JP2009155251A - フルオレン骨格を有するアルコール - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、フルオレン骨格(詳細には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格)を有する新規なアルコールに関する。
9,9−ビスフェニルフルオレン骨格などのフルオレン骨格を有する化合物は、屈折率、耐熱性などにおいて優れた機能を有しており、樹脂原料や添加剤として用いることが知られている。そして、このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現し、成形可能とする方法としては、反応性基(ヒドロキシル基など)を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などを、樹脂の構成成分として利用し、樹脂の骨格構造の一部にフルオレン骨格を導入する方法が知られている。
例えば、フルオレン骨格を有する化合物をエポキシ樹脂原料として用いた例として、特許第3659533号公報(特許文献1)には、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂が開示されている。
(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Gはグリシジル基を表す。)
この文献には、基Rに関し、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好ましい基として挙げられ、水素原子またはメチル基が特に好ましいと記載されている。そして、この文献の実施例では、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレンを得たことが記載されている。
この文献には、基Rに関し、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好ましい基として挙げられ、水素原子またはメチル基が特に好ましいと記載されている。そして、この文献の実施例では、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレンを得たことが記載されている。
また、特開2005−162785号公報(特許文献2)には、フルオレン骨格を有する化合物と、熱可塑性樹脂とで構成された樹脂組成物が開示されており、前記フルオレン骨格を有する化合物として、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどのグリシジルエーテルを使用できると記載されている。
これらの文献に記載のエポキシ樹脂では、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有しているため、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などの従来のエポキシ樹脂に比べて、耐熱性を向上できる。しかし、このようなエポキシ樹脂は、高い溶融粘度を有している場合が多く、ハンドリング性の点で十分でない場合も多かった。
また、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどの光学材料用途などとして、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)又はそのエチレンオキシド付加体のジアクリレートなどの多官能性アクリレートが使用されている。このような多官能性アクリレートには、耐湿性、耐熱性、高屈折率などの特性の向上が求められており、前記エポキシ樹脂などと同様に、フルオレン骨格を有する化合物を多官能性アクリレート原料として用いることも知られている。
例えば、特開平4−325508号公報(特許文献3)には、下記式(1)で示される化合物を主成分とするラジカル重合可能な組成物の共重合体であって、屈折率が1.60以上であるプラスチックレンズ材料が開示されている。
(式中、R1、R2は水素又はメチル基を、m、nは0〜5の整数を示す)
この文献には、前記式(1)で示される化合物として、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンに(メタ)アクリル酸クロリドを反応させた化合物、又は9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加させたのち、(メタ)アクリル酸を反応させた化合物が記載されている。
この文献には、前記式(1)で示される化合物として、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンに(メタ)アクリル酸クロリドを反応させた化合物、又は9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加させたのち、(メタ)アクリル酸を反応させた化合物が記載されている。
また、前記特許文献2には、フルオレン骨格を有する化合物と、熱可塑性樹脂とで構成された樹脂組成物が開示されており、前記フルオレン骨格を有する化合物として、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの二官能性(メタ)アクリレートを使用できると記載されている。
さらに、特開2007−91870号公報(特許文献4)には、フルオレン骨格を有する特定の多官能性(メタ)アクリレート、重合性基を有する加水分解縮合性有機ケイ素化合物、および光酸発生剤とで構成された重合性組成物が開示されており、前記多官能性(メタ)アクリレートとして、9,9−ビス(モノ乃至トリヒドロキシフェニル)フルオレン類の(メタ)アクリレートの他、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ乃至トリヒドロキシフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体の(メタ)アクリレートも使用できると記載されている。
これらの文献に記載の(メタ)アクリレートでは、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有しているため、ビスフェノール類又はそのエチレンオキシド付加体のジ(メタ)アクリレートなどの従来の(メタ)アクリレートに比べて高屈折率化できるなど、種々の特性を向上できる。しかし、これらの文献に記載の(メタ)アクリレートでは、粘度が高すぎる、合成後単独で固化しやすいなど、ハンドリング性の点で十分でないものがあり、より一層、実用性に優れた(メタ)アクリレートの開発が期待されている。
以上のように、樹脂原料などとして用いたとき、ハンドリング性や耐熱性などの特性をさらに向上できるフルオレン骨格を有する化合物が求められている。
特許第3659533号公報(請求項1、段落番号[0013]、実施例)
特開2005−162785号公報(請求項1、段落番号[0043]、[0044])
特開平4−325508号公報(請求項1、段落番号[0011])
特開2007−91870号公報(請求項1、段落番号[0041])
従って、本発明の目的は、フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格)を有していても、優れたハンドリング性を付与できる新規なフルオレン骨格含有アルコールを提供することにある。
本発明の他の目的は、溶融粘度を低減できる新規なフルオレン骨格含有アルコールを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高温での曲げ弾性率を低減できる新規なフルオレン骨格含有アルコールを提供することにある。
本発明の別の目的は、耐熱性の向上と溶融粘度の低減とを両立できる新規なフルオレン骨格含有アルコールを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、優れたハンドリング性および高屈折率を付与できる新規なフルオレン骨格含有アルコールを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、9,9−ビス(ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン骨格と分岐オキシアルキレン基(オキシプロピレン基など)とを組み合わせた新規なフルオレン骨格含有アルコールは、樹脂原料(エポキシ樹脂原料、アクリレート原料、ポリエステル原料など)などとして用いると、従来のフルオレン骨格含有化合物[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの同一のフルオレン骨格を有する化合物又はそのエチレンオキシド付加物]などに比べ、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有しているにもかかわらず、優れたハンドリング性を付与できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
(式中、R1はシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、R2は分岐アルキレン基を示し、R3はアルキル基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは2〜4の整数である。)
前記式(1)において、R2は、例えば、分岐C3−4アルキレン基(例えば、プロピレン基など)であってもよく、mは1〜4程度であってもよい。また、前記式(1)において、R3は、C1−4アルキル基(例えば、メチル基など)であってもよく、nは2であってもよい。特に、前記式(1)において、R2がプロピレン基であり、mが1〜2であり、R3がメチル基であり、nが2であってもよい。
前記式(1)において、R2は、例えば、分岐C3−4アルキレン基(例えば、プロピレン基など)であってもよく、mは1〜4程度であってもよい。また、前記式(1)において、R3は、C1−4アルキル基(例えば、メチル基など)であってもよく、nは2であってもよい。特に、前記式(1)において、R2がプロピレン基であり、mが1〜2であり、R3がメチル基であり、nが2であってもよい。
代表的な前記式(1)で表される化合物には、下記式(1A)で表される化合物が含まれる。
(式中、R1、R2、R3、k、およびmは前記と同じ。)
特に、前記式(1)で表される化合物は、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジC1−4アルキルフェニル]フルオレンであってもよい。
特に、前記式(1)で表される化合物は、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジC1−4アルキルフェニル]フルオレンであってもよい。
本発明には、前記化合物を重合成分とする樹脂も含まれる。このような樹脂は、例えば、前記化合物(前記式(1)で表される化合物)で少なくとも構成されたジオール成分と、ジカルボン酸成分とを重合成分とするポリエステル(ポリエステル樹脂)であってもよい。
なお、本明細書において、化合物名などの「類」とは、「置換基を有さない」場合と「置換基を有する」場合とを含み、「置換基を有していてもよい」ことを意味する場合がある。
本発明の新規なフルオレン骨格含有アルコールは、樹脂原料(例えば、エポキシ樹脂原料、など)などとして用いても高粘度化、合成直後の単独硬化などを生じることがなく、フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格)を有していても、優れたハンドリング性を付与できる。
また、本発明のフルオレン骨格含有アルコールは、樹脂原料(エポキシ樹脂原料など)として用いると、溶融粘度を低減できる。例えば、本発明のフルオレン骨格含有アルコールを原料とするエポキシ樹脂は、従来のフルオレン骨格含有アルコールを原料とするエポキシ樹脂[9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの同一のフルオレン骨格を有する化合物又はそのエチレンオキシド付加体のグリシジルエーテルなど]に比べて、溶融粘度を大きく低減でき、ハンドリング性に優れている。さらに、本発明のアルコールは、例えば、エポキシ樹脂原料などとして用いたとき、高温での曲げ弾性率を低減できる。
さらにまた、本発明のアルコールは、9,9−ビス(ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン骨格と分岐オキシアルキレン基(オキシプロピレン基など)とを有しているためか、樹脂原料(エポキシ樹脂原料など)として用いたとき、従来の9,9−ビスフェニルフルオレン骨格(9,9−ビス(フェニル)フルオレン骨格、9,9−ビス(メチルフェニル)フルオレン骨格など)を有する化合物(9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなど)などを用いた場合に比べて耐熱性が高く、しかも、意外にも溶融粘度が低いため、耐熱性の向上と溶融粘度の低減とを両立できる。
また、本発明のアルコールは、(メタ)アクリレート原料、ポリエステル原料などの樹脂原料として用いたとき、エチレンオキシド付加体などに比べて、優れたハンドリング性および高屈折率を付与できる。さらに、本発明のアルコールは、(メタ)アクリレート原料などとして用いると、溶媒や他のアクリレートに対する相溶性を向上できる。そのため、本発明のアルコールは、高耐熱性、高屈折率などの優れた特性を樹脂などに付与できるとともに、実用的価値が高い。
本発明の化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
(式中、R1は置換基を示し、R2は分岐アルキレン基を示し、R3はアルキル基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは2〜4の整数である。)
上記式(1)において、基R1で表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基R1は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基R1は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基R1の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
上記式(1)において、基R1で表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基R1は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基R1は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基R1の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)において、基R2で表される分岐アルキレン基としては、例えば、プロピレン基(又は1,2−プロパンジイル基)、1,2−ブタンジイル基などの分岐C3−6アルキレン基、好ましくは分岐C3−4アルキレン基、さらに好ましくはプロピレン基が挙げられる。なお、mが2以上であるとき、分岐アルキレン基は異なる分岐アルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一の分岐アルキレン基で構成されていてもよい。また、2つのベンゼン環において、基R2は同一であっても、異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
オキシアルキレン基(OR2)の数(付加モル数)mは、1〜15(例えば、1〜12)程度の範囲から選択でき、例えば、1〜8、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4(例えば、1〜3)、特に1〜2であってもよい。なお、置換数mは、異なるベンゼン環において、同一であっても、異なっていてもよい。また、2つのベンゼン環において、オキシアルキレン基の合計(m×2)は、2〜30(例えば、2〜24)程度の範囲から選択でき、例えば、2〜16(例えば、2〜14)、好ましくは2〜12(例えば、2〜10)、さらに好ましくは2〜8(例えば、2〜6)、特に2〜4(例えば、2〜3)であってもよい。
また、前記式(1)において、基R3で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基(例えば、C1−10アルキル基)、好ましくはC1−8アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、さらに好ましくはC1−4アルキル基(例えば、C1−3アルキル基)、特にメチル基などが挙げられる。アルキル基R3は、同一のベンゼン環において、単独で又は2種以上組み合わせて置換していてもよい(すなわち、nが複数である場合、基R3は同一又は異なっていてもよい)。また、異なるベンゼン環に置換するアルキル基R3は互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。
アルキル基R3の置換数nは、2〜4であればよく、好ましくは2〜3、特に2であってもよい。なお、置換数nは、2つのベンゼン環において、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。なお、アルキル基R3の置換位置は、特に限定されず、フェニル基の2〜6位(例えば、3位、3,5−位など)の適当な位置に置換できる。例えば、nが2であるとき、アルキル基R3は、2,3−位、2,4−位、2,5−位、2,6−位、3,4−位、3,5−位、3,6−位などに置換していてもよい。特に、nが2であるとき、R3は、3,5−位に置換しているのが好ましい。
代表的な前記式(1)で表される化合物には、9,9−ビス(ヒドロキシ分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(1)においてmが1である化合物)、9,9−ビス(ヒドロキシポリ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(1)においてmが2以上である化合物)などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ分岐C3−4アルコキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシ分岐C3−4アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類が含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシポリ分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類には、前記9,9−ビス(ヒドロキシ分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類に対応し、mが2以上である化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシジ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−3,5−ジメチルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジ分岐C3−4アルコキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ−ジC1−4アルキルフェニル]フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシジ分岐C3−4アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類などが含まれる。
これらのうち、好ましい式(1)で表される化合物には、式(1)において、nが2であり、R3の置換位置が3,5−位である化合物、例えば、下記式(1A)で表される化合物が含まれる。
(式中、R1、R2、R3、k、およびmは前記と同じ。)
特に好ましい前記式(1)で表される化合物には、前記式(1A)で表される化合物のうち、R2がプロピレン基である化合物、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジアルキルフェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジC1−4アルキルフェニル]フルオレンなど}、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−3,5−ジアルキルフェニル}フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−3,5−ジC1−4アルキルフェニル}フルオレン}などが含まれる。
特に好ましい前記式(1)で表される化合物には、前記式(1A)で表される化合物のうち、R2がプロピレン基である化合物、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジアルキルフェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジC1−4アルキルフェニル]フルオレンなど}、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−3,5−ジアルキルフェニル}フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−3,5−ジC1−4アルキルフェニル}フルオレン}などが含まれる。
(式(1)で表される化合物の製造方法)
前記式(1)で表される化合物は、特に限定されないが、例えば、(1)下記式(2A)で表される化合物と、基R2に対応するアルキレンオキシド又は基R2に対応するアルキレンカーボネートとを反応させる方法、(2)下記式(2B)で表される化合物と、下記式(2C)で表される化合物とを反応させる方法などにより得ることができる。
前記式(1)で表される化合物は、特に限定されないが、例えば、(1)下記式(2A)で表される化合物と、基R2に対応するアルキレンオキシド又は基R2に対応するアルキレンカーボネートとを反応させる方法、(2)下記式(2B)で表される化合物と、下記式(2C)で表される化合物とを反応させる方法などにより得ることができる。
(式中、R1、R2、R3、k、m、nは前記と同じ。)
(方法(1))
方法(1)において、前記式(2A)で表される化合物としては、前記式(1)で表される化合物に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン]などが含まれる。
(方法(1))
方法(1)において、前記式(2A)で表される化合物としては、前記式(1)で表される化合物に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン]などが含まれる。
なお、前記式(2A)で表される化合物は、市販品を用いてもよく、慣用の方法、例えば、酸(例えば、塩酸、硫酸などの無機酸、固体酸など)及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下で、前記式(2B)で表される化合物(フルオレノン類)と、対応するフェノール類(2,6−キシレノールなどのキシレノールなど)とを反応させる方法などにより製造したものを用いてもよい。
原料として使用する前記式(2A)で表される化合物の純度は特に限定されないが、通常、95重量%以上であり、好ましくは99重量%以上であってもよい。
また、方法(1)において、基R2に対応するアルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド(1,2−エポキシブタン)などの分岐C3−6アルキレンオキシド、好ましくは分岐C3−4アルキレンオキシドなどが挙げられる。基R2に対応するアルキレンカーボネートとしては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの分岐C3−6アルキレンカーボネート、好ましくは分岐C3−4アルキレンカーボネートなどが挙げられる。なお、アルキレンオキシド又はアルキレンカーボネートを反応させると、前記式(2A)で表される化合物のヒドロキシル基を介して(ポリ)オキシアルキレン単位を導入できる。アルキレンカーボネートを使用する場合、アルキレンカーボネートが付加したのち、脱炭酸反応が生じることにより、オキシアルキレン単位(分岐アルコキシ単位)が導入される。
方法(1)において、基R2に対応するアルキレンオキシド又は基R2に対応するアルキレンカーボネートの使用量は、付加させるアルキレンオキシド単位の数に応じて調整でき、前記式(2A)で表される化合物1モルに対して、例えば、2〜50モル(例えば、2〜40モル)、好ましくは2〜30モル(例えば、2〜25モル)、さらに好ましくは2〜20モル(例えば、2〜15モル)程度であってもよい。
反応は、触媒の非存在下で行ってもよいが、通常、触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、塩基触媒、酸触媒が例示でき、通常、塩基触媒を使用できる。塩基触媒としては、金属水酸化物(水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物など)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸水素塩など)などの無機塩基;アミン類[例えば、第3級アミン類(トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、1−メチルイミダゾールなどの複素環式第3級アミン)など]、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩など)などの有機塩基などが例示できる。触媒(塩基触媒)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
触媒の使用量は、触媒の種類に応じて調整でき、前記式(2A)で表される化合物1重量部に対して、例えば、0.001〜1重量部(例えば、0.003〜0.5重量部)、好ましくは0.005〜0.3重量部、さらに好ましくは0.01〜0.1重量部程度であってもよい。
反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、特に限定されず、使用する原料に応じて選択でき、例えば、アルキレンオキシドを使用する場合には、エーテル系溶媒(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、アニソールなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類)、炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)などが挙げられる。また、アルキレンカーボネートを使用する場合には、前記例示の溶媒の他、アルコール類(メタノール、エタノールなどのC1−4アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)C2−3アルキレングリコールなど)などを使用してもよい。溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。溶媒の使用量は、前記式(2A)で表される化合物1重量部に対して、例えば、1〜30重量部、好ましくは1.5〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部程度であってもよい。
反応は、付加させる化合物(アルキレンオキシド、アルキレンカーボネート)などの種類に応じて、例えば、0〜170℃、好ましくは10〜150℃、さらに好ましくは20〜130℃程度で行う場合が多い。特に、アルキレンカーボネートを使用する場合、脱炭酸反応を効率よく行うため、例えば、70〜150℃、好ましくは80〜120℃程度で反応させる場合が多い。また、反応時間は、例えば、30分〜48時間、通常、1〜24時間、好ましくは2〜10時間程度である。
反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下で行ってもよい。また、必要に応じて、発生するガス(二酸化炭素など)を除去しながら反応を行ってもよい。
目的生成物(式(1)で表される化合物)は、反応終了後の反応混合物から、慣用の精製方法(抽出、晶析など)を利用して精製してもよい。
(方法(2))
方法(2)において、前記式(2B)で表される化合物としては、9−フルオレノンなどのフルオレノン類が挙げられる。なお、反応に使用する式(2B)で表される化合物(フルオレノン類)の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
方法(2)において、前記式(2B)で表される化合物としては、9−フルオレノンなどのフルオレノン類が挙げられる。なお、反応に使用する式(2B)で表される化合物(フルオレノン類)の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
また、方法(2)において、前記式(2C)で表される化合物としては、例えば、分岐アルキレングリコールモノ(ジアルキルフェニル)エーテル類{例えば、分岐C3−4アルキレングリコールモノキシリルエーテル[2−(2,6−ジメチルフェノキシ)プロパノールなど]などの分岐C3−4アルキレングリコールモノ(ジC1−4アルキルフェニル)エーテルなど}などの前記式(2C)においてmが1であるアルコール類;ジ分岐アルキレングリコールモノ(ジアルキルフェニル)エーテル類{例えば、ジ分岐C3−4アルキレングリコールモノキシリルエーテル(ジプロピレングリコールモノキシリルエーテルなど)などのジ分岐C3−4アルキレングリコールモノ(ジC1−4アルキルフェニル)エーテルなど}などの前記式(2C)においてmが2以上であるアルコール類などが挙げられる。
なお、前記式(2C)で表される化合物(アルコール類)の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上であってもよい。
反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、通常、酸触媒が使用できる。酸触媒としては、無機酸[硫酸、塩化水素、塩酸(5〜36重量%、好ましくは20〜36重量%程度の塩化水素の水溶液など)、リン酸など]、有機酸[スルホン酸(メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸など)など]などが挙げられる。前記硫酸には、希硫酸(例えば、30〜90重量%程度の硫酸)、濃硫酸(例えば、濃度90重量%以上の硫酸)、発煙硫酸などが含まれ、反応系において硫酸に転化可能であれば、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用してもよい。また、固体酸(陽イオン交換樹脂など)を使用してもよい。酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、酸触媒に加えて、助触媒としてのチオール類を併用してもよい。チオール類としては、助触媒として機能する慣用のチオール類、例えば、メルカプトカルボン酸(メルカプト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸など)、チオカルボン酸(チオ酢酸、チオシュウ酸など)、アルキルメルカプタン(メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのC1−16アルキルメルカプタン(特にC1−4アルキルメルカプタン)など)、アラルキルメルカプタン(ベンジルメルカプタンなど)又はこれらの塩などが挙げられる。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)が例示できる。これらのチオール類のうち、メルカプトC2−6カルボン酸(例えば、β−メルカプトプロピオン酸)が好ましい。チオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、反応(液相反応)は、反応溶媒、例えば、芳香族系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アニソールなど)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類など)などの反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。
反応温度は、特に限定されないが、例えば、20〜200℃、好ましくは40〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃程度であってもよい。また、反応時間は、原料の種類、反応温度や溶媒中の濃度などに応じて調整でき、例えば、30分〜48時間、通常、1〜24時間、好ましくは1〜10時間程度であってもよい。
また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下で行ってもよい。また、反応は、脱水しながら行ってもよい。
目的生成物(式(1)で表される化合物)は、反応終了後の反応混合物から、慣用の精製方法(抽出、晶析など)を利用して精製してもよい。
以上のようにして、前記式(1)で表される化合物が得られる。なお、反応により得られる前記式(1)で表される化合物は、単一の化合物であってもよいが、前記式(1)で表される化合物を複数含む混合物であってもよい。例えば、前記式(1)で表される化合物は、前記式(1)においてmが1である化合物と、前記式(1)においてmが2以上(例えば、2)である化合物との混合物であってもよい。このような混合物において、単一化合物の割合は、例えば、70重量%以上(例えば、75〜99.9重量%)、好ましくは80重量%以上(例えば、85〜99.7重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、95〜99.5重量%)程度であってもよい。
[式(1)で表される化合物の用途]
本発明の化合物は、特定のフルオレン骨格を有しているため、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れており、種々の用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。また、前記骨格により、高い屈折率も有している。特に、本発明の化合物は、樹脂原料として用いると、樹脂のハンドリング性を改善又は向上できる。
本発明の化合物は、特定のフルオレン骨格を有しているため、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れており、種々の用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。また、前記骨格により、高い屈折率も有している。特に、本発明の化合物は、樹脂原料として用いると、樹脂のハンドリング性を改善又は向上できる。
このため、このような本発明の化合物は、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など](又はその原料又は中間体)、樹脂原料(モノマーなど)などとして好適に用いることができ、前記のような優れた特性を効率よく付与するための化合物として用いることができる。
(添加剤用途および樹脂組成物)
添加剤としては、樹脂用添加剤(又は樹脂添加剤)、硬化剤(樹脂用硬化剤など)などが挙げられる。添加剤として用いる場合、樹脂および前記化合物を含む樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物、熱又は光硬化性樹脂組成物)を構成できる。このような樹脂組成物において、樹脂としては、特に限定されず、幅広い範囲の樹脂(熱可塑性樹脂、熱又は光硬化性樹脂など)を使用できる。
添加剤としては、樹脂用添加剤(又は樹脂添加剤)、硬化剤(樹脂用硬化剤など)などが挙げられる。添加剤として用いる場合、樹脂および前記化合物を含む樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物、熱又は光硬化性樹脂組成物)を構成できる。このような樹脂組成物において、樹脂としては、特に限定されず、幅広い範囲の樹脂(熱可塑性樹脂、熱又は光硬化性樹脂など)を使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、フッ化樹脂など)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなど)、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアリレート系樹脂(例えば、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸など)と芳香族ジオール(ビフェノール、ビスフェノールA、キシリレングリコール、これらのアルキレンオキシド付加体など)を重合成分として用いたポリアリレート系樹脂など)など]、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの熱可塑性樹脂のうち、芳香環(ベンゼン環など)を含有する熱可塑性樹脂、例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、芳香族ポリエステル系樹脂(前記ポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂などが好ましい。前記フルオレン化合物は、これらの芳香環含有樹脂との相溶性が高く、そのため、樹脂に対する分散性が高い。
また、熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂(シリコーン樹脂、ポリシランなど)、光重合性モノマー又はオリゴマー(例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物)などが例示できる。熱硬化性樹脂は初期縮合物であってもよい。熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、熱硬化性樹脂と前記化合物とを組み合わせる場合、前記化合物は硬化剤(又は硬化促進剤)として作用してもよい。前記樹脂のうち、前記化合物を硬化剤として用いることができる代表的な樹脂としては、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ系樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、4,4−ビフェノール、2,2−ビフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールAなどのビスフェノール類とエピクロロヒドリンとの反応物(縮合物)、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂[フェノールノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型グリシジルエーテルなど)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(クレゾールノボラック型グリシジルエーテルなど)など]、アミン系エポキシ樹脂などが含まれる。エポキシ樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記化合物の割合は、樹脂(特に、芳香環を有する熱可塑性樹脂などの熱可塑性樹脂)100重量部に対して、例えば、1〜700重量部、好ましくは50〜600重量部、さらに好ましくは100〜500重量部(例えば、200〜300重量部)程度であってもよい。また、前記化合物を硬化剤として使用する場合、樹脂(エポキシ樹脂など)の官能基(又は硬化性官能基、例えば、エポキシ基)1当量に対して、前記化合物の官能基(例えば、フェノール性水酸基などのヒドロキシル基、アミノ基など)が、0.1〜4.0当量、好ましくは、0.3〜2.0当量、さらに好ましくは、0.5〜1.5当量となるように、両成分の割合を調整してもよい。
前記樹脂組成物は、用途に応じて種々の添加剤、例えば、充填剤、難燃剤、強化剤、可塑剤、重合開始剤、触媒、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、着色剤(染顔料)、消泡剤、レベリング剤、分散剤、流動調整剤、カーボン材料(カーボンブラック、黒鉛、カーボン繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブなど)などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、前記樹脂組成物は、樹脂の種類などに応じて溶媒を含む組成物(コーティング組成物など)であってもよい。
(樹脂原料用途および樹脂)
本発明の化合物は、樹脂原料として用いることができる。例えば、本発明の化合物は、2つのヒドロキシル基を有しているため、熱可塑性樹脂のモノマー成分や熱硬化性樹脂(又はその前駆体)として用いることができる。すなわち、このような樹脂は、前記化合物を重合成分とする樹脂である。
本発明の化合物は、樹脂原料として用いることができる。例えば、本発明の化合物は、2つのヒドロキシル基を有しているため、熱可塑性樹脂のモノマー成分や熱硬化性樹脂(又はその前駆体)として用いることができる。すなわち、このような樹脂は、前記化合物を重合成分とする樹脂である。
詳細には、前記樹脂は、ポリオール成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂において、前記ポリオール成分の一部又は全部が、前記化合物(又はその誘導体)で構成された樹脂であってもよい。
ポリオール成分(例えば、ジオール成分)を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂としては、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトンなど)など]、熱硬化性樹脂[例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂(前記化合物のポリグリシジルエーテルなど)、ビニルエステル系樹脂、フェノール樹脂、ポリオールポリ(メタ)アクリレート(前記化合物のジ(メタ)アクリレート、又は前記化合物と(メタ)アクリル酸又はその誘導体((メタ)アクリル酸ハライドなど)との反応物など)、ウレタン(メタ)アクリレート]など]などが挙げられる。
このようなポリオール成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂では、ポリオール成分を、前記式(1)で表される化合物で構成することができる。このような樹脂において、前記式(1)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
以下、代表的な樹脂として、エポキシ樹脂(エポキシ化合物)、ジ(メタ)アクリレート、およびポリエステルを詳述する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂(エポキシ化合物)としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(エポキシ化合物)としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R4は水素原子又はメチル基を示し、R1、R2、R3、k、m、およびnは前記と同じ。)
代表的なエポキシ樹脂(又は前記式(3)で表される化合物)には、9,9−ビス(グリシジルオキシ−分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(3)においてmが1である化合物)、9,9−ビス(グリシジルオキシ−ポリ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(3)においてmが2以上である化合物)などが含まれる。
代表的なエポキシ樹脂(又は前記式(3)で表される化合物)には、9,9−ビス(グリシジルオキシ−分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(3)においてmが1である化合物)、9,9−ビス(グリシジルオキシ−ポリ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(3)においてmが2以上である化合物)などが含まれる。
9,9−ビス(グリシジルオキシ−分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシ−分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−2,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−3,4−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシ−分岐C3−4アルコキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−グリシジルオキシプロポキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(グリシジルオキシ−分岐C3−4アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類が含まれる。
9,9−ビス(グリシジルオキシ−ポリ分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類には、前記9,9−ビス(グリシジルオキシ−分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類に対応し、mが2以上である化合物、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシ−ジ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−グリシジルオキシプロポキシ)プロポキシ]−3,5−ジメチルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシ−ジ分岐C3−4アルコキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−グリシジルオキシプロポキシ)プロポキシ−ジC1−4アルキルフェニル]フルオレン}などの9,9−ビス(グリシジルオキシ−ジ分岐C3−4アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類などが含まれる。
なお、前記エポキシ樹脂は、例えば、前記式(1)で表される化合物と、エピハロヒドリン[又はハロメチルオキシラン、例えば、エピクロロヒドリン(クロロメチルオキシラン)、エピブロモヒドリン(ブロモメチルオキシラン)など]又は1−ハロメチル−2−メチルオキシラン(1−クロロメチル−2−メチルオキシランなど)とを反応させることにより製造できる。
前記エポキシ樹脂(前記式(3)で表される化合物又は前記方法により得られる化合物)は、フルオレン骨格(詳細には9,9−ビス(ジ乃至テトラアルキルアリール)フルオレン骨格)を有しており、高耐熱性、高屈折率などのフルオレン骨格特有の特性を有している。しかも、このようなフルオレン骨格を有しているにもかかわらず、溶融粘度が小さい。そのため、前記エポキシ化合物は、ハンドリング性に優れている。例えば、本発明の化合物の150℃における溶融粘度(回転数900rpm)は、例えば、1〜300mPa・s(例えば、3〜250mPa・s)、好ましくは5〜200mPa・s(例えば、10〜150mPa・s)、さらに好ましくは20〜100mPa・s(例えば、30〜80mPa・s)程度であってもよい。
なお、上記溶融粘度は、コーン・プレート(コーン&プレート)型の溶融粘度計(コーン3など)により測定された値である。
なお、前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、300〜1500g/eq、好ましくは330〜1200g/eq、さらに好ましくは350〜1000g/eq程度であってもよい。
なお、前記エポキシ樹脂は、希釈剤、硬化剤、硬化促進剤などを含むエポキシ樹脂組成物を構成してもよい。
(ジ(メタ)アクリレート)
ジ(メタ)アクリレート(ポリ(メタ)アクリレート)としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
ジ(メタ)アクリレート(ポリ(メタ)アクリレート)としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R1、R2、R3、R4、k、m、およびnは前記と同じ。)
代表的なジ(メタ)アクリレート(又は前記式(4)で表される化合物)には、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(1)においてmが1である化合物)、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ポリ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(4)においてmが2以上である化合物)などが含まれる。
代表的なジ(メタ)アクリレート(又は前記式(4)で表される化合物)には、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(1)においてmが1である化合物)、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ポリ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類(前記式(4)においてmが2以上である化合物)などが含まれる。
9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−2,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3,4−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−分岐C3−4アルコキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−分岐C3−4アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類が含まれる。
9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ポリ分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類には、前記9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−分岐アルコキシ−ジ乃至テトラアルキルフェニル)フルオレン類に対応し、mが2以上である化合物、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ジ分岐アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)プロポキシ]−3,5−ジメチルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ジ分岐C3−4アルコキシ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)プロポキシ−ジC1−4アルキルフェニル]フルオレン}などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ジ分岐C3−4アルコキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン類などが含まれる。
なお、前記ジ(メタ)アクリレートは、例えば、前記式(1)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体[例えば、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのC1−4アルキル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸ハライド(例えば、(メタ)アクリル酸クロライドなど)、(メタ)アクリル酸無水物など]とを反応させることにより製造できる。
なお、前記ジ(メタ)アクリレートは、重合開始剤、希釈剤(溶媒、重合性希釈剤など)などを含む樹脂組成物を構成してもよい。
(ポリエステル)
ポリエステルとしては、前記化合物(前記式(1)で表される化合物)で少なくとも構成されたジオール成分(ジオール成分(a))と、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸成分(b))とを重合成分とするポリエステル(ポリエステル樹脂)が挙げられる。
ポリエステルとしては、前記化合物(前記式(1)で表される化合物)で少なくとも構成されたジオール成分(ジオール成分(a))と、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸成分(b))とを重合成分とするポリエステル(ポリエステル樹脂)が挙げられる。
前記ジオール成分(a)は、前記式(1)で表される化合物(a1)で構成されている限り、他のジオール成分(化合物(a1)以外のジオール成分)を含んでいてもよい。このような他のジオール成分(ジオール成分(a2))としては、例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2−10アルカンジオール、好ましくはC2−6アルカンジオール、さらに好ましくはC2−4アルカンジオール)、ポリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのジ又はトリC2−4アルカンジオールなど)、シクロアルカンジオール(例えば、シクロヘキサンジオールなどのC5−8シクロアルカンジオール)、ジ(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン(例えば、シクロペンタンジメタノール、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカンなど)、ジヒドロキシアレーン(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)、芳香脂肪族ジオール[1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーンなど]、ビフェノール、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカンなど]などが挙げられる。他のジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
ジオール成分(a)において、前記化合物(a1)の割合は、ジオール成分(a)全体に対して、例えば、30モル%以上(例えば、35〜100モル%程度)、好ましくは40モル%以上(例えば、45〜99モル%程度)、さらに好ましくは50モル%以上(例えば、55〜95モル%程度)であってもよい。
なお、必要に応じて、ジオール成分に加えて、3以上のヒドロキシル基を有するポリオール成分[例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのアルカンポリオール、フルオレン骨格を有するポリオール(ビスカテコールフルオレンなど)など]を少量使用してもよい。
また、前記ポリエステル樹脂において、ジカルボン酸成分としては、例えば、アルカンジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC2−20アルカン−ジカルボン酸、好ましくはC2−14アルカン−ジカルボン酸など)などの脂肪族ジカルボン酸;シクロアルカンジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸)、ジ又はトリシクロアルカンジカルボン酸(デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸など)などの脂環族ジカルボン酸;アレーンジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などのC6−14アレーン−ジカルボン酸など)、ビフェニルジカルボン酸(2,2’−ビフェニルジカルボン酸など)、ジフェニルアルカンジカルボン酸(4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、2,2−ジ(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのジフェニルC1−10アルカンジカルボン酸)、ジフェニルケトンジカルボン酸(4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸など)、ジフェニルエーテルジカルボン酸(例えば、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸など)、フルオレン骨格を有するジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、これらの誘導体(ジカルボン酸ハライド、ジカルボン酸無水物、低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステルなどのC1−4アルキルエステル、好ましくはC1−2アルキルエステルなど)など)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、必要に応じて、ジカルボン酸成分に加えて、3以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸など)を少量使用してもよい。
前記ポリエステル樹脂は、前記のように、前記ジオール成分(a)と、前記ジカルボン酸成分(b)とを重合成分とするポリエステル樹脂であり、通常、下記式(4A)で表されるユニットを有するポリエステルである。
(式中、Aはジカルボン酸成分(b)の残基を示し、R1、R2、R3、k、mおよびnは前記と同じ。)
前記ポリエステルの重量平均分子量は、例えば、3000〜1000000程度の範囲から選択でき、例えば、5000〜800000、好ましくは8000〜600000、さらに好ましくは10000〜500000(例えば、30000〜500000)程度であってもよい。なお、上記重量平均分子量は、ポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した値であってもよい。
前記ポリエステルの重量平均分子量は、例えば、3000〜1000000程度の範囲から選択でき、例えば、5000〜800000、好ましくは8000〜600000、さらに好ましくは10000〜500000(例えば、30000〜500000)程度であってもよい。なお、上記重量平均分子量は、ポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した値であってもよい。
なお、前記ポリエステルのガラス転移温度Tgは、例えば、50〜350℃、好ましくは60〜300℃、さらに好ましくは70〜250℃、特に80〜200℃程度であってもよい。
なお、前記ポリエステル樹脂は、前記ジオール成分(a)と前記ジカルボン酸成分(b)とを反応(縮合反応)させることにより得ることができる。縮合反応(重縮合反応)は、一般的なポリエステル樹脂の合成に用いられる方法、例えば、エステル交換法、直接重合法などの溶融重合法、溶液重合法、界面重合法などを利用して製造できる。
本発明の化合物は、高耐熱性、高屈折率などの優れた特性を有しつつ、優れたハンドリング性を付与できる。具体的には、本発明の化合物は、樹脂原料[例えば、熱可塑性樹脂(ポリエステルなど)原料、熱又は光硬化性樹脂(エポキシ樹脂、ポリオールポリ(メタ)アクリレートなど)原料]、添加剤などとして利用できる。
例えば、本発明の化合物を用いた熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂など)の硬化物は、高温における曲げ弾性が低いという特性を有しており、有用性が高い。例えば、本発明の化合物(又はその硬化物)を、高温において水蒸気などのガスが発生する用途(半導体封止剤用途など)において使用しても、前記ガスを排出しやすくできるなどの利点がある。
このような本発明の化合物を用いて得られる硬化物は、具体的には、電子部品の層間の絶縁材、プリント基板用のソルダーレジスト、カバーレイなどのレジスト材料、半導体封止材料として有用である他、カラーフィルター、印刷インキ、封止剤(半導体封止剤など)、塗料、コーティング剤、接着剤などのあらゆる電気・電子材料として有用である。また、成型材料、接着剤、複合材料、塗料などの分野にも用いることができる。
また、ノボラック樹脂などの熱硬化性樹脂は、例えば、硬化剤[例えば、エポキシ樹脂用硬化剤(半導体封止用エポキシ樹脂用硬化剤など)など]、接着剤、塗料(下塗塗料など)、ゴム配合剤、結合剤(砥石用、研磨紙用、摩擦材用などの結合剤)、積層材料(又は積層品、例えば、銅張積層板、積層管、積層棒など)、感熱材料(感熱紙用材料など)、カーボン材料、絶縁材料、発泡体、感圧材料(感圧紙用材料など)、シェルモールド、各種樹脂材料(ノボラック型エポキシ樹脂の原料、樹脂バインダーなど)、成形体(電気・電子部品用成形体、薄膜など)、基板又は回路形成材料(半導体製造用レジスト、プリント配線板、透明基板など)、画像形成材料(印刷版材,レリーフ像など)、レジスト(半導体製造用レジストなど)の下層膜(ハードマスク)などの種々の用途に適用可能である。
さらに、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂などの光硬化性樹脂は、インク材料、発光材料(例えば、有機EL用発光材料など)、有機半導体、黒鉛化前駆体、ガス分離膜(例えば、CO2ガス分離膜など)、コート剤(例えば、LED(発光ダイオード)用素子のコート剤などの光学用オーバーコート剤又はハードコート剤など)、レンズ[ピックアップレンズ(例えば、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)用ピックアップレンズなど)、マイクロレンズ(例えば、液晶プロジェクター用マイクロレンズなど)、眼鏡レンズなど]、偏光膜(例えば、液晶ディスプレイ用偏光膜など)、反射防止フィルム(又は反射防止膜、例えば、表示デバイス用反射防止フィルムなど)、タッチパネル用フィルム、フレキシブル基板用フィルム、ディスプレイ用フィルム[例えば、PDP(プラズマディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)、VFD(真空蛍光ディスプレイ)、SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)、FED(電界放出ディスプレイ)、NED(ナノ・エミッシブ・ディスプレイ)、ブラウン管、電子ペーパーなどのディスプレイ(特に薄型ディスプレイ)用フィルム(フィルタ、保護フィルムなど)など]、燃料電池用膜、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどに好適に使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例において、各種測定は以下のようにして行った。
(HPLC純度)
東ソー(株)製、逆相カラム(ODS−80TM)を使用し、254nmにて、水/アセトニトリル(重量比)=30/70で30分、その後、水/アセトニトリル(重量比)=0/100で30分で純度を測定した。
東ソー(株)製、逆相カラム(ODS−80TM)を使用し、254nmにて、水/アセトニトリル(重量比)=30/70で30分、その後、水/アセトニトリル(重量比)=0/100で30分で純度を測定した。
(NMR)
1H−NMRスペクトルは、内標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としてCDCl3を用いて、JEOL GTX−400分光計によって記録した。
1H−NMRスペクトルは、内標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としてCDCl3を用いて、JEOL GTX−400分光計によって記録した。
(溶融粘度)
ICI粘度計(コーン&プレート型、ブルックフィールド社製粘度計 CAP2000+H)を用い、コーン3にて900rpmで150℃まで加温して測定した。
ICI粘度計(コーン&プレート型、ブルックフィールド社製粘度計 CAP2000+H)を用い、コーン3にて900rpmで150℃まで加温して測定した。
(エポキシ当量)
自動滴定装置(三菱化学(株)製 GT−100)を用いて、過塩素酸溶液(酢酸性)にて滴定した。
自動滴定装置(三菱化学(株)製 GT−100)を用いて、過塩素酸溶液(酢酸性)にて滴定した。
(屈折率)
多波長アッベ屈折計 (アタゴ製、DR−M2<循環式恒温水槽 60−C3使用>)を用い、25度を保持し、589nmでの屈折率を測定した。
多波長アッベ屈折計 (アタゴ製、DR−M2<循環式恒温水槽 60−C3使用>)を用い、25度を保持し、589nmでの屈折率を測定した。
(粘度)
TV−22形粘度計(コーンプレートタイプ、東機産業製、TVE−22L)を用い、高粘度用のオプションロータ(07:3゜×R7.7)にて、1.0〜20rpm(粘度によって変える)にて、25℃での粘度を測定した。
TV−22形粘度計(コーンプレートタイプ、東機産業製、TVE−22L)を用い、高粘度用のオプションロータ(07:3゜×R7.7)にて、1.0〜20rpm(粘度によって変える)にて、25℃での粘度を測定した。
(HAZE)
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
(色相)
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
(L*,a*,b*)
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
色差濁度測定器(日本電色工業製、COH−300A)を用い、試験管(マルエム製、A−24(24×200)、直口)又は10×10mm石英セルにアクリレートを入れて測定した。
(Tg)
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製、DSC 6220)を用い、アルミパンに試料を入れ、30℃から200℃の範囲でTgを測定した。
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製、DSC 6220)を用い、アルミパンに試料を入れ、30℃から200℃の範囲でTgを測定した。
(分子量)
ゲル浸透クロマトグラフィ(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)を用い、試料をクロロホルムに溶解させ、10分から20分の範囲で分子量を測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィ(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)を用い、試料をクロロホルムに溶解させ、10分から20分の範囲で分子量を測定した。
(実施例1)
10Lのセパラブルフラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン(BXF、大阪ガスケミカル(株)製)406g(1.0mol)、プロピレンカーボネート1029g(10mol)、溶媒としてのジエチレングリコール1500g(17mol)を入れ、触媒として1−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)製)10gを添加した後に、100℃に加熱して5時間反応させた。反応終了後、イソプロピルアルコール5000mlを加えて10℃まで冷却することにより、白色粉末61gを得た。得られた白色粉末を分析した結果、HPLCによる純度98.3%で原料として用いたBXF1モルに対して2モルのオキシプロピレン基(プロポキシ基)が付加した目的化合物(下記式で表される化合物、BXF−POという)が得られた。
10Lのセパラブルフラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン(BXF、大阪ガスケミカル(株)製)406g(1.0mol)、プロピレンカーボネート1029g(10mol)、溶媒としてのジエチレングリコール1500g(17mol)を入れ、触媒として1−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)製)10gを添加した後に、100℃に加熱して5時間反応させた。反応終了後、イソプロピルアルコール5000mlを加えて10℃まで冷却することにより、白色粉末61gを得た。得られた白色粉末を分析した結果、HPLCによる純度98.3%で原料として用いたBXF1モルに対して2モルのオキシプロピレン基(プロポキシ基)が付加した目的化合物(下記式で表される化合物、BXF−POという)が得られた。
1H−NMR(CDCl3,δ)ppm:1.2ppm(d,6H),2.2ppm(s,12H),3.6−4.2ppm(t,11H),6.8ppm(d,4H),7.2−7.8ppm(m,8H)。
(比較例1)
実施例1において、プロピレンカーボネート1029gに代えて、エチレンカーボネート881gを用いた以外は実施例1と同様に合成した結果、白色粉末が得られた。得られた白色粉末を分析した結果、HPLCによる純度98.3%で原料として用いたBXF1モルに対して2モルのオキシエチレン基(エトキシ基)が付加した目的化合物(下記式で表される化合物、BXF−EOという)が得られた。
実施例1において、プロピレンカーボネート1029gに代えて、エチレンカーボネート881gを用いた以外は実施例1と同様に合成した結果、白色粉末が得られた。得られた白色粉末を分析した結果、HPLCによる純度98.3%で原料として用いたBXF1モルに対して2モルのオキシエチレン基(エトキシ基)が付加した目的化合物(下記式で表される化合物、BXF−EOという)が得られた。
1H−NMR(CDCl3,δ):2.1ppm(s,12H),3.7ppm(t,8H),4.0ppm(s,2H),6.8−7.8ppm(m,12H)。
(実施例2)
ディーンスタークおよび還流管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに、実施例1で得られた化合物62.7g(0.11mol)、クロロメチルオキシラン(特級、キシダ化学(株)製)87.7g(0.9mol)、塩化テトラメチルアンモニウム(特級、関東化学(株)製)2.0gを添加し、60℃で1時間、加熱溶解させた。その後、フレーク状の水酸化ナトリウム(特級、双葉化学(株)製)5gを、温度が60℃以下(45〜55℃)を保つように少量ずつ100分以内に投入した。
ディーンスタークおよび還流管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに、実施例1で得られた化合物62.7g(0.11mol)、クロロメチルオキシラン(特級、キシダ化学(株)製)87.7g(0.9mol)、塩化テトラメチルアンモニウム(特級、関東化学(株)製)2.0gを添加し、60℃で1時間、加熱溶解させた。その後、フレーク状の水酸化ナトリウム(特級、双葉化学(株)製)5gを、温度が60℃以下(45〜55℃)を保つように少量ずつ100分以内に投入した。
反応中、生成した水はクロロメチルオキシランとともに、共沸により系外に排出し、クロロメチルオキシランは系内に戻した。水酸化ナトリウム投入後5時間、温度を60℃以下(45〜55℃)に保持しつつ加熱攪拌した結果、HPLCにて原料であるBXF−POの消失を確認した。その後、200mlの水を添加し、反応を終了させた。さらに反応時に生成した塩化ナトリウムとともに水層を廃棄し、有機層を1Lのナス型フラスコに移し、エバポレーターにて130℃加熱条件でクロロメチルオキシランを濃縮除去し、淡黄色の粘稠物を得た。
引き続き、メチルイソブチルケトン(関東化学(株)製)を投入し70℃に加熱して溶解させた後に1Lのセパラブルフラスコに移して85℃まで昇温し、30%水酸化ナトリウム水溶液を12g投入し、85℃以下(80〜85℃)を保ちながら1時間攪拌させた。その後、水を200ml添加して反応を終了させるとともに、生成した塩化ナトリウムを取り除くために水洗を行った。さらに、イオン交換水200gを投入し、水層を廃棄した。この操作をpHが中性(pH7)になるまで、5回繰り返した。得られたものをナス型フラスコに移し、エバポレーターにて80℃以下(60〜80℃)でメチルイソブチルケトンを除去した。その後、乾燥機内にて90℃で5時間乾燥し、黄色粘稠物を51.1g得た。この黄色粘稠物の収率は67.1%であった。
得られた粘稠物のHPLC純度は、BXF−POにクロロメチルオキシランが1つ付加した化合物が12.1%、2個付加した目的物(下記式)が79.6%であった。そして、得られた粘稠物の150℃における溶融粘度は59mPa・s、エポキシ当量は386g/eqであった。
1H−NMR(CDCl3,δ):1.2ppm(d,6H),2.1ppm(s,12H),3.6−4.2ppm(t,11H),6.8ppm(d,4H),7.2−7.5ppm(m,6H)、7.8(d、2H)。
(比較例2)
実施例2において、実施例1で得られた化合物62.7gに代えて、比較例1で得られた化合物56.9g(0.1モル)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして合成した結果、白色固体が得られた。この白色粉末の収率は53.1%であった。
実施例2において、実施例1で得られた化合物62.7gに代えて、比較例1で得られた化合物56.9g(0.1モル)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして合成した結果、白色固体が得られた。この白色粉末の収率は53.1%であった。
得られた白色粉末のHPLC純度は、BXF−EOにクロロメチルオキシランが1つ付加した化合物が21.3%、2個付加した目的物(下記式)が72.8%であった。そして、得られた白色固体の150℃における溶融粘度は331mPa・sと高く、ハンドリング性に劣ることがわかった。また、エポキシ当量は383g/eqであった。
(比較例3)
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、BXF)44.7g(0.1モル)をクロロメチルオキシラン(特級、キシダ化学(株)製)74g(0.8モル)に溶解し、さらにベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(特級、関東化学(株)製)2.0gを加え、60℃にて1時間攪拌した。次に、減圧下(650mmHg)、45℃にて40%水酸化ナトリウム水溶液30gを1.5時間かけて滴下した。その間、生成する水をクロロメチルオキシランとの共沸により系外に除き、留出したクロロメチルオキシランは系内に戻した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を取り除き、さらに水洗した後、クロロメチルオキシランを固形分が50%になるまで留去し、メタノールを300g添加した。析出した結晶を濾別、乾燥し、白色粉末が得られた。
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、BXF)44.7g(0.1モル)をクロロメチルオキシラン(特級、キシダ化学(株)製)74g(0.8モル)に溶解し、さらにベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(特級、関東化学(株)製)2.0gを加え、60℃にて1時間攪拌した。次に、減圧下(650mmHg)、45℃にて40%水酸化ナトリウム水溶液30gを1.5時間かけて滴下した。その間、生成する水をクロロメチルオキシランとの共沸により系外に除き、留出したクロロメチルオキシランは系内に戻した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を取り除き、さらに水洗した後、クロロメチルオキシランを固形分が50%になるまで留去し、メタノールを300g添加した。析出した結晶を濾別、乾燥し、白色粉末が得られた。
得られた白色粉末のHPLC純度は、BXFにクロロメチルオキシランが1つ付加した化合物が0%、2個付加した目的物(下記式)が92.4%、2量体(下記式で表される化合物の2量体)が3.1%であった。
得られた白色粉末の180℃における溶融粘度は670mPa・sと非常に粘度が高く、ハンドリング性に劣ることがわかった。なお、150℃では溶融しなかったため、粘度は測定できなかった。また、エポキシ当量は265g/eqであった。
(実施例3)
実施例1で得られた化合物72.1g(0.138mol)、アクリル酸(東京化成工業(株)製)25.9g(0.359mol)、p−トルエンスルホン酸(キシダ化学(株)製)3.28g(0.017mol)、トルエン135g(1.463mol)、及びメトキノン(キシダ化学(株)製)0.3g(0.002mol)を仕込み、100℃〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。その後、反応液をアルカリ中和し、20%食塩水で洗浄を行った。洗浄後、トルエンを除去し、粘稠物を得た。さらに、得られた粘稠物の1H−NMR分析を行った結果、目的とするジアクリレート(下記式)であることを確認した。
実施例1で得られた化合物72.1g(0.138mol)、アクリル酸(東京化成工業(株)製)25.9g(0.359mol)、p−トルエンスルホン酸(キシダ化学(株)製)3.28g(0.017mol)、トルエン135g(1.463mol)、及びメトキノン(キシダ化学(株)製)0.3g(0.002mol)を仕込み、100℃〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。その後、反応液をアルカリ中和し、20%食塩水で洗浄を行った。洗浄後、トルエンを除去し、粘稠物を得た。さらに、得られた粘稠物の1H−NMR分析を行った結果、目的とするジアクリレート(下記式)であることを確認した。
1H−NMR(400MHz,CD2Cl2,δ):
2.2ppm(s,12H)、3.8−4.1ppm(m,4H)、5.3ppm(d,2H)、5.8ppm(d,2H)、6.8−7.4ppm(m,10H)、7.8ppm(d,2H)。
2.2ppm(s,12H)、3.8−4.1ppm(m,4H)、5.3ppm(d,2H)、5.8ppm(d,2H)、6.8−7.4ppm(m,10H)、7.8ppm(d,2H)。
得られた粘稠物のHPLC純度は、BXF−POにアクリル酸が1つ付加した化合物(モノアクリレート体)が19.9%、2個付加した目的物(下記式)が75.5%、複数の分子にアクリル酸が1つ又は2つ付加した不純物の多量体が1.3%であった。そして、得られた粘稠物の屈折率は1.591、粘度は28810mPa・sであり、加熱残分は80.1%であり、HAZEが51.2であり、色相(APHA)は500であり、L*は82.9であり、a*は10.3であり、b*は72.6であった。
(比較例4)
比較例1で得られた化合物68.3g(0.138mol)、アクリル酸(東京化成工業(株)製)25.9g(0.359mol)、p−トルエンスルホン酸(キシダ化学(株)製)3.28g(0.017mol)、トルエン135g(1.463mol)、及びメトキノン(キシダ化学(株)製)0.3g(0.002mol)を仕込み、100℃〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。その後、反応液をアルカリ中和し、20%食塩水で洗浄を行った。洗浄後、トルエンを除去し、粘稠物を得た。さらに、得られた粘稠物の1H−NMR分析を行った結果、目的とするジアクリレート(下記式)であることを確認した。
比較例1で得られた化合物68.3g(0.138mol)、アクリル酸(東京化成工業(株)製)25.9g(0.359mol)、p−トルエンスルホン酸(キシダ化学(株)製)3.28g(0.017mol)、トルエン135g(1.463mol)、及びメトキノン(キシダ化学(株)製)0.3g(0.002mol)を仕込み、100℃〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。その後、反応液をアルカリ中和し、20%食塩水で洗浄を行った。洗浄後、トルエンを除去し、粘稠物を得た。さらに、得られた粘稠物の1H−NMR分析を行った結果、目的とするジアクリレート(下記式)であることを確認した。
1H−NMR(400MHz,CD2Cl2,δ):
2.2ppm(s,12H)、4.4ppm(t,4H)、5.8ppm(d,2H)、6.1ppm(t,2H)、6.3ppm(d,2H)、6.9ppm(s,4H)、7.8ppm(d,2H)。
2.2ppm(s,12H)、4.4ppm(t,4H)、5.8ppm(d,2H)、6.1ppm(t,2H)、6.3ppm(d,2H)、6.9ppm(s,4H)、7.8ppm(d,2H)。
得られた粘稠物のHPLC純度は、BXF−EOにアクリル酸が1つ付加した化合物(モノアクリレート体)が5.1%、2個付加した目的物(下記式)が90.9%、複数の分子にアクリル酸が1つ又は2つ付加した不純物の多量体が2.2%であった。そして、得られた粘稠物の屈折率は1.605、粘度は34500mPa・sであり、加熱残分は82.4%であった。なお、得られた粘稠物は、合成後すぐに固化してしまい、HAZEなどを測定できなかった。これらの結果から、実施例で得られた化合物に比べ、高粘度であるとともに、不安定であり、また、多量体も多く生成することがわかった。
(実施例4)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸43g、実施例1で得られた化合物104g、エチレングリコール34g、触媒としての酢酸カルシウム0.03g、および酢酸マンガン0.01gを反応槽に投入し、撹拌しながら200℃から250℃に徐々に加熱してエステル化反応を行った。反応により生成した水を系外へ抜き出した後、重合触媒である酸化ゲルマニウム0.05gと、リン酸トリメチルエステル0.05gとを投入して、昇温と減圧を行い、発生するエチレングリコールを抜きながら、加熱槽温度を290℃、真空度を300Paに到達させた。この状態で10時間反応を行い、反応物を水中に押し出して、屈折率1.5830、ガラス転移温度(Tg)91.0℃、重量平均分子量35000のポリエステルを得た。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸43g、実施例1で得られた化合物104g、エチレングリコール34g、触媒としての酢酸カルシウム0.03g、および酢酸マンガン0.01gを反応槽に投入し、撹拌しながら200℃から250℃に徐々に加熱してエステル化反応を行った。反応により生成した水を系外へ抜き出した後、重合触媒である酸化ゲルマニウム0.05gと、リン酸トリメチルエステル0.05gとを投入して、昇温と減圧を行い、発生するエチレングリコールを抜きながら、加熱槽温度を290℃、真空度を300Paに到達させた。この状態で10時間反応を行い、反応物を水中に押し出して、屈折率1.5830、ガラス転移温度(Tg)91.0℃、重量平均分子量35000のポリエステルを得た。
Claims (7)
- 式(1)において、R2がプロピレン基であり、mが1〜4である請求項1記載の化合物。
- 式(1)において、R3がC1−4アルキル基であり、nが2である請求項1又は2に記載の化合物。
- 式(1)において、R2がプロピレン基であり、mが1〜2であり、R3がメチル基であり、nが2である請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
- 9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンである請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の化合物で構成されたジオール成分とジカルボン酸成分とを重合成分とするポリエステル。
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