JP2003167122A - 偏光板 - Google Patents

偏光板

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JP2003167122A
JP2003167122A JP2001365707A JP2001365707A JP2003167122A JP 2003167122 A JP2003167122 A JP 2003167122A JP 2001365707 A JP2001365707 A JP 2001365707A JP 2001365707 A JP2001365707 A JP 2001365707A JP 2003167122 A JP2003167122 A JP 2003167122A
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film
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carbon atoms
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polarizing plate
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JP2001365707A
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Tsukasa Yamada
司 山田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い波長領域でλ/4を達成し、さらに薄層
化が可能な偏光板、特に液晶表示装置に適用可能な係る
偏光板を提供する。 【解決手段】 波長450nmで測定したレターデーシ
ョン値(Re450)が100〜125nmであり、波
長590nmで測定したレターデーション値(Re59
0)が120〜160nmであり、{(Re590)−
(Re450)}≧2nmの関係を満足する一枚の位相
差フィルムおよび偏光膜を含む偏光板であって、前記位
相差フィルムは、少なくともフルオレン骨格、α,ω−
アルキレン骨格または架橋環式炭化水素骨格からなるビ
スフェノール誘導体Aと、フルオレン骨格、α,ω−ア
ルキレン骨格および架橋環式炭化水素骨格のいずれも含
まないビスフェノール誘導体Bを共重合させたポリカー
ボネート系樹脂からなり、前記位相差フィルムの面内の
遅相軸と前記偏光膜の透過軸とが交差していることを特
徴とする偏光板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位相差フィルムお
よび偏光膜からなる偏光板の技術分野に属し、特に本発
明は、反射型液晶表示装置、およびタッチパネル式液晶
表示装置において使用される円偏光板(λ/4板+偏光
素子)として有効な偏光板の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】λ/4板は、反射防止膜や液晶表示装置
に関連する多くの用途を有しており、既に実際に多面的
に使用されている。しかしながら、従来、液晶表示装置
に用いられているλ/4板は、λ/4板と称されている
ものの、ある特定波長でのみλ/4の特性を達成してい
るものが大部分であり、広帯域においてはその効果は十
分ではない。特開平5−27118号および同5−27
119号の各公報には、レターデーションが大きい複屈
折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折率フ
ィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた
位相差板が開示されている。二枚のフィルムのレターデ
ーションの差が、可視光域の全体にわたりλ/4であれ
ば、位相差板は理論的には、可視光域の全体にわたりλ
/4板として機能する。
【0003】また、特開平10−68816号公報に
は、特定波長においてλ/4となっているポリマーフィ
ルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/
2となっているポリマーフィルムとを積層させて、広い
波長領域でλ/4が得られる位相差板が開示されてい
る。特開平10−90521号公報にも、二枚のポリマ
ーフィルムを積層することにより広い波長領域でλ/4
を達成できる位相差板が開示されている。しかしなが
ら、二枚のポリマーフィルムを積層して、位相差フィル
ムを作製するためには、二枚のポリマーフィルムの角度
を厳密に調整しながら積層する必要がある。また、2枚
のフィルムの積層により位相差フィルム自体の厚みが厚
くなるため、薄層化が進められている液晶表示装置など
への適用には不都合であるといえる。また、液晶表示装
置の薄層化が進むにつれ、位相差フィルムおよび偏光板
等も薄層化する必要性が大きくなってきたが、薄層化は
困難であるのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記諸問題
に鑑みなされたものであって、広い波長領域で優れた特
性を有するとともに、薄層化が可能な偏光板、特に、液
晶表示装置に適用可能な偏光板を提供することを課題と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
重ねた結果、少なくともフルオレン骨格、α,ω−アル
キレン骨格または架橋環式炭化水素骨格からなるビスフ
ェノール誘導体Aと、フルオレン骨格、α,ω−アルキ
レン骨格および架橋環式炭化水素骨格のいずれも持たな
いビスフェノール誘導体Bとを共重合させたポリカーボ
ネート系樹脂が、光学特性において優れたλ/4板とし
て機能することを見出した。さらに、この知見に基づい
て検討を重ねた結果、前記樹脂からなるフィルムは、延
伸後の面内レターデーションが長波長側ほど大きく、広
い範囲でλ/4を実現でき、偏光板の部材として用いた
場合に優れた効果を奏するということ、さらに、前記樹
脂を用いるとガラス転移点が高いフィルムを作製でき、
高温でも位相差の変化が少なく、耐久性を高めることが
できることを見出した。さらに、前記樹脂からなるフィ
ルムは、偏光子との密着性および寸法安定性に優れてい
るので、前記樹脂からなるフィルムを位相差フィルムお
よび偏光子の保護フィルムとして兼用することで偏光板
の薄層化が可能となるとの知見を得、この知見に基づい
て本発明を完成するに至った。なお、特開平07−21
6078号公報には、少なくともフルオレン骨格からな
るビスフェノール誘導体と、フルオレン骨格を持たない
ビスフェノール誘導体とを共重合させたポリカーボネー
ト系樹脂からなる位相差フィルムについての記載がある
が、上記公報中ではλ/4板としてではなく、STN用
の位相差フィルムとしての用途を前提としたものであ
る。本発明は、前記樹脂フィルムについて上記特性を新
たに見出し、この知見に基づいて完成された、前記樹脂
フィルムを部材として備えた偏光板に係わる発明であ
り、前記公報に開示されたSTN用の位相差フィルムと
は区別される。
【0006】すなわち、前記課題を解決するための手段
は以下の通りである。 (1) 波長450nmで測定したレターデーション値
(Re450)が100〜125nmであり、波長59
0nmで測定したレターデーション値(Re590)が
120〜160nmであり、且つ{(Re590)−
(Re450)}≧2nmの関係を満足する一枚の位相
差フィルムと、偏光膜とを含む偏光板であって、前記位
相差フィルムは、少なくともフルオレン骨格、α,ω−
アルキレン骨格または架橋環式炭化水素骨格からなるビ
スフェノール誘導体Aと、フルオレン骨格、α,ω−ア
ルキレン骨格および架橋環式炭化水素骨格のいずれも含
まないビスフェノール誘導体Bとを共重合させたポリカ
ーボネート系樹脂からなり、前記位相差フィルムの面内
の遅相軸と前記偏光膜の透過軸とが交差していることを
特徴とする偏光板。 (2) 前記ポリカーボネート系樹脂の面内の遅相軸方
向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率n
yおよび厚み方向の屈折率nzが、1≦{(nx−n
z)/(nx−ny)}≦2の関係を満足することを特
徴とする(1)に記載の偏光板。 (3) 前記位相差フィルムの面内の遅相軸が前記偏光
膜の透過軸と実質的に45°で交差していることを特徴
とする(1)または(2)に記載の偏光板。
【0007】(4) 前記ポリカーボネート系樹脂が、
下記一般式(1)で表されるフルオレン骨格からなるビ
スフェノール誘導体Aの繰り返し単位と、下記一般式
(2)で表されるビスフェノール誘導体Bの繰り返し単
位とからなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれ
か1項に記載の偏光板。
【0008】一般式(1)
【化8】
【0009】一般式(1)において、R1〜R8はそれぞ
れ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の
炭化水素基から選ばれるいずれかを表すが、但し、R1
〜R8がすべて水素原子になることはない。
【0010】一般式(2)
【化9】
【0011】一般式(2)において、R11〜R18はそれ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6
の炭化水素基から選ばれるいずれかを表し、Xは炭素数
1〜15の炭化水素基を表す。
【0012】(5) 前記ビスフェノール誘導体Aが、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニル)フ
ルオレンであることを特徴とする(1)〜(4)のいず
れかに記載の偏光板。 (6) 前記ビスフェノール誘導体Bが、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである(1)〜5
のいずれかに記載の偏光板。 (7) 前記ビスフェノール誘導体Aが、下記一般式
(3)で表される二価フェノールと、フェノール性水酸
基を有する3官能以上の多官能性有機化合物と、炭酸エ
ステル形成化合物とを反応させて得られる分岐ポリカー
ボネートであることを特徴とする(1)〜(3)のいず
れかに記載の偏光板。
【0013】一般式(3)
【化10】
【0014】一般式(3)において、R31およびR
32は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアル
キル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭素数
6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表し、a
およびbは各々独立に0〜4のいずれかの整数を表し、
Xは、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、
−SO2−、−CR3334−(ここで、R33およびR34
は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5
〜8のシクロアルキル基または炭素数6〜12の置換若
しくは無置換のアリール基を示す)、炭素数5〜11の
置換若しくは無置換のシクロアルキリデン基または炭素
数2〜10のα,ω−アルキレン基またはフルオレン基
を表し、ただし、上記においてaおよびbの双方が0の
場合には、Xが−C(CH32−になることはないもの
とする。
【0015】(8) 前記ビスフェノール誘導体Aが、
下記一般式(4)で表される構造単位および下記一般式
(5)で表される構造単位の少なくとも一種を構造中に
含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載
の偏光板。
【0016】一般式(4)
【化11】
【0017】一般式(4)において、R41〜R44は、各
々独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素
数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、
炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキ
シ基または炭素数7〜17のアラルキル基を表す。な
お、R41〜R44が炭素原子を有する場合は、該炭素原子
に置換基を有していてもよい。
【0018】一般式(5)
【化12】
【0019】式中Wは、下記の一般式群Iから選ばれる
いずれかを表す。)
【0020】一般式群I
【化13】
【0021】一般式群Iの各一般式において、R55〜R
58は、各々独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリ
ール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5の
アルコキシ基または炭素数7〜17のアラルキル基を表
す。なお、R55〜R58が炭素原子を有する場合は、該炭
素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5の
アルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、
塩素、臭素およびヨウ素から選ばれるハロゲン原子、ジ
メチルポリシロキシ基およびアルキルアリールポリシロ
キシ基から選ばれる少なくとも1種を有していてもよ
い。Yは下記二価基群IIから選ばれるいずれかを表す。
【0022】二価基群II
【化14】
【0023】二価基群IIにおいて、R61およびR62は各
々水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5
のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基もしくは
炭素数6〜12のアリール基を表し、またはR61および
62が結合して形成された炭素数5〜20の炭素環もし
くは複素環を表し、nは4〜20のいずれかの整数を表
す。
【0024】(9) 前記偏光膜が、ポリビニルアルコ
ール系の延伸フィルムに、ヨウ素または二色性色素を吸
着配向させてなることを特徴とする(1)〜(8)のい
ずれかに記載の偏光板。 (10) 前記位相差フィルムが、前記偏光膜の保護膜
として機能していることを特徴とする(1)〜(9)の
いずれかに記載の偏光板。 (11) 前記偏光膜に対して、前記位相差フィルムと
逆側に偏光膜保護膜を備え、前記偏光保護膜は、面内レ
ターデーションが30nm以下のトリアセチルセルロー
スフィルムまたはポリカーボネート系フィルムであるこ
とを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の偏
光板。 (12) 前記偏光膜保護膜が少なくともフルオレン骨
格、α,ω−アルキレン骨格または架橋環式炭化水素骨
格からなるビスフェノール誘導体Aと、フルオレン骨
格、α,ω−アルキレン骨格および架橋環式炭化水素骨
格のいずれも持たないビスフェノール誘導体Bとを共重
合させたポリカーボネート系樹脂からなることを特徴と
する(11)に記載の偏光板。 (13) 前記位相差フィルムの100℃条件下におけ
る長さ方向の熱寸法変化率が、0.001%〜0.04
%であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか
に記載の偏光板。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の偏光板について詳
細に説明する。本発明の偏光板は、特定の位相差フィル
ムと偏光膜とを、前記位相差フィルムの面内の遅相軸
と、前記偏光膜の透過軸とを交差させて積層した構成で
ある。ここで、本発明において「交差している」とは、
面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度が垂直でも平行
でもないことをいう。好ましくは前記位相差フィルムの
面内の遅相軸と、前記偏光膜の透過軸とを30°〜70
°で交差させて、より好ましくは実質的に45°で交差
させて積層する。実質的に45°で積層すると円偏光板
が得られる。実質的に45°とは、40〜50°である
ことを意味する。前記位相差フィルムの面内の遅相軸と
偏光膜の偏光軸との角度は、41〜49°であることが
好ましく、42〜48°であることがより好ましく、4
3〜47°であることがさらに好ましく、44〜46゜
であることが最も好ましい。
【0026】以下、本発明の偏光板を構成している各部
材について説明する。まず、本発明の偏光板に用いられ
る位相差フィルムについて説明する。 [位相差フィルム]本発明の偏光板は、ポリカーボネー
ト系樹脂からなる位相差フィルムを有する。前記ポリカ
ーボネート系樹脂は、少なくともフルオレン骨格、α,
ω−アルキレン骨格または架橋環式炭化水素骨格からな
るビスフェノール誘導体Aと、フルオレン骨格、α,ω
−アルキレン骨格および架橋環式炭化水素骨格のいずれ
も持たないビスフェノール誘導体Bとを共重合させたポ
リカーボネート系樹脂である。フルオレン骨格、α,ω
−アルキレン骨格または架橋環式炭化水素骨格を有する
ビスフェノール誘導体を用いることで、ポリマーフィル
ムのガラス転移点を高くすることができ耐熱性に優れた
フィルムを作製することができる。ここで、「フルオレ
ン骨格、α,ω−アルキレン骨格または架橋環式炭化水
素骨格からなるビスフェノール誘導体」とは、2つのフ
ェノールをいずれかの骨格で連結した構造を有する化合
物をいう。
【0027】前記ポリカーボネート系樹脂の好ましい態
様として、下記一般式(1)で表されるフルオレン骨格
からなるビスフェノール誘導体の繰り返し単位と、下記
一般式(2)で表される非フルオレン骨格からなるビス
フェノール誘導体の繰り返し単位とを含む共重合ポリカ
ーボネート系樹脂が挙げられる。この態様において、下
記一般式(1)で表される繰り返し単位は、下記一般式
(1)および(2)で表される各々の繰り返し単位の合
計に対して、5〜70モル%であるのが好ましく、10
〜60モル%であるのがより好ましく、20〜50モル
%であるのがさらに好ましい。但し、モル%が減少しす
ぎると耐熱性が不十分となる場合があるため、20〜5
0モル%の中でもより高いほうが好ましい。
【0028】一般式(1)
【化15】
【0029】一般式(2)
【化16】
【0030】前記一般式(1)において、R1〜R8はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜
6の炭化水素基から選ばれるいずれかを表すが、但し、
1〜R8がすべて水素原子になることはない。ハロゲン
原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が例示
できる。炭素数1〜6の炭化水素基としてはメチル基、
エチル基が例示できる。前記一般式(1)で表される繰
り返し単位となるモノマーの具体例としては、9,9−
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ
−3−クロロフェニル)フルオレン等が例示され、中で
も、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)フルオレンが好ましい。
【0031】前記一般式(2)において、R11〜R18
それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1
〜6の炭化水素基から選ばれるいずれかを表し、Xは炭
素数1〜15の炭化水素基を表す。前記一般式(2)で
表される繰り返し単位となるモノマーの具体例として
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
クロロフェニル)プロパン等が例示され、中でも、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフ
ェノールA)が好ましい。
【0032】前記一般式(1)で表される繰り返し単位
を2種類以上組み合わせてもよいし、および/または前
記一般式(2)で表される繰り返し単位を2種類以上組
み合わせてもよい。また、本発明には、2種類上のポリ
カーボネート系樹脂を混合して用いてもよい。
【0033】また、前記ポリカーボネート系樹脂の他の
好ましい態様として、前記ビスフェノール誘導体Aが、
下記一般式(3)で表される二価フェノールと、フェノ
ール性水酸基を有する3官能以上の多官能性有機化合物
と、炭酸エステル形成化合物とを反応させて得られる分
岐ポリカーボネートであるポリカーボネート系樹脂が挙
げられる。分岐構造を導入することにより、フィルムの
ガラス転移点を上昇させることができる。
【0034】一般式(3)
【化17】
【0035】前記一般式(3)において、R31およびR
32は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアル
キル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭素数
6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表す。炭
素数1〜6のアルキル基としては、メチル基およびエチ
ル基が例示できる。炭素数5〜8のシクロアルキル基と
しては、シクロへキサン等が例示できる。炭素数6〜1
2の置換若しくは無置換のアリール基としては、フェニ
ル基、ベンジル基等が例示でき、置換基としては、炭素
数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、
炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリー
ル基が挙げられる。
【0036】前記一般式(3)において、aおよびbは
0〜4のいずれかの整数を表す前記一般式(3)におい
て、Xは、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO
−、−SO2−、−CR3334−、炭素数5〜11の置
換若しくは無置換のシクロアルキリデン基または炭素数
2〜10のα,ω−アルキレン基またはフルオレン基を
表し、R33およびR34は、各々独立に、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭
素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表
す。前記シクロアルキリデン基の置換基の置換基として
は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケ
ニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜12
のアリール基が挙げられる。R33およびR34の例示とし
ては、R31およびR32の各々と同様である。但し、aお
よびbの双方が0の場合には、Xが−C(CH32−に
なることはないものとする。
【0037】前記ポリカーボネート系樹脂の他の好まし
い態様として、前記ビスフェノール誘導体Aが、下記一
般式(4)で表される構造単位および下記一般式(5)
で表される構造単位の少なくとも一種を構造中に含む化
合物であるポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
【0038】一般式(4)
【化18】
【0039】前記一般式(4)において、R41〜R
44は、各々独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリ
ール基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6の
アルコキシ基または炭素数7〜17のアラルキル基を表
す。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリ
ール基の具体例としては、前記一般式(3)中のR31
よびR32各々表すアルキル基およびアリール基と同様で
ある。炭素数2〜6のアルケニル基としては、エテニル
基、プロペニル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基
等が例示できる。炭素数1〜6のアルコキシ基として
は、メトキシ基、エトキシ基等が例示できる。炭素数7
〜17のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチ
ル基等が例示できる。なお、R41〜R44が炭素原子を有
する場合は、該炭素原子は置換基を有していてもよく、
該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数
2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、
炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
【0040】一般式(5)
【化19】
【0041】前記一般式(5)において、Wは、下記の
一般式群Iから選ばれるいずれかを表す。
【0042】一般式群I
【化20】
【0043】一般式群Iの各一般式において、R55〜R
58は、各々独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリ
ール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5の
アルコキシ基または炭素数7〜17のアラルキル基を表
す。各基の具体例としては、前記一般式(4)中の、R
41〜R44の各々の具体例と同様である。
【0044】なお、R55〜R58が炭素原子を有する場合
は、該炭素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数
2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、
フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれるハロゲン
原子、ジメチルポリシロキシ基およびアルキルアリール
ポリシロキシ基から選ばれる少なくとも1種を有してい
てもよい。
【0045】前記一般式群Iの各一般式において、Yは
下記二価基群IIから選ばれるいずれかを表す。
【0046】二価基群II
【化21】
【0047】前記二価基群IIにおいて、R61およびR62
は各々水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2
〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基もし
くは炭素数6〜12のアリール基を表し、またはR61
よびR62が結合して形成された炭素数5〜20の炭素環
もしくは複素環を表し、nは4〜20のいずれかの整数
を表す。好ましくは5〜10のいずれかの整数を表す。
【0048】また、本発明では、上記のポリカーボネー
ト系樹脂の2種類以上を混合して用いてもよい。
【0049】本発明に用いるポリカーボネート系樹脂の
重合度は、ウベローデ型粘度計を用い、塩化メチレン溶
媒、20℃で測定し、外挿して求めた極限粘度ηが0.
15〜2.0dl/gであることが好ましい。ηが0.
15dl/gより低い場合は、十分な強度を有するフィ
ルムもしくはシート状成型物を得ることができないこと
がある。また、2.0dl/gより大きい場合は、成型
が困難になる場合がある。極限粘度は、より好ましくは
0.3〜1.5dl/gであり、さらに好ましくは0.
35〜1.0dl/gである。
【0050】また、共重合ポリカーボネート樹脂を2種
類以上混合して用いる場合には、上記極限粘度の範囲を
超える共重合ポリカーボネート樹脂を、かかる範囲内の
共重合ポリカーボネート樹脂と混合することで、好まし
い極限粘度範囲の共重合ポリカーボネート樹脂とするこ
とも可能である。
【0051】以下に、本発明に使用可能な共重合ポリカ
ーボネート樹脂の具体例を示すが、本発明は以下の具体
例によって限定されるものではない。 F−1:9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)フ
ルオレン/2,2−ビス(4―ヒドロキシフェニル)プ
ロパン (質量比40:60) F−2:9,9−ジ(3−tert−ブチル−4−フェ
ノール)フルオレン/2,2−ビス(4―ヒドロキシフ
ェニル)プロパン (質量比30:70) F−3:下記に示すビスフェノール誘導体A−1/下記
に示す混合物−1 (質量比50:50) F−4:下記に示すビスフェノール誘導体A−1/下記
に示す混合物−2 (質量比60:40) F−5:9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)フ
ルオレン/下記に示す混合物−1 (質量比50:5
0)
【0052】
【化22】
【0053】上記ポリカーボネート樹脂の重合方法は特
に限定するものではないが、通常の界面重合法、溶融重
合法等を挙げることができる。
【0054】本発明に用いられる位相差フィルムの光弾
性係数は、80×10-8cm2/N(80×10-13cm
2/dyn)以下である。80×10-8cm2/N(80
×10-13cm2/dyn)を超えると応力等で複屈折性
が発現し、位相差フィルムとしての品位が劣化してしま
う。
【0055】本発明に用いられる位相差フィルムのガラ
ス転移温度(Tg)は150℃以上が望ましい。150
℃未満の場合、位相差フィルムの加工等において、制限
が生じる可能性がある。液晶表示用パネルの部材として
の応用も考慮し、ガラス転移温度は180℃以上である
ことが好ましい。なお、本特許に記載されているガラス
転移温度は樹脂自体のガラス転移温度ではなく、フィル
ムのガラス転移温度である。
【0056】本発明に用いられる位相差フィルムは、1
00℃の条件下における長さ方向の熱寸法変化率が0.
001%〜0.04%であるのが好ましい。100℃の
条件下における幅方向の熱寸法変化率が0〜0.04%
であるのがより好ましい。温度100℃における熱寸法
変化率が前記範囲であると、高温下で使用しても位相差
フィルムの面内レターデーション等の光学的変化を、実
用上問題のない範囲まで軽減することができる。例え
ば、液晶表示装置に適用した場合に、高温下での使用に
よる表示品位の低下を抑制することができる。なお、本
明細書において「熱寸法変化率」は、温度25℃・相対
湿度60%において測定した長さL1と、絶対湿度をそ
のままに維持し、温度を100℃まで上昇させて所定の
時間経過した後、測定した長さL2とから、以下の式に
よって算出される値をいう。 熱寸法変化率(%)={100×(L1−L2)/L1
の絶対値
【0057】本発明の位相差フィルムは、波長450n
mで測定したレターデーション値(Re450)が10
0〜125nmであり、波長590nmで測定したレタ
ーデーション値(Re590)が120〜160nmで
あり、且つ{(Re590)−(Re450)}≧2n
mの関係を満足する。{(Re590)−(Re45
0)}≧5nmであることがさらに好ましく、{(Re
590)−(Re450)}≧10nmであることが最
も好ましい。さらに好ましい態様としては、波長450
nmで測定したレターデーション値(Re450)が1
08〜120nmであり、波長550nmで測定したレ
ターデーション値(Re550)が125〜142nm
であり、波長590nmで測定したレターデーション値
(Re590)が130〜152nmであり、且つ
{(Re590)−(Re550)}≧2nmの関係を
満足することが好ましい。{(Re590)−(Re5
50)}≧5nmであることがさらに好ましく、{(R
e590)−(Re550)}≧10nmであることが
最も好ましい。また、{(Re550)−(Re45
0)}≧10nmであることも好ましい。
【0058】なお、面内レターデーション値(Re)
は、下記式に従って算出する。 Re=(nx−ny)×d 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率
(面内の最大屈折率)であり、nyは位相差板の面内の
遅相軸に垂直な方向の屈折率であり、dは位相差板の厚
さ(nm)である。
【0059】さらに、前記位相差フィルムは1枚で下記
式を満足するのが好ましい。 1≦{(nx−nz)/(nx−ny)}≦2 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率で
あり、nyは位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈
折率であり、nzは厚み方向の屈折率である。
【0060】本発明に用いられる位相差フィルムの厚さ
は、5〜200μmであることが好ましく、20〜15
0μmであることがより好ましく、40〜120μmで
あることがさらに好ましく、70〜100μmであるこ
とが最も好ましい。ただし、フィルムの厚みが薄いと皺
や変形が起こりやすく、厚いと楕円偏光板としての厚み
が厚くなってしまうため、実際の製造条件等を考慮し、
問題のない最も薄い膜厚に設定することが好ましい。
【0061】また、本発明に用いられる位相差差フィル
ムの厚みムラは±5%以下であることが好ましい。一般
的に、厚みムラの少ない基材は面内レターデーションの
バラツキも小さくなるため、位相差フィルムの均一性か
らも厚みムラは小さいほうがより好ましい。
【0062】次に、前記位相差フィルムの製造例につい
て説明する。 [位相差フィルムの製造方法]本発明に用いられる位相
差フィルムは、ソルベントキャスト法を利用した方法に
より製造することができる。前記位相差フィルムの製造
方法の一例として、ポリカーボネート系樹脂の溶液を流
延製膜して膜を作製する製膜工程と、作製した膜を少な
くとも一方向に延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と
を含む製造方法が挙げられる。さらに好ましい例とし
て、前記延伸工程の後、得られた延伸フィルムを低張力
条件下で熱処理する熱処理工程を含む製造方法が挙げら
れる。以下、詳細に説明するが、本発明に用いられる位
相差フィルムは、下記製造方法によって作製された位相
差フィルムに限定されるものではない。
【0063】前記製膜工程では、前記ポリカーボネート
系樹脂の溶液を用いる。前記溶液は、一般的な方法(こ
こで、一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または
高温)で処理することを意味する)により調製すること
ができ、例えば、通常のソルベントキャスト法における
ドープの調製方法および装置を用いて実施することがで
きる。なお、前記溶液の溶媒としては、ハロゲン化炭化
水素(特にメチレンクロリド)、1,3−ジオキソラ
ン、トルエン、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の有機溶媒を
用いることが好ましい。また、二種以上の有機溶媒を含
む混合溶媒を用いてもよい。
【0064】前記溶液中の前記ポリカーボネート系樹脂
の濃度は、10〜40質量%であるのが好ましく、10
〜30質量%であることがより好ましい。有機溶媒(主
溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいて
もよい。前記溶液は、常温(0〜40℃)で前記ポリカ
ーボネート系樹脂と有機溶媒とを攪拌することにより調
製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱
条件下で攪拌してもよい。具体的には、前記ポリカーボ
ネート系樹脂と有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、
加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰
しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度
は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200
℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
【0065】各成分は予め粗混合してから、攪拌機構を
備えた容器に投入することができる。窒素ガス等の不活
性気体を注入して容器を加圧することもできる。また、
加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。ある
いは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよ
い。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ま
しい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いるこ
とができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設
け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加
熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これ
を用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁
付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したポリマー溶液は冷却後容器から取り出すか、あ
るいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0066】また、前記ポリカーボネート系樹脂の溶液
は、冷却溶解法により調製することもできる。冷却溶解
法を利用することによって、一般的な方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にも前記ポリカーボネート系
樹脂を溶解させることができる。また、冷却溶解法によ
れば、より迅速に均一な溶液が得られるという効果もあ
る。冷却溶解法では、まず、室温で、有機溶媒中に前記
ポリカーボネート系樹脂を撹拌しながら徐々に添加す
る。溶液中のポリカーボネート系樹脂の好ましい濃度
は、上記と同様であり、10〜40質量%含まれるよう
に調製することが好ましく、10〜30質量%含まれる
ように調製することがより好ましい。さらに、混合物中
には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0067】次に、混合物を−100〜−10℃(好ま
しくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−
20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却す
る。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−
75℃)や、冷却したジエチレングリコール溶液(−3
0〜−20℃)中で実施できる。このように冷却する
と、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度
は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上
であることがさらに好ましく、12℃/分以上であるこ
とが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、
10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/
秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的
な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の
温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最
終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0068】さらに、これを0〜200℃(好ましくは
0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好
ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にポリ
マーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよ
し、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以
上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさ
らに好ましく、12℃/分以上であることが最も好まし
い。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/
秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上
限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。
なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な
加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度
に達するまでの時間で割った値である。以上のようにし
て、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である
場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充
分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察する
だけで判断することができる。
【0069】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。
【0070】前記ポリカーボネート系樹脂の溶液には、
機械的物性の改良を目的として、または膜の乾燥速度の
向上を目的として、可塑剤を添加することができる。可
塑剤としては、特に限定はなく、また添加が必須ではな
いが、例えばリン酸エステルまたはカルボン酸エステル
が用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニル
フォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェ
ート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとして
は、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的
である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレー
ト(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチ
ルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DO
P)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチル
ヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸
エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル
(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル
(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステ
ルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルア
セチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エ
ステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DM
P、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好
ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好まし
い。可塑剤は特に添加する必要がないが、添加する場合
その量は、溶液中のポリカーボネート系樹脂の質量に対
して0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜2
0質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%
であることが最も好ましい。
【0071】その他、ポリカーボネート系樹脂の溶液中
には、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、
ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)
を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−
199201号、同5−1907073号、同5−19
4789号、同5−271471号、同6−10785
4号の各公報に記載がある。前記溶液における劣化防止
剤の含有量は、0.01〜1重量%であることが好まし
く、0.01〜0.2重量%であることがさらに好まし
い。添加量が0.01重量%未満であると、劣化防止剤
の効果がほとんど認められない。添加量が1重量%を越
えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト
(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣
化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン
(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げるこ
とができる。
【0072】前記製膜工程における流延製膜は、常法に
従って行うことができる。例えば、前記溶液を、ベルト
またはドラム上に流延する。ドラムおよびベルトの表面
温度は10℃以下であるのが好ましい。また、ドラムま
たはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好
ましい。前記溶液を流延後、膜を乾燥させる。膜の乾燥
は、送風により行うことができる。乾燥後、ベルトまた
はドラムから膜を剥ぎ取る。剥ぎ取った後、膜をさらに
乾燥して溶媒を蒸発させてもよい。乾燥は、例えば、1
00〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して
残留溶剤を蒸発させることもできる。ドラムまたはバン
ドの表面温度において、溶液がゲル化していると、流延
から剥ぎ取りまでの時間を短縮することができるので好
ましい。この方法については、特公平5−17844号
公報に記載があり、本発明にも適用することができる。
製膜工程において得られるフィルムの厚さは、40〜1
20μmであることが好ましく、70〜100μmであ
ることがさらに好ましい。
【0073】流延製膜およびそれに引き続いて実施する
乾燥については、米国特許2336310号、同236
7603号、同2492078号、同2492977
号、同2492978号、同2607704号、同27
39069号、同2739070号、英国特許6407
31号、同736892号の各明細書、特公昭45−4
554号、同49−5614号、特開昭60−1768
34号、同60−203430号、同62−11503
5号の各公報に記載があり、本発明にも適用することが
できる。
【0074】次に、延伸工程を実施する。前記延伸工程
では、作製された膜を少なくとも一方向に延伸する。延
伸により、フィルムの屈折率(面内の遅相軸方向の屈折
率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび
厚み方向の屈折率nz)を調整し、波長550nmで測
定した面内レターデーション値を40〜350nmにす
る。さらに、面内レターデーションがλ/4となるよう
に延伸することによって、用途に供することができる。
延伸処理は、同時処理であっても、逐次処理であっても
よい。延伸処理は2以上繰り返し行ってもよく、また、
製膜工程時の加熱処理と同時に行ってもよい。
【0075】固有複屈折率が正であると、ポリマー鎖が
配向した方向に屈折率が高くなる。このような固有複屈
折率が正のポリマーを延伸すると、通常、屈折率は、n
x>ny≧nzとなる。これは、面内の方向に配向した
ポリマー鎖が、延伸によってx成分が多くなり、z成分
が最も小さくなるためである。これにより、1≦{(n
x−nz)/(nx−ny)}の関係を満足することが
できる。さらに、{(nx−nz)/(nx−ny)}
≦2の関係を満足するためには、一軸延伸の延伸倍率を
制御するか、あるいはアンバランスな二軸延伸を実施し
て屈折率を調整すればよい。具体的には、最大の延伸倍
率SAと、その延伸方向に垂直な方向の延伸倍率SBと
が、1<(SA/SB)≦3の関係を満足するように、
一軸延伸またはアンバランス二軸延伸を実施すればよ
い。延伸倍率は、延伸する前の長さを1とする場合の相
対的な値である。SBは、1未満の値となる(言い換え
ると収縮する)場合もある。上記式の関係を満足すれ
ば、SBは1未満の値であってもよい。
【0076】前記延伸工程の前および/または後、得ら
れたフィルムを加熱して、さらに溶媒を除去する乾燥工
程を実施するのが好ましい。乾燥温度は、70℃〜22
0℃が好ましく、80℃〜200℃がより好ましく、9
0℃〜190℃がさらに好ましい。上記乾燥温度の調節
はニクロムヒーター等を組み込んだパネル状のヒーター
を用いてもよく、ハロゲンランプ、IRヒーター等の熱
源を用いてもよく、熱風を送り込むことで行ってもよ
い。乾燥ゾーン中には温度センサーを設置しておき、各
所の温度をモニターし、これらの熱源の出力を調整し温
度制御する。このためこれらの熱源はいくつかに分割さ
れ、個別に制御できる構造にしておくことが、温度の不
均一を抑制する上で好ましい。これらの乾燥処理を行う
ケーシングはガラスウール等の断熱材で囲うことが温度
ムラをなくす上で好ましい。乾燥時間は1分〜30分が
好ましく、2分〜20分がより好ましく、3分〜15分
がさらに好ましい。下記の熱処理工程に移行する前に、
延伸フィルム中に残存する溶媒の含有量は、0.3質量
%以下まで低減しておくのが好ましく、0.1質量%以
下まで低減しておくのがより好ましい。
【0077】さらに、作製した延伸フィルム低張力条件
下で熱処理する熱処理工程を実施するのが好ましい。な
お、本明細書において、張力とは、延伸フィルム(支持
体)に与えた長手方向の力を、延伸フィルム(支持体)
の断面積(幅×厚み)で割った値をいう。張力の調整
は、巻取りモーターおよび/または送り出しモーターの
トルクを調整することで容易に行うことができる。ま
た、ダンサーロールを設置し、これに加える荷重を調整
することでも容易に達成できる。さらに、低い張力を制
御するには、予め支持体の熱収縮量を測定しておき、こ
の量に見合う分だけ、巻取り量を少なくする方法も好ま
しい。上記方法で熱収縮応力により発生する張力も制御
し、より弱い張力での処理が可能になる。また、幅方向
はクリップ等で規制せず、支持体を自由に収縮させるよ
うにするのが好ましい。このような低張力で支持体を搬
送するためには、なるべくロール搬送以外に、空気浮上
搬送を用いるのが好ましい。これは低下したロールホー
ルド力に伴い発生する傷の発生を防止するためである。
【0078】前記熱処理工程の実施形態としては、後述
する(1)搬送熱処理および(2)ロール状での熱処理
の2つの形態が挙げられる。(1)および(2)の熱処
理を組み合わせて実施することもできる。(1)搬送熱
処理では、延伸フィルムは搬送方向に低張力を受け、ま
た(2)ロール状での熱処理においても、フィルムはロ
ール状態において低張力を受ける。(1)搬送熱処理お
よび(2)ロール状での熱処理の双方において、延伸フ
ィルムを低張力で熱処理することによって、熱寸法変化
率を低減することができるが、(2)ロール状での熱処
理を実施すると、熱寸法変化率がより小さくなるという
顕著に優れた効果がある。即ち、いかなるメカニズムに
よるのかについての詳細は不明であるが、延伸フィルム
をロール状態にして低張力を与えつつ、所定の温度範囲
で熱処理によると、優れた相乗効果が奏される。また、
(1)搬送熱処理を連続して実施するには、長大な乾燥
熱処理ゾーンが必要となり、設備費が増大するが、
(2)ロール状態での熱処理は、熱処理に要する設備費
を軽減できる点でも好ましい。
【0079】(1)搬送熱処理 延伸フィルム(支持体)(場合によっては、表面処理後
あるいは下塗り等の処理を行った後)を、0.04kg
/cm2〜6kg/cm2の張力で搬送しながら熱処理す
る。張力は0.04kg/cm2〜6kg/cm2である
のが好ましく、0.2kg/cm2〜5.5kg/cm2
であるのがより好ましく、1kg/cm 2〜5kg/c
2であるのがさらに好ましい。張力が前記範囲を超え
ると寸法変化が大きくなり、前記範囲を下回ると支持体
搬送中に搬送ロールにホールドさせることができず擦り
傷が発生し易くなる。なお、延伸フィルムを、一旦、延
伸フィルムの(Tg−50)℃より低い温度まで冷却し
てから、搬送熱処理を実施するのが好ましい。
【0080】熱処理時の温度は、ポリカーボネートフィ
ルムのTgの−50℃〜+80℃が好ましく、フィルム
のTgの−40℃〜+70℃がより好ましく、フィルム
のTgの−30℃〜+50℃であるのがさらに好まし
い。熱処理時間は1分〜60分が好ましく、2分〜40
分がより好ましく、3分〜30分がさらに好ましい。こ
の熱処理に引き続き、さらに後熱処理を行ってもよい。
後熱処理は、上記熱処理に引き続いて15℃〜70℃で
行うのが好ましく、20℃〜60℃がより好ましく、2
5℃〜50℃がさらに好ましい。処理時間は1秒〜5分
が好ましく、5秒〜3分がより好ましく、10秒〜1分
がさらに好ましい。後熱処理は、前記搬送熱処理に引き
続き、搬送しながら行うのが好ましい。後熱処理工程
は、張力0.04kg/cm2〜6kg/cm2で行うの
が好ましく、0.2kg/cm2〜5.5kg/cm2
行うのがより好ましく、1kg/cm2〜5kg/cm2
で行うのがさらに好ましい。
【0081】(2)ロ−ル状での熱処理 延伸フィルム(支持体)(場合によっては表面処理後あ
るいは下塗り等の処理を行った後)を、張力0.04k
g/cm2〜20kg/cm2、好ましくは0.1kg/
cm2〜18kg/cm2、より好ましくは0.5kg/
cm2〜15kg/cm2でロ−ルに巻き取った後に、ロ
ール状態のまま熱処理を行う。なお、延伸フィルムを、
一旦、延伸フィルムの(Tg−50)℃より低い温度ま
で冷却してから、ロール状での熱処理を実施するのが好
ましい。
【0082】熱処理時の温度は、ポリカーボネートフィ
ルムのTgの−50℃〜+80℃が好ましく、フィルム
のTgの−40℃〜+70℃がより好ましく、フィルム
のTgの−30℃〜+50℃がさらに好ましい。熱処理
時間は1分〜60分が好ましく、2分〜40分がより好
ましく、3分〜30分がさらに好ましい。
【0083】前記熱処理工程により、ポリカーボネート
系延伸フィルムにおける残存溶媒濃度を、0.3質量%
以下(より好ましくは0.1質量%以下、さらに好まし
くは0.05質量%以下)まで低減することができる。
【0084】前記位相差フィルムは、そのまま、偏光板
の部材として用いることもできるが、所望により表面処
理をして、偏光膜との接着性を改善してもよい。前記表
面処理としては、例えば、グロー放電処理、紫外線照射
処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理が
挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3
20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよ
く、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。
プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラ
ズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオ
ン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラ
フルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物な
どが挙げられる。これらについては、詳細が発明協会公
開技報(公技番号 2001−1745、2001年3
月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に
記載されている。なお、近年注目されている大気圧での
プラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20
〜500kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ま
しくは30〜500Kev下で20〜300kgyの照
射エネルギーが用いられる。
【0085】アルカリ処理は、アルカリ鹸化液を塗布す
ることで行う。塗布方法としては、ディップコーティン
グ法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコ
ーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を
挙げることができる。アルカリ鹸化液の溶媒は、塗布す
るために濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によって表面に
凹凸を形成させずに、面状を良好なまま維持できる溶媒
を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系
溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好まし
い。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用するこ
ともできる。アルカリ鹸化液のアルカリは、上記溶媒に
可溶なアルカリであれば特に制限はなく、KOH、Na
OHが好ましい。アルカリ鹸化液のpHは10以上が好
ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の
反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、2秒〜1分
がさらに好ましく、3秒〜30秒が特に好ましい。アル
カリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄
し、その後、水洗することが好ましい。また、塗布式鹸
化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことがで
き、工程数を減少できる。なお、表面処理は、前記位相
差フィルムの片面または両面のいずれに行ってもよく、
両面に行うことで偏光膜との密着性を向上させるだけで
なく、偏光膜側と逆の面の密着性を改良することも可能
である。
【0086】次に、本発明の偏光板に用いられる偏光膜
について説明する。 [偏光膜]本発明に用いられる偏光膜としては、ポリビ
ニルアルコール(PVA)系の偏光膜が好ましいが、こ
れに限定されることはない。以下、PVA系の偏光膜を
使用する場合について詳細を説明する。PVAは通常、
ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば、不
飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビ
ニルエーテル類のように、酢酸ビニルと共重合可能な成
分を含有していてもよい。また、アセトアセチル基、ス
ルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を
含有する変性PVAも用いることができる。PVAのケ
ン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80
〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が
特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されない
が、1,000〜10,000が好ましく、1,500
〜5,000が特に好ましい。
【0087】前記偏光膜は、一般的には、PVAの延伸
フィルムにヨウ素または二色性染料を吸着したフィルム
である。例えば、PVAを水または有機溶媒に溶解した
液を流延製膜し、該PVAフィルムを延伸してからヨウ
素もしくは二色性染料で染色することによって製造する
ことがきでる。また、染色してから延伸することによっ
て製造することもできる。前記有機溶媒としては、水の
他、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール等)、多価アルコール類(グリセリ
ン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、トリメチロールプロパン等)、アミ
ン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)、
ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等および
これらの混合物が用いられる。
【0088】前記偏光膜の吸収軸は長尺フィルムの長手
方向に平行でも垂直でもないことが好ましい。通常この
角度は45度であるが最近は新しい透過型LCDモード
や反射型LCD、半透過型LCD等において必ずしも4
5度でないものがあり、延伸方向はLCDの設計にあわ
せて任意に調整できることが好ましい。このように吸収
軸の方向を調整するには、以下に説明する延伸法とラビ
ング法が挙げられる。
【0089】PVAフィルムの延伸方向は、流延時のフ
ィルムのMD方向に対して10〜80度傾斜している。
この傾斜角度はLCDを構成する液晶セルの両側に貼り
合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または
横方向のなす角度にあわせるように延伸する。延伸倍率
は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍
がより好ましい。延伸は空気中でのドライ延伸でも、水
中に浸漬したウェット延伸でもよく、ドライ延伸の場合
は2.5〜5.0倍程度、ウェット延伸の場合は3.0
〜10.0倍程度である。この斜め延伸工程は数回に分
けて行ってもよく、数回に分けることによって高倍率延
伸でもより均一に延伸することができる。また斜め延伸
前に横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止す
る程度)を行ってもよい。
【0090】延伸は例えば通常のフィルム製膜において
行われているような二軸延伸におけるテンター延伸を前
記のように左右異なる工程で行うことによって実施でき
るが、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前
のPVAフィルム厚みが左右で異なるようにする必要が
ある。流延製膜の場合には、例えばダイにテーパーをつ
ける等によって、PVA溶液の流量に左右差をつける方
法がある。この工程により、本発明のMD方向に対して
10〜80度斜め延伸されたPVAフィルムが製造され
る。
【0091】ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工
程として広く採用されている処理方法を利用することが
できる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェル
ト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用
いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いる
ことができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊
維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビング
を行うことにより実施される。また、好ましくは本発明
のラビング処理方法は、ロール自身の真円度、円筒度、
振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロ
ールを備えていることを特徴とする。ラビングロールへ
のフィルムのラップ角度は、0.1度〜90度が好まし
いが、特開平8−160430号公報に記載されている
ように360度以上巻き付けることで安定なラビング処
理が得られることもある。長尺なフィルムをラビングす
る場合は、フィルムが搬送装置によって、一定張力の状
態で1〜100m/mInの速度で搬送されることが好
ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定の
ためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされ
ることが好ましく、0〜60度の適切な角度を選ぶ。液
晶表示装置に使用される場合は、40度〜50度とする
ことが好ましい。
【0092】染色工程は気相または液相吸着により行わ
れる。液相で行う場合の例としては、ヨウ素を用いる場
合には、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にPVAフィル
ムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.1〜2.0g/
l、ヨウ化カリウムは10〜50g/l、ヨウ素とヨウ
化カリウムの質量比は20〜100が好ましい。染色時
間は30〜5000秒が好ましく、液温度は5〜50℃
が好ましい。染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素
あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が
可能である。
【0093】二色性染料としては、アゾ系、スチルベン
系、キノン系、アントラキノン系、メチン系、アゾメチ
ン系、シアニン系、メロシアニン系、キノフタロン系、
テトラジン系等が挙げられる。中でもアゾ系、アントラ
キノン系の二色性染料が特に好ましい。
【0094】染色処理されたPVAフィルムは次いでホ
ウ素化合物、アルデヒド類等により架橋処理される。中
でもホウ素化合物が特に好ましい。ホウ素化合物の例と
しては、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。例えばホウ素
化合物は水溶液または水と有機溶媒の混合液を溶媒とし
て0.5〜2.0mol/Lの溶液で用いられ、染色さ
れたPVAフィルムを浸漬または噴霧、塗布等によって
処理される。ホウ素化合物溶液には少量のヨウ素カリウ
ムを添加することが好ましい。処理温度としては40〜
70℃が好ましく、処理時間としては5〜20分が好ま
しい。また、処理中に前記方法によって斜め延伸を行っ
てもよい。
【0095】さらにこのPVAフィルムを熱処理しても
よい。処理時のフィルムの含水率は10〜30%が好ま
しい。処理温度は40〜100℃が好ましく、50〜9
0℃がさらに好ましい。処理時間は0.5〜15分が好
ましい。
【0096】[偏光膜保護膜]PVAフィルムからなる
偏光膜は、通常、トリアセチルセルロース等の保護膜で
サンドイッチされ偏光板として用いられるが、本発明に
おいては、偏光膜と前記位相差フィルムとを接着剤を介
して貼合させることにより、前記位相差膜を偏光膜の保
護膜として機能させることができる。これにより、保護
膜が必要なくなり、楕円偏光板自体の薄層化が達成でき
る。偏光膜と位相差フィルムとの接着剤としては特に限
定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スル
ホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変
性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、
中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後
に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが
特に好ましい。
【0097】本発明の偏光板は、前記偏光膜の前記位相
差フィルムが積層された面とは反対側の面に、透明保護
膜を備えているのが好ましい。透明保護層の材料として
は、透明である限り、どのような材料でも使用すること
ができる。光透過率が80%以上を有する材料が好まし
い。このような材料としては、ゼオネックス(日本ゼオ
ン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)お
よびフジタック(富士写真フィルム(株)製)などの市
販品を使用することができる。さらに、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリスルホンおよびポリエーテル
スルホンなどの素材であってよい。
【0098】本発明の偏光板は、液晶表示装置に適用す
ることができる。液晶表示装置のモードについては特に
限定されないが、TN(twisted nemati
c)型、VA(Vertical Alingmen
t)型、HAN(HybridAliged Nema
tic)型、STN(Supper TwistedN
ematic)型、または、GH(Guest Hos
t)型であることが好ましい。
【0099】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す
具体例に制限されるものではない。 [実施例1] (位相差フィルムの作製)水酸化ナトリウム水溶液に、
9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)フルオレン
37.8gおよび2,2−ビス(4―ヒドロキシフェニ
ル)プロパン53.2gを仕込み、少量のハイドロサル
ファイトを加え、続いて塩化メチレンを加えて、20℃
でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ後、さらに、p
−tert−ブチルフェノールを加えて乳化後、トリエ
チルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌させて作製し
た。得られた共重合ポリカーボネートの極限粘度[η]
は、0.72dl/gであった。このポリカーボネート
樹脂をメチレンクロリドに溶解し、ポリカーボネート樹
脂の溶液を調製した。この溶液を、ガラス板上に流延
し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。
本フィルムをガラス板から剥離し、140℃で10分間
乾燥した。フィルムを適当な大きさに切断した後、20
0℃で流延方向とは平行な方向に1.67倍に延伸し
た。延伸方向と垂直な方向は、自由に収縮できるように
した。延伸後、そのままの状態で120℃で30分間乾
燥した後、延伸フィルムを取り出した。延伸後の溶剤残
留量は0.1質量%であった。得られたポリマーフィル
ムフィルム(PF−1)の厚さは、101μmであり、
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を
用いて、波長450nm、550nmおよび590nm
におけるレターデーション値(Re)を測定したとこ
ろ、それぞれ、119.3nm、137.2nmおよび
142.7nmであった。従って、この位相差フィルム
は、広い波長領域でλ/4を達成していた。さらに、ア
ッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの
角度依存性の測定から、波長550nmにおける面内の
遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の
屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、(nx
−nz)/(nx−ny)の値を計算したところ、1.
60であった。
【0100】(表面処理)このポリカーボネート系樹脂
フィルムを大気圧でプラズマ処理し、表面を親水化し
た。実際には5000Kev下で200kgyの照射エ
ネルギーが用いて行い、表面処理後の水の接触角が30
°に低下していることを確認した。
【0101】(偏光膜の作製)平均重合度4,000お
よびケン化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、
4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついた
ダイを用いてバンド流延、乾燥し、延伸前の幅110m
m、厚みが左端で120μm、右端で135μmになる
ようにした。このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドラ
イで45度斜め延伸してそのままヨウ素0.5g/l、
ヨウ化カリウム50g/lの水溶液中に30℃にて1分
間浸漬し、次いでホウ酸100g/l、ヨウ化カリウム
60g/lの水溶液中に70℃にて5分間浸漬し、さら
に水洗層で20℃、10秒間水洗して、さらに80℃で
5分間乾燥して長尺偏光膜(CHM−1)を得た。フィ
ルムは幅660mm、厚みは左右とも20μmであっ
た。
【0102】(円偏光板の作製)実施例1で作製したポ
リマーフィルム(PF−1)、および実施例1で作製し
た偏光膜(CHM−1)および40μmの透明保護膜
(フジタックT40UZ富士写真フイルム製)をこの順
にロール・ツー・ロールで積層して円偏光板を得た。得
られた円偏光板の光学的性質を調べたところ、いずれも
広い波長領域(450〜590nm)において、ほぼ完
全な円偏光が達成されていた。また、この一体型円偏光
板の厚みは160μmであり、従来の300μmに比べ
て十分薄いものであった。
【0103】なお、本実施例1の層構成、軸の関係を図
1および図2に示した。図1に示す様に、実施例1の偏
光板10は、ポリマーフィルム(PF−1)12と、偏
光膜(CHM−1)14と、透明保護膜16とからな
る。ポリマーフィルム12は、λ/4位相差板として機
能するとともに、偏光膜14の保護膜として機能してい
る。図2に示す様に、ポリマーフィルム12の面内遅相
軸18(図中実線の矢印で示す)と、偏光膜14の透過
軸20(図中破線の矢印で示す)とは、約45°で交差
するように積層されている。
【0104】[実施例2] (ポリマーフィルムの作製)水酸化ナトリウム水溶液
に、下記のビスフェノール誘導体を47.8g、および
2,2−ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパンを5
2.2g仕込み、少量のハイドロサルファイトを加え、
続いて塩化メチレンを加えて、20℃でホスゲンを約6
0分かけて吹き込んだ。その後、さらに、p−tert
−ブチルフェノールを加えて乳化後、トリエチルアミン
を加えて30℃で約3時間攪拌させて反応させた。得ら
れた共重合ポリカーボネートの極限粘度[η]は、0.
78dl/gであった。
【0105】
【化23】
【0106】その後、実施例1と同様にして、流延工程
および延伸工程を経て、位相差フィルム(PF―2)を
得た。延伸倍率は1.72倍であった。位相差フィルム
(PF―2)の厚さは、97μmであり、エリプソメー
ター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長
450nm、550nmおよび590nmにおけるレタ
ーデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、
116.7nm、137.4nmおよび143.1nm
であり、広い波長領域でλ/4を達成していた。さら
に、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーシ
ョンの角度依存性の測定から、波長550nmにおける
面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な
方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、
(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算したとこ
ろ、1.50であった。
【0107】実施例1と同様にして、ポリマーフィルム
(PF−2)、および実施例1で作製した偏光膜(CH
M−1)および40μmの透明保護膜(フジタックT4
0UZ 富士写真フイルム製)をこの順にロール・ツー
・ロールで積層して円偏光板を得た。得られた円偏光板
の光学的性質を調べたところ、いずれも広い波長領域
(450〜590nm)において、ほぼ完全な円偏光が
達成されていた。また、この一体型円偏光板の厚みは1
55μmであり、従来の300μmに比べて十分薄いも
のであった。
【0108】[比較例1] (ポリマーフィルムの作製)重量平均分子量100,0
00のポリカーボネートを塩化メチレンに溶解して、1
7質量%溶液を得た。この溶液をガラス板上に、乾燥膜
厚が80μmとなるように流延し、室温で30分乾燥
後、70℃で30分間乾燥した。ポリカーボネートフィ
ルムをガラス板から剥離し、158℃で1.70倍に延
伸し、ポリカーボネートの延伸複屈折フィルム(PF−
3)を得た。得られたポリカーボネートフィルムについ
て、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)
製)を用いて、波長450nm、550nmおよび59
0nmにおけるレターデーション値(Re)を測定した
ところ、それぞれ、147.8nm、137.5nmお
よび134.9nmであり、λ/4板としては不満足な
ものであった。また、アッベ屈折率計による屈折率測定
と、レターデーションの角度依存性の測定から、波長5
50nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内
の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈
折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−ny)の値
を計算したところ、1.40であった。
【0109】実施例1と同様にしてポリマーフィルム
(PF−3)、および実施例3で作製した偏光膜(CH
M−1)および40μmの透明保護膜(フジタックT4
0UZ富士写真フイルム製)をこの順にロール・ツー・
ロールで積層して円偏光板を得た。得られた円偏光板の
光学的性質を調べたところ、550nmの波長では円偏
光が達成されていたが、他の波長領域では円偏光になっ
ておらず満足できるものではなかった。
【0110】[実施例3] (偏光膜の作製)片面にゼラチン層を設けた平均酢化度
60.9%のセルロースアセテートフィルム(富士写真
フイルム社内製)のゼラチン層上に、下記組成からなる
10μMのポリマー層を塗設した。 変成ポリビニルアルコールMP−203(クラレ製) 4質量部 グルタルアルデヒド 0.2質量部 水 96質量部 このポリマー層上を、ラビングロール外径300mm、
フィルム搬送速度50m/min、ラビングロール回転
周速度470m/min、フィルム基板張力2kgf/
cm基板幅、ラップ角度30°、ラビングロールの傾き
角45°の条件でラビング処理を行った。
【0111】このラビング処理を施したポリマー層付き
フィルム基板を、40℃のヨウ素雰囲気下にしばらく放
置し、ヨウ素を吸着させるとともに、ポリマー層の架橋
反応を進行させた。このようにして、透過軸がフィルム
の長手方向に対し、45°傾いた長尺偏光膜(CHM−
2)を得た。このようにして作製したCHM−2を、実
施例1で作製した位相差フィルム(PF−1)と貼合し
て円偏光板を作製した。得られた円偏光板の光学的性質
を調べたところ、いずれも広い波長領域(450〜59
0nm)において、ほぼ完全な円偏光が達成されてい
た。また、この一体型円偏光板の厚みは160μmであ
り、従来の300μmに比べて十分薄いものであった。
【0112】[比較例2]市販のヨウ素系偏光板(HL
C2−5518、幅650mm、(株)サンリッツ製)
を比較例2の偏光板とした以外は、実施例3と同様にし
て円偏光板を作製した。45°での貼合が難しく、得ら
れた円偏光板は、450〜590nmにおいて、完全な
円偏光は達成されていなかった。また、この円偏光板の
厚みは350μmであり厚みとしては不満足なものであ
った。
【0113】[比較例3] (円偏光板の作製)比較例1で作製したポリマーフィル
ム、および比較例2で作製した偏光板を、この順に積層
して円偏光板を得た。位相差板の遅相軸と偏光膜の偏光
軸との角度を、45°に調整する必要があった。さら
に、広い波長領域では完全な円偏光を達成することはで
きなかった。
【0114】[実施例4]実施例2で作製したポリマー
フィルム(PF−2)について、3kg/mm2の低張
力条件で、温度170℃で熱処理し、ポリマーフィルム
(PF−4)を作製した。実施例1と同様にして、ポリ
マーフィルム(PF−3)、および実施例1で作製した
偏光膜(CHM−1)および40μmの透明保護膜(フ
ジタックT40UZ 富士写真フイルム製)をこの順
に、ロール・ツー・ロールで積層して円偏光板を得た。
得られた円偏光板の光学的性質を調べたところ、いずれ
も広い波長領域(450〜590nm)において、ほぼ
完全な円偏光が達成されていた。また、この一体型円偏
光板の厚みは155μmと従来の300μmに比べて十
分薄いものであった。
【0115】(熱寸法安定性評価)作製した円偏光板を
下記方法で熱寸法変化率を測定したところ、その寸法変
化率は0.02%であり、極めて安定性がよいことが判
明した。 <熱寸法変化率>熱寸法変化率を測定するためのサンプ
ルとして、5cm×25cmの長方形のフィルムを用い
た。熱処理の完了した位相差フィルムを、原反フィルム
の中央、両端の3点の各々について、縦方向(MD)用
および横方向(TD)用としてサンプリングし、合計6
枚のサンプルを用意した。MD方向の寸法変化を測定す
るときは、25cmの片をMD方向に平行に、TD方向
の寸法変化を測定するときは25cmの片をTD方向に
平行にサンプリングした。熱寸法変化率は、まず、中央
に20cm間隔に孔を2点開けたサンプルを、25℃6
0%RHの雰囲気下に12時間以上静置し、調湿した
後、ピンゲ−ジを用いて孔間の長さを測定した(この長
さをL1とする)。その後、絶対湿度を変えずに温度の
み100℃に上昇させた雰囲気下に、12時間静置し、
その後、25℃60%RHの雰囲気下に12時間以上静
置し、調湿した後、再びピンゲ−ジを用いて孔間の長さ
を測定した(この長さをL2とする)。測定した値を用
いて、下記式に基づいて熱寸法変化率を求めた。 熱寸法変化率(%)={100×(L1−L2)/L1
の絶対値 これを各測定点(原反フィルムの中央、両端の3点でM
D、TDの2方向、合計6点)ごとに平均値を求め、こ
れら6点のなかで最も大きな値を示す。
【0116】[実施例5] (円偏光板の評価)実施例3および比較例3で作製した
円偏光板を反射型液晶パネルに実装し、測定機(EZ
Contrast 160D、ELDIM社製)を用い
て視野角特性を測定した。結果を第1表に示す。実施例
3で作製した円偏光板を用いると、広い視野角が得られ
た。
【0117】
【表1】
【0118】[実施例6] (円偏光板の作製)実施例1で作製したポリマーフィル
ム(PF−1)、および実施例3で作製した偏光膜(C
HM−1)およびITOを蒸着した透明電極付き保護膜
(フジタック 富士写真フイルム製)を、ITOが外側
となるように、この順にロール・ツー・ロールで積層し
て円偏光板を得た。得られた円偏光板の光学的性質を調
べたところ、いずれも広い波長領域(450〜590n
m)において、ほぼ完全な円偏光が達成されていた。
【0119】(タッチパネル付き液晶表示装置の作製)
市販の抵抗膜式タッチパネルを購入し、図3(b)の構
成で、実施例4で作製した円偏光板を挿入した。即ち、
偏光板14とポリマーフィルムのλ/4板12とからな
る円偏光板(さらに、λ/4板12の偏光板が形成され
ていない側の裏面にITO膜22を形成したもの)を用
い、これを、一方の外側面にITO膜22を有する一対
のガラス板24と、一対のガラス板24に挟持される液
晶層26とからなる液晶セルに、ITO膜22を対向さ
せて積層した。図3(a)には、参考として市販のタッ
チパネル付き液晶表示装置の層構成を示した。図3
(b)に示す液晶表示装置は、軽量、薄型となったばか
りでなく、表示品位においても2重写りが解消され、視
認性が向上することがわかった。
【0120】実施例のポリマーフィルムは、いずれも広
い波長領域でλ/4を達成する位相差フィルムであっ
た。また、透過軸が長手方向に平行でも垂直でもない偏
光素子、さらには実質45°の角度をなす偏光素子と組
み合わせ、しかもこの位相差膜を上記偏光子の保護膜と
して用いることにより、従来よりも薄層化された偏光板
の製造が可能となった。さらに、本発明の偏光板を液晶
表示装置に取り付けると、薄い構成で、広い視野角が達
成できた。
【0121】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、広
い波長領域で優れた特性を有するとともに、薄層化が可
能な偏光板、特に、液晶表示装置に適用可能な偏光板を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で作製した偏光板の層構成を示す概
略断面図である。
【図2】 実施例1で作製した偏光板の遅相軸と透過軸
との関係を示す模式図である。
【図3】 (a)従来の市販のタッチパネル付き液晶表
示装置の層構成を示す概略断面図、(b)実施例6で作
製したタッチパネル付き液晶表示装置の層構成を示す概
略断面図である。
【符号の説明】
10 偏光板 12 ポリマーフィルム(λ/4板) 14 偏光膜 16 透明保護膜(偏光保護膜) 18 遅相軸 20 透過軸 22 ITO膜 24 ガラス板 26 液晶層
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Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長450nmで測定したレターデーシ
    ョン値(Re450)が100〜125nmであり、波
    長590nmで測定したレターデーション値(Re59
    0)が120〜160nmであり、且つ{(Re59
    0)−(Re450)}≧2nmの関係を満足する一枚
    の位相差フィルムと、偏光膜とを含む偏光板であって、
    前記位相差フィルムは、少なくともフルオレン骨格、
    α,ω−アルキレン骨格または架橋環式炭化水素骨格か
    らなるビスフェノール誘導体Aと、フルオレン骨格、
    α,ω−アルキレン骨格および架橋環式炭化水素骨格の
    いずれも含まないビスフェノール誘導体Bとを共重合さ
    せたポリカーボネート系樹脂からなり、前記位相差フィ
    ルムの面内の遅相軸と前記偏光膜の透過軸とが交差して
    いることを特徴とする偏光板。
  2. 【請求項2】 前記ポリカーボネート系樹脂の面内の遅
    相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈
    折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1≦{(nx
    −nz)/(nx−ny)}≦2の関係を満足すること
    を特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 【請求項3】 前記位相差フィルムの面内の遅相軸が前
    記偏光膜の透過軸と実質的に45°で交差していること
    を特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 【請求項4】 前記ポリカーボネート系樹脂が、下記一
    般式(1)で表されるフルオレン骨格からなるビスフェ
    ノール誘導体Aの繰り返し単位と、下記一般式(2)で
    表されるビスフェノール誘導体Bの繰り返し単位とから
    なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の偏光板。 一般式(1) 【化1】 (一般式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水
    素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基
    から選ばれるいずれかを表すが、但し、R1〜R8がすべ
    て水素原子になることはない。) 一般式(2) 【化2】 (一般式(2)において、R11〜R18はそれぞれ独立に
    水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素
    基から選ばれるいずれかを表し、Xは炭素数1〜15の
    炭化水素基を表す。)
  5. 【請求項5】 前記ビスフェノール誘導体Aが、9,9
    −ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニル)フルオレ
    ンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の偏光板。
  6. 【請求項6】 前記ビスフェノール誘導体Bが、2,2
    −ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
  7. 【請求項7】 前記ビスフェノール誘導体Aが、下記一
    般式(3)で表される二価フェノールと、フェノール性
    水酸基を有する3官能以上の多官能性有機化合物と、炭
    酸エステル形成化合物とを反応させて得られる分岐ポリ
    カーボネートであることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の偏光板。 一般式(3) 【化3】 (一般式(3)において、R31およびR32は、各々独立
    に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数
    5〜8のシクロアルキル基または炭素数6〜12の置換
    若しくは無置換のアリール基を表し、aおよびbは各々
    独立に0〜4のいずれかの整数を表し、Xは、単結合、
    −O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−
    CR3334−(ここで、R33およびR34は、各々独立
    に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜8のシクロ
    アルキル基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換
    のアリール基を示す)、炭素数5〜11の置換若しくは
    無置換のシクロアルキリデン基または炭素数2〜10の
    α,ω−アルキレン基またはフルオレン基を表し、ただ
    し、上記においてaおよびbの双方が0の場合には、X
    が−C(CH32−になることはないものとする。)
  8. 【請求項8】 前記ビスフェノール誘導体Aが、下記一
    般式(4)で表される構造単位および下記一般式(5)
    で表される構造単位の少なくとも一種を構造中に含むこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏
    光板。 一般式(4) 【化4】 (一般式(4)において、R41〜R44は、各々独立し
    て、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜6
    のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2
    〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基また
    は炭素数7〜17のアラルキル基を表す。なお、R41
    44が炭素原子を有する場合は、該炭素原子に置換基を
    有していてもよい。) 一般式(5) 【化5】 (式中Wは、下記の一般式群Iから選ばれるいずれかを
    表す。) 一般式群I 【化6】 (一般式群Iの各一般式において、R55〜R58は、各々
    独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数
    1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭
    素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ
    基または炭素数7〜17のアラルキル基を表す。なお、
    55〜R58が炭素原子を有する場合は、該炭素原子は、
    炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル
    基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素
    およびヨウ素から選ばれるハロゲン原子、ジメチルポリ
    シロキシ基およびアルキルアリールポリシロキシ基から
    選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。Yは下記
    二価基群IIから選ばれるいずれかを表す。) 二価基群II 【化7】 (二価基群IIにおいて、R61およびR62は各々水素原
    子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケ
    ニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基もしくは炭素数6
    〜12のアリール基を表し、またはR61およびR62が結
    合して形成された炭素数5〜20の炭素環もしくは複素
    環を表し、nは4〜20のいずれかの整数を表す。)
  9. 【請求項9】 前記偏光膜が、ポリビニルアルコール系
    の延伸フィルムに、ヨウ素または二色性色素を吸着配向
    させてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1
    項に記載の偏光板。
  10. 【請求項10】 前記位相差フィルムが、前記偏光膜の
    保護膜として機能していることを特徴とする請求項1〜
    9のいずれか1項に記載の偏光板。
  11. 【請求項11】 前記偏光膜に対して、前記位相差フィ
    ルムと逆側に偏光膜保護膜を備え、前記偏光保護膜は、
    面内レターデーションが30nm以下のトリアセチルセ
    ルロースフィルムまたはポリカーボネート系フィルムで
    あることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に
    記載の偏光板。
  12. 【請求項12】 前記偏光膜保護膜が少なくともフルオ
    レン骨格、α,ω−アルキレン骨格または架橋環式炭化
    水素骨格からなるビスフェノール誘導体Aと、フルオレ
    ン骨格、α,ω−アルキレン骨格および架橋環式炭化水
    素骨格のいずれも持たないビスフェノール誘導体Bとを
    共重合させたポリカーボネート系樹脂からなることを特
    徴とする請求項11に記載の偏光板。
  13. 【請求項13】 前記位相差フィルムの100℃条件下
    における長さ方向の熱寸法変化率が、0.001%〜
    0.04%であることを特徴とする請求項1〜12のい
    ずれか1項に記載の偏光板。
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