JP6475046B2 - 熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents
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Description
位相差フィルムとしては、λ/4板、λ/2板が知られており、その材料としてはビスフェノールAを重縮合したポリカーボネートやポリエーテルサルフォン、ポリサルフォンなどの熱可塑性ポリマーが用いられている。これら材料のフィルムを延伸して得られたλ/4板、λ/2板は、短波長ほど位相差が大きくなるという性質がある。そのため、λ/4板、λ/2板として機能しうる波長が特定の波長に限られるという問題点があった。
また、特許文献3にはテンターにて横方向(幅方向)に延伸することにより、位相差や配向角の面内の均一性を高める方法が開示されている。しかしながら、フィルム幅方向の特性均一性や生産性に関する配慮はされていなかった。
すなわち、本発明は、以下の要件により達成される。
0.60 ≦ R450/R550 ≦ 0.95 (1)
該位相差フィルムの幅方向(TD)における延伸方向の熱収縮率の平均値xが2.5%以下、変動係数CVが0.15以下であり、該位相差フィルムの幅方向(TD)の配向角の標準偏差σが1.5°以下であることを特徴とする位相差フィルム。
(ただし、配向角の標準偏差σは製品全幅に対して20mm間隔でサンプリングした全データの標準偏差であり、熱収縮率の平均値xおよび変動係数CVは、製品全幅に対して200mm間隔でサンプリングした全データの平均値、変動係数である。)
下記式(B)で表される構成単位
下記式(C)で表される構成単位
下記式(D)で表される構成単位
3.前記1または2に記載の位相差フィルムを具備した液晶表示装置。
4.前記1または2に記載の位相差フィルムを具備した有機EL表示装置。
本発明の位相差フィルムを形成する熱可塑性樹脂は、側鎖にフルオレン構造を有する構造単位を含む熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。側鎖にフルオレン構造を有する構造単位を含む熱可塑性樹脂は耐熱性に優れ、光弾性係数が小さく、高透明であるなど優れた光学特性を示す。また、側鎖にフルオレン構造を有する構造単位を含む熱可塑性樹脂は、フルオレン骨格が主鎖に対して垂直に配向するため、大きな負の分子分極率異方性を取りうる。そのため、側鎖にフルオレン構造を有する構造単位の含有量を特定の範囲に制御することで、当該熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂からなる位相差フィルムは、逆波長分散性を有し、一枚のフィルムで広帯域化でき、円偏光板として反射防止フィルムや光学補償フィルムとして好適に使用できる。
mおよびnは、夫々独立して0〜4の整数を示す。
上記一般式(A1)を誘導する化合物である9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、o−クレゾールとフルオレノンの反応によって得られる。b値の小さい9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、不純物を除去することによって得ることができる。
pおよびqは、夫々独立して0〜4の整数を示す。
sおよびtは、それぞれ−(R5−O)−および−(O−R6)−の繰り返しの数を表す。sおよびtは、夫々独立して、0以上の整数であり、好ましくは1〜20の整数、さらに好ましくは1〜12の整数、さらにより好ましくは1〜8の整数、特に好ましくは1〜4の整数、最も好ましくは1である。
特に、下記一般式で示される9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)から誘導される単位(B1)が好ましい。
上記一般式(B1)を誘導する化合物は、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類と、基R5およびR6に対応する化合物(アルキレンオキサイド、ハロアルカノール等)とを反応させることにより得られる。例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンは、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキサイドを付加することにより得られる。9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンは、例えば、9,9−ビス[4−ヒドロキシフェニル]フルオレンと3−クロロプロパノールとをアルカリ条件下にて反応させることにより得られる。なお、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレンは、フルオレノン(9−フルオレノン等)と対応するフェノールとの反応により得ることができる。9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンは、例えば、フェノールと9−フルオレノンとの反応によって得ることができる。
上記一般式(D)を誘導する化合物の具体的例として、ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、1,2−ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]エタン、1,2−ビス[9−(2−メトキシカルボニルプロピル)フルオレン−9−イル]エタン、ビス[9−(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、1,2−ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]エタンが好ましい。
構成単位(E)は、脂肪族ジオール化合物および/または脂環族ジオール化合物から誘導されるカーボネート単位(E)である。脂肪族ジオール化合物および脂環式ジオール化合物としては、国際公開第2004/111106号、国際公開第2011/021720号に記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。
また、酸成分を共重合することにより、一部ポリエステルカーボネートとすることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂は側差にフルオレン構造を有する構成単位(FLと略称)と上記構成単位(E)で表される繰り返し単位とのモル比(FL/E)が、好ましくは10/90〜80/20である。より好ましくは12/88〜70/30、さらに好ましくは20/80〜60/40である。上記範囲外では波長分散性が理想直線からはずれ、好ましくない。また、上記構成単位(A)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、上記構成単位(B)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、上記構成単位(C)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、上記構成単位(E)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、上記構成単位(A)で表される繰り返し単位および上記構成単位(B)で表される繰り返し単位の両方を含むことがより好ましい。
構成単位(A)と構成単位(B)のモル比(A)/(B)は、0.3〜11.0が好ましく、0.4〜6.0がより好ましく、0.4〜3.0がさらに好ましく、0.5〜2.5がもっとも好ましい。モル比(A)/(B)が11.0より大きい場合、耐久安定性に劣り、位相差低下が発生する。また、モル比(A)/(B)が0.3より小さい場合、可とう性に劣り、フィルムが割れやすくなる。
また、構成単位(A)および/または構成単位(B)、および/または構成単位(C)、および/または構成単位(D)、ならびに構成単位(E)の合計が全繰り返し単位を基準として好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。
その他のジオールとしては芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。具体的には、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂は、フルオレンジヒドロキシ成分、フルオレンジカルボン成分、脂肪族ジオール成分および炭酸ジエステルを溶融重合して製造することができる。
炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびビス(m−クレジル)カーボネート
等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
溶融重縮合反応は、従来知られているように不活性ガス雰囲気下および減圧下で加熱しながら攪拌して生成するモノヒドロキシ化合物を留出させることで行なわれる。
反応温度は通常120〜350℃の範囲であり、反応後期には系の減圧度を10〜0.1Torrに高めて生成するモノヒドロキシ化合物の留出を容易にさせて反応を完結させる。必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
また、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
本発明に使用される熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは128〜170℃、より好ましくは133〜150℃、さらに好ましくは135〜148℃、最も好ましくは137〜148℃の範囲である。ガラス転移温度(Tg)が128℃より低いと、耐熱安定性に劣り、位相差値が経時変化して表示品位に影響を与える場合がある。また、ガラス転移温度(Tg)が170℃より高いと、溶融製膜を行う場合、溶融粘度が高すぎて押出しが困難となることがある。
未延伸フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押出法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法を挙げることが出来る。本発明に用いる未延伸フィルムの製造法としては、溶液キャスト法、溶融押出法が好ましく、特に生産性の点から溶融押出法が好ましい。
溶融押出法においては、Tダイを用いて樹脂を押し出し冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。Tダイから押出されるときの樹脂温度は熱可塑性樹脂の分子量、Tg、溶融流動特性等から決められるが、180〜350℃の範囲であり、200℃〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より低いと粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすく好ましくない。また、350℃より高いと熱劣化、着色、Tダイからのダイライン(筋)等の問題が起きやすい。
本発明に用いる未延伸フィルムの厚みとしては、20〜400μmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜300μmの範囲である。
本発明に用いる未延伸フィルムの厚みが、20μm未満の場合は、延伸後に所望される位相差の発現が困難となる。また、400μmを超えると延伸後にデバイスとして組み込んだ際の厚みが厚くなる。
かくして得られた未延伸フィルムは少なくとも幅方向に延伸配向され位相差フィルムとなる。延伸方法は、テンター等を用いる横一軸延伸、あるいは縦一軸・横一軸を組み合わせた同時二軸延伸、逐次二軸延伸等、公知の方法を用いることが出来る。
ここで、幅と横は、同じ意味である。
本発明の位相差フィルムを作成する方法に特に制限はないが、未延伸フィルムの両端をクリップで把持してテンターに導き、フィルムを所定温度で予熱後、加熱しながら横延伸し、その後、加熱しながら幅を狭め弛緩する方法が好ましい。
両エッジをトリミングした後の製品幅は1000mm以上であることが必要である。製品幅が狭いと、位相差フィルムを適用される表示装置のサイズに切り出す時の取り効率が著しく悪くなる。
フィルムを横延伸する際の予熱温度は(Tg−5℃)以上(Tg+25℃)以下が好ましく、(Tg℃)以上(Tg+20℃)以下がより好ましく、(Tg+5℃)以上(Tg+15℃)以下がさらに好ましい。
フィルムを横延伸する際の予熱温度が、(Tg+25℃)を超える場合は、所望する位相差の発現が困難である。また、(Tg−5℃)未満の場合は、所望する予熱の効果が得られず延伸時に破断する。
フィルムを横延伸する際の延伸温度は(Tg−10℃)以上(Tg+20℃)以下が好ましく、(Tg−5℃)以上(Tg+15℃)以下がより好ましく、(Tg℃)以上(Tg+10℃)以下がさらに好ましい。延伸温度が、(Tg+20℃)を超えると所望する位相差の発現が困難であり、延伸温度が、(Tg−10℃)未満の場合には延伸時に破断する。
フィルムを横延伸する際の延伸速度は延伸倍率を延伸に要する時間で除した値であり、1.5倍/分以上10.0倍/分以下が好ましく、2.0倍/分以上9.0倍/分以下がより好ましく、3.0倍/分以上8.0倍/分以下がさらに好ましい。延伸速度が、10.0倍/分を超える場合には延伸時に破断する。延伸速度が、1.5倍未満の場合には所望する位相差の発現が困難である。
延伸工程に連続して行う幅方向の弛緩処理を適当に行うことで、熱収縮率を所定の値以下とし、さらに熱収縮率および配向角の製品幅方向のばらつきを制御することが可能である。
本発明の位相差フィルムの厚みは、好ましくは20〜200μmであり、より好ましくは20〜150μmの範囲である。この範囲であれば、延伸により所望する位相差値が得やすく、製膜も容易で好ましい。
また、本発明の位相差フィルムは透明性が高いことが好ましい。厚さ100μmの本発明の位相差フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上である。また本発明の位相差フィルムのヘイズ値は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
本発明で使用される熱可塑性樹脂を用いてなる未延伸フィルムを延伸することで、波長400〜800nmの可視光領域において、フィルム面内の位相差が短波長になるほど小さくなる逆波長分散性を示す光学フィルムを得ることができる。かかる延伸された位相差フィルムは、下記式(1)の条件を満たすことが必要である。
0.60 ≦ R(450)/R(550)≦0.95 (1)
好ましくは、下記式(1−1)の条件を満たすことが好ましい。
0.65≦R(450)/R(550)≦0.92 (1−1)
より好ましくは、下記式(1−2)の条件を満たすことが好ましい。
0.70≦R(450)/R(550)≦0.90 (1−2)
最も好ましくは、下記式(1−5)の条件を満たすことが好ましい。
0.70≦R(450)/R(550)≦0.85 (1−3)
ここで面内の位相差値Rとは下記式で定義されるものであり、フィルムに垂直方向に透過する光のX方向とそれと垂直のY方向との位相の遅れを現す特性である。
R=(nx−ny)×d
但し、nxはフィルム面内の主延伸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の主延伸方向と垂直方向の屈折率であり、dはフィルムの厚みである。ここで、主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度があがるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。
光学フィルムの波長分散性は、日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し測定される。
本発明の位相差フィルムは、幅方向(TD)における延伸方向の熱収縮率の平均値xが2.5%以下であり、2.0%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましい。
熱収縮率の平均値xが2.5%より大きいと延伸時にフィルムが破断しやすく、工程安定性が低下する。
本発明の位相差フィルムは、幅方向(TD)における延伸方向の熱収縮率の変動係数CVが0.15以下であり、0.12以下が好ましく、0.10以下がより好ましい。
熱収縮率の変動係数CVが0.15より大きいと延伸時にフィルムが破断しやすく、工程安定性が低下する。
配向角とは、フィルム面内遅相軸方向とフィルム幅方向(TD)のなす角度で表される。本発明の位相差フィルムは、幅方向(TD)における配向角の標準偏差σが1.5°以下であり、1.2°以下が好ましく、1.0°以下がより好ましい。配向角の標準偏差σが1.5°より大きいと延伸時にフィルムが破断しやすく、工程安定性が低下する。
また、測定方法については、フィルムから長さ50mm、全幅(TD方向)の試験片を切り出し、王子計測機器株式会社製KOBRA−WFDを使用し、20mm間隔ごとにフィルム幅方向(TD)の配向角を全幅について測定する。得られた値を用いて配向角の幅方向標準偏差σを算出する。
本発明の光学フィルムは、特に位相差フィルムとして好適に用いることができる。本発明は、上記位相差フィルムを具備した画像表示装置(液晶表示装置や有機EL表示装置)を包含する。本発明においては、上記位相差フィルムと偏光層とからなる積層体を円偏光フィルムとし、これを反射防止フィルムとして好適に使用できる。また、上記位相差フィルムは画像表示装置の偏光板保護フィルムや光学補償フィルムとして好適に使用できる。
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、ポリマー組成比を算出した。
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minにて測定した。
位相差フィルム全幅の中央付近から長さ100mm、幅70mmの試験片を切り出し、王子計測機器(株)製KOBRA−WFDを使用し、位相差値および波長分散性を測定した。
フィルムから幅方向に200mm間隔ごとに長さ(MD方向)4mm、幅(TD方向)30mmの試験片を切り出し、20mm間隔の保持治具でチャックした後、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製TMA/SS6100を使用して、40mNの張力下で120℃3時間保持した後のサンプル長を測定し、熱収縮率を評価した。得られた値を用いて熱収縮率の幅方向平均値、及び変動係数CV=標準偏差σ/平均値xを算出する。
フィルムから長さ50mm、全幅(TD方向)の試験片を切り出し、王子計測機器株式会社製KOBRA−WFDを使用し、20mm間隔ごとにフィルム幅方向(TD)の配向角を全幅について測定した。得られた値を用いて配向角の幅方向標準偏差σを算出した。
工程安定性を、テンターによる横延伸を10時間実施した場合の破断回数により、破断回数が0〜2回の場合は◎、3〜5回の場合は〇、6回以上の場合は×として評価した。
<ポリカーボネート共重合体の製造>
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと略す)37.0部,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下BPEFと略す)34.3部、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(以下SPGと略す)65.5部、ジフェニルカーボネート85.7部および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.6×10−3部と炭酸水素ナトリウム1.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で260℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行った。
反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
<未延伸フィルムの製造>
次に、幅1,200mm、リップ幅1.5mmのTダイおよびフィルム引取り装置を備えた押出機により、押出温度270℃の条件でポリカーボネート樹脂を溶融製膜し、幅800mm、厚み150μmの未延伸フィルムを得た。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度4.1倍/分、弛緩温度132℃、弛緩率0.045、弛緩速度0.037/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
BCF14.8部、BPEF77.3部、SPG53.6部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<未延伸フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして厚み138μmのフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度135℃、延伸温度130℃、延伸倍率2.3倍、延伸速度7.5倍/分、処理温度125℃、弛緩率0.018、弛緩速度0.030/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
BCF51.9部、SPG77.5部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にして厚み138μmのフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度150℃、延伸温度146℃、延伸倍率2.3倍、延伸速度9.0倍/分、弛緩温度138℃、弛緩率0.032、弛緩速度0.063/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度1.6倍/分、弛緩温度130℃、弛緩率0.045、弛緩速度0.015/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度150℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度8.2倍/分、弛緩温度140℃、弛緩率0.030、弛緩速度0.049/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度4.1倍/分、弛緩温度132℃、弛緩率0.060、弛緩速度0.049/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度4.1倍/分、弛緩温度132℃、弛緩率0.015、弛緩速度0.012/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度7.4倍/分、弛緩温度132℃、弛緩率0.045、弛緩速度0.066/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリエステルカーボネート共重合体樹脂の製造>
ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(以下BFMと略す)342部、SPG403部、触媒としてテトラ―n―ブチルチタネート0.28重量部を用いて、220℃で120分間常圧で反応し、その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、常圧に戻し、イソソルビド(以下ISSと略す)400部、DPC750重量を加え、220℃で30分間溶解した後、さらに30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計5時間撹拌下で反応を行い、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度143℃、延伸温度140℃、延伸倍率2.3倍、延伸速度7.5倍/分、弛緩温度130℃、弛緩率0.030、弛緩速度0.049/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度150℃、延伸温度147℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度12.3倍/分、弛緩温度136℃、弛緩率0.020、弛緩速度0.049/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表2に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度4.1倍/分、弛緩温度155℃、弛緩率0.045、弛緩速度0.037/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表2に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度4.1倍/分、弛緩温度60℃、弛緩率0.030、弛緩速度0.025/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表2に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度4.1倍/分、弛緩温度132℃、弛緩率0.080、弛緩速度0.066/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表2に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度146℃、延伸温度143℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度4.1倍/分、弛緩温度132℃、弛緩率0.005、弛緩速度0.004/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表2に記載した。
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
実施例1と同様の操作を行い、脂肪族芳香族ポリカーボネート共重合体を得た。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
<位相差フィルムの延伸>
得られた未延伸フィルムをテンターにて、予熱温度150℃、延伸温度147℃、延伸倍率2.5倍、延伸速度8.2倍/分、弛緩温度136℃、弛緩率0.060、弛緩速度0.098/分で横延伸して両エッジをトリミングし、製品幅1500mmの位相差フィルムを得た。評価結果を表2に記載した。
Claims (4)
- 下記式(A)、(B)、(C)および(D)から選ばれる少なくとも1種の構成単位と脂肪族ジオール化合物および/または脂環族ジオール化合物から誘導されるカーボネート構成単位(E)を含む熱可塑性樹脂より形成される光学フィルムを少なくとも幅方向(TD)に延伸してなる位相差フィルムであって、厚みが20μm以上200μm以下、製品幅1000mm以上であり、波長450nmにおける面内位相差値R450と波長550nmにおける面内位相差値R550の関係が下記式(1)を満たし、
0.60 ≦ R450/R550 ≦ 0.95 (1)
該位相差フィルムの幅方向(TD)における延伸方向の熱収縮率の平均値xが2.5%以下、変動係数CVが0.15以下であり、該位相差フィルムの幅方向(TD)の配向角の標準偏差σが1.5°以下であることを特徴とする位相差フィルム。
(ただし、配向角の標準偏差σは製品全幅に対して20mm間隔でサンプリングした全データの標準偏差であり、熱収縮率の平均値xおよび変動係数CVは、製品全幅に対して200mm間隔でサンプリングした全データの平均値、変動係数である。)
下記式(A)で表される構成単位
下記式(B)で表される構成単位
下記式(C)で表される構成単位
下記式(D)で表される構成単位
- ガラス転移温度が128℃以上155℃以下の範囲である熱可塑性樹脂より形成される光学フィルムを延伸してなる請求項1に記載の位相差フィルム。
- 請求項1または2に記載の位相差フィルムを具備した液晶表示装置。
- 請求項1または2に記載の位相差フィルムを具備した有機EL表示装置。
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