JP5706071B2 - 位相差フィルム - Google Patents
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Description
かかる位相差フィルムは、例えば液晶表示装置、記録装置に用いられる光ピックアップ、光記録媒体等の光学装置、発光素子、光演算素子、光通信素子、タッチパネルに好適に用いられる。
位相差フィルムとしては、λ/4板、λ/2板が知られており、その材料としてはビスフェノールAを重縮合したポリカーボネートやポリエーテルサルフォン、ポリサルフォンなどの熱可塑性ポリマーが用いられている。これら材料のフィルムを延伸して得られたλ/4板、λ/2板は、短波長ほど位相差が大きくなるという性質がある。そのため、λ/4板、λ/2板として機能しうる波長が特定の波長に限られるという問題点があった。
R(λ)=cλ (9)
[ここで、R(λ)は測定波長λ(nm)における位相差値(nm)、cはc>0なる定数である。λの範囲は400nm≦λ≦800nmである。]
を満足させる必要がある。具体的には、下記式
R(400)/R(550)=400/550=0.727 (10)
R(700)/R(550)=700/550=1.273 (11)
から導かれる数値を満足する時が、理想的な広帯域性を有する状態であり、この数値により近くする必要がある。共重合体の波長分散性は正のモノマー単位と負のモノマー単位のそれぞれの波長分散を足し合わせたものである。通常、ポリカーボネートやポリエステル、ポリアリレートなどの波長依存性の高い高分子は短波長側の位相差値が大きく、長波長側になるほど位相差値はほぼフラットになっていく。よって、波長依存性の高い正のモノマー単位と負のモノマー単位の共重合体の場合、短波長側で理想的な位相差としたときに、長波長側では理想からはずれてしまい、長波長側で理想的な位相差としたときに短波長側では理想から外れてしまうという問題があった。また、より多くの負のモノマー単位が必要となるため、正のモノマー単位との打ち消しあいにより位相差発現性の低下が起こるため、問題である。
1.光弾性定数の絶対値が30×10 −12 Pa −1 以下である1枚の高分子フィルムを延伸配向した1枚の高分子配向フィルムからなり、前記高分子配向フィルムが、下記[1]を満足する正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以下、正のモノマー単位という。)と、下記[2]を満足する負の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以下、負のモノマー単位という。)とを含む高分子から構成され、高分子配向フィルムは、ポリカーボネート共重合体配向フィルムであって、負のモノマー単位が下記式で表される単位(A)
および正のモノマー単位が下記式で表される単位(Ba1)、下記式で表される単位(Ba2)、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(ジオキサングリコール)およびイソソルビドからなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジヒドロキシ化合物から誘導される単位(B)であり、
単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が20/80〜70/30の範囲であり、高分子配向フィルムの波長550nmにおけるフィルム面内の位相差値R(550)がR(550)>50nmである有機ELディスプレイ用の位相差フィルム。
[1]正のモノマー単位に基づく高分子の波長400nm、550nm及び700nmにおけるフィルムの面内位相差値Ra(400)、Ra(550)及びRa(700)が下記式(1)及び(2)を満たす。
1.0<Ra(400)/Ra(550)<1.1 (1)
0.90<Ra(700)/Ra(550)<1.0 (2)
[2]負のモノマー単位に基づく高分子の波長400nm、550nm及び700nmにおけるフィルムの面内位相差値Rb(400)、Rb(550)及びRb(700)が下記式(3)及び(4)を満たす。
1.1<Rb(400)/Rb(550)<2.0 (3)
0.50<Rb(700)/Rb(550)<0.92 (4)
|Rz(400)/Rz(550)−400/550|<0.15 (5)
|Rz(700)/Rz(550)−700/550|<0.25 (6)
|Rz(400)/Rz(550)−400/550|2+|Rz(700)/Rz(550)−700/550|2 <0.05 (7)
0.3>Δn>0.003 (Δn=R(550)(nm)/厚み(nm))(8)
<波長分散性>
本発明の高分子配向フィルムは正のモノマー単位と負のモノマー単位とを含む高分子から構成されるフィルムである。正のモノマー単位に基づく高分子の波長400nm、550nm及び700nmにおけるフィルムの面内位相差値Ra(400)、Ra(550)及びRa(700)が下記式(1)、(2)
1.0<Ra(400)/Ra(550)<1.1 (1)
0.90<Ra(700)/Ra(550)<1.0 (2)
好ましくは、下記式(1)’および(2)’
1<Ra(400)/Ra(550)<1.05 (1)’
0.95<Ra(700)/Ra(550)<1.0 (2)’
より好ましくは、下記式(1)”および(2)”
1.01<Ra(400)/Ra(550)<1.04 (1)”
0.96<Ra(700)/Ra(550)<1.0 (2)”
を満たす。
1.1<Rb (400)/Rb (550)<2.0 (3)
0.50<Rb (700)/Rb (550)<0.92 (4)
好ましくは、下記式(3)’および(4)’
1.2<Rb(400)/Rb(550)<1.7 (3)’
0.70<Rb(700)/Rb(550)<0.92 (4)’
より好ましくは、下記式(3)”および(4)”
1.3<Rb(400)/Rb(550)<1.6 (3)”
0.80<Rb(700)/Rb(550)<0.92 (4)”
を満たす。
|RZ(400)/RZ(550)−400/550| <0.15 (5)
|RZ(700)/RZ(550)−700/550| <0.25 (6)
|RZ(400)/RZ(550)−400/550|2+|RZ(700)/RZ(550)−700/550|2 <0.05 (7)
より好ましくは、下記式(5)’、(6)’および(7)’
|RZ(400)/RZ(550)−400/550| <0.10 (5)’
|RZ(700)/RZ(550)−700/550| <0.23 (6)’
|RZ(400)/RZ(550)−400/550|2+|RZ(700)/RZ(550)−700/550|2 <0.047 (7)’
さらに好ましくは、下記式(5)”、(6)” および(7)”
|R(400)/R(550)−400/550| <0.05 (5)”
|R(700)/R(550)−700/550| <0.21 (6)”
|R(400)/R(550)−400/550|2+|R(700)/R(550)−700/550|2 <0.045 (7)”
を満たす。
R(λ)=cλ
(ここで、R(λ)は測定波長λ(nm)における位相差値(nm)、cはc>0なる定数である。λの範囲は400nm≦λ≦800nmである。)
を満足させる必要がある。そこで、短波長側では波長400nm、長波長側では波長700nmの値を指標とした。具体的には、下記式
|Rz(400)/Rz(550)−400/550|<0.15 (5)
|Rz(700)/Rz(550)−700/550|<0.25 (6)
|Rz(400)/Rz(550)−400/550|2+|Rz(700)/Rz(550)−700/550|2 <0.05 (7)
を満足する時に、反射モードにおけるクロスニコル化での黒が締まり、視認性に優れる。
R=(nx−ny)×d
但し、nxはフィルム面内の遅相軸(最も屈折率が高い軸)の屈折率であり、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率であり、dはフィルムの厚みである。
本発明の位相差フィルムの位相差発現性は好ましくは下記式(8)
0.3>Δn>0.003 (Δn=R(550)(nm)/厚み(nm)) (8)
より好ましくは下記式(8)’
0.1>Δn>0.0033(Δn=R(550)(nm)/厚み(nm)) (8)’
さらに好ましくは下記式(8)”
0.05>Δn>0.0035(Δn=R(550)( nm)/厚み(nm)) (8)”
を満たす。
本発明の位相差フィルムに使用される高分子のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは110〜180℃の範囲である。ガラス転移温度(Tg)が100℃より低いと、耐熱安定性に劣り、位相差値が経時変化して表示品位に影響を与える場合がある。またガラス転移温度(Tg)が200℃より高いと溶融製膜しようとする場合、粘度が高すぎて困難となる。ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
本発明の位相差フィルムに使用される高分子の光弾性定数の絶対値は、好ましくは30×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは25×10−12Pa−1以下である。絶対値が30×10−12Pa−1より大きいと、応力による複屈折が大きく、位相差フィルムとして使用する場合に光抜けが起こり、好ましくない。光弾性定数はフィルムから長さ50mm、幅10mmの試験片を切り出し、日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し測定する。
本発明の位相差フィルムは、単位(A)で表される負のモノマー単位、および単位(B)で表される負のモノマー単位を含むポリカーボネート共重合体が好ましい。
(単位(A))
単位(A)は下記式で表される。
pおよびqが1以上の整数の場合、単位(A)は下記式で表される(以下、単位(A3)と呼ぶことがある)。
単位(A3)を誘導する化合物は、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類と、基R3およびR4に対応する化合物(アルキレンオキサイド、ハロアルカノール等)とを反応させることにより得られる。例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンは、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキサイドを付加することにより得られる。9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンは、例えば、9,9−ビス[4−ヒドロキシフェニル]フルオレンと3−クロロプロパノールとをアルカリ条件下にて反応させることにより得られる。なお、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレンは、フルオレノン(9−フルオレノン等)と対応するフェノールとの反応により得ることができる。9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンは、例えば、フェノールと9−フルオレノンとの反応によって得ることができる。
単位(B)は、脂環式ジヒドロキシ化合物由来の繰り返し単位であり、脂環式ジヒドロキシ化合物としては、5員環構造又は6員環構造を含む化合物を用いる。5員環構造、6員環構造を用いることにより耐熱性を高くすることができる。また、5員環構造、6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素原子数は通常70以下5以上であり、好ましくは50以下6以上である。この値が大きくなるほど、耐熱性が高くなるが、合成が困難になったり、精製が困難になったり、コストが高価だったりする。炭素原子数が小さくなるほど、精製しやすく、入手しやすくなる。
これらの脂環式ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
これらの脂環式ジヒドロキシ化合物のうち、耐熱性、光学特性及び機械的性質の点より、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンー2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(ジオキサングリコール)、イソソルビドが好ましい。
ポリカーボネート共重合体中の、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)は、20/80〜70/30であり、好ましくは25/75〜65/35、より好ましくは30/70〜60/40である。モル比(A/B)が20/80未満および70/30を超える場合、ポリカーボネート共重合体の波長分散性が逆分散性ではなくなり、光学特性に問題がある。モル比(A/B)は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
ポリカーボネート共重合体は、フルオレンジヒドロキシ成分、脂環式ジヒドロキシ成分および炭酸ジエステルを溶融重合して製造することができる。
炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびビス(m−クレジル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。
ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
反応温度は通常120〜350℃の範囲であり、反応後期には系の減圧度を10〜0.1Torrに高めて生成するモノヒドロキシ化合物の留出を容易にさせて反応を完結させる。必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
本発明の位相差フィルムについて説明する。特に、反射防止フィルムとして使用することが好ましい。
位相差フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押し出し法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法を挙げることが出来る。本発明の位相差フィルムの製造法としては、溶液キャスト法、溶融押し出し法が好ましく、特に生産性の点から溶融押出法が好ましい。
また本発明の位相差フィルムの厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜150μmの範囲である。この範囲であれば、延伸による所望する位相差値が得やすく、製膜も容易で好ましい。
フィルム中央部分から長さ50mm、幅10mmの試験片を切り出し、日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し光弾性定数を測定した。
フィルムから長さ100mm、幅70mmの試験片を切り出し、Tg+10℃の延伸温度で2.0倍縦延伸し、得られたフィルムの中央部分を日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し位相差波長分散性を測定した。
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minにて測定した。
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、ポリマー組成比を算出した。
粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解し20℃の溶液で測定した。求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めた。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
市販されている反射型VA液晶パネルの両側の偏光板を剥離して、作成したフィルムに液晶からなる光学異方層を設け、偏光板と積層したものを作成したフィルムの光学異方層がパネル側となるように粘着剤を用いて貼り合わせて液晶パネルを得た。この液晶パネルの反射時の表示画面のコントラトの良好な順番に○、△、×とした。
<脂肪族ポリカーボネート重合体の製造>
シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)103.31部、ジフェニルカーボネート154.61部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.8×10−2部と水酸化ナトリウム1.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で240℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行った。
反応終了後、触媒量の4倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
次に、(株)テクノベル製15φ二軸押出混練機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたポリカーボネート共重合体をフィルム成形することにより透明な押出しフィルムを得た。得られたフィルムの中央部付近より切り出したサンプルの光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、同様に切り出したサンプルを51℃(Tg+10℃)にて長さ方向に2.0倍で一軸延伸し、延伸フィルムを得た。この延伸フィルムの位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表1に示す。
<脂肪族ポリカーボネート重合体の製造>
トリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカンジメタノール(以下TCDDMと略す)138.9部、ジフェニルカーボネート154.61部を用いた他は、参考例1と全く同様の操作を行い、脂肪族ポリカーボネートを得た。
次に参考例1と同様にしてフィルムを作成し、光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、参考例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表1に示す。
<脂肪族ポリカーボネート重合体の製造>
ジオキサングリコール(以下DOGと略す)154.47部、ジフェニルカーボネート154.61部を用いた他は、参考例1と全く同様の操作を行い、脂肪族ポリカーボネートを得た。
次に参考例1と同様にしてフィルムを作成し、光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、参考例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表1に示す。
<芳香族ポリカーボネート重合体の製造>
ビスフェノールA(以下BPAと略す)161.55部、ジフェニルカーボネート154.61部を用い、重合温度を280℃に上げた他は、参考例1と全く同様の操作を行い、芳香族ポリカーボネートを得た。
次に参考例1と同様にしてフィルムを作成し、光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、参考例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表1に示す。
<芳香族ポリカーボネート重合体の製造>
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた反応器にイオン交換水9809部、48%水酸化ナトリウム水溶液2271部を加え、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと略す)2939部及びナトリウムハイドロサルファイト4.5部を溶解し、クロロホルム6604部を加えた後、攪拌しながら16〜20℃にてホスゲン1000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール70部と48%水酸化ナトリウム水溶液327部を加え、さらにトリエチルアミン1.57部を添加して20〜27℃で40分間攪拌して反応を終了した。生成物を含む塩化メチレン層を希塩酸、純水にて洗浄後、塩化メチレンを蒸発させフルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂を得た。
この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープを作製した。このドープ溶液から公知の方法によりキャストフィルムを作製した。得られたフィルムの中央部付近より切り出したサンプルを用いて光弾性係数、粘度平均分子量、Tgを参考例1と同様に評価した。また、参考例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表1に示す。
<芳香族ポリカーボネート重合体の製造>
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下BPEFと略す)310.3部、ジフェニルカーボネート154.61部を用いた他は、参考例1と全く同様の操作を行い、芳香族ポリカーボネートを得た。
次に参考例1と同様にしてフィルムを作成し、光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、参考例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表1に示す。
<ポリカーボネート共重合体の製造>
CHDM67.35部、BCF90.94部、ジフェニルカーボネート154.61部および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.8×10−2部と水酸化ナトリウム1.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で260℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行った。
反応終了後、触媒量の4倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
次に、(株)テクノベル製15φ二軸押出混練機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたポリカーボネート共重合体をフィルム成形することにより透明な押出しフィルムを得た。得られたフィルムの中央部付近より切り出したサンプルの光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、同様に切り出したサンプルを126℃(Tg+10℃)にて長さ方向に2.0倍で一軸延伸し、延伸フィルムを得た。この延伸フィルムの位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表2に示す。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
TCDDM91.68部、BCF90.94部、ジフェニルカーボネート154.61部を用いた他は、参照例1と全く同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
次に参照例1と同様にしてフィルムを作成し、光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、参照例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表2に示す。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
TCDDM69.45部、BPEF155.15部、ジフェニルカーボネート154.61部用いた他は、参照例1と全く同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
次に参照例1と同様にしてフィルムを作成し、光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、参照例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表2に示す。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
DOG101.95部、BCF90.94部、ジフェニルカーボネート154.61部を用いた他は、参照例1と全く同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
次に参照例1と同様にしてフィルムを作成し、光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、参照例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表2に示す。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた反応器にイオン交換水9809部、48%水酸化ナトリウム水溶液2271部を加え、BPA585部、BCF1969部及びナトリウムハイドロサルファイト4.5部を溶解し、塩化メチレン6604部を加えた後、攪拌しながら16〜20℃にてホスゲン1000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール70部と48%水酸化ナトリウム水溶液327部を加え、さらにトリエチルアミン1.57部を添加して20〜27℃で40分間攪拌して反応を終了した。生成物を含む塩化メチレン層を希塩酸、純水にて洗浄後、塩化メチレンを蒸発させフルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂を得た。
この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープを作製した。このドープ溶液から公知の方法によりキャストフィルムを作製した。得られたフィルムの中央部付近より切り出したサンプルを用いて光弾性係数、粘度平均分子量、Tgを参考例1と同様に評価した。また、参考例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表2に示す。本フィルムは光弾性係数が42×10−12Pa−1と高く、応力による複屈折が大きい。また、波長分散性が短波長域においてλ/4とならず、色抜けなどが問題となる。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
BPA639部、BCF1881部を用いた他は、比較例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート共重合体樹脂を得た。
この共重合体を比較例1と同様にしてフィルムを作成し、光弾性定数、粘度平均分子量を測定した。また、参考例1と同様にTg+10℃にて2.0倍で一軸延伸し、位相差測定、波長分散性を測定した。結果を表2に示す。本フィルムは光弾性係数が45×10−12Pa−1と高く、応力による複屈折が大きい。そのため、位相差フィルムとして使用する場合に光抜けが起こり、好ましくない。また、波長分散性が長波長域においてλ/4とならず、色抜けなどが問題となる。
Claims (10)
- 光弾性定数の絶対値が30×10 −12 Pa −1 以下である1枚の高分子フィルムを延伸配向した1枚の高分子配向フィルムからなり、前記高分子配向フィルムが、下記[1]を満足する正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以下、正のモノマー単位という。)と、下記[2]を満足する負の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以下、負のモノマー単位という。)とを含む高分子から構成され、高分子配向フィルムは、ポリカーボネート共重合体配向フィルムであって、負のモノマー単位が下記式で表される単位(A)
および正のモノマー単位が下記式で表される単位(Ba1)、下記式で表される単位(Ba2)、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンー2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(ジオキサングリコール)およびイソソルビドからなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジヒドロキシ化合物から誘導される単位(B)であり、
単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が20/80〜70/30の範囲であり、高分子配向フィルムの波長550nmにおけるフィルム面内の位相差値R(550)がR(550)>50nmである有機ELディスプレイ用の位相差フィルム。
[1]正のモノマー単位に基づく高分子の波長400nm、550nm及び700nmにおけるフィルムの面内位相差値Ra(400)、Ra(550)及びRa(700)が下記式(1)及び(2)を満たす。
1.0<Ra(400)/Ra(550)<1.1 (1)
0.90<Ra(700)/Ra(550)<1.0 (2)
[2]負のモノマー単位に基づく高分子の波長400nm、550nm及び700nmにおけるフィルムの面内位相差値Rb(400)、Rb(550)及びRb(700)が下記式(3)及び(4)を満たす。
1.1<Rb(400)/Rb(550)<2.0 (3)
0.50<Rb(700)/Rb(550)<0.92 (4) - フィルムの面内位相差値Rz(400)、Rz(550)及びRz(700)が下記式(5)、(6)及び(7)を満たす請求項1記載の位相差フィルム。
|Rz(400)/Rz(550)−400/550|<0.15 (5)
|Rz(700)/Rz(550)−700/550|<0.25 (6)
|Rz(400)/Rz(550)−400/550|2+|Rz(700)/Rz(550)−700/550|2 <0.05 (7) - 高分子配向フィルムは、フィルムの位相差発現性(Δn)が下記式(8)を満たす配向フィルムである請求項1または2記載の位相差フィルム。
0.3>Δn>0.003 (Δn=R(550)(nm)/厚み(nm))(8) - 正のモノマー単位が、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンー2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(ジオキサングリコール)およびイソソルビドからなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジヒドロキシ化合物から誘導される単位(B)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 高分子は、そのガラス転移温度が100〜200℃の範囲にある請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- フィルムが溶融押出法またはキャスト法により成形したものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 位相差フィルムは、縦一軸延伸、横一軸延伸あるいは二軸延伸の方法により、(イ)延伸温度がポリカーボネート共重合体のガラス転移温度(Tg)に対して(Tg−20℃)〜(Tg+50℃)の範囲、(ロ)延伸倍率が1.05〜5倍、の条件で延伸されたフィルムである、請求項1記載の位相差フィルム。
- 請求項1記載の位相差フィルムを具備した有機ELディスプレイ。
- 請求項1記載の位相差フィルムと偏光層とからなる円偏光フィルム。
- 請求項9記載の円偏光フィルムを反射防止フィルムとして用いた表示素子。
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