JP2007238883A - 光学物品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は高屈折率で透明性に優れ、光学異方性が小さい硫黄含有樹脂により形成される光学物品(例えば、眼鏡レンズ、各種光学機器用レンズ(ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ等)、マイクロレンズアレイ、プリズム、プリズムシート、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、LEDの封止剤等)に関する。
従来ガラスの独壇場であった光学物品も、近年では経済性、易成型性、耐破損性、軽量性等の特徴に優れるプラスチック材料への置き換えが進んでいる。例えば、デジタルカメラ用レンズ、携帯電話用レンズ、CD、ブルーレイ用ピックアップレンズに代表される光学レンズ、ディスク類の基盤、導光板、プリズムシート等では、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、あるいはシクロオレフィンポリマーの利用が進んでいる。また眼鏡レンズにおいては、硫黄含有樹脂の導入も進んでいる。
一方で、光学物品用の樹脂材料については、高屈折率、高透明、低複屈折のすべての要求を十分に満たす材料は未だ提供されるに至っておらず、光学設計の自由度を広げる意味からも特性の向上が求められているのが現状である。
高屈折率の樹脂材料としては、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(特許文献1〜6など)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(特許文献7)等が提案されている。また、高屈折率と低光学異方性の両立に対する試みとして、フルオレン骨格および硫黄原子含有ポリマーが提案されている(特許文献8)。さらに、芳香族ポリカーボネートを低複屈折化する技術としてスピロ構造の導入も提案されている(特許文献9)。
特開2002−131502号公報
特開平10−298287号公報
特開平3―56525号公報
特開平5―208950号公報
特開平8―208975号公報
特開平10―319201号公報
特開2004−244444号公報
特開2001−106761号公報
特開2000−298876号公報
しかしながら、上記の試みにおいてもなお、高屈折率、高透明、低光学異方性、易成形成等のプラスチックレンズに求められる特性を十分に満足する材料は存在しなかった。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い屈折率、優れた透明性、低い光学異方性を有する光学物品を提供することにある。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い屈折率、優れた透明性、低い光学異方性を有する光学物品を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の構造単位を含む樹脂を用いることにより従来技術の課題を解決しうることを見出した。すなわち、課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される構造単位を少なくとも1種類含む樹脂により形成された光学物品。
[2] 前記樹脂が、一般式(1)に対応するジチオール化合物と1分子中にチオールによる付加あるいは置換が可能な反応性基を2つ以上有する化合物との重付加体あるいは重縮合体であることを特徴とする[1]に記載の光学物品。
[3] 前記反応性基を2つ以上有する前記化合物がポリイソシアネート化合物またはポリイソチオシアネート化合物であることを特徴とする[2]に記載の光学物品。
[4] 前記構造単位が、下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光学物品。
[5] 前記光学物品がプラスチックレンズであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光学物品。
本発明の光学物品は、屈折率が高く、透明性に優れ、かつ光学異方性が低い。
以下において、本発明の光学物品について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<樹脂材料>
本発明の光学物品は、一般式(1)で表される部分構造を少なくとも1種類含む樹脂を用いて形成されているところに特徴がある。以下、一般式(1)についてさらに詳しく説明する。
本発明の光学物品は、一般式(1)で表される部分構造を少なくとも1種類含む樹脂を用いて形成されているところに特徴がある。以下、一般式(1)についてさらに詳しく説明する。
一般式(1)における環αは、芳香環を含む環を表し、2つの環はスピロ結合によって結合している。2つの環αは同じであっても異なっていてもよい。また、環αは、単環式であっても多環式であってもよく、また、置換基を有していても有していなくてもよい。
環αの例としては、インダン環誘導体、インダノン環誘導体、クロマン環誘導体、ジヒドロベンゾフラン環誘導体、ジヒドロベンゾチオフェン環誘導体等が挙げられるが、好ましくは、インダン環誘導体、クロマン環誘導体またはジヒドロベンゾフラン環誘導体であり、特に好ましくはインダン環誘導体である。
Lは2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪族の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜5の脂肪族の連結基を表す。例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基、チオエチレン基、チオブチレン基、アミノメチレン基、アミノブチレン基、カルボニレン基等が挙げられ、より好ましくはオキシエチレン基、オキシブチレン基等のオキシアルキレン基またはチオエチレン基、チオブチレン基等のチオアルキレン基であり、特に好ましくはチオアルキレン基である。2つのLは同一であっても異なっていてもよい。
nは0または1を表し、0であることが好ましい。2つのnは同一であっても異なっていてもよい。
環αの例としては、インダン環誘導体、インダノン環誘導体、クロマン環誘導体、ジヒドロベンゾフラン環誘導体、ジヒドロベンゾチオフェン環誘導体等が挙げられるが、好ましくは、インダン環誘導体、クロマン環誘導体またはジヒドロベンゾフラン環誘導体であり、特に好ましくはインダン環誘導体である。
Lは2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪族の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜5の脂肪族の連結基を表す。例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基、チオエチレン基、チオブチレン基、アミノメチレン基、アミノブチレン基、カルボニレン基等が挙げられ、より好ましくはオキシエチレン基、オキシブチレン基等のオキシアルキレン基またはチオエチレン基、チオブチレン基等のチオアルキレン基であり、特に好ましくはチオアルキレン基である。2つのLは同一であっても異なっていてもよい。
nは0または1を表し、0であることが好ましい。2つのnは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)で表される部分構造のより好ましい例として、一般式(2)〜(4)で表される構造が挙げられる。
一般式(2)中、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R13はそれぞれ独立に置換基を表す。また、R11〜R13で表わされるそれぞれの置換基は連結して環を形成してもよい。pおよびqはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくは0である。mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数を表す。
好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基である。R11、R12のより好ましい例は水素原子、メチル基、フェニル基であり、R13のより好ましい例は水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、アリル基、エチニル基である。L,nは一般式(1)と同じ意味を表し、具体例と好ましい例も同じである。
好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基である。R11、R12のより好ましい例は水素原子、メチル基、フェニル基であり、R13のより好ましい例は水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、アリル基、エチニル基である。L,nは一般式(1)と同じ意味を表し、具体例と好ましい例も同じである。
一般式(3)中、R31はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R32はそれぞれ独立に置換基を表す。また、R31、R32で表わされるそれぞれの置換基は連結して環を形成してもよい。R31の好ましい例としては、一般式(2)におけるR11の好ましい例として列挙した基を挙げることができ、R32の好ましい例としては、一般式(2)におけるR13の好ましい例として列挙した基を挙げることができる。pおよびqはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくは0である。L,nは一般式(1)と同じ意味を表し、具体例と好ましい例も同じである。Xは酸素原子または硫黄原子を表す。
一般式(4)中、R21はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。また、R21、R22で表わされるそれぞれの置換基は連結して環を形成してもよい。R21の好ましい例としては、一般式(2)におけるR11の例として列挙した基を挙げることができ、R22の好ましい例としては、一般式(2)におけるR13の好ましい例として列挙した基を挙げることができる。pおよびqはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくは0である。L、nは一般式(1)と同じ意味を表し、具体例と好ましい例も同じである。Xは酸素原子または硫黄原子を表す。
一般式(1)で表される部分構造を有する樹脂は、当該部分構造を有するジチオール誘導体を原料モノマーの1種に用い、1分子中にチオールによる付加・置換が可能な反応性基を2つ以上有する化合物を共重合モノマーとして用いて重合させた重合体であることが好ましい。
一般式(1)で表される部分構造を有するジチオール誘導体は、例えばスピロビインダン骨格を有するジオール(例えば米国特許3,544,638号公報、特開昭62−10030号公報などに記載の方法で合成できる)、スピロビクロマン骨格を有するジオール(例えばJournal of Chemical Society,111巻,4953ページ(1989年)、特開昭62−130735号公報記載の方法で合成できる)、スピロビベンゾフラン骨格を有するジオール(例えば特開2005−225996号公報記載の方法で合成できる)を用いて、Journal of Polymer Science, PartA: Polymer Chemistry (2001), 39(7), 1040−1050または特開2002−338540号公報記載の方法に準じて水酸基をメルカプト基に変換するなどの手法により合成することができる。
チオールによる付加が可能な、反応性基としては、イソシアナート基、イソチオシアナート基、ビニル基、アクリロイル基等の不飽和基、エポキシ基、エピスルフィド基等が挙げられる。チオールによる置換が可能な反応性基としては、活性化アシル基(アシルクロライド、アシルブロマイド等のアシルハライド、フェノキシカルボニル基、アセトキシカルボニル基等の活性エステル基)、活性スルホニル基(たとえばスルホニルクロライド、フェニルスルホネート等)、ハライド(例えばフルオライド、アイオダイド等)が挙げられる。
これらの基が1分子中に2つ以上存在する化合物と、上記ジチオール化合物と、成型性等の観点からこれら以外のモノマー成分とを適宜加えて重合させることにより、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂を合成することができる。本発明で用いる樹脂における硫黄原子の割合は、1〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
本発明で用いる樹脂は、射出成型に適した熱可塑性樹脂であっても、反応させながら成型する成型方法に適した硬化性樹脂であっても構わない。
射出成型に適した熱可塑性樹脂の場合には、上記ジチオールとチオールによる付加・縮合が可能な2つの官能基を有する上記モノマーの重縮合体または重付加体であることが好ましく、ポリチオウレタン、ポリチオエステル、ポリチオカーボネート、ポリチオエーテル等が例として挙げられる。
これらの樹脂の製造方法については、「高分子合成の実験法」大津隆行・木下雅悦著、化学同人編(1996年)に記載された方法を適用することができる。
以下に本発明で用いられる好ましい熱可塑性樹脂の例を示すが、本発明で用いることができる樹脂はこれらに限定されるものではない。
本発明で用いられる上記熱可塑性樹脂の数平均分子量は千〜500万の範囲であることが好ましく、5千〜100万の範囲であることがより好ましく、1万〜50万の範囲であることがより好ましい。耐熱性と成型性の観点からガラス転移温度は80℃〜280℃であることが好ましく、100℃〜250℃であることがより好ましく、120℃〜230℃であることが特に好ましい。
硬化性樹脂としては、上記ジチオール誘導体とチオールと反応性を有する官能基を1分子中に3つ以上有する化合物(例えば3官能以上のポリイソシアネート化合物、ポリイソチオシアネート化合物、ポリアシルクロライド、ポリスルホニルクロライド、ポリエポキシ、ポリエピスルフィド化合物、ポリビニル化合物、ポリ(メタ)アクリロイル化合物)を混合したものが好ましいが、上記熱可塑性樹脂に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等の硬化性基が導入されたプレポリマーであってもよい。
以下に硬化性樹脂の具体例を、モノマーの組み合わせの形態で例示する。本発明で用いることができる硬化性樹脂はこれらに限定されるものではない。
<添加物>
(1)硬化触媒
硬化性樹脂には適宜反応機構に応じた硬化促進剤を共存させてもよい。
熱によって付加反応を促進する硬化促進剤として、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの無機ブレンステッド酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機ブレンステッド酸類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等のルイス酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミンなどの有機塩基類;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩などを利用することができる。
(1)硬化触媒
硬化性樹脂には適宜反応機構に応じた硬化促進剤を共存させてもよい。
熱によって付加反応を促進する硬化促進剤として、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの無機ブレンステッド酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機ブレンステッド酸類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等のルイス酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミンなどの有機塩基類;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩などを利用することができる。
熱によってラジカル反応を促進する硬化促進剤として、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾおよびジアゾ化合物等を用いることができる。具体的には、有機過酸化物として、過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド等;無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等;アゾ化合物として、2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等;ジアゾ化合物として、ジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
光によって付加反応を促進する硬化促進の例として、活性エネルギー線の作用により酸あるいは塩基を発生する化合物を挙げることができる。
活性エネルギー線の作用により酸を発生する化合物については、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号公報等に種々の例が記載されており、これら公知の化合物を適宜選択して使用することができる。具体的には、RSO3 -(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、BF4 -等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類が挙げられる。活性エネルギー線の作用で塩基を発生する化合物も公知のものを使用することができ、具体的にはニトロベンジルカルバメート類、ジニトロベンジルカルバメート類等を挙げることができる。
活性エネルギー線の作用によってラジカル反応を促進する化合物としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
これらの活性エネルギー線の作用により硬化を促進する化合物を添加する場合には、照射光波長の光を効率的に利用するために増感色素も併用することができる。
上記、硬化促進剤、増感色素の最適添加量は、硬化反応の種類、触媒種、加熱温度、あるいは光を照射する場合には照射波長によってもまちまちであるが、光学物品形成組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。
(2)その他添加物
本発明の光学物品に用いられる樹脂組成物は目的に応じて、適宜その他の樹脂とブレンドしてもよい。ブレンドされる樹脂材料は熱可塑性であっても、硬化性樹脂であってもよい。
本発明の光学物品に用いられる樹脂組成物は目的に応じて、適宜その他の樹脂とブレンドしてもよい。ブレンドされる樹脂材料は熱可塑性であっても、硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂として、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物などが挙げられるが、本発明で添加することができる熱可塑性樹脂はこれらに限定されるものではない。
前記樹脂のガラス転移点温度(Tg)は100℃以上であることが好ましい。
これら樹脂の例として(括弧内はTgを示す)、ポリカーボネート樹脂(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン樹脂(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃、JSR(株)製 アートン:170℃)、ポリアリレート樹脂(PAr:200℃)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES:220℃)、ポリスルホン樹脂(PSF:190℃)、ポリエステル樹脂(例えば鐘紡(株)製 O−PET:125℃、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の実施例1の化合物:162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂(BCF−PC:特開2000−227603号公報の実施例−4の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート樹脂(IP−PC:特開2000−227603号公報の実施例−5の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の実施例−1の化合物:300℃以上)等が挙げられる。
本発明の樹脂にブレンドされる樹脂として、耐溶剤性、耐熱性などの観点から架橋樹脂も好ましく用いることができる。架橋樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。その他架橋方法としては共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。ただし、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
活性エネルギー線線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂、カチオン硬化性樹脂に大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法として、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
本発明に用いられる上記樹脂は単独で用いても、複数種を混合して用いてもよく、さらに上記で挙げた本発明の樹脂にブレンド可能な樹脂についても、複数種を混合して用いてもよい。
さらに本発明では上記以外にも本発明の効果を損なわない範囲において、可塑剤、染顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、無機微粒子、離型剤、レベリング剤、および潤滑剤などの各種添加剤(樹脂改質剤)を添加することもできる。これらの樹脂改質剤の添加量は目的に応じて、適宜選択されるが、全固形分に対して、0.01〜10質量%の範囲で添加されるのが一般的であり、好ましくは0.1〜5質量%程度である。
<成型>
本発明の光学物品を光学レンズのような成型物とする方法には特に制限はなく、公知の技術(射出成型法、射出圧縮成型法、圧縮成型法、真空成型法、注型重合法、トランスファー成型法、ブロー成型法、押出成型法、加圧成型法、キャスティング成型法等)を利用できる。熱可塑性樹脂の場合には樹脂を溶融状態にして、金型に注入した後、冷却して型から取り外す射出成型法により製造されるのが一般的であり、硬化性樹脂の場合には熱硬化型が好ましく、ガラスまたは金属製の型に反応性化合物を含む原料の混合物を注入し、重合硬化させた後に型を取り外す注型重合法で製造されるのが一般的である。
本発明の光学物品を光学レンズのような成型物とする方法には特に制限はなく、公知の技術(射出成型法、射出圧縮成型法、圧縮成型法、真空成型法、注型重合法、トランスファー成型法、ブロー成型法、押出成型法、加圧成型法、キャスティング成型法等)を利用できる。熱可塑性樹脂の場合には樹脂を溶融状態にして、金型に注入した後、冷却して型から取り外す射出成型法により製造されるのが一般的であり、硬化性樹脂の場合には熱硬化型が好ましく、ガラスまたは金属製の型に反応性化合物を含む原料の混合物を注入し、重合硬化させた後に型を取り外す注型重合法で製造されるのが一般的である。
主原料、副原料はあらかじめ脱気・乾燥を十分に行ない、同一容器内に同時に添加して攪拌下で混合してから金型に注入することが好ましいが、各原料を段階的に添加混合してから金型内に注入してもよく、また数成分を別々に混合後、同一容器内で再度混合してから金型内に注入してもよい。混合機としては、リボン型、ヘリカル型、パドル型、スクリュー等が挙げられるが特に制約はない。原料は粉体のまま成型機に導入してもよいが、一旦ペレット化してから導入してもよい。
熱可塑成樹脂の射出成型の場合、樹脂温度は樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも150℃程度高くすることが望ましく、実際には200〜380℃の温度範囲が好ましく、230〜350℃程度の温度範囲にすることがより好ましい。金型温度は、Tg〜(Tg−20)℃程度の温度が好ましく、(Tg−2)℃〜(Tg−10)℃の温度範囲にすることがより好ましく、具体的には、80〜300℃が好ましく、より好ましくは100〜250℃程度の温度である。
熱硬化性樹脂を硬化させる場合には、硬化時間は通常1分〜100時間、好ましくは1〜48時間であり、硬化温度は通常30〜350℃、好ましくは50〜300℃、より好ましくは80〜250℃である。硬化終了後に50〜200℃程度の温度で1分〜5時間程度のアニール処理を行うことが、本光学物品の光学異方性を低減する目的からも好ましい。
熱硬化樹脂の場合、上記混合は、通常−10〜150℃程度、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは−5〜50℃の温度範囲で、通常1分〜5時間程度、好ましくは5分〜2時間、より好ましくは5分〜30分程度の時間で行なわれる。
熱硬化樹脂の場合、上記混合は、通常−10〜150℃程度、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは−5〜50℃の温度範囲で、通常1分〜5時間程度、好ましくは5分〜2時間、より好ましくは5分〜30分程度の時間で行なわれる。
本発明において樹脂組成物をフィルムまたはシート形状に成形する方法としては公知の方法が採用できるが、溶液流延法、押出成形法(溶融成型法)が好ましい方法として挙げられる。
溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、米国特許2367603号、米国特許2492078号、米国特許2492977号、米国特許2492978号、米国特許2607704号、米国特許2739069号、米国特許2739070号、英国特許640731号、英国特許736892号の各明細書、特公昭45−4554号、特公昭49−5614号、特開昭60−176834号、特開昭60−203430号、特開昭62−115035号の各公報に記載がある。樹脂溶液は、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましく、特に、金属支持体温度は10〜20℃であることが好ましい。
溶液流延法にて製造する製造装置の例としては、特開2002−189126号公報、段落番号0061〜0068、図1、図2に記載の製造装置などが例として挙げられるが、本発明で用いることができる製造装置はこれらに限定されるものではない。
溶液流延法にて製造する製造装置の例としては、特開2002−189126号公報、段落番号0061〜0068、図1、図2に記載の製造装置などが例として挙げられるが、本発明で用いることができる製造装置はこれらに限定されるものではない。
溶液流延法において使用する溶媒は、本発明の樹脂を溶解するものであればいずれの種類を用いても構わないが、特に25℃において固形分濃度10質量%以上溶解できる溶媒を用いることが好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは150℃以下のものである。沸点が高い場合、溶媒の乾燥が不十分となり、フィルム中に残存する恐れがある。
本発明において好ましく用いられる溶媒として、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられるが、本発明で用いることができる溶媒はこれらに限定されるものではない。
また、溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
混合溶媒の例として、塩化メチレンに炭素数1〜5のアルコールを一種ないし数種混合した溶媒が挙げられ、この場合、アルコールの含有量は溶媒全体に対し5〜20質量%が好ましい。さらに、それぞれ炭素数3〜12のエーテル、ケトンおよびエステルの適宣混合した溶媒が好ましい例として挙げられ、この際炭素数1〜5のアルコールを一種ないし数種混合してもよい。
また、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)段落6に記載の有機溶媒の例なども好ましい例として挙げられる。
混合溶媒の例として、塩化メチレンに炭素数1〜5のアルコールを一種ないし数種混合した溶媒が挙げられ、この場合、アルコールの含有量は溶媒全体に対し5〜20質量%が好ましい。さらに、それぞれ炭素数3〜12のエーテル、ケトンおよびエステルの適宣混合した溶媒が好ましい例として挙げられ、この際炭素数1〜5のアルコールを一種ないし数種混合してもよい。
また、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)段落6に記載の有機溶媒の例なども好ましい例として挙げられる。
溶液流延に用いる溶液中の樹脂濃度は、通常5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。樹脂の濃度が低すぎると粘度が低くなって厚さの調節が困難になることがあり、高すぎると製膜性が悪くてムラが大きくなることがある。
溶液流延する方法は特に限定されないが、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターブレード、ロールコート、ダイコート等を用いて平板、またはロール上に流延することができる。
溶媒を乾燥する温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、2段階に分けて乾燥することが好ましい。第一段階としては30〜100℃で溶媒の質量濃度が10%以下になるまで、より好ましくは5%以下になるまで乾燥する。次いで、第二段階として平板またはロールからフィルムを剥がし、60℃以上、樹脂のガラス転移温度以下の範囲で乾燥する。
平板またはロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、いったん冷却してから剥がしてもよい。
平板またはロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、いったん冷却してから剥がしてもよい。
押出成型法の条件は、一般的な光学樹脂に用いられる条件と同様であり、溶融温度としては、上記射出成型法で好ましい範囲が使用される。
本発明の光学物品は、樹脂に活性エネルギー線硬化性の化合物が含まれている場合には、上記のように成型を行なった後あるいは成型中に、活性エネルギー線を照射することによって重合を促進させることもできる。
活性エネルギー線としては、電子線、α線、β線、γ線などの電離活性エネルギー線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波などが挙げられるが、本発明では、取扱いが容易で照射効率がよいことから紫外線、または電子線がより好ましく、特に好ましくは電子線である。電子線を照射する場合の照射条件は、照射線量が通常1〜80Mrad、好ましくは5〜60Mrad、より好ましくは10〜40Mradの範囲で、加速電圧が通常50〜500KV、好ましくは100〜400KV、特に好ましくは150〜300KVの範囲である。
<光学物品>
本発明の光学物品の屈折率(Nd)は、1.65以上であることが好ましく、1.67以上であることがより好ましく、1.69以上であることが特に好ましい。
本発明の光学物品の全光透過率は80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは87%以上である。
本発明の光学物品の面内方向のレタデーションは、25nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。
本発明の光学物品の屈折率(Nd)は、1.65以上であることが好ましく、1.67以上であることがより好ましく、1.69以上であることが特に好ましい。
本発明の光学物品の全光透過率は80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは87%以上である。
本発明の光学物品の面内方向のレタデーションは、25nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。
本発明の光学物品は各種プラスチックレンズ(眼鏡レンズ、カメラレンズ、双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ、プロジェクターレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、fθレンズ、ヘッドランプレンズ、ピックアップレンズ、またはファインダーレンズなど、球面および非球面レンズを含む)、ディスク基盤、導光板、プリズムシート、光導波路等に用いることができる。
すなわち、本発明の光学物品は、そのものだけで独立して使用価値を有する光学品とすることもできるし、他の物品と組み合わせたうえで有用な光学品とすることもできる。後者の場合、組み合わせるべき他の物品の種類や構造は特に制限されない。例えば、反射防止膜、ハードコート層等の層状物を本発明の光学物品の基材表面に適宜設置してもよいし、レンズ枠などの枠体を本発明の光学物品が嵌合するように設置してもよい。また、カメラやセンサーなどの装置類の中に、本発明の光学物品を組み込んでもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]フィルムサンプルの作製
<樹脂の合成>
以下で使用した樹脂の原料モノマーとして、例えば、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジチオールは、Journal of Polymer Science,PartA:Polymer Chemistry(2001),39(7),1040−1050に記載の手法に準拠し、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジオールを出発原料として合成した。他のジチオールモノマーも同様にして合成した。
さらに該ジチオールモノマーを原料として、特開2001−106761号公報記載の手法に準じて、ポリチオウレタン、ポリチオカーボネート、ポリチオエステルを合成した。
<樹脂の合成>
以下で使用した樹脂の原料モノマーとして、例えば、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジチオールは、Journal of Polymer Science,PartA:Polymer Chemistry(2001),39(7),1040−1050に記載の手法に準拠し、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジオールを出発原料として合成した。他のジチオールモノマーも同様にして合成した。
さらに該ジチオールモノマーを原料として、特開2001−106761号公報記載の手法に準じて、ポリチオウレタン、ポリチオカーボネート、ポリチオエステルを合成した。
<プラスチックフィルムサンプルの作製>
本発明の樹脂(P−1,P−11,P−15,P−19,P−27,P−31)、比較樹脂A(特開2001−106761号公報実施例記載の樹脂P−9)、比較樹脂B(『パンライトL1225Z』;帝人化成製ポリカーボネート)および比較樹脂C(特開2000−298876号公報実施例1記載の樹脂)を、それぞれ個別に塩化メチレンに溶解し、濃度10質量%溶液を調製した。この溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、温度80℃で2時間加熱乾燥し、次いで120℃で8時間加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離して、フィルムサンプル(F−1〜6,F−10〜12)を作製した。
また、本発明の熱硬化製樹脂組成物(M−1、M−4、M−7)を塩化メチレンに溶解し、ガラス基板上にキャストした後、室温で1時間乾燥し、次いで120℃で8時間加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離して、フィルムサンプル(F−7〜9)を作製した。
本発明の樹脂(P−1,P−11,P−15,P−19,P−27,P−31)、比較樹脂A(特開2001−106761号公報実施例記載の樹脂P−9)、比較樹脂B(『パンライトL1225Z』;帝人化成製ポリカーボネート)および比較樹脂C(特開2000−298876号公報実施例1記載の樹脂)を、それぞれ個別に塩化メチレンに溶解し、濃度10質量%溶液を調製した。この溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、温度80℃で2時間加熱乾燥し、次いで120℃で8時間加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離して、フィルムサンプル(F−1〜6,F−10〜12)を作製した。
また、本発明の熱硬化製樹脂組成物(M−1、M−4、M−7)を塩化メチレンに溶解し、ガラス基板上にキャストした後、室温で1時間乾燥し、次いで120℃で8時間加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離して、フィルムサンプル(F−7〜9)を作製した。
<フィルムサンプルの物性評価>
上記で得られた各フィルムの厚さ、屈折率、全光線透過率および面内方向レタデーション値を、以下に記載する方法にしたがって測定した。得られた結果を表1に示す。
(1)フィルムの厚さ
ダイヤル式厚さゲージにより測定した(アンリツ(株)製、K402B)。
(2)全光線透過率
紫外可視スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で測定した。
(3)屈折率
アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)を用いて、波長589nmの光について測定した。
(4)レタデーション
フィルム面内の幅方向と長手方向について、波長632.8nmにおける屈折率を自動複屈折計により測定し(王子計測機器(株)製、KOBRA-21ADH)、下記の式にしたがって算出した。
レタデーション=|nMD−nTD|×d
[ここで、nMD:フィルム幅方向の屈折率、nTD:フィルム長手方向の屈折率、d:厚さ]
上記で得られた各フィルムの厚さ、屈折率、全光線透過率および面内方向レタデーション値を、以下に記載する方法にしたがって測定した。得られた結果を表1に示す。
(1)フィルムの厚さ
ダイヤル式厚さゲージにより測定した(アンリツ(株)製、K402B)。
(2)全光線透過率
紫外可視スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で測定した。
(3)屈折率
アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)を用いて、波長589nmの光について測定した。
(4)レタデーション
フィルム面内の幅方向と長手方向について、波長632.8nmにおける屈折率を自動複屈折計により測定し(王子計測機器(株)製、KOBRA-21ADH)、下記の式にしたがって算出した。
レタデーション=|nMD−nTD|×d
[ここで、nMD:フィルム幅方向の屈折率、nTD:フィルム長手方向の屈折率、d:厚さ]
表1の結果より、本発明の樹脂により作成されたフィルムは、高い屈折率を有し、レタデーション値が小さく、光学特性に優れることが確認された。
[実施例2]レンズサンプルの作製
本発明の樹脂(P−1、11、15、27、31)および比較樹脂A〜Cをそれぞれ用いて、射出成型機にて300℃の成型温度で直径30mm、肉厚1〜3mmの球面凸レンズを試作した。
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物(M−1、M−4、M−7)を厚さ1mmの金属製鋳型に流し込み、30℃で1時間、次いで50℃で1時間、さらに100℃で1時間重合を行い、厚さ1mmの成型物を得た。
偏光板を用いてクロスニコル下による観察を行ったところ、比較樹脂A、Bより得られたプラスチックレンズは光学歪(光学異方性)が大きく、特にゲート付近での歪が大きいことが確認された。比較樹脂Cより得られたプラスチックレンズは光学歪は比較的小さくて良好であるが、屈折率は高くなかった。一方、本発明の樹脂より得られたプラスチックレンズは光学歪が小さく、射出成型射出成型品でも特にゲート付近でも歪が小さいことが確認され、かつ高い屈折率を併せ持ち、光学的に優れていることが確認された。
本発明の樹脂(P−1、11、15、27、31)および比較樹脂A〜Cをそれぞれ用いて、射出成型機にて300℃の成型温度で直径30mm、肉厚1〜3mmの球面凸レンズを試作した。
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物(M−1、M−4、M−7)を厚さ1mmの金属製鋳型に流し込み、30℃で1時間、次いで50℃で1時間、さらに100℃で1時間重合を行い、厚さ1mmの成型物を得た。
偏光板を用いてクロスニコル下による観察を行ったところ、比較樹脂A、Bより得られたプラスチックレンズは光学歪(光学異方性)が大きく、特にゲート付近での歪が大きいことが確認された。比較樹脂Cより得られたプラスチックレンズは光学歪は比較的小さくて良好であるが、屈折率は高くなかった。一方、本発明の樹脂より得られたプラスチックレンズは光学歪が小さく、射出成型射出成型品でも特にゲート付近でも歪が小さいことが確認され、かつ高い屈折率を併せ持ち、光学的に優れていることが確認された。
本発明の光学物品は、屈折率が高く、透明性に優れ、かつ光学異方性が低い。このため、本発明の光学物品は、眼鏡レンズ、各種光学機器用レンズ(ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ)、マイクロレンズアレイ、プリズム、プリズムシート、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、LEDの封止剤等に好適に用いることができる。したがって、本発明の産業上の利用可能性は高い。
Claims (5)
- 前記樹脂が、一般式(1)に対応するジチオール化合物と1分子中にチオールによる付加あるいは置換が可能な反応性基を少なくとも2つ以上有する化合物との重付加体あるいは重縮合体であることを特徴とする請求項1に記載の光学物品。
- 前記反応性基を2つ以上有する前記化合物がポリイソシアネート化合物またはポリイソチオシアネート化合物であることを特徴とする請求項2に記載の光学物品。
- 前記構造単位が、下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学物品。
- 前記光学物品がプラスチックレンズであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学物品。
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