JP4164963B2 - 樹脂組成物、光学用素子、及び光学用非球面レンズ - Google Patents

樹脂組成物、光学用素子、及び光学用非球面レンズ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂組成物及び光学用素子に関し、特に非球面レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスティックはその軽量性、割れ難さ、安全性から光学製品に広く用いられている。例えば、眼鏡、カメラ、フィルム一体型カメラ(レンズ付きフィルム)、ビデオカメラ等の各種カメラ、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、CD−Video、MO、DVD等の光ピックアップ装置、複写機及びプリンター等のOA機器といった各種機器等に使用される高性能光学用レンズには、従来、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボナート(PC)、シクロポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が用いられ、これら熱可塑性樹脂を用いて射出成形されたプラスティックレンズ等が上記光学製品の一部または全部に使用されていることが知られている。更に、上記ディスク類の基盤や、液晶ディスプレイの導光板、プリズム等にも広範囲の分野で用いられている。これら樹脂は、理想的には成形性が良く、光学異方性(複屈折)が小さく、高屈折率であることが求められているが、これらの性質全てを満足することは困難とされて来た。一般に、これらの性質のうちの屈折率は、芳香環を素材に導入することにより高めることが出来ることは知られている(例えば、ポリカーボナート樹脂)が、その結果樹脂(高分子)分子が配向し易く、射出成形する際、光学異方性(複屈折)が強まり光学製品として不向きとなるという背反する関係があったため、その両立が求められていた。
【0003】
上記問題を解決するため光学異方性が小さく、且つ、高屈折率の素材として、特開平7−198901号(フルオレンポリエステル)、同8−109249号(フルオレンポリエステル)、同9−302077号(フルオレンポリエステル)、同8−160222号(フルオレンポリカーボナート)、同5−215902号(フルオレンアクリル架橋重合体)、同6−287230号(フルオレンジアリル化合物架橋重合体)公報等に記載にあるようにフルオレン骨格を含む樹脂、またそれらを使用した光学用レンズ用途等の提案がある。しかしながら、充分に高い屈折率樹脂を得るには不十分であったり、架橋重合体しか出来なかったり、用途に限定がある。
【0004】
一方、屈折率を高める手段として、多数のハロゲン原子を素材に導入する方法やイオウ原子を素材に導入する方法等が知られている。イオウ原子を有する高分子物質を用いた光学製品の例として、特開平3−56525号(ポリイソシアナート/ポリチオール架橋重合体)、同5−208950号(ポリイソチオシアナート、ポリイソシアナートとポリメルカプト化合物との架橋性重合体)、同8−208795号(ポリイソシアナート、ポリチオイソシアナートとポリメルカプト化合物との架橋重合体)または、同10−319201号(イソシナヌレート化したポリイソシアナートとポリオールまたはポリチオールとの架橋重合体)公報等に高屈折率の光学材料としての記載があるが、架橋性重合体の場合射出成形が出来ず用途が限られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高屈折率であり、透明性に優れており、光学的異方性が小さく、耐熱性を有する等優れた光学性能を有する高屈折率且つ低複屈折を有する樹脂組成物を提供することにあり、第2の目的はこれらの高屈折率且つ低複屈折を有する樹脂組成物を使用した光学用素子、特に光学用非球面レンズを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高い屈折率を有し、溶融成形性に優れ光学的異方性が小さく、透明であり、且つ耐熱性のある樹脂組成物及びこの組成物を用いる光学用レンズの研究を鋭意行った結果、芳香族の比率を高く、且つ立体障害性の大きいフルオレン化合物の高分子化により成形時分子配向し難い構造を有する重合体を見出し、更にこの重合体がイオウ原子を分子内に有することにより更に高屈折率且つ低複屈折化可能で耐熱性の向上が得られる重合体を得ることに成功し、本発明の目的を達成することが出来た。
【0007】
本発明は以下の構成よりなる。
【0008】
(1) 下記一般式(I)で表されるフルオレン化合物とポリイソチオシアナート化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリアシルクロリド化合物、ポリジチオアシル化合物、ポリスルホニルクロリド化合物、ホスゲン化合物及びチオホスゲン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物との、イオウ原子を繰り返し単位中に少なくとも1個有する重縮合または重付加重合体を含有する光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0009】
【化3】
Figure 0004164963
【0010】
式中、XとYは−O−、−S−、−NH−または−NR′−で、XとYが同じでも異なっていてもよく、R′はアルキル基、Rは2価の連結基、mは0または1、Xはベンゼン環のいずれかの位置に結合されている。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、水素原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表し、それぞれが同じ基であっても別の基であってもよく、該R1〜R8は、少なくともアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、オキシカルボニルオキシアルキルチオ基、アルキルアミノスルホニル基及びアリールアミノスルホニル基の何れかの基を有する。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、ハロゲン原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表し、それぞれが同じ基であっても別の基であってもよい。
【0011】
(2) 前記重縮合または重付加重合体が線状重合体であることを特徴とする(1)に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0012】
(3) Xが2つのベンゼン環のそれぞれの4′位に結合していることを特徴とする(1)または(2)に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0013】
(4) Rが炭素原子数2〜4のアルキレン基であることを特徴とする(1)乃至(3)の何れか1項に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0014】
(5) R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の何れかがアルキルチオ基、アリールチオ基及びオキシカルボニルオキシアルキルチオ基から選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする(1)乃至(4)の何れか1項に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0015】
(6) R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の何れかが2つのベンゼン環の3′位または5′位に結合していることを特徴とする(5)に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0016】
(7) 下記一般式(II)で表される縮合環を有するフルオレン化合物とポリイソチオシアナート化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリアシルクロリド化合物、ポリアシルエステル化合物、ポリチオアシル化合物、ポリスルホニルクロリド化合物、ホスゲン化合物及びチオホスゲン化合物から選ばれる少なくとも1種の反応性化合物との重縮合または重付加重合体を含有する光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0017】
【化4】
Figure 0004164963
【0018】
式中、LとMはそれぞれ、ナフタレン環、アントラセン環から選ばれる縮合環を表し、XとYは−O−、−S−、−NH−または−NR′−で、XとYが同じでも異なっていてもよく、R′はアルキル基、Rは2価の連結基、mは0または1、Xは縮合環のいずれかの位置に結合されている。また、(RanはR1、R2、R3、R4、R5、・・・Rnで、縮合環の置換位置に結合する複数の置換基を示し、縮合環がナフタレン環の場合は、nは6であり、該縮合環がアントラセン環の場合は、nは8であり、R1、R2、R3、R4、R5、・・・Rnは水素原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表し、該R1〜Rnは、少なくともアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、オキシカルボニルオキシアルキルチオ基、アルキルアミノスルホニル基及びアリールアミノスルホニル基の何れかの基を有する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、ハロゲン原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表し、それぞれが同じ基であっても別の基であってもよい。
【0019】
(8) 前記重縮合または重付加重合体が線状重合体であることを特徴とする(7)に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0020】
(9) Rが炭素原子数2〜4のアルキレン基であることを特徴とする(7)または(8)に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0021】
(10) (Ranの何れかがアルキルチオ基、アリールチオ基及びオキシカルボニルオキシアルキルチオ基から選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする(7)乃至(9)の何れか1項に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
【0022】
(11) (1)〜(10)に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物を用いて光学用非球面レンズを製造する方法であって、成形温度が230〜350℃である光学用非球面レンズの製造方法。
【0024】
以下に本発明を詳述する。
【0025】
ここで、フルオレン化合物の炭素の置換基位置の番号付けについて述べておく。フルオレン環は下記のように二つのベンゼン環を結ぶメチレンが9位であり、一般式(I)のフルオレン環の9位に結合しているフルオレン化合物の二つのベンゼン環の何れの置換基位置も1′、2′、3′、4′、5′及び6′位として表す。一般式(II)のフルオレン環の9位に結合している縮合環がナフタレン環の場合、下記のように、1′、2′、3′、4′、5′、6′、7′及び8′位とし、また縮合環がアントラセン環の場合には、1′、2′、3′、4′、5′、6′、7′、8′、9′及び10′位とする。
【0026】
【化5】
Figure 0004164963
【0027】
本発明の上記一般式(I)で示されるフルオレン化合物を有する重縮合または重付加重合体は、イオウ原子を重合体の繰り返し単位に少なくとも1個有するもので、そのイオウ原子を有する繰り返し単位を全体の10モル%以上有していることが好ましい。フルオレン環とイオウ原子との存在が耐熱性、高屈折率且つ低複屈折を更に発現させる。
【0028】
本発明の樹脂組成物は前述の重縮合または重付加重合体を含有するものであって、好ましくは、該重縮合または重付加重合体を50重量%以上含有するものである。
【0029】
本発明の重縮合または重付加重合体は線状重合体であっても、架橋重合体であってもよいが、成形性を有する線状重合体が好ましい。
【0030】
本発明の重縮合または重付加重合体は、上記一般式(I)で表されるフルオレン化合物とポリイソチオシアナート化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリアシルクロリド化合物、ポリチオアシル化合物、ホスゲン化合物及びチオホスゲン化合物から選ばれる少なくとも1種の反応性化合物との重合物である。これらの反応性化合物は2種以上組み合わせてもよい。
【0031】
一般式(I)において、フルオレン環の9位に結合している二つのベンゼン環には、被反応性基として末端−X−H(mが0の場合)、または−Y−H(mが1の場合)を有しており、それらは水酸基、メルカプト基またはアミノ基あるいはイミノ基であり、二つのベンゼン環それぞれに1個以上(1個のフルオレン化合物に付き2個以上)結合している。Xはベンゼン環の何れの位置に結合していてもよいが、4′位に結合しているのが好ましい。mが1の場合、上記一般式(I)に示したようにベンゼン環に直接結合しているX(−O−、−S−、−NH−または−NR′−)を介して−YHに連結されているRは、置換基として特に限定されないが、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基等の2価の連結基で、連結が出来る連結基なら制限なく使用出来るが、炭素原子数2〜8のアルキレン基が好ましく、特に炭素原子数2〜4のアルキレンが好ましい。このアルキレンは直鎖でも分岐していてもよい。
【0032】
一般式(I)において、フルオレン環の9位に結合している二つのベンゼン環に結合するR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、置換基として特に限定はないが、水素原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表す。ここで、イオウ原子含有基としては、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、ヘテロ環チオ基(オキサゾールチオ基、チアゾールチオ基等)、アルキルスルフィニル基(メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル基、置換フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基等)ヘテロ環スルフィニル基(オキサゾールスルフィニル基、チアゾールスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、置換フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルホンアミド基(メチルスルホンアミド基、エチルスルホンアミド基等)、アリールスルホンアミド基(フェニルスルホンアミド基、置換フェニルスルホンアミド基、ナフチレンスルホンアミド基等)、ヘテロ環スルホンアミド基(オキサゾールスルホンアミド基、チアゾールスルホンアミド基等)、オキシカルボニルオキシアルキルチオ基(オキシカルボニルオキシエチルチオ基、オキシカルボニルオキシブチル基等)、アルキルアミノスルホニル基(メチルアミノスルホニル基、プロピルアミノスルホニル基等)、アリールアミノスルホニル基(フェニルアミノスルホニル基、置換フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基等)等を挙げることが出来る。アラルキル基、置換アルキル基としては、アルキル基で直鎖でも分岐があってもよい。これらのうちアルキルチオ基、アリールチオ基及びオキシカルボニルオキシアルキルチオ基が好ましい。また、アルキルアミノカルボニル基(例えば、エチルアミノカルボニル基)、オキシカルボニルアルキル基(例えば、オキシカルボニルメチル基)、アリールアミノカルボニル基としては、置換、未置換のフェニル基、ナフチル基のアミノカルボニル基を挙げることが出来る。本発明において、上記置換基のうち、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、オキシカルボニルオキシアルキルチオ基、アルキルアミノスルホニル基及びアリールアミノスルホニル基から選ばれる少なくとも1つの基を有していることが好ましく、更にはアルキルチオ基、アリールチオ基及びオキシカルボニルオキシアルキルチオ基から選ばれる少なくとも1つの基を有していることが特に好ましい。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれが同じ基であっても別の基であってもよく、それぞれがベンゼン環の2′位、3′位、4′位、5′位または6′位の何れかに結合していればよいが、ベンゼン環の3′位(または5′位)に結合していることがより好ましく、これらを導入することによって更に屈折率を高めることが出来る。また、また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はフルオレン環の置換基で、それらの置換基の種類としてはR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8と同様であるが、その種類は同一であっても、別ものであってもよい。 また、本発明において、上記のハロゲン原子またはイオウ原子含有基以外のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8とR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、特に置換基として限定されないが、上記の如き水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ニトロ基、シアノ基等の何れかが結合してあり、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
本発明の前記一般式(II)において、L及びMはフルオレン環の9位に結合している縮合環を有しており、縮合環としては、ナフタレン環、アントラセン環、ベンゾアントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、ピレン環等を挙げることが出来るが、ナフタレン環及びアントラセン環が好ましい。
【0034】
本発明の縮合環を有するフルオレン化合物の置換基には、被反応性として末端−X−H(mが0の場合)、または−Y−H(mが1の場合)が水酸基、メルカプト基またはアミノ基あるいはイミノ基をそれぞれの縮合環に1個ずつ(1個のフルオレン化合物に付き2個)結合して有しており、Xは縮合環の何れの位置に結合していてもよい。(RanはX以外の縮合環の結合位置に結合する置換基を表し、縮合環を構成するベンゼン環の個数をcとするとnは2(c+2)であり、(RanはR 1 、R 2 、R 3 、R4、R5、・・・Rnで、水素原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、ハロゲン原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基を表し、それぞれが同じ基であっても別の基であってもよい。なお、X以外の置換基については、一般式(I)において詳細に記述したものと同様である。
【0035】
本発明に有用なフルオレン化合物の合成例を下記に示す。
【0036】
[フルオレン化合物の合成]
[9,9−ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレンの合成]
9,9―ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、BPEF)439gをクロロホルム5000mlに溶解し、この溶液を氷冷して約5℃の溶液とした。ここに、N−ブロモ琥珀酸イミド360gを少量ずつ(反応液温度が15℃を越えないように)添加し、全量添加後、室温で3時間撹拌した。反応液を分液ロートに移し、水1000mlで3回洗浄した後、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を濃縮乾固し、得られた固体をエタノールで再結晶することにより、白色結晶の9,9−ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}511gを得た。収率は86%であった。なお、構造は1HNMRスペクトル、IRスペクトル、FD−マススペクトルにより同定した。
【0037】
[9,9−ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−ヒドロキシエチルチオ)フェニル}フルオレン合成]
9,9−ビス(3′−ブロモ−4′−メルカプトフェニル)フルオレン300gをジメチルスルホオキシド(以降、DMSOと略す)1500mlに溶解し、トリエチルアミン38mlを加えた後、溶液を加熱還流した。ここに、エチレンオキシド80gをDMSO100mlに溶解した溶液を30分で滴下し、全量添加後、100℃で6時間加熱した。反応溶液を分液ロートに移し、水2000mlで三回洗浄した後、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無機塩を濾過した後、溶液を濃縮乾固し、トルエン−テトラヒドロフラン混合液で再結晶することにより、白色固体の9,9−ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−ヒドロキシエチルチオ)フェニル}フルオレンを264gを得、収率は72%であった。なお、構造は1HNMRスペクトル、IRスペクトル、FD−マススペクトルにより同定した。
【0038】
[9,9−ビス{3′−フェニルチオ−4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレンの合成]
DMSO300mlにベンゼンチオール119.0gを溶解させた溶液を水浴で冷却し、この溶液中へDMSO200mlにナトリウムエトキシド81.0gを溶解させた溶液を30粉で滴下した。次にこの溶液を9,9−ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン300gをDMSO1500mlに溶解した溶液に30分で滴下し、100℃で5時間加熱した。反応溶液を分液ロートに移し、水2000mlで3回線上した後、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無機塩を濾過した後、溶液を濃縮歓呼し、トルエンテトラヒドロフラン混合液で再結晶することにより、白色固体の9,9−ビス{3′−フェニルチオ−4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレンを241.1gを得、収率は82%であった。なお、構造は1HNMRスペクトル、IRスペクトル、FD−マススペクトルにより同定した。
【0039】
[9,9−ビス〔2′−{6′−(2″−メルカプトエトキシ)ナフタリン}〕フルオレンの合成]
9,9−ビス{2′−(6′−ヒドロキシナフタリン)}フルオレン300gをDMSO1500mlに溶解し、トリエチルアミン47mlを加えた後、溶液を加熱還流した。ここに、エチレンスルフィド96.8gをDMSO100mlに溶解した溶液を30分で滴下し、全量添加後、100℃で6時間加熱した。反応溶液を分液ロートに移し、水2000mlで3回洗浄した後、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無機塩を濾過した後、溶液を濃縮乾固し、トルエン−テトラヒドロフランで再結晶することにより、白色固体の9,9−ビス{2′−(6′−ヒドロキシナフタリン)}フルオレンを325.0g得、収率は85%だった。なお、構造は1HNMRスペクトル、IRスペクトル、FD−マススペクトルにより同定した。
【0040】
下記に本発明に使用できるフルオレン化合物を例示するが、これらに限定されない。
【0041】
前記一般式(I)及び(II)で表されるフルオレン化合物としては、9,9−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−メチルフェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−エチルフェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−プロピルフェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジエチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3′−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−4′−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−4′−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3′−ヒドロキシ−4′−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−4′−メチル−5′−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3′−ヒドロキシ−4′,5′−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−4′,5′−ジエチルフェニル)フルオレン、9−(4′−ヒドロキシフェニル)−9−(4′−ヒドロキシメトキシフェニル)フルオレン、9−(4′−ヒドロキシフェニル)−9−(4′−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン、9−(4′−ヒドロキシフェニル)−9−(4′−ヒドロキシプロトキシフェニル)フルオレン、9−{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−9−{4′−(3″−ヒドロキシプロトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−メチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ジメチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−エチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ジエチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−プロピルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ジプロピルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−イソプロピルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ジイソプロピルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−(n)ブチル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ジ−(n)ブチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−イソブチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ジイソブチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−(1″−メチルプロピル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ビス(1″−メチルプロピル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−フェニル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ジフェニル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′−ベンジルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)−3′,5′−ジベンジルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(3″−ヒドロキシプロポキシ)−3′−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4′−(4″−ヒドロキシブトキシ)−3′−フェニル}フルオレン及び
【0042】
【化6】
Figure 0004164963
【0043】
【化7】
Figure 0004164963
【0044】
【化8】
Figure 0004164963
【0045】
【化9】
Figure 0004164963
【0046】
【化10】
Figure 0004164963
【0047】
【化11】
Figure 0004164963
【0048】
【化12】
Figure 0004164963
【0049】
【化13】
Figure 0004164963
【0050】
【化14】
Figure 0004164963
【0051】
【化15】
Figure 0004164963
【0052】
【化16】
Figure 0004164963
【0053】
【化17】
Figure 0004164963
【0054】
【化18】
Figure 0004164963
【0055】
等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
【0056】
本発明に使用するフルオレンのオキシエトキシ化合物を合成する際に、フェノール性−OHにエチレンオキシドを付加させる場合、合成する過程あるいは精製する過程で残る不純物として、1個の−OHに1個のエチレンオキシドが付加したものばかりでなく、2個以上が付加したものも生成してしまうが、エチレンオキシド1個の付加物が85モル%以上、好ましくは95モル%以上である。フェノール性−OHにエチレンスルフィド、チオフェノール性−SHにエチレンオキシドまたはエチレンスルフィドを付加させるケースも同様である。
【0057】
本発明に使用するポリチオシアナート化合物としては、1,2−エチレンジチオシアナート、1,3−プロピレンジチオシアナート、1,4−ブチレンジチオシアナート、1,5−ペンチルジチオシアナート、1,6−ヘキシルジチオシアナート、1,7−ヘプチルジチオシアナート、1,8−オクチルジチオシアナート、p−フェニレンジチオシアナート、m−フェニレンジチオシアナート、2,4−トルイルジチオシアナート、m−キシリレン−2,5−ジチオシアナート、1,4−ナフチレンジチオシアナート、2−6−ナフチレンジチオシアナート、p−ジメチルフェニレンジチオシアナート、シクロヘキシレンジチオシアナート、p−フェニレンジイソプロピリデンジチオシアナート、4,4′−ジチオシアナートベンゾフェノン、ジフェニルエーテル−4,4′−ジチオシアナート、ジフェニルアミン−4,4′−ジチオシアナート、ジフェニルスルフィド−4,4′−ジチオシアナート、2,4,6−トリイソチオシアナート−1,3,5−トリアジン、チオビス(3−イソチオシアナートプロパン)、チオビス(2−イソチアシアナートエタン)、1−イソチアシアナート−4−{(2−イソチアシアナート)スルホニル}ベンゼン、チオビス(4−イソチアシアナートベンゼン)等、ポリイソシアナート化合物としては、1,2−エチレンジイソシアナート、1,3−プロピレンジイソシアナート、1,4−ブチレンジイソシアナート、1,5−ペンチルジイソシアナート、1,6−ヘキシルジイソシアナート、1,7−ヘプチルジイソシアナート、1,8−オクチルジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、1,4−ナフチレンジイソシアナート、2,6−ナフチレンジイソシアナート、p−ジメチルフェニレンジイソシアナート、シクロヘキシレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソプロピリデンジイソシアナート、4,4′−ジイソシアナートベンゾフェノン、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルアミン−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルスルフィド−4,4′−ジイソシアナート、2,4,6−トリイソシアナート−1,3,5−トリアジン、チオビス(3−イソシアナートプロパン)、チオビス(2−イソシアナートエタン)、1−イソシアナート−4−{(2−イソシアナート)スルホニル}ベンゼン、チオビス(4−イソシアナートベンゼン)等、ポリアシルクロリド化合物としては、琥珀酸ジクロリド、グルタル酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、ピメリン酸ジクロリド、スベリン酸ジクロリド、アゼライン酸ジクロリド、セバチン酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド、フタル酸ジクロリド、ナフタレンジカルボン酸等、ジチオアシル化合物としては、エチレンジチオ酸ジクロリド、ブチレンチオ酸ジクロリド、トリメシン酸トリクロリド、ピロメリト酸テトラクロリド等、ポリスルホニルジクロリド化合物としてはm−ベンゼンスルホニルジクロリド、p−ベンゼンスルホニルジクロリド等、ホスゲン化合物としては、ホスゲン、エチレンビスクロルギ酸エステル、p−フェニレンジイソプロピリデンビスクロルギ酸エステル等、またチオホスゲンとしては、チオホスゲン、エチレンビスクロルチオエステル等を挙げることが出来るが、特に化合物としては限定されるものではない。上記化合物は市販品を使用することが出来る。
【0058】
本発明に有用な一般式(I)及び(II)の線状の重縮合または重付加重合体の製造方法は、通常のジイソシアナート化合物、ジチオイソシアナート化合物、酸クロリド化合物、ホスゲン等の重縮合または重付加方法と同様に、溶液反応または界面反応、相間移動触媒存在下における二相系反応等で行うことが出来る。また、界面活性剤としては四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、クラウンエーテル等の何れかまたは併用して用いても良い。
【0059】
以下に、前記フルオレン化合物と前記反応性化合物を用いて重縮合または重付加反応を行い、重合体を製造する方法を若干の例をもって示す。
【0060】
[重縮合または重付加反応による重合体の製造]
〔ポリチオウレタン重付加反応によるP−1の製造〕
9,9―ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン65.3g及びp−フェニレンジイソチオシアナート19.2gを500mlの酢酸エチルに溶解し、更に触媒としてp−トルエンスルホン酸3.0gを加え、5時間加熱環流した。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、分液ロートに移して水300mlで3回洗浄したのち、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を濃縮乾固し、無色のポリチオウレタンP−1を62.0g得た。収率は98%であった。
【0061】
〔ポリチオウレタン重付加反応によるP−2の製造〕
9,9−ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−メルカプトエチルチオ)フェニル}フルオレンを72.7g及びp−フェニレンジイソチオシアナートを19.2g、500mlの酢酸エチルに溶解し、さらに触媒としてp−トルエンスルホン酸3.0gを加え、5時間加熱環流した。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、分液ロートに移して水300mlで3回洗浄したのち、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を濃縮乾固し、無色のポリチオウレタンP−2を83.6g得た。収率91%であった。
【0062】
〔ポリチオエステル重縮合反応によるP−3の製造〕
脱水テトラヒドロフラン4000ml中へ脱水ピリジン595mlを加え、氷浴により溶液を冷却した。この溶液中へ脱水テトラヒドロフラン1000mlで溶解したテレフタル酸クロリド300gを滴下した。この溶液に脱水テトラヒドロフラン1000mlで溶解した9,9−ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−ヒドロキシエチルチオ)フェニル}フルオレンを978g加え、8時間加熱還流した。溶液を冷却後、ピリジン塩酸塩を濾取し、テトラヒドロフランを減圧除去した。得られた残査をクロロホルムに溶解し、メタノール中へゆっくり滴下することで再沈澱させた。得られた固形分を濾取、乾燥し949gのポリチオエステルP−3を得た。収率は81%であった。
【0063】
〔ポリチオカーボナート重縮合反応によるP−4の製造〕
9,9−ビス{3′−フェニルチオ−4′−(2″−ヒドロキシエチルチオ)フェニル}フルオレン500gと水2000mlに溶解させた水酸化ナトリウム152g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド17gを塩化メチレン1500ml中へ加え、この溶液中へ塩化メチレン500mlにビスフェノールAビスクロロホルメート268gを溶解させた溶液を滴下した。反応溶液を室温で二時間攪拌した後、分離した有機層を10%塩酸2000mlで洗浄、更に水2000mlで2回水洗した。この塩化メチレン溶液をメタノール中へ注入し、析出したポリマーを濾過した後、メタノールにより洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリチオカーボナートP−4を580g得た。収率は88%であった。
【0064】
〔ポリジチオカーボナート重縮合反応によるP−5の製造〕
9,9―ビス{3′−メチルチオ−4′−(2″−メルカプトエトキシ)フェニル}フルオレン500gと水2000mlに溶解させた水酸化ナトリウム137g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド17gを塩化メチレン1500ml中へ加え、この溶液中へ塩化メチレン500mlにホスゲン113gを溶解させた溶液を滴下した。反応溶液を20℃で2時間攪拌した後、分離した有機層を10%塩酸2000mlで洗浄、更に水2000mlで2回水洗した。この塩化メチレン溶液をメタノール中へ注入し、析出したポリマーを濾過した後、メタノールにより洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリジチオカーボナートP−5を521g得た。収率は85%であった。
【0065】
〔ポリトリチオカーボナート重縮合反応によるP−6の製造〕
9,9−ビス{3′−ブロモ−4′−(2″−メルカプトエトキシ)フェニル}フルオレン500gと1モルの水酸化ナトリウム3400mlに溶解したテトラブチルアンモニウムブロミド64.7gを塩化メチレン2800ml中へ加え、更に塩化メチレン500mlに溶解したチオホスゲン97gを滴下した。反応溶液を20℃で3時間攪拌した後、分離した有機層をメタノール中へ注入し、析出したポリマーを濾過した後、メタノールにより洗浄し、40℃で減圧乾燥しポリトリチオカーボナートP−6を416g得た。収率は85%であった。
【0066】
〔ポリチオイソシアナート重付加反応によるP−7の製造〕
3,6−ジメチルチオ−9,9−{4′−(2″−メルカプトエチルチオ)フェニル}フルオレン300gと無水アニソール130mlを溶解した溶液に、氷冷して撹拌しながらテトラメチレンジイソシアナート66.5gを440mlの無水アニソールに溶かした溶液の95%を滴下ロートから30分かけて添加する。滴下終了後、油浴上で60〜70℃に30分加熱する。次いで、残りの5%のジイソシアナート溶液を加え、油浴の温度を150℃に保ち、3.5時間撹拌しながら反応させる。内容物を縁の広い容器に流し、濾過し、アルコールで充分に洗浄する。次いで、抽出器を用い、エタノールを溶媒として低分子オリゴマーを熱抽出する。減圧乾燥して、無色のポリチオイソシアナートP−7を326g得た。収率は88%であった。
【0067】
〔ポリチオカーボナート重縮合反応によるP−8の製造〕
9,9−ビス{3′−メチル−4′−ヒドロキシフェニル}フルオレン322gとビスフェノールAビスクロロホルメート354gとをP−4と同様に重縮合させ、分離した有機層を10%塩酸2000mlで洗浄、更に水2000mlで2回水洗した。この塩化メチレン溶液をメタノール中へ注入し、析出したポリマーを濾過した後、メタノールにより洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリチオカーボナートP−8を530g得た。収率は88%であった。
【0068】
〔ポリチオエステル重縮合反応によるP−9の製造〕
9,9−ビス{4′−ヒドロキシフェニル}フルオレン294gとチオテレフタル酸ジクロリド235gとを、P−3と同様に反応、精製し、ポリチオエステルP−9を355g得た。収率は48%であった。
【0069】
P−10〜18について同様に製造出来るので、重縮合あるいは重付加反応方法は省略する。ここで、nは重合体を表し、n1、n2は重量比を表す。
【0070】
製造(重縮合あるいは重付加)方法については、大津隆行・木下間雅悦共著、「高分子合成の実験法」(1996年)化学同人発行、を参考することが出来る。
【0071】
本発明のフルオレン化合物と反応性化合物からの重縮合または重付加線状重合体の例を含み化合物例を下記にP−1〜18として記載するが、これらに限定されない。
【0072】
【化19】
Figure 0004164963
【0073】
【化20】
Figure 0004164963
【0074】
【化21】
Figure 0004164963
【0075】
【化22】
Figure 0004164963
【0076】
【化23】
Figure 0004164963
【0077】
【化24】
Figure 0004164963
【0078】
本発明の樹脂組成物は、本発明の上記重縮合または重付加重合体の成形の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂、酸化防止剤、滑り剤、耐熱剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤等を混合してもよい。
【0079】
本発明において混合して使用し得る他の樹脂としては、屈折率が如何なるものでもよいが、出来るだけ高屈折率または低複屈折のものがよく、芳香環を有する、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリノルボルネン樹脂、ポリフェニレンスルフィド、水酸基を有するフルオレン化合物とジカルボン酸とのポリエステルや水酸基を有するフルオレン化合物とホスゲン更にビスフェノールAとの共重縮合カーボナート等の熱可塑性樹脂を適度に混合してもよい。この場合、本発明の重縮合または重付加重合体と融点や流動性等が類似しているものが好ましい。
【0080】
本発明の樹脂組成物を溶融して成形する際の、酸化、熱変質や熱分解を防止するために、酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、耐熱性を付与出来る酸化防止剤であれば制限なく使用出来る。下記に例を示す。
【0081】
AON−1:Irganox 1010(チバ・ガイギー社製)
AON−2:Etanox(エチル・コーポレーション社製)
AON−3:Tinuvin 770(チバ・ガイギー社製)
AON−4:Irgafos(チバ・ガイギー社製)
AON−5:DLTDP:(アメリカン・シアナミド社製)
AON−6:Naugard XLI(ユニロイヤル・ケミカルス社製)
AON−7:Irganox MD 1024(チバ・ガイギー社製)
【0082】
【化25】
Figure 0004164963
【0083】
【化26】
Figure 0004164963
【0084】
本発明の上記重縮合または重付加重合体に、上記添加物、例えば酸化防止剤を混合することによって、重縮合または重付加重合体を調製する。成形する温度によっては、重縮合または重付加重合体100%で組成物として成形してもよが、酸化防止剤を添加するのが好ましい場合もある。酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤の添加量は重縮合または重付加重合体に対して重量で0.01〜10%で、好ましくは0.1〜5%、更に好ましくは0.5〜3%である。
【0085】
本発明の樹脂組成物を調製する方法は、均一に混合出来る方法であれば制限無く使用出来る。例えば、単なる固体(粉体)の混合機であればよい。本発明の重縮合または重付加重合体を後に安定した状態で、成形するためには、必要以上の加熱を避け、乾燥を充分に行い、混合機に導入するのが好ましい。混合機としては、リボン型、ヘリカル型、パドル型、スクリュー型等を挙げることが出来るが、特に制限なく使用出来る。また乾燥中あるいは混合中は空気を出来る限り排除し、窒素ガスのごとき不活性ガスで常に充満させておくのが好ましい。また粉体の形のまま成形機に供給してもよいが、一旦本発明の組成物をペレット状に固形化した方が好ましい。また、真空にまたは減圧出来る乾燥機が更に好ましい。ペレット化は、組成物を溶融してペレットにしてもよいし、錠剤のように固めたものでもよい。いずれにしても、本発明の組成物を変化させない(変質、変色、酸化、分解等をさせない)ことが重要である。
【0086】
本発明の樹脂組成物が適している光学素子としては、例えば、顕微鏡、眼鏡、望遠鏡、カメラ、VTRなどの光学用レンズ、導光板、プリズムシートなどのバックライト光学系、プロジェクターなどの照明光学系、CD、DVDなどの光ディスク基盤やピックアップレンズ、特にVTR、あるいはデジタルスチルカメラ(DSC)、レンズシャッターカメラ、フィルム一体型カメラ(レンズ付きフィルム)、ビデオカメラ等の各種カメラ、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、CD−Video、光磁気ディスク、DVD、DVD−RAM、DVD−ROM、DVD−RW、DVD+RW、スーパーオーディオ等の光ピックアップ装置、複写機及びプリンター等のOA機器といった各種機器等に使用される高性能光学用レンズ、及びディスク基盤、プリズム、導光板等の光学用素子、特に、非球面レンズに適した性能を与えることが出来る。これらの成形物は射出成形のような樹脂を溶融状態にして金型に注入する方法、あるいは、熱硬化性樹脂の場合には、金型に反応性化合物、被反応性化合物、架橋性化合物等を液体状で注入する方法が採られる。本発明の好ましい方法は、前者の射出成形である。
【0087】
本発明の樹脂組成物を用いる光学用レンズは、従来公知の成形法、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、圧縮成形、真空成形、トランスファー成形法、ブロー成形法、押出成形法、加圧成形法、キャスティング成形法等の方法により得る事が出来る。量産性の点から射出圧縮成形法が好ましく、射出圧縮成形機による成形は、樹脂温度、金型温度、保持圧力(保圧)等の成形条件を適正に選定することにより光学歪みの小さいプラスティックレンズが容易に得られる。このような成形条件、特に成形温度は、樹脂組成、重合度等によって異なり一概に規定出来ないが、樹脂温度は、使用各樹脂のガラス転移温度+150℃程度高く、具体的には230〜350℃、好ましくは240〜300℃である。金型温度は、ガラス転移温度あるいはそれより20℃低い温度、好ましくは2〜10℃低い温度が好ましく、具体的には100〜250℃、好ましくは120〜230℃である。
【0088】
成形されたプラスティックレンズの精度は、寸法精度と表面特性によって表され、これらの精度が悪いと光学歪みが大きくなるが、本発明の樹脂組成物は非晶性であるので、透明性に優れ、また、優れた溶融粘弾性特性を有するので成形加工性に優れ、成形加工時に残留応力歪、分子配向が起こり難く、光学異方性が極めて少ないという特性を有している。
【0089】
射出成形において、成形キャビティに樹脂を充填する経路であるゲートに対して光学素子形状が対称の場合は、樹脂がゲートを通過して充填される時の樹脂流、射出圧力や保圧、これらに伴う樹脂内部の応力等もゲートに対して対称に発生するため、複屈折も同様に光学素子を光軸から見た場合に、ゲートに対してほぼ対称に発生する。これは一般的には、複屈折は光学性能に対して非点収差として顕れる。
【0090】
本発明の樹脂組成物による光学用レンズの複屈折の位相角は−40〜0〜+40°であり、好ましくは−30〜0〜+30°である。本発明の樹脂組成物が高屈折率のため光学面が緩い曲率で構成し得るから、その分レンズの縁厚を厚く取れば、ゲート寸法を一回り大きくすることが可能である。本発明の樹脂の高屈折率は1.60以上であり、好ましくは1.65以上、更に1.70以上が好ましい。このように、本発明の樹脂組成物は高屈折率且つ低複屈折を有していることが特徴である。ちなみに、本発明の樹脂組成物によりつくられる非球面レンズの非点収差は0〜15mλ、好ましくは0〜10mλである。
【0091】
また、本発明の樹脂組成物はMFRが大きく流動性が良好である上、充填時にゲートで受けるせん断力は、従来の樹脂より小さくすることが出来る。しかも、光学的異方性の少ない樹脂組成物であるから、このように、それぞれの屈折率に応じた光学設計を個別に行って比較すると、従来の樹脂よりも優位な光学素子を作り出すことが出来る。
【0092】
本発明の樹脂組成物を光学用素子に供する際、原料の投入工程を初め、重合工程、重合体をペレット状にする工程、射出成形やシート状あるいはフィルム状に成形する工程等、塵埃が混入しないように留意する必要があり、通常の高性能光学用レンズの場合はクラス10000以下、更に高度な情報記録用の場合はクラス1000以下のクリーン度が好ましい。
【0093】
また、本発明の重縮合または重付加重合体が架橋重合体である場合は、通常の注型重合により光学製品、眼鏡用のレンズ、プリズム等を製造することが出来る。具体的には、フルオレン化合物と反応性化合物を混合し、この混合液を必要に応じ適当な方法で脱泡を行い、モールド中に注入し、通常、0〜50℃程度の低温から100〜180℃程度の高温に徐々に昇温しながら重合させる。この際、重合後の離型性を容易にするために、モールドに公知の離型処理を施しても差し支えない。
【0094】
本発明の線状の重縮合または重付加重合体は、高屈折率且つ低複屈折を有し、且つ射出成形性、複屈折性、耐熱性、透明性に優れ、その組成物は光学素子として有用であり、特に非球面形状のレンズに最適である。また架橋重合体は、例えば、鋳型に重合前に仕込み、加熱して架橋重合させることによって、眼鏡等の光学製品に使用出来る。
【0095】
本発明の光学用レンズの表面に種々の目的で各種コート層が設けられていてもよい。光透過率を高める為に反射防止層を設けることが出来る。更に、プラスティックレンズの表面の傷防止の為にハードコート層を設けてもよい。反射防止膜としては、単層であっても、屈折率の異なる薄膜を積層して得られる多層膜であってもよく、反射率の低減されるものであれば、無機物でも有機物でも可能である。しかし、表面の硬度や干渉縞の防止を重視するためには、無機物から成る単層、または多層の反射防止膜を設けることが最も好ましい。使用できる無機物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、フッ化マグネシウム等の酸化物あるいはフッ化物を挙げることが出来る。イオンプレーティング、真空蒸着、スパッタリング等のいわゆるPVD法によって施すことも出来る。ハードコート層の好ましい例として下記(イ)、(ロ)を主成分とするコーティング組成物を塗布硬化させたものを挙げることが出来る。(イ)少なくとも一種以上の反応性基を有するシラン化合物の一種以上。(ロ)酸化珪素、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化アルミニウム等の金属酸化物微粒子、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニア、酸化珪素、酸化鉄のうち二つ以上を用いた複合金属酸化物微粒子及び酸化スズと酸化タングステンの複合金属微粒子で微粒子酸化スズを被覆した複合金属微粒子から選ばれる一種以上。(ロ)はハードコート層の屈折率を調整し、かつ、硬度を高めるために有効な成分である。ハードコート層の厚みは通常0.2〜10μm程度がよい。より好ましくは1〜3μm程度である。
【0096】
【実施例】
以下本発明の態様を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
実施例1
本発明の重縮合または重付加重合で得られた樹脂と下記の比較樹脂C−1〜4(本発明の樹脂と同様に重縮合または重付加を行った)を表1に示した組成で99重量部と酸化防止剤1重量部を、設定温度140℃、窒素ガス加圧下で、バンバリー型ミキサー(モリヤマ(株)製、MS−0.5型)に仕込み一定回転で3時間混合し、つづいて、ペレタイザーでペレット化し冷却して樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物ペレットを使用前に真空乾燥機で3時間乾燥した後、空気に触れないように射出成形機(住友重機械工業(株)製、SH50)を用いて、下記の条件(ある一つの条件、屈折率nが1.61の場合の例)で、成形品として2mmのDVD用両面非球面ピックアップ対物レンズ用金型に射出成形した。下記にレンズの概略図を示した。図1はDVD用両面非球面ピックアップ対物レンズの側面見取り図である。図中、1はDVD用両面非球面ピックアップ対物レンズ、2はDVD用ディスク、3はDVD用両面非球面ピックアップ対物レンズの非球面側の面を表し第1面及び面番号1とし、4は同裏側の面を表し第2面及び面番号2とする。また図中、5はDVDディスクの透明基盤のレンズ側の面を表し面番号3とし、DVDディスクの透明基盤の裏側の面6を面番号4とする。更に図中、7は光軸、8は入射光を表す。
【0098】
【化27】
Figure 0004164963
【0099】
Figure 0004164963
Figure 0004164963
ここで、dは各面と面との面間距離で、面番号1のdは面番号1と同2との距離、つまりDVD非球面ピックアップレンズの最も厚い所の距離で、面番号2のdは面番号2と同3との距離、つまり第2面とディスクの表側との距離でその間は空気であり、面番号3のdは面番号3と同4のディスクの透明基盤の厚さである。rは各面の曲率半径、nは各面の屈折率である。K、AiはDVD非球面ピックアップレンズの下記非球面形状式の係数Xを定めたものであり、Kは円錐係数、Aiはi次の非球面を表す。
【0100】
【数1】
Figure 0004164963
【0101】
〔測定方法、評価方法〕
実施例における光学用レンズの屈折率nd、光学異方性(複屈折の位相角)、全光線透過率は以下に示す方法で測定した。
【0102】
〈屈折率〉
アッベ屈折率計(アタゴ社製の商品名2T)を用いて、厚さ3mm、直径30mmの測定片の屈折率を測定した。
【0103】
〈全光線透過率〉
厚さ3mm、直径30mmの測定片の400〜850nm領域の光透過率を、可視紫外分光光度計(日立自記分光光度計)で測定した。
【0104】
〈光学異方性〉
厚さ3mm、直径30mmの測定片を作製し、自動複屈折測定機(コニカ製)で位相差(nm)を測定した。(成形時の溶融樹脂の流動性を示している)
〈外観の評価〉
レンズを光にかざし、またはレンズを50個透明の樹脂の容器に入れ、透明性や着色を観察した。評価は言葉で表す。
【0105】
評価の結果を下記表1に示す。
【0106】
【表1】
Figure 0004164963
【0107】
(結果)
図1のように、DVD用両面非球面ピックアップ対物レンズは中心部と周辺部の厚み差が大きく、射出成形時のゲート寸法がレンズの大きさの割に、小さくしなけらばならず、成形によって複屈折が発生し易い形状であるが、本発明の樹脂組成物は高い流動性と低い光学異方性を有しており、熱可塑性状態における流動製が極めてよく、金型のキャビティ(空洞)に樹脂を充填した後の、保圧がキャビティの末端までよく伝わり分子配向による複屈折が起こらず、高屈折率且つ低複屈折の優れた光学特性を有した非球面レンズを得ることが出来た。屈折率も1.70付近、あるいは1.70以上で非常に高屈折率で、しかも複屈折も+36以下と小さい。これに対して比較の樹脂は、高屈折率が低く、しかも流動性が悪く複屈折の値が非常に大きく、光学用レンズ、特に非球面レンズとして不向きであることが分かった。
【0108】
【発明の効果】
本発明の樹脂は、屈折率が1.60以上のものであるが、ほとんどのものが1.70付近あるいはそれ以上と高屈折率で、且つ、光学的異方性が小さく(複屈折が小さい)、非球面レンズの成形に適した産業上利用価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】DVD用両面非球面ピックアップ対物レンズの側面見取り図である。
【符号の説明】
1 DVD用両面非球面ピックアップ対物レンズ
2 DVD用ディスク
7 光軸
8 入射光

Claims (11)

  1. 下記一般式(I)で表されるフルオレン化合物とポリイソチオシアナート化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリアシルクロリド化合物、ポリジチオアシル化合物、ポリスルホニルクロリド化合物、ホスゲン化合物及びチオホスゲン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物との、イオウ原子を繰り返し単位中に少なくとも1個有する重縮合または重付加重合体を含有する光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
    Figure 0004164963
    式中、XとYは−O−、−S−、−NH−または−NR′−で、XとYが同じでも異なっていてもよく、R′はアルキル基、Rは2価の連結基、mは0または1、Xはベンゼン環のいずれかの位置に結合されている。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、水素原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表し、それぞれが同じ基であっても別の基であってもよく、該R1〜R8は、少なくともアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、オキシカルボニルオキシアルキルチオ基、アルキルアミノスルホニル基及びアリールアミノスルホニル基の何れかの基を有する。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、ハロゲン原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表し、それぞれが同じ基であっても別の基であってもよい。
  2. 前記重縮合または重付加重合体が線状重合体であることを特徴とする請求項1に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
  3. Xが2つのベンゼン環のそれぞれの4′位に結合していることを特徴とする請求項1または2に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
  4. Rが炭素原子数2〜4のアルキレン基であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
  5. 1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の何れかがアルキルチオ基、アリールチオ基及びオキシカルボニルオキシアルキルチオ基から選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
  6. 1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の何れかが2つのベンゼン環の3′位または5′位に結合していることを特徴とする請求項5に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
  7. 下記一般式(II)で表される縮合環を有するフルオレン化合物とポリイソチオシアナート化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリアシルクロリド化合物、ポリアシルエステル化合物、ポリチオアシル化合物、ポリスルホニルクロリド化合物、ホスゲン化合物及びチオホスゲン化合物から選ばれる少なくとも1種の反応性化合物との重縮合または重付加重合体を含有する光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
    Figure 0004164963
    式中、LとMはそれぞれ、ナフタレン環、アントラセン環から選ばれる縮合環を表し、XとYは−O−、−S−、−NH−または−NR′−で、XとYが同じでも異なっていてもよく、R′はアルキル基、Rは2価の連結基、mは0または1、Xは縮合環のいずれかの位置に結合されている。また、(RanはR1、R2、R3、R4、R5、・・・Rnで、縮合環の置換位置に結合する複数の置換基を示し、縮合環がナフタレン環の場合は、nは6であり、該縮合環がアントラセン環の場合は、nは8であり、R1、R2、R3、R4、R5、・・・Rnは水素原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表し、該R1〜Rnは、少なくともアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、オキシカルボニルオキシアルキルチオ基、アルキルアミノスルホニル基及びアリールアミノスルホニル基の何れかの基を有する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、ハロゲン原子、イオウ原子含有基、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基の何れかを表し、それぞれが同じ基であっても別の基であってもよい。
  8. 前記重縮合または重付加重合体が線状重合体であることを特徴とする請求項7に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
  9. Rが炭素原子数2〜4のアルキレン基であることを特徴とする請求項7または8に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
  10. (Ranの何れかがアルキルチオ基、アリールチオ基及びオキシカルボニルオキシアルキルチオ基から選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10に記載の光学用非球面レンズ用樹脂組成物を用いて光学用非球面レンズを製造する方法であって、成形温度が230〜350℃である光学用非球面レンズの製造方法。
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