JP4484479B2 - フルオレン誘導体及び光活性化合物 - Google Patents

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本発明は、新規なフルオレン誘導体、特に、感光剤と組み合わせて用いられ、紫外線や遠紫外線(エキシマーレーザーなども含む)などの光線を用いて半導体集積回路などの微細パターンを形成するのに有用なフルオレン誘導体に関する。
半導体レジストの分野においては、超LSIの開発に伴い、より高度な微細加工技術が求められており、従来の高圧水銀灯のg線(波長436nm)やi線(波長365nm)に代わって、より短波長の光源、例えば、KrFエキシマーレーザー(波長248nm)、ArFエキシマーレーザー(波長193nm)及びF2エキシマーレーザー(波長157nm)などが利用されている。
また、半導体集積回路の高集積化とともに、レジストに対して解像度の向上(サブミクロンあるいはクォーターミクロン以下のパターン形成)、ドライ現像プロセスにおける耐エッチング特性の向上なども要求されている。
しかし、g線やi線を用いる従来のレジスト材料、例えば、ノボラック樹脂/ジアゾナフトキノン型ポジ型レジストは、ノボラック樹脂の光吸収に起因して、KrFエキシマーレーザーやArFエキシマーレーザーを用いても、感度および解像力が大きく低下する。
より短波長の露光源に対して適用可能なレジストとして、I. Sondi and E. Matijevic, Resist Technology and Processing XVII, Francis M. Houlihan, Editor, Proceedings of SPIE Vol. 3999(2000)(非特許文献1)の第627〜637頁には、SiO2ナノ粒子(シリカゾル)を含有するp−ヒドロキシスチレン−t−ブチルアクリレートコポリマーで構成されたフィルムが開示され、このようなSiO2ナノ粒子を含むレジストが高い解像度を示すこと、及び透明なSiO2ナノ粒子を用いたレジストシステムが、157nmなどの波長に対して有用であることなどが記載されている。しかし、このような方法では、露光部と未露光部との溶解速度の差を大きくできず、解像度を充分に改善できない。
さらに、特開平6−51519号公報(特許文献1)には、水不溶でアルカリ水溶液に可溶な樹脂と酸発生剤と共に、酸で分解する基を少なくとも2つ有し、前記酸分解性基間の距離が、最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を10個以上経由する化合物を含むポジ型感光性組成物が開示されている。また、特開平6−167811号公報(特許文献2)には、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性官能基の一部を酸解離性基で保護した樹脂及び感放射線性酸発生剤と共に、低分子フェノール性化合物の水素原子をアルコキシアルキル基又はt−アルコキシカルボニルアルキル基で置換した化合物を含有する感放射線性樹脂組成物が開示されている。しかし、これらの組成物においても、感度及び解像度を充分に改善できない。
I. Sondi and E. Matijevic, Resist Technology and Processing XVII, Francis M. Houlihan, Editor, Proceedings of SPIE Vol. 3999(2000)(第627〜637頁) 特開平6−51519号公報(請求項1) 特開平6−167811号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、新規な光活性化合物、特に感光剤との組合せにおいて、レジストの感度及び解像度を改善するために有用な光活性化合物及びレジスト用添加剤並びに感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、短波長の露光源に対しても高感度であり、高解像度の微細パターンを形成するのに有用な光活性化合物及びレジスト用添加剤並びに感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、露光部と未露光部とにおいて、現像液に対する溶解度差を大きくするのに有用な光活性化合物及びレジスト用添加剤並びに感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、半導体集積回路などの微細パターンを形成するのに有用なフルオレン誘導体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、新規なフルオレン誘導体を感光剤と組み合わせて用いると、KrFエキシマーレーザーなどのより短波長の光源に対してもレジストの感度及び解像度を簡便に改善できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のフルオレン誘導体は、下記式(I)で表される。
Figure 0004484479
(式中、J1及びJ2は連結基、−X1−Pro1及び−X2−Pro2はそれぞれ脱離可能な保護基Pro1又はPro2で保護された親水性基、R1〜R4はアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表し、m1及びm2は0又は1、n1及びn2は0又は1〜4の整数、p1、p2、q1及びq2は0〜4の整数を表す。但し、n1及びn2の少なくともいずれか一方が1〜4であり、n1+p1及びn2+p2は、5以下の整数である。)
前記式(I)において、−X1−Pro1及び−X2−Pro2は保護基で保護されたヒドロキシル基又はカルボキシル基であってもよい。また、Pro1及びPro2はアセタール系保護基又はアルキルエステル系保護基であってもよく、例えば、−(J1)m1−X1−Pro1及び−(J2)m2−X2−Pro2が、−O−CH(Ra)−ORb又は−O−C(O)−ORc(式中、Ra〜Rcは、同一又は異なって、アルキル基を示す)であってもよい。さらに、−(J1)m1−X1−Pro1及び−(J2)m2−X2−Pro2は、−C(Rd)=C(Re)−C(O)−ORf(式中、Rd及びReは水素原子又はアルキル基を示し、Rfはアルキル基を示す)であってもよい。式(I)において、通常、p1及びp2は0〜2の整数、q1及びq2は0であり、R1及びR2がアルキル基である。
本発明には、感光剤と組み合わせて用いられる光活性化合物であって、前記フルオレン誘導体で構成された光活性化合物も含まれる。保護基Pro(前記保護基Pro1及びPro2)は、光照射により、感光剤と関連して脱離可能であってもよい。
また、本発明には、ベース樹脂と感光剤と前記光活性化合物とで構成されている感光性樹脂組成物も含まれる。前記感光性樹脂組成物は、水又はアルカリ現像可能であってもよく、ポジ型感光性樹脂組成物であってもよい。ベース樹脂は、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成してもよく、感光剤は光酸発生剤で構成してもよい。前記ベース樹脂は、例えば、ヒドロキシル基及びカルボキシル基から選択され、かつ酸の作用により脱離可能な保護基で保護可能な親水性基を有する単量体の単独又は共重合体で構成してもよい。
さらに、本発明には、前記フルオレン誘導体(I)で構成されたレジスト用添加剤も含まれる。
本発明のフルオレン誘導体(I)は、新規な光活性化合物であり、光照射に起因した脱保護により親水化可能であるので、感光剤と組み合わせることにより、特にレジスト(前記フルオレン誘導体(I)を含む感光性樹脂組成物で形成されたレジストなど)の感度及び解像度を改善するために有用である。また、短波長の露光源に対する感度を向上させ、微細パターンの解像度を向上できる。さらに、レジストの露光部と未露光部とにおいて、現像液に対する溶解度差を大きくでき、微細パターンを高感度及び高解像度で形成できる。
[フルオレン誘導体]
フルオレン誘導体(I)において、連結基J1及びJ2は、例えば、直接結合、アルキレン基[メチレン、エチレン、ジメチルメチレン、ジ(トリフルオロメチル)メチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、t−ブチレンなどの直鎖又は分岐鎖状アルキレン基(C1-6アルキレン基など)]、アルケニレン基[ビニレン、イソプロペニレン、プロペニレンなどのC2-4アルケニレン基など]、アルキニレン基[エチニレン基などのC2-4アルキニレン基など]、シクロアルキレン基[シクロヘキシレン基などのC4-8シクロアルキレン基など]、アリーレン基[フェニレン基などのC6-10アリーレン基など]であってもよい。なお、連結基の繰り返し数m1及びm2は0又は1である。
連結基J1及びJ2は、通常、直接結合、アルキレン基[直鎖又は分岐鎖状アルキレン基(C1-6アルキレン基など)]、アルケニレン基[ビニレンなどのC2-4アルケニレン基など]、アルキニレン基[エチニレン基などのC2-4アルキニレン基など]、シクロアルキレン基[シクロヘキシレン基などのC4-8シクロアルキレン基など]、アリーレン基[フェニレンなどのC6-10アリーレン基など]など、特に直接結合、アルケニレン基、アルキレン基である。
さらに、保護基Pro1及びPro2で保護された基X1及びX2に対応する親水性基(以下、基Xを単に親水性基という場合がある)としては、アミノ基、N−置換アミノ基(N,N−ジC1-4アルキルアミノ基など)などに加えて、ヒドロキシル基(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基を含む)、カルボキシル基、及びこれらの親水性基に対応するイオウ含有誘導体基(メルカプト基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基など)などの親水性基(ジフェニルフルオレンに水又はアルカリ可溶性を付与する基など)が例示できる。特にヒドロキシル基、−O−(AO)r−H基(式中、AはC2-4アルキレン基、rは1以上の整数を示す)及びカルボキシル基が好ましい。
これらの親水性基の保護基としては、慣用の保護基(光照射に関連して又は酸により脱離可能)が利用でき、例えば、「PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS,THIRD EDITION」,Green Wuts,WILEY-INTERSCIENCE,1999年発行などを参照できる。
ヒドロキシル基(−O−(AO)r−H基も含む)の保護基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−シクロヘキシル−2−プロピル、ヘキシル基などの置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状C1-12アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基);アリル基などの直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基(好ましくは2−C3-10アルケニル基、さらに好ましくは2−C3-6アルケニル基);クロロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロプロピル基などのハロC1-6アルキル基(好ましくはハロC1-4アルキル基、さらに好ましくはフルオロC1-4アルキル基);メチルチオメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状アルキルチオアルキル基(好ましくはC1-6アルキルチオC1-6アルキル基);シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基などの置換基を有していてもよいC5-8シクロアルキル基(例えば、C5-6シクロアルキル基);置換基を有していてもよいデカリニル基又は水添ナフチル基(例えば、1−デカリニル、2−デカリニル、2−メチル−2−デカリニル基など)、置換基を有していてもよいアダマンチル基(例えば、1−アダマンチル、2−アダマンチル、1−メチル−2−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル基など)、置換基を有していてもよいノルボルニル基(例えば、1−ノルボルニル、2−ノルボルニル、2−メチル−2−ノルボルニル基など)、置換基を有していてもよいボルニル基(例えば、2−ボルニル基など)などの置換基を有していてもよい2乃至4環式C3-30炭化水素環基(架橋環式脂環族炭化水素基(例えば、ビ乃至テトラシクロアルキル基など));ナフチル基(例えば、2−ナフチル基など)、水添ナフチル基(例えば、1,4−ジヒドロ−2−ナフチル基など)、アントリル基(例えば、9−(9−フェニル−10−オキサ)アントリル基など)などの縮合多環式炭化水素基;2,4−ジニトロフェニル基などのアリール基(例えば、ニトロ基置換フェニル基など);ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチルなどのアラルキル基(例えば、置換基を有していてもよいモノ乃至トリC6-10アリール−C1-4アルキル基など);2−(フェニルセレニル)エチル基などのアリールセレニルアルキル基;テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロピラニルなどのオキサシクロアルキル基(例えば、5〜8員オキサシクロアルキル基など);テトラヒドロチアフラニル、テトラヒドロチアピラニル、4−メトキシテトラヒドロチアピラニル基などのチアシクロアルキル基(例えば、5〜8員チアシクロアルキル基など);直鎖状又は分岐鎖状アルコキシアルキル基(例えば、1−メトキシエチル、1−エトキシエチル、1−エトキシプロピル、1−メトキシ−イソプロピル、1−メチル−1−メトキシエチル基などのC1-10アルコキシ−C1-6アルキル基、好ましくはC1-6アルコキシ−C1-4アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルコキシ−C1-4アルキル基)やアルコキシアルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエトキシメチル基などのC1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ−C1-4アルキル基)、ジアルコキシアルキル基[例えば、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基などのビス(ハロゲン化C1-4アルコキシ)C1-4アルキル基など]などのアセタール系保護基;直鎖状又は分岐鎖状アルキルカルボニル基(ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、t−ブチリル、バレリル、イソバレリルなどのC1-10アルキル−カルボニル基、好ましくはC1-8アルキル−カルボニル基、さらに好ましくはC1-6アルキル−カルボニル基、特にC1-4アルキル−カルボニル基)、シクロアルキルカルボニル基(シクロヘキシルカルボニル基などのC5-8シクロアルキル−カルボニル基、好ましくはC5-6シクロアルキル−カルボニル基)、アリールカルボニル基(ベンゾイル基などのC6-10アリール−カルボニル基など)などのアシル基;t−ブトキシカルボニル(t−BOC)基などの直鎖状又は分岐鎖状C1-6アルコキシ−カルボニル基(例えば、C1-4アルコキシ−カルボニル基など);ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(例えば、C6-10アリール−C1-4アルキルオキシ−カルボニル基など);トリメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル基などの直鎖状又は分岐鎖状アルキルシリル基(例えば、C1-6アルキルシリル、特にトリC1-4アルキルシリル基)、直鎖状又は分岐鎖状アルキルアリールシリル基(例えば、t−ブチルジフェニルシリル基など)、アラルキルシリル基(例えば、トリベンジルシリル基など)などが挙げられる。
また、カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチル、エチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ハロエチル、イソプロピル、2−シクロヘキシル−2−プロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル基、ヘキシル基などの置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状C1-12アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基);メチルチオメチル、S−t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状アルキルチオアルキル基(好ましくはC1-6アルキルチオC1-6アルキル基);直鎖状又は分岐鎖状アルコキシアルキル基(例えば、メトキシメチル基などのC1-4アルコキシ−C1-4アルキル基);アラルキルオキシアルキル基(例えば、ベンジルオキシメチル基など);アリールカルボニルアルキル基(例えば、フェナシル基など);シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル基などの置換基を有していてもよいC3-8シクロアルキル基;置換基を有していてもよいデカリニル基(例えば、1−デカリニル、2−デカリニル、2−メチル−2−デカリニル基など)、置換基を有していてもよいアダマンチル基(例えば、1−アダマンチル、2−アダマンチル、1−メチル−2−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル基など)、置換基を有していてもよいノルボルニル基(例えば、1−ノルボルニル、2−ノルボルニル、2−メチル−2−ノルボルニル基など)、置換基を有していてもよいボルニル基(例えば、2−ボルニル基など)などの置換基を有していてもよい2乃至4環式C3-30炭化水素環基(橋架環式脂環族炭化水素基);2,4−ジニトロフェニル基などのアリール基(例えば、ニトロ基置換フェニル基など);ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル、ビス(o−ニトロフェニル)メチル、9−アントリルメチル、2−(9,10−ジオキサ)アントリルメチル基などのアラルキル基(例えば、置換基を有していてもよいモノ乃至トリC6-10アリール−C1-4アルキル基など);フタルイミドアルキル基(例えば、N−フタルイミドメチル基など);アリールアルケニル基(例えば、シンナミル基など);アリールスルホニルアルキル基[例えば、2−(p−トルエンスルホニル)エチル基など];置換基を有していてもよいテトラヒドロフラニル基(例えば、テトラヒドロフラン−3−イル基、3−メチルテトラヒドロフラン−3−イル基など)、置換基を有していてもよいテトラヒドロピラニル基(例えば、テトラヒドロピラン−3−イル基、3−メチルテトラヒドロピラン−3−イル基など)などの置換基を有していてもよいオキサシクロアルキル基(例えば、5〜8員オキサシクロアルキル基など);置換基を有していてもよいγ−ブチロラクトン環基(例えば、テトラヒドロ−2−フラノン−4−イル、4−メチルテトラヒドロ−2−フラノン−4−イル基など)、置換基を有していてもよいδ−バレロラクトン環基(例えば、テトラヒドロ−2−ピロン−4−イル、4−メチルテトラヒドロ−2−ピロン−4−イル基など)などの置換基を有していてもよいラクトン環基;置換基(アルキル基、アリール基など)を有していてもよいカルバモイル基[カルバモイル基;N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル基などのN−C1-6アルキル−カルバモイル基(好ましくはN−C1-4アルキル−カルバモイル基);フェニルカルバモイル基などのC6-10アリールカルバモイル基など];ジメチルホスフィノチオイル基などのジC1-4アルキルホスフィノチオイル基;ジフェニルホスフィノチオイル基などのジC6-10アリールホスフィノチオイル基、トリメチルシリル基などのアルキルシリル基(例えば、C1-6アルキルシリル、特にトリC1-4アルキルシリル基)などが含まれる。
特に、保護基は、親水性基に疎水性を付与する疎水性保護基が好ましい。例えば、ヒドロキシル基の保護基としては、直鎖状又は分岐鎖状アシル基(特にt−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチルプロピオニル基などのC1-6アルキル−カルボニル基)、直鎖状又は分岐鎖状アルコキシカルボニル基(t−BOC基などのC1-6アルコキシカルボニル基)、5又は6員オキサシクロアルキル基(テトラヒドロピラニル基など)、置換基を有していてもよいビ又はトリシクロアルキル基(2−ノルボルニル、2−メチル−2−ノルボルニル基などの置換基を有していてもよいノルボルニル基、2−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル基などの置換基を有していてもよいアダマンチル基など)、直鎖状又は分岐鎖状アルコキシアルキル基(1−メトキシエチル、1−エトキシエチル、1−エトキシプロピル、1−メトキシ−イソプロピル基などのC1-6アルコキシ−C1-6アルキル基(特にC1-4アルコキシ−C1-4アルキル基)など)、直鎖状又は分岐鎖状C1-4アルキルシリル基などが好ましい。カルボキシル基の保護基としては、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(t−ブチル基などのC1-4アルキル基)、置換基を有していてもよいビス又はトリシクロアルキル基(橋架環式脂環族炭化水素基、例えば、2−ノルボルニル、2−メチル−2−ノルボルニル基などの置換基を有していてもよいノルボルニル基、2−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル基などの置換基を有していてもよいアダマンチル基など)、置換基を有していてもよい5又は6員オキサシクロアルキル基、置換基を有していてもよいラクトン環基、カルバモイル基又はN−置換カルバモイル基などが好ましい。これらの保護基のうち、アルキル基やアルコキシ基などについては、炭素数1〜2程度の短鎖アルキル基や分岐鎖構造が好ましい。
なお、フルオレン誘導体(I)は、少なくとも1つの保護された親水性基を有していればよく、−(J1)m1−X1−Pro1又は−(J2)m2−X2−Pro2の代わりに保護基を有さない親水性基(ヒドロキシル基、カルボキシル基)を有していてもよい。
n1又はn2は、0〜3、特に、1〜2であるのが好ましい。また、n1とn2との和(n1+n2)は、例えば、1〜8、好ましくは1〜6(特に1〜4)であってもよい。
1〜R4は、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表し、p1、p2、q1及びq2は0〜4の整数(好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2、特に0又は1)を表す。p1及びp2は、通常0〜2(特に0又は1)であり、q1及びq2は、通常0である。なお、置換基R1〜R4の種類は、置換基の数を示すp1、p2、q1及びq2の値によって異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル基、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル基などのC1-6アルキル基が例示できる。
アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル基などのC2-6アルケニル基が例示できる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ基などのC1-6アルコキシ基が例示できる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル基などのC4-8シクロアルキル基(好ましくはC5-6シクロアルキル基)が例示できる。
アリール基としては、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル基などのC1-4アルキルフェニル基、ナフチル基などが例示できる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示できる。
1及びR2としては、アルキル基(例えば、C1-4アルキル基、特にメチル基)、アルケニル基(例えば、アリル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、特にメチル基などのC1-3アルキル基が好ましい。さらに、例えば、n1が0の場合は、R1のうちの少なくとも1つがヒドロキシル基であってもよい。
ベンゼン環上の置換基−(J1)m1−X1−Pro1又は−(J2)m2−X2−Pro2と、置換基R1又はR2の置換位置は、特に制限されず、例えば、置換基−(J1)m1−X1−Pro1は、フェニル基において、2−位、3−位、4−位のいずれであってもよく、好ましくは4−位である。また、複数の−(J1)m1−X1−Pro1又は−(J2)m2−X2−Pro2を有する場合も同様であり、例えば、n1及び/又はn2が2である場合、フェニル基において、2つの基−(J1)m1−X1−Pro1(又は−(J2)m2−X2−Pro2)は、3,4−位、3,5−位などに置換していてもよく、1つの−(J1)m1−X1−Pro1又は−(J2)m2−X2−Pro2が、通常、4位に置換していてもよい。
1(又はR2)の置換位置は、フェニル基において、2−位、3−位、4−位のいずれであってもよく、複数の置換基R1(又はR2)の置換位置は、フェニル基において、2,3−位、2,4−位、2,6−位、3,4−位、3,5−位などが例示できる。
なお、前記式(I)において、好ましい係数の組合せとしては、例えば、m1およびm2が0又は1、n1およびn2が1〜3、p1およびp2が0〜2、q1およびq2が0である組合せが挙げられる。
また、X1およびX2に対応する親水性基が、ヒドロキシル基又は−O−(AO)r−H基(式中、AはC2-4アルキレン基、rは1以上の整数を示す)であるとき、好ましい置換基の組合せとしては、R1およびR2が、アルキル基(例えば、C1-4アルキル基、特にメチル基)、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子(特にC1-4アルキル基)であり、連結基J1及びJ2が、直接結合、アルケニレン基(特にビニレン基)又はアルキレン基であり、保護基Pro1およびPro2が直鎖状又は分岐鎖状アシル基、直鎖状又は分岐鎖状アルコキシカルボニル基、5又は6員オキサシクロアルキル基、置換基を有していてもよいビス又はトリシクロアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状アルコキシアルキル基、又は直鎖状又は分岐鎖状C1-4アルキルシリル基(これらのうち、特に、C1-6アルコキシカルボニル基や、C1-6アルコキシ−C1-6アルキル基)である組合せなどが挙げられる。
さらに、X1およびX2に対応する親水性基がカルボキシル基であるとき、好ましい置換基の組合せとしては、R1およびR2が、アルキル基(例えば、C1-4アルキル基、特にメチル基)、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、又はハロゲン原子(特にC1-4アルキル基)であり、連結基J1及びJ2が、直接結合、アルケニレン基又はアルキレン基であり、保護基Pro1およびPro2が、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、置換基を有していてもよいビス又はトリシクロアルキル基、置換基を有していてもよい5又は6員オキサシクロアルキル基、置換基を有していてもよいラクトン環基、カルバモイル基又はN−置換カルバモイル基(特にC1-4アルキル基)である組合せなどが挙げられる。
前記式(I)において、Pro1及びPro2はアセタール系保護基又はアルキルエステル系保護基であってもよく、例えば、−(J1)m1−X1−Pro1及び−(J2)m2−X2−Pro2(以下、−(J)m−X−Proと称することがある)が、−O−CH(Ra)−ORb又は−O−C(O)−ORc(式中、Ra〜Rcは、同一又は異なって、アルキル基を示す)であってもよい。さらに、−(J)m−X−Proは、−A1−C(O)−ORf(式中、A1はアルキレン基又はアルケニレン基を示し、Rfはアルキル基を示す)であってもよい。
基−(J)m−X−Proが、−O−CH(Ra)−ORbであるフルオレン誘導体は、式(I)において、m1及びm2が0であり、X1及びX2が酸素原子、Pro1及びPro2がアルコキシアルキル基である化合物であってもよい。保護基であるアルコキシアルキル基としては、好ましくはアセタール型C1-10アルコキシ−C1-6アルキル基、さらに好ましくはアセタール型C1-6アルコキシ−C1-4アルキル基(特にアセタール型C1-4アルコキシエチル基)である。このようなフルオレン誘導体は、例えば、下記式(Ia)で表すことができる。
Figure 0004484479
(式中、R1,R2,R5〜R8はアルキル基、n1及びn2は1〜3の整数、p1及びp2は0〜2の整数を表す)。
前記式(Ia)において、アルキル基R5及びR7としては、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル基などのC1-6アルキル基、好ましくはC1-4アルキル基などが挙げられ、通常、メチル基などのC1-3アルキル基である。アルキル基R6及びR8としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などのC1-10アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基などが挙げられ、通常、メチル基やエチル基などのC1-3アルキル基である。好ましいn1又はn2は、1又は2である。ベンゼン環の置換基R1及びR2としては、メチル基などのC1-3アルキル基が好ましく、置換位置については前記と同じである。置換基R1及びR2の個数は、好ましくは0又は1である。
化合物(Ia)としては、具体的には、9,9−ビス(アルコキシアルコキシフェニル)フルオレン類(n1=n2=1である化合物)、9,9−ビス{ジ(アルコキシアルコキシ)フェニル}フルオレン類(n1=n2=2である化合物)、9,9−ビス{トリ(アルコキシアルコキシ)フェニル}フルオレン類(n1=n2=3である化合物)などが含まれる。
9,9−ビス(アルコキシアルコキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{2−[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[(1−C1-10アルコキシ)C1-6アルコキシフェニル]フルオレン;9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−3−メチル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−2−メチル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{2−[(1−エトキシ)エトキシ]−5−メチル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−3−イソプロピル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−3−イソブチル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−3−t−ブチル−フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[(1−C1-10アルコキシ)C1-6アルコキシ−C1-6アルキルフェニル]フルオレン;9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−2,5−ジメチル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−3,5−ジメチル−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−2,6−ジメチル−フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[(1−C1-10アルコキシ)C1-6アルコキシ−ジC1-6アルキルフェニル]フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス{ジ(アルコキシアルコキシ)フェニル}フルオレン類としては、上記9,9−ビス(アルコキシアルコキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン誘導体、例えば、9,9−ビス{3,4−ジ[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{3,5−ジ[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{ジ[(1−C1-10アルコキシ)C1-6アルコキシ]フェニル}フルオレン;9,9−ビス{3,4−ジ[(1−エトキシ)エトキシ]−5−メチル−フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{ジ[(1−C1-10アルコキシ)C1-6アルコキシ]−C1-6アルキルフェニル}フルオレン;9,9−ビス{2,4−ジ[(1−エトキシ)エトキシ]−3,6−ジメチル−フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{ジ[(1−C1-10アルコキシ)C1-6アルコキシ]−ジC1-6アルキルフェニル}フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス{トリ(アルコキシアルコキシ)フェニル}フルオレン類としては、上記9,9−ビス(アルコキシアルコキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン誘導体、例えば、9,9−ビス{3,4,5−トリ[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{2,4,5−トリ[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{トリ[(1−C1-10アルコキシ)C1-6アルコキシ]フェニル}フルオレンなどが例示できる。
なお、これらの化合物のうち、親水性基の一部が保護されていない化合物(すなわち、保護されていないヒドロキシル基を有する化合物)も使用できる。
これらのフルオレン誘導体のうち、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[(1−C1-6アルコキシ)C1-4アルコキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]−3−メチル−フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[(1−C1-6アルコキシ)C1-4アルコキシ−C1-3アルキルフェニル]フルオレン、9,9−ビス{3,4−ジ[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{ジ[(1−C1-6アルコキシ)C1-4アルコキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{3,4−ジ[(1−エトキシ)エトキシ]−5−メチル−フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{ジ[(1−C1-6アルコキシ)C1-4アルコキシ]−C1-3アルキルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{3,4,5−トリ[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{トリ[(1−C1-10アルコキシ)C1-6アルコキシ]フェニル}フルオレンなどが好ましい。
基−(J)m−X−Proが、−O−C(O)−ORcであるフルオレン誘導体は、式(I)において、m1及びm2が0であり、X1及びX2が酸素原子、Pro1及びPro2がアルコキシカルボニル基である化合物であってもよい。保護基であるアルコキシカルボニル基としては、好ましくは直鎖又は分岐鎖状C1-6アルコキシ−カルボニル基、さらに好ましくは直鎖又は分岐鎖状C1-4アルコキシカルボニル基(特に分岐鎖状C1-4アルコキシカルボニル基)である。このようなフルオレン誘導体は、例えば、下記式(Ib)で表すことができる。
Figure 0004484479
(式中、R1,R2,R9及びR10はアルキル基、n1及びn2は1〜3の整数、p1及びp2は0〜2の整数を表す)。
前記式(Ib)において、アルキル基R9及びR10としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの直鎖又は分岐鎖状C1-10アルキル基、好ましくは直鎖又は分岐鎖状C1-6アルキル基などが挙げられ、通常、メチル基などの直鎖状C1-3アルキル基やt−ブチル基などの分岐鎖状C3-6アルキル基(特に分岐鎖状C3-6アルキル基)である。好ましいn1又はn2は、1又は2である。ベンゼン環の置換基R1及びR2は前記と同じである。置換基R1及びR2の個数は、好ましくは0又は1である。
化合物(Ib)としては、具体的には、9,9−ビス(アルコキシカルボニルオキシフェニル)フルオレン類(n1=n2=1である化合物)、9,9−ビス{ジ(アルコキシカルボニルオキシ)フェニル}フルオレン類(n1=n2=2である化合物)、9,9−ビス{トリ(アルコキシカルボニルオキシ)フェニル}フルオレン類(n1=n2=3である化合物)などが含まれる。
9,9−ビス(アルコキシカルボニルオキシフェニル)フルオレン類としては、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-10アルコキシカルボニルオキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−3−メチル−フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−2−メチル−フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−5−メチル−フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−3−イソプロピル−フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−3−イソブチル−フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−3−t−ブチル−フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-10アルコキシカルボニルオキシ−C1-6アルキルフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−2,5−ジメチル−フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−3,5−ジメチル−フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−2,6−ジメチル−フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-10アルコキシ−ジC1-6アルキルフェニル)フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス{ジ(アルコキシカルボニルオキシ)フェニル}フルオレン類としては、上記9,9−ビス(アルコキシカルボニルオキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン誘導体、例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,5−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-10アルコキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレン;9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)−5−メチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-10アルコキシカルボニルオキシ)−C1-6アルキルフェニル]フルオレン;9,9−ビス[2,4−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)−3,6−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-10アルコキシカルボニルオキシ)−ジC1-6アルキルフェニル]フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス{トリ(アルコキシカルボニルオキシ)フェニル}フルオレン類としては、上記9,9−ビス(アルコキシカルボニルオキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン誘導体、例えば、9,9−ビス[3,4,5−トリ(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2,4,5−トリ(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[トリ(C1-10アルコキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレンなどが例示できる。
なお、これらの化合物のうち、親水性基の一部が保護されていない化合物(すなわち、保護されていないヒドロキシル基を有する化合物)も使用できる。
これらのフルオレン誘導体のうち、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-6アルコキシカルボニルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−3−メチル−フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-6アルコキシカルボニルオキシ−C1-3アルキルフェニル)フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-6アルコキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)−5−メチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-6アルコキシカルボニルオキシ)−C1-3アルキルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[トリ(C1-10アルコキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレンなどが好ましい。
基−(J)m−X−Proが、−A1−C(O)−ORfであるフルレオン誘導体は、式(I)において、m1及びm2が1であり、J1及びJ2がアルケニレン基又はアルキレン基、X1及びX2がオキシカルボニル基、Pro1及びPro2がアルキル基である化合物であってもよい。カルボキシル基の保護基であるアルキル基としては、好ましくは直鎖又は分岐鎖状C1-6アルキル基、さらに好ましくは直鎖又は分岐鎖状C1-4アルキル基である。連結基であるアルケニレン基又はアルキレン基としては、好ましくはビニレン基などのC2-4アルケニレン基である。このようなフルオレン誘導体は、例えば、下記式(Ic)で表すことができる。
Figure 0004484479
(式中、A1及びA2はアルケニレン基、R1,R2,R11及びR12はアルキル基、n1及びn2は1〜3の整数、p1及びp2は0〜2の整数を表す)。
前記式(Ic)において、アルキル基R11及びR12としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1-10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1-6アルキル基などが挙げられ、通常、メチル基などの直鎖状C1-3アルキル基やt−ブチル基などの分岐鎖状C3-6アルキル基(特に分岐鎖状C3-6アルキル基)である。アルケニレン基A1及びA2としては、ビニレン、プロペニレン、メチルビニレン基などのC2-4アルケニレン基などが挙げられ、通常、ビニレン基である。すなわち、前記フルオレン誘導体(Ic)は、例えば、−(J)m−X−Proが、−C(Rd)=C(Re)−C(O)−ORf(式中、Rd及びReは水素原子又はアルキル基を示し、Rfはアルキル基を示す)であるフルオレン誘導体であってもよい。好ましいn1又はn2は、1又は2である。ベンゼン環の置換基R1及びR2は前記と同じである。置換基R1及びR2の個数は、好ましくは0又は1である。
化合物(Ic)としては、具体的には、9,9−ビス(アルコキシカルボニルビニルフェニル)フルオレン類(n1=n2=1である化合物)、9,9−ビス{ジ(アルコキシカルボニルビニル)フェニル}フルオレン類(n1=n2=2である化合物)、9,9−ビス{トリ(アルコキシカルボニルビニル)フェニル}フルオレン類(n1=n2=3である化合物)などが含まれる。
9,9−ビス(アルコキシカルボニルビニルフェニル)フルオレン類としては、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-10アルコキシカルボニルビニルフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−2−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−5−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−3−t−ブチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-10アルコキシカルボニルビニル−C1-6アルキルフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−2,6−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-10アルコキシカルボニルビニル−ジC1-6アルキルフェニル)フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス{ジ(アルコキシカルボニルビニル)フェニル}フルオレン類としては、上記9,9−ビス(アルコキシカルボニルビニルフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン誘導体、例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,5−ジ(t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-10アルコキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレン;9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルビニル)−5−メチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-10アルコキシカルボニルビニル)−C1-6アルキルフェニル]フルオレン;9,9−ビス[2,4−ジ(t−ブトキシカルボニルビニル)−3,6−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-10アルコキシカルボニルビニル)−ジC1-6アルキルフェニル]フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス{トリ(アルコキシカルボニルビニル)フェニル}フルオレン類としては、上記9,9−ビス(アルコキシカルボニルビニルフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン誘導体、例えば、9,9−ビス[3,4,5−トリ(t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2,4,5−トリ(t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[トリ(C1-10アルコキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンなどが例示できる。
なお、これらの化合物のうち、親水性基の一部が保護されていない化合物(すなわち、保護されていないヒドロキシル基を有する化合物)も使用できる。
これらのフルオレン誘導体のうち、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-6アルコキシカルボニルビニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(2−t−ブトキシカルボニルビニル)−3−メチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1-6アルコキシカルボニルビニル−C1-3アルキルフェニル)フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-6アルコキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルビニル)−5−メチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(C1-6アルコキシカルボニルビニル)−C1-3アルキルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(t−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[トリ(C1-10アルコキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンなどが好ましい。
フルオレン誘導体(I)は慣用の方法で製造できる。例えば、下記式(II)で表されるフルオレン類と、保護基Pro1又はPro2に対応する反応剤や、−(J)m−X−Proに対応する反応剤とを反応させることにより製造してもよい。
Figure 0004484479
[式中、Z1及びZ2はヒドロキシル基や−O−(AO)rH基(式中、AはエチレンやプロピレンなどのC2-4アルキレン基、rは1以上、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3程度の整数、特に1を示す)、又は脱離基(ハロゲン原子やトリフルオロアルキルスルホニル基などの脱離基)を表し、R1,R2,R3,R4,n1,n2,p1、p2、q1及びq2は前記に同じ]。
前記式(II)において、Z1及びZ2がヒドロキシル基や−O−(AO)rH基である場合は、フルオレン類(II)を保護基Pro1又はPro2に対応する反応剤で保護する方法によりフルオレン誘導体を得ることができる。例えば、反応剤又は保護剤[例えば、ジアルキルジカーボネート(ジt−ブチルジカーボネートなど)、2−t−ブトキシカルボニルオキシイミノ−2−フェニルアセトニトリル(Boc−ON)など]との反応、オレフィン類(イソブチレンなど)やアルキルビニルエーテル類(エチルビニルエーテルなど)との付加反応、カルボン酸(イソ酪酸など)とのエステル化反応などを利用して容易に保護できる。フルオレン類の保護の方法としては、例えば、「PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS,THIRD EDITION」,Green Wuts,WILEY-INTERSCIENCE,1999年発行などに記載の方法などが例示できる。
前記式(II)において、Z1及びZ2が脱離基である場合は、フルオレン類(II)と、−(J)m−X−Proに対応する反応剤との脱離反応により得ることができる。具体的には、前記脱離基を有するフルオレン類(II)(特に、臭素又はヨウ素原子などのハロゲン原子を有するフルオレン類)と、カルボン酸エステル(特に、アクリル酸C1-4アルキルエステル)とのカップリング反応(ヘック反応など)などにより容易に導入できる。さらに、カップリング反応において、カルボン酸エステルとして、不飽和化合物を用いた後、前記フルオレン類(II)に導入された不飽和結合は、水素添加してもよい。なお、Z1及びZ2が脱離基であるフルオレン類(II)は、例えば、前記Z1及びZ2がヒドロキシル基であるフルオレン類(ビスフェノールフルオレン類)から誘導するこができる。
前記フルオレン誘導体(I)は、フルオレン類に対して、チオニルクロライドによりアシルハライド基を生成させ、保護基に対応するアルコール(t−ブタノールなど)とエステル化する方法などで製造してもよい。
前記フルオレン類(II)(Z1及びZ2がヒドロキシル基である化合物)としては、例えば、(a)9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類、(b)9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、(c)9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類などが含まれる。
(a)9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシ−アルキルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシ−アルケニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシ−ハロフェニル)フルオレンなどが例示できる。
9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレンには、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ−アルキルフェニル)フルオレンには、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−C1-4アルキルフェニル)フルオレンなどが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ−ジアルキルフェニル)フルオレンには、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−ジC1-4アルキルフェニル)フルオレンなどが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ−アルケニルフェニル)フルオレンには、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−C2-4アルケニルフェニル)フルオレンなどが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ−ハロフェニル)フルオレンには、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレンなどが含まれる。
(b)9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記フルオレン類(a)に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン(BCAF))、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(ジヒドロキシ−アルキルフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジヒドロキシ−C1-4アルキルフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ジヒドロキシ−ジアルキルフェニル)フルオレン[9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジヒドロキシ−ジC1-4アルキルフェニル)フルオレンなど]などが含まれる。
(c)9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記フルオレン類(a)に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどが含まれる。
なお、上記フルオレン類(b)および(c)は新規な化合物であり、その製造方法は特に限定されないが、通常、以下に示す方法により製造できる。
(フルオレン類(b)および(c)の製造方法)
フルオレン類(b)および(c)は、酸触媒の存在下、下記式(1)で表されるフルオレノン類と、下記式(2)で表される多価フェノール類とを反応させることにより得ることができる。
Figure 0004484479
(式中、Rはアルキル基を示し、pは0〜2の整数、nは2又は3を示す。R3、R4、q1、およびq2は前記に同じ)
なお、前記式(2)において、Rは、前記R1又はR2に対応しており、nは前記n1又はn2に対応しており、pは前記p1又はp2に対応しており、好ましい態様などは前記例示のとおりである。前記式(1)で表される代表的なフルオレノン類は、9−フルオレノン(q1=q2=0)である。
前記式(2)で表される多価フェノール類(以下、単に多価フェノールという場合がある)としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン)、アルキル−ジヒドロキシベンゼン[ジヒドロキシトルエン(3,5−ジヒドロキシトルエン、3−メチルカテコール、4−メチルカテコールなど)、4−t−ブチルカテコール、2,6−ジヒドロキシ−p−キシレンなどのモノ又はジC1-6アルキル−ジヒドロキシベンゼンなど]などのジヒドロキシベンゼン類、これらに対応するトリヒドロキシベンゼン類[トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、フロログルシノール)など]などが挙げられる。多価フェノール類は、単独で又は2種以上組み合わせて、フルオレノン類と反応させてもよい。
多価フェノール類の使用量は、フルオレノン類1モルに対して、例えば、2〜20モル、好ましくは2.5〜10モル、さらに好ましくは3〜5モル程度であってもよい。
多価フェノール類とフルオレノン類との反応(縮合反応)は、特に限定されないが、通常、酸触媒の存在下で行うことができる。酸触媒としては、無機酸[硫酸、塩化水素、塩酸、リン酸など]、有機酸[スルホン酸(メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸など)など]などが挙げられる。前記硫酸には、希硫酸、濃硫酸、発煙硫酸などが含まれ、反応系において硫酸に転化可能であれば、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用してもよい。酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。好ましい酸触媒は、塩酸又は硫酸である。
酸触媒の使用量は、酸触媒の種類に応じて選択でき、例えば、フルオレノン類100重量部に対して、0.001〜150重量部、好ましくは0.005〜100重量部、さらに好ましくは0.01〜50重量部程度であってもよい。特に、硫酸(H2SO4換算)の使用量は、ごく少量であればよく、通常、フルオレノン1重量部に対して、0.001〜0.5重量部(例えば、0.005〜0.5重量部)、好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部(例えば、0.1〜0.3重量部)程度である。また、塩酸の使用量は、塩化水素換算で、フルオレノン100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜30重量部程度である。
縮合反応は、酸触媒に加えて、助触媒としてのチオール類を併用して行ってもよい。チオール類と組み合わせることにより、縮合反応を有効に進行でき、収率を向上できる場合が多い。チオール類としては、助触媒として機能する慣用のチオール類、例えば、メルカプトカルボン酸(チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸など)、アルキルメルカプタン(メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタンなどのC1-16アルキルメルカプタン(特にC1-4アルキルメルカプタン)など)、アラルキルメルカプタン(ベンジルメルカプタンなど)又はこれらの塩などが挙げられる。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)が例示できる。これらのチオール類のうち、メルカプトC2-6カルボン酸(例えば、β−メルカプトプロピオン酸)が好ましい。チオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
チオール類の使用量は、フルオレノン1重量部に対して、0〜0.2重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.001〜0.1重量部、好ましくは0.003〜0.03重量部、さらに好ましくは0.005〜0.015重量部程度である。
また、チオール類の使用量は、酸触媒1重量部に対して、0〜10重量部程度の範囲から選択でき、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.01〜2重量部程度であってもよい。特に、硫酸1重量部に対して、チオール類0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部程度であってもよい。また、塩酸(塩化水素換算)1重量部に対して、チオール類0.1〜3重量部、好ましくは0.3〜1重量部、さらに好ましくは0.5〜1.5重量部程度であってもよい。
縮合反応は、溶媒の非存在下で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。代表的な溶媒(有機溶媒)としては、エーテル系溶媒(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類)、芳香族系溶媒(トルエンなどの芳香族炭化水素類、アニソールなど)などが挙げられる。また、過剰の多価フェノール類を溶媒として使用してもよい。これらの溶媒のうち、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど)が好ましい。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
溶媒の使用量は、フルオレノン類1重量部に対して、0〜20重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜10重量部、好ましくは1〜8重量部、さらに好ましくは2〜5重量部程度であってもよい。
縮合反応は、使用する多価フェノール類、酸触媒、チオール類などの種類に応じて異なるが、通常、10〜150℃、好ましくは20〜120℃、さらに好ましくは30〜100℃程度で行う場合が多い。また、反応時間は、原料の種類、反応温度や溶媒中の濃度などに応じて調整でき、例えば、30分〜48時間、通常、1〜24時間、好ましくは1〜10時間程度である。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。
反応終了後の反応混合物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。例えば、慣用の方法により酸触媒(およびチオール類)を除去したのち、晶析溶媒を添加して冷却して結晶下させ、次いで、濾過して分離することにより精製してもよい。
なお、フルオレン類(b)および(c)の製造方法については、ビス(ヒドロキシルフェニル)フルオレン類の製造方法に関する以下の文献を参照してもよい。例えば、(a)文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報(塩化水素ガス及びメルカプトカルボン酸の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法)、(b)特開2000−26349号公報[酸触媒(及びアルキルメルカプタン)の存在下、9−フルオレノンとアルキルフェノール類とを反応させる方法]、(c)特開2002−47227号公報(塩酸及びチオール類の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法)、(d)特開2003−221352号公報(硫酸及びチオール類の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させ、炭化水素類と極性溶媒とで構成された晶析溶媒で晶析させる方法)など。
すなわち、これらの文献の方法において、フェノール類に代えて、前記多価フェノール類(前記式(2)で表される化合物)を使用し、合成方法(精製方法や成分の添加割合など)を参照して、多価アルコール類[9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類]を製造してもよい。これらの方法のうち、特に、塩酸又は硫酸を使用する方法(前記方法(c)、(d)など)を応用すると、より高収率でかつ高純度の生成物が得られる場合が多い。
前記フルオレン類(II)としては、前記フルオレン類[フルオレン類(a)〜(c)]に対応する化合物であって、前記フルオレン類のヒドロキシル基が、−O−(AO)rH基や脱離基である化合物も例示できる。
このような化合物は、慣用の反応を利用して、例えば、フルオレン類(a)〜(c)に、付加数rに応じて、C2-4アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)やC2-4アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなど)を反応させることにより容易に得ることができる。アルキレンオキシド又はアルキレンカーボネートとの反応は、触媒の非存在下で行ってもよいが、触媒の存在下で行ってもよく、通常、塩基触媒[金属水酸化物、金属炭酸塩、第3級アミン類(トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、1−メチルイミダゾールなどの複素環式第3級アミン)などのアミン類など]の存在下で行うことができる。また、反応は、溶媒中で行ってもよく、加温下で行ってもよい。特に、アルキレンカーボネートを使用する場合、脱炭酸反応を効率よく行うため、例えば、70〜150℃、好ましくは80〜120℃程度で反応させる場合が多い。なお、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。また、必要に応じて発生するガス(二酸化炭素など)を除去しながら反応を行ってもよい。さらに、慣用の精製方法(抽出、晶析など)を利用して反応終了後の反応混合物を精製することにより、多価アルコールのアルキレンオキシド付加体を得てもよい。
これらのフルオレン類(II)の中でも、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−C1-4アルキルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジヒドロキシ−C1-4アルキルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンが好ましい。
具体的に、前記フルオレン誘導体(Ia)は、例えば、Z1及びZ2がヒドロキシル基や−O−(AO)rH基であるフルオレン類(II)と、アルキルエーテル類(例えば、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類や、ハロゲン化アルキルエーテル類など)とを反応させ、アセタールを生成させることにより製造できる。アルキルエーテル類の割合は、n1およびn2の数に応じて、フルオレン類(II)1モルに対して、1モル以上、好ましくは2モル以上(例えば、2〜50モル)、さらに好ましくは3〜30モル程度であり、通常5〜20モル程度である。
反応は触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、酸性触媒が好ましく、具体的には無機酸(塩化水素、塩酸、塩酸/エーテル溶液、硫酸、五酸化リンなど)、有機酸(p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸など)が挙げられる。触媒の割合は、フルオレン類(II)1モルに対して、0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.1モル程度である。
反応には溶媒を使用してもよい。溶媒には酸性触媒と反応せず、フルオレン類(II)が溶解するものであれば幅広く使用でき、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどの脂肪族エステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソールなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトンなどの脂肪族ケトン系溶媒などが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン及びハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましい。
反応はフルオレン類(II)、アルキルエーテル化合物、触媒及び溶媒を反応器内に入れ、攪拌することにより行うことができる。反応温度は使用する原料によって異なるが、通常、20℃から溶媒の沸点の範囲内で行うことができ、例えば、30〜80℃程度である。また、反応時間は原料の種類、反応温度によって異なるが、通常1〜48時間程度である。
反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を加えて中和した後、必要に応じて芳香族炭化水素(トルエンなど)などの有機溶媒を加えて抽出することにより、フルオレン誘導体(Ia)を単離することができる。また、再結晶及びカラムクロマトグラフィーにより精製することが可能である。
前記フルオレン誘導体(Ib)は、例えば、前記フルオレン類(II)とジアルキルジカーボネート(例えば、ジ−t−ブチルジカーボネートなどのジC1-10アルキルジカーボネート)とを反応させることにより製造できる。ジアルキルジカーボネートの割合は、n1およびn2の数にもよるが、フルオレン類(II)1モルに対して、1モル以上、好ましくは1.5モル以上(例えば、1.5〜30モル)、さらに好ましくは2〜20モル程度であり、通常2〜10モル程度である。
反応は触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、塩基性触媒が好ましく、具体的には、有機塩基(脂肪族、脂環族、芳香族又は複素環式アミン類など)、例えば、トリメチルアミンやトリエチルアミンなどの脂肪族アミン類、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環族アミン類、アニリンやジエチルアニリンなどの芳香族アミン類、4−ジメチルアミノピリジンなどの複素環式アミン類などが挙げられる。触媒の割合は、フルオレン類(II)1モルに対して、0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.1モル程度である。
反応には溶媒を使用してもよい。溶媒には反応に不活性であり、フルオレン類(II)が溶解するものであれば幅広く使用でき、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどの脂肪族エステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソールなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン系溶媒などが挙げられる。
反応はフルオレン類(II)、ジアルキルジカーボネート、触媒及び溶媒を反応器内に入れ、攪拌することにより行うことができる。反応温度は使用する原料によって異なるが、通常、20℃から溶媒の沸点の範囲内で行うことができ、例えば、30〜80℃程度である。また、反応時間は原料の種類、反応温度によって異なるが、通常1〜48時間程度である。
反応終了後、水酸化カリウムなどのアルカリを加えてアルカリ性にして目的化合物を析出させることにより、フルオレン誘導体(Ib)を単離することができる。また、芳香族炭化水素(トルエンなど)などの有機溶媒を用いた再結晶により精製することが可能である。
前記フルオレン誘導体(Ic)は、例えば、前記フルオレン類(II)をトリハロアルカンスルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸など)と反応させた後、(メタ)アクリル酸アルキル(例えば、アクリル酸t−ブチルなどのアクリル酸C1-10アルキルエステル)と反応させることにより製造できる。
フルオレン類(II)とトリハロアルカンスルホン酸との反応には溶媒を使用してもよい。溶媒には、フルオレン類(II)が溶解するものであれば幅広く使用でき、具体的には、ピリジン、トリエチルアミン、アニリンなどの塩基性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどの脂肪族エステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソールなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン系溶媒などが挙げられる。
反応はフルオレン類(II)、トリハロアルカンスルホン酸、塩基性溶媒を反応器内に入れて行うことができる。反応温度は使用する原料によって異なるが、−30〜30℃程度の範囲内で行うことができ、通常、−20〜20℃程度(例えば、氷温)である。また、反応時間は原料の種類、反応温度によって異なるが、通常1〜48時間程度である。
反応終了後、塩酸や硫酸などの酸性溶液を加えて酸性にして析出させることにより、フルオレン誘導体(Ic)を単離することができる。また、例えば、脂肪族炭化水素系溶媒(ヘキサンなど)と脂肪族エステル系溶媒(酢酸エチルなど)との混合溶媒を用いた再結晶により精製することが可能である。
得られた反応物と(メタ)アクリル酸アルキルとの反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、例えば、トリフェニルホスフィンやトリトリルホスフィンなどの芳香族リン系触媒と、酢酸パラジウムなどの8族金属化合物とを組み合わせてもよい。触媒の割合は、フルオレン類(II)1モルに対して、0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.1モル程度である。
反応には溶媒を使用してもよい。溶媒には酸性触媒と反応せず、フルオレン類(II)が溶解するものであれば幅広く使用でき、具体的には、ピリジン、トリエチルアミン、アニリンなどの塩基性溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどの脂肪族又は芳香族ニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどの脂肪族エステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソールなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトンなどの脂肪族ケトン系溶媒などが挙げられる。これらのうち、トリエチルアミンなどの塩基性溶媒とアセトニトリルなどのニトリル系溶媒との混合溶媒が好ましい。溶媒の割合は、フルオレン類(II)が溶解すればよいが、通常、フルオレン類(II)1重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜10重量部程度である。
反応はフルオレン類(II)、前記反応物、触媒及び溶媒を反応器内に入れ、攪拌することにより行う。反応温度は使用する原料によって異なるが、50〜200℃から使用する溶媒の沸点の範囲内で行うことができ、通常、60〜150℃、好ましくは80〜130℃程度である。また、反応時間は原料の種類、反応温度によって異なるが、通常1〜48時間程度である。
反応終了後、塩酸や硫酸などの酸性水溶液を加えて目的化合物を析出させることにより、フルオレン誘導体(Ic)を単離することができる。また、芳香族炭化水素(トルエンなど)などの有機溶媒を用いた再結晶及びカラムクロマトグラフィーにより精製することが可能である。
[光活性化合物]
前記フルオレン誘導体(I)は、光活性化合物(感光性化合物)として有用であり、感光剤と組み合わせて用いられる。特にレジスト用途において、フルオレン誘導体(I)を用いると、レジストのベース樹脂との親和性や現像剤に対する溶解性を制御しやすい。そのため、保護基Proは、光照射により、感光剤と関連して脱離可能である。
このような光活性化合物の用途は特に制限されないが、特にレジスト用途に好適である。すなわち、前記光活性化合物は、疎水性である(又はアルカリとの相互作用により疎水化可能である)ものの、感光剤(光酸発生剤など)と組み合わせて用いることにより、保護基が光照射に起因して(特に、光照射により感光剤と関連して)脱離(脱保護)し、親水性基を生成し、親水化可能である。従って、レジスト(特にポジ型レジスト)などに適用すると、露光部では、親水性ドメインを形成し、レジスト膜の溶解が促進され、未露光部では、保護基の作用によりベース樹脂との親和性を高めて溶解を抑止でき、露光部と未露光部とで溶解速度の差を大きくすることができる。特に、前記保護基として、疎水性基を用いることにより、未露光部での溶解性を大幅に抑制できるとともに、現像に伴うレジストの膨潤を抑制することもでき、解像度を改善することも可能である。前記保護基の脱離は、感光剤と関連して、特に、酸の触媒作用により生じる場合が多い。このような酸としては、光照射に伴って発生する酸(特に感光性樹脂組成物を構成する光酸発生剤から生成する酸)を利用するのが有利である。
光活性化合物と組み合わせる感光剤としては、ポジ型レジストに用いられる慣用の感光剤又は光増感剤、例えば、ジアゾニウム塩(ジアゾニウム塩、テトラゾニウム塩、ポリアゾニウム塩など)、キノンジアジド類(ジアゾベンゾキノン誘導体、ジアゾナフトキノン誘導体など)、光酸発生剤、溶解抑制剤などが選択できる。
前記光酸発生剤としては、次のような化合物が例示できる。なお、参考までに、括弧内にはミドリ化学(株)製の商品名を記載する。スルホニウム塩誘導体[スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリ(メチルスルホニルオキシ)ベンゼンなどのアリールアルカンスルホネート(特にC6-10アリールC1-2アルカンスルホネート);2,6−ジニトロベンジルトルエンスルホネート、ベンゾイントシレートなどのアリールベンゼンスルホネート(特にベンゾイル基を有していてもよいC6-10アリールトルエンスルホネート);2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルトルエンスルホネートなどのアラルキルベンゼンスルホネート類(特にベンゾイル基を有していてもよいC6-10アリール−C1-4アルキルトルエンスルホネート);ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類;ルイス酸塩(トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート(TPS−102)、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(TPS−103)、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(DTS−103)、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(MDS−103)、トリフェニルスルホニウム メタンスルホニル、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホニル(TPS−105)、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホニル(TPS−109)などのトリアリールスルホニウム塩(特にトリフェニルスルホニウム塩)など)など]、ホスホニウム塩誘導体、ジアリールハロニウム塩誘導体[ジアリールヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート(BBI−102)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート(BBI−103)、4,4′−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート(BBI−101)、4,4′−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(BBI−105)、4,4′−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム カンファスルホネート(BBI−106)、ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(DPI−105)、4−メトキシフェニル フェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(DPI−105)など)などのルイス酸塩など]、ジアゾニウム塩誘導体(p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのルイス酸塩など)、ジアゾメタン誘導体、トリアジン誘導体[1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ベンゼン(TAZ−104)、1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ナフタレン(TAZ−106)などのハロアルキルトリアジニルアリール、1−メトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−110)、1,2−ジメトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−113)、1−メトキシ−2−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−118)などのハロアルキルトリアジニルアルケニルアリールなど]、イミジルスルホネート誘導体[スクシンイミジル カンファスルホネート(SI−106)、スクシンイミジル フェニルスルホネート(SI−100)、スクシンイミジル トルイルスルホネート(SI−101)、スクシンイミジル トリフルオロメチルスルホネート(SI−105)、フタルイミジル トリフルオロスルホネート(PI−105)、ナフタルイミジル カンファスルホネート(NAI−106)、ナフタルイミジル メタンスルホネート(NAI−100)、ナフタルイミジル トリフルオロメタンスルホネート(NAI−105)、ナフタルイミジル トルイルスルホネート(NAI−101)、ノルボルネンイミジル トリフルオロメタンスルホネート(NDI−105)など]などが例示できる。また、スルホン誘導体[例えば、商品名「DAM−101」「DAM−102」「DAM−105」「DAM−201」などの−SO2−C(=N)−単位を有する化合物;「DSM−301」などの−CH2−SO2−単位を有する化合物;「PAI−101」などの=N−O−SO2−単位を有する化合物など]も含まれる。特に、ルイス酸塩(ホスホニウム塩などのルイス酸塩)が好ましい。
特に、前記光酸発生剤と、この酸発生剤から光照射により発生した酸により、脱保護され、親水性基を生成する前記光活性化合物と、ベース樹脂(特に、前記酸により保護基が脱離してアルカリ可溶性となるベース樹脂)とを組み合わせた感光性樹脂組成物は、化学増幅系レジストとして有用である。
[感光性樹脂組成物]
本発明では、光活性化合物である前記フルオレン誘導体(I)と、前記感光剤と、ベース樹脂(オリゴマー又はポリマー)とで感光性樹脂組成物(又はレジスト組成物)を構成できる。感光性樹脂組成物は、有機溶媒(アルコール類など)により現像可能であってもよいが、通常、水又はアルカリ現像可能であるのが好ましい。
(ベース樹脂)
ベース樹脂としては、例えば、ヒドロキシル基含有ポリマー[ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ヒドロキシル基含有セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリビニルフェノール系樹脂、ノボラック樹脂(フェノールノボラック樹脂)など]、カルボキシル基含有ポリマー[重合性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸など)を含む単独又は共重合体、カルボキシル基含有セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース又はその塩など)など]、エステル基含有ポリマー[カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニルなど)、(メタ)アクリル酸エステル(メタクリル酸メチルなど)などの単量体の単独または共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂など)、ポリエステル、セルロースエステル類など]、エーテル基を有するポリマー[ポリアルキレンオキシド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル系樹脂、ケイ素樹脂、セルロースエーテル類など]、カーボネート基含有ポリマー、アミド基又は置換アミド基を有するポリマー[ポリビニルピロリドン、ポリウレタン系重合体、ポリ尿素、ナイロン又はポリアミド系重合体(ラクタム成分、ジカルボン酸成分やジアミン成分を用いたポリアミドなど);ポリ(メタ)アクリルアミド系重合体;ポリアミノ酸;ビュレット結合を有するポリマー;アロハネート結合を有するポリマー;ゼラチンなどの蛋白類など]、ニトリル基を有するポリマー(アクリロニトリル系重合体など)、グリシジル基を有するポリマー(エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、ハロゲン含有ポリマー(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系ポリマー、塩素化ポリプロピレンなど)、非芳香族性環基を有するポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのC5-8シクロアルキル基を有するポリマー;(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルなどの架橋環式C7-20炭化水素環基を有するポリマーなど)、重合性オリゴマー又はポリマー((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、シンナモイル基などの重合性基を有するオリゴマー又はポリマーなど)などが例示できる。これらのベース樹脂は単独で又は2種以上組合わせて使用してもよい。ベース樹脂としては、ネガ型感光性樹脂組成物を構成するベース樹脂でもよいが、ポジ型感光性樹脂組成物(ポジ型レジスト)を構成するためのベース樹脂が好ましい。
ポジ型レジストを構成する代表的なベース樹脂には、ノボラック樹脂(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂など)、親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)が脱離可能な保護基で保護された樹脂などが含まれる。ベース樹脂は単独で又は2種以上組合わせて使用してもよい。
ノボラック樹脂としては、通常、アルカリ可溶性ノボラック樹脂が使用され、半導体製造用レジストとして利用する場合、レジスト分野で使用されている慣用のノボラック樹脂が使用できる。ノボラック樹脂は、分子内に少なくとも1つのフェノール性ヒドロキシル基を有するフェノール類とアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合することにより得ることができる。フェノール類としては、例えば、フェノール、o−,m−又はp−クレゾール、2,5−、3,5−または3,4−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノールのC1-4アルキルフェノール類、ジヒドロキシベンゼン、ナフトール類などが挙げられる。アルデヒド類には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが含まれる。
フェノール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、アルデヒド類も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。酸触媒としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸など)、有機酸(シュウ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸など)、有機酸塩(酢酸亜鉛などの二価金属塩など)などが挙げられる。縮合反応は常法、例えば、温度60〜120℃程度で2〜30時間程度行なうことができる。反応はバルクで行ってもよく、適当な溶媒中で行ってもよい。
ベース樹脂は、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成するのが好ましい。このようなベース樹脂は、親水性基(特に、ヒドロキシル基及びカルボキシル基から選択された親水性基)であって、酸の作用により脱離可能な保護基で保護可能な親水性基を有する単量体の単独又は共重合体で構成できる。前記親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)が脱離可能な保護基で保護された樹脂(又は保護基で保護可能な樹脂)としては、例えば、フェノール性ヒドロキシル基が脱離可能な保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂(ビニルフェノールの単独重合体、又は共重合性単量体との共重合体など)、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂[例えば、(メタ)アクリレートの単独又は共重合体、又は(メタ)アクリレートと共重合性単量体との共重合体など]、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有ノルボルネン系樹脂(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有ノルボルネン誘導体と共重合性単量体との共重合体など)などが例示できる。前記ベース樹脂として露光波長に対して透明性の高い樹脂((メタ)アクリル系樹脂やノルボルネン系樹脂などの非芳香族性樹脂)を使用すると、短波長の露光光線に対しても感度を高めることができる。また、非芳香族性の感光性樹脂組成物を用いると、より短波長の露光源を利用できるとともに、より微細なパターンを形成可能である。
なお、親水性基が脱離可能な保護基で保護された樹脂は、親水性基が予め保護基(前記フルオレン誘導体の項で例示の保護基など)で保護された単量体を重合することにより得てもよく、親水性基を有する単量体を重合し、得られた樹脂の親水性基を前記保護基で保護することにより得てもよい。
前記親水性基を有する単量体のうち、ヒドロキシル基を有する単量体としては、ビニルフェノール系単量体(ビニルフェノールなど);アリルアルコール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-6(メタ)アクリレートなど);ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC3-8シクロアルキル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシオキサシクロアルキル(メタ)アクリレートなどの単環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシデカリニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノルボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレートなどの架橋環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート(ヒドロキシビ乃至テトラC3-8シクロアルキル(メタ)アクリレートなど);ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシアルキル−ノルボルネン(ヒドロキシメチル−ノルボルネン、ヒドロキシエチル−ノルボルネンなどのヒドロキシC1-4アルキル−ノルボルネンなど)などのヒドロキシル基を有するノルボルネン誘導体などが挙げられる。カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸などの不飽和カルボン酸;カルボキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのカルボキシC5-8シクロアルキル(メタ)アクリレート;カルボキシル基含有架橋環式脂環族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(例えば、カルボキシデカリニル(メタ)アクリレート、カルボキシノルボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル−ノルボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシアダマンチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシビ乃至テトラC3-8シクロアルキル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。これらの親水性基を有する単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
共重合性単量体としては、慣用の共重合性単量体、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(C1-10アルキル(メタ)アクリレート);シクロへキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート(シクロC3-8アルキル(メタ)アクリレート);オキサシクロアルキル(メタ)アクリレートなどの単環式複素環基を有する(メタ)アクリレート;デカリニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの架橋環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート(ビ乃至テトラシクロC3-8アルキル(メタ)アクリレート);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルなど];イミド系単量体[例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミドなどのN−C1-4アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのN−C6-10アリールマレイミドなど];不飽和カルボン酸[例えば、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸など]、スチレン、α-メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系単量体(スチレン系単量体);ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエスエル系単量体などが挙げられる。
これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。共重合性単量体との共重合体において、前記親水性基を有する単量体の割合は、単量体の総量に対して、10〜100重量%、好ましくは25〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%程度である。
前記脱保護により親水性基を生成する樹脂において、親水性基の保護基としては、前記フルオレン誘導体の項で例示の保護基、例えば、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、オキサシクロアルキル基、架橋環式脂環族基、アルキルシリル基などのヒドロキシル基に対する保護基;アルキル基などのカルボキシル基に対する保護基などが挙げられる。
代表的な樹脂としては、例えば、ヒドロキシル基が、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基(t−BOC基など)などの保護基で保護されたポリ脂環族アルコール系樹脂(ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有脂環族(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、ヒドロキシル基が、シクロアルキル基(オキサシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基などのビ又はトリシクロアルキル基なども含む)などの脂環族基で保護された(メタ)アクリル系樹脂(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、カルボキシル基が、アルキル基(t−ブチル基など)などの保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸の単独又は共重合体など)などが挙げられる。
ベース樹脂の重量平均分子量は、6,000〜50,000、好ましくは7,000〜30,000、さらに好ましくは7,000〜20,000程度である。
好ましいポジ型レジストには、脱保護(特に酸発生剤から生成した酸の触媒作用による脱保護)により親水性基を生成する樹脂と感光剤(光酸発生剤)との組み合わせなどが含まれる。
(各成分の割合)
前記フルオレン誘導体(I)と感光剤との割合(重量比)は、前者/後者=0.01/1〜100/1程度の広い範囲から選択でき、通常、0.1/1〜75/1、好ましくは1/1〜50/1程度であってもよい。
前記ポジ型感光性樹脂組成物(ポジ型レジスト)において、感光剤の使用量は、例えば、ベース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部(特に、1〜10重量部)程度の範囲から選択できる。
また、前記感光性樹脂組成物において、前記フルオレン誘導体(I)の割合は、レジストの固形分全体に対して、50重量%以下(例えば、1〜50重量%程度)、好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度である。また、前記フルオレン誘導体(I)の割合は、固形分換算で、ベース樹脂100重量部に対して、1〜1000重量部(例えば、5〜1000重量部)、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは10〜300重量部、特に10〜100重量部程度である。
感光性樹脂組成物は、必要により、酸化防止剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、溶解促進剤、染料や顔料などの着色剤などの種々の添加剤を添加してもよい。さらに、感光性樹脂組成物は、塗布性などの作業性を改善するため、溶媒[炭化水素類,ハロゲン化炭化水素類,アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ケトン類(アセトン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、乳酸エチルなど)、エーテル類,セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど),カルビトール類,グリコールエーテルエステル類(セロソルブアセテート,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAなど)などの(ポリ)オキシアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートなど)など]を含んでいてもよい。
感光性樹脂組成物は、慣用の方法、例えば、感光性樹脂[ベース樹脂(ポリマー又はオリゴマー)及び感光剤で構成された感光性樹脂組成物]と、光活性化合物とを混合することにより調製できる。感光性樹脂組成物は、通常、溶媒[例えば、乳酸エチルなどの乳酸エステル;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEAなど)などの(ポリ)オキシアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートなど)など]を含有している。溶媒の使用量は、特に制限されず、例えば、感光性樹脂1重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度である。
[感光層]
前記感光性樹脂組成物を基体(基板)に適用(塗布又は被覆)することにより感光層を形成できる。基体(基板)としては、パターンの特性や用途に応じて、金属(アルミニウム),ガラス,セラミックス(アルミナ,銅ドープアルミナ,タングステンシリケートなど),プラスチックなどから適当に選択でき、シリコンウェハーなどの半導体基板であってもよい。
基板は、用途に応じて、感光層との密着性を向上させるため、予め、表面処理してもよい。表面処理には、例えば、前記シランカップリング剤(重合性基を有する加水分解重合性シランカップリング剤など)などによる表面処理、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール,アクリル系樹脂,酢酸ビニル系樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂など)、又はこれらの下地剤と無機微粒子との混合物によるコーティング処理などが含まれる。
なお、感光性樹脂組成物を基板に塗布した後、乾燥により溶媒を蒸発させてもよい。溶媒の除去は、例えば、ホットプレートなどの加熱手段を利用して、ソフトベーク(プリベーク)などにより行ってもよい。
本発明の感光性樹脂組成物による感光層は、レジスト層の少なくとも表面に形成してもよい。感光層の構造は、パターン形成プロセスや回路構造などに応じて選択でき、単層構造や多層構造(又は積層、複合構造)であってもよい。
感光層の厚みは、特に制限されず、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、好ましくは0.08〜2μm程度の範囲から選択でき、通常、0.05〜1μm(例えば、0.1〜0.7μm)程度である。
前記感光層は、慣用のコーティング方法、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法などにより行うことができ、必要により、乾燥して溶媒を除去して感光層を形成できる。
[パターン形成方法]
パターン(特に微細なパターン)は、露光,現像やエッチングなどを組み合わせた慣用のリソグラフィー技術を利用して行うことができる。
例えば、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布して感光層を形成し、露光し、現像することによりパターンを形成できる。特に、化学増幅系の感光性樹脂を用いる場合、露光により発生した酸を効率よく拡散させるため、露光後、加熱処理(露光後ベーク(ポストエクスポージャーベーク,PEB))するのが好ましい。また、現像によりパターンニングした後、プラズマ処理(酸素プラズマなど)によりエッチング処理をしてもよい。
感光層に対する露光は、慣用の方法、例えば、所定のマスクを介して光線をパターン照射又は露光することにより行うことができる。光線としては、感光性樹脂組成物の感光特性、パターンの微細度、ベース樹脂の種類などに応じて種々の光線(活性光線)、例えば、ハロゲンランプ,高圧水銀灯,UVランプなどの光線;g線(436nm)、i線(365nm)、エキシマーレーザー[例えば、XeCl(308nm),KrF(248nm),KrCl(222nm),ArF(193nm),ArCl(172nm),F2(157nm)など]、電子線、EB線、EUV線(13nm)、X線などの放射線などが利用でき、単一波長であっても、複合波長であってもよい。特に、KrF(248nm),ArF(193nm),F2(157nm)などのエキシマーレーザー、X線、EB線、EUV線(13nm)などの10〜300nm程度の波長の光線が有利に利用できる。
また、非芳香族系のベース樹脂で構成されたレジストを用いることにより、短波長の光線に対する透明性を向上でき、感度を向上させることができる。例えば、KrFエキシマーレーザー(248nm)を露光源として利用する場合には、化学増幅系の感光性樹脂組成物、例えば、脱保護により親水性基を生成する樹脂[ヒドロキシル基が保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂や、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂など]と感光剤(酸発生剤)とで構成されたポジ型感光性樹脂組成物などが利用できる。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂としては、例えば、カルボキシル基が保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂;保護基で保護されたカルボキシル基やヒドロキシル基を有する脂環族樹脂[例えば、脂環族単量体(カルボキシノルボルネン、ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシエチルノルボルネンなどのノルボルネン誘導体など)と無水マレイン酸などの共重合性単量体との共重合体において、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護されている樹脂など]などが例示できる。
また、ArFエキシマーレーザー(193nm)を露光源として利用する場合には、例えば、前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂などが利用できる。
なお、露光エネルギーは感光性樹脂組成物の感光特性(溶解性など)などに応じて選択でき、露光時間は、通常、0.005秒〜10分、好ましくは0.01秒〜1分程度の範囲から選択できる。
加熱(プリベーク及びPEB)の温度は、50〜150℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜150℃程度であり、加熱の時間は、30秒〜5分、好ましくは1〜2分程度である。
パターン露光の後、慣用の方法で現像することにより解像度の高いパターンを形成できる。現像には、感光性樹脂組成物の種類に応じて種々の現像液(水,アルカリ水溶液など)が使用できる。好ましい現像液は水又はアルカリ現像液であり、必要であれば、少量の有機溶媒(例えば、メタノール,エタノール,イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類などの親水性又は水溶性溶媒)や界面活性剤などを含んでいてもよい。現像法も特に制限されず、例えば、パドル(メニスカス)法,ディップ法,スプレー法などが採用できる。
なお、前記プリベーク及びPEBのみに限らず、感光性樹脂組成物の塗布から現像に至る工程のうち適当な工程で、塗膜(感光層)を適当な温度で加熱又は硬化処理してもよい。例えば、現像後などにおいて、必要により加熱処理してもよい。
本発明のフルオレン誘導体(I)は、光照射に起因した脱保護により親水化可能であるため、感光剤(感光剤及びベース樹脂)と組み合わせて用いると、レジスト(前記感光性樹脂組成物で形成されたレジストなど)用途において、感光層を形成しても、露光部と未露光部とで溶解度差を生じさせることができる。特に、未露光部では、感光層が保護(特に疎水化)されて表面が疎水化された状態になるとともに、露光部において、親水化された部分が親水性ドメインを形成するため、露光部では溶解が促進される。そのため、未露光部と露光部とにおける溶解速度の差を大きくすることができる。
そのため、本発明の光活性化合物は、レジスト組成物などに適用するのに有用であり、前記光活性化合物で構成された感光性樹脂組成物は、種々の用途、例えば、回路形成材料(半導体製造用レジスト、プリント配線板など)、画像形成材料(印刷版材,レリーフ像など)などに利用できる。特に、高い感度と解像度を得ることも可能であるので、半導体製造用レジストに有利に利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
テトラヒドロフラン50ml中に、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン27.7g(0.079モル)、エチルビニルエーテル40g(0.56モル)、塩酸−エーテル溶液(1モル/リットル)5mlを加えて40℃に加熱し、約5時間攪拌した。反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、水洗し溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン)にて精製することにより9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン35.7g(収率86%)を得た。
Figure 0004484479
1H−NMR(CDCl3)ppm:1.19(t,6H,末端CH3),1.47(d,6H,分岐CH3),3.42〜3.59(m,2H,OCH2),3.70〜3.84(m,2H,OCH2),5.30(q,2H,分岐OCH),6.82(d,4H,C64),7.09(d,4H,C64),7.21〜7.41(m,6H,C138),7.75(d,2H,C138)。
実施例2
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの代わりに9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン30g(0.079モル)を用いる以外は実施例1と同様にして9,9−ビス{3−メチル−4−[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン39.8g(収率91%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)ppm:1.19(t,6H,末端CH3),1.48(d,6H,分岐CH3),2.13(s,6H,クレゾールCH3),3.46〜3.60(m,2H,OCH2),3.70〜3.84(m,2H,OCH2),5.30(q,2H,分岐OCH),6.78(d,2H,C64),6.95(d,4H,C64),7.25〜7.44(m,6H,C138),7.75(d,2H,C138)。
実施例3
脱水酢酸エチル50ml中に、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン12.9g(36.7ミリモル)、塩酸/エーテル溶液(1モル/リットル)1.7mlを加えて40℃に設定した。この中にエチルビニルエーテル7.9g(109.6ミリモル)を滴下し一晩攪拌した。反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、水洗し溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン)にて精製することにより9,9−ビス{4−[(1−エトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン14.1g(収率78%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)ppm:1.19(t,6H,末端CH3),1.47(d,6H,分岐CH3),3.42〜3.59(m,2H,OCH2),3.70〜3.84(m,2H,OCH2),5.30(q,2H,分岐OCH),6.82(d,4H,C64),7.09(d,4H,C64),7.21〜7.41(m,6H,C138),7.75(d,2H,C138)。
実施例4
脱水アセトン50mlに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン12.9g(36.7ミリモル)と4−ジメチルアミノピリジン[(CH3)2NC54N]4.5mg(3.7×10-2ミリモル)とを加え、40℃に加熱した後、ジ−tert−ブチルジカーボネート8g(36.7ミリモル)を滴下し24時間攪拌した。反応終了後、反応液を氷水に入れ最少量の水酸化カリウムでアルカリ性に調整し、生成した固体を濾過、乾燥し、トルエンで再結晶することにより9,9−ビス[4−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレン18.2g(収率90%)を得た。
Figure 0004484479
1H−NMR(CDCl3)ppm:1.55(s,18H,tert−Bu),7.03(d,4H,C64),7.27(d,4H,C64),7.15〜7.41(m,6H,C138),7.76(d,2H,C138)。
実施例5
脱水アセトン50mlに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン12.9g(36.7ミリモル)と4−ジメチルアミノピリジン[(CH3)2NC54N]4.5mg(3.7×10-2ミリモル)とを加え、40℃に加熱した後、ジ−tert−ブチルジカーボネート4g(18.4ミリモル)を滴下し24時間攪拌した。反応終了後、反応液を氷水に入れ最少量の水酸化カリウムでアルカリ性に調整し、生成した固体を濾過、乾燥した後、シリカゲルカラム(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=7/3)で精製することにより9−[4−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]9−[4−ヒドロキシフェニル]フルオレン12.1g(収率73%)を得た。
Figure 0004484479
1H−NMR(CDCl3)ppm:1.55(s,9H,tert−Bu),6.67(d,2H,C64),7.00(d,2H,C64),7.06(d,2H,C64),7.19(d,2H,C64),7.22〜7.39(m,6H,C138),7.75(d,2H,C138)。
実施例6
(i)9,9−ビス[4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル]フルオレンの合成
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン5.2g(14.9ミリモル)を脱水ピリジン(C55N)50mlに溶解し、さらに無水トリフルオロメタンスルホン酸8.8g(31.2ミリモル)を氷冷下で加えて室温で24時間反応させた。反応溶液を氷水の中へ投入後、塩酸を加えて系内を酸性にした。生じた固体をろ過、水洗、乾燥後、ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒で再結晶することにより9,9−ビス[4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル]フルオレン6.51g(10.6ミリモル)を得た。
(ii)9,9−ビス[4−(2−tert−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレンの合成
ステップ(i)で合成した9,9−ビス[4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル]フルオレン7.4g(21.2ミリモル)に,アクリル酸tert−ブチル2.85g(22.2ミリモル),トリエチルアミン10ml,アセトニトリル30ml,酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]50mg(2.22×10-1ミリモル),トリ−o−トリルホスフィン134mg(4.42×10-1ミリモル)を加え反応系中をアルゴンで置換した後、加熱還流下24時間反応させた。反応溶液を氷水500mlの中へ投入後攪拌しながら塩酸を添加し、攪拌し得られた固体を濾過、水洗、乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン)にて精製することにより、9,9−ビス[4−(2−tert−ブトキシカルボニルビニル)フェニル]フルオレン8.34g(収率69%)を得た。
Figure 0004484479
1H−NMR(CDCl3)ppm:1.53(s,18H,tert−Bu),6.29(d,2H,CH=CH),7.08〜7.45(m,14H,C64とC138),7.51(d,2H,CH=CH),7.78(d,2H,C138)。
実施例7
9−フルオレノン36g(約0.2モル)、カテコール88g(約0.8モル)、β-メルカプトプロピオン酸0.7ml、および1,4−ジオキサン60gを反応器に入れ、80℃の加熱状態で98%硫酸5mlを滴下した。反応終了後、MIBK(メチルイソブチルケトン)200mlおよび水100mlを加えて抽出した。同操作を3回行うことによって、余剰の硫酸を除去した。溶媒濃縮後、MIBK100mlおよびトルエン200mlを加えたのち、10℃まで冷却することによってビスカテコールフルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン]65gを得た。以下に、得られたビスカテコールフルオレンの1H−NMRスペクトルデータを示す。
1H−NMR:6.35ppm(d,2H),6.58ppm(m,4H),7.33ppm(m,6H),7.89ppm(d,2H),8.75ppm(s,2H),8.80ppm(s,2H)。
得られたビスカテコールフルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン]19.1g(50mmoL)、アセトン100mL、2,4−ジメチルアミノピリジン0.1gを反応器に入れ、ジ−t−ブチルジカーボネート48.0g(0.22moL)を40℃でゆっくりと滴下して反応を行った。反応終了後、ヘキサン200mLを加えて、結晶を析出させたのち、ヘキサン/アセトン(体積比)=1/1の混合溶媒で洗浄することにより、9,9−ビス[3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]フルオレン37.5gを得た(収率96%)。
Figure 0004484479
1H−NMR(CDCl3)ppm:1.43(s,18H),1.48(s,18H),7.05〜7.11(m,6H),7.22〜7.39(m,4H),7.48(d,2H),7.80(d,2H)。
実施例1、3及び4で得られたフルオレン誘導体を含む感光性樹脂組成物の評価を次のようにして行った。
(1)感光性樹脂の調製
ヒドロキシル基のうち35モル%を1−エトキシエトキシ基で保護した重量平均分子量9,000のポリビニルフェノール樹脂0.5重量部に、ヒドロキシル基のうち37モル%をt−BOC(tert−ブトキシカルボニルオキシ)基で置換した重量平均分子量8,500のポリビニルフェノール樹脂0.5重量部を加え、下記式(A)で表される光酸発生剤0.02重量部を添加し、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6重量部を混合することによりポジ型フォトレジストを調製した。
Figure 0004484479
(2)感光性樹脂組成物の調製
前記ステップ(1)で得られた感光性樹脂溶液に、実施例1又は3で得られたフルオレン誘導体を添加し、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)(0.2μm)製フィルターで濾過して感光性樹脂組成物を得た。なお、表1に示す割合は、前記感光性樹脂溶液の溶剤を除く固形分に対する割合である。
(3)性能(感度、解像度)評価
洗浄したシリコンウエハーをヘキサメチルジシラザンで処理した後、前記ステップ(2)で得られた感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、ホットプレートにて100℃で1分間加熱した。次いで、248nm(KrFエキシマーレーザー)の露光波長を有する縮小投影露光機(キャノン(株)製、FPA−3000EX5,NA=0.63)を用いて、線幅の異なるラインアンドスペースパターンを有するテストマスクを介して、露光量を段階的に変えて露光した。このウエハーをホットプレートにて100℃で1分間加熱した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で1分間パドル現像してポジ型パターンを得た。
前記ポジ型パターンにつき、以下のようにして各特性を評価した。
(i)感度:ライン幅0.25μmのライン:スペース=1:1がマスク寸法どおりになる露光量で表示した(値が小さいほど高感度で良好)。
(ii)解像度:ライン幅0.25μmのライン:スペース=1:1がマスク寸法どおりになる露光量でラインが分離する最小寸法で表示した(値が小さいほど高解像度で良好)。
結果を表1に示す。なお、表1には比較例として、光活性化合物を含有しない感光性樹脂組成物の感度及び解像度も記した。
Figure 0004484479
表1の結果から明らかなように、実施例のフルオレン誘導体を用いた感光性樹脂組成物は高感度及び高解像度である。

Claims (4)

  1. 酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成されたベース樹脂と、光酸発生剤で構成された感光剤と、下記式(I)で表されるフルオレン誘導体とで構成され、水又はアルカリ現像可能である感光性樹脂組成物
    Figure 0004484479
    (式中、J及びJは直接結合、C1−6アルキレン基、C2−4アルケニレン基、C2−4アルキニレン基、C4−8シクロアルキレン基、又はC6−10アリーレン基、
    −X−Pro及び−X−Proはそれぞれ脱離可能な保護基Pro又はProで保護された親水性基であって、XおよびXは、ヒドロキシル基、−O−(AO)−H基(式中、AはC2−4アルキレン基、rは1以上の整数を示す)、又はカルボキシル基であり、
    及びXがヒドロキシル基又は−O−(AO)−H基のとき、保護基Pro又はProは、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシカルボニル基、5又は6員オキサシクロアルキル基、2−ノルボルニル基、2−メチル−2−ノルボルニル基、2−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル基、又は直鎖状又は分岐鎖状トリ1−4アルキルシリル基であり、
    及びXがカルボキシル基のとき、保護基Pro又はProは、C1−4アルキル基、2−ノルボルニル基、2−メチル−2−ノルボルニル基、2−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、テトラヒドロフラン−3−イル基、3−メチルテトラヒドロフラン−3−イル基、テトラヒドロピラン−3−イル基、3−メチルテトラヒドロピラン−3−イル基、テトラヒドロ−2−フラノン−4−イル基、4−メチルテトラヒドロ−2−フラノン−4−イル基、テトラヒドロ−2−ピロン−4−イル基、4−メチルテトラヒドロ−2−ピロン−4−イル基、カルバモイル基、N−C1−6アルキル−カルバモイル基、又はC6−10アリールカルバモイル基であり、
    〜RはC1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1−6アルコキシ基、C4−8シクロアルキル基、フェニル基、C1−4アルキルフェニル基、ナフチル基、又はハロゲン原子を表し、
    m1及びm2は0又は1、n1及びn2は2〜4の整数、p1、p2、q1及びq2は0〜4の整数を表す。但し、n1+p1及びn2+p2は、5以下の整数である。)
  2. 式(I)において、p1及びp2が0〜2の整数、q1及びq2が0であり、R及びRがC1−6アルキル基である請求項1記載の感光性樹脂組成物
  3. ポジ型感光性樹脂組成物である請求項記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1記載のフルオレン誘導体で構成されたレジスト用添加剤。
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