JP2002114841A - 光学部品 - Google Patents

光学部品

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JP2002114841A
JP2002114841A JP2000307876A JP2000307876A JP2002114841A JP 2002114841 A JP2002114841 A JP 2002114841A JP 2000307876 A JP2000307876 A JP 2000307876A JP 2000307876 A JP2000307876 A JP 2000307876A JP 2002114841 A JP2002114841 A JP 2002114841A
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optical
polycarbonate resin
optical component
lens
chemical
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JP2000307876A
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Takashi Ono
隆 小野
Takashi Kuroki
貴志 黒木
Masaji Tamai
正司 玉井
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 化学式(1)〜(2)の繰り返し単位を
主鎖骨格に有し、化学式(1)〜(2)の繰り返し単位
の分子内におけるモル比が、数式(A)で示されるポリ
カーボネート樹脂を含んでなる光学部品(R1、R2、R
3及びR4は、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル
基、又は、ハロゲン原子である。a、b、c及びdは置
換基数を表し、0〜4の整数である。数式(A)におい
て、M1及びM2は、それぞれ、分子内における化学式
(1)で表される繰り返し単位のモル数、及び、分子内
における化学式(2)で表される繰り返し単位のモル数
である。)。0.1 ≦ M1/(M1+M2) ≦
0.7 (A) 【効果】 高屈折性、耐熱性、透明性、耐薬品
性・耐溶剤性を併せ有する。各種レンズ、光ファイバ
ー、光導波路、光フィルター、光学用接着剤、光ディス
ク基盤、ディスプレー基盤、コーティング材、プリズム
等の用途に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
樹脂を含んで構成される光学部品に関し、より詳細に
は、高屈折性、耐熱性、透明性及び耐薬品性・耐溶剤性
に優れた、ポリカーボネート樹脂を含んで構成される光
学部品(例えば、レンズ(例えば、眼鏡レンズ、光学機
器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザ
ー用レンズ、CDピックアップ用レンズ、自動車用ラン
プレンズ、OHP用レンズ等)、光ファイバー、光導波
路、光フィルター、光学用接着剤、光ディスク基盤、デ
ィスプレー基盤、コーティング材、プリズム等)に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、高度情報化社会の実現に向けたオ
プトエレクトロニクスの研究が精力的に行われている。
それと共に、光通信、光記録、光加工、光計測、光演算
等、オプトエレクトロニクスの様々な展開を支える基礎
材料として、有機光学材料、特にポリマー材料に対する
期待が高まっている。光学用ポリマー材料は、軽量で可
とう性に優れる、電気的誘導を受けない、成形加工が容
易であるなどの多くの特徴を有し、光ファイバー、光導
波路、光ディスク基盤、光フィルター、レンズ、光学用
接着剤等の用途に向けた展開が図られている。光学用ポ
リマー材料には次のような特性が求められている。すな
わち、高屈折性、耐熱性、無色透明性、クリーン性、易
成形性、耐薬品性・耐溶剤性、軽量等である。
【0003】代表的な光学用ポリマー材料としてポリカ
ーボネート樹脂があり、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]を原料と
したものは、透明性に優れているうえにガラスに比べて
軽く、耐衝撃性に優れ、大量生産が容易である等の特徴
から、多くの分野において、様々な光学部品として用い
られている。しかし、屈折率は1.58程度と低く、ま
た耐薬品性・耐溶剤性に乏しい欠点を有しており、その
用途が限られているのが現状である。
【0004】これらの問題点を解決しようとする多くの
試みがこれまでになされており、例えば芳香環を導入し
たビスフェノールA構造を有するポリカーボネート樹脂
(特開昭63−108023号、特開平2−18501
号)、フルオレン構造を有するポリカーボネート樹脂
(特開平6−25398号)、スルフィド構造を有する
ポリカーボネート樹脂(特開昭53−89752号)、
ハロゲン化カーボネートを含む樹脂組成物(特開平5−
9372)等が提案されている。しかし、芳香環を導入
したビスフェノールA構造を有するポリカーボネート樹
脂、及びフルオレン構造を有するポリカーボネート樹脂
は高い屈折率を有する反面、アセトンや熱トルエン、
N,N−ジメチルアセトアミドなど一般に用いられる有
機溶剤への耐薬品性・耐溶剤性が乏しく、例えば有機溶
剤による洗浄や研磨等が必要な用途に用いることができ
ないという問題点を有する。また、スルフィド構造を有
するポリカーボネート樹脂はガラス転移温度が120℃
以下と低いため、耐熱性を要求される用途に用いること
ができず、透明性が低い問題点も有する。さらには、ハ
ロゲン化カーボネートは高い屈折率を有するものの、重
原子であるハロゲンを含むために比重が大きく、例えば
軽量化が要求される光学レンズ用途には適さない問題が
ある。従って、高屈折性、耐熱性、透明性及び耐薬品性
・耐溶剤性を併せ持つ光学部品の開発が望まれてきた。
【0005】一方、化学式(5)で表されるポリカーボ
ネート樹脂が、Macromolecules,23巻,2656〜2
662頁(1990年)に開示されてはいるが、耐熱性
(ガラス転移温度(Tg))について評価されているに
すぎず、屈折率や透明性等の光学部品に不可欠な物性は
全く検討されてなく、光学部品に有用であることは全く
知られていなかった。また、耐薬品性・耐溶剤性につい
ても全く開示されていなかった。
【0006】
【化4】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点に鑑み、高屈折性(1.60以上、
より好ましくは、1.63以上の屈折率を発現する性
能)、耐熱性(好ましくはガラス転移温度(Tg)が
130℃以上)、透明性(好ましくは光線透過率90
%以上)、及び耐薬品性・耐溶剤性(例えば、アセト
ン(50℃)、トルエン(80℃)、N,N−ジメチル
アセトアミド(50℃)、N−メチル−2−ピロリドン
(50℃)、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(50
℃)、テトラヒドロフラン(50℃)に、30秒〜10
時間浸漬した後に、溶解、白化、クラック(ひび割
れ)、膨潤等の表面や形状に変化を呈さない性能)を併
せ持つ光学部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定構造から
成るポリカーボネート樹脂を含んで構成される光学部品
が、高屈折性、耐熱性、透明性及び耐薬品性・耐溶剤性
を併せ持つことを見い出し、本発明を完成した。すなわ
ち、本発明は、以下の[1]〜[10]に記載した事項
により特定される。
【0009】[1] 化学式(1)及び化学式(2)で
表される繰り返し単位を主鎖骨格に有し、化学式(1)
で表される繰り返し単位と、化学式(2)で表される繰
り返し単位の分子内におけるモル比が、数式(A)で示
されるポリカーボネート樹脂を含んで構成される光学部
品(化学式(1)及び化学式(2)において、R1、R
2、R3及びR4は、それぞれ独立して同じでも異なって
もよく、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又
は、ハロゲン原子である。a、b、c及びdは置換基数
を表し、0〜4の整数である。数式(A)において、M
1及びM2は、それぞれ、分子内における化学式(1)
で表される繰り返し単位のモル数、及び、分子内におけ
る化学式(2)で表される繰り返し単位のモル数であ
る。)。 [数2] 0.1 ≦ M1/(M1+M2) ≦ 0.7 (A)
【0010】
【化5】
【0011】[2] 化学式(3)及び化学式(4)で
表される芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、炭酸ジエ
ステル化合物を重合することにより得られるポリカーボ
ネート樹脂を含んで構成される[1]記載の光学部品
(化学式(3)及び化学式(4)において、R1、R2、
R3及びR4は、それぞれ独立して同じでも異なってもよ
く、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、
ハロゲン原子である。a、b、c及びdは置換基数を表
し、0〜4の整数である。)。
【0012】
【化6】
【0013】[3] 炭酸ジエステル化合物が、ジフェ
ニルカーボネートであることを特徴とする[2]記載の
光学部品。
【0014】[4] 化学式(3)及び化学式(4)で
表される芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、ホスゲン
を重合することにより得られるポリカーボネート樹脂を
含んで構成される[1]記載の光学部品(化学式(3)
及び化学式(4)において、R1、R2、R3及びR4は、
それぞれ独立して同じでも異なってもよく、水素原子、
炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、ハロゲン原子で
ある。a、b、c及びdは置換基数を表し、0〜4の整
数である。)。
【0015】
【化7】
【0016】[5] 光学部品が、レンズであることを
特徴とする[1]記載の光学部品。
【0017】[6] レンズが、眼鏡レンズ、光学機器
用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー
用レンズ、CDピックアップ用レンズ、自動車用ランプ
レンズまたはOHP用レンズであることを特徴とする
[5]記載のレンズ。
【0018】[7] 光学部品が、光ファイバーである
ことを特徴とする[1]記載の光学部品。
【0019】[8] 光学部品が、光導波路であること
を特徴とする[1]記載の光学部品。
【0020】[9] 光学部品が、光フィルターである
ことを特徴とする[1]記載の光学部品。
【0021】[10] 光学部品が、光学用接着剤であ
ることを特徴とする[1]記載の光学部品。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明に係わるポリカーボネート
樹脂は、化学式(1)及び化学式(2)で表される繰り
返し単位を主鎖骨格に有するポリカーボネート樹脂であ
る(化学式(1)及び化学式(2)において、R1、R
2、R3及びR4は、それぞれ独立して同じでも異なって
もよく、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又
は、ハロゲン原子である。a、b、c及びdは置換基数
を表し、0〜4の整数である。)。
【0023】
【化8】
【0024】また、本発明に係わるポリカーボネート樹
脂は、化学式(1)で表される繰り返し単位と、化学式
(2)で表される繰り返し単位の分子内におけるモル比
が、数式(A)で示されるポリカーボネート樹脂である
(数式(A)において、M1及びM2は、それぞれ、分
子内における化学式(1)で表される繰り返し単位のモ
ル数、及び、分子内における化学式(2)で表される繰
り返し単位のモル数である。)。 [数3] 0.1 ≦ M1/(M1+M2) ≦ 0.7 (A) 数式(A)における『M1/(M1+M2)』値が、
0.1未満では、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性・耐
溶剤性が乏しくなったり、耐熱性が低減する問題が生じ
る恐れがある。また、数式(A)における『M1/(M
1+M2)』値が、0.7を超えると、ポリカーボネー
ト樹脂が白く濁り、透明性が乏しくなる問題が生じる恐
れがある。
【0025】上記ポリカーボネート樹脂として、これら
に限定されるものではないが、例えば下記の化学式
(6)〜(8)で表されるポリカーボネート樹脂を好適
に用いることができる。なお、下記の化学式(6)〜
(8)において、数式(A)を満足するものが好まし
い。
【0026】
【化9】
【0027】本発明に係わるポリカーボネート樹脂は、
下記の化学式(3)及び化学式(4)で表される芳香族
ジヒドロキシ化合物、並びに、炭酸ジエステル化合物を
重合することにより得られる。また、本発明に係わるポ
リカーボネート樹脂は、下記の化学式(3)及び化学式
(4)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、
ホスゲンを重合することにより得られる。ただし、化学
式(3)及び化学式(4)において、R1、R2、R3及
びR4は、それぞれ独立して同じでも異なってもよく、
水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、ハロ
ゲン原子である。a、b、c及びdは置換基数を表し、
0〜4の整数である。
【0028】
【化10】
【0029】化学式(3)で表される芳香族ジヒドロキ
シ化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ジヒド
ロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’
−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テト
ラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,
3’−ジエチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
3,3’−ジプロピル−4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、3,3’−ジ−tert−ブチル−
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジ−t
ert−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル、3,3’ 5,5’−テトラ−t
ert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
3,3’−ジブロモ−4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、3,3’,5,5’−テトラブロモ−4,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラフ
ルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,
3’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル、2,2’,6,6’−テトラクロロ−
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’,3,
3’,5,5’ 6,6’−オクタフルオロ−4,4’
−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−
5,5’−ジブロモ−4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル等が挙げられる。純度は特に規定されるものではない
が、90重量%以上のものを用いるのが好ましい。
【0030】また、化学式(4)で表される芳香族ジヒ
ドロキシ化合物の具体例としては、例えば、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチ
ル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
3,3’,5,5’−テトラメチル− 4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチル−
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,
3’−ジプロピル− 4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルフィド、3,3’−ジ−tert−ブチル−4,
4’− ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’
5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’− ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジ−te
rt−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’− ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジ−ter
t−ブチル−6,6’−ジメチル−4,4’− ジヒド
ロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジブロモ−
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,
3’,5,5’−テトラブロモ−4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラ
フルオロ− 4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、3,3’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメ
チル− 5,5’−ジブロモ−4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルスルフィド等が挙げられる。純度は特に規定
されるものではないが、90重量%以上のものを用いる
のが好ましい。
【0031】化学式(3)及び化学式(4)で表される
芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、炭酸ジエステル化
合物を用いてポリカーボネート樹脂を重合する場合、塩
基性触媒存在下での溶融重縮合させるエステル交換法が
好適に用いられる。触媒の種類や反応条件等は特に規定
されることはなく、公知の触媒や反応条件等を適用でき
る。触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
酸化亜鉛などの塩基性金属化合物、各種金属の炭酸塩、
酢酸塩、水素化物、第四級アンモニウム、ホスホニウム
塩、有機塩基などが挙げられる。一般的な重合法として
は、まず不活性雰囲気下、200〜250℃、2700
〜4000パスカル(約20〜30Torr)の減圧下
で行われ、この段階でエステル交換反応により生成する
フェノールやアルコール類の90%程度が留出してオリ
ゴマーが形成される。次いで温度を300℃付近までゆ
っくり上げ、同時に130パスカル(約1Torr)以
下まで減圧することにより、高分子量のポリマーが得ら
れる。高温での熱履歴による色調の悪化等を防止するた
めに、ハイドロサルファイト等の酸化防止剤を添加して
もよい。
【0032】本発明で用いる炭酸ジエステル化合物の具
体例としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジト
リールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネ
ート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート
等が挙げられ、好適にはジフェニルカーボネートが用い
られる。
【0033】化学式(3)及び化学式(4)で表される
芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、ホスゲンを用いて
ポリカーボネート樹脂を重合する場合、ピリジン溶媒中
もしくはハロゲン化炭化水素溶媒中にピリジンなどの有
機塩基を加えて重合を行う溶液重合法、有機溶媒とアル
カリ水溶液の二相系を用いる界面重合法が好適に用いら
れる。溶媒や有機塩基、アルカリの種類や反応条件等は
特に規定されることはなく、公知の方法を適用できる。
【0034】溶液重合法で行う場合、溶媒としてはピリ
ジンもしくはハロゲン化炭化水素が用いられる。ハロゲ
ン化炭化水素としては、ジクロロメタン、トリクロロメ
タン(クロロホルム)、テトラクロロメタン、1,1−
ジクロロエタン、1,2―ジクロロエタン、1,1,1
−トリクロロエタン、1,1,2,−トリクロロエタ
ン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1―ジ
クロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエ
チレン、クロロベンゼンなどが挙げられる。ハロゲン化
炭化水素を溶媒として用いる場合には有機塩基が併せて
用いられ、ピリジン、トリエチルアミンなどが好適であ
る。一般的な重合法としては、有機塩基存在下に芳香族
ジヒドロキシ化合物を溶媒に溶解し、これにホスゲンを
10〜30℃に維持しながら導入する。重合は中間体に
クロロホルメートと有機塩基錯体を生成して進行するの
で、よく脱水した溶媒及び有機塩基を用いることが望ま
しい。また、理論量よりやや過剰のホスゲンや有機塩基
を用いた方が、高分子量体を得やすい。
【0035】界面重合法で行う場合、有機塩基の代わり
にアルカリ水溶液を用いる。有機溶媒としては、ジクロ
ロメタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、テトラ
クロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2―ジク
ロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,
2,−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロ
ロエタン、1,1―ジクロロエチレン、トリクロロエチ
レン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハ
ロゲン化炭化水素が主に用いられる。一般的な重合法と
しては、芳香族ジヒドロキシ化合物を水酸化ナトリウム
や水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液に溶解し、これ
に有機溶媒を加えて激しくかき混ぜながらホスゲンを導
入する。まず、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンの
反応でクロロホルメート末端を有するオリゴマーが生成
しする。この際、ホスゲンやビスクロロホルメート基が
アルカリ水溶液により加水分解されて一部消費されるの
で、20%程過剰にホスゲンを加えることが好ましい。
次いで起こるオリゴマーからの反応は遅いので、相間移
動触媒を用いる。相間移動触媒としては、トリエチルア
ミン、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、ヨウ化メ
チルトリフェニルアルソニウム、ヨウ化メチルトリフェ
ニルホスホニウム、塩化ベンジルトリフェニルホスホニ
ウムなどが挙げられる。
【0036】本発明においては、複数種類の芳香族ジヒ
ドロキシ化合物を用いるが、これらの仕込方法は、いず
れの方法で重合する際にも、特に規定されるものではな
いが、本発明の効果をよりよく得るためには、同時に仕
込む方法が望ましい。また、一括して仕込んでも、連続
的に仕込んでも問題はない。
【0037】また、着色の抑制や溶融成形における流動
性の改善などを目的として、フェノールやtert−ブ
チルフェノールといった芳香族モノヒドロキシ化合物な
どの末端封止用化合物を併用してもよい。
【0038】本発明に係わるポリカーボネート樹脂の分
子量に特に制限はなく、用途や加工方法に応じ、任意の
分子量とすることができる。本発明に係わるポリカーボ
ネート樹脂は、用いる芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸
ジエステル化合物もしくはホスゲンとの量比、反応時
間、反応温度などによって調節することができ、例え
ば、ポリカーボネート樹脂を0.5g/100ミリリッ
トルの濃度でクロロホルムに溶解した後、35℃で測定
した対数粘度の値を、0.1〜3.0デシリットル/g
の任意の値とすることができる。
【0039】本発明に係わるポリカーボネート樹脂は、
構成単位の繰り返しに特に制限はなく、交互構造、ラン
ダム構造、ブロック構造等のいずれの場合でも良い。ま
た、通常用いられる分子形状は線状であるが、分岐して
いる形状を用いても良い。また、グラフト状でも良い。
【0040】本発明に係わるポリカーボネート樹脂は熱
可塑性であり、通常の溶融成形により成形することがで
きる。すなわち、押し出し成形、射出成形、真空成形、
ブロー成形、圧縮成型、ブロー成形、カレンダー成形、
積層成形等により、ディスク、ファイバー等の様々な成
形体を得ることができる。
【0041】本発明に係わるポリカーボネート樹脂は、
汎用溶剤に対して耐薬品性・耐溶剤性を有する。光学部
品は、成形した後に部品として用いる段階で、離形剤や
付着したゴミ、油脂分を除去する方法として、汎用溶剤
による洗浄が一般に用いられる。また、一部の光学レン
ズはハードコートを施すため、ハードコート剤を溶かす
有機溶剤に対する耐薬品性・耐溶剤性が求められる。現
在もっとも広範に用いられている2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]
を原料とするポリカーボネート樹脂は、汎用溶剤である
アセトンや熱トルエンに接触させると、白化やクラック
の発生が見られ、またN,N−ジメチルアセトアミドや
N−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に、容易に溶け
る。前述のこれまで開示されている高屈折性を有するポ
リカーボネート樹脂についても、これらの汎用溶剤に対
する耐薬品性・耐溶剤性は乏しい。本発明に係わるポリ
カーボネート樹脂は、これらの汎用溶剤に対して耐薬品
性・耐溶剤性を有する。
【0042】本発明に係わるポリカーボネート樹脂は、
高屈折性、耐熱性、透明性及び耐薬品性・耐溶剤性を併
せ持つ光学特性に優れたポリカーボネート樹脂であり、
光学部品に好適に使用できる。
【0043】本発明のポリカーボネート樹脂を含んで構
成される光学部品に特に制限はなく、例えば、部品の一
部あるいは全部に使用することができ、高い透明性を必
要とされる部品、あるいは透明性と高屈折性を必要とさ
れる部品、高屈折性と耐薬品性・耐溶剤性が必要とされ
る部品等が挙げられる。より具体的には、例えば、レン
ズ(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエ
レクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、CDピッ
クアップ用レンズ、自動車用ランプレンズ、OHP用レ
ンズ等)、光ファイバー、光導波路、光フィルター、光
学用接着剤、光ディスク基盤、ディスプレー基盤、コー
ティング材、プリズム等が挙げられる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。尚、実施例中のポリカーボネート樹脂の物性及び耐
薬品性・耐溶剤性は以下の方法により測定した。
【0045】 対数粘度(ηinh):ポリカーボネート
樹脂をクロロホルム溶媒に、0.5g/100ミリリッ
トルの濃度で溶解した後、35℃において測定した。
【0046】 ガラス転移温度(Tg):DSC(島津
DT−40シリーズ,DSC−41M)により測定し
た。
【0047】 屈折率:ポリカーボネート樹脂を20
重量%の濃度でクロロホルムに溶解させ、この溶液をシ
リコンウェハにスピンコーティングした後、窒素雰囲気
下、60℃で2時間乾燥し、その後110℃まで昇温し
てさらに2時間乾燥した。この操作により、シリコンウ
ェハ上に膜厚5〜20μmのポリカーボネート樹脂膜が
得られた。プリズムカップリング法により、この膜の波
長633nmでの屈折率を測定した。
【0048】 光線透過率:ポリカーボネート樹脂を
加熱成形して厚さ3.2mmの基板を作成し、ASTM
D1003に従って測定した。
【0049】 耐薬品性・耐溶剤性:溶媒100gに
対して厚さ約1mmの板状のポリカーボネート樹脂5g
を浸し、トルエンは80℃で、その他の有機溶剤は50
℃で10時間、溶剤を撹拌した。静置後、サンプルを取
り出し、乾燥させて重量の測定及び形状観察を行った。
溶解による重量減少が見られた場合(×)、白化やクラ
ック、膨潤など表面や形状変化が見られた場合(△)、
重量及び形状に変化が見られない場合(○)に分け、耐
薬品性・耐溶剤性を判断した。薬品は、汎用溶剤である
アセトン(A)、熱トルエン(B)、N,N−ジメチル
アセトアミド(C)、N−メチル−2−ピロリドン
(D)、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(E)及び
テトラヒドロフラン(F)を使用した。
【0050】 モル比[M1/(M1+M2)]:M
1及びM2は、それぞれ、分子内における化学式(1)
で表される繰り返し単位のモル数、及び、分子内におけ
る化学式(2)で表される繰り返し単位のモル数であ
る。
【0051】[実施例1]ポリカーボネート樹脂をエス
テル交換法にて合成した。窒素導入ライン、減圧ライン
及び圧力計、攪拌機、温度計、加熱装置、留出装置を備
えた重合容器に、化学式(3)で表される芳香族ジヒド
ロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシビフェニル
14.9g(0.08mol)、化学式(4)で表され
る芳香族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルフィド26.2g(0.12mo
l)、及びジフェニルカーボネート47.1g(0.2
2mol)及び4−ジメチルアミノピリジン0.025
g(0.2mmol)を仕込んだ。窒素雰囲気下で加熱
溶融させ、180℃で3時間加熱した後、徐々に温度を
上げていき、同時に圧力を減圧にしていった。最終的に
270℃、13パスカル(約0.1Torr)で1時間
重合を行い、生成したフェノールを完全に留去し、化学
式(9)で表されるモル比[M1/(M1+M2)]=
0.4のポリカーボネート樹脂42gを得た。モル比
[M1/(M1+M2)]=0.4であることは、通常
の元素分析により確認した。得られたポリカーボネート
樹脂について、上記の方法に従って対数粘度ηinh、ガ
ラス転移温度、屈折率、光線透過率及び耐薬品性・耐溶
剤性の評価を行った。表1に示した結果から明らかなよ
うに、得られたポリカーボネート樹脂は、高屈折性、耐
熱性、透明性及び耐薬品性・耐溶剤性を併せ持った、光
学特性に優れ、光学部品に好適なポリカーボネート樹脂
である。
【0052】[実施例2]ポリカーボネート樹脂を溶液
重合法にて合成した。窒素導入ライン、攪拌機、温度計
を備えた重合容器に、化学式(3)で表される芳香族ジ
ヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル14.9g(0.08mol)、化学式(4)で表
される芳香族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド26.2g(0.12m
ol)、及びピリジン400gを仕込み、撹拌して完全
に溶解させた。溶液を激しく撹拌させながら、ホスゲン
を約0.5g/分の速度で吹き込み、その間、溶液を水
浴で25〜30℃に保った。約25分後にピリジン塩酸
塩が析出し始め、さらに約15分後、溶液の粘性が徐々
に増し始めた。さらに10分ホスゲンを吹き込んだ後に
供給を止め、そのまま1時間激しく撹拌を続けた。その
後、その状態で上部よりメタノール800gを5分かけ
て導入し、析出したポリカーボネート樹脂を濾別した。
ピリジン塩酸塩などの残留物を除くため、得られたポリ
カーボネート樹脂をメタノール800gに懸濁させ、ホ
モミキサーを用いて激しく撹拌し、再度濾別した。この
操作を3回繰り返した後、110℃で2時間真空乾燥さ
せて、化学式(9)で表されるモル比[M1/(M1+
M2)]=0.4のポリカーボネート樹脂41gを得
た。モル比[M1/(M1+M2)]=0.4であるこ
とは、通常の元素分析により確認した。得られたポリカ
ーボネート樹脂について、実施例1と同様に上記の方法
に従って対数粘度ηinh、ガラス転移温度、屈折率、光
線透過率及び耐薬品性・耐溶剤性の評価を行った。結果
を表1に示した。
【0053】[実施例3]ポリカーボネート樹脂を界面
重合法にて合成した。窒素導入ライン、攪拌機、温度計
を備えた重合容器に、化学式(3)で表される芳香族ジ
ヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル14.9g(0.08mol)、化学式(4)で表
される芳香族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド26.2g(0.12m
ol)、蒸留水400g及び水酸化ナトリウム24g
(0.6mol)を仕込み、撹拌して完全に溶解した後
に、ジクロロメタン400gを仕込んだ。溶液を激しく
撹拌させながら、ホスゲンを約0.5g/分の速度で吹
き込み、その間、溶液を水浴で25〜30℃に保った。
60分間ホスゲンを吹き込んだ後に供給を止め、そのま
ま3時間激しく撹拌を続けた。次いでトリエチルアミン
0.06g(0.6mmol)を加え、再び激しく撹拌
した。30分程度で徐々に粘度が上がり始め、1時間後
に撹拌を停止した。その後静置し、上部水層を除去し
た。ピリジン塩酸塩などの残留物を除くため、蒸留水4
00gを装入して10分間激しく撹拌し、静置した後に
上部水層を除去する操作を3回繰り返した。その後下部
のジクロロメタン層を、ホモミキサーを用いて強撹拌し
ながらメタノール800gに徐々に投入し、濾別及び減
圧乾燥を経て、化学式(9)で表されるモル比[M1/
(M1+M2)]=0.4のポリカーボネート樹脂40
gを得た。モル比[M1/(M1+M2)]=0.4で
あることは、通常の元素分析により確認した。得られた
ポリカーボネート樹脂について、実施例1と同様に上記
の方法に従って対数粘度ηinh、ガラス転移温度、屈折
率、光線透過率及び耐薬品性・耐溶剤性の評価を行っ
た。結果を表1に示した。
【0054】[実施例4]化学式(3)で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシビ
フェニル5.6g(0.03mol)、化学式(4)で
表される芳香族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド37.1g(0.17
mol)に代えた以外は実施例1と同様にして、ポリカ
ーボネート樹脂の合成を行い、化学式(10)で表され
るモル比[M1/(M1+M2)]=0.15のポリカ
ーボネート樹脂43gを得た。モル比[M1/(M1+
M2)]=0.15であることは、通常の元素分析によ
り確認した。得られたポリカーボネート樹脂について、
実施例1と同様に上記の方法に従って対数粘度ηinh、
ガラス転移温度、屈折率、光線透過率及び耐薬品性・耐
溶剤性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0055】[実施例5]化学式(3)で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシビ
フェニル22.3g(0.12mol)、化学式(4)
で表される芳香族ジヒドロキシ化合物として4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルフィド17.5g(0.0
8mol)に代えた以外は実施例1と同様にして、ポリ
カーボネート樹脂の合成を行い、化学式(11)で表さ
れるモル比[M1/(M1+M2)]=0.6のポリカ
ーボネート樹脂39gを得た。モル比[M1/(M1+
M2)]=0.6であることは、通常の元素分析により
確認した。得られたポリカーボネート樹脂について、実
施例1と同様に上記の方法に従って対数粘度ηinh、ガ
ラス転移温度、屈折率、光線透過率及び耐薬品性・耐溶
剤性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0056】[実施例6]化学式(3)で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物として3,3’5,5’−テトラ
メチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル19.4g
(0.08mol)、化学式(4)で表される芳香族ジ
ヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルフィド26.2g(0.12mol)に代えた
以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の
合成を行い、化学式(12)で表されるモル比[M1/
(M1+M2)]=0.4のポリカーボネート樹脂47
gを得た。モル比[M1/(M1+M2)]=0.4で
あることは、通常の元素分析により確認した。得られた
ポリカーボネート樹脂について、実施例1と同様に上記
の方法に従って対数粘度ηinh、ガラス転移温度、屈折
率、光線透過率及び耐薬品性・耐溶剤性の評価を行っ
た。結果を表1に示した。
【0057】[実施例7]化学式(3)で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシビ
フェニル14.9g(0.08mol)、化学式(4)
で表される芳香族ジヒドロキシ化合物として3,3’
5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド53.1g(0.12m
ol)に代えた以外は実施例1と同様にして、ポリカー
ボネート樹脂の合成を行い、化学式(13)で表される
モル比[M1/(M1+M2)]=0.4のポリカーボ
ネート樹脂70gを得た。モル比[M1/(M1+M
2)]=0.4であることは、通常の元素分析により確
認した。得られたポリカーボネート樹脂について、実施
例1と同様に上記の方法に従って対数粘度ηinh、ガラ
ス転移温度、屈折率、光線透過率及び耐薬品性・耐溶剤
性の評価を行った。結果を表1に示した。
【化11】
【化12】
【0058】[比較例1]化学式(3)で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシビ
フェニル1.9g(0.01mol)、化学式(4)で
表される芳香族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド41.5g(0.19
mol)に代えた以外は実施例1と同様にして、ポリカ
ーボネート樹脂の合成を行い、化学式(14)で表され
るモル比[M1/(M1+M2)]=0.05のポリカ
ーボネート樹脂45gを得た。モル比[M1/(M1+
M2)]=0.05であることは、通常の元素分析によ
り確認した。得られたポリカーボネート樹脂について、
実施例1と同様に上記の方法に従って対数粘度ηinh、
ガラス転移温度、屈折率、光線透過率及び耐薬品性・耐
溶剤性の評価を行った。結果を表1に示した。1.65
5の高屈折率、90%の光線透過率を有していたが、ガ
ラス転移温度が120℃と低く、また耐薬品性・耐溶剤
性にも乏しかった。
【0059】[比較例2]化学式(3)で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物として4,4’−ジヒドロキシビ
フェニル29.8g(0.16mol)、化学式(4)
で表される芳香族ジヒドロキシ化合物として4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルフィド10.0g(0.0
4mol)に代えた以外は実施例1と同様にして、ポリ
カーボネート樹脂の合成を行い、化学式(15)で表さ
れるモル比[M1/(M1+M2)]=0.8のポリカ
ーボネート樹脂40gを得た。モル比[M1/(M1+
M2)]=0.8であることは、通常の元素分析により
確認した。得られたポリカーボネート樹脂について、実
施例1と同様に上記の方法に従って対数粘度ηinh、ガ
ラス転移温度、屈折率、光線透過率及び耐薬品性・耐溶
剤性の評価を行った。結果を表1に示した。1.636
の高屈折率、202℃のガラス転移温度、耐薬品性・耐
溶剤性を有していたが、やや白く濁った樹脂であり、光
線透過率が85%と低かった。
【0060】[比較例3]特開昭63−108023号
に従い、化学式(16)で表される単位から成るポリカ
ーボネート樹脂を合成した。得られたポリカーボネート
樹脂について、実施例1と同様に上記の方法に従って対
数粘度ηinh、ガラス転移温度、屈折率、光線透過率及
び耐薬品性・耐溶剤性の評価を行った。結果を表1に示
した。1.659の高屈折率、137℃のガラス転移温
度を有していたが、やや白く濁った樹脂であり、光線透
過率が87%と低く、また光線透過率耐薬品性・耐溶剤
性に乏しかった。
【0061】[比較例4]特開平2−18501号に従
い、化学式(17)で表される単位から成るポリカーボ
ネート樹脂を合成した。得られたポリカーボネート樹脂
について、実施例1と同様に上記の方法に従って対数粘
度ηinh、ガラス転移温度、屈折率、光線透過率及び耐
薬品性・耐溶剤性の評価を行った。結果を表1に示し
た。1.638の高屈折率、155℃のガラス転移温
度、90%の光線透過率を有していたが、耐薬品性・耐
溶剤性に乏しかった。
【0062】[比較例5]特開平6−25398号に従
い、化学式(18)で表される単位から成るポリカーボ
ネート樹脂を合成した。得られたポリカーボネート樹脂
について、実施例1と同様に上記の方法に従って対数粘
度ηinh、ガラス転移温度、屈折率、光線透過率及び耐
薬品性・耐溶剤性の評価を行った。結果を表1に示し
た。1.636の高屈折率、210℃のガラス転移温
度、90%の光線透過率を有していたが、耐薬品性・耐
溶剤性に乏しかった。
【0063】[比較例19]特開昭53−89752号
に従い、化学式(19)で表される単位から成るポリカ
ーボネート樹脂を合成した。得られたポリカーボネート
樹脂について、実施例1と同様に上記の方法に従って対
数粘度ηinh、ガラス転移温度、屈折率、光線透過率及
び耐薬品性・耐溶剤性の評価を行った。結果を表1に示
した。1.658の高屈折率を有していたが、やや白く
濁った樹脂で光線透過率が85%、ガラス転移温度が1
16℃と低く、また耐薬品性・耐溶剤性に乏しかった。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂を含んで
構成される光学部品は、高屈折性(1.60以上、よ
り好ましくは、1.63以上の屈折率を発現する性
能)、耐熱性(好ましくはガラス転移温度(Tg)が
130℃以上)、透明性(好ましくは光線透過率90
%以上)、及び耐薬品性・耐溶剤性(例えば、アセト
ン(50℃)、トルエン(80℃)、N,N−ジメチル
アセトアミド(50℃)、N−メチル−2−ピロリドン
(50℃)、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(50
℃)、テトラヒドロフラン(50℃)に、30秒〜10
時間浸漬した後に、溶解、白化、クラック(ひび割
れ)、膨潤等の表面や形状に変化を呈さない性能)を併
せ持つ光学部品であり、例えば、レンズ(例えば、眼鏡
レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用
レンズ、レーザー用レンズ、CDピックアップ用レン
ズ、自動車用ランプレンズ、OHP用レンズ等)、光フ
ァイバー、光導波路、光フィルター、光学用接着剤、光
ディスク基盤、ディスプレー基盤、コーティング材、プ
リズム等の用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H050 AB42Y 4J029 AA09 AA10 AB01 AB04 AB07 AC02 AD10 AE01 AE02 AE04 AE13 BB10A BB10B BG07X BH02 DB07 HC01 HC03 HC05A KB02 4J040 EL021 EL022 LA07 LA08 LA10 NA17 NA18 NA21

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式(1)及び化学式(2)で表され
    る繰り返し単位を主鎖骨格に有し、化学式(1)で表さ
    れる繰り返し単位と、化学式(2)で表される繰り返し
    単位の分子内におけるモル比が、数式(A)で示される
    ポリカーボネート樹脂を含んで構成される光学部品(化
    学式(1)及び化学式(2)において、R1、R2、R3
    及びR4は、それぞれ独立して同じでも異なってもよ
    く、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、
    ハロゲン原子である。a、b、c及びdは置換基数を表
    し、0〜4の整数である。数式(A)において、M1及
    びM2は、それぞれ、分子内における化学式(1)で表
    される繰り返し単位のモル数、及び、分子内における化
    学式(2)で表される繰り返し単位のモル数であ
    る。)。 [数1] 0.1 ≦ M1/(M1+M2) ≦ 0.7 (A) 【化1】
  2. 【請求項2】 化学式(3)及び化学式(4)で表され
    る芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、炭酸ジエステル
    化合物を重合することにより得られるポリカーボネート
    樹脂を含んで構成される請求項1記載の光学部品(化学
    式(3)及び化学式(4)において、R1、R2、R3及
    びR4は、それぞれ独立して同じでも異なってもよく、
    水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、ハロ
    ゲン原子である。a、b、c及びdは置換基数を表し、
    0〜4の整数である。)。 【化2】
  3. 【請求項3】 炭酸ジエステル化合物が、ジフェニルカ
    ーボネートであることを特徴とする請求項2記載の光学
    部品。
  4. 【請求項4】 化学式(3)及び化学式(4)で表され
    る芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、ホスゲンを重合
    することにより得られるポリカーボネート樹脂を含んで
    構成される請求項1記載の光学部品(化学式(3)及び
    化学式(4)において、R1、R2、R3及びR4は、それ
    ぞれ独立して同じでも異なってもよく、水素原子、炭素
    原子数1〜4のアルキル基、又は、ハロゲン原子であ
    る。a、b、c及びdは置換基数を表し、0〜4の整数
    である。)。 【化3】
  5. 【請求項5】 光学部品が、レンズであることを特徴と
    する請求項1記載の光学部品。
  6. 【請求項6】 レンズが、眼鏡レンズ、光学機器用レン
    ズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レン
    ズ、CDピックアップ用レンズ、自動車用ランプレンズ
    またはOHP用レンズであることを特徴とする請求項5
    記載のレンズ。
  7. 【請求項7】 光学部品が、光ファイバーであることを
    特徴とする請求項1記載の光学部品。
  8. 【請求項8】 光学部品が、光導波路であることを特徴
    とする請求項1記載の光学部品。
  9. 【請求項9】 光学部品が、光フィルターであることを
    特徴とする請求項1記載の光学部品。
  10. 【請求項10】 光学部品が、光学用接着剤であること
    を特徴とする請求項1記載の光学部品。
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