JP2007292883A - 光学積層体 - Google Patents

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健治 上野
Masataka Nakajima
正隆 中島
Yoko Kinoshita
陽子 木下
Tomoyuki Horio
智之 堀尾
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Abstract

【課題】光学特性、耐光性、ハード性能(耐擦傷性)等が改善された光学積層体を提供する。
【解決手段】光透過性基材の上に、帯電防止層、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層が順に形成されてなる積層体であって、前記高屈折率ハードコート層が臭素系樹脂を含むことを特徴とする光学積層体に係る。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な光学積層体に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイ等の光学物品の表示面は、その視認性を高めるために、蛍光灯等の外部光源から照射された光線の反射が少ないことが必要とされている。透明な物体の表面を屈折率の小さい透明皮膜で被覆することにより反射率が小さくなる現象が従来から知られているとおり、このような現象を利用した反射防止膜を画像表示装置の表示面に設けて視認性を向上させることが可能である。反射防止膜は、1)表示面の上に屈折率の小さい低屈折率層を設けた単層型あるいは2)反射防止効果をさらに良好にするために表示面の上に中〜高屈折率層を1層以上層設け、その上に低屈折率層を設けた多層型に大別される。
単層型の反射防止膜は、多層型に比べて層構成が単純なことから、生産性及びコストパフォーマンスに優れている。一方、多層型の反射防止膜は、層構成を組み合わせて反射防止性能を向上させることが可能であり、単層型と比べて高性能化を図り易い。
ところで、反射防止フィルムにおいては、光学物品の表面に傷が付くと視認性を悪くするため、反射防止フィルムにハード性能(硬度)を付与することが行われている。また、反射防止フィルムを構成するプラスチックは絶縁性であるので静電気等により帯電し、表面に埃が付着すると視野性が悪くなるために、帯電防止性を付与することも必要とされている。
反射防止フィルムにこれらの帯電防止性及びハード性能を付与した多層型の反射防止フィルムとしては、例えば、透明基材フィルム上に金属酸化物を含有させた帯電防止層を形成し、さらにその上にハードコート層を形成し、最上層として下層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を形成した帯電防止性反射防止フィルムが知られている(特許文献1等)。
この場合、反射防止フィルムの反射防止性能を高めるため、上記ハードコート層を高屈折率層とする場合、一般的にはハードコート層中に金属酸化物(例えばZrO)微粒子を分散させる方法が知られている。しかし、金属酸化物微粒子をハードコート層中に分散させると、ヘイズ値が高くなりだけでなく、十分な耐擦傷性も得られない。
これに対し、金属酸化物の超微粒子を使用せずに、フルオレン系、硫黄系等の高屈折率樹脂材料だけを用いてハードコート層を形成する方法も考えられる。従来、高屈折率樹脂材料は、レンズ、特殊コーテイング、光学関連用材料等、オプティカル関連分野で広い用途があり、各種開発が行われてきた。特にプラスチックレンズ用材料としては、例えば、メルカプタンとイソシアネートとを反応させた、屈折率が1.65以上の材料(特許文献2等)、骨格中にチオエーテルやチオフェノール、エピスルフィド環等を有し、含硫黄濃度が高く、屈折率が1.65以上の材料(特許文献3、特許文献4等)をはじめとして、数多く報告されている。
しかしながら、これら従来の材料は、高屈折率、高アッべ数に主眼が置かれて開発されたものである。チオウレタン結合を有する材料は、耐熱性に問題がある。芳香環に直接硫黄が結合したもの又は硫黄含有率の高い材料は、耐光性に問題がある。また、硫黄系材料は、硫黄臭が発生するほか、硫黄による周辺材料の腐食の問題があり、用途が制約されるという問題もある。
耐熱性と耐光性に対する高い要求特性を満足できるような高屈折率樹脂硬化物として、フルオレン骨格を含有するエピスルフィド化合物があ。これは、高屈折率、高透明性であり、さらに高耐熱性、高耐光性(耐光性試験24時間後の外観変化が実質的に生じないレベル)であるとの報告(特許文献5等)もある。ところが、その耐光性は、ディスプレイ最表面の光学積層体として用いるには不十分である。また、フルオレン系材料では、ハードコートとしての硬度、耐擦傷性等も十分とは言えない。
特開2001−255403 特開平8−269161 特開平9−3058 特開平11−12273 特開2001−288177
従って、本発明は、これら従来技術の問題点を解消し、帯電防止性、耐光性、腐食防止性、ハード性能(耐擦傷性)等に優れた光学積層体を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の層構成を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の光学積層体に係る。
1. 光透過性基材の上に、帯電防止層、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層が順に形成されてなる積層体であって、前記高屈折率ハードコート層が臭素系樹脂を含むことを特徴とする光学積層体。
2. 前記高屈折率ハードコート層の屈折率が1.45を超え、前記低屈折率層の屈折率が1.45以下である、前記項1に記載の光学積層体。
3. 前記高屈折率ハードコート層が、(1)3官能以上の多官能性アクリレート系化合物及び(2)3官能以上の多官能性アクリレート系化合物の少なくとも1種ならびに臭素系樹脂を含む組成物を用いて形成される、前記項1又は2に記載の光学積層体。
4. 帯電防止層が、帯電防止剤及び熱可塑性樹脂を含む、前記項1〜3のいずれかに記載の光学積層体。
5. 帯電防止剤が、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6−ヘプタジイン)、ポリビフェニレン(ポリパラフェニレン)、ポリパラフィニレンスルフィド、ポリフェニルアセチレン、ポリ(2,5−チエニレン)及びこれらの誘導体の少なくとも1種の導電性高分子である、前記項4に記載の光学積層体。
6. 帯電防止層の厚みが10〜500nmである、前記項1〜5のいずれかに記載の光学積層体。
7. 帯電防止層が、帯電防止剤及び熱可塑性樹脂を含む熱乾燥型組成物(但し、紫外線硬化型組成物を除く。)を用いて形成されている、前記項1〜6のいずれかに記載の光学積層体。
8. 前記組成物が、帯電防止層の熱可塑性樹脂に対して溶解性又は浸透性を有する溶剤をさらに含む、前記項7に記載の光学積層体。
9. 前記積層体の断面外観において、前記高屈折率ハードコート層の断面相が、高屈折率ハードコート層から帯電防止層を介して光透過性基材中にわたり存在している、前記項1〜8のいずれかに記載の光学積層体。
10. 干渉縞が実質的に存在しない、前記項1〜9のいずれかに記載の光学積層体。
11. 前記高屈折率ハードコート層の上に、ハードコートよりも高い屈折率を有する高屈折率層、第2低屈折率層及び防汚層の少なくとも1種の層を形成してなる、前記項1〜10のいずれかに記載の光学積層体。
12. 反射防止用積層体として用いられる、前記項1〜11のいずれかに記載の光学積層体。
本発明の光学積層体は、特に透過性基材、帯電防止層、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層が順に形成されてなる積層体において、前記ハードコート層が実質的に臭素系樹脂(臭素含有樹脂)により構成されていることから、フルオレン系あるいは硫黄系樹脂等を用いる場合の問題(例えば、黄変、耐擦傷性、腐食、異臭等の問題)を低減ないしは回避しつつ、優れた耐光性、硬度、透明性(高全光線透過率、低ヘイズ)等を発揮することができる。
また、本発明の光学積層体は、その積層体の断面外観において、ハードコート層の断面相がハードコート層から帯電防止層を越えて光透過性基材の領域内にわたり存在することから、優れた密着性を発揮することができる。すなわち、本発明積層体では、基材/帯電防止層/ハードコート層が一体的に形成された状態を維持している。このため、良好な密着性を維持しつつ、従来技術と同量又はそれ以上の帯電防止剤を用いることができる結果、より優れた帯電防止性能(埃付着防止性)を発揮することができる。
特に、帯電防止剤として有機系帯電防止剤(特にポリチオフェン)を用いる場合には、優れた帯電防止性能を発揮すると同時に、積層体の全光線透過率をより高めるとともにヘイズ値を下げることも可能になる。
本発明では、特に干渉縞がなくディスプレイ表示画面が見易い光学積層体を提供することができる。この光学積層体は、例えば反射防止積層体(防眩性積層体としての利用を含む)として好適に用いることができる。
また、本発明による光学積層体は、透過型表示装置に利用される。特に、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサ等のディスプレイ表示に使用される。とりわけ、CRT、PDP、液晶パネル等のディスプレイの表面に好ましく用いられる。
本発明の光学積層体は、光透過性基材の上に、帯電防止層、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層が順に形成されてなる積層体であって、前記高屈折率ハードコート層が臭素系樹脂を含むことを特徴とする。
光透過性基材
光透過性基材の材質としては光を透過するものであれば良く、無色透明又は有色透明のいずれであっても良い。また、半透明であっても良い。このような材料としては、無機系材料又は有機系材料のいずれも使用することができる。無機系材料としては、例えばガラス等が挙げられる。有機系材料としては、トリアセテートセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、メタ(アクリルニトリル)、ポリスルホン、ポリエーテル等が例示される。これらの中でもセルロース系樹脂が好ましく、特にトリアセテートセルロースがより好ましい。
これらの材料は市販品を用いることもできる。例えば、ポリエステル樹脂(好ましくは、東洋紡(株)社製の「A−4100」「A−4300」)、セルローストリアセテート樹脂(好ましくは、富士写真フィルム(株)社製の「TF80UL」「FT TDY80UL」)等を用いることができる。
そのほか、光透過性基材として、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)フィルムもある。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が用いられる基材である。これらは、市販品を使用することもできる。例えば、日本ゼオン(株)製「ゼオネックス」「ゼオノア」(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製「スミライトFS-1700」、JSR(株)製「アートン」(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学製「アペル」(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製「Topas」(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製「オプトレッツOZ-1000シリーズ」(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として、旭化成ケミカルズ(株)製「FVシリーズ」(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好適に用いることができる。
光透過性基材の厚みは限定的ではないが、一般的には30〜200μm程度とすることが好ましい。
帯電防止層
帯電防止層は、所定の帯電防止剤を含むものであれば限定されない。例えば、帯電防止剤及び熱可塑性樹脂を含む組成物により好適に形成することができる。この場合、必要に応じて溶剤を使用することもできる。本発明では、上記組成物として、熱乾燥型組成物(但し、紫外線硬化型組成物を除く。)を用いることが好ましい。熱乾燥型組成物は、加熱により乾燥するものであり、公知の熱乾燥型塗料等と同様のバインダー、溶剤等を用いて調製することができる。
帯電防止剤は、限定的でなく、公知の帯電防止剤から1種又は2種以上を適宜選択することができる。例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物;アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物;アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基又は金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマ一あるいは電離放射線により重合可能な官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物も帯電防止剤として使用できる。
また例えば、導電性超微粒子も、帯電防止剤として使用することができる。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物微粒子を挙げることができる。金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)が挙げられる。その他にも、金属酸化物ではないが、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素材料を例示することができる。微粒子とは、1ミクロン以下の、いわゆるサブミクロンの大きさのものを指し、好ましくは平均粒径が0.1nm〜0.1μmのものである。
さらに、有機系帯電防止剤として、例えばポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6−ヘプタジイン)、ポリビフェニレン(ポリパラフェニレン)、ポリパラフィニレンスルフィド、ポリフェニルアセチレン、ポリ(2,5−チエニレン)及びこれらの誘導体等の少なくとも1種の導電性高分子を用いることもできる。
本発明では、特に、上記導電性高分子の少なくとも1種を用いることが好ましい。導電性高分子を使用することにより、本発明積層体においてより高い透過率を達成すると同時に、より低いヘイズ値を得ることができる。
熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、熱乾燥型組成物を調製できるという点において、例えばセルロース誘導体(例えばアセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等)、ビニル系樹脂(例えば酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等)、アセタール系樹脂(例えばポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、アクリル系樹脂(アクリル樹脂及びその共重合体、メタアクリル樹脂及びその共重合体等)のほか、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を好適に用いることができる。
熱可塑性樹脂を用いる場合、上記組成物中における帯電防止剤の含有量は、用いる帯電防止剤の種類等に応じて適宜設定できるが、通常は帯電防止剤と熱可塑性樹脂との合計100重量%中帯電防止剤量を1〜50重量%程度とし、特に5〜20%重量%とすることが好ましい。
また、上記組成物においては、必要に応じて溶剤を使用することもできる。溶剤は、公知の溶剤の中から、用いる帯電防止剤の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、帯電防止剤としてポリチオフェンを用いる場合は、水のほか、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチルー1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等の1種又は2種以上を用いることができる。
前記組成物の調製方法は、各成分を均一に混合できれば良く、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用することができる。
帯電防止層の形成にあっては、例えば上記組成物を帯電防止層形成用組成物として用い、前記組成物による塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させれば良い。塗膜の形成方法は、公知の方法に従えば良い。例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイドコート法、バーコート法、ロールコ一夕一法、メニスカスコ一夕一法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコ一夕一法等の各種方法を用いることができる。
帯電防止層の厚さ(乾燥厚み)は限定されないが、通常は10nm〜500nm程度、特に50〜200nmとすることが好ましい。
高屈折率ハードコート層
本発明における「ハードコート層」とは、JIS K−5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。
高屈折率ハードコート層は、少なくとも低屈折率層よりも高い屈折率を有していれば良く、通常は屈折率1.45を超え、特に屈折率1.50以上、さらに1.60以上とすることが好ましい。屈折率は、高屈折率ハードコート層を構成する樹脂を選択することにより調節することができる。
高屈折率ハードコード層は、少なくとも臭素系樹脂を含有する。臭素系樹脂自体は、透明性を有するものであれば良く、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、臭素化アクリル樹脂、臭素化ポリエステル樹脂、臭素化ポリエーテル樹脂、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ウレタン樹脂、臭素化スピロアセタール樹脂、臭素化ポリブタジエン樹脂、臭素化ポリチオールポリエン樹脂等を用いることができる。
高屈折率ハードコート層は、樹脂成分として、臭素系樹脂単独でも良く、また他の樹脂(第2樹脂)との併用も可能である。すなわち、高屈折率ハードコート層中における臭素系樹脂の含有量は、通常10〜100重量%、特に10〜90重量%とすることが好ましい。
第2樹脂としては、透明性を有する限り制限されない。例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂(電離放射線硬化型樹脂)、溶剤乾燥型樹脂、熱硬化型樹脂等の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。これらの樹脂自体は、公知又は市販のものを使用することができる。本発明では、電離放射線硬化型樹脂を用いるのが好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等が挙げられる。
高屈折率ハードコート層の形成にあっては、例えば原料成分を含む組成物(ハードコート層形成用組成物)を用いて形成することができる。より具体的には、原料成分及び必要に応じて添加剤を溶剤に溶解又は分散してなる溶液又は分散液をハードコート層形成用組成物として用い、前記組成物による塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることにより、高屈折率ハードコート層を形成することができる。
前記組成物の調製方法は、各成分を均一に混合できれば良く、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用することができる。
塗膜の形成方法は、公知の方法に従えば良い。例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイドコート法、バーコート法、ロールコ一夕一法、メニスカスコ一夕一法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコ一夕一法等の各種方法を用いることができる。
得られた塗膜の硬化方法は、組成物の内容等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、紫外線硬化型であれば紫外線照射により硬化させれば良い。
高屈折率ハードコート層の形成に用いる組成物の原料成分としては、透明性を有する前記樹脂の原料(モノマー、オリゴマー、プレポリマー等)となるものを用いれば良く、前記臭素系樹脂(及び第2樹脂)の種類等に応じて適宜設定することができる。
臭素系樹脂の原料成分としては、例えばアクリレートのフェニル基のオルト・パラ位をブロモ化した化合物(モノマー)を用いることができる。これは、市販品(例えば製品名「BR−42」(第一工業製薬製))を用いることもできる。その他の市販品として、製品名「BR−42M」(第一工業製薬製)、製品名「BR−30M」(第一工業製薬製)、製品名「BR−31」(第一工業製薬製)、製品名「RDX51027」(ダイセル・サイテック製)、製品名「BR−30」(第一工業製薬製)等も用いることができる。これらを用いることにより、第2樹脂の場合と同様に、臭素化合物(モノマー)を含む組成物を塗布し、硬化(重合)させ、臭素含有樹脂を形成することができる。
第2樹脂の原料成分としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルへキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー;ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(又はトリ)アクリレート等の多官能性モノマー等が挙げられる。
本発明では、これらの中でも、第2樹脂の原料成分として、3官能以上の多官能性アクリレート系化合物及び3官能以上の多官能性ウレタンアクリレート系化合物の少なくとも1種を用いることが望ましい。これらを用いることにより、フレキシビリティ、表面硬度等の物性を適宜調整することができる。
3官能以上のアクリレート系化合物としては、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、3官能ポリエステルアクリレート等が挙げられる。4官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。5官能以上のアクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
ウレタンアクリレート樹脂は、一般的にポリオール化合物とポリイソシアネート化合物から成り、ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジメチロール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAポリエトキシグリコール、ポリカーボネートポリオール、ペンタエリスルトール、ソルビトール、スクロース、クオドロールなポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ダイマージオールペンタエリトリトール等があり、また、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスルトール、ソルビトール、スクロース、クオドロール等の3価以上の水酸基を含有する化合物を、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物で変性することにより得られるポリエーテルポリオールやカプロラクトンで変性することにより得られるポリカプロラクトンポリオールや、2塩基酸とジオールからなるポリエステルで変性することにより得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。具体的には、EO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、テトラヒドロフラン変性トリメチロールプロパン、カプロラクトン変性トリメチロールプロパン、EO変性グリセリン、PO変性グリセリン、テトラヒドロフラン変性グリセリン、カプロラクトン変性グリセリン、EO変性ペンタエリスリトール、PO変性ペンタエリスリトール、テトラヒドロフラン変性ペンタエリスリトール、カプロラクトン変性ペンタエリスリトール、EO変性ソルビトール、PO変性ソルビトール、カプロラクトン変性ソルビトール、EO変性スクロース、PO変性スクロース、EO変性スクロース、EO変性クオドール等を例示することができる。これらは限定されるものではない。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、及びこれらのビュレット化物、ヌレート化物等の重縮合物を挙げることができる。これらは単独でも複数組み合わせて使用することも可能である。特に好ましくは、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート化物、イソホロンジイソシアネートのヌレート化物等が挙げられる。これらは限定されるものではない。なかでも特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが挙げれれる。
上記材料を使用したウレタンアクリレートにおいて、3官能以上のウレタンアクリレート系化合物としては、一般の市販品として日本合成社製の紫光シリーズ(例えば、UV1700B、UV6300B、UV765B、UV7640B、UV7600B等);根上工業社製のアートレジンシリーズ(例えば、アートレジンHDP、アートレジンUN9000H、アートレジンUN3320HA、アートレジンUN3320HB、アートレジンUN3320HC、アートレジンUN3320HS、アートレジンUN901M、アートレジンUN902MS、アートレジンUN903等);新中村化学社製(例えば、UA100H、U4H、U6H、U15HA、UA32P、U6LPA、U324A、U9HAMI等);ダイセル・ユーシービー社製のEbecrylシリーズ(例えば、1290、5129、254、264、265、1259、1264、 4866、9260、8210、204、205、6602、220、4450等);荒川化学社製のビームセットシリーズ(例えば、371、371S、577、577BV、577AK等)が挙げられる。その他にも、三菱レーヨン社製のRQシリーズ、大日本インキ社製のユニディックシリーズ等が挙げられる。さらには、DPHA40H(日本化薬社製)、CN9006(サーマー社製)、CN968等も使用できる。この中でも、UV1700B(日本合成社製)、DPHA40H(日本化薬社製)、アートレジンHDP(根上工業社製)、ビームセット371(荒川化学社製)、U15HA(新中村化学社製)等が好ましい。
前記組成物においては、必要に応じて溶剤を用いることができる。溶剤としては、用いる原料成分の種類等に応じて公知の溶剤の中から適宜選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;又はこれらの混合物が挙げられる。より好ましい溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
特に、前記組成物に用いる溶剤としては、形成される帯電防止層の熱可塑性樹脂バインダーに対して溶解性又は浸透性を有するものを好適に用いることができる。溶剤は、高屈折率ハードコート層を構成する樹脂(HC樹脂)が基材に対して密着性を有するか否かに応じて決定することができる。例えば、HC樹脂が基材に対して密着性がない場合は基材に対して溶解性、(膨潤、湿潤)を持つ溶剤を使用することができる。例えば基材がTACである場合、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等を好適に用いることができる。他方、HC樹脂が基材に対して密着性があるものに対しては基材に対して溶解性をもたない溶剤も使用できる。例えば、基材がTACである場合、それに対して密着性を有するHC樹脂として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の分子量500未満のモノマー又はその混合物から得られるオリゴマー、プレポリマー等の重合反応物(紫外線硬化型樹脂)がある。この場合には、例えばイソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を用いることができる。
ハードコート層形成用組成物中における原料の含有割合(固形分)は限定的ではないが、通常は5〜70重量%、特に25〜60重量%とすることが好ましい。
また、ハードコート層形成用組成物中における溶剤は、帯電防止層の熱可塑性樹脂バインダーに対して溶解性又は浸透性を有する溶剤を溶剤全量中10〜100重量%、特に50〜100重量%とすることが望ましい。
上記原料以外の成分として、必要に応じて、重合開始剤あるいは各種の添加剤のほか、重量平均分子量200未満の化合物等が含まれていても良い。添加剤としては、例えば重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等を用いることができる。
重合開始剤としては、特にハードコート層が電離放射線硬化型樹脂により形成される場合、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類が挙げられる。また、この場合は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等の光増感剤を混合して用いることが好ましい。
帯電防止剤としては、前記帯電防止層で用いられる各種の帯電防止剤の1種又は2種以上を使用することができる。
防眩剤としては、後記の防眩層で用いられる防眩剤の1種又は2種以上を使用することができる。
低屈折率層
低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光塔、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。
低屈折率層は、前記ハードコート層の屈折率よりも低い屈折率であれば良いが、通常は屈折率1.45以下、特に1.42以下であることが好ましい。
低屈折率層は、1)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率超微粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率超微粒子を含有するフッ素系樹脂、4)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機物の薄膜等のいずれか構成される。
低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。フッ素樹脂以外の樹脂については、帯電防止層を構成するのに用いる樹脂と同様である。
上記フッ素系樹脂としては、より好ましくはシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体を用いることができる。シリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体は、具体的にはフッ化ビニリデンが30〜90%、ヘキサフルオロプロピレンが5〜50%(以降も含め、百分率は、いずれも質量基準)を含有するモノマー組成物を共重合することにより得られるものである。
シリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサンや、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。中でもジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
上記シリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体は、モノマー組成物における各成分の割合が、フッ化ビニリデンが30〜90%、好ましくは40〜80%、特に好ましくは40〜70%であり、又ヘキサフルオロプロピレンが5〜50%、好ましくは10〜50%、特に好ましくは15〜45%である。このモノマー組成物は、さらにテトラフルオロエチレンを0〜40%、好ましくは0〜35%、特に好ましくは10〜30%含有するものであっても良い。
上記のモノマー組成物は、上記のシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体の使用日的及び効果が損なわれない範囲において、他の共重合体成分が、例えば20%以下、好ましくは10%以下の範囲で含有されたものであっても良い。このような他の共重合成分の具体例として、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等のフッ素原子を有する重合性モノマーの1種又は2種以上を例示することができる。
以上のようなモノマー組成物から得られるフッ素含有共重合体は、そのフッ素含有割合が60〜70%であることが必要であり、好ましいフッ素含有割合は62〜70%、特に好ましくは64〜68%である。フッ素含有割合が、上記範囲に設定することにより、フッ素含有重合体は、溶剤に対して良好な溶解性を有し、かつ、このようなフッ素含有重合体を成分として含有することにより、種々の基材に対して優れた密着性を有し、高い透明性と低い屈折率を有するとともに十分に優れた機械的強度を有する薄膜を形成するので、薄膜の形成された表面の耐傷性等の機械的特性を十分に高いものとすることができる。
上記のフッ素含有共重合体は、その分子量がポリスチレン換算数平均分子量で5000〜200000、特に10000〜100000であることが好ましい。このような大きさの分子量を有するフッ素含有共重合体を用いることにより、得られるフッ素系樹脂組成物の粘度が好適な大きさとなり、従って確実に好適な塗布性を有するフッ素系樹脂組成物とすることができる。フッ素含有共重合体は、それ自体の屈折率が1.45以下、特に1.42以下、さらに1.40以下であるものが好ましい。屈折率が1.45を越えるフッ素含有共重合体を用いた場合には、得られるフッ素系塗料により形成される薄膜が反射防止効果の小さいものとなる場合がある。
このほか、低屈折率層は、SiOからなる薄膜で構成することもできる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等の気相法、SiOゾルを含むゾル液からSiOゲル膜を形成する液相法等のいずれで形成されたものであっても良い。さらに、SiO以外にも、MgF等の低屈折率無機材料の薄膜等の素材でも低屈折率層を構成し得る。特に、下層に対する密着性が高いという点で、SiO薄膜が好ましい。また、上記の手法のうち、プラズマCVD法によるときは、有機シロキサンを原料ガスとし、他の無機質の蒸着源が存在しない条件で行うことが好ましい。また、この場合、被蒸着体をできるだけ低温度に維持して行うことが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。「空隙を有する微粒子」を用いることにより、低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることを可能とする。本発明において、「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成しているものである。これは、空隙がない微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中における気体の占有率の上昇に伴って屈折率が低下する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
空隙を有する無機系微粒子の具体例としては、特開2001−233611号公報で開示されている技術を用いて調製したシリカ微粒子が好ましい。空隙を有するシリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましい。
塗膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては前記のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造され、充填用のカラム及び表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子、又は断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体又は凝集体等を挙げることができる。そのような具体的としては、市販品として、例えば日本シリカ工業株式会社製の商品名「Nipsil」「Nipgel」等の中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。前記微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。
その他の層
本発明の基本層構成として、光透過性基材の上に、少なくとも帯電防止層及びハードコート層(臭素系樹脂による高屈折率ハードコート層)が順に形成されていれば良い。このため、本発明積層体の光透過性等が損なわれない範囲内で、必要に応じてハードコート層上に他の層(防眩層、高屈折率ハードコート層よりも高い屈折率を有する高屈折率層、第2低屈折率層:高屈折率層が二層以上ある場合に用いる低屈折率層、防汚層、接着剤層、他のハードコート層等)の1層又は2層以上を適宜形成することができる。これらの層は、公知の反射防止用積層体と同様のものを採用することもできる。
(防眩層)
防眩層は、例えば透過性基材と高屈折率ハードコート層又は低屈折率層との間に形成されて良い。防眩層は、樹脂及び防眩剤を含む樹脂組成物から形成されて良い。また、例えばTiO、ZrO等のように、適宜屈折率を変更するため高屈折率無機超微粒子が添加されていても良い。
前記樹脂としては、高屈折率ハードコート層の項で説明したものから適宜選択して使用することができる。
防眩剤としては、各種の微粒子を用いることができる。微粒子の平均粒径は限定的ではないが、一般的には0.01〜20μm程度とすれば良い。また、微粒子の形状は、真球状、楕円状等のいずれであっても良く、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、前記微粒子は、無機系又は有機系のものが挙げられる。
前記微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものが良い。微粒子の具体例としては、無機系であればシリカビーズ、有機系であればプラスチックビーズが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
前記微粒子は、その平均粒径をR(μm)とし、防眩層凹凸の十点平均粗さをRz(μm)とし、防眩層の凹凸平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をβaとした場合に、下記数式:
30≦Sm≦600
0.05≦Rz≦1.60
0.1≦θa≦2.5
0.3≦R≦15
を全て満たすものが好ましい。
Sm(μm)とは、この防眩層の凹凸の平均間隔を表し、θa(度)は凹凸部の平均傾斜角を表すものであり、(Rz)は、10点平均粗さを表すものであり、その定義は、表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に該当するものである。
θaは角度単位であり、傾斜を縦横比率で表したものがΔaである場合、
Δa=tanθa=(各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和/基準長さ)で求められる。基準長さとは、測定機SE−3400で粗さ曲線のカットオフ値λc、実際に触針する評価長さにあたる。
また、本発明の別の好ましい様態によれば、前記微粒子と前記樹脂組成物の屈折率をそれぞれ、n1、n2とした場合に、Δn=|n1−n2|<0.1を満たすし、かつ、防眩層内部のへイズ値が55%以下である防眩層が好ましい。
微粒子の添加量は、用いる微粒子の種類、所望の防眩性等によるが、前記樹脂組成物100重量部に対し、通常は2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度とすれば良い。
防眩層用組成物を調製する際に沈降防止剤を添加することが好ましい。沈降防止剤を添加することにより、樹脂ビーズの沈殿を抑制し、溶媒内に均一に分散させることができるからである。沈降防止剤の具体例としては、シリカビーズ等のビーズ類を使用することができる。ビーズ類の平均粒径は限定されないが、一般的には0.5μm以下とし、好ましくは0.1〜0.25μmとする。
防眩層の膜厚(硬化時)は、一般的には0.1〜100μm程度、特に0.8〜10μmの範囲とすることが好ましい。膜厚がこの範囲にあることにより、防眩層としての機能を十分に発揮することができる。
(防汚層)
防汚層は、光学積層体の最表面に汚れ(指紋、水性又は油性のインキ類、鉛筆等)が付着しにくく、または付着した場合でも容易に拭取ることができるという役割を担う層である。本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けても良く、特に低屈折率層が形成された光透過性基材の一方の面と反対の両側に防汚層が設けることが好ましい。防汚層の形成により、光学積層体(反射防止用積層体)に対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。低屈折率層がない場合でも、最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けても良い。
防汚層は、一般的には、防汚層用剤及び樹脂を含む組成物により形成することができる。防汚層用剤の具体例としては、分子中にフッ素原子を有する電離放射線硬化型樹脂組成物への相溶性が低く、低屈折率層中に添加することが困難とされるフッ素系化合物及び/又はケイ素系化合物、分子中にフッ素原子を有する電離放射線硬化型樹脂組成物及び微粒子に対して相溶性を有するフッ素系化合物及び/又はケイ素系化合物が挙げられる。これらは公知又は市販のものを使用することができる。
防汚層は、例えばハードコート層Bの上に形成することができる。特に、防汚層が最表面になるように形成することが望ましい。防汚層は、例えば高屈折率ハードコート層自身に防汚性能を付与することにより代替することもできる。
(第2低屈折率層)
第2低屈折率層は、前記の低屈折層と同様のものを採用することができる。この場合の屈折率は限定的ではないが、一般的には1.45以下とすることが好ましい。
光学積層体における界面等
本発明の光学積層体は、光透過性基材の上に、帯電防止層、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層が順に形成されてなる積層体であって、前記積層体の断面外観において、前記ハードコート層の断面相が、高屈折率ハードコート層から帯電防止層を介して光透過性基材中にわたり存在している、ことを特徴とする。
上記断面外観は、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察で観察することができる。例えば、従来タイプの光学積層体では、その断面のTEM像(10万倍)である図2に示すように、高屈折率ハードコート層、帯電防止層及び光透過性基材の各断面相が順に存在している。上部の縦縞模様の領域が高屈折率ハードコート層の断面相、中心付近の黒い層が帯電防止層の断面相、その黒い層の下側が基材の断面相である。すなわち、高屈折率ハードコート層の断面相は、光透過性基材の領域内では認められない。これに対し、ハードコート層の断面相がハードコート層から帯電防止層を介して光透過性基材側にも及んで存在している場合は、TEM像(10万倍)で図1のように観察される。これは、高屈折率ハードコート層を形成するために用いるハードコート層用組成物中に含まれる溶剤が帯電防止層及び光透過性基材中にそれぞれ含まれる樹脂バインダーを溶解しながら、上記組成物が帯電防止層を浸透し、光透過性基材に到達したものと考えられる。
このように、断面の外観性状において、高屈折率ハードコート層の断面相が高屈折率ハードコート層から帯電防止層を介して光透過性基材中にかけて連続的に存在する構成を有することから、少なくとも高屈折率ハードコート層、帯電防止層及び光透過性基材が実質的に渾然一体となった構造を効果的に維持できる結果、高い密着性を発揮することができる。
本発明の光学積層体は、界面が実質的に存在しないことが望ましい。ここで、「界面が(実質的に)存在しない」とは、1)二つの層面が重なり合ってはいるが実際に界面が存在しないこと、及び2)屈折率からみて両者の面に界面が存在していないと判断されることを包含する。「界面が(実質的に)存在しない」の具体的な基準としては、光学積層体の干渉縞観察による。すなわち、光学積層体の裏面に黒テープを貼り、3波長蛍光灯の照射下で光学積層体の上から目視にて観察する。このとき、干渉縞が確認できる場合は、別途に断面をレーザー顕微鏡により観察すると界面が確認されることから、これを「界面が存在する」と認定する。一方、干渉縞が確認できない場合又は極めて弱い場合は、別途に断面をレーザー顕微鏡により観察すると界面が見られないか又は極めて薄くしか見えない状態となることから、これを「界面が実質的に存在しない」と認定する。なお、レーザー顕微鏡は、各界面からの反射光を読み取り、非破壊的に断面観察できる。これは、各層に屈折率差がある場合のみ、界面として観察されるものであるため、界面が観察されない場合は、屈折率的にも差がない、界面がないと考えることができる。
本発明の光学積層体においては、高屈折率ハードコート層が所定の硬度を有する。この場合、高屈折率ハードコート層は、鉛筆硬度2H以上であることが望ましい。高屈折率ハードコート層は、ビッカース硬度は250N/mm以上であることが望ましい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
<調製例1>
(1)帯電防止層形成用組成物(AS組成物)
AS組成物1
熱乾燥型チオフェン含有組成物として、出光テクノファイン社製、商品名「ELコート TALP2010」(固形分4%、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エタノール)を用いた。
AS組成物2
紫外線硬化型チオフェン含有組成物として、出光テクノファイン社製、商品名「ELコート UVH 515」(固形分4%、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エタノール)を用いた。
AS組成物3
下記の成分を混合分散して帯電防止層形成用組成物(AS組成物3)を調製した。
・帯電防止剤(ATO)(ザ・インクテック製、商品名;ASHD300S):5質量部
・トルエン:22質量部
・重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名;イルガキュア184):0.2質量部
(2)高屈折率ハードコート層形成用組成物 (高nHC組成物)
高nHC組成物1
下記の成分を含む組成物を用いた。
・Br高屈折率樹脂(屈折率:Nd=1.60,第一工業製薬製「BR−42」):4重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製:DPHA6官能):6重量部
・酸化防止剤 ヒンダードアミン(大塚化学製「RUVA−93」):0.16重量部
・紫外線吸収剤 ベンゾトリアゾール(BIZ)(日立化成製「FA712HM」):0.16重量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGACURE 184」):0.8重量部
・メチルエチルケトン(MEK):10重量部
高nHC組成物2
下記の成分を含む組成物を用いた。
・Br高屈折率樹脂(屈折率:Nd=1.60,ダイセル・サイテック製「RDX51027」):4重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製:DPHA6官能):6重量部
・ヒンダードアミン(大塚化学製「RUVA−93」):0.16重量部
・ベンゾトリアゾール(BIZ)(日立化成製「FA712HM」):0.16重量部
・光重合開始剤((1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGACURE 184」):0.8重量部
・メチルエチルケトン(MEK):10重量部
高nHC組成物3(S:硫黄系)
下記の成分を含む組成物を用いた。
・ビス[(2―メタクリロイルチオ)エチル]スルフィド(屈折率:Nd=1.63,住友精化社製「S2EG」):5重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製:DPHA6官能):5重量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGACURE 184」):0.8重量部
・光重合開始剤(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「DAROCURE TPO」):0.8重量部
・メチルエチルケトン:10重量部
高nHC組成物4(フルオレン系)
・9,9―ビス[4−(2アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村化学社製「NKエステルA−BPEF」;屈折率:Nd=1.63):5重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製:DPHA6官能):5重量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRUGACURE 184」):0.8重量部
・メチルエチルケトン:10重量部
高nHC組成物5(無機微粒子系)
・ルチル型酸化チタン粒子(テイカ製「MT−500HD」;屈折率:Nd=2.70):0.5重量部0.5重量部
・分散剤(ビックケミー・ジャパン製「ディスパービック163」:0.1重量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬製「PET−30」):9.5重量部
・チタネートカップリング剤(松本交商製「TA−25」):0.064重量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRUGACURE 184」):0.48重量部
・MIBK:10重量部
高nHC組成物6(無機微粒子系)
・無機粒子含有樹脂(JSR社製「デソライト KZ7973」;屈折率:Nd=1.67,無機含有量71%):7重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製:DPHA6官能):4重量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRUGACURE 184」):0.4重量部
・メチルエチルケトン:10重量部
高nHC組成物7
・Br高屈折率樹脂(屈折率:Nd=1.60,第一工業製薬製「BR−42」):4重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製:DPHA6官能):6重量部
・酸化防止剤(ヒンダードアミン)(大塚化学製「RUVA−93」):0.16重量部
・紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール(BIZ))(日立化成製「FA712HM」):0.16重量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRUGACURE 184」):0.8重量部
・トルエン:10重量部
低屈折率層形成用組成物
・処理シリカゾル(空隙を有する微粒子)(20%メチルイソブチルケトン溶液使用):14.3重量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬製「PET30」):0.98重量部
・フッ素樹脂(ダイキン工業製「AR110」):6.52重量部
・光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRUGACURE 369」):0.1重量部
・変性シリコーンオイル(信越化学工業社製「X22−164E」):0.15重量部
・メチルイソブチルケトン:83.5重量部
<実施例1>
帯電防止層の形成
セルローストリアセテートフィルム(富士写真フイルム製「TF80UL」:膜厚80μm)の片面に、AS組成物1(熱可塑性バインダー)を巻線型のコーティングロッドを用いて塗布し、温度50℃の熱オーブン中で30秒間保持し、塗膜中の溶剤を蒸発させ塗膜を硬化、基材上に乾燥後の膜厚が約100nmの透明な帯電防止層を形成させた。
高屈折率ハードコート(高nHC)層の形成
次いで、積層した帯電防止層の上に、高nHC組成物1(臭素系)をWET重量20g/m(乾燥重量10g/m)を塗布した。50℃にて30秒乾燥し、紫外線100mJ/cmを照射して帯電防止層上に高屈折率ハードコート層を調製した。
低屈折率層の形成
上記方法にて作成した帯電防止層及び高屈折率ハードコート層を有する光学積層体上に、低屈折率層形成用組成物を乾燥後(40℃×1分)の膜厚が約100nmとなるように塗布した。(乾燥後の膜厚は、反射率の極小値が波長550nm付近になるように調製したもの)
紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン、光源Hバルブ)を用いて、照射線量192mJ/mで紫外線照射を行って硬化させて、反射防止性と帯電防止性を有する光学積層体を得た。
<実施例2>
AS組成物1(熱可塑性バインダー)と、高nHC組成物2(臭素系)を使用した以外は、実施例1と同様に作製し、反射防止性と帯電防止性を有する光学積層体を得た。
<比較例1>
AS組成物1(熱可塑性バインダー)と、高nHC組成物3(硫黄系)を使用した以外は、実施例1と同様に作製し、反射防止性と帯電防止性を有する光学積層体を得た。
<比較例2>
AS組成物1(熱可塑性バインダー)と、高nHC組成物4(フルオレン系)を使用した以外は、実施例1と同様に作製し、反射防止性と帯電防止性を有する光学積層体を得た。
<比較例3>
AS組成物2(UVバインダー)と、高nHC組成物5(無機微粒子系)を使用した以外は、実施例1と同様に作製し、反射防止性と帯電防止性を有する光学積層体を得た。
<比較例4>
AS組成物1(熱可塑性バインダー)と、高nHC組成物6(無機微粒子系)を使用した以外は、実施例1と同様に作製し、反射防止性と帯電防止性を有する光学積層体を得た。
<比較例5>
AS組成物3(無機微粒子系)と、高nHC組成物1(臭素系)を使用した以外は、実施例1と同様に作製し、反射防止性と帯電防止性を有する光学積層体を得た。
<比較例6>
AS組成物3(無機微粒子系)と、高nHC組成物5(無機微粒子系)を使用した以外は、実施例1と同様に作製し、反射防止性と帯電防止性を有する光学積層体を得た。
<試験例1>
各実施例及び比較例で得られた光学積層体について下記の項目の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2007292883
評価項目
評価1:全光線透過率 (JIS K 7361)
全光線透過率(%)は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いて測定した。全光線透過率は、塗工面を光源に向けて測定する。全光線透過率は、実施例・比較例の層構成において、全ての層が光学層として正常に機能すれば、94%以上になることが理論上推測でき、本発明では94%以上のものを良好と判定する。
評価2:ヘイズ値 (JIS K 7136)
ヘイズ値は、JIS K−7136に従って測定することができる。測定に使用する機器としては、反射・透過率計HR−100(村上色彩技術研究所)が挙げられる。ヘイズは、塗工面を光源に向けて測定する。ヘイズ値は、0.6未満であれば、良好(製品として使用可能)である。
評価3:耐擦傷性:#0000のスチールウールを用いて200g/cmでサンプル表面を10往復擦り、外観変化を目視にて確認する。
〇:キズ無し
×:キズ1本以上
評価4:黄変度:ΔYIは、紫外線オートフェードメーター(スガ試験機製、製品番号;U48AU)を用い、B.P.:ブラックパネル温度63℃で50時間放置、放置前後でのYI(イエローネスインデックス:黄色度)の変化度合いを分光光度計((株)島津製作所製 UVPC-3100)で測定した。評価は、ΔYI(黄変度)=YI(試験用試料の初期の黄色度)−YI(暴露後の黄色度)で行った。(JIS K 7103プラスチックの黄色度及び黄変度試験方法)黄変度は、0.8未満であれば、良好(製品として使用可能)である。
評価5:腐食評価試験
ハードコート組成物によっては、湿熱条件下で、組成物が分解したときに発生する成分が原因で、鉄分を腐食させるものがあると考えている。そのハードコートの腐食性を評価するため、各実施例・比較例で使用したハードコート層のみを基材に積層したサンプルフィルムを使用し、湿熱条件下で耐久試験を実施し、鉄が腐食するかどうかを判断した。その評価方法として、10cm四方の光学積層体サンプルをガラス瓶に包入し、純水4cc加え鉄製クリップをガラス瓶内にテープで固定し、蓋をした後、恒温器(ダバイエスペック製「PV−211」)にて100℃、48時間加熱し、ガラス瓶内の鉄製クリップの腐食有り無しを目視にて確認した。
評価○:クリップに腐食がなく、ハードコートは、腐食性がなく良好である
評価×:クリップが腐食し、ハードコートには、腐食性がありNGである
評価6:塵埃付着防止試験
偏光版の片面のみTACを張り合わせた片面保護フィルムつきの偏光板(もう片面は、偏光子のまま)の偏光子側面に、透明粘着材にて実施例及び比較例で作製した帯電防止積層体の、TAC側面を張り合わせ偏光板を作製した。実施例においては、偏光素子よりも下面に帯電防止層が形成された状態を仮定し、帯電防止層のない方のTAC表面をポリエステル布にて20往復こすり、そのこすった面をタバコの灰に近づけて塵埃付着防止を下記基準にて評価した。比較例においては、実施例とは逆面、つまり偏光素子よりも上面に帯電防止層積層体が形成された状態を仮定し、帯電防止層のある方のハート゛コート層面及び防眩層面をポリエステル布にて20往復こすり、そのこすった面をタバコの灰に近づけて塵埃付着防止を下記基準にて評価した。
評価○:灰の付着がなく、塵埃付着防止効果があった。
評価×:灰の付着が多数あり、塵埃付着防止効果が無かった。
評価7:干渉縞評価試験
実施例と比較例の光学積層体のフィルム面と反対側にクロスニコルの偏光板に貼り合わせた後、(または、簡易的には寺岡製の黒テープを貼った後)三波長蛍光下で官能評価を行って、干渉縞の発生の有無を下記基準によって詳細に評価した。
評価○:全方位での目視観察にて干渉縞が発生していない。
評価×:全方位での目視観察にて干渉縞を確認することができる。
ハードコート層の断面相がハードコート層から帯電防止層を介して光透過性基材側にも及んで存在している状態を示すTEM像(10万倍)を示す図である。 従来タイプの光学積層体の断面のTEM像(10万倍)を示す図である。

Claims (12)

  1. 光透過性基材の上に、帯電防止層、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層が順に形成されてなる積層体であって、前記高屈折率ハードコート層が臭素系樹脂を含むことを特徴とする光学積層体。
  2. 前記高屈折率ハードコート層の屈折率が1.45を超え、前記低屈折率層の屈折率が1.45以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記高屈折率ハードコート層が、(1)3官能以上の多官能性アクリレート系化合物及び(2)3官能以上の多官能性アクリレート系化合物の少なくとも1種ならびに臭素系樹脂を含む組成物を用いて形成される、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  4. 帯電防止層が、帯電防止剤及び熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体。
  5. 帯電防止剤が、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6−ヘプタジイン)、ポリビフェニレン(ポリパラフェニレン)、ポリパラフィニレンスルフィド、ポリフェニルアセチレン、ポリ(2,5−チエニレン)及びこれらの誘導体の少なくとも1種の導電性高分子である、請求項4に記載の光学積層体。
  6. 帯電防止層の厚みが10〜500nmである、請求項1〜5のいずれかに記載の光学積層体。
  7. 帯電防止層が、帯電防止剤及び熱可塑性樹脂を含む熱乾燥型組成物(但し、紫外線硬化型組成物を除く。)を用いて形成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の光学積層体。
  8. 前記組成物が、帯電防止層の熱可塑性樹脂に対して溶解性又は浸透性を有する溶剤をさらに含む、請求項7に記載の光学積層体。
  9. 前記積層体の断面外観において、前記高屈折率ハードコート層の断面相が、高屈折率ハードコート層から帯電防止層を介して光透過性基材中にわたり存在している、請求項1〜8のいずれかに記載の光学積層体。
  10. 干渉縞が実質的に存在しない、請求項1〜9のいずれかに記載の光学積層体。
  11. 高屈折率ハードコート層の上に、高屈折率ハードコートよりも高い屈折率を有する高屈折率層、第2低屈折率層及び防汚層の少なくとも1種の層を形成してなる、請求項1〜10のいずれかに記載の光学積層体。
  12. 反射防止用積層体として用いられる、請求項1〜11のいずれかに記載の光学積層体。
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