も無い場合は硬度の評価は中間領域(H〜2H等)と判断した。
凹みの発生が3本以上の場合は、H以下と判断し、1段階下げての評価を同様に実施した。
そのため、PETフィルムおよびアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムにおいては、硬度がH以上であれば、硬度が2段階以上高くなっており、アンチブロッキング層が十分な硬度を有していると判断される。
また、ポリカーボネートフィルムおよびアンチブロッキング層を有するアンチブロッキングフィルムにおいては、硬度が3B以上であれば、硬度が2段階以上高くなっており、アンチブロッキング層が十分な硬度を有していると判断される。
オートグラフ(島津製作所製 AG−1S)を用いて測定を行った。
試験サンプルを10mm×150mmに切り出し、サンプル長手方向を伸張させる向きにて測定機器の上下のチャックに挟む。室温(20℃)条件下にて、試料サンプルを2cm/secの速さで伸張させた際、破断・クラックの発生しない伸張率を求めた。
試料を50mm×50mmに調整し、試料を180°折り曲げた時の評価を行った。下記の評価基準に基づき、目視にて行った。
○ : 塗膜・基材にクラックは生じない。
△ : 塗膜にのみクラック発生が確認できる。
× : 塗膜・基材共にクラック発生が確認できる。
実施例および比較例で得られたアンチブロッキングフィルムを、2×5cmの大きさに切り出し、塗工面をPETフィルム(易接着層未塗布)面に重ね合わせ、ガラス板に挟んで200gf/cm2条件にて、室温で24時間放置した。その後、ブロッキング現象(AB性)を、下記基準により目視評価した。
○ : アンチブロッキング性あり
× : アンチブロッキング性なし
干渉縞(外観評価)
試験片を100×100mmの黒色アクリル板に光学フィルム用粘着剤を用い塗工面が表面にくるように貼り合せた。スタンド式3波長蛍光灯(TWINBARD製 SLH−399型)の蛍光管から垂直下10cmの距離にサンプルを設置して目視観察をし、評価結果が○以上のサンプルについては、更に太陽光下での目視観察を実施し、下記の評価基準に基づき、判定した。
◎ : 干渉縞(干渉模様)が3波長蛍光灯下でも太陽光下でも視認されない。
○ : 3波長蛍光灯下で干渉縞(干渉模様)が視認されないが太陽光下では僅かに視認される
△ : 干渉縞(干渉模様)が僅かに視認される
× : 干渉縞(干渉模様)がはっきりと視認される
試験片の光線透過率を紫外可視分光光度計(島津製作所製UV-2450)によって測定し、
500〜750nmの範囲における透過率の振幅に対し、下記評価基準に基づき、判定した。
○ : 透過率の最大値と最小値の差が0.5%未満
△ : 透過率の最大値と最小値の差が0.5%以上1.0%未満
× : 透過率の最大値と最小値の差が1.0%以上
I−184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、光重合開始剤
ビスフェノールA EO変性ジアクリレート:東亜合成株式会社製、アロニックスM−211B、ビスフェノールA EO(2mol)変性ジアクリレート、SP値11.3
アクリロイルモルフォリン:SP値11.9
2官能ウレタンアクリレート:NV100:CN−9893(サートマー社製)、SP値11.1
高屈折率フィラー1:ジルコニア ZRMIBK30WT%(酸化ジルコニウム、CIKナノテック社製)
高屈折率フィラー2:チタニア TiMIBK15WT%(酸化チタン、(CIKナノテック社製)
を示す。
比較例1および2は、成分(B)の量が本発明の範囲外である例である。これらの場合は、何れも、得られるフィルムの硬度が低くなる不具合があった。
比較例3は、成分(A)の代わりに、ビスフェノールA骨格を有するジアクリレートを用いた例である。この比較例3では、得られるフィルムの屈折率が低くなり、干渉縞の発生が確認された。また、硬度が低くなる不具合があった。
比較例4は、成分(B)の代わりに、アクリロイルモルフォリンを用いた例である。この比較例4でもまた、得られるフィルムの屈折率が低くなり、干渉縞の発生が確認された。また、伸長性も劣っていた。
比較例5〜8は、成分(A)および(B)を用いる代わりに、高屈折率剤である酸化ジルコニアまたは酸化チタンを用いた例である。これらの比較例では、硬度は良好である一方で、アンチブロッキング性および伸長性が大きく劣っていた。なお比較例8の組成物は硬化しなかった。
比較例9〜13は、アンチブロッキング層に伸長性を付与することを目的として、2官能ウレタンアクリレートを用いた例である。これらの比較例では、アンチブロッキング性が劣っていた、また、伸長性が多少向上した例もあるものの、硬度および屈折率のバランスが悪くなった。なお比較例13の組成物は硬化しなかった。
Claims (13)
- 第1成分および第2成分を含む、高屈折率アンチブロッキング層形成組成物であって、
第1成分が、不飽和二重結合含有アクリル共重合体であり、
第2成分が、
(A)2またはそれ以上のアクリレート基を有する、フェノールノボラック型アクリレート、および
(B)炭素数2または3のアルキレンオキシド構造を分子中に1〜2mol有する、芳香族基含有モノまたはポリ(メタ)アクリレート
を含み、
第2成分100質量部に対して、フェノールノボラック型アクリレート(A)は60〜85質量部および(メタ)アクリレート(B)は15〜30質量部含まれており、
第1成分のSP値(SP1)および第2成分のSP値(SP2)の差△SPが1〜4の範囲内であり、
組成物中に含まれる第1成分および第2成分の質量比は、第1成分:第2成分=0.5:99.5〜20:80であり、
高屈折率アンチブロッキング層形成組成物を塗装した後に、第1成分および第2成分が層分離を生じ、表面に微細な凹凸を有するアンチブロッキング層が形成される、
高屈折率アンチブロッキング層形成組成物。 - 前記(メタ)アクリレート(B)は、屈折率が1.56〜1.64の範囲内である、芳香族基含有(メタ)アクリレートである、請求項1または2に記載の高屈折率アンチブロッキング層形成組成物。
- ZnO、TiO2、CeO2、SnO2、ZrO2およびインジウム−スズ酸化物の総含有量が組成物中の0.0001質量%以下である、請求項1〜3いずれかに記載の高屈折率アンチブロッキング層形成組成物。
- 透明高分子基材、および、
請求項1〜4いずれかに記載の高屈折率アンチブロッキング層形成組成物を、基材に塗装することによって形成されるアンチブロッキング層、
を有するアンチブロッキングフィルムであって、
アンチブロッキング層は、1.565〜1.620の屈折率を有し、かつ、
アンチブロッキング層は、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.09μmであり、十点平均粗さ(Rz)が0.01〜0.5μmである、
アンチブロッキングフィルム。 - 前記アンチブロッキング層の厚さが0.05〜10μmである、請求項5記載のアンチブロッキングフィルム。
- 基材が、厚さ20〜300μmのPETフィルムであり、
アンチブロッキングフィルムは、20℃において引っ張り速度5m/分の条件においてフィルムをMD方向に15%引き伸ばした際、アンチブロッキング層にクラックが発生しないことを特徴とする、
請求項5または6記載のアンチブロッキングフィルム。 - 基材が、厚さ30〜200μmのポリカーボネートフィルムであり、
アンチブロッキングフィルムは、25℃および60度/秒の条件において180°折り曲げた際、アンチブロッキング層および基材の何れにおいてもクラックが発生しないことを特徴とする、
請求項5または6記載のアンチブロッキングフィルム。 - 前記アンチブロッキングフィルムは、全光線透過率が88%以上であり、かつ、ヘイズ値が2%以下である、請求項5〜8いずれかに記載のアンチブロッキングフィルム。
- 請求項5〜9いずれかに記載のアンチブロッキングフィルムの少なくとも一方の面上に透明導電層が形成された、透明導電性積層体。
- 前記透明導電層が酸化インジウムを含む結晶質層であり、かつ、透明導電層の厚さが5〜50nmである、請求項10記載の透明導電性積層体。
- 前記アンチブロッキング層および透明導電層の間に金属酸化物層が存在し、金属酸化物層の厚さが0.5〜5.0nmである、請求項10または11記載の透明導電性積層体。
- 請求項10〜12いずれかに記載の透明導電性積層体を有するタッチパネル。
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