[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物(A)と硬化性樹脂(B)とを含む硬化性組成物である。
(硬化性化合物(A))
硬化性化合物(A)は前記式(1)で表される。前記式(1)において、環Z1及びZ2で表されるアレーン環として、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン環(例えば、ナフタレン環などのC10−16縮合二環式アレーン環)、縮合三環式アレーン環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環など)などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。
環集合アレーン環としては、ビアレーン環(例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(例えば、1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環など)、テルアレーン環(例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環など)などが例示できる。好ましい集合環アレーン環としては、ビC6−10アレーン環、特にビフェニル環などが挙げられる。
フルオレンの9−位に結合する2つの環Z1及びZ2は、同一又は異なっていてもよく、通常、同一であることが多い。環Z1及びZ2のうち、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環(なかでも、ベンゼン環、ナフタレン環、特にベンゼン環)などが好ましい。
なお、フルオレンの9−位に結合する環Z1及びZ2の置換位置は、特に限定されない。例えば、環Z1及びZ2がナフタレン環の場合、フルオレンの9−位に結合する環Z1及びZ2に対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよい。
前記式(1)において、置換基R1a及びR1bとしては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基など)など]、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)などが挙げられる。
これらの置換基R1a及びR1bのうち、アルキル基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基(特に、メチル基などのC1−3アルキル基))、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、C1−2アルコキシ−カルボニル基)、シアノ基、ハロゲン原子が好ましく、特にアルキル基が好ましい。
基R1a及びR1bの置換数k1及びk2は0〜4(例えば、0〜3)の整数、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1、特に0である。なお、フルオレン環を構成する2つのベンゼン環における置換数k1及びk2は、互いに同一又は異なっていてもよく、基R1a及びR1bの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。k1及びk2が2以上である場合、同一ベンゼン環内における基R1a及びR1bの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。また、基R1a及びR1bの置換位置は、特に制限されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、3−位及び7−位など)であってもよい。
前記式(1)において、置換基R2a及びR2bとしては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭化水素基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基など);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基など);アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(例えば、メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ビフェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基など];アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)など]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基(例えば、シクロヘキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−10アルキルチオなど)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロヘキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジ(C1−4アルキル−カルボニル)アミノ基など)などが例示できる。
これらの基R2a及びR2bのうち、代表的には、ハロゲン原子、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい基R2a及びR2bとしては、アルキル基(メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基)、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基など)、特に、アルキル基(特に、メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基)が挙げられる。なお、基R2a及びR2bがアリール基であるとき、基R2a及びR2bは、環Z1及びZ2とともに前記環集合アレーン環を形成してもよい。基R2a及びR2bの種類は、同一の又は異なる環Z1及びZ2において、同一又は異なっていてもよい。
基R2a及びR2bの置換数p1及びp2は、環Z1及びZ2の種類に応じて適宜選択でき、例えば、0〜8程度の整数であってもよく、好ましくは0〜4(例えば、0〜3)の整数、さらに好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1)、特に0であってもよい。特に、p1及びp2が1である場合、環Z1及びZ2がベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環、基R2a及びR2bがメチル基であってもよい。
前記式(1)において、基R3a及びR3bには、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が含まれ、直鎖状アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などの直鎖状C2−6アルキレン基(好ましくは直鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状C2−3アルキレン基、特にエチレン基)が例示でき、分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基などの分岐鎖状C3−6アルキレン基(好ましくは分岐鎖状C3−4アルキレン基、特にプロピレン基)などが挙げられる。これらの基R3a及びR3bのうち、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基など)、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−3アルキレン基であってもよい。
オキシアルキレン基(OR3a及びOR3b)の繰り返し数を示すm1及びm2は、0又は1以上の整数(例えば0〜15の整数、好ましくは0〜10程度の整数)の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば1〜8)の整数、好ましくは0〜5(例えば1〜5)の整数、さらに好ましくは0〜4(例えば1〜4)の整数、特に0〜3(例えば1〜3)程度の整数であってもよく、通常、0〜2の整数(例えば0又は1)であってもよい。なお、m1及びm2が2以上である場合、同一の環Z1及びZ2において、アルキレン基R3a及びR3bの種類は、同一又は異なっていてもよい。また、異なる環Z1及びZ2において、アルキレン基R3a及びR3bの種類は、同一又は異なっていてもよい。また、繰り返し数m1及びm2は平均値(平均付加モル数)であってもよく、0以上(例えば0〜15、好ましくは0〜10程度)の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば1〜8)、好ましくは0〜5(例えば1〜5)、さらに好ましくは0〜4(例えば1〜4)、特に0〜3(例えば1〜3)程度であってもよく、通常、0〜2(例えば0.5〜1.5)程度であってもよい。なお、本発明では、繰り返し数m1及びm2の値が大きくても(例えば3〜10、好ましくは4〜8、さらに好ましくは5〜6程度であっても)、高硬度の硬化物が得られる。
前記式(1)において、基X1及びX2は(メタ)アクリロイルオキシ基又はグリシジルオキシ基若しくは2-メチルグリシジルオキシ基である。基X1及びX2の種類は、同一の又は異なる環Z1及びZ2において、同一又は異なっていてもよく、通常、同一であることが多い。これらの基X1及びX2のうち、硬化物において、硬化性樹脂(B)と化学結合を形成しやすい観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。一方、硬化物において、屈折率を向上しやすい観点から、グリシジルオキシ基又は2−メチルグリシジル基が好ましい。
前記式(1)において、環Z1及びZ2に置換した基−[(OR3a)m1−X1]及び−[(OR3b)m2−X2]の置換数を示すn1及びn2は、1以上の整数であり、好ましくは1〜3の整数、さらに好ましくは1又は2(特に1)であってもよい。n1及びn2が大きすぎると、架橋密度が上がり、靱性(又は耐屈曲性、可撓性)が低下するおそれがある。なお、置換数n1及びn2は、それぞれの環Z1及びZ2において、同一又は異なっていてもよい。
基−[(OR3a)m1−X1]及び−[(OR3b)m2−X2]は、環Z1及びZ2の適当な位置に置換でき、例えば、環Z1及びZ2がベンゼン環である場合には、2〜6−位の適当な位置に置換でき、n1及びn2が1である場合、フェニル基の2−,3−,4−位(特に、3−位又は4−位)に置換している場合が多い。n1及びn2が2である場合、2−位及び4−位、3−位及び4−位(特に、2−位及び4−位)などに置換している場合が多く、2−位及び4−位に置換していると、硬化物における着色を防止(又は抑制)しやすい。n1及びn2が3以上である場合、置換位置は、特に限定されない。また、環Z1及びZ2がナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8−位のいずれかに置換している場合が多く、例えば、n1及びn2が1である場合、フルオレンの9−位に対してナフタレン環の1−位又は2−位が置換し(1−ナフチル又は2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5−位、2,6−位などの関係(特に2,6−位の関係)で基−[(OR3a)m1−X1]及び−[(OR3b)m2−X2]が置換している場合が多い。また、n1及びn2が2以上である場合、置換位置は、特に限定されない。また、環集合アレーン環Z1及びZ2において、基−[(OR3a)m1−X1]及び−[(OR3b)m2−X2]の置換位置は、特に限定されず、例えば、n1及びn2が1である場合、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Z1及びZ2の3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Z1及びZ2の4−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、基−[(OR3a)m1−X1]及び−[(OR3b)m2−X2]の置換位置は、2−,3−,2’−,3’−,4’−位のいずれであってもよく、通常、2−,3’−,4’−位、好ましくは2−,4’−位(特に、2−位)に置換していてもよい。また、n1及びn2が2以上である場合、置換位置は、特に限定されず、2−,3’−,4’−位などに置換していてもよい。
これらの硬化性化合物(A)のうち、代表的な化合物としては、基X1及びX2が(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、例えば、前記式(1)においてn1及びn2が1である化合物として、9,9―ビス[(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレン類、9,9―ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類、9,9―ビス[(メタ)アクリロイルオキシナフチル]フルオレン類、9,9―ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類などが挙げられ、前記式(1)においてn1及びn2が2以上である化合物として9,9―ビス[ポリ(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレン類、9,9―ビス[ポリ(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類、9,9―ビス[ポリ(メタ)アクリロイルオキシナフチル]フルオレン類、9,9―ビス[ポリ(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類などが挙げられる。なお、「(ポリ)アルコキシ」はアルコキシ基とポリアルコキシ基(例えば、ジ乃至デカアルコキシ基など)との双方を含む意味に用いる。
9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン類としては、前記式(1)において、n1及びn2が1、環Z1及びZ2が置換又は未置換のベンゼン環、m1及びm2が0、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、例えば、(a1)9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレン、(a2)9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−t−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−6−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ−モノ又はジC1−4アルキルフェニル)フルオレン、(a3)9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−シクロヘキシルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ−C5−10シクロアルキルフェニル]フルオレン、(a4)9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ−C6−10アリールフェニル]フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類としては、前記式(1)において、n1及びn2が1、環Z1及びZ2が置換又は未置換のベンゼン環、R3a及びR3bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、m1及びm2が1〜10、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、すなわち、上記化合物(a1)〜(a4)において、m1及びm2が1〜10、R3a及びR3bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基である化合物、例えば、(a5)9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシフェニル]フルオレン、(a6)9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−t−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−t−ブチル−6−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシ−モノ又はジC1−4アルキルフェニル]フルオレン、(a7)9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−シクロヘキシルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシ−C5−10シクロアルキルフェニル]フルオレン、(a8)9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル]フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシナフチル]フルオレン類としては、前記式(1)において、n1及びn2が1、環Z1及びZ2が置換又は未置換のナフタレン環、m1及びm2が0、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、例えば、(a9)9,9−ビス[6−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシナフチル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類としては、前記式(1)において、n1及びn2が1、環Z1及びZ2が置換又は未置換のナフタレン環、R3a及びR3bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、m1及びm2が1〜10、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、すなわち、上記化合物(a9)において、m1及びm2が1〜10、R3a及びR3bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基である化合物、例えば、(a10)9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシ−ナフチル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9―ビス[ポリ(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレン類としては、前記式(1)において、n1及びn2が2以上、環Z1及びZ2が置換又は未置換のベンゼン環、m1及びm2が0、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、例えば、(a11)9,9−ビス[2,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ(メタ)アクリロイルオキシフェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス[ポリ(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類としては、前記式(1)において、n1及びn2が2以上、環Z1及びZ2が置換又は未置換のベンゼン環、R3a及びR3bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、m1及びm2が1〜10、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、すなわち、上記化合物(a11)において、m1及びm2が1〜10、R3a及びR3bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基である化合物、例えば、(a12)9,9−ビス[2,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2,4−ジ(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシ)フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス[ポリ(メタ)アクリロイルオキシナフチル]フルオレン類としては、前記式(1)において、n1及びn2が2以上、環Z1及びZ2が置換又は未置換のナフタレン環、m1及びm2が0、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、例えば、(a13)9,9−ビス[ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[ジ(メタ)アクリロイルオキシ−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[トリ(メタ)アクリロイルオキシ−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ(メタ)アクリロイルオキシナフチル]フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス[ポリ(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類前記式(1)において、n1及びn2が2以上、環Z1及びZ2が置換又は未置換のナフタレン環、R3a及びR3bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、m1及びm2が1〜10、k1及びk2がそれぞれ0である化合物、すなわち、上記化合物(a13)において、m1及びm2が1〜10、R3a及びR3bが直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基である化合物、例えば、(a14)9,9−ビス[ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[ジ(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[トリ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレンなどが例示できる。
なお、上記化合物(a1)〜(a14)の(メタ)アクリロイルオキシ基が、グリシジルオキシ基又は2-メチルグリシジルオキシ基で置換された化合物、すなわち、基X1及びX2がグリシジルオキシ基又は2-メチルグリシジルオキシ基である場合に前記(a1)〜(a14)のそれぞれに対応する化合物(b1)〜(b14)なども例示できる。
これらの硬化性化合物(A)は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。好ましい硬化性化合物(A)としては、例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−((メタ)アクリロイルオキシ(ジ乃至デカ)エトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[C1−4アルキル−(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシナフチル]フルオレン、9,9−ビス[2,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン、及びこれらの化合物中の(メタ)アクリロイルオキシ基に代えて、グリシジルオキシ基又は2-メチルグリシジルオキシ基に置換した化合物などが挙げられ、なかでも、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[2,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、及びこれらの化合物中の(メタ)アクリロイルオキシ基に代えて、グリシジルオキシ基又は2-メチルグリシジルオキシ基に置換した化合物などが特に好ましい。
硬化性化合物(A)は、市販品を用いてもよく、慣用の方法、例えば、特許文献1、特開2013−53310号公報などに記載の方法などにより合成したものを用いてもよい。
[硬化性樹脂(B)及びその製造方法]
硬化性樹脂(B)は、前記式(2)で表される化合物(B1)(フルオレンポリオールという場合がある)及び四塩基酸二無水物(B2)を反応させて得られる化合物(カルボキシル基含有前駆体という場合がある)に、前記式(3)で表されるエポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)を反応させて得られる。
(フルオレンポリオール(B1))
前記式(2)で表されるフルオレンポリオール(B1)は、前記式(1)で表される硬化性化合物(A)において、基X1及びX2をヒドロキシル基に置換した化合物である。前記式(2)において、環Z1及びZ2、基R1a及びR1b、基R2a及びR2b、基R3a及びR3b、k1及びk2、p1及びp2、m1及びm2、n1及びn2のそれぞれの好ましい態様は、前記(硬化性化合物(A))の項に記載のそれぞれ対応する符号と同じである。
代表的なフルオレンポリオール(B1)としては、前記化合物(a1)〜(a14)の(メタ)アクリロイルオキシ基が、ヒドロキシル基で置換された化合物、すなわち、前記(a1)〜(a14)のそれぞれに対応する化合物(c1)〜(c14)などが挙げられる。
これらのフルオレンポリオール(B1)は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのフルオレンポリオール(B1)の中でも、好ましくは9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシ(ジ乃至デカ)エトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[C1−4アルキル−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシC2−4アルコキシ−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル]フルオレン、9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシ(ポリ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンである。
フルオレンポリオール(B1)は、市販品を用いてもよく、慣用の方法、例えば、特開2013−53310号公報などに記載の方法などにより合成したものを用いてもよい。
(四塩基酸二無水物(B2))
四塩基酸二無水物(テトラカルボン酸二無水物)(B2)としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ペンタンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族カルボン酸二無水物;シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロへプタンテトラカルボン酸二無水物、ノルボルナンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物などの脂環族カルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族カルボン酸二無水物などが例示できる。これらの四塩基酸無水物(B2)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。これらの四塩基酸二無水物(B2)の中でも、好ましくは5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
(エポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3))
エポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)は、前記式(3)で表される化合物である。前記式(3)において、基R4は水素原子又はメチル基のいずれであってもよく、基R5はC2−4アルキレン基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,2−ブタンジイル基などの直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくはテトラメチレン基などであってもよい。また、基R5Oの繰り返し数qは1以上(例えば、1〜30)の整数程度であってもよく、例えば、1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、さらに好ましくは1〜3の整数(例えば、1又は2)、特に1であってもよい。なお、qが2以上である場合、基R5Oの種類は同一又は異なっていてもよい。
代表的なエポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)としては、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシヘキシル(メタ)アクリレートなどのグリシジルオキシC2−8アルキル(メタ)アクリレート、2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−グリシジルオキシプロポキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(2−グリシジルオキシプロポキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのグリシジルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)の中でも好ましくは4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレートなどのグリシジルオキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートである。
代表的な硬化性樹脂(B)は、例えば、前記式(2)で表される化合物(B1)においてn1及びn2が1である化合物と前記四塩基酸二無水物(B2)との反応物と、エポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)との反応物、例えば、下記式(1A)
(式中、B2は前記四塩基酸二無水物(B2)の残基を示し、Z1及びZ2、R1a及びR1b、R2a及びR2b、R3a及びR3b、k1及びk2、p1及びp2、m1及びm2は前記式(1)に同じ。)
で表される単位を有する樹脂であって、樹脂中の少なくとも一部のカルボキシル基の水素原子が、下記式(2A)
(式中、R4、R5、qは前記式(3)に同じ。)
で表される(メタ)アクリロイル含有基(前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)の残基)で置換された樹脂が例示できる。前記式(1A)で表される単位において、Z1及びZ2、R1a及びR1b、R2a及びR2b、R3a及びR3b、k1及びk2、p1及びp2、m1及びm2のそれぞれの好ましい態様は、前記(硬化性化合物(A))の項に記載のそれぞれ対応する符号と同じであり、前記式(2A)で表される基において、R4及びR5並びにqのそれぞれの好ましい態様は、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)の項に記載のそれぞれ対応する符号と同じである。
前記樹脂の平均重合度は、特に限定されず、例えば、2〜500、好ましくは3〜300、さらに好ましくは5〜150程度である。
[硬化性樹脂(B)の製造方法]
硬化性樹脂(B)は、慣用の方法、例えば、特許文献4などに記載の方法で製造できる。例えば、前記フルオレンポリオール(B1)に、前記四塩基酸二無水物(B2)を付加(又は重合)反応させて硬化性樹脂(B)の前駆体であるカルボキシル基含有前駆体が得られる。この反応において、フルオレンポリオール(B1)が有するヒドロキシル基1モルに対する四塩基酸二無水物(B2)が有する酸無水物基の割合は、例えば、0.5〜1.5モル、好ましくは0.65〜1.25モル程度であってもよい。四塩基酸二無水物(B2)が有する酸無水物基の割合が少なすぎる又は多すぎると、十分な分子量が得られないおそれがある。
フルオレンポリオール(B1)と四塩基酸二無水物(B2)との反応は触媒の存在下で行ってもよい。使用する触媒は、特に制限されず、例えば、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン類;テトラメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム化合物;トリブチルホスフィンなどのホスフィン類、又はそれらの混合物などが挙げられる。また、使用する触媒の量は、フルオレンポリオール(B1)及び四塩基酸二無水物(B2)の合計100重量部に対して0.1〜2.0重量部程度であるのが好ましい。触媒の量が多すぎると硬化性樹脂(B)の保存安定性などに悪影響が出る場合がある。
また反応は、溶剤の存在下で行ってもよい。溶剤の種類は反応を阻害しない限り特に制限されず、例えば、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。使用する溶剤の量は、フルオレンポリオール(B1)及び四塩基酸二無水物(B2)の合計100重量部に対し、25〜150重量部であるのが好ましい。溶剤の量が少なすぎると、粘度が十分に低減されないおそれがあり、逆に多すぎると、反応物の濃度が下がりすぎるため、反応速度が低下するおそれがある。
また、反応は加熱して行ってもよい。加熱温度はフルオレンポリオール(B1)及び四塩基酸二無水物(B2)の種類などに応じて適宜設定することができ、例えば、60〜220℃、好ましくは90〜160℃程度であってもよい。反応温度が低すぎると、反応終了までに時間がかかるおそれがあり、逆に高すぎると、副反応による着色などの発生及び/又は酸無水物が閉環する平衡反応により反応率が低下するおそれがある。
前記反応によって得られた硬化性樹脂(B)のカルボキシル基含有前駆体に、 エポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)を付加反応させることによって硬化性樹脂(B)が得られる。
硬化性樹脂(B)におけるエポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)の割合は、用途によっても異なるので一概には言えないが、例えば、光硬化性コーティング剤や光学材料に用いる場合、硬化性樹脂(B)の酸価が0になるまで反応させてもよい。また、アルカリ現像などの用途に適用する場合には、酸価が1〜150mgKOH/gの範囲(好ましくは、10〜100mgKOH/gの範囲、さらに好ましくは30〜80mgKOH/gの範囲)にあるよう調整することが好ましい。酸価が低すぎると現像速度が低下して必要なパターンが得られないおそれがある。逆に酸価が高すぎると、現像過剰となってパターンが剥離しやすくなるおそれがある。なお、本明細書において、酸価はJIS K0070に基づく測定値である。
上記カルボキシル基含有前駆体とエポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)との反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒の種類は、例えば、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム化合物、トリブチルホスフィンなどのホスフィン類、又はこれらの混合物が挙げられる。使用する触媒の量は、前記フルオレンポリオール(B1)100重量部に対して0.1〜2.0重量部程度であるのが好ましい。触媒の量が多すぎると硬化性樹脂の保存安定性などに悪影響が出る場合がある。
また、反応は重合禁止剤(又は熱重合禁止剤)の存在下で行ってもよい。例えば、ハイドロキノン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどの慣用の重合禁止剤が挙げられる。重合禁止剤の量は、種類、反応条件などに応じて適宜選択でき、硬化性樹脂(B)全体の重量に対して5〜2000ppm程度であるのが好ましい。重合禁止剤の量が少なすぎると、製造中に不飽和結合が反応しゲル化が起こるおそれがあり、逆に多すぎると、硬化反応における感度が低下するおそれがある。
反応は、加熱して行ってもよい。加熱温度はエポキシ基含有(メタ)アクリレート(B3)の種類などに応じて適宜選択でき、好ましくは、60〜150℃程度であってもよい。反応温度が低すぎると、反応終了までに時間がかかるおそれがある。逆に高すぎると、副反応による着色及び/又は不飽和結合の反応によるゲル化などが起こるおそれがある。
得られる硬化性樹脂(B)の分子量は特に限定されないが、塗膜強度、造膜性、あるいは現像性の観点から、好ましくは1000〜200000、さらに好ましくは2500〜50000程度であってもよい。なお、本明細書において硬化性樹脂(B)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算重量平均分子量である。
本発明の硬化性組成物において、前記硬化性化合物(A)と前記硬化性樹脂(B)との割合は、前者/後者(重量比)=10/90〜90/10程度の範囲から選択でき、例えば、10/90〜80/20(例えば、15/85〜80/20)、好ましくは10/90〜70/30(例えば、20/80〜70/30)、さらに好ましくは10/90〜60/40(例えば、30/70〜60/40)、特に10/90〜55/45(例えば、40/60〜55/45)程度であってもよい。本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物(A)と硬化性樹脂(B)とを組み合わせると、理由は定かではないが、架橋密度が比較的低いにもかかわらず、意外にも、それぞれ単独の硬化物と同程度又はそれ以上の硬度を有する硬化物が得られ、さらに、硬化物の厚みが薄くても、安定して高硬度を発現できる。特に、前記硬化性化合物(A)と前記硬化性樹脂(B)との割合が、10/90〜55/45(好ましくは15/85〜50/50)程度の範囲であり、前記式(1)において、X1及びX2が、(メタ)アクリロイルオキシ基である硬化性化合物(A)を用いると、単独の硬化物以上の硬度を有する硬化物が得られる。一方、硬化性化合物(A)の割合が少なすぎる又は多すぎると、硬度向上効果が低下するおそれがある。
(重合開始剤)
本発明の硬化性組成物は、熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤を含んでいてもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物[ジアルキルパーオキサイド類(例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類(例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど)、過酸(又は過酸エステル)類(例えば、t−ブチルヒドロペルオキサイド、クメンヒドロペルオキサイド、過酢酸t−ブチルなど)ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類]、アゾ化合物[例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物など]などが例示できる。これらの熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
光重合開始剤(又は光ラジカル重合開始剤)としては、例えば、ベンゾイン類(例えば、ベンゾイン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など);アセトフェノン類(アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンなど);アミノアセトフェノン類(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなど);オキシムエステル類(1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)など);アントラキノン類(アントラキノン、アントラキノン−2−スルホン酸塩など);チオキサントン類(例えば、チオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントンなど);ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど);ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノンなど);2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体類(例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体など);キサントン類;2,4,6−トリハロメチルトリアジン類;アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタンなど);ビスアシルフォスフィンオキシド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドなど)などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤(熱及び/又は光重合開始剤)の使用量は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基含有成分の総量(例えば、前記式(1)において、基X1及びX2が(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、硬化性化合物(A)及び硬化性樹脂(B)の総量、基X1及びX2がグリシジルオキシ基又は2−メチルグリシジルオキシ基である場合、硬化性樹脂(B)の量など)100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部(例えば、1〜8重量部)、さらに好ましくは2〜5重量部程度であってもよい。
また、光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、第3級アミン類[例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルなど]、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど]などのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのジアルキルアミノベンゾフェノンなど]などの慣用の光増感剤などが挙げられる。これらの光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
光増感剤の使用量は、光重合開始剤100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
また、硬化性化合物(A)が、エポキシ基含有基を含む場合(すなわち、前記式(1)において、基X1及びX2がグリシジルオキシ基又は2−チルグリシジルオキシ基である化合物を含む場合)には、エポキシ基を硬化性樹脂(B)が有するカルボキシル基と反応させ熱硬化してもよいが、硬化性組成物は、さらに、熱重合開始剤(硬化剤)及び/又は光重合開始剤(カチオン重合開始剤、光酸発生剤)などの重合開始剤を含むのが好ましい。
硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤[特に、第1級アミン、例えば、鎖状脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの鎖状脂肪族ポリアミン類)など、環状脂肪族アミン(例えば、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどの単環式脂肪族ポリアミン;ノルボルナンジアミンなどの架橋環式ポリアミンなど)、芳香脂肪族ポリアミン(例えば、キシリレンジアミンなど)、芳香族アミン(例えば、メタフェニレンジアミンなど)など]、ポリアミノアミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤(例えば、ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族系酸無水物;テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族系酸無水物;無水フタル酸などの芳香族系酸無水物など)、フェノール樹脂系硬化剤(例えば、ノボラック樹脂など)などが挙げられる。これらの硬化剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。硬化剤の割合は、硬化性組成物中のエポキシ基1当量に対して、硬化剤の官能基が0.5〜3.0当量、好ましくは0.7〜1.5当量、さらに好ましくは0.8〜1.2当量となるように調整してもよい。
また、硬化剤とともに硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、例えば、アミン類[例えば、第3級アミン類(例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザミシクロ[5.4.0]ウンデセン−1など)、イミダゾール類(例えば、2−メチルイミダゾールなどのアルキルイミダゾール;2−フェニルイミダゾールなどのアリールイミダゾールなど)及びその誘導体(例えば、フェノール塩、フェノールノボラック塩、炭酸塩、ギ酸塩などの塩)など]、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド、ホスフィン類、アミド化合物(例えば、ダイマー酸ポリアミドなど)、ルイス酸錯体化合物(例えば、三フッ化ホウ素・エチルアミン錯体など)、硫黄化合物[例えば、ポリサルファイド、メルカプタン化合物(チオール化合物)など]、ホウ素化合物(例えば、フェニルジクロロボランなど)、縮合性有機金属化合物(例えば、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物など)などが挙げられる。これらの硬化促進剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。硬化促進剤の割合(添加量)は、硬化性組成物中のエポキシ基含有成分の総量100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは5〜10重量部程度であってもよい。
光重合開始剤(カチオン重合開始剤、光酸発生剤)としては、例えば、ブレンステッド酸のオニウム塩[例えば、4−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどの芳香族ジアゾニウム塩;トリフェニルスルホニウムトリフレート(又はトリフルオロメタンスルホナート)などの芳香族スルホニウム塩;ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどの芳香族ヨードニウム塩など]、ブレンステッド酸の鉄芳香族化合物塩[例えば、(η6−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートなど]などが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。使用する光重合開始剤の割合は、硬化性組成物中のエポキシ基含有成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部程度であってもよい。
これらの重合開始剤のうち、少なくとも光重合開始剤を含むのが好ましい。
(その他の重合性化合物)
本発明の硬化性組成物には、さらに、分子中に1個以上の重合性官能基を持つ重合性化合物(単に重合性モノマーということがある)を含んでいてもよく、これによって感度、流動性、耐薬品性、耐熱性、又は機械的強度などを向上してもよい。重合性モノマーとしては、分子内に重合性官能基を1個以上持つものであれば、特に制限されず、用途や目的に応じて適宜選択できる。例えば、単官能重合性モノマー(例えば、メチル(メタ)アクリレートなどのC1−4アルキル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなど);2官能重合性モノマー(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA(又はその(ポリ)C2−4アルキレンオキサイド付加物)のジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートなど);3官能重合性モノマー(例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなど);4官能重合性モノマー(例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど);5官能重合性モノマー(例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなど);6官能重合性モノマー(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなど)、及びこれらの重合性モノマーの(メタ)アクリロイル基をグリシジル基又は2-メチルグリシジル基に置換した化合物などが例示できる。
これらの重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。本発明では、多官能重合性モノマー(例えば、DPHAなどの5個以上の重合性官能基を有するモノマー)を含んでいてもよいが、含まなくても高硬度の硬化物が得られる。従って、靱性(又は耐屈曲性、可撓性)の観点から、これらの重合性モノマーのうち、1〜4(例えば、2〜3)官能重合性モノマーが好ましい。
これらの重合性モノマーの添加量は、硬化性化合物(A)及び硬化性樹脂(B)の総量100重量部に対して、例えば、0〜50重量部程度の範囲から選択でき、好ましくは0〜30(例えば、1〜20)重量部、さらに好ましくは0〜10重量部程度であってもよい。
(添加剤)
本発明の硬化性組成物には、着色剤を添加してもよい。着色剤は、目的によって適宜選択することができ、例えば、フタロシアニン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料などの慣用の着色剤が挙げられる。これらの着色剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
また、硬化性組成物は、溶剤(又は溶媒)を含んでいてもよく、溶液又はフィラーなどを混合したペーストであってもよい。溶剤の種類は特に制限されず、例えば、水;グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールなど);グリコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコール(モノ又はジ)C1−4アルキルエーテルなど);グリコールエーテルアセテート類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールモノC1−4アルキルエーテルアセテートなど);ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど);エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチルなどの酢酸C1−4アルキルなど);スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど);アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)などが挙げられる。
これらの溶媒は単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて混合溶媒として使用することもできる。これらの溶媒のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールモノC1−4アルキルエーテルアセテートが好ましい。
なお、硬化性組成物には、本発明の効果を害さない限り、さらに重合禁止剤、可塑剤、消泡剤、カップリング剤、充填剤などを必要に応じて含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、前記硬化性化合物(A)及び硬化性樹脂(B)と、必要に応じて他の成分(例えば、前記重合開始剤など)とを慣用の方法(例えば、撹拌機による溶剤中への溶解又は分散など)で混合することで調製できる。さらに、前記硬化性組成物に活性エネルギーを付与して、硬化物を調製できる。
[硬化物]
硬化性組成物は、活性エネルギー(活性エネルギー線)を付与することで容易に硬化する。前記活性エネルギーは、熱エネルギー及び/又は光エネルギー(紫外線、電子線、X線など)が有用であり、目的などに応じて適宜選択できる。
熱エネルギーを利用する場合、加熱温度としては、例えば、50〜250℃、好ましくは60〜120℃、さらに好ましくは70〜100℃程度であってもよい。加熱時間は、例えば、5分〜12時間、好ましくは10分〜8時間、さらに好ましくは30分〜4時間程度であってもよい。
また、光エネルギーを利用(例えば、紫外線照射などの光照射)する場合、光照射エネルギー量は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、50〜10000mJ/cm2、好ましくは70〜8000mJ/cm2、さらに好ましくは100〜5000mJ/cm2(例えば、300〜3000mJ/cm2)程度であってもよい。光源としては、ディープUVランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(例えば、ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを使用できる。
なお、光照射により硬化する場合においても、反応性が向上するため、加熱処理(例えば、光酸発生剤を含む硬化性組成物のアフターベークなど)を行ってもよい。加熱処理の温度及び時間は、前記熱エネルギーを利用する場合と同じである。また、反応(又は重合、架橋、若しくは硬化)は、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気(例えば、窒素雰囲気、アルゴンなどの希ガス雰囲気など)で行ってもよい。
硬化物の形状は、特に限定されず、用途に応じて選択できる。例えば、三次構造の硬化物は、前記硬化性組成物を成形又は所定の型内に注型(注入)した後、硬化(加熱及び/又は光照射)して製造してもよい。また、硬化膜は、前記硬化性組成物を基材又は基板[例えば、金属、セラミックス、プラスチックなどの基板]に塗布して塗膜(又は薄膜)を形成し、硬化(加熱及び/又は光照射)して製造してもよい。塗布方法は特に制限されず、慣用の方法、例えば、スピンコートなどであってもよい。溶剤を使用して塗布する場合、乾燥してもよい。塗膜(硬化前又は硬化後)の厚みは、用途によって異なるが、0.01〜1000μm程度の範囲から選択でき、例えば0.1〜500μm、好ましくは0.5〜300μm、さらに好ましくは1〜200μm程度であってもよい。特に、本発明では、硬化物において、比較的薄い膜であっても安定して高硬度を発現できる。このような薄膜の厚みは、例えば、0.01〜100μm(例えば、0.1〜80μm)、好ましくは0.2〜50μm(例えば、0.3〜40μm)、さらに好ましくは0.5〜30μm(例えば、1〜20μm)、特に1〜10μm(例えば、2〜5μm)程度であってもよい。
また、本発明の硬化性組成物は、酸価を容易に調整できるため、アルカリ現像可能なフォトレジストとして使用してもよく、塗布、露光(硬化)、及び現像などの工程を経て、パターン形成ができる。例えば、塗布工程では、溶液又はペースト状の硬化性組成物を基板上に、慣用の塗布方法で塗布する。なお、溶剤を使用する場合、乾燥工程を含んでいてもよい。得られた塗膜は、露光工程において、所定のマスクを介し、UVなどで露光される。必要に応じて、前記アフターベーク(加熱処理)を行ってもよい。露光した塗膜は現像工程において、湿式で現像(例えば、スプレー式、パドル式、浸漬式など、特に残渣の少ないスプレー式)して、パターンを形成できる。必要に応じて、超音波等を照射してもよい。現像液としては、硬化性樹脂(B)により酸価を容易に調製できること、及び安全性(例えば、環境又は人体への影響、引火による火災防止など)などの観点から、有機溶剤ではなく、アルカリ現像液(又は弱アルカリ水溶液)が好ましい。アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機化合物;ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機化合物などを含有した水溶液が挙げられる。これらのアルカリ現像液は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、現像性補助のため、有機溶剤、界面活性剤、消泡剤などを含んでいてもよい。
(硬化物の特性)
上記のようにして得られた硬化物は、硬化性化合物(A)と硬化性樹脂(B)とを組み合わせているためか、架橋密度が低いにもかかわらず、意外にも、高硬度を達成できる。硬化物の鉛筆硬度は、例えば、H〜8H程度であってもよく、好ましくは2H〜6H、さらに好ましくは3H〜5H程度であってもよい。特に、本発明では、比較的厚みの薄い硬化膜であっても、安定して高硬度を発現できる。そのため、上記鉛筆硬度は、硬化膜の厚みが、例えば、30μm以下(例えば、0.1〜20μm)、好ましくは10μm以下(例えば、1〜8μm)、さらに好ましくは5μm以下(例えば、2〜3μm)程度である場合の鉛筆硬度であってもよい。なお、鉛筆硬度は後述する実施例に記載の方法により測定できる。
前記硬化物は、汎用のハードコート層を形成するための多官能重合性モノマー(例えば、DPHAなど)などを使用しなくても高い硬度を有するため、架橋密度が比較的低く、靱性(又は耐屈曲性、可撓性)にも優れており、高硬度と靱性(又は耐屈曲性、可撓性)とを両立できる。さらに、架橋密度が低いと、硬化時の反応熱も少なく抑えられるため、取扱いが容易で安全性も向上する。
また、フルオレン骨格を有する成分の割合が比較的高いためか、高屈折率、高耐熱性などの優れた特性をも有している。硬化物の屈折率(25℃、589nm)は、例えば1.55〜1.70、好ましくは1.56〜1.68、さらに好ましくは1.57〜1.65、特に1.58〜1.63程度であってもよい。なお、屈折率は後述する実施例に記載の方法により測定できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(各種成分)
用いた成分の略称は以下のとおりである。
BPEFA:後述する合成例1で調製した硬化性化合物
BPF−10.9EOA:特開2013−53310号公報に記載の参考例3に従って調製した硬化性化合物
BPFG:9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン
BNFG:9,9−ビス(6−グリシジルオキシ−2−ナフチル)フルオレン
BPEFG:9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン
BNEFG:9,9−ビス[6−(2−グリシジルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン(特開2009−155256号公報に記載の実施例1に従って調製した化合物)
DPHA:ダイセルサイテック(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
感光性樹脂1:特許第4733231号公報(特許文献4)に記載の実施例2に従って調製した硬化性樹脂(合成例2で調製した硬化性樹脂)
感光性樹脂2:特許第4733231号公報(特許文献4)に記載の実施例8に従って調製した硬化性樹脂(合成例3で調製した硬化性樹脂)
Irgacure184:BASFジャパン(株)製、光重合開始剤
Irgacure369:BASFジャパン(株)製、光重合開始剤
Irgacure OXE 01:BASFジャパン(株)製、光重合開始剤
Irgacure OXE 02:BASFジャパン(株)製、光重合開始剤
PGMEA:関東化学株式会社製、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
(評価方法)
鉛筆硬度
作製した硬化膜を鉛筆硬度計(新東科学(株)製「HEIDON−14」)に設置し、各種鉛筆を硬化膜に対して角度45°、荷重750gで押しつけ、速度1mm/秒で硬化膜上を移動させた。試験後、硬化膜上の傷の有無を目視にて確認することにより、鉛筆硬度を測定した。
屈折率
作製した硬化膜を反射分光膜厚計(大塚電子社製、「FE−3000」)を用いて、常温、波長589nmにおいて測定した。
密着性
JIS K5600−5−6に準拠して、作製した硬化膜に規定の切り込み工具にて碁盤目状に100マスの切り込みを入れた後、セロハンテープを貼付け、剥離を行った。セロハンテープ剥離後に、100マスのうち、硬化膜が剥離しなかったマス目の数を測定した。
現像性
作製した未露光部と露光部とを有する硬化塗膜を30℃の1wt%の炭酸ナトリウム水溶液に30秒浸漬し、現像挙動を目視にて観察した。
○:未露光部が溶解して現像が進行
△:未露光部の溶解して現像が進行するが、速度は○より遅い
×:現像しない。
屈曲性
机の端を利用して、作製した硬化膜を略90°の角度に折れ曲がるように押し当て、硬化膜の状態を目視にて観察した。
○:亀裂が入らない
×:亀裂が入る。
合成例1
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、BPEF)100g、アクリル酸258g、p−トルエンスルホン酸30g、トルエン1500g、及びハイドロキノンモノメチルエーテル1gを混合し、100〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。得られた反応液をアルカリ中和し、10%食塩水で洗浄した。洗浄後のトルエン相をエバポレーターにより減圧濃縮してトルエンを除去し、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEFA)を120g得た。
合成例2
特許第4733231号公報(特許文献4)に記載の実施例2に従って感光性樹脂1を調製した。すなわち、攪拌機と冷却管とを備えた1000mlのフラスコに、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(宇部興産(株)製:BPDA)72g、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製:BPEF)128g、4−ジメチルアミノピリジン1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート134gを入れ、窒素気流下で攪拌しながら155℃のオイルバスで4時間加熱した。次いで、120℃まで冷却した後、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ADEKA(株)製:アデカスタブLA−7RD)0.04g、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成(株)製:4HBAGE)84gを加え、120℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、不揮発分が50質量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて淡黄色透明粘稠性の感光性樹脂1の溶液を得た。得られた樹脂溶液は、粘度4200mPa・s/25℃であり、固形分(樹脂)の重量平均分子量(GPCによるスチレン換算)は、7243であり、酸価は2.5mgKOH/gであった。
合成例3
攪拌機と冷却管とを備えた1000mlのフラスコに、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(宇部興産(株)製:BPDA)90g、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製:BPEF)110g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート134g、4−ジメチルアミノピリジン1gを入れ、窒素気流下で攪拌しながら155℃のオイルバスで4時間加熱した。次いで、120℃まで冷却した後、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ADEKA(株)製:アデカスタブLA−7RD)0.04g、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成(株)製:4HBAGE)80gを加え、120℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、不揮発分が50質量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて淡黄色透明粘稠性の感光性樹脂2の溶液を得た。得られた樹脂溶液は、粘度6600mPa・s/25℃であり、固形分(樹脂)の重量平均分子量(GPCによるスチレン換算)は、18230であり、酸価は71.6mgKOH/gであった。
実施例1〜15及び比較例1〜5
表1に記載の組成にて感光性樹脂組成物を調製した。得られた感光性樹脂組成物を、下記(i)〜(iii)の方法で硬化して硬化膜(硬化塗膜)を作製し、各評価項目用の試験片とした。結果を表1及び表2に示す。
(i)感光性樹脂組成物を1.1mm厚のガラス基板にスピンコート(1000〜1800rpm、30秒)し、80℃のホットプレートで3分間乾燥させた。乾燥後の膜厚は2〜3μmであった。続いて、超高圧水銀灯UV照射機にて積算光量500mJ/cm2の紫外線をマスクを介して照射して、未露光部と露光部とを有する硬化塗膜を作製し、現像性を評価した。
(ii)感光性樹脂組成物を100μm厚のPETフィルム(東洋紡(株)製「A4300」)に塗布し、80℃のホットプレートで3分間乾燥させた。乾燥後の膜厚は2〜3μmであった。続いて、超高圧水銀灯UV照射機にて積算光量500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化塗膜を作製し、鉛筆硬度、密着性及び屈曲性を評価した。
(iii)感光性樹脂組成物を100μm厚のTACフィルム(富士フィルム(株)製「TAC100」)に塗布し、80℃のホットプレートで3分間乾燥させた。乾燥後の膜厚は2〜3μmであった。続いて、超高圧水銀灯UV照射機にて積算光量500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化塗膜を作製し、TACフィルムから硬化塗膜を剥して、屈折率を評価した。
各評価結果を表1に示す。
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜6では、比較例1〜4の硬化性化合物(A)又は硬化性樹脂(B)それぞれ単独の硬化物に比べて、意外にも硬度が向上していた。また、高い屈曲性及び屈折率も維持(又は向上)していた。実施例7及び8では、感光性樹脂1の割合が非常に小さいにもかかわらず、高い屈曲性及び屈折率が維持(又は向上)していた。実施例9〜15では、比較例1及び2の硬化性樹脂(B)単独の硬化物に比べて、感光性樹脂1又は2の割合が小さいにもかかわらず、十分な硬度及び高い屈曲性を維持しており、さらに屈折率が向上していた。さらに、比較例3及び4では現像性が悪いものの、実施例では、硬化性樹脂(B)を含むためか「〇」であった。また、比較例5では、架橋密度が高いため、高硬度の硬化物が得られているものの、屈曲性が低く、DPHAがフルオレン骨格を有していないためか、屈折率も大きく低下していた。