JP6495591B2 - 光学フィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、PC−Aからなるフィルムを透明導電性フィルム用基板に使用する場合、耐熱性が十分ではなく、使用が困難であった。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
で表される繰り返し単位(A)と下記式
で表される繰り返し単位(B)を含み、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)とのモル比(A/B)が5/95以上18/82以下の範囲で、20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.20〜0.33であり、ガラス転移温度が150〜180℃であるポリカーボネート樹脂から溶融押出法により成形された、波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が20nm以下であり、厚み方向位相差値Rthの絶対値が50nm以下である光学フィルム。
2.厚みが30〜400μmの範囲である前項1記載の光学フィルム。
3.波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が15nm以下であり、厚み方向位相差値Rthの絶対値が30nm以下である前項1記載の光学フィルム。
4.ゲル数が100個/m2以下である前項1記載の光学フィルム。
5.熱による5%重量減少の温度が485℃以上であるポリカーボネート共重合体樹脂からなる前項1記載の光学フィルム。
6.前項1記載のポリカーボネート樹脂を溶融押出する光学フィルムの製造方法であって、溶融押出する際の樹脂温度が240℃〜300℃である光学フィルムの製造方法。
7.真空度10kPa以下に保持した真空ホッパーから供給したポリカーボネート樹脂を溶融押出する前項6記載の光学フィルムの製造方法。
8.前項1記載の光学フィルムを用いて形成させたタッチパネル用基板。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、主たる繰り返し単位が、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)とから構成される。
繰り返し単位(A)は、前記式(A)に示され、R1、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、またはハロゲン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)が好ましい。さらに好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、またはハロゲン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)である。
繰り返し単位(B)は、前記式(B)に示したように、芳香族構造を有するカーボネート単位である。前記式(B)中、R3、R4は、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数7〜13のアラルキル基およびハロゲン原子から選ばれる1種が好ましい。R3、R4は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜9のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数7〜9のアラルキル基およびハロゲン原子から選ばれる1種がより好ましく、水素原子、メチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基がさらに好ましい。p、qはR3、R4がベンゼン環上に置換している数を示し、1〜4の整数である。
R7とR8はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または炭素原子数6〜12アリール基を表す。R9は1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の組成比は、主たる繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)のモル比(A/B)が、5/95以上18/82以下である。モル比(A/B)が5/95〜18/82の範囲である本発明のポリカーボネート樹脂をフィルム化した場合、流動性に優れ、フィルムの耐熱性が良好で、ゲル数が少なく、複屈折が低く光学用途に適したものとなり好ましい。好ましくはモル比(A/B)が7/93以上16/84以下、より好ましくは9/91以上15/85以下、さらに好ましくは10/90以上14/86である。繰り返し単位(B)を含むことは、流動性の制御という点で好ましい。モル比(A/B)は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。主たる繰り返し単位とは、繰り返し単位(A)および繰り返し単位(B)の合計が全繰り返し単位を基準として60モル%以上であり、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは実質的に繰り返し単位(A)および繰り返し単位(B)からなる。
本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)としては、0.20〜0.33の範囲である。0.20以上であると強度等が向上し、0.33以下であると流動特性が優れる。好ましくは0.24〜0.33の範囲であり、より好ましくは0.27〜0.33の範囲であり、特に好ましくは0.30〜0.33の範囲である。本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してよい。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは150〜190℃、より好ましくは152〜180℃、特に好ましくは154〜170℃の範囲である。Tgが下限以上であると耐熱安定性が良好となり、フィルムの加工工程でのフィルムの変形を抑制できる。またTgが上限を超えない範囲では、フィルムの製膜加工に高い温度は必要なく、従来と異なる特別な加工設備を必要としないため好ましい。Tgは、アルキル基の導入により低くなると推定される。Tgはティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
本発明の光学フィルムに用いるポリカーボネート共重合体樹脂は、熱による5%重量減少の温度が485℃以上、好ましくは490℃以上である。485℃未満である場合、溶融製膜時に分解が起こり易く、異物が発生し表示品位に影響を与える場合がある。この温度は、DUPONT社(株)製のTGA 951 Thermogravimetric analyzerを用いて、40ml/minの窒素気流下、20℃/minの昇温速度で熱重量測定し、5%重量が減少した時の温度を求めた。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
かかる単官能フェノール類としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用されるものであればよい。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
本発明の光学フィルムは、具体的には、位相差フィルム、プラセル基板フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、輝度上昇フィルム、光ディスクの保護フィルム、拡散フィルム等の用途が挙げられる、なかでも位相差フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルムが好ましい。
溶融押出法においては、Tダイを用いて樹脂を押出冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。このときの溶融押出樹脂温度はポリカーボネート樹脂の分子量、Tg、溶融流動特性等から決められるが、240〜300℃の範囲が好ましく、250℃〜290℃の範囲がより好ましい。240℃より低いと粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすく、また、300℃より高いと熱劣化によるゲル化、着色、Tダイからのダイライン(筋)等の問題が起きやすい。また、減圧状態に保持できる真空ホッパーを使用することが好ましい。真空度は10kPa以下が好ましく、5kPa以下がさらに好ましく、3kPa以下が特に好ましい。
未延伸光学フィルムは、波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。また、波長550nmにおける厚み方向位相差値Rthの絶対値が50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。上記範囲であるとディスプレイ用基板やタッチパネル用基板として使用した際に、ディスプレイやタッチパネルの画像のぼやけがなくなり、高精細な画像を表示することができ好ましい。
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ポリカーボネート樹脂8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
DUPONT社(株)製のTGA 951 Thermogravimetric analyzerを用いて、40ml/minの窒素気流下、20℃/minの昇温速度で熱重量測定し、5%重量が減少した時の温度を求めた。
得られたフィルムを用いて濁度計NDH−2000型(日本電色工業(株)製)を使用し、JIS K7105に準拠して、フィルムのHazeを測定した。
得られたフィルムをカラー3Dレーザ顕微鏡を用いて、500mm×1000mmに存在する長軸の直径が300μm以上の干渉縞を有するゲル数をフィルム1m2中に換算して求めた。
延伸した光学フィルムを日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用して測定した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21540部、48%水酸化ナトリウム水溶液4930部を入れ、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)970部および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と略称することがある)3321部、ハイドロサルファイト15部を溶解した後、塩化メチレン14530部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン2200部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール104.8部および48%水酸化ナトリウム水溶液705部を加え、乳化後、トリエチルアミン5.9部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸で酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、白色のポリマーを得た。得られたポリカーボネート樹脂の比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
次に、40mmφの単軸押出機に真空度を1kPa以下に調整した真空ホッパーと幅650mmのTダイを取り付け、得られたポリカーボネート樹脂を280℃でフィルム製膜することにより透明な厚さ100μmの押出未延伸フィルムを得た。得られた光学フィルムの位相差測定、ゲル数、Hazeを測定した。また長さ100mm×幅70mmサイズのサンプルをTg+10℃の温度にて長さ方向に1.5倍で一軸延伸し位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF776部、BPA3439部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF647部、BPA3517部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF453部、BPA3634部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
ビスフェノールフルオレン(以下“BPFL”と略称することがある)599部、BPA3516部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF1294部、BPA3126部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF1552部、BPA2970部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF1941部、BPA2735部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF970部、BPA3321部、p−tert−ブチルフェノール98.8部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
BCF259部、BPA3751部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。
<光学フィルムの製造>
次に得られたポリカーボネート樹脂を実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<光学フィルムの製造>
比較例1で得られたポリカーボネート樹脂を用いて、真空ホッパーを使用しなかった以外は実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
<光学フィルムの製造>
比較例1で得られたポリカーボネート樹脂を用いて、310℃でフィルム製膜した以外は実施例1と同様にフィルムを製膜し、位相差測定、ゲル数、Haze、延伸後の位相差を測定した。結果を表1に示した。
Claims (8)
- 主たる繰り返し単位が下記式
で表される繰り返し単位(A)と下記式
で表される繰り返し単位(B)を含み、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)とのモル比(A/B)が5/95以上18/82以下の範囲で、20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.20〜0.33であり、ガラス転移温度が150〜180℃であるポリカーボネート樹脂から溶融押出法により成形された、波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が20nm以下であり、厚み方向位相差値Rthの絶対値が50nm以下である光学フィルム。 - 厚みが30〜400μmの範囲である請求項1記載の光学フィルム。
- 波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が15nm以下であり、厚み方向位相差値Rthの絶対値が30nm以下である請求項1記載の光学フィルム。
- ゲル数が100個/m2以下である請求項1記載の光学フィルム。
- 熱による5%重量減少の温度が485℃以上であるポリカーボネート共重合体樹脂からなる請求項1記載の光学フィルム。
- 請求項1記載のポリカーボネート樹脂を溶融押出する光学フィルムの製造方法であって、溶融押出する際の樹脂温度が240℃〜300℃である光学フィルムの製造方法。
- 真空度10kPa以下に保持した真空ホッパーから供給したポリカーボネート樹脂を溶融押出する請求項6記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1記載の光学フィルムを用いて形成させたタッチパネル用基板。
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