JP5583987B2 - 光弾性定数が低いポリカーボネート樹脂および光学フィルム - Google Patents

光弾性定数が低いポリカーボネート樹脂および光学フィルム Download PDF

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本発明は、光弾性定数が低く、流動性が良好で、熱安定性に優れるポリカーボネート樹脂および所望の波長分散特性を有する光学フィルムに関するものである。
従来、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)にカーボネート前駆物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂(以下、PC−Aという)は透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性が優れているがゆえにエンジニアリングプラスチックとして多くの分野に広く使用されてきた。さらに近年その透明性を生かして光ディスク、フィルム、レンズ等の分野への光学用材料としての利用が展開されている。
しかしながら、PC−Aを用いた場合、正の複屈折が高く、光弾性定数が高いことから、光学用途として用いる時に、光学歪みが起こり、様々な問題が起きている。例えば、光学レンズに用いた場合、成形品の複屈折が大きくなるという欠点がある。また、位相差フィルムとして用いた場合、応力による複屈折の変化が大きく光抜けが起こることや、λ/4板、λ/2板として機能しうる波長が特定の波長に限られるという問題があった。
そこで、上記問題への対策として様々な手法が検討されている。その一つとして、ビスフェノールAと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンにカーボネート前駆物質を反応させると光弾性係数が低いポリカーボネート樹脂が得られることが提案され(例えば特許文献1参照)、そのポリカーボネート樹脂を用いてなるフィルムを位相差フィルム用、偏光板の保護フィルム用に使用することが提案されている(例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。しかしながら、ガラス転移温度(Tg)が高く流動性が低いため、フィルムの延伸に高い温度を必要として、従来と異なる特別な加工設備を必要とするという問題がある。
また、別の方法として脂肪族ジオールであるトリシクロ(5.2.1.02.6)デカンジメタノールと芳香族ジオールである9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンにカーボネート前駆物質を反応させると、芳香族ジオール同士の反応よりも光弾性定数が低く、またガラス転移温度が低く流動性が良好なポリカーボネート樹脂が得られることが知られている(例えば特許文献6、特許文献7参照)。しかし、このポリカーボネート樹脂は、熱分解温度が低いため、溶融製膜での製造時に分解による気泡やゲルなどの発生が問題であった。
その為、低い光弾性定数と成形に適した流動性と優れた熱安定性を高度に具備し、位相差フィルムや偏光板の保護フィルム等の光学用途に適した波長分散性を実現できるポリカーボネート樹脂およびそれを用いてなる光学フィルムは未だ提供されていなかった。
特開2004−331688号公報 国際公開2000/026705号パンフレット 国際公開01/009649号パンフレット 特開2001−296423号公報 特開2001−194530号公報 特開2000−169573号公報 国際公開2006/041190号パンフレット
本発明の目的は、光弾性定数が低く、流動性が良好で、熱安定性に優れ、しかもフィルムにしたときに位相差フィルムや偏光板の保護フィルム等の光学用途に適した波長分散性を発現できるポリカーボネート樹脂およびそれを用いた光学フィルムを提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、立体障害の大きいアルキル基とフルオレン構造を有するフルオビスフェノール化合物と芳香族ジオールにカーボネート前駆物質を反応させることによって、低い光弾性定数と成形に適した流動性と優れた熱安定性を高度に具備するポリカーボネート樹脂が得られることを究明した。更に、この樹脂をフィルムにすることで位相差フィルムや偏光板の保護フィルム等の光学用途に適した波長分散を発現できることを究明し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
1.主たる繰り返し単位が下記式
Figure 0005583987
[式中、R1、R、R、R、R、Rは夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R1、Rが結合して炭素環、もしくは複素環を形成しても良い。また、R、Rが結合して炭素環、もしくは複素環を形成しても良い
で表される繰り返し単位(A1)と下記式
Figure 0005583987
[式(B)中、R、Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、pおよびqは同一または異なる1〜4の 整数を示す。Wは、下記式(W)
Figure 0005583987
であり、ここにRとR10はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素 原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数7〜 17のアラルキル基を表す。また、RとR10が結合して炭素環または複素環を形成しても良い。
11とR12はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、 炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6 〜12アリール基を表す。R13は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。]
で表される繰り返し単位(B)を含み、それら繰り返し単位(A1)と繰り返し単位( B)とのモル比(A1/B)が40/60以上100/0未満の範囲で、20℃の塩化 メチレン溶液で測定された比粘度が0.20〜1.50であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
2.繰り返し単位(A1)が下記式
Figure 0005583987
で表される繰り返し単位(A2)、(A3)、および(A4)からなる群より選ばれる 少なくとも一種である上記1記載のポリカーボネート樹脂。
3.上記1記載のポリカーボネート樹脂を用いてなる未延伸フィルム。
4.上記3記載の未延伸フィルムを延伸してなり、下記式(1)
R(450)<R(550)<R(650) (1)
[但し、R(450)、R(550)およびR(650)は夫々、波長450nm、5 50nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差値を示す。]
を満たす延伸フィルム。
5.下記式(2)および(3)
0<R(450)/R(550)<1.00 (2)
1.01<R(650)/R(550)<2.00 (3)
を満たす上記4記載の延伸フィルム。
6.下記式(4)〜(6)
−30<R(450)<0 (4)
−10<R(550)<10 (5)
0<R(650)<30 (6)
を満たす上記4記載の延伸フィルム。
7.下記式(7)
R(650)<0 (7)
を満たす上記4記載の延伸フィルム。
8.上記4記載の延伸フィルムと偏光層からなる円偏光フィルム。
9.上記4記載の延伸フィルムを具備した液晶表示装置。
10.上記8記載の円偏光フィルムを反射防止フィルムとして用いた表示素子。
本発明のポリカーボネート樹脂は、立体障害の大きいアルキル基とフルオレン構造を有するフルオビスフェノール化合物と芳香族ジオールにカーボネート前駆物質を反応させることによって、低い光弾性定数と成形に適した流動性と優れた熱安定性を有することが可能となった。
さらに、本発明のポリカーボネート樹脂を用いることで、光弾性定数が低く、熱安定性に優れ、しかも位相差フィルムや偏光板の保護フィルム等の光学用途に適した波長分散性を示す光学フィルムを提供することが可能となった。そのため、その奏する工業的効果は格別である。
実施例の熱ムラ評価の説明図である。 実施例の光抜け評価の説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂は、主たる繰り返し単位が、繰り返し単位(A1)と 繰り返し単位(B)とから構成される。
(繰り返し単位(A1)
本発明で用いられる繰り返し単位(A1)は、前記式(A1)に示したように、立体 障害の大きいアルキル基とフルオレン構造を有するフルオビスフェノール化合物から誘 導されるものである。前記式(A1)中、R1、R、R、R、R、Rは夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R1、Rが結合して炭素環、もしくは複素環を形成しても良い。また、R、Rが結合して炭素環、もしくは複素環を形成しても良い。炭化水素基として炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基が挙げられる。前記式(A1)は、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソペンチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロペンチルフェニル)フルオレンなどから誘導される繰り返し単位が例示される。特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンから誘導される前記式(A2)、(A3)、(A4)で表される繰り返し単位は、立体障害の大きいアルキル基がフェニル基の回転を抑制することで光弾性が低くなることが推定されるため好ましい。なかでも(A2)は大きく流動性が上がり、成形加工性にも優れるためさらに好ましい。
(繰り返し単位(B))
本発明にかかる繰り返し単位(B)は、前記式(B)に示したように、芳香族構造を有するカーボネート単位である。前記式(B)中、R7、R8は、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数7〜13のアラルキル基、及びハロゲンから選ばれる1種を示し、p、qはR7、R8がベンゼン環上に置換している数を示し、1〜4の整数である。好ましくは、R7、R8は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜9のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数7〜9のアラルキル基、及びハロゲンから選ばれる1種を示す。更に好ましくは、メチル基、シクロヘキシル基又はフェニル基である。R9とR10はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表す。また、RとR10が結合して炭素環または複素環を形成しても良い。R11とR12はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6〜12アリール基を表す。R13は1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。具体的には、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンなどが例示される。なかでも、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールMが耐熱性、流動性の観点から好ましく、特にビスフェノールAが高流動、入手容易性の観点から好ましい。これらは2種類以上併用して用いても良い。
(組成比)
本発明のポリカーボネート樹脂の組成比は、主たる繰り返し単位(A1)と繰り返し 単位(B)のモル比(A1/B)が、40/60以上100/0未満である。モル比( A1/B)が40/60以上の範囲である本発明のポリカーボネート樹脂をフィルム化 した場合、フィルムの波長分散性が、位相差フィルムや偏光板の保護フィルム等の光学 用途に適したものとなり好ましい。好ましくは、モル比(A1/B)が50/50以上 98/2以下、更に好ましくは、60/40以上95/5以下である。繰り返し単位( B)を含むことは、流動性、波長分散性の制御という点で好ましい。モル比(A1/B)は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。主たる繰り返し単位とは、繰り返し単位(A1)及び(B)の合計が全繰り返し単位を基準として90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上、より好ましくは100モル%である。
(比粘度:ηSP
本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)としては、0.20〜1.50の範囲である。0.20を超えると強度等が向上し、1.50より低いと成形加工特性が優れる。好ましくは、0.25〜1.20の範囲であり、特に好ましくは、0.30〜1.00の範囲である。本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してよい。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度を測定する場合は、次の要領で行うことができる。すなわち、ポリカーボネート樹脂をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度をオストワルド粘度計を用いて求める。
(ガラス転移温度:Tg)
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは130〜220℃、より好ましくは140〜200℃、特に好ましくは140〜160℃の範囲である。Tgが下限以上であると耐熱安定性が良好となり、位相差フィルムとして使用した際に、位相差値の変化が起こりづらく好ましい。またTgが上限を超えない範囲では、フィルムの延伸加工に高い温度は必要なく、従来と異なる特別な加工設備を必要としないため好ましい。Tgは、アルキル基の導入により低くなると推定される。Tgはティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
(熱分解温度:Td)
本発明のポリカーボネート樹脂は、熱による5%重量減少の温度が380℃以上であることが好ましく、特に好ましくは400℃以上である。5%重量減少の温度が380℃以下である場合、溶融製膜時に分解が起こり易く、異物が発生し表示品位に影響を与える場合がある。5%の重量減少の温度は、DUPONT社(株)製のTGA 951 Thermogravimetric analyzerを用いて、40ml/minの窒素気流下、20℃/minの昇温速度で熱重量測定し、5%重量が減少した時の温度を求めた。
(光弾性定数)
本発明のポリカーボネート樹脂の光弾性定数の絶対値は、45×10−12Pa−1以下、より好ましくは42×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは40×10−12Pa−1以下である。絶対値が45×10−12Pa−1を超えると、応力による複屈折が大きく、位相差フィルム等に使用する場合に光抜けが起こり好ましくない。光弾性定数は未延伸フィルムを日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し測定する。
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明のポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。本発明のポリカーボネート樹脂は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
かかる単官能フェノール類としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用されるものであればよい。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、具体的に、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が例示される。
含窒素化合物としては、具体的に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が例示される。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が例示される。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては、亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、なかでもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、具体的に、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が例示される。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が特に好ましい。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
また、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
<光学成形品>
本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる光学成形品は、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、溶液キャスティング法など任意の方法により成形される。本発明のポリカーボネート樹脂は、光弾性定数が低く、延伸により所望の波長分散性を実現することができるため特に光学フィルムとして有利に使用することができる。もちろん本発明のポリカーボネート樹脂は、光弾性定数が低く、しかも成形性にも優れているので、光ディスク基板、光学レンズ、液晶パネル、光カード、シート、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射鏡、ディスプレーなどの光学部品の構造材料または機能材料用途に適した光学用成形品としても有利に使用することができる。
<光学フィルム>
本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる光学フィルムは、具体的には、位相差フィルム、プラセル基板フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、輝度上昇フィルム、光ディスクの保護フィルム、拡散フィルム等の用途が挙げられる、なかでも位相差フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルムが好ましい。
光学フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押出法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法を挙げることが出来る。なかでも、溶液キャスト法、溶融押出法が好ましく、特に生産性の点から溶融押出法が特に好ましい。
溶融押出法においては、Tダイを用いて樹脂を押出冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。このときの溶融押出温度はポリカーボネート樹脂の分子量、Tg、溶融流動特性等から決められるが、180〜350℃の範囲であり、200℃〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より低いと粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすく好ましくない。また、350℃より高いと熱劣化、着色、Tダイからのダイライン(筋)等の問題が起きやすい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、有機溶媒に対する溶解性が良好なので、溶液キャスト法も適用することが出来る。溶液キャスト法の場合は、溶媒としては塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジオキソラン、ジオキサン等が好適に用いられる。溶液キャスト法で得られるフィルム中の残留溶媒量は2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下である。残留溶媒量が2重量%を超えるとフィルムのガラス転移温度の低下が著しくなり耐熱性の点で好ましくない。
本発明のポリカーボネートを用いてなる未延伸フィルムの厚みとしては、30〜400μmの範囲が好ましく、より好ましくは40〜300μmの範囲である。かかる未延伸フィルムをさらに延伸して位相差フィルムとする場合は、目的とする位相差値と関連するが20〜200μmの範囲であり、より好ましくは20〜150μmである。この範囲であれば、延伸による所望する位相差値が得やすく、製膜も容易で好ましい。未延伸フィルムは、偏光板保護フィルムや光ディスク用透過層フィルムとして好適に用いられる。
本発明のポリカーボネートを用いてなる未延伸フィルムは延伸配向することにより位相差フィルムとなる。なお、フィルムの製膜する機械軸方向を製膜方向または縦方向と称し、製膜方向とフィルムの厚み方向に直交する方向を横方向または幅方向と称する。延伸方法は、縦一軸延伸、テンター等を用いる横一軸延伸、あるいはそれらを組み合わせた同時二軸延伸、逐次二軸延伸等公知の方法を用いることが出来る。また連続で行うことが生産性の点で好ましいが、バッチ式で行っても良い。延伸温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、好ましくは(Tg−20℃)〜(Tg+50℃)の範囲、より好ましくは(Tg−10℃)〜(Tg+30℃)の範囲である。この温度範囲であれば、ポリマーの分子運動が適度であり、延伸による緩和が起こり難く、配向制御が容易になり所望する面内位相差が得られ易いため好ましい。延伸温度が低いと位相差が発現しやすくなる傾向がある。
延伸倍率は目的とする位相差値により決められるが、縦、横、それぞれ、1.05〜5倍、より好ましくは1.1〜4倍である。この延伸は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。なお、溶液キャスト法により得た未延伸フィルムを延伸する場合の上記Tgとは、該未延伸フィルム中の微量の溶媒を含むガラス転移温度を言う。
また延伸後のフィルムの厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜150μmの範囲である。この範囲であれば、延伸による所望する位相差値が得やすく、製膜も容易で好ましい。
(波長分散性)
本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる未延伸フィルムを延伸することで、波長400〜800nmの可視光領域において、フィルム面内の位相差が短波長になるほど小さくなるという特徴を有する。即ち、下記式(1)
R(450)<R(550)<R(650) (1)
を満たす。但し、R(450)、R(550)およびR(650)は夫々、波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差値を示す。
ここで面内の位相差値Rとは下記式で定義されるものであり、フィルムに垂直方向に透過する光のX方向とそれと垂直のY方向との位相の遅れを現す特性である。
R=(n−n)×d
但し、nはフィルム面内の主延伸方向の屈折率であり、nはフィルム面内の主延伸方向と垂直方向の屈折率であり、dはフィルムの厚みである。ここで、主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度があがるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。
本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる光学フィルムの好ましい波長分散性の範囲として以下のフィルム(I)〜フィルム(III)が挙げられる。
(フィルム(I))
フィルム(I)は、下記式(2)および(3)を満たすいわゆる逆波長分散性を示す フィルムである。
0<R(450)/R(550)<1.00 (2)
1.01<R(650)/R(550)<2.00 (3)
フィルム(I)は、より好ましくは下記式(2−1)および(3−1)を満たす。
0.60<R(450)/R(550)<1 (2−1)
1.01<R(650)/R(550)<1.40 (3−1)
さらに好ましくは下記式(2−2)および(3−2)を満たす。
0.65<R(450)/R(550)<0.92 (2−2)
1.01<R(650)/R(550)<1.30 (3−2)
特に好ましくは下記式(2−3)および(3−3)を満たす。
0.70<R(450)/R(550)<0.91 (2−3)
1.03<R(650)/R(550)<1.20 (3−3)
フィルム(I)は、繰り返し単位(A1)と繰り返し単位(B)のモル比(A1/B)を40/60以上68/32未満の範囲で製造した本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる未延伸フィルムを延伸することにより得られる。繰り返し単位(A1)と繰り返し単位(B)のモル比(A1/B)は、50/50以上68/32未満となることが好ましく、更に好ましくは、55/45以上67/33未満である。
また、フィルム(I)の条件を満たす本発明のポリカーボネート樹脂の光弾性定数は 45×10−12Pa−1以下であることが好ましく、さらに好ましくは42×10−12Pa−1以下、特に好ましくは40×10−12Pa−1以下である。
フィルム(I)は、逆波長分散性を示すので、積層することなく1枚で液晶表示装置 等の位相差フィルムに好適に用いられる。かかる用途では、λ/4板の場合は100n m<R(550)<180nm、λ/2板の場合は220nm<R(550)<330 nmであることが望ましい。
(フィルム(II))
フィルム(II)は、下記式(4)、(5)、および(6)を満たすいわゆるゼロ複屈 折性を示すフィルムである。
−30<R(450)<0 (4)
−10<R(550)<10 (5)
0<R(650)<30 (6)
フィルム(II)は、より好ましくは下記式(4−1)、(5−1)、および(6−1)を満たす。
−30<R(450)<0 (4−1)
−5<R(550)<5 (5−1)
0<R(650)<25 (6−1)
フィルム(II)は、繰り返し単位(A1)と繰り返し単位(B)のモル比(A1/B)を68/32以上75/25未満の範囲で製造した本発明のポリカーボネート樹脂を用いてなる未延伸フィルムを延伸することにより得られる。繰り返し単位(A1)と繰り返し単位(B)のモル比(A1/B)は、68/32以上74/26未満となることが好ましく、更に好ましくは69/31以上73/27未満である。
また、フィルム(II)の条件を満たす本発明のポリカーボネート樹脂の光弾性定数は 40×10−12Pa−1以下であることが好ましく、さらに好ましくは39×10−12
Pa−1以下、特に好ましくは38×10−12Pa−1以下である。
フィルム(II)は低い光学異方性を有する。即ち、波長400〜800nmにおいて フィルムの面内の位相差値がゼロに近い。従って、液晶表示装置の偏光板の保護フィル ム等に好適に用いることができる。
(フィルム(III))
フィルム(III)は、下記式(7)を満たす負の複屈折性を示すフィルムである。
R(650)<0 (7)
フィルム(III)は、繰り返し単位(A1)と繰り返し単位(B)のモル比(A1/ B)を75/25以上100/0未満の範囲で製造した本発明のポリカーボネート樹脂 を用いてなる未延伸フィルムを延伸することにより得られる。繰り返し単位(A1)と 繰り返し単位(B)分のモル比(A1/B)が、78/22以上98/2未満となるこ とが好ましく、更に好ましくは80/20以上95/5以下である。
また、フィルム(III)の条件を満たす本発明のポリカーボネート樹脂の光弾性定数 は35×10−12Pa−1以下であることが好ましく、さらに好ましくは33×10−12 Pa−1以下、特に好ましくは30×10−12Pa−1以下である。
フィルム(III)は、負の複屈折性を有するので、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の位相差フィルムに適している。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂及び評価方法は以下のとおりである。
1.ポリマー組成比(NMR)
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
2.比粘度測定
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
3.ガラス転移温度測定
ポリカーボネート樹脂8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
4.熱分解温度測定
ポリカーボネート樹脂8mgを用いてDUPONT社(株)製のTGA 951 Thermogravimetric analyzerを使用して、40ml/minの窒素気流下、20℃/minの昇温速度で熱重量測定し、5%重量が減少した時の温度を求めた。
5.光弾性定数測定
未延伸フィルムを製膜方向に50mm、それと直交する幅方向に10mmサイズに切り出し、そのサンプルを用いて光弾性定数を測定した。日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用して測定した。
6.位相差、波長分散性測定
延伸した光学フィルムを日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用して測定した。
7.透過型構成での熱ムラ評価
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子フィルムを2枚のトリアセチルセルロースフィルムにより挟んだ構造で、その片面にアクリル系感圧接着剤層が設けられている直線偏光板を用意した。実施例で作成した延伸フィルムを積算照射量1500Jの条件でコロナ放電処理を施し、そのコロナ放電処理面を、前記直線偏光板へアクリル系感圧接着剤層側に45°の角度で張り合わせた。上記偏光板を2枚作成し、無アルカリガラス(コーニングジャパン社製、商品名:EAGLE2000)に粘着剤を介し図1に示したように貼り合わせた。構成した円偏光板を85℃30分保管した直後にバックライトを当てた時の透過光の光抜けを目視で評価し、光抜けのない場合は○、エッジから少量光抜けがある場合は△、全体的に光抜けが見られる場合を×とした。光抜けは、位相差フィルムの熱膨張によりガラスに接着されているフィルムに応力が発生して、発生した応力により複屈折が生じて起こる。従って、光弾性定数の高いフィルムほど光抜けが大きい。加熱前の室温での光抜けは、逆波長分散性が良好であるほど少なく黒色となる。
8.反射型構成での光抜け評価
透過型構成での熱ムラ評価に用いたものと同様の偏光板と無アルカリガラスを用意して、図2に示したように粘着剤を介し貼り合わせた。構成した反射構成を反射板の上にのせて、室温で上部から光を当てた時に反射光の光抜けがなく黒色の場合は○、紺色の場合を△、青色の場合を×とした。逆波長分散性が良好であるほど光抜けがなく黒色となる。
[実施例1]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21540部、48%水酸化ナトリウム水溶液4930部を入れ、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン(以下“BSBF”と略称することがある)5063部および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と略称することがある)1407部、ハイドロサルファイト15部を溶解した後、塩化メチレン14530部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン2200部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール181.2部および48%水酸化ナトリウム水溶液705部を加え、乳化後、トリエチルアミン5.9部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、白色のポリマーを得た。得られたポリカーボネート樹脂の比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に、(株)テクノベル製15mmφ二軸押出機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたポリカーボネート樹脂を280℃でフィルム成形することにより透明な押出未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムより50mm×10mmサイズのサンプルを切り出し、そのサンプルを用いて光弾性定数を測定した。また、同様にして切り出した長さ100mm×幅70mmサイズの未延伸フィルムを167℃(Tg+10℃)にて長さ方向に2.0倍で一軸延伸し、延伸フィルムを得た。この光学フィルムの位相差測定、波長分散性を測定した。さらに、この光学フィルムを用いて前記7の方法で図1のように円偏光板を作成し、熱ムラ評価を実施した。また、この光学フィルムを用いて前記8の方法で図2の反射構成を作成し、反射光の光抜け評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例2]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン(以下“BCHF”と略称することがある)5442部、BPA1368部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープを作製した。このドープ溶液から厚み80μmとなるようにガラス板上に流涎し、剥離後、乾燥して、キャストフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価と反射光の光抜け評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例3]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン(以下“BTBF”と略称することがある)5300部、BPA1290部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例2と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例4]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BSBF4667部、BPA1603部、ジフェニルカーボネート3741部、および触媒として水酸化ナトリウム1.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で280℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、触媒量の4倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例5]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BSBF5442部、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(以下“BPM”と略称することがある)2192部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープを作製した。このドープ溶液から公知の方法によりキャストフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価と反射光の光抜け評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例6]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BTBF5616部、BPA1134部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表2に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例2と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表2に示す。
[実施例7]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BSBF5616部、BPA1134部、ジフェニルカーボネート3741部を用いた他は、実施例4と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表2に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表2に示す。
[実施例8]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BSBF5853部、BPA1016部、ジフェニルカーボネート3741部を用いた他は、実施例4と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表2に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表2に示す。
[実施例9]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCHF5777部、BPA1211部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表2に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープを作製した。このドープ溶液から公知の方法によりキャストフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価と反射光の光抜け評価を実施した。結果を表2に示す。
[実施例10]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BSBF5616部、BPM1720部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表2に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープを作製した。このドープ溶液から公知の方法によりキャストフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価と反射光の光抜け評価を実施した。結果を表2に示す。
[実施例11]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BSBF7117部、BPA586部を用いた他は、実施例4と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表3に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例12]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BTBF6802部、BPA587部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表3に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例2と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例13]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCHF6530部、BPA860部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表3に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例2と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例14]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BSBF7436部、BPA235部、ジフェニルカーボネート3741部を用いた他は、実施例4と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表3に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例15]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BSBF6723部、BPM888部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表3に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープを作製した。このドープ溶液から公知の方法によりキャストフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価と反射光の光抜け評価を実施した。結果を表3に示す。
[比較例1]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた反応器にイオン交換水9809部、48%水酸化ナトリウム水溶液2271部を加え、BPA1775部及びナトリウムハイドロサルファイト3.5部を溶解し、塩化メチレン7925部を加えた後、攪拌しながら16〜20℃にてホスゲン1000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール52.6部と48%水酸化ナトリウム水溶液327部を加え、さらにトリエチルアミン1.57部を添加して20〜27℃で40分間攪拌して反応を終了した。生成物を含む塩化メチレン層を希塩酸、純水にて洗浄後、塩化メチレンを蒸発させポリカーボネート樹脂を得た。該パウダーの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
得られたポリカーボネート樹脂を15mmφ二軸押出機によりペレット化した。次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価と反射光の光抜け評価を実施した。結果を表1に示す。本フィルムは光弾性定数が80×10−12Pa−1と高く、応力による複屈折が大きい。そのため、位相差フィルムとして使用する場合に光抜けが起こり、好ましくない。また、波長分散性が正分散であるため、広帯域においてλ/4とならず、色抜けなどが問題となる。
[比較例2]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BPA585部、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンBCF(以下“BCF”と略称することがある)1969部を用いた他は、比較例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該パウダーの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
得られたポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープを作製した。このドープ溶液から公知の方法によりキャストフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価と反射光の光抜け評価を実施した。結果を表1に示す。
[比較例3]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF830部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール(以下TCDDMと略称することがある)242部を用いた他は、実施例4と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表1に示す。
[比較例4]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF156部、TCDDM356部、イソソルビド175部を用いた他は、実施例4と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表1に示す。
[比較例5]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BPA461部、BCF2175部を用いた他は、比較例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該パウダーの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表2に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に比較例2と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例2と同様に熱ムラ評価を実施した。結果を表2に示す。
[比較例6]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF610部、TCDDM356部を用いた他は、実施例4と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表2に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた未延伸フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価評価を実施した。結果を表2に示す。
[比較例7]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた反応器にイオン交換水9809部、48%水酸化ナトリウム水溶液2271部を加え、BPA337部、BCF2280部およびナトリウムハイドロサルファイト4.5部を溶解し、塩化メチレン6604部を加えた後、攪拌しながら16〜20℃にてホスゲン1000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール70部と48%水酸化ナトリウム水溶液327部を加え、さらにトリエチルアミン1.57部を添加して20〜27℃で40分間攪拌して反応を終了した。生成物を含む塩化メチレン層を希塩酸、純水にて洗浄後、塩化メチレンを蒸発させフルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂を得た。該パウダーの比粘度、ガラス転移温度、熱分解温度を測定し、表3に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例2と同様にして未延伸フィルムを作成した。得られた気炎新フィルムの光弾性定数を実施例1と同様に評価した。フィルムについては実施例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。さらに実施例1と同様に熱ムラ評価を実施した。結果を表3に示す。
[比較例8]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF1037部、TCDDM135部を用いた他は、実施例4と全く同様の操作を行ったが、溶融粘度が高すぎて、高分子量体は得られなかった。該樹脂の比粘度を測定し、表3に記載した。
Figure 0005583987
表1中のBSBFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、BCHFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、BTBFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、BCFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、BPAは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、BPMはα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、TCDDMはトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールを示し、構成モノマー中のジオール成分である。
Figure 0005583987
表2中のBSBFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、BCHFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、BTBFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、BCFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、BPAは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、BPMはα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、TCDDMはトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールを示し、構成モノマー中のジオール成分である。
Figure 0005583987
表3中のBSBFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、BCHFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、BTBFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、BCFは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、BPAは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、BPMはα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、TCDDMはトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールを示し、構成モノマー中のジオール成分である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、光学成形品や液晶表示装置用、有機ELディスプレイ用などの光学フィルムとして有用である。
1.偏光板
2.延伸フィルム
3.無機ガラス
4.延伸フィルム
5.偏光板
6.反射板

Claims (10)

  1. 主たる繰り返し単位が下記式
    Figure 0005583987
    [式中、R1、R、R、R、R、Rは夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R1、Rが結合して炭素環、もしくは複素環を形成しても良い。また、R、Rが結合して炭素環、もしくは複素環を形成しても良い
    で表される繰り返し単位(A1)と下記式
    Figure 0005583987
    [式(B)中、R、Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、pおよびqは同一または異なる1〜4の 整数を示す。Wは、下記式(W)
    Figure 0005583987
    であり、ここにRとR10はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表す。また、RとR10が結合して炭素環または複素環を形成しても良い。
    11とR12はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、 炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6 〜12アリール基を表す。R13は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。]
    で表される繰り返し単位(B)を含み、それら繰り返し単位(A1)と繰り返し単位( B)とのモル比(A1/B)が40/60以上100/0未満の範囲で、20℃の塩化 メチレン溶液で測定された比粘度が0.20〜1.50であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
  2. 繰り返し単位(A1)が下記式
    Figure 0005583987
    で表される繰り返し単位(A2)、(A3)、および(A4)からなる群より選ばれる 少なくとも一種である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  3. 請求項1記載のポリカーボネート樹脂を用いてなる未延伸フィルム。
  4. 請求項3記載の未延伸フィルムを延伸してなり、下記式(1)
    R(450)<R(550)<R(650) (1)
    [但し、R(450)、R(550)およびR(650)は夫々、波長450nm、5 50nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差値を示す。]
    を満たす延伸フィルム。
  5. 下記式(2)および(3)
    0<R(450)/R(550)<1.00 (2)
    1.01<R(650)/R(550)<2.00 (3)
    を満たす請求項4記載の延伸フィルム。
  6. 下記式(4)〜(6)
    −30<R(450)<0 (4)
    −10<R(550)<10 (5)
    0<R(650)<30 (6)
    を満たす請求項4記載の延伸フィルム。
  7. 下記式(7)
    R(650)<0 (7)
    を満たす請求項4記載の延伸フィルム。
  8. 請求項4記載の延伸フィルムと偏光層からなる円偏光フィルム。
  9. 請求項4記載の延伸フィルムを具備した液晶表示装置。
  10. 請求項8記載の円偏光フィルムを反射防止フィルムとして用いた表示素子。
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