JP3795234B2 - ポリエステル重合体およびその成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル重合体およびその成形体に係り、さらに詳細には、透明性、成形性に優れ、調光色素の担持体として優れた特性を有するポリエステル重合体およびその成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機のフォトクロミック材料として広く使用されているのは、ハロゲン化銀を分散させたホウケイ酸ガラスやアルミノリン酸塩ガラス等である。これらの材料は、(1)繰り返し耐候性に優れる、(2)呈退色の反応が早い、(3)呈色濃度が高い、という特性を備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなフォトクロミック材料をサングラスに使用した場合には、ガラスであるため重い、度付き眼鏡レンズにした場合、呈色時の透過率がレンズの厚みに依存するため、レンズの部分による色むら(厚いところの色が濃い)が生じる、というような問題が指摘されている。
【0004】
一方、近年のプラスチックの普及に伴い、高分子眼鏡材料に適したスピロナフトオキサジン等の有機調光材料が開発されてきた。そして、この有機調光材料をレンズとして成形するためには、(ア)熱可塑性プラスチックに溶融混練する、(イ)熱または光硬化型樹脂モノマーに溶解させて重合キャストする、(ウ)レンズ上にキャスト製膜する、(エ)溶剤への浸析または高温拡散によってプラスチック成形体中に有機調光材料を付与する、というような方法が提案されている。
【0005】
その中でも、最も多く使用されているプラスチックレンズであるジエチレングリコールジアリルカーボネイトにおいては、米国特許第4286957号に示されるように、インバイブ方式と呼ばれる高温拡散法を用いることが最も有効である。ところが、ポリカーボネイトや、フルオレン系ポリエステル樹脂のような熱可塑性樹脂においては、インバイブ方式を使用することはできない。このため、該熱可塑性樹脂の上、またはラミネート層の一部に、有機調光材料を含む高分子層を設ける必要がある。このような高分子層を形成する材料として要求される特性は、上述の(1)、(2)および(3)である。しかしながら、現在使用可能な材料の中には、これらの特性を完全に満足するものは存在しないというのが実情である。また、上記米国特許第4286957号において開示されている樹脂は、屈折率が高く成形が容易であるため、眼鏡レンズに適した材料であるが、有機調光材料を担時させた場合、理由は定かではないが呈退色の反応が遅く、呈色濃度が低いという問題を有している。
【0006】
また、上述の必要特性(1)、(2)および(3)を満たす樹脂として、全脂肪族ポリウレタンが知られているが、耐熱性を向上させるためには分子量を高く(溶液粘度が高く)する必要がある。このため、上記(ウ)の方法(レンズ上にキャスト製膜する方法)で成形する際には、成形性が悪くなり、成形が困難になるというような問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑みなされたものであって、繰り返し耐候性に優れ、呈退色の反応が早く、呈色濃度が高く、キャスト成形、ラミネート成形を容易に行うことができる、有機調光材料を担時するに適したポリエステル重合体およびその成形体の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明のポリエステル重合体は以下のような構成をとる。すなわち、両末端にアルコール性水酸基を有する長鎖脂肪族化合物と、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジヒドロキシ化合物とからなることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の成形体は、上記ポリエステル重合体から成形される成形体である。
【0010】
本発明のポリエステル重合体における長鎖脂肪族化合物は、一般式(1)で示される化合物を含むものであることが好ましい。
【化2】
(nとXとの関係は、10<(n+1)X<300である。)
【0011】
また、本発明のポリエステル重合体におけるジカルボン酸は、脂環族ジカルボン酸を含むものであることが好ましく、この脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸およびトリシクロデセンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物を好適に用いることができる。
【0012】
さらに、本発明のポリエステル重合体におけるジカルボン酸としては、テレフタル酸またはイソフタル酸あるいはこれらのエステル形成性誘導体を含むものも好適である。
【0013】
また、本発明はポリエステル重合体におけるジヒドロキシ化合物が、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを含有することが必要である。
【0014】
本発明の成形体は、上記ポリエステル重合体に調光特性を有する色素を分散させた調光レンズ、調光シート、またはこれらを一部の構成要素とするレンズとすることができる。また、この色素としては、スピロナフトオキサジンまたはスピロピラン類を好適に用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル重合体は、両末端にアルコール性水酸基を有する長鎖脂肪族化合物をポリエステルに共重合することにより得られるものである。すなわち、上記長鎖脂肪族化合物の部分鎖をポリエステル中に共重合することを特徴とするものであり、ポリエステル中に長鎖脂肪族化合物の部分鎖が存在することにより、局所的な分子運動を容易にする嵩高く屈曲性に富んだ成分を導入することが可能となり、その結果、ガラス転移温度を実用範囲に保ったまま、色素の着色、消色反応を早くすることができるのである。
【0016】
両末端にアルコール性水酸基を有する長鎖脂肪族化合物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの両端にポリエステルと共重合可能な官能基を有した高分子、またはポリエーテルの両端にポリエステルと共重合可能な官能基を有した高分子を用いることができる。ここでいうポリエステルと共重合可能な官能基としては、アルコール性水酸基を挙げることができる。
【0017】
両末端にアルコール性水酸基を有する長鎖脂肪族化合物は、単独で、または混合して用いることができ、通常は、重合の初期段階から反応系に加えられるか、重合後の反応型混練でポリエステル中に導入される。
【0018】
両末端にアルコール性水酸基を有する長鎖脂肪族化合物として好ましく用いられるのは、ポリエーテルの両端にポリエステルと共重合可能な官能基を有した高分子である。その中でも、両端にアルコール性水酸基を有するポリエーテルを特に好ましく用いることができる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン等である。そして、これらの長鎖脂肪族化合物においては、分子量がその特性に影響を与えることから、分子量を考慮することが好ましい。すなわち、分子量が高すぎる場合には、相分離や、相分離と長鎖脂鎖の結晶化が起こりやすく、樹脂が白濁を引き起こすことがあり、また逆に、分子量が低すぎる場合には、局所的な分子運動を容易にするための十分な自由体積を与えることができず、調光性能が低下してしまうことがあるからである。
【0019】
両端にアルコール性水酸基を有するポリエーテルは、一般式(1)で表すことができる。
【化3】
このとき、上述したように分子量を考慮すると、例えばnとXとの関係は、好ましくは10<(n+1))X<1000、より好ましくは10<(n+1)X<500、さらに好ましくは10<(n+1)X<300である。
【0020】
また、本発明のポリエステル重合体においては、両末端にアルコール性水酸基を有する長鎖脂肪族化合物の量を考慮することが好ましい。すなわち、この量が多すぎる場合には、耐熱性の低下を引き起こすこととなり、また逆に少なすぎる場合には、調光特性が悪化するおそれがあるからである。しかして、その添加量は、ジカルボン酸成分の重量を100として、好ましくは10〜300、より好ましくは20〜200、さらに好ましくは40〜150である。
【0021】
本発明のポリエステル重合体におけるジカルボン酸は、脂環族ジカルボン酸を含むことが好ましい。脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸等の単環式脂環族ジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデセンジカルボン酸等の多環式脂環族ジカルボン酸等を挙げることができる。
【0022】
これらの脂環族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、ポリエステルに用いられるジカルボン酸エステル形成性誘導体を挙げることができ、例えばジメチルエステル、ジエチルエステル等のアルキルエステル等を挙げることができる。
【0023】
これらの脂環族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体は、それぞれ単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。脂環族ジカルボン酸の中でも、2,6−デカリンジカルボン酸が、合成しやすさ、成形性、光学特性等の点で好適である。
【0024】
本発明において用いる脂環族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体は、ジカルボン酸成分全体を100として1〜99モル%の間で任意に含有させることができる。その組成比は、目的とする樹脂や用途によって異なるが、好ましくは20〜100モル%の範囲内、より好ましくは30〜100モル%の範囲内、さらに好ましくは50〜100モル%の範囲内で用いることができる。また、耐熱性をより一層高めるためには、多環式芳香族ジカルボン酸やビフェニルジカルボン酸とともに用いることが好ましい。
【0025】
また、本発明において用いるジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸等の単環式芳香族ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸等の多環式芳香族ジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸等を挙げることができる。
【0026】
本発明において、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンが、光学特性、成形性等に優れていることから、これを用いる必要がある。
【0027】
上記9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンは、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキサイド(以下、EOと略する)を付加して得ることができる。この際、フェノールの両水酸基にEOを1分子ずつ付加した2EO付加体(9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン)の他に、さらに数分子過剰に付加した3EO付加体、4EO付加体等の不純物が含まれることがある。そこで、ポリエステル重合体の耐熱性をできるだけ高めるためには、2EO付加体の純度を85%以上とすることが好ましく、95%以上とすることがさらに好ましい。
【0028】
本発明のポリエステル重合体を溶融重合法のエステル交換法で製造するためには、上記のジヒドロキシ化合物を、樹脂中のグリコール成分(ジヒドロキシ化合物)の10〜95モル%の範囲内で含有させることが好ましい。すなわち、これを95モル%以下とすると、溶融重合反応が進みやすく、重合時間を短くすることができるからである。なお、これが95モル%よりも多い場合には、溶液重合法または界面重合法で製造することによって短時間で重合することができる。また、該ジヒドロキシ化合物の含有量を10モル%以上とすることにより、樹脂のガラス転移温度を高くすることができる。
【0029】
本発明において用いるジヒドロキシ化合物としては、上記9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン以外に通常プラスチックに用いられるものを挙げることができる。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール等の脂肪族グリコール類、シクロヘキサンジメタノール、シクロペンタンジメタノール等の脂環族グリコール類、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール等の芳香族ジオール等が挙げられるが、これらの中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好適で、特にエチレングリコールが耐熱性の面から好適である。また、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
また、必要に応じて1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−1−フェニルエタン等の主鎖および側鎖に芳香環を有するジヒドロキシ化合物、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルフォン等の主鎖に芳香環と硫黄を有する化合物、あるいはその他のジヒドロキシ化合物の少なくとも1種以上を、全ジオール成分(ジヒドロキシ化合物)の10モル%を限度として併用することもできる。
【0031】
本発明のポリエステル重合体は、例えば、エステル交換法、直接重合法等の溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等の公知の方法から適宜の方法を選択して製造することができる。また、その際の重合触媒等の反応条件についても、適宜選択して定めることができる。
【0032】
本発明のポリエステル重合体を製造するにあたり、溶液重合法、界面重合法等を採用する場合には、一般に酸成分の活性種として酸クロライドを用いたり、溶媒としてメチレンクロライド、クロロホルム等を用いたりする。その結果、ポリマー中に副生成物である塩化物や触媒化合物が残留するが、これらは製品の品質上一般的に除去することが好ましいものであるため、重合工程後に残留異物の除去をすることが好ましい。すなわち、この残留異物は、シート、フィルム、プレート、繊維等の成形工程での操業性を低下させ、得られる成形体の品質をも低下させるおそれのあるものであり、例えば高温加熱時に熱分解が多量に発生することもある。また、光学材料等に使用する際には、反射膜や記録膜等の金属薄膜をプレートや基板に蒸着、スパッタリング等の方法で固着するが、塩素分が大量に存在すると、反射膜や記録膜を腐食し、製品の寿命や信頼性を低下させることとなる。従って、十分な洗浄工程、ろ過工程というような残留異物除去工程を設けることが好ましいのである。
【0033】
本発明のポリエステル重合体を製造するにあたっては、溶融重合法を適用することが好ましい。すなわち、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン類の化合物は、末端基が脂肪族グリコールとよく似た性質を備えており、反応性が高いという長所を有している。これは、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンと比べると著しく異なるものである。このため、酸クロリドというような原料を用いる必要がなく、従って実質的に塩素が混入することなく、高温度での反応条件で触媒使用量を少なくすることができて残留異物の少ない製造方法を実現することが可能となるのである。
【0034】
本発明のポリエステル重合体には、成形する目的により滑剤、耐熱剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料等を適宜量配合することができる。また、本発明のポリエステル重合体を光学材料に供する場合には、原料の投入工程を初め、重合工程、重合体をペレット状にする工程、射出成形あるいはシート状やフィルム状に成形する工程等において、特に塵埃が混入しないように留意することにより、一層高品質のものを得ることができる。
【0035】
本発明のポリエステル重合体は、非晶性であるため、透明性にきわめて優れている。また、優れた溶融粘弾性特性を有するため、成形加工性に優れ、成形加工時に残留応力歪や分子配向が起こりにくい上、たとえそれらが残存していても、光学異方性が非常に少ないという特性を有している。従って、本発明のポリエステル重合体は、透明性材料や光学材料としてきわめて有用に用いることのできるものなのである。
【0036】
本発明の成形体は、本発明のポリエステル重合体を成形することにより得られるものであり、その方法としては、公知の成形法、例えば射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、押出成形法、加圧成形法、キャスティング成形法等の方法を適用することができる。
【0037】
本発明の成形体としてレンズを成形するにあたっては、上記の成形法の中から適合する成形法を選択すればよい。例えば、調光特性を有する色素としての調光剤を含む層をレンズ上に形成する場合には、あらかじめ適当な溶剤に調光剤と樹脂を溶かし、レンズ上にスピンキャスト、ディッピング法等で当該溶液を展開し、それを乾燥した後、溶剤を除去する方法を採用することができる。なお、ディッピング法を用いる場合には、適当な溶剤に調光剤と樹脂を溶かし、その中にレンズを浸し、適当な速度で引き上げることにより、当該層を形成することができる。
【0038】
また、薄いレンズの間に本発明のポリエステル重合体からなる層を設ける場合には、あらかじめ射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、押出成形
法、加圧成形法等によって調光剤を含むフィルムを作り、適当な接着剤を用いて2枚のレンズ間に貼りつける方法を採用することができる。
【0039】
本発明の成形体に用いる調光特性を有する色素としては、スピロナフトオキサジンまたはスピロピランを使用することが好ましい。例えば、学会出版センターの「有機フォトクロミズムの化学」(1996年No28)に記載されている化合物等を使用することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、重合体のガラス転移温度および調光特性は以下に示す方法で測定した。
【0041】
1.ガラス転移温度示差走査熱量計(理学電気DSC−8230)に試料約10mgを用い、10℃/minの昇温速度で加熱して測定を行った。JIS K 7121−1987に準拠してガラス転移温度Tgを求めた。
【0042】
2.調光特性フォトクロミックフィルムの着色には、100W高圧水銀灯に300nm以下のカットフィルターを取り付けたものを用いた。吸光度の測定には、島津製作所製分光光度計UV−2400PCを使用し、この着色光源によるフォトクロミックフィルムの着色時の吸光度変化を測定した後、暗所に放置して消色時の吸光度変化を測定した。
【0043】
実施例1
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチルエステル50g(0.2モル)に対して、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン35g(0.08モル)、エチレングリコール27.3g(0.44モル)を原料とし、平均分子量1000のポリテトラヒドロフラン50g、触媒として酢酸カルシウム28mg、酢酸マンガン10mgを用い、これらを反応槽に投入し、撹拌しながら常法に従って190℃から245℃に徐々に加熱してエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを系外へ抜き出した後、重合触媒である酸化ゲルマニウム0.012モルと、着色を防止するため、リン酸トリメチルエステル0.0018モルとを投入し、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレングリコールを抜きながら、加熱槽温度を280℃、真空度を1Torr以下に到達させた。この条件を維持し、粘度の上昇を待ち、所定の攪拌トルクに到達後(約2時間後)反応を終了し、反応物を水中に押し出してペレットを得た。
【0044】
実施例2〜7、比較例1〜5
原料組成比を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様の操作でペレットを製造し、同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から明らかなように、実施例のポリエステル重合体は、すべてが白濁のない均一透明なものとなっている。また、比較例3のもののように、ポリテトラヒドロフランの量が多すぎるものにおいては、白濁は生じないものの、ガラス転移温度が低く、耐熱性に劣ることが確認された。
【0047】
実施例8
実施例1で得られたペレットを減圧下で乾燥させ、トルエン/2−ブタノン=4/6の混合溶媒中にポリマー濃度が23%になるように溶解させた。このポリマー溶液10gにJAMES−ROBINSON社製フォトクロミック色素Sea Green0.046gを溶解し、ポリマー・色素溶液を調製した。この溶液を用いてポリエチレンテレフタレート基板上にスピンキャスト法にてフォトクロミックフィルムを製膜した。これらのフィルムについて調光特性を測定した。
【0048】
比較例6〜8
比較例6として全脂肪族ポリウレタン、比較例7として実施例1においてポリテトラヒドロフランを使用しない樹脂、比較例8として典型的なバインダーであるポリスチレンを準備し、それぞれについて調光特性を測定した。その結果を図1および図2に示す。図1は呈色反応、図2消色反応を示している。吸光度はフィルム1マイクロメートルあたりに換算し、相対強度は吸光度の最大値で割った値で表わしている。
【0049】
【発明の効果】
以上述べた通り、本発明のポリエステル重合体は、繰返し耐候性に優れ、呈退色の反応が早いとともに呈色濃度が高く、キャスト成形、ラミネート成形を容易に行うことができるものである。また、本発明の成形体は、透明性材料、光学材料として要求される特性をすべて備えたきわめて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例6〜8の調光特性の測定結果を示す図であり、呈色反応を示している。
【図2】実施例1および比較例6〜8の調光特性の測定結果を示す図であり、消色反応を示している。

Claims (8)

  1. 両末端にアルコール性水酸基を有する長鎖脂肪族化合物と、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを10〜95モル%含有するジヒドロキシ化合物とからなることを特徴とするポリエステル重合体。
  2. 請求項1記載の長鎖脂肪族化合物が、一般式(1)で示される化合物を含むポリエステル重合体。
    (nとXとの関係は、10<(n+1)X<300である。)
  3. ジカルボン酸が、脂環族ジカルボン酸を含む請求項1または2記載のポリエステル重合体。
  4. 請求項3記載の脂環族ジカルボン酸が、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸およびトリシクロデセンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物であるポリエステル重合体。
  5. ジカルボン酸が、テレフタル酸またはイソフタル酸あるいはこれらのエステル形成性誘導体を含む請求項1または2記載のポリエステル重合体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル重合体から成形されてなる成形体。
  7. 請求項6記載の成形体が、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル重合体に調光特性を有する色素を分散させた調光レンズ、調光シート、またはこれらを一部の構成要素とするレンズである成形体。
  8. 請求項7記載の色素が、スピロナフトオキサジンまたはスピロピラン類である成形体。
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