JP6807315B2 - 繊維強化ポリアミド樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂と、繊維状補強材と、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とを含み、溶融流動性、機械的特性及び表面平滑性に優れ、吸水性(又は吸湿性)を低減でき、かつ空隙の発生を抑制できる繊維強化ポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、機械的特性や耐薬品性などの種々の性質に優れているため、エンジニアリングプラスチックなどとして、様々な分野で利用されている。一方で、ポリアミド樹脂は、溶融粘度が比較的高いため、高温に加熱して成形する必要がある。成形性を改善するために、ポリアミド樹脂に可塑剤を添加して、溶融粘度を低下させる方法が知られているが、この方法では、機械的特性が低下し易い。
このような欠点を克服する方法として、平成26年11月7日 公益社団法人 高分子学会 第23回ポリマー材料フォーラム ポスター 2PA43「熱可塑性樹脂のフルオレン誘導体添加による各種物性向上」(非特許文献1)には、ポリアミド66に、アルコール性又はフェノール性のフルオレン誘導体を添加することによって、ポリアミド66の水素結合を緩和し、機械的特性を損なうことなく低粘度化できることが記載されている。この文献で得られるポリアミド樹脂でも、ある程度高い機械的強度を有するものの、用途拡大のためには、さらなる向上が求められている。
機械的強度を向上する方法としては、繊維状補強材などの充填剤(又は強化剤)を樹脂に添加する方法などが一般的である。しかし、この方法では、繊維状補強材の影響により、成形体の表面平滑性が低下し易い傾向があり、製品外観が損なわれるおそれがある。また、繊維状補強材の添加によって、ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度が急激に上昇する傾向にあるため、成形性が著しく低下するおそれがある。さらには、繊維状補強材をポリアミド樹脂に均質に分散し難く、界面などに空隙が発生し易い。そのため、繊維状補強材とポリアミド樹脂との密着性が低下して機械的特性の向上が不十分となる場合や、空隙を起点にクラックが発生するためか、耐久性が低下する場合などがある。
そのため、高い機械的特性のみならず、空隙の発生を抑制でき、かつ溶融流動性(又は成形性)や成形体の表面平滑性などの特性をも充足した繊維強化ポリアミド樹脂組成物の開発が検討されている。
例えば、特開2015−54916号公報(特許文献1)には、ポリアミド樹脂と、所定の繊維長を有するガラス繊維とを特定の割合で混合することにより、機械的特性、成形体の表面外観及び中空成形体内面の平滑性に優れたポリアミド樹脂成形体が調製できることが記載されている。しかし、このポリアミド樹脂組成物は、繊維状補強材が特定の繊維長を有するガラス繊維に制限される。さらに、ガラス繊維の添加によって、ポリアミド樹脂の溶融粘度が急激に上昇するため、成形性が著しく低下するおそれがある。
また、特開2008−274305号公報(特許文献2)では、良好な流動性と機械的強度とを併せ持つポリアミド樹脂組成物として、150〜280℃の融点をもつ多価アルコールを含むポリアミド樹脂組成物が開示されている。この文献の実施例では、ポリアミド6と、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールと、ガラス繊維と、着色剤とを含むポリアミド樹脂組成物を調製している。このようなポリアミド樹脂組成物は、樹脂との溶融混合において、多価アルコールの飛散を抑制でき、良好な流動性を発現できる。また、ガラス繊維を含むため、機械的強度にも優れている。しかし、所定量を超える量の多価アルコールを含むと、成型品の機械的強度が低下することが記載されており、機械的強度を損なうことなく流動性を改善するには限界がある。さらに、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールは、親水性が高く、吸水率が大きくなり、機械的特性や寸法安定性などに悪影響を与えるおそれがある。
特開2015−54916号公報(特許請求の範囲、段落[0010]) 特開2008−274305号公報(特許請求の範囲、段落[0013]、実施例)
平成26年11月7日 公益社団法人 高分子学会 第23回ポリマー材料フォーラム ポスター 2PA43「熱可塑性樹脂のフルオレン誘導体添加による各種物性向上」
従って、本発明の目的は、高い機械的特性(例えば、曲げ強さ、曲げ弾性率など)を有し、かつ繊維状補強材を含んでいても空隙のない均質な成形体を得るのに有用な繊維強化ポリアミド樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、機械的特性を損なうことなく、溶融流動性に優れ、表面平滑性が高い成形体を得るのに有用な繊維強化ポリアミド樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、多量の繊維補強材を含んでいても、溶融流動性と成形体の表面平滑性とに優れた繊維強化ポリアミド樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明の別の目的は、吸水性(又は吸湿性)の低い繊維強化ポリアミド樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂と、繊維状補強材とを含む繊維強化ポリアミド樹脂組成物に、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を添加すると、高い機械的特性を有し、かつ空隙の発生を抑制できること、さらには、溶融流動性(又は成形性)に優れ、機械的特性を損なうことなく、成形体の表面平滑性の向上及び吸水性(又は吸湿性)の低減ができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、繊維状補強材と、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とを含んでいる。
前記9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物は、下記式(1)
Figure 0006807315
[式中、環Zは芳香族炭化水素環、RおよびRは置換基、Xは、基−[(OR−Y](式中、Yは、ヒドロキシル基、メルカプト基、グリシジルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基、Rはアルキレン基、nは0又は1以上の整数を示す。)又はアミノ基、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、pは1以上の整数を示す。]
で表される化合物であってもよく、下記式(1A)
Figure 0006807315
(式中、環Zはベンゼン環又はナフタレン環、Rはアルキル基、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基、kは0〜1、mは0〜2、RはC2−4アルキレン基、nは0〜20、pは1〜3を示す。)
で表される化合物であってもよい。例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、及びこれらの化合物1モル当たりに、1〜10モルのアルキレンオキサイドが付加した付加体から選択された少なくとも1種などであってもよい。
前記ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂、脂環族ポリアミド樹脂、および芳香族ポリアミド樹脂から選択された少なくとも1種であってもよい。
前記繊維状補強材はガラス繊維及び/又は炭素繊維であってもよい。また、繊維状補強材は布帛であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、繊維状補強材を1〜200重量部(例えば、10〜180重量部)程度、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を0.1〜50重量部程度の割合で含んでいてもよい。また、ポリアミド樹脂が脂肪族ポリアミド樹脂及び/又は半芳香族ポリアミド樹脂であり、かつポリアミド樹脂100重量部に対して、繊維状補強材を20〜150重量部(例えば、40〜120重量部)程度、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を1〜15重量部程度の割合で含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物において、ISO 1133に準じて温度335℃、荷重2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートは、60〜250g/10分(例えば、80〜200g/10分)程度であってもよく、又は温度280℃、荷重2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートは、5〜40g/10分程度であってもよい。また、23℃の水に24時間浸漬した後の重量増加率は、0.01〜0.35%程度であってもよい。
本発明は、前記樹脂組成物で形成された成形体も包含する。前記成形体において、JIS B0633(2001)に準じて測定した算術平均粗さRaは、0.01〜2μm程度であってもよく、十点平均粗さRzJISは、0.01〜12μm程度であってもよい。
さらに、本発明には、ポリアミド樹脂と繊維状補強材とを含む繊維強化ポリアミド樹脂組成物に、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を添加して成形し、成形体の表面平滑性を改善する方法も含まれる。
なお、本明細書において、「9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類」および「9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類」とは、「9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン骨格」や「9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン骨格」を有する限り、アリール基やフルオレン骨格(詳細にはフルオレンの2〜7位)に置換基を有する化合物も含む意味に用いる。また、本明細書において、「9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン」とは、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアリール)フルオレンおよび9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシアリール)フルオレンの双方を含む意味に用いる。
本発明では、樹脂組成物が、ポリアミド樹脂と、繊維状補強材と、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(フルオレン化合物)とを含むため、高い機械的特性(例えば、曲げ強さ、曲げ弾性率など)を有し、かつフルオレン化合物がポリアミド樹脂と繊維状補強材との親和性(又は密着性)を高めるためか、空隙の発生を抑制した成形体を得ることができる。そのため、繊維状補強材(特に、短繊維)が密着してポリアミド樹脂に隙間なく均質に分散した組成物、又は繊維状補強材(特に、布帛)にポリアミド樹脂が密着して隙間なく充填(又は含浸)された組成物を調製可能であり、繊維状補強材の脱落を防止したり、機械的特性などが顕著に向上できる場合もある。また、繊維状補強材とポリアミド樹脂との密着性が高く空隙が少ないため、成形体断面の外観を損なうこともなく、空隙を起点としたクラックも発生し難く、有効に耐久性を向上できる。しかも、溶融流動性に優れ、かつ機械的特性を損なうことなく成形体の表面平滑性も向上できる。また、繊維状補強材を多量に含んでいても、溶融流動性及び成形体の表面平滑性の低下を抑制できる。さらに、吸水性も低く、吸水(又は吸湿)による機械的特性や寸法安定性などの低下を抑制できるため、高湿度環境下で使用される用途へも展開できる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(PA)と、繊維状補強材と、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(以下、単にフルオレン化合物という場合がある。)とを含んでいる。
[ポリアミド樹脂(PA)]
本発明で使用するポリアミド樹脂(PA)は、特に制限されず、慣用のポリアミド樹脂が使用でき、例えば、脂肪族、脂環族及び/又は芳香族モノマーなどで形成してもよい。
脂肪族モノマーとしては、例えば、脂肪族ジアミン[例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−20アルキレンジアミン(好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C4−12アルキレンジアミン、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C6−9アルキレンジアミン)など];脂肪族ジカルボン酸[例えば、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸などの直鎖状又は分岐鎖状C2−18アルカン−ジカルボン酸(好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C4−10アルカン−ジカルボン酸、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C4−8アルカン−ジカルボン酸)など];ラクタム[例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどの4〜13員環(好ましくは7〜13員環)のラクタムなど];脂肪族アミノカルボン酸[例えば、6−アミノヘキサン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノC2−20アルキル−カルボン酸(好ましくはアミノC3−16アルキル−カルボン酸、さらに好ましくはアミノC5−11アルキル−カルボン酸)など]などが例示できる。
脂環族モノマーは、脂環骨格(シクロアルカン骨格)を有していればよく、例えば、脂環族ジアミン[例えば、ジアミノシクロアルカン、ジ(アミノアルキル)シクロアルカン(例えば、ジアミノメチルシクロアルカンなど)など];脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロアルカンジカルボン酸など);脂環族アミノカルボン酸(例えば、アミノシクロアルカンカルボン酸など)などが例示できる。
芳香族モノマーは、芳香環骨格を有していればよく、例えば、芳香族(又は芳香脂肪族)ジアミン[例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなどのジアミノアレーン、m−キシリレンジアミンなどのジ(アミノアルキル)アレーンなど];芳香族(又は芳香脂肪族)ジカルボン酸[例えば、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボキシアレーンなど];芳香族アミノカルボン酸(例えば、アミノ安息香酸などのアミノアリールカルボン酸など)などが例示できる。
ポリアミド樹脂は、これらのモノマーを単独で又は2種以上組み合わせて重合することにより得ることができる。ポリアミド樹脂は、単一のモノマー(単一のジアミン及びジカルボン酸、あるいは単一のラクタム及び/又はアミノカルボン酸)で形成されたホモポリアミドであってもよく、複数のモノマーが共重合したコポリアミドであってもよい。代表的なポリアミド樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド樹脂、脂環族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂などが挙げられる。
脂肪族ポリアミド樹脂は、脂肪族モノマー単位で形成されていればよく、例えば、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とのホモポリアミド(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612など);ラクタム及び/又はラクタムに対応する脂肪族アミノカルボン酸のホモポリアミド(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など);複数の脂肪族モノマーの共重合体(例えば、コポリアミド6/66、コポリアミド6/11、コポリアミド66/12など)などが例示できる。
脂環族ポリアミド樹脂は、少なくとも脂環族モノマー単位を有していればよく、脂肪族モノマーと脂環族モノマーとを組み合わせて形成されていてもよい。例えば、脂環族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とのホモポリアミド(例えば、ジアミノメチルシクロヘキサンとアジピン酸との重合体など)などが例示できる。
芳香族ポリアミド樹脂は、少なくとも芳香族モノマー単位を有していればよく、例えば、芳香族モノマー及び脂肪族(又は脂環族)モノマーから形成される半芳香族ポリアミド樹脂と、芳香族モノマーで形成され、脂肪族及び脂環族骨格を含まない全芳香族ポリアミド樹脂とに分けられる。
半芳香族ポリアミド樹脂としては、例えば、芳香族(又は芳香脂肪族)ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とのホモポリアミド(例えば、ポリアミドMXD6(m−キシリレンジアミンとアジピン酸との重合体)など);脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とのホモポリアミド[例えば、ポリアミド6T(ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との重合体)、ポリアミド9T(ノナメチレンジアミンとテレフタル酸との重合体)、ポリアミド10T(デカメチレンジアミンとテレフタル酸との重合体)、ポリアミド12T(ドデカメチレンジアミンとテレフタル酸との重合体)、ポリアミドM5T(2−メチルペンタメチレンジアミンとテレフタル酸との重合体)、ポリアミドM8T(2-メチルオクタメチレンジアミンとテレフタル酸との重合体)、ポリアミド6I(ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸との重合体)、トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との重合体など];少なくとも脂肪族ジアミン及び芳香族ジカルボン酸を含む共重合体(例えば、コポリアミド6T/66、コポリアミド6T/M5T、コポリアミド6T/6I、コポリアミド6T/6I/6、コポリアミド6T/6I/66など)などが例示できる。
全芳香族ポリアミド樹脂としては、例えば、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とのホモポリアミド(例えば、m−フェニレンジアミンとイソフタル酸との重合体、p−フェニレンジアミンとテレフタル酸との重合体など)などが挙げられる。
ポリアミド樹脂は、N−アルコキシメチル基を有するポリアミド、不飽和高級脂肪酸の二量体であるダイマー酸を重合成分とする重合脂肪酸系ポリアミド樹脂などであってもよい。これらのポリアミド樹脂は単独で又は2種以上組合せて使用できる。
ポリアミド樹脂は、結晶性又は非晶性であってもよく、透明性ポリアミド樹脂(非晶性透明ポリアミド樹脂)であってもよい。ポリアミド樹脂としては、成形品の機械的特性の観点からは、通常、結晶性樹脂を用いる場合が多い。
特に、ポリアミド樹脂の溶融粘度が溶融温度に大きく依存し、かつ分解温度が融点に近いため、本発明は、溶融流動性が低く(溶融粘度が高く)、成形性の劣るポリアミド樹脂に適用するのが有利である。このようなポリアミド樹脂の融点は200〜400℃程度の範囲から選択でき、例えば、210〜370℃、好ましくは220〜350℃、さらに好ましくは230〜330℃程度であってもよい。ポリアミド樹脂の中でも、例えば、半芳香族ポリアミド樹脂などの比較的融点が高く、溶融流動性が低い傾向にあるポリアミド樹脂、特に、繊維状補強材の添加により、溶融粘度が著しく上昇するポリアミド樹脂であっても、本発明では、樹脂組成物の溶融粘度を有効に低減して、成形性を向上できる。また、ポリアミド樹脂の数平均分子量は、0.7×10〜100×10(好ましくは1×10〜75×10、さらに好ましくは2×10〜50×10)程度であってもよく、3×10〜100×10(例えば、5×10〜50×10)程度であってもよい。分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)などの慣用の方法を利用して測定でき、ポリスチレン換算の分子量として評価してもよい。
このようなポリアミド樹脂の代表的な例としては、例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド樹脂、ジアミノメチルシクロヘキサンとアジピン酸との重合体などの脂環族ポリアミド樹脂、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド6Iなどの芳香族ポリアミド樹脂などが例示できる。これらのポリアミド樹脂は、繰り返し単位の炭素数が少なくとも4〜12(好ましくは6〜11程度、さらに好ましくは6〜9、特に少なくとも6)のアルキレン基を有する脂肪族モノマーを含んでいてもよい。また、芳香族ポリアミド樹脂に含まれる芳香族モノマーは、例えば、フェニレン基、好ましくはp−又はm−フェニレン基、さらに好ましくはp−フェニレン基を有していてもよい。これらのポリアミド樹脂のうち、脂肪族ポリアミド樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66など)、芳香族ポリアミド樹脂(ポリアミド6Tなどの半芳香族ポリアミド樹脂など)が好ましい。特に、ポリアミド6Tなどの半芳香族ポリアミドであると、成形体の表面平滑性の向上効果が顕著になる傾向にある。これらのポリアミド樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
[繊維状補強材]
樹脂組成物は、繊維状補強材を含むことにより、機械的強度を飛躍的に向上できる。なお、一般的には、繊維状補強材の添加により、樹脂組成物又は成形体において空隙が発生し易く、溶融流動性や成形体の表面平滑性は著しく低下する傾向にあるが、本発明の樹脂組成物では、比較的多くの繊維状補強材を導入しても、空隙の発生を有効に低減でき、かつ前記特性を保持又は向上できる。
繊維状補強材としては、無機繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、ウィスカー、ワラストナイトなど)であってもよく、有機繊維[例えば、ポリエステル繊維(例えば、ポリアルキレンアリレート繊維など)など]であってもよい。
これらの繊維状補強材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。繊維状補強材のなかでも、少なくとも無機繊維(特にガラス繊維及び/又は炭素繊維)を含むのが好ましい。
ガラス繊維を形成するガラス成分としては、例えば、Eガラス(無アルカリ電気絶縁用ガラス)、Sガラス(高強度ガラス)、Cガラス(化学用ガラス)、Aガラス(一般用含アルカリガラス)、YM−31−Aガラス(高弾性ガラス)などが挙げられる。なかでも、機械的特性などの点から、Eガラス、Cガラス、Sガラスが好ましく、特にEガラスが好ましい。これらのガラス成分で形成されるガラス繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維(例えば、等方性ピッチ系炭素繊維、メソフェーズピッチ系炭素繊維など)、気相成長炭素繊維などが例示できる。これらの炭素繊維のうち、機械的強度の点から、PAN系炭素繊維が好ましい。これらの炭素繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
繊維状補強材は、長繊維であってもよいが、短繊維であるのが好ましい。繊維状補強材の平均繊維長は、例えば、0.1〜10mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.2〜8mm、好ましくは0.5〜6mm、さらに好ましくは1〜4mm程度であってもよい。また、繊維状補強材とポリアミド樹脂及びフルオレン化合物との混合(又は混練)や成形加工によるせん断力などの影響により、組成物又は成形体中の繊維状補強材の平均繊維長は、混合前より短くなってもよく、例えば、0.05〜5mm、好ましくは0.1〜3mm、さらに好ましくは0.2〜1mm程度であってもよい。
繊維状補強材の平均繊維径は、特に制限されない。そのため、繊維状補強材は、平均繊維径がナノメータオーダーのサイズを有する繊維状補強材(例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンナノファイバーなど)であってもよいが、機械的強度などの点から、例えば、1〜200μm(例えば、2〜120μm)程度の範囲から選択でき、例えば、3〜50μm、好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは6〜15μm(例えば、8〜13μm)程度であってもよい。
また、繊維状補強材は、前記無機繊維及び/又は有機繊維で形成された布帛の形態であってもよい。本発明では、繊維状補強材が布帛であると、繊維状補強材とポリアミド樹脂及び/又はフルオレン化合物との密着性が高いためか、機械的特性(例えば、曲げ強さ、曲げ弾性率など)を著しく向上できるようである。
布帛としては、例えば、織布[平織、綾織(2/1綾織、2/2綾織、3/1綾織など)、朱子織(5枚朱子織など)などの形態で製織した織布]、編布(緯編布、経編布)、不織布などの布材などが挙げられる。これらのうち、平織又は2/2綾織などの形態で製織した織布などが好ましい。
布帛を構成する繊維の平均繊度は、例えば、50〜5000g/1000m、好ましくは100〜1000g/1000m(例えば、120〜300g/1000m)、さらに好ましくは150〜500g/1000m(例えば、170〜250g/1000m)程度であってもよい。繊度が小さすぎると、布帛の製造が困難となるおそれがあり、大きすぎると、機械的強度が低下するおそれがある。
布帛(原料布帛)の目付は、例えば、100〜1000g/m、好ましくは100〜800g/m(例えば、120〜300g/m)、さらに好ましくは150〜500g/m(例えば、170〜250g/m)程度であってもよい。目付が大きすぎると、樹脂成分を溶融含浸する際に、樹脂の含浸が困難となるおそれがあり、小さすぎると、樹脂成分を溶融含浸する際に、布帛に含まれる空気の脱気が困難となるおそれがある。
布帛の厚みは、例えば、100〜1000μm、好ましくは100〜800μm、さらに好ましくは150〜500μm(例えば、170〜300μm)程度であってもよい。
布帛の見掛密度は、例えば、0.5〜1.5g/cm、好ましくは0.7〜1.3g/cm、さらに好ましくは0.8〜1.2g/cm程度であってもよい。密度が大きすぎると、樹脂成分を溶融含浸する際に、樹脂の含浸が困難となるおそれがあり、小さすぎると、樹脂成分を溶融含浸する際に、布帛に含まれる空気の脱気が困難となるおそれがある。
布帛が織布の場合、布帛の糸密度(経糸及び緯糸の密度)は、例えば、1〜50本/25mm、好ましくは2〜30本/25mm、さらに好ましくは5〜20本/25mm(例えば、8〜15本/25mm)程度であってもよい。密度が高すぎると、樹脂成分を溶融含浸する際に、樹脂の含浸が困難となるおそれがある。また、密度が低すぎると、樹脂成分を溶融含浸する際に、布帛に含まれる空気の脱気が困難となるおそれがある。
代表的な布帛としては、例えば、炭素繊維クロス、ガラスクロスなどが挙げられ、炭素繊維クロス(例えば、PAN系炭素繊維のクロスなど)が好ましい。
また、繊維の断面形状は、特に制限されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形状などであってもよい。
なお、繊維状補強材は、集束剤やシランカップリング剤などで表面処理されていてもよい。
樹脂組成物において、ポリアミド樹脂100重量部に対する繊維状補強材の割合は、例えば、1〜200重量部(例えば、10〜180重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、20〜150重量部(例えば、25〜140重量部)、好ましくは30〜130重量部(例えば、35〜125重量部)、さらに好ましくは40〜120重量部(例えば、45〜115重量部)程度であってもよく、15〜100重量部(例えば、30〜80重量部)程度であってもよい。特に高い機械的強度が必要な用途では、ポリアミド樹脂100重量部に対する繊維状補強材の割合は、例えば、50〜150重量部(例えば、60〜130重量部)、好ましくは65〜120重量部(例えば、70〜115重量部)程度であってもよい。繊維状補強材が布帛である場合には、例えば、1〜500重量部(例えば、20〜300重量部)、好ましくは50〜200重量部(例えば、80〜150重量部)、さらに好ましくは100〜130重量部(例えば、110〜120重量部)程度であってもよい。
また、繊維状補強材は、上記重量割合に限定されず、下記体積割合で含まれていてもよい。ポリアミド樹脂100体積部に対する繊維状補強材の割合は、例えば、0.1〜150体積部程度の範囲から選択でき、例えば、1〜120体積部(例えば、5〜100体積部)、好ましくは10〜80体積部(例えば、15〜70体積部)、さらに好ましくは18〜60体積部(例えば、20〜55体積部)程度であってもよい。繊維状補強材が布帛である場合には、例えば、0.1〜400体積部(例えば、1〜200体積部)、好ましくは10〜150体積部(例えば、30〜120体積部)、さらに好ましくは50〜100体積部(例えば、60〜80体積部)程度であってもよい。繊維状補強材の量が多すぎると、溶融流動性や、成形体の表面平滑性が保持又は向上できないおそれがある。また、少なすぎると、機械的強度が向上できないおそれがある。ポリアミド樹脂に、繊維状補強材を混合(又は混練)すると、通常、溶融粘度が著しく上昇するが、本発明の樹脂組成物では、比較的多くの繊維状補強材を混合しても、良好な溶融流動性を発揮できる。
なお、前記体積(部)は重量と密度とから換算してもよく、混合するポリアミド樹脂及び繊維状補強材の重量をそれぞれの密度(又は真密度)で除することで算出できる。そのため、体積(例えば、繊維状補強材の体積)は、空隙(例えば、繊維間に形成される空隙など)を実質的に含まない体積を意味する。
[フルオレン化合物]
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂に9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を含むため、機械的特性を損なうことなく、溶融流動性を改善できる。また、9,9−ビスアリールフルオレン骨格(カルド構造)の疎水性が比較的高いためか、樹脂組成物において、吸水(又は吸湿)し易いポリアミド樹脂を含むにもかかわらず、吸水性も低減できる。
上記のような特性を発現するフルオレン化合物は、反応性基又は官能基を有していない化合物[後述の式(1)においてpが0である化合物、例えば、9,9−ビスフェニルフルオレンなどの9,9−ビスアリールフルオレンなど]であってもよいが、通常、反応性基又は官能基を有している。
反応性基又は官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、N−置換アミノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基(例えば、グリシジルオキシ基など)などが挙げられる。フルオレン化合物は、これらの反応性基を、単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
反応性基又は官能基は、9,9−ビスアリールフルオレンに直接的に結合していてもよく、適当な連結基(例えば、(ポリ)オキシアルキレン基など)を介して9,9−ビスアリールフルオレンに結合していてもよい。具体的なフルオレン化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 0006807315
[式中、環Zは芳香族炭化水素環、RおよびRは置換基、Xは、基−[(OR−Y](式中、Yは、ヒドロキシル基、メルカプト基、グリシジルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基、Rはアルキレン基、nは0又は1以上の整数を示す。)又はアミノ基、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、pは1以上の整数を示す。]
上記式(1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合二乃至四環式炭化水素など]、環集合炭化水素環(ビフェニル環、テルフェニル環、ビナフチル環などのビ又はテルC6−10アレーン環)が挙げられる。なお、2つの環Zは異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。好ましい環Zには、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環が含まれ、特に、ベンゼン環であってもよい。
前記式(1)において、基Rとしては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]、アシル基(例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基などのアルキルカルボニル基)などの非反応性置換基が挙げられ、特に、アルキル基などである場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−8アルキル基(例えば、C1−6アルキル基、特にメチル基などのC1−4アルキル基)などが例示できる。なお、置換数kが複数(2〜4)である場合、フルオレン骨格中の同一のベンゼン環に置換した複数の基Rの種類は互いに同一又は異なっていてもよい。また、フルオレン骨格中の異なるベンゼン環に置換した基Rの種類は互いに同一又は異なっていてもよい。また、基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2−位、7−位、2−及び7−位などが挙げられる。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、2つの置換数kは、同一又は異なっていてもよい。
環Zに置換する置換基Rとしては、通常、非反応性置換基、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−8アルキル基、好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基などのC1−8アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)などの基−OR[式中、Rは前記例示の炭化水素基を示す。];アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ);アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など)などが挙げられる。
好ましい基Rとしては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、C6−10アリール基など)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基など)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。さらに好ましい基Rには、アルキル基[例えば、C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]などが含まれる。なお、基Rがアリール基であるとき、基Rは、環Zとともに、前記環集合炭化水素環を形成してもよい。
なお、同一の環Zにおいて、置換数mが複数(2以上)である場合、同一の環Zに置換する2以上の基Rの種類は互いに同一又は異なっていてもよい。また、2つの環Zにおいて、基Rの種類は同一又は異なっていてもよい。また、置換数mは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜8、好ましくは0〜4(例えば、0〜3)、さらに好ましくは0〜2(例えば、0又は1、特に0)であってもよい。なお、異なる環Zにおいて、置換数mは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)の基Xにおいて、基Rで表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基が挙げられる。なお、nが2以上であるとき、アルキレン基の種類は異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。また、2つの環Zにおいて、基Rの種類は同一又は異なっていてもよい。
オキシアルキレン基(OR)の数(付加モル数)nは、0又は1以上(例えば、0〜20程度)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜15(例えば、1〜12)、好ましくは0〜10(例えば、1〜8)、さらに好ましくは0〜7(例えば、1〜6)、特に0〜5(例えば、0〜2、特に1〜2)程度であってもよい。また、nは前記式(1)で表される化合物の分子集合体における平均値であってもよく、例えば、0〜15(例えば、0〜10)、好ましくは0〜7(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜5(例えば、1〜4)、特に0〜3(例えば、0〜2、特に1〜2)程度であってもよい。nが大きすぎると、Rがエチレン基である場合に、低吸水性が低下するおそれがある。なお、pが2以上であるとき、置換数nは、同一の環Zに置換する2以上の基−[(OR−Y]において、同一又は異なっていてもよい。また、置換数nは、異なる環Zに置換した基−[(OR−Y]において、同一又は異なっていてもよい。
ポリアミド樹脂との相溶性、機械強度の維持、流動性改善効果の観点から、好ましい基Xは、基−[(OR−Y]であり、基Yはヒドロキシル基であるのが好ましい。なお、式(1)において、基Yがヒドロキシル基である化合物、及びこれらの化合物のアルキレンオキサイド付加体は、下記式(1A)で表される。
Figure 0006807315
(式中、Z、R、k、R、m、R、n、pは前記式(1)と同じ。)
基X(又は基−[(OR−OH])の置換数pは、1以上(例えば、1〜6)であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。なお、置換数pは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
また、前記式(1)[又は(1A)]において、基X(又は基−[(OR−OH])の置換位置は、特に限定されず、環Zの適当な置換位置に置換していればよい。例えば、基Xは、環Zがベンゼン環である場合、フェニル基の2−位、3−位及び/又は4−位に置換していればよく、好ましくは4−位に置換していてもよい。また、基Xは、環Zが縮合多環式炭化水素環である場合、縮合多環式炭化水素環において、フルオレンの9−位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5−位、6−位など)に少なくとも置換している場合が多い。
具体的なフルオレン化合物には、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類]、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類];これらの化合物において、ヒドロキシル基が、メルカプト基、グリシジルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基に置換した化合物などが挙げられる。
9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン]などが挙げられる。
また、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類としては、前記9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応し、フェニル基がナフチル基に置換した化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレン]などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(1A)において、nが1である化合物);9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど}などの9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(1A)において、nが2以上である化合物)などが含まれる。
また、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類としては、前記9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類に対応し、フェニル基がナフチル基に置換した化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど}などの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン類(前記式(1A)において、nが1である化合物);9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{6−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{5−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−1−ナフチル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど}などの9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシナフチル)フルオレン類(前記式(1A)において、nが2以上である化合物)などが含まれる。
これらのフルオレン化合物のうち、前記式(1A)において、基−[(OR−OH]を「A」で表すと、2つの置換数kがともに0である下記表に示す化合物が好ましい。
Figure 0006807315
上記表1のnは平均値であってもよく、n=2〜10である化合物において、通常、n=2〜8、好ましくはn=2〜7(例えば、2〜5)程度であってもよい。
なお、ポリアミド樹脂の種類によっては、n=0である化合物又はnが1以上である化合物が、ポリアミド樹脂の溶融粘度を顕著に低減する場合がある。そのため、フルオレン化合物として、n=0である化合物、又はnが1以上である化合物を選択できる。n=0の化合物に比べて、nが1以上の化合物[例えば、n=1〜10(好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜2)である化合物]は、樹脂組成物の機械的特性を損なうことなく、環Zがベンゼン環のみならず、ビフェニル環などの多環式芳香族炭化水素環であっても、ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度を有効に低減するようである。そのため、フルオレン化合物は、フェノール性ヒドロキシル基よりもアルコール性ヒドロキシル基を有するのが好ましいようである。
フルオレン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、フルオレン化合物は、市販品を用いてもよく、慣用の方法により合成してもよい。
なお、前記フルオレン化合物は、結晶状態のフルオレン化合物を含んでいてもよく、非結晶状態のフルオレン化合物を含んでいてもよい。結晶状態である場合には、例えば、融点は、100〜180℃(好ましくは110〜170℃、さらに好ましくは115〜165℃)程度であってもよく、非結晶状態である場合には、ガラス転移温度は、例えば、50〜100℃(好ましくは60〜90℃、さらに好ましくは70〜80℃)程度であってもよい。また、フルオレン化合物は、熱分解温度も高く、例えば、熱重量測定示差熱分析(TG−DTA)で測定したとき、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF)の熱分解温度は、5重量%減少温度が301℃程度であり、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)の熱分解温度は、5重量%減少温度が342℃程度である。このように前記式(1)又は(1A)において、n=0の化合物に比べて、n=1以上の整数の化合物の熱分解温度が高いようである。さらに、環Zが、環集合炭化水素環(ビフェニル環など)、縮合多環式芳香族炭化水素環(例えば、ナフタレン環など)である化合物の熱分解温度はさらに高くなる。そのため、通常、前記式(1)又は(1A)で表されるフルオレン化合物(例えば、n=0〜2程度の化合物)の熱分解温度は、例えば、300〜400℃(例えば、320〜380℃)程度であってもよい。このように、フルオレン化合物は、高温でも分解することなく、樹脂組成物の溶融流動性を改善できる。
樹脂組成物において、ポリアミド樹脂100重量部に対するフルオレン化合物の割合は、例えば、0.01〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜50重量部(例えば、0.5〜30重量部)、好ましくは1〜15重量部(例えば、2〜14重量部)、さらに好ましくは4〜13重量部(例えば、5〜12重量部)程度であってもよく、3〜10重量(例えば、5〜10重量部)程度であってもよい。フルオレン化合物の量が多すぎると、機械強度が低下するおそれがある。フルオレン化合物の量が少なすぎると、溶融流動性や成形体の表面平滑性を向上できず、吸水性も低減できないおそれがある。しかし、本発明では、意外なことに、フルオレン化合物の量が比較的少量であっても、空隙の発生を抑制したり、溶融流動性などの特性を有効に向上することができる。
[樹脂組成物及び成形体]
本発明の樹脂組成物は、繊維状補強材を含んでいるにもかかわらず、予想に反して、空隙の発生を低減し、成形体の表面平滑性を向上できる。この点に関して、通常、ポリアミド樹脂が繊維状補強材を含むと、樹脂組成物又は成形体の空隙が発生し易く、成形体の表面平滑性は著しく低下し、これらを改善又は向上させるのは困難であるが、本発明では、フルオレン化合物の添加により(特に、添加量が比較的少量であっても)、空隙の発生を抑制し、表面平滑性の向上を容易に達成できる。このような特性が発現する理由は定かではないが、非特許文献1に記載のように、ポリアミド樹脂とフルオレン化合物との混合により、水素結合の緩和が観察されるため、この水素結合から解放された(又はフリーな)アミド結合や、末端のアミノ基及びカルボキシル基などが、樹脂組成物中の繊維状補強材との間で、何らかの作用を起こすためではないかと推測される。そのため、本発明は、ポリアミド樹脂と繊維状補強材とを含む繊維強化ポリアミド樹脂組成物に、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を添加して成形し、成形体の表面平滑性を改善する方法も包含する。
このような特性を発現する樹脂組成物は、ポリアミド樹脂に対して、繊維状補強材と9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とを含んでいればよく、それぞれの割合は、前述の各項に記載の割合程度であってもよい。なお、樹脂組成物は、さらに、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン樹脂[エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、環状オレフィン樹脂など]、ハロゲン含有ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂など)、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン(PS);スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)などの共重合体;耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)などのゴムグラフトスチレン系共重合体など)、芳香族ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート樹脂(PAR)など)、ポリカーボネート樹脂(PC)(例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂など)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリスルホン樹脂(PSF)(ポリエーテルスルホン(PES)などを含む)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)(ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)を含む)、ポリイミド樹脂(ポリエーテルイミド(PEI)、液晶性ポリマー(LCP)を含む)、熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
また、必要に応じて、ポリアミド樹脂(PA)は、前記熱可塑性樹脂とのポリマーアロイを形成してもよい。ポリマーアロイとしては、例えば、前記スチレン系樹脂(例えば、ABS樹脂、MBS樹脂など)とのアロイ;芳香族ポリエステル樹脂(例えば、PET、PBT、PEN、PARなど)とのアロイ;PPEとのアロイ;PC(例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂など)とのアロイ;PPSとのアロイ;LCPとのアロイ;PSF(PESなどを含む)、PEK(PEEKなどを含む)などとのアロイなどが例示できる。これらのポリマーアロイは相溶化剤を含んでいてもよい。
なお、樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤[例えば、粉粒状の充填材又は補強剤(又は強化材)、着色剤(例えば、染顔料など)、導電剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、滑剤、安定剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、低応力化剤、核剤、結晶化促進剤など]を含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、繊維状補強材と、フルオレン化合物と、必要に応じて他の成分(熱可塑性樹脂や添加剤など)とを、乾式混合、溶融混練などの慣用の方法で混合することにより調製でき、樹脂組成物は、ペレットなどの形態であってもよい。また、繊維状補強材が布帛の形態である場合、樹脂組成物は、ポリアミド樹脂とフルオレン骨格化合物と(必要に応じて他の成分と)を含む樹脂組成物形成成分を繊維状補強材に溶融含浸して調製してもよい。そのため、樹脂組成物は、シート(プリプレグ又はスタンパブルシート)などの形態であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、高い溶融流動性を有しており、樹脂組成物が半芳香族ポリアミド(ポリアミド6Tなど)などの高い融点(例えば、280℃以上、好ましくは300℃以上などの融点)を有するポリアミド樹脂を含む場合、ISO 1133に準じて測定したMFR(メルトフローレート又はメルトフローインデックス(MFI))(温度:335℃、荷重:2.16kgf)は、例えば、40〜300g/10分程度の範囲から選択でき、例えば、60〜250g/10分、好ましくは65〜220g/10分(例えば、70〜200g/10分)、さらに好ましくは75〜180g/10分(例えば、80〜165g/10分)程度であってもよい。また、樹脂組成物が脂肪族ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド66など)などの比較的低い融点(例えば、280℃未満の融点)を有するポリアミド樹脂を含む場合、ISO 1133に準じて測定したMFR(温度:280℃、荷重:2.16kgf)は、例えば、1〜100g/10分程度の範囲から選択でき、例えば、3〜50g/10分、好ましくは5〜40g/10分(例えば、7〜35g/10分)、さらに好ましくは8〜30g/10分(例えば、10〜25g/10分)程度であってもよい。
また、樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を含むにもかかわらず、吸水性(又は吸湿性)を低減でき、23℃の水に24時間浸漬した後の重量増加率(又は吸水率)は、例えば、0.001〜1%程度の範囲から選択でき、例えば、0.005〜0.5%、好ましくは0.01〜0.35%(例えば、0.1〜0.34%)、さらに好ましくは0.2〜0.33%(例えば、0.24〜0.325%)程度であってもよい。なお、重量増加率(又は吸水率)は、後述する実施例に記載の方法などにより測定してもよい。
さらに、樹脂組成物は、フルオレン化合物などの比較的低分子量の成分を含むにもかかわらず、良好な機械的特性を有している。JIS K7110に準じて測定した樹脂組成物のアイゾット衝撃強度(ノッチ付き)は、例えば、1〜50kJ/m(例えば、3〜30kJ/m程程度の範囲から選択でき、例えば、3〜20kJ/m(例えば、5〜12kJ/m)、好ましくは7〜10kJ/m、さらに好ましくは7.2〜9.5kJ/m程度であってもよい。
ISO 527に準じて測定した引張強さ(試験速度5mm/分)は、例えば、100〜300MPa、好ましくは150〜250MPa、さらに好ましくは170〜240MPa程度であってもよく、200〜280MPa(例えば、220〜260MPa)程度であってもよい。また、引張伸びは、例えば、0.5〜5%(例えば、1〜3%)、好ましくは1.3〜2.7%、さらに好ましくは1.5〜2.5%程度であってもよい。
ISO 178に準じて測定した曲げ強さは、例えば、100〜1000MPa(例えば、230〜430MPa)、好ましくは250〜410MPa(例えば、300〜405MPa)、さらに好ましくは270〜390MPa(例えば、350〜385MPa)程度であってもよい。特に、繊維状補強材が布帛の形態である場合、曲げ強さは、例えば、200〜1000MPa、好ましくは400〜800MPa、さらに好ましくは500〜600MPa程度であってもよい。また、曲げ弾性率は、例えば、1〜100GPa(例えば、5〜20GPa)、好ましくは6〜50GPa(例えば、8〜18GPa)、さらに好ましくは10〜30GPa(例えば、10〜17.5GPa)程度であってもよく、15〜25GPa程度であってもよい。特に、繊維状補強材が布帛の形態である場合、曲げ強さは、例えば、20〜80GPa、好ましくは30〜60GPa、さらに好ましくは40〜50GPa程度であってもよい
ISO 75に準じて測定した荷重たわみ温度(曲げ応力:1.8MPa、フラットワイズ)は、例えば、200〜350℃(例えば、220〜260℃)、好ましくは240〜300℃、さらに好ましくは260〜285℃程度であってもよく、230〜290℃(例えば、235〜250℃)程度であってもよい。
また、本発明では、空隙の発生を抑制できるため、本発明の樹脂組成物において、フルオレン化合物に代えてポリアミド樹脂(樹脂組成物中のポリアミド樹脂と同一のポリアミド樹脂)を用いた比較組成物に対して、比重が向上する。JIS K7112に準じて測定した比重は、前記比較組成物の比重に対して、例えば、0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.2〜3%(例えば、0.3〜2%)程度向上してもよい。特に、繊維状補強材が布帛の形態である場合、比重は、前記比較組成物に対して、例えば、0.01〜20%、好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは1〜7%(例えば、3〜5%)程度向上してもよい。
空隙率(空洞率又は空隙体積含有率)Vvは、例えば、5%以下(例えば、0〜3%程度)、好ましくは1%以下(例えば、0.001〜0.5%程度)、さらに好ましくは0.1%以下(例えば、0.01〜0.05%程度)であってもよい。また、繊維状補強材が布帛の形態である場合、空隙率は、例えば、5%以下(例えば、0〜4%程度)、好ましくは3%以下(例えば、0.05〜2%程度)、さらに好ましくは1%以下(例えば、0.1〜0.5%程度)であってもよい。
また、本発明は、前記樹脂組成物で形成された成形体も包含する。本発明の成形体は、繊維状補強材を含んでいるにもかかわらず、高い表面平滑性を有しており、JIS B0633(2001)に準じて測定した算術平均粗さRaは、例えば、0.01〜2μm、好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.3〜1.4μm(例えば、0.5〜1.3μm)程度であってもよく、十点平均粗さRzJISは、例えば、0.01〜12μm、好ましくは0.1〜11μm、さらに好ましくは1〜10.5μm(例えば、4〜10μm)程度であってもよく、2〜11μm(例えば、3〜10μm)程度であってもよい。なお、詳細には、後述する実施例に記載の方法によって測定してもよい。
また、成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて選択でき、例えば、一次元的構造体(例えば、線状(又は糸状)など)、二次元的構造体(例えば、フィルム状、シート状、板状など)、三次元的構造体(例えば、ブロック状、棒状、中空状(管状(又はチューブ状)など)など)などであってもよい。本発明では、繊維状補強材とポリアミド樹脂とが密着して成形体の空隙の発生を抑制できるため、これらの成形体を切削加工しても、切断面の外観は良好である。
成形体は、例えば、圧縮成形法、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法などの慣用の成形法を利用して製造することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、各種評価方法及び使用した原料を下記に示す。
(MFR)
比較例1〜2及び実施例1〜6では、ISO 1133に準じて、温度335℃、試験荷重2.16kgf、保持時間5分で測定した。比較例3〜4及び実施例7〜10では、ISO 1133に準じて、温度280℃、試験荷重2.16kgf、保持時間5分で測定した。
(重量増加率(又は吸水率))
30mm×50mm×3mmの試験片を作製し、水に浸漬し、23℃に設定した乾燥機内に保管した。24時間後に試験片を取り出し、浸漬前後の重量から、下記式により算出した。
重量増加率[%]=(W2−W1)/W1×100
(式中、W1は、浸漬前の重量、W2は、24時間浸漬後の重量を示す。)。
(アイゾット衝撃強度(ノッチ付き))
JIS K7110に準じて測定した。
(引張強さ及び引張伸び)
ISO 527に準じて、試験速度5mm/分で測定した。
(曲げ強さ及び曲げ弾性率)
ISO 178に準じて測定した。
(荷重たわみ温度)
ISO 75に準じて、曲げ応力1.8MPa、フラットワイズ法で測定した。
(成形体の表面粗さ)
JIS B0633(2001)に準じて、ガウシアンフィルタを使用し、評価長さ4.0mm、λc:0.8mm、λs:2.5μm、測定速度0.5mm/秒の条件で、算術平均粗さRa及び十点平均粗さRzJISを測定した。Ra及びRzJISは、それぞれ8ヶ所で測定し、得られる8個の数値のうち、最大値及び最小値を除いた6個の数値の平均値を採用した。なお、測定装置は、JIS B0651(2001)に準じた測定装置を使用した。
(比重)
JIS K7112に準じて測定した。
(空隙率Vv)
空隙率(空洞率又は空隙体積含有率)Vvは、下記式より算出した。
Vv=100×(ρ−ρmc)/ρ
ρ=100/(W/ρ+WPA/ρPA
(式中、ρは理論密度(g/cm)、ρmcは実測した密度(g/cm)、Wは繊維状補強材の重量含有率(%)、ρは繊維の真密度(g/cm)、WPAはポリアミド樹脂の重量含有率(%)、ρPAはポリアミド樹脂の密度(g/cm)を示す)。
ここで、ρmcは実測した比重の値を用い、ガラス繊維の真密度は2.60g/cm、炭素繊維の真密度は1.8g/cm、PA6Tの密度は1.20g/cm、PA66の密度は1.14g/cm、PA6の密度は1.14g/cmをそれぞれ用いて算出した。なお、各実施例で用いたBPEF含有ポリアミド樹脂の密度は、各ポリアミド樹脂単体の密度と同様であったため、前記値を使用した。
(原料)
ポリアミド樹脂
ポリアミド6T(PA6T):SOLVAY社製
ポリアミド66(PA66):旭化成(株)製「レオナ1402S」
ポリアミド6(PA6):東洋紡(株)製「グラマイドT−860」
繊維状補強材
ガラス繊維(GF):日本電気硝子(株)製「ECS03 TH−262H」、平均繊維径10.5±1.0μm、カット長3.0mm
炭素繊維(CF):日本ポリマー産業(株)製「CFUW−MC C6」、PAN系、カット長6.0mm
炭素繊維クロス(CFクロス):三菱レイヨン(株)製「TR3110M」、PAN系、平織、目付200g/m、厚さ0.23mm、密度12.5本/インチ(原糸 三菱レイヨン(株)製「TR30S 3L」、フィラメント数3,000、フィラメント径7μm、繊度200g/1000m)
フルオレン化合物
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン:大阪ガスケミカル(株)製「BPEF」。
(比較例1〜2)
二軸押出機(Warner & Pfleiderer社製「ZSK40」、L/D:41.75、スクリュー径:44mm)を用いて、温度355±10℃、スクリュー回転数180rpm、吐出量60kg/時の条件で、ポリアミド6Tとガラス繊維とを下記表2に示す割合で混練して、ペレット状の樹脂組成物を調製した。なお、ガラス繊維は、振動フィーダーを用いてサイドフィードした。得られた樹脂組成物を用いて、射出成型により、各評価項目の試験片を作製した。配合割合及び評価結果を表2に示す。
(実施例1〜6)
混練前に、予めポリアミド6TとBPEFとをドライブレンドする以外、比較例1〜2と同様の方法により、ペレット状の樹脂組成物及び各評価項目の試験片を調製した。配合割合及び評価結果を表2に示す。
Figure 0006807315
表2から明らかなように、同じGF含有量において、比較例に比べて、実施例では比重が増加(又は空隙率が減少)する傾向にあり、隙間なく均質な樹脂組成物が形成されている。しかも、比較例に比べ、実施例では、MFRが高く、吸水に伴う重量増加率も低い。また、樹脂組成物中で同量のガラス繊維を含む比較例に比べて、実施例では、MFRが3〜4.5倍程度も高いにもかかわらず、機械的特性はそれほど大きく変化していない。さらに、実施例は、多量のガラス繊維を含んでいるにもかかわらず、良好な表面平滑性を有している。
(比較例3〜4)
二軸押出機(Warner & Pfleiderer社製「ZSK40」、L/D:41.75、スクリュー径:44mm)を用いて、温度300±10℃、スクリュー回転数180rpm、吐出量60kg/時の条件で、ポリアミド66と、ガラス繊維又は炭素繊維とを下記表3に示す割合で混練して、ペレット状の樹脂組成物を調製した。なお、ガラス繊維又は炭素繊維は、振動フィーダーを用いてサイドフィードした。得られた樹脂組成物を用いて、射出成型により、各評価項目の試験片を作製した。配合割合及び評価結果を表3に示す。
(実施例7〜12)
混練前に、予めポリアミド66とBPEFとをドライブレンドする以外、比較例3〜4と同様の方法により、ペレット状の樹脂組成物及び各評価項目の試験片を調製した。配合割合及び評価結果を表3に示す。
Figure 0006807315
表3から明らかなように、脂肪族ポリアミドであるPA66を用いても、組成物全重量に対して同量の繊維を含む比較例に比べて、実施例では、比重が増加(又は空隙率が減少)し、より均質な樹脂組成物が形成されている。また、実施例では、比較例に比べて、機械的強度をそれほど低下することなく、MFRを約3〜56倍程度にまで向上することができた。さらに、繊維状補強材の種類に拘らず、同様の傾向を示していた。
(比較例5)
PA6を押出成形により、幅80mm×長さ245mm×厚み200μmのフィルムを成形した。
炭素繊維クロス(幅245mm×長さ245mm×厚み230μm)8層と、PA6フィルム7層とを1層ずつ交互に積み重ねた。なお、PA6フィルムの各層は、成形したフィルムを幅方向に3枚並べて(幅240mm×長さ245mm×厚み200μm)形成した。さらに、225℃、6MPaの条件下、10分間プレス成形し、積層体を成形した。この積層体の評価結果を表4に示す。
(実施例13)
予めBPEFと表4に記載の割合でドライブレンドしたPA6を用いる以外、比較例5と同様にして積層体を調製した。得られた積層体の評価結果を表4に示す。
Figure 0006807315
表4から明らかなように、比較例5に比べて、実施例13では曲げ強さ及び曲げ弾性率が著しく大きく向上した。このことは、短繊維を含有し、かつBPEFをポリアミド樹脂との総量に対して10重量%含む実施例4、6、8及び12では、BPEFを含まない各比較例に比べ、曲げ強さは多くとも約4%程度、曲げ弾性率は多くとも約12%程度の向上であるのに対して、実施例13では、曲げ強さが約121%、曲げ弾性率が約65%も向上していることからも明らかである。このような効果は、布帛であるCFクロスをPA6及びBPEFと組み合わせることで初めて確認されるため、意外かつ顕著な効果である。このような効果が得られる理由は定かではないが、短繊維の実施例と比較して、空隙率Vvが大きく減少し、CFクロスとPA6及びBPEFとの密着性が著しく向上したためであると推測される。
本発明の繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、空隙の発生を有効に抑制し、かつ繊維状補強材により強化した機械的特性を損なうことなく、良好な溶融流動性を有し、さらに、成形体の表面平滑性にも優れている。そのため、例えば、高い機械的強度や表面平滑性が要求される成形品などに有効に利用できる。また、低吸水性を有するため、ポリアミド樹脂の弱点である吸水による機械的特性や寸法安定性などの劣化を抑制できる。そのため、高湿度環境下で使用される用途へも展開できる。代表的な用途としては、例えば、ポリアミド樹脂が、耐摩耗性、潤滑性、耐熱性、耐薬品性などの特性に優れていることを利用して、繊維、フィルム、日用品、自動車関連部品、電気・電子関連部品、機械関連部品、建築関連部品、スポーツ・レジャー関連部品などの幅広い用途に利用できる。より具体的には、例えば、ロープ、タイヤコード、漁網、濾過布、衣料用芯材、包装用フィルム、ラジエータタンク、マニホールド、配管用チューブ及びパイプ、ホース、エアクリーナ、クラッチ部品、コネクタ(電気回路コネクタなどを含む)、スイッチ、ギヤ、プーリ、カム、ブッシュ、ローラ、軸受け、ハウジング、ケーシング、電線被覆、戸車、レール部品、キャスタ、シューズ、シャトルコック、リールなどの幅広い用途に利用できる。

Claims (13)

  1. ポリアミド樹脂と、繊維状補強材と、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とを含む樹脂組成物であって、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が、下記式(1)で表される化合物である樹脂組成物。
    Figure 0006807315
    [式中、環Zは芳香族炭化水素環、RおよびRは置換基、Xは、基−[(OR−Y](式中、Yは、ヒドロキシル基、R はアルキレン基、nは0又は1以上の整数を示す。)、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、pは1以上の整数を示す。]
  2. 9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が、下記式(1A)で表される化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
    Figure 0006807315
    (式中、環Zはベンゼン環又はナフタレン環、Rはアルキル基、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基、kは0〜1、mは0〜2、RはC2−4アルキレン基、nは0〜20、pは1〜3を示す。)
  3. 9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、及びこれらの化合物1モル当たりに、1〜10モルのアルキレンオキサイドが付加した付加体から選択された少なくとも1種である請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. ポリアミド樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂、脂環族ポリアミド樹脂、および芳香族ポリアミド樹脂から選択された少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 繊維状補強材がガラス繊維及び/又は炭素繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 繊維状補強材が布帛である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. ポリアミド樹脂100重量部に対して、繊維状補強材を1〜200重量部、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を0.1〜50重量部の割合で含む請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. ポリアミド樹脂が脂肪族ポリアミド樹脂及び/又は半芳香族ポリアミド樹脂であり、かつポリアミド樹脂100重量部に対して、繊維状補強材を20〜150重量部、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を1〜15重量部の割合で含む請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. ISO 1133に準じて温度335℃、荷重2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが、60〜250g/10分であるか、又は温度280℃、荷重2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが、5〜40g/10分である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 23℃の水に24時間浸漬した後の重量増加率が、0.01〜0.35%である請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物で形成された成形体。
  12. JIS B0633(2001)に準じて測定した算術平均粗さRaが、0.01〜2μmであり、十点平均粗さRzJISが、0.01〜12μmである請求項11記載の成形体。
  13. ポリアミド樹脂と繊維状補強材とを含む繊維強化ポリアミド樹脂組成物に、請求項1記載の9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を添加して成形し、成形体の表面平滑性を改善する方法。
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