JP6890923B2 - 多層体 - Google Patents
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Description
しかしながら、PC−Aからなるフィルムを透明導電性フィルム用基板に使用する場合、耐熱性が十分ではなく、使用が困難であった。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
条件1:熱可塑性樹脂Aが正の屈折率異方性を有する
条件2:熱可塑性樹脂Bが負の屈折率異方性を有し、主たる繰り返し単位が下記式
で表される単位(C)を含むポリカーボネート樹脂[B]である
条件3:熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bのいずれか一方のガラス転移温度が160℃以上である
条件4:多層体が未延伸である
2.多層体が未延伸多層体である前項1記載の多層体。
3.波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が10nm以下であり、厚み方向位相差値Rthの絶対値が30nm以下である前項1記載の多層体。
4.熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度の差が10〜50℃である前項1記載の多層体。
5.多層体の総厚みが20μm〜500μmである前項1記載の多層体。
6.熱可塑性樹脂Aが、それぞれポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂またはポリエステルカーボネート樹脂のいずれかである前項1記載の多層体。
で表される単位(A)と下記式
で表される単位(B)を含むポリカーボネート樹脂[A]である前項1記載の多層体。
9.前項8記載の光学フィルムを基材とした透明導電性フィルム。
<熱可塑性樹脂A>
本発明で使用される熱可塑性樹脂Aとしてはポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。好ましくはポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂であり、特に好ましくはポリカーボネート樹脂である。
熱可塑性樹脂Aは、正の屈折率異方性を有する。正の屈折率異方性とは、熱可塑性樹脂Aを延伸した際に、延伸方向に遅相軸が発現するものをいう。
単位(A)として、下記式(A)
で表される単位(A)が好ましく用いられる。
上記式(W)中、R3、R4は夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜10のアラルキル基、炭素原子数1〜10のアルケニル基、またはハロゲン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)が好ましい。pは1〜3の整数が好ましい。
特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンや1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから誘導されるカーボネート単位が好ましい。
単位(B)として、下記式(B)
で表される単位(B)が好ましく用いられる。
式(B)中のXは前記式(X)で示され、R7とR8はそれぞれ炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基が好ましい。R9とR10はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基が好ましい。
本発明で好ましく使用されるポリカーボネート樹脂[A]の組成比は、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が、好ましくは5/95以上95/5以下、より好ましくは10/90以上90/10以下、さらに好ましくは15/85以上80/20以下、特に好ましくは18/82以上60/40以下、もっとも好ましくは20/80以上40/60以下である。モル比(A/B)が5/95〜95/5の範囲である組成のポリカーボネート樹脂をフィルム化した場合、フィルムの耐熱性、流動性に優れ、光学用途に適したものとなり好ましい。本発明で使用されるポリカーボネート樹脂[A]は共重合体が好ましい。なお、モル比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
ポリカーボネート樹脂[A]において、その他の共重合構成単位を誘導する化合物としては、脂肪族ジオール化合物や脂環族ジオール化合物などが挙げられる。また、テレフタル酸などの酸成分を共重合することにより、一部ポリエステルカーボネートとすることもできる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂Bとしてはポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。好ましくはポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂であり、特に好ましくはポリカーボネート樹脂である。
好ましいポリカーボネート樹脂としては、主たる繰り返し単位が、下記単位(C)を含む。主たる繰り返し単位とは、単位(C)が全繰り返し単位を基準として60モル%以上であり、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上である。
単位(C)として、下記式(C)
で表される単位(C)が好ましく用いられる。
R14およびR15において、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基として、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、より好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、さらに好ましくはエチレン基である。
uおよびkは、それぞれ−(R14−O)−および−(O−R15)−の繰り返しの数を表す。uおよびkは、夫々独立して、1以上の整数であり、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜12の整数、さらに好ましくは1〜8の整数、特に好ましくは1〜4の整数、最も好ましくは1である。
ポリカーボネート樹脂[B]において、その他の共重合構成単位を誘導する化合物としては、脂肪族ジオール化合物、脂環族ジオール化合物または芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート単位が挙げられる。芳香族ジヒドロキシ化合物としては前述した単位(B)で使用される芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンなどが好ましい。
上記一般式(C3)を誘導する化合物の具体的例として、ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、1,2−ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]エタン、1,2−ビス[9−(2−メトキシカルボニルプロピル)フルオレン−9−イル]エタン、ビス[9−(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、1,2−ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]エタンが好ましい。
また、テレフタル酸などの酸成分を共重合することにより、ポリエステルカーボネートとすることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂[A]およびポリカーボネート樹脂[B]は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
なお、ポリカーボネート樹脂[A]は、耐熱性が高く、溶融粘度も高いため、ホスゲンを使用するホスゲンを使用した製造方法(溶液法)が好ましい。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
これらの重合触媒の使用量は、ジヒドロキシ成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
なお、ポリカーボネート樹脂[B]は脂肪族ジオールを含むため、炭酸ジエステルを用いたエステル交換法(溶融法)が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)としては、好ましくは0.18〜0.50の範囲であり、より好ましくは0.20〜0.40の範囲であり、特に好ましくは0.23〜0.35の範囲である。かかる範囲内では、強度等が向上し、且つ流動特性が優れる。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
本発明の多層体に用いる熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂BのいずれかのTgが160℃以上であることが必要である。特に好ましくは熱可塑性樹脂AのTgが160℃以上である。熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂BのいずれかのTgが160℃以上であると耐熱安定性が良好となり好ましい。
また、熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は、それぞれ好ましくは130〜195℃、より好ましくは140〜192℃、特に好ましくは145〜190℃の範囲である。熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂BのTgの差は好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜50℃、さらに好ましくは15〜40℃、特に好ましくは20〜35℃である。熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂BのTgが下限以上であると耐熱安定性が良好となり、フィルムの加工工程でのフィルムの変形を抑制できる。またTgが上限以下の範囲では、フィルムの製膜加工に高い温度は必要なく、従来と異なる特別な加工設備を必要としないため好ましい。またTgの差がこの範囲であると製膜時の製膜安定性や厚み制御が抑制できる。Tgはティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
また、本発明の熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bには、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bには、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、熱安定剤を含有することが好ましい。熱安定剤としてはリン系安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤として、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物、その他各種ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、およびホスホネイト化合物などを配合することが好ましい。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。リン系安定剤は熱可塑性樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.7重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部配合される。
熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤を添加することもできる。
これらのヒンダードフェノール系安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
ヒンダードフェノール系安定剤は熱可塑性樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
本発明の多層体は、フィルム、シート、プレート等の成形品として広く使用することができる。多層体の成形方法としては公知の方法、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等の方法を用いることができる。この中でも特に共押出法を用いることが好ましい。
共押出の場合、多層体の各層を構成する樹脂、及び、添加剤を複数台の押出機を用いてフィードブロック、あるいは、マルチマニホールドダイを通じ樹脂を合流させ、多層体を成形する。本発明の多層体は未延伸の多層体である。
本発明の多層体において、総厚みが20〜500μmの範囲が好ましく、25〜300μmの範囲がより好ましく、30〜100μmの範囲がさらに好ましい。
本発明の多層体は光学フィルムとして好適に用いることができる。具体的には、位相差フィルム、プラセル基板フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、輝度上昇フィルム、光ディスクの保護フィルム、拡散フィルム等の用途が挙げられる、なかでも位相差フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルムが好ましい。
光学フィルムの製造方法としては、生産性の点から溶融押出法(共押出法)が採用される。
光学フィルムは、波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、5nm以下であることが特に好ましい。また、波長550nmにおける厚み方向位相差値Rthの絶対値が50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましく、10nm以下であることが特に好ましく、5nm以下であることがもっとも好ましい。上記範囲であるとディスプレイ用基板やタッチパネル用基板として使用した際に、ディスプレイやタッチパネルの画像のぼやけがなくなり、高精細な画像を表示することができ好ましい。
また、得られる光学フィルムのゲル数が100個/m2以下であることが好ましく、50個/m2以下であることがより好ましく、30個/m2以下であることがさらに好ましく、20個/m2以下であることが特に好ましい。ゲル数が上記範囲内であるとディスプレイ用基板やタッチパネル用基板として使用した際に、ディスプレイやタッチパネルが高精細な画像を表示することができ好ましい。
本発明の多層体は、タッチパネル用透明導電性フィルムのベースフィルム(基板または基材)として特に好適に用いられる。
透明導電性フィルムは、ベースフィルムの低屈折率層の上に透明導電膜を設けることにより得られる。
タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネルと静電容量式タッチパネルが主流であるが、透明導電性フィルムはいずれのタッチパネルにも用いることができる。特に、透明導電性フィルムは、静電容量式タッチパネルに好適である。
静電容量式タッチパネルの透明導電性フィルムの透明導電膜は、通常、所定のパターンにパターン化されている。この透明導電膜のパターン化は、透明導電膜をエッチング処理することにより行われる。
透明導電膜の材料としては、透明導電性フィルムに用いられる公知の材料を用いることができる。例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム錫)、ATO(酸化アンチモン錫)などの金属酸化物、銀ナノワイヤーなどの金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。これらの中でもITOや金属ナノワイヤーが好ましく用いられる。
透明導電膜の表面抵抗値は、1000Ω/□以下が好ましく、500Ω/□以下が好ましい。
透明導電膜の屈折率1.81以上であることが好ましい。さらに透明導電膜の屈折率は1.85以上が好ましく、1.90以上がより好ましい。上限は2.20以下が好ましく、2.10以下がより好ましい。
透明導電膜の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスを用いることができる。
透明導電膜のパターン化は、一般的にはエッチングによって行われる。例えば、透明導電膜上に所定パターンのエッチングレジスト膜を、フォトリソグラフィ法、レーザー露光法、あるいは印刷法により形成した後エッチン処理することにより、透明導電膜がパターン化される。
エッチング液としては、従来公知のものが用いられる。例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、およびこれらの混合物、ならびにそれらの水溶液が用いられる。
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂(または樹脂組成物)0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ポリカーボネート樹脂(または樹脂組成物)8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
参考例で得られた光学フィルムを1.5倍延伸し、日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用して測定し、屈折率異方性を評価した。
実施例で得られた光学フィルムを日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用して測定した。
実施例で得られた光学フィルムを用いて濁度計NDH−2000型(日本電色工業(株)製)を使用し、JIS K7105に準拠して、フィルムのHazeを測定した。
実施例で得られた光学フィルムをカラー3Dレーザ顕微鏡を用いて、500mm×1000mmに存在する長軸の直径が300μm以上の干渉縞を有するゲル数をフィルム1m2中に換算して求めた。
実施例で得られた光学フィルムを150℃熱風乾燥機で1時間処理した後の、フィルム外観を評価し、外観変化がない場合を○、収縮や変形していた場合を×とした。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21540部、48%水酸化ナトリウム水溶液4930部を入れ、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)1940部および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と略称することがある)2735部、ハイドロサルファイト15部を溶解した後、塩化メチレン14530部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン2200部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール104.8部および48%水酸化ナトリウム水溶液705部を加え、乳化後、トリエチルアミン5.9部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸で酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、白色のポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂1000部とトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト0.3部を、ベント付きΦ30mm二軸押出機を用いてストランドを押出し、40℃の温水にて冷却し、カットしてポリカーボネート樹脂組成物のペレット樹脂A1を得た。樹脂A1の比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。次に、(株)テクノベル製15φ二軸押出混練機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたペレットを280℃で溶融押出しフィルム成形することにより透明な押出しフィルムを得た。得られたフィルムを1.5倍に延伸し、屈折率異方性を評価した。
BCF1294部、BPA3126部を用いた他は、参考例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂A2を得た。該樹脂A2の比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。参考例1と全く同様の操作を行い、屈折率異方性を評価した。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“TMC”と略称することがある)1859部、BPA2539部を用いた他は、参考例1と全く同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂A3を得た。該樹脂A3の比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。参考例1と全く同様の操作を行い、屈折率異方性を評価した。
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下BPEFと略す)1502部、ジフェニルカーボネート749.7部および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.6×10−3部と炭酸水素ナトリウム1.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で270℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行った。
反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてポリカーボネート樹脂B1を得た。樹脂B1の比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。参考例1と全く同様の操作を行い、屈折率異方性を評価した。
BPEF1353部、BCF151部、ジフェニルカーボネート749.7部および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.6×10−3部と炭酸水素ナトリウム1.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で270℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行った。
反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてポリカーボネート樹脂B2を得た。樹脂B2の比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。参考例1と全く同様の操作を行い、屈折率異方性を評価した。
BCF389部、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下SPGと略す)730部、ジフェニルカーボネート749.7部および触媒として炭酸水素ナトリウム4.5×10−3部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で260℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行った。
反応終了後、触媒量の1.5倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてポリカーボネート樹脂C1を得た。樹脂C1の比粘度、ガラス転移温度を測定し、表1に記載した。参考例1と全く同様の操作を行い、屈折率異方性を評価した。
<多層体の製造>
上記製造方法で作成した(A)層を形成する樹脂にポリカーボネート樹脂A1を用いて、スクリュー径40mmの単軸押出機で、また、(B)層を形成する樹脂にポリカーボネート樹脂B1を用いて、スクリュー径30mmの単軸押出機でそれぞれ溶融させ、マルチマニホールド法にて2種3層に積層させ、ポリカーボネート樹脂A1については設定温度295℃、ポリカーボネート樹脂B1については設定温度275℃のT型ダイスを介して押出し、得られるシートを鏡面仕上げされたロールにて冷却し、ポリカーボネート樹脂A1の両面にポリカーボネート樹脂B1を積層した積層体を得た。また、この時それぞれの層の厚みは、第1層(ポリカーボネート樹脂A1)/第2層(ポリカーボネート樹脂B1)/第3層(ポリカーボネート樹脂A1)=15/20/15(μm)となるよう溶融樹脂の吐出量を調整した。得られた積層体の各種評価結果を表2に記載した。
<多層体の製造>
それぞれの層の厚みは、第1層(ポリカーボネート樹脂A1)/第2層(ポリカーボネート樹脂B1)/第3層(ポリカーボネート樹脂A1)=10/10/10(μm)とした他は実施例1と全く同様の操作を行い、積層体を得た。各種評価結果を表2に記載した。
<多層体の製造>
ポリカーボネート樹脂A1の代わりにポリカーボネート樹脂A3を用いた他は実施例2と全く同様の操作を行い、積層体を得た。各種評価結果を表2に記載した。
<多層体の製造>
ポリカーボネート樹脂B1の代わりにポリカーボネート樹脂B2を用いた他は実施例1と全く同様の操作を行い、積層体を得た。各種評価結果を表2に記載した。
<多層体の製造>
ポリカーボネート樹脂A1の代わりにポリカーボネート樹脂A2を用いた他は実施例1と全く同様の操作を行い、積層体を得た。各種評価結果を表2に記載した。
<多層体の製造>
ポリカーボネート樹脂A1の代わりにポリカーボネート樹脂A2、ポリカーボネート樹脂B1の代わりにポリカーボネート樹脂B2を用いた他は実施例1と全く同様の操作を行い、積層体を得た。各種評価結果を表2に記載した。
<多層体の製造>
(A)層を形成する樹脂にポリカーボネート樹脂B1を用いて、スクリュー径40mmの単軸押出機で、また、(B)層を形成する樹脂にポリカーボネート樹脂A1を用いて、スクリュー径30mmの単軸押出機でそれぞれ溶融させ、マルチマニホールド法にて2種3層に積層させ、ポリカーボネート樹脂A1については設定温度295℃、ポリカーボネート樹脂B1については設定温度275℃のT型ダイスを介して押出し、得られるシートを鏡面仕上げされたロールにて冷却し、ポリカーボネート樹脂B1の両面にポリカーボネート樹脂A1を積層した積層体を得た。また、この時それぞれの層の厚みは、第1層(ポリカーボネート樹脂B1)/第2層(ポリカーボネート樹脂A1)/第3層(ポリカーボネート樹脂B1)=20/10/20(μm)となるよう溶融樹脂の吐出量を調整した。得られた積層体の各種評価結果を表2に記載した。
<多層体の製造>
ポリカーボネート樹脂A1の代わりにポリカーボネート樹脂A2、ポリカーボネート樹脂B1の代わりにポリカーボネート樹脂B2を用いた他は実施例5と全く同様の操作を行い、積層体を得た。各種評価結果を表2に記載した。
<多層体の製造>
(A)層を形成する樹脂にポリカーボネート樹脂B1を用いて、スクリュー径40mmの単軸押出機で、また、(B)層を形成する樹脂にポリカーボネート樹脂A1を用いて、スクリュー径30mmの単軸押出機でそれぞれ溶融させ、マルチマニホールド法にて2種2層に積層させ、ポリカーボネート樹脂A1については設定温度295℃、ポリカーボネート樹脂B1については設定温度275℃のT型ダイスを介して押出し、得られるシートを鏡面仕上げされたロールにて冷却し積層体を得た。また、この時それぞれの層の厚みは、第1層(ポリカーボネート樹脂B1)/第2層(ポリカーボネート樹脂A1)=30/10(μm)となるよう溶融樹脂の吐出量を調整した。得られた積層体の各種評価結果を表2に記載した。
<フィルムの製造>
(株)テクノベル製15φ二軸押出混練機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、ポリカーボネート樹脂A1を295℃で溶融押出しフィルム成形することにより透明な押出しフィルムを得た。評価結果を表2に記載した。
<フィルムの製造>
ポリカーボネート樹脂C1を270℃で溶融押出しフィルム成形した他は、比較例1と全く同様の操作を行い、透明な押出しフィルムを得た。評価結果を表2に記載した。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂Aを含む層と熱可塑性樹脂Bを含む層をそれぞれ少なくとも1層以上有する多層体であり、下記条件1〜4を満たし、波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が15nm以下であり、厚み方向位相差値Rthの絶対値が50nm以下である多層体。
条件1:熱可塑性樹脂Aが正の屈折率異方性を有する
条件2:熱可塑性樹脂Bが負の屈折率異方性を有し、主たる繰り返し単位が下記式
で表される単位(C)を含むポリカーボネート樹脂[B]である
条件3:熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bのいずれか一方のガラス転移温度が160℃以上である
条件4:多層体が未延伸である - 多層体が未延伸多層体である請求項1記載の多層体。
- 波長550nmにおける面内位相差値Reの絶対値が10nm以下であり、厚み方向位相差値Rthの絶対値が30nm以下である請求項1記載の多層体。
- 熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度の差が10〜50℃である請求項1記載の多層体。
- 多層体の総厚みが20μm〜500μmである請求項1記載の多層体。
- 熱可塑性樹脂Aが、それぞれポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂またはポリエステルカーボネート樹脂のいずれかである請求項1記載の多層体。
- 熱可塑性樹脂Aは、主たる繰り返し単位が下記式
で表される単位(A)と下記式
数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、または炭素原子数7〜17のアラルキル基を表す。また、R7とR8が結合して炭素環または複素環を形成しても良い。R9とR10はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または炭素原子数6〜12アリール基を表す。R11は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは1〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。]
で表される単位(B)を含むポリカーボネート樹脂[A]である請求項1記載の多層体。 - 請求項1記載の多層体からなる光学フィルム。
- 請求項8記載の光学フィルムを基材とした透明導電性フィルム。
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