[カルボキシル基含有フルオレン系ポリエステル樹脂]
前記式(1)で表される単位において、Z1a及びZ1bで表される多環式芳香族炭化水素環には、縮合多環式芳香族炭化水素環及び環集合芳香族炭化水素環が含まれ、いずれかの芳香族炭化水素環であってもよい。縮合多環式芳香族炭化水素環(縮合多環式アレーン環)としては、例えば、縮合二環式アレーン環(例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C10−16アレーン環)、縮合三環式アレーン環(例えば、アントラセン、フェナントレンなどの縮合三環式C12−16アレーン環)などの縮合二乃至四環式C10−20アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素環は、縮合二乃至三環式C10−16アレーン環、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、特に、ナフタレン環であってもよい。
環集合芳香族炭化水素環(環集合アレーン環)としては、ビアレーン環、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環、テルアレーン環、例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環などが例示できる。好ましい環集合芳香族炭化水素環は、環集合C12−18アレーン環、例えば、ビC6−10アレーン環、特にビフェニル環などであってもよい。
好ましい環Z1a及びZ1bは、C10−20芳香族炭化水素環(例えば、C10−14芳香族炭化水素環、特に、ナフタレン環及びビフェニル環)が挙げられる。なお、2つの環Z1a及びZ1bは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
R1a及びR1bで表されるアルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であってもよく、直鎖状アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基、特にエチレン基が例示できる。分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基などのC3−6アルキレン基、好ましくはC3−4アルキレン基、特にプロピレン基が挙げられる。好ましいアルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基、例えば、直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基であってもよい。
基R1a及びR1bは同一又は異なる種類(炭素数又は構造の異なる)のアルキレン基で構成してもよく、通常、同一であってもよい。
基OR1a及びOR1bの繰り返し単位数m1及びm2は、0以上の整数、例えば、0〜10の整数(例えば、1〜10の整数)程度、好ましくは1〜5の整数(例えば、1〜4の整数)、さらに好ましくは1〜3の整数(例えば、1〜2の整数)、特に1であってもよい。なお、m1及びm2は同一又は異なっていてもよい。
また、m1及びm2の合計(m1+m2)の平均値は、1〜20(例えば、1〜15)程度の範囲から選択でき、通常、2〜15(例えば、2〜13)、好ましくは2〜12(例えば、2〜10)、さらに好ましくは2〜8(例えば、2〜6)、特に2〜5程度であってもよく、2〜4(例えば、2〜3)、特に2程度であってもよい。上記m1及びm2が大きすぎると、耐熱性と高屈折率とを両立できなくなるおそれがある。
なお、m1及びm2が2以上であるとき、各繰り返し単位において、基R1a及びR1bで表されるアルキレン基は、同一又は異なる種類(炭素数又は構造の異なる種類)のアルキレン基で構成してもよく、通常、同一であってもよい。
前記式(1)において、基[−(OR1a)m1−]及び[−(OR1b)m2−]は、環Z1a及びZ1bの適当な位置に置換でき、例えば、環Z1a及びZ1bがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8位である場合が多く、フルオレン環との位置関係で、1,5−位、2,5−位、1,6−位、2,6−位などの関係で置換していてもよく、例えば、1,5−位、2,6−位などの位置関係(特に、2,6−位の位置関係)である場合が多い。また、環集合アレーン環Z1及びZ2において、置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、環Z1及びZ2がビフェニル環である場合には、ビフェニル環Z1及びZ2の3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合している場合が多く、例えば、3,5−位、3,6−位、3,3’−位、3,4’−位、4,2−位、4,3’−位、4,4’−位などの置換位置に置換していてもよく、好ましくは3,5−位、3,6−位、3,4’−位、4,2−位、4,4’−位、さらに好ましくは3,6−位、4,2−位の置換位置で置換していてもよい。
置換基R2a及びR2bは、後述する多価カルボン酸無水物又は遊離のカルボキシル基との反応に不活性な置換基であればよく、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル(トリル)基、ジメチルフェニル(キシリル)基など)、ビフェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−10アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
これらの基R2a及びR2bのうち、代表的な基R2a及びR2bには、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい基R3a及びR3bとしては、アルキル基(メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基など)、アリール基、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基など)など、特にアルキル基(例えば、メチル基)が例示できる。なお、基R2a及びR2bがアリール基であるとき、基R2a及びR2bは、それぞれ、環Z1a及びZ1bとともに、前記環集合アレーン環を形成してもよい。基R2a及びR2bの種類は、同一の又は異なる環Z1a及びZ1bにおいて、同一又は異なっていてもよい。
置換数p1及びp2は、環Z1a及びZ1bの種類などに応じて、0以上の整数、例えば、0〜8、好ましくは0〜4(例えば、0〜2)、さらに好ましくは0又は1(例えば、0)であってもよい。特に、p1及びp2が1である場合、環Z1a及びZ1bがナフタレン環又はビフェニル環、R2a及びR2bがメチル基であってもよい。なお、基R2a及びR2bの置換位置は、特に限定されない。
基R3a及びR3bとしては、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)などが挙げられる。これらの基R3a及びR3bのうち、C1−4アルキル基(特に、メチル基)が好ましい。なお、基R3a及びR3bの種類は、同一又は異なっていてもよく、置換数k1及びk2が2以上である場合、基R3a及びR3bの種類は、それぞれ、フルオレン環のベンゼン環上において、同一又は異なっていてもよい。
置換数k1及びk2は0〜4の整数から選択でき、好ましくは0〜1、特に0である。なお、置換数k1及びk2は、互いに同一又は異なっていてもよい。また、基R3a及びR3bの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、7−位、2−及び7−位など)であってもよい。
B1はテトラカルボン酸二無水物の残基を示し、この残基は、アルカン残基、シクロアルカン残基(橋架け環式又は多環式シクロアルカン残基、ビシクロアルカン残基を含む)、アレーン残基(縮合多環式、環集合式アレーン残基などの多環式アレーン残基を含む)であってもよい。B1は、通常、芳香族炭化水素環(アレーン環)、例えば、単環式炭化水素環(ベンゼン環など)、縮合多環式炭化水素環(ナフタレン環、アントラセン環など)、環集合式炭化水素環(ビフェニル環、ターフェニル環、ビナフチル環など)などである場合が多い。好ましいB1は、C6−14芳香族炭化水素環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びビフェニル環から選択された芳香族炭化水素環であってもよい。
残基B1は置換基を有していてもよく、このような置換基としては、前記基R2a及びR2b及び基R3a及びR3bと同様な置換基に加えて、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)などが例示できる。残基B1の好ましい置換基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基などであってもよい。この置換基の数は特に制限されず、0〜3程度であってもよい。
カルボキシル基含有フルオレン系ポリエステル樹脂(又はポリエステルオリゴマー)は、少なくとも前記式(1)で表される単位を有していればよく、さらに、前記式(2a)及び/又は(2b)で表される単位を有していてもよい。
式(2a)及び(2b)において、B2で表されるジカルボン酸の残基は、アルカン残基、アルケン残基、シクロアルカン残基(橋架け環式又は多環式シクロアルカン残基、ビシクロアルカン残基を含む)、シクロアルケン残基、アレーン残基(縮合多環式、環集合式アレーン残基などの多環式アレーン残基を含む)などであってもよい。
残基B2は置換基を有していてもよく、このような置換基としては、前記残基B1の置換基と同様の置換基が例示できる。
前記式(1)で表される単位と、式(2a)及び(2b)で表される単位との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=100/0〜40/60(例えば、95/5〜45/55)、好ましくは100/0〜50/50(例えば、90/10〜55/45)、さらに好ましくは100/0〜60/40(例えば、85/15〜65/35)程度であってもよく、100/0〜75/25程度であってもよい。
前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の分子量は、特に制限されず、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにおいて、ポリスチレン換算で、重量平均分子量Mw1000〜25000(例えば、1200〜15000)、好ましくは1500〜10000(例えば、1700〜7000)、さらに好ましくは1800〜5000(例えば、2000〜3500)程度であってもよい。また、数平均分子量Mnは、500〜5000、好ましくは600〜3000、さらに好ましくは700〜2000程度であってもよく、前記ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1〜5(例えば、1.2〜3)程度であってもよい。本発明のポリエステル樹脂は、通常、室温において、高粘性液体(粘稠体)又は固体であり、B型粘度計では測定できない場合がある。
前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、アルカリ可溶性であり、酸価は、例えば、50〜250mgKOH/g(例えば、75〜230mgKOH/g)、好ましくは80〜200mgKOH/g(例えば、100〜180mgKOH/g)程度であってもよい。なお、酸価は、前記残基B1と残基B2との割合により調整してもよい。
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、耐熱性及び光学特性に優れており、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を使用し測定したとき、例えば、37〜70℃(例えば、37.5〜70℃)、好ましくは38〜65℃(例えば、40〜63℃)程度であってもよい。また、環Z1a及びZ1bが多環式炭化水素環であるため、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(未硬化物)は高い屈折率を示し、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(未硬化物)の屈折率は、温度25℃、波長589nmにおいて、例えば、1.63〜1.7(例えば、1.635〜1.68)、好ましくは1.64〜1.66(例えば、1.645〜1.65)程度であってもよい。特に、ポリエステル樹脂は、環Z1a及びZ1bが縮合多環式炭化水素環であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、基B1が芳香族炭化水素環であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、屈折率が高く、m1+m2の増加などにより屈折率を調整できる。そのため、前記屈折率は、例えば、1.63〜1.70(例えば、1.64〜1.67)程度であってもよい。
さらに、環Z1a及びZ1bが多環式炭化水素環であっても、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、基材に対して高い密着性を示す。例えば、環Z1a及びZ1bが環集合炭化水素環であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、基材に対して高い密着性を示す。
[カルボキシル基含有フルオレン系ポリエステル樹脂の製造方法]
このようなカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、例えば、前記式(3)で表されるジオール成分(A1)を少なくとも含むジオール成分(A)と、前記式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物(B1)を少なくとも含むポリカルボン酸成分(B)とを反応させることにより調製できる。
式(3)で表されるジオール成分(A1)は、フルオレン骨格とともに、環Z1a及びZ1bとして、縮合多環式又は環集合式の多環式炭化水素環を含んでいるため、耐熱性とともに屈折率を向上できる。環Z1a及びZ1bが縮合多環式炭化水素環であるジオール成分(A1)としては、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−6アルコキシC10−20アリール)フルオレン類、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類が挙げられる。9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類の代表的な化合物としては、例えば、環Z1a及びZ1bが置換又は未置換のナフタレン環、R1a及びR1bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、m1及びm2が1、p1、p2、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど;環Z1a及びZ1bが置換又は未置換のナフタレン環、R1a及びR1bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、m1及びm2が2〜10(例えば、2〜5)、p1、p2、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなどが含まれる。
環Z1a及びZ1bが環集合炭化水素環であるジオール成分(A1)としては、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−6アルコキシC6−20アリールC6−20アリール)フルオレン類、例えば、9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−フェニルフェニル]フルオレン類が挙げられる。このようなフルオレン類の代表的な化合物としては、環Z1a及びZ1bが置換又は未置換のビフェニル環、R1a及びR1bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、m1及びm2が1、p1、p2、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシC6−10アリールC6−10アリール)フルオレンなど;環Z1a及びZ1bが置換又は未置換のビフェニル環、R1a及びR1bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、m1及びm2が2〜10(例えば、2〜5)、p1、p2、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、例えば、9,9−ビス[ヒドロキシC2−4アルコキシC2−4アルコキシフェニルフェニル]フルオレンなどが含まれる。
これらのジオール成分(A1)は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、ジオール成分(A)は、ジオール成分(A1)(第1のジオール成分)で構成してもよく、必要であれば、第1のジオール成分(A1)は第2のジオール成分(A2)と併用してもよい。このような第2のジオール成分(A2)としては、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオールなどのC2−10アルカンジオール、好ましくはC2−6アルカンジオール、さらに好ましくはC2−4アルカンジオール);ポリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのジ又はトリC2−4アルカンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)などの脂肪族ジオール(1);シクロアルカンジオール(例えば、シクロヘキサンジオールなどのC5−8シクロアルカンジオール);ジ(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン(例えば、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカンなど);イソソルバイドなどの脂環族ジオール(2);ジヒドロキシアレーン(例えば、ハイドロキノン、レゾルシノールなど);ジヒドロキシアルキルアレーン(例えば、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーンなど);ビスフェノール類(例えば、ビフェノール、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)C4−10シクロアルカンなど);前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体(例えば、ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加体などのC2−3アルキレンオキサイド付加体など)、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−t−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−モノ又はジC1−4アルキルフェニル)フルオレンなどの芳香族ジオール(3)]が例示できる。
第2のジオール成分(A2)も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。耐熱性及び屈折率を高めるためには、第2のジオール成分(A2)は、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール(2)、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類などの芳香族ジオール(3)であるのが好ましい。
第1のジオール成分(A1)と第2のジオール成分(A2)との割合は、前者/後者(モル比)=100/0〜50/50(例えば、95/5〜60/40)、好ましくは100/0〜70/30(例えば、90/10〜75/25)、さらに好ましくは100/0〜80/20(例えば、100/0〜90/10)程度であってもよい。
なお、ジオール成分(A)は、必要であれば、ポリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのアルカンポリオールなどと組み合わせて使用し、ポリエステル樹脂に分岐構造などを導入してもよい。
ポリカルボン酸成分(B)は、式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物(B1)を少なくとも含んでいればよく、テトラカルボン酸二無水物(B1)は、少なくとも2つの酸無水物基を有していればよい。このような酸二無水物(B1)としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物などのアルカンテトラカルボン酸二無水物(脂肪族テトラカルボン酸二無水物);シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物)、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物)、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などのシクロアルカンテトラカルボン酸二無水物又は橋架け環式シクロアルカンテトラカルボン酸二無水物(脂環族テトラカルボン酸二無水物);アレーンテトラカルボン酸二無水物(芳香族テトラカルボン酸二無水物)などが例示でき、アレーンテトラカルボン酸二無水物としては、無水ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物)、ペリレンテトラカルボン酸二無水物(3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物)などの単環式又は縮合多環式テトラカルボン酸二無水物;ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)などの環集合多環式アレーンテトラカルボン酸二無水物;3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルケトンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルアルカンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルプロパンテトラカルボン酸二無水物などのジフェニルC1−6アルカンテトラカルボン酸二無水物)などが例示できる。これらの酸無水物(B1)は、前記残基B1に例示の反応に不活性な置換基を有していてもよい。
これらのテトラカルボン酸二無水物(B1)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいテトラカルボン酸二無水物(B1)は、シクロアルカンテトラカルボン酸二無水物又は橋架け環式シクロアルカンテトラカルボン酸二無水物;アレーンテトラカルボン酸二無水物などである。特に、単環式又は縮合多環式テトラカルボン酸二無水物、環集合多環式アレーンテトラカルボン酸二無水物などのアレーンテトラカルボン酸二無水物を用いると、耐熱性及び屈折率を向上できる。
ポリカルボン酸成分(B)は少なくともテトラカルボン酸二無水物(B1)を含んでいればよく、他の第2の酸無水物(B2)を含んでいてもよい。第2の酸無水物(B2)は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価及び/又は分子量を調整したり、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂に所定の構造(例えば、直鎖構造)を導入するのに有用である。なお、前記式(2a)(2b)に示されるように、第2の酸無水物(B2)は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の主鎖に導入してもよく、末端に導入してもよい。
第2の酸無水物(B2)としては、前記残基B2に対応する酸無水物、例えば、コハク酸無水物、無水マレイン酸などのアルカン又はアルケンジカルボン酸無水物;ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などのシクロアルカン又はシクロアルケンジカルボン酸無水物;無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸などのアレーンジカルボン酸無水物などが例示できる。これらの第2の酸無水物(B2)も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの第2の酸無水物(B2)の中で、シクロアルカン又はシクロアルケンジカルボン酸無水物、アレーンジカルボン酸無水物などを用いる場合が多い。
なお、必要であれば、第2の酸無水物(B2)に対応する遊離の多価カルボン酸を用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物(B1)と第2の酸無水物(B2)との割合(モル比)は、前記式(1)で表される単位と、式(2a)及び(2b)で表される単位との割合(モル比)に対応させてもよく、例えば、前者/後者=100/0〜40/60(例えば、95/5〜45/55)、好ましくは100/0〜50/50(例えば、90/10〜55/45)、さらに好ましくは100/0〜60/40(例えば、85/15〜65/35)程度であってもよく、100/0〜75/25程度であってもよい。
ポリカルボン酸成分(B)の使用量は、ジオール成分(A)1モルに対して、例えば、0.7〜1.5モル(例えば、0.75〜1.4モル)、好ましくは0.8〜1.3モル(例えば、0.8〜1.2モル)、さらに好ましくは0.9〜1.1モル程度であってもよい。特に、テトラカルボン酸二無水物(B1)の使用量は、ジオール成分(A1)1モルに対して、例えば、0.7〜1.3モル(例えば、0.75〜1.25モル)、好ましくは0.8〜1.2モル(例えば、0.9〜1.1モル)程度であってもよい。
ジオール成分(A)とポリカルボン酸成分(B)との反応は溶媒の非存在下で行ってもよく、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素など)、エーテル類(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなど)、カルビトールアセテート類(エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなど)、エーテル−エステル類(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)などが挙げられる。溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
反応は触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、慣用の触媒、例えば、酸触媒(p−トルエンスルホン酸など)、塩基性触媒、例えば、脂肪族アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン類、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどのアルカノールアミン類など)、脂環族アミン類(シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなど)、芳香族アミン類(アニリン、ジエチルアニリンなど)、複素環式アミン類(4−ジメチルアミノピリジン、モルホリン、ピペリジンなど)、第4級アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイドなどのテトラアルキルアンモニウムハライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどのベンジルトリアルキルアンモニウムハライドなど)、金属アルコキシド(例えば、カリウムt−ブトキシドなど)などが挙げられる。触媒としては、テトラエチルアンモニウムブロマイドなどのテトラアルキルアンモニウムハライドなどを用いる場合が多い。
触媒の使用量は、前記ジオール成分(A)とポリカルボン酸成分(B)との総量に対して、10ppm〜5重量%、好ましくは50ppm〜1重量%(例えば、100〜5000ppm)程度であってもよい。
なお、ジオール成分(A)及び/又はポリカルボン酸成分(B)が重合性不飽和結合を有する化合物を含む場合には、必要であれば、後述するラジカル重合禁止剤又は熱重合禁止剤の存在下で反応させてもよい。
反応温度は、例えば、50〜200℃、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃程度であってもよい。また、反応時間は、例えば、30分〜48時間、通常、1〜36時間、好ましくは2〜24時間程度であってもよい。なお、反応は、不活性雰囲気(窒素、ヘリウム、アルゴンなどの雰囲気)下で行ってもよい。
反応は、ジオール成分(A)とポリカルボン酸成分(B)とが共存する反応系で行えばよく、ジオール成分(A)と、テトラカルボン酸二無水物(B1)及び第2の酸無水物(B2)のうち少なくとも一方の成分とを反応させた後、他方の成分を反応させてもよい。具体的には、ジオール成分(A)とポリカルボン酸成分(B)との全量を反応系に仕込んで反応させてもよく、ジオール成分(A)とテトラカルボン酸二無水物(B1)とを反応させた後、必要であれば第2の酸無水物(B2)と反応させてもよく、ジオール成分(A)と第2の酸無水物(B2)とを反応させた後、テトラカルボン酸二無水物(B1)と反応させてもよい。
反応終了後、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、反応生成物は、必要により、慣用の方法、例えば、貧溶媒での沈殿、濾過、濃縮、抽出、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。
[硬化性樹脂組成物]
前記カルボキシル基含有フルオレン系ポリエステル樹脂は、耐熱性及び光学的特性に優れており、カルボキシル基を有し、アルカリ可溶性である。そのため、耐熱性及び高い光学特性が要求される硬化性樹脂組成物(特に、光硬化性又は感光性樹脂組成物)の成分として有用である。この硬化性樹脂組成物は、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、重合開始剤とを含んでいる。
重合性化合物は、例えば、N−ビニルピロリドンなどのビニル化合物、(メタ)アクリレート(単官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート)などを含んでいてもよい。
単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのC1−20アルキル(メタ)アクリレートなど]、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル又はシクロアルケニル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレートなど)、アリール(メタ)アクリレート(例えば、フェニル(メタ)アクリレートなど)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、アリールオキシ((ポリ)アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレートなど)、アルキルアリールオキシ((ポリ)アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート(例えば、ノニルフェノキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなど)、アリールアリール(オキシ((ポリ)アルコキシ)アルキル)(メタ)アクリレート(例えば、2−(o−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなど);硫黄原子を有する(メタ)アクリレート[例えば、アルキルチオ(メタ)アクリレート(例えば、メチルチオ(メタ)アクリレートなど)、アリールチオ(メタ)アクリレート(例えば、フェニルチオ(メタ)アクリレートなど)、アラルキルチオ(メタ)アクリレート(例えば、ベンジルチオ(メタ)アクリレートなど)、アリールチオアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェニルチオエチル(メタ)アクリレートなど)];N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなど)、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)、ビスフェノール類又はそのアルキレンオキサイド付加体のモノ(メタ)アクリレート(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のモノ(メタ)アクリレートなど)、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート(例えば、9−(メタ)アクリロイルオキシメチルフルオレンなど)などが例示できる。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、二官能性(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのC2−10アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA(又はそのアルキレンオキシド付加体)のジ(メタ)アクリレート、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート(例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)エトキシ)フェニル]フルオレンなど)など]、三官能性以上の(メタ)アクリレート[例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルエチル)イソシアヌレートなどのトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレートなど]、オリゴ(メタ)アクリレート[ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなど]などが挙げられる。これらの単官能性及び多官能性(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
これらの重合性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの重合性化合物のうち、少なくとも多官能性(メタ)アクリレートを用いる場合が多い。
重合開始剤は熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)であってもよく、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよい。光重合開始剤を含む樹脂組成物は感光性樹脂組成物として利用できる。
熱重合開始剤としては、有機過酸化物[ジアルキルパーオキサイド類(例えば、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類(例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーキサイドなど)、過酸(又は過酸エステル)類(例えば、tert−ブチルヒドロパーキサイド、クメンヒドロパーキサイド、過酢酸tert−ブチルなど)ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類]、アゾ化合物[例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物など]などが例示できる。これらの熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など)、アセトフェノン類(アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなど)、アミノアセトフェノン類{2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノプロパノン−1など}、アントラキノン類(アントラキノン、2−メチルアントラキノンなど)、チオキサントン類(2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなど)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノンなど)、キサントン類などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤(熱又は光重合開始剤)の使用量は、(メタ)アクリレート成分の総量100重量部に対して0.1〜15重量部(例えば、0.5〜10重量部)、好ましくは1〜8重量部(例えば、2〜5重量部)程度であってもよい。
光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、第3級アミン類{例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルなど]、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど]などのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのジアルキルアミノベンゾフェノンなど}などの慣用の光増感剤などが挙げられる。これらの光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
光増感剤の使用量は、前記重合開始剤100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合禁止剤又は熱重合禁止剤を含んでいてもよい。ラジカル重合禁止剤又は熱重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ジーtーブチルヒドロシトルエン、フェノチアジンなどが例示できる。これらのラジカル重合禁止剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ラジカル重合禁止剤又は熱重合禁止剤の使用量は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の総量に対して、例えば、100ppm〜1重量%(例えば、300ppm〜5000ppm)程度であってもよい。
硬化性樹脂組成物は、密着性などを向上させるため、エポキシ化合物、シランカップリング剤などを含有していてもよい。エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)、脂環式エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、フェニルグリシジルエーテルなどが例示できる。エポキシ化合物の使用量は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜30重量部(例えば、3〜25重量部)、好ましくは5〜20重量部(例えば、5〜15重量部)程度であってもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、エチレン性不飽和結合基含有シランカップリング剤(例えば、ビニルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなど)、エポキシ基含有シランカップリング剤(例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなど)、アミノ基含有シランカップリング剤(例えば、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなど)、メルカプト基含有シランカップリング剤(例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなど)、カルボキシル基含有シランカップリング剤(例えば、2−カルボキシエチルトリメトキシシランなど)、イソシアネート基含有シランカップリング剤(例えば、3−イソシアネートプロピルトリメキシシランなど)などが例示できる。シランカップリング剤の使用量は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部(例えば、0.3〜7重量部)、好ましくは1〜5重量部程度であってもよい。
また、前記硬化性樹脂組成物は、必要であれば、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に限定されず、前記反応において例示の溶媒の他、エステル類(例えば、酢酸エチルなど)などが例示できる。これらの溶媒は混合溶媒として使用することもできる。
さらに、前記硬化性樹脂組成物は、慣用の添加剤、例えば、着色剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、レベリング剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、界面活性剤、可塑剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
[硬化物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー(活性エネルギー線)により容易に硬化し、硬化物を生成する。この硬化物は、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂に起因して、耐熱性が高く、高屈折率などの高い光学的特性も有している。前記活性化エネルギーは、熱エネルギー及び/又は光エネルギー(紫外線、X線、電子線などの活性光線)が有用である。
熱エネルギーを利用する場合、加熱温度としては、例えば、50〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜120℃程度であってもよい。
また、光照射(例えば、紫外線照射)する場合、光照射エネルギー量は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、50〜10000mJ/cm2、好ましくは70〜8000mJ/cm2、さらに好ましくは100〜5000mJ/cm2(例えば、500〜3000mJ/cm2)程度であってもよい。
なお、硬化は、空気中又は不活性ガス雰囲気(例えば、窒素、希ガスなど)で行ってもよい。
硬化物の形態は、一次元的構造の硬化物、二次元的構造の硬化物、例えば、硬化膜(例えば、フィルムなど)などであってもよく、三次元的構造の硬化物(例えば、レンズ、プリズムなど)であってもよい。
硬化物は、種々の方法で形成でき、その形成方法は特に限定されず、例えば、硬化膜は、前記硬化性樹脂組成物を基材又は基板[例えば、金属(アルミニウムなど)、セラミックス(シリコン、チタニア、ガラス、石英など)などの無機材料、プラスチック(ポリプロピレン、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネートなど)などの有機材料、木材などの多孔質体]に塗布して塗膜(又は薄膜)を形成し、硬化処理を施すことにより形成してもよい。また、三次構造の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物を成形又は所定の型内に注型(注入)した後、硬化処理(加熱及び/又は光照射)して製造してもよい。
さらに、硬化性樹脂組成物は、所定のパターンの硬化物を形成してもよい。例えば、熱硬化性樹脂組成物は、インクジェット、スクリーン印刷などの印刷方式を利用して、基板上に所定のパターンの被膜を形成し、熱硬化させて所定のパターンに形成された硬化物を生成させてもよい。また、感光性樹脂組成物を利用して、所定のパターンの硬化物を形成してもよい。例えば、感光性樹脂組成物の塗膜を、所定のパターンで露光し、現像することにより、ネガ型パターンの硬化物を生成できる。より具体的には、スピンコート、ロールコート、ディップコート、バーコートなどのコーティング方法を利用して、感光性樹脂組成物を基板上にコーティングし、必要であれば、乾燥させた後、ネガマスクを通じて活性光線を照射して硬化させ、未露光部をアルカリ現像剤で現像(又は溶出)することにより、所定のパターンに形成された硬化物を生成させてもよい。さらに、必要であれば、所定のパターンを加熱して後硬化させてもよい。アルカリ現像剤としては、例えば、無機塩基の水溶液(アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などの水溶液など)、有機塩基の水溶液(トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイドなどの水溶液など)などが例示でき、温度10〜50℃(例えば、20〜35℃)程度で現像してもよい。なお、現像に際して、超音波洗浄機などを利用してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下に、評価方法を示す。
(平均分子量、分子量分布)
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)並びに分子量分布Mw/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、HLC−8320GPC型、溶離液:10%の濃度で酢酸を含むテトラヒドロフラン溶液)により測定した。なお、分析試料は、10%酢酸/テトラヒドロフラン溶液に試料を濃度0.1%で溶解し、メンブランフィルター(0.45μm)でろ過して用いた。検出器には、示差屈折計、紫外可視検出器(254nm)を使用し、測定流量は1.00mL/分とした。
(固形分濃度:重量%)
ハロゲン水分計 HG53(メトラー・トレド(株)製)にて、乾燥温度200℃で加熱残分を測定することにより、固形分濃度を測定した。
(粘度:mPa・s)
実施例及び比較例で得られた樹脂溶液の粘度(25℃)を、TV−22形粘度計(コーンプレートタイプ、東機産業(株)製「TVE−22L」)を用い、オプションロータ(01:1゜34×R24)を選択し、回転数5〜20rpmで測定した。
(固形分酸価:mgKOH/g)
各試料(実施例及び比較例で得られた樹脂溶液)をJIS K 0070に記載された中和滴定法に準拠して酸価を測定し、固形分換算の酸価を算出した。
(ガラス転移温度(Tg))
ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル(株)製、EXSTAR DSC6220)により測定した。なお、試料(実施例及び比較例で得られた樹脂溶液から溶媒を除去した樹脂)をアルミニウム製パンに入れ、温度範囲−30℃〜150℃で測定した。
(屈折率)
屈折計(アタゴ製、DR−M2<循環式恒温水槽60−C3>)を用いて、温度25℃、589nmでの各試料(実施例及び比較例で得られた樹脂溶液)の屈折率を測定し、固形分100%に換算して算出した。
(密着性)
実施例及び比較例で得られた樹脂溶液をガラス板にアプリケーター(塗布厚100μm)を使用して塗布し、温度80℃で3分間乾燥させ、乾燥塗膜を形成した。ガラス基板に対する乾燥塗膜の密着性をクロスカット試験(碁盤目試験)に供し、縦横に1mm間隔で形成した100個の升目のうち残存した升目の数Xを計数し、残存する升目の割合(X/100)で密着性を評価した。
比較例1
300mLセパラブルフラスコに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)43.85g(100mmol)、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(100mmol)、エチルセロソルブアセテート100g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.21g(1mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、120℃で8時間撹拌した。反応後、放冷し、黄色透明溶液165gを得た。
実施例1
1Lセパラブルフラスコに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン(BOPPEF)152.0g(257.5mmol)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物75.77g(257.5mmol)、エチルセロソルブアセテート551g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.54g(2.58mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、109〜110℃で19時間撹拌した。反応後、放冷し、黄色透明溶液741gを得た。
実施例2
1Lセパラブルフラスコに、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン(BNEF)152.0g(282.2mmol)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物83.03g(282.2mmol)、エチルセロソルブアセテート564g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.59g(2.82mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、110〜114℃で30時間撹拌した。反応後、放冷し、黄褐色透明溶液792gを得た。
実施例3
300mLセパラブルフラスコに、BOPPEF 59.07g(100mmol)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.71g(50mmol)、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)7.61g(50mmol)、エチルセロソルブアセテート100g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.21g(1mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、120℃で8時間撹拌した。反応後、放冷し、黄色透明溶液177gを得た。
実施例4
300mLセパラブルフラスコに、BNEF 53.86g(100mmol)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.71g(50mmol)、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)7.61g(50mmol)、エチルセロソルブアセテート100g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.21g(1mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、120℃で8時間撹拌した。反応後、放冷し、黄褐色透明溶液165gを得た。
結果を表1に示す。
表1に示したように、実施例で得られたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、耐熱性(Tg)及び屈折率が高い。