JP2022104212A - 樹脂組成物、成形体および電磁波吸収体 - Google Patents

樹脂組成物、成形体および電磁波吸収体 Download PDF

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Shuta Izeki
英和 庄司
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Abstract

【課題】 電磁波の吸収率が高く、かつ、難燃性に優れた樹脂組成物、ならびに、成形体および電磁波吸収体の提供。【解決手段】 熱可塑性樹脂と、カーボンナノチューブと臭素系難燃剤とを含み、前記カーボンナノチューブ(CNT)と臭素系難燃剤に含まれる臭素原子(Br)の質量比率であるCNT/Brが0.01~0.40である、樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物、成形体および電磁波吸収体に関する。
ミリ波レーダーは、30~300GHz、特に、60~90GHzの周波数の、1~10mmの波長を持つミリ波帯の電波を発信し、対象物に衝突して戻ってくる反射波を受信することによって障害物の存在や、対象物との距離や相対速度を検知するものである。ミリ波レーダーとしては、自動車の衝突防止用センサー、自動運転システム、道路情報提供システム、セキュリティシステム、医療・介護デバイス等幅広い分野の利用が検討されている。
かかるミリ波レーダー用の樹脂組成物として、特許文献1に記載のものが知られている。また、特許文献2には、電磁干渉遮蔽用または無線周波数干渉遮蔽用として用いられうる多機能性樹脂組成物が開示されている。
特開2019-197048号公報 特開2010-155993号公報
ここで、ミリ波レーダーにおいては、電磁波の吸収率が高い材料の需要が増加している。さらに、電磁波吸収性の材料においても、用途によっては難燃性が求められる。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、電磁波の吸収率が高く、かつ、難燃性に優れた樹脂組成物、ならびに、成形体および電磁波吸収体を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、熱可塑性樹脂に、カーボンナノチューブと臭素系難燃剤を配合し、カーボンナノチューブと臭素系難燃剤に含まれる臭素原子の比率を所定の範囲とすることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>熱可塑性樹脂と、カーボンナノチューブと臭素系難燃剤とを含み、前記カーボンナノチューブ(CNT)と臭素系難燃剤に含まれる臭素原子(Br)の質量比率であるCNT/Brが0.01~0.40である、樹脂組成物。
<2>さらに、アンチモン化合物を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>さらに、強化材を含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記強化材がガラス繊維を含む、<3>に記載の樹脂組成物。
<5>前記熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、前記カーボンナノチューブを0.1~10.0質量部含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7>前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブを含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>前記樹脂組成物を0.8mm厚さの試験片に成形し、UL94燃焼試験に従った難燃性の判定がV-0またはV-1である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>電磁波吸収性である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10>前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(A)
Figure 2022104212000001
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
<11><1>~<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形体。
<12><1>~<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された電磁波吸収体。
本発明により、電磁波の吸収率が高く、かつ、難燃性に優れた樹脂組成物、ならびに、成形体および電磁波吸収体を提供可能になった。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートおよびアクリレートの少なくとも一方であることを意味する。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、特に述べない限り、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、反射減衰量および透過減衰量の単位は「dB」(デシベル)である。
本明細書で示す規格が年度によって、測定方法等が異なる場合、特に述べない限り、出願時点における規格に基づくものとする。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、カーボンナノチューブと臭素系難燃剤とを含み、前記カーボンナノチューブ(CNT)と臭素系難燃剤に含まれる臭素原子(Br)の質量比率であるCNT/Brが0.01~0.40であることを特徴とする。このような構成とすることにより、電磁波の吸収率が高く、かつ、難燃性に優れた樹脂組成物が得られる。
本実施形態においては、CNTを配合することにより、電磁波の吸収率を高くできる。さらに、臭素系難燃剤に加え、CNTを配合することにより、燃焼時の熱可塑性樹脂のたれ落ちを抑制し、難燃性(UL94)を向上させている。これは、CNTが繊維の形状をしており、熱可塑性樹脂との密着性がよいことから、たれ落ちが抑制されると推測される。一方、臭素系難燃剤が少なくCNTが比較的多く、所定のCNT/Brを外れると、CNTが臭素系難燃剤に対して多量に入っているため、燃焼時間が長くなってしまう。これは、CNTは炭素を原料とするものであり、配合量が多いと、自身の燃焼が進行するためと推測される。本実施形態では、臭素系難燃剤に含まれる臭素原子(Br)の質量比率を精密に調整することにより、高い電磁波吸収率を達成しつつ、高い難燃性を達成している。
さらに、ミリ波レーダーにおいては、透過する電磁波に加え、反射する電磁波もノイズとなり、誤作動の原因となる。そのため、電磁波の吸収率が高く、透過率および反射率が小さい材料の需要が増加している。本実施形態の樹脂組成物は、電磁波の吸収率が高く、透過率および反射率が小さいものとできる点で好ましい。
加えて、本実施形態の樹脂組成物は、機械的強度が高いものとすることができる。
<熱可塑性樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む。
本実施形態で用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂);ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂;等が好ましく例示され、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂の少なくとも1種を含むことがより好ましく、ポリエステル樹脂を含むことがさらに好ましく、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むことが一層好ましい。
ただし、熱可塑性樹脂であって、後述する臭素系難燃剤に該当するものは、臭素系難燃剤に分類される。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい一例は、ポリエステル樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリエステル樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)であることである。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい他の一例は、ポリカーボネート樹脂を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリカーボネート樹脂であることである。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい他の一例は、ポリフェニレンエーテル樹脂を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリフェニレンエーテル樹脂であることである。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい他の一例は、ポリアミド樹脂(好ましくは、後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂)を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリアミド樹脂(好ましくは、後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂)であることである。
本実施形態の樹脂組成物は、また、2種以上の熱可塑性樹脂をブレンドしたアロイであってもよい。2種以上の熱可塑性樹脂を配合すると、通常は、完全に相溶せず、海島構造ができる。この島の部分には、カーボンナノチューブは存在しにくくなるため、結果的に、樹脂組成物または電磁波吸収体中のカーボンナノチューブが存在する領域が狭くなり、カーボンナノチューブの配合量を少なくしても、電磁波吸収性等の各種性能を効果的に達成させることができる。
例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、ポリカーボネート樹脂および/またはポリスチレン樹脂を配合する態様が例示される。
本実施形態の樹脂組成物のブレンド形態としては、以下のものが好ましい。
第一のブレンド形態は、ポリカーボネート樹脂を、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1.0~75質量部含む形態である。ポリカーボネート樹脂を配合することにより、得られる成形体の反りを効果的に抑制することができる。第一のブレンド形態では、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂からなる。
第一のブレンド形態におけるポリカーボネート樹脂の含有量の下限値は、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることがさらに好ましく、45質量部以上であることが一層好ましく、50質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形体の反り量を小さくできる傾向にある。第一のブレンド形態におけるポリカーボネート樹脂の含有量の上限値は、70質量部以下であることが好ましく、65質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性および耐加水分解性がより向上する傾向にある。
第一のブレンド形態において、ポリカーボネート樹脂は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上を用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
第二のブレンド形態は、ポリスチレン樹脂(好ましくはAS樹脂)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1.0~60質量部含む形態である。ポリスチレン樹脂を配合することにより、得られる成形体の反りを効果的に抑制できる。第二のブレンド形態では、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂とポリスチレン樹脂(好ましくはAS樹脂)からなる。
第二のブレンド形態におけるポリスチレン樹脂(好ましくはAS樹脂)の含有量の下限値は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましく、25質量部以上であることが一層好ましく、30質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形体の反り量をより小さくできる傾向にある。第二のブレンド形態におけるポリスチレン樹脂(好ましくはAS樹脂)の含有量の上限値は、90質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性という効果がより向上する傾向にある。
第二のブレンド形態において、ポリスチレン樹脂は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上を用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
第三のブレンド形態は、さらに、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を1.0~75質量部、および、ポリスチレン樹脂(好ましくは、HIPS)を1.0~60質量部含む形態である。ポリスチレン樹脂とポリカーボネート樹脂を配合することにより、得られる成形体の反りを効果的に抑制できる。第三のブレンド形態では、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とポリスチレン樹脂(好ましくは、HIPS)とからなる。
第三のブレンド形態におけるスチレン樹脂(好ましくは、HIPS)の含有量の下限値は、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、35質量部以上であることが一層好ましく、38質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形体の反り量をより小さくできる傾向にある。第三のブレンド形態におけるスチレン樹脂の含有量の上限値は、70質量部以下であることが好ましく、65質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることがさらに好ましく、55質量部以下であることが一層好ましく、50質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性がより向上する傾向にある。
第三のブレンド形態におけるポリカーボネート樹脂の含有量の下限値は、4質量部以上であることが好ましく、8質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、12質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形体の反り量をより小さくできる傾向にある。第三のブレンド形態におけるポリカーボネート樹脂の含有量の上限値は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以下であることが一層好ましく、18質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性および耐加水分解性がより向上する傾向にある。
第三のブレンド形態において、ポリカーボネート樹脂とスチレン樹脂の質量比率は、1:2.0~4.0であることが好ましく、1:2.5~3.5であることがより好ましい。このような質量比率とすることにより、成形体の反りが抑制され、機械的強度もより向上する傾向にある。
第三のブレンド形態において、スチレン樹脂およびポリカーボネート樹脂は、それぞれ、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上を用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
以下、各熱可塑性樹脂の詳細について述べる。
<<ポリエステル樹脂>>
ポリエステル樹脂としては、公知の熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることができ、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましく、少なくともポリブチレンテレフタレート樹脂を含むことがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位および1,4-ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有するポリエステル樹脂であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位および1,4-ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーとポリブチレンテレフタレート共重合体との混合物を含む。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸以外のジカルボン酸単位を1種または2種以上含んでいてもよい。
他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ビス(4,4’-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4-シクロへキサンジカルボン酸、4,4’-ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類、および、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。
本実施形態で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位が全ジカルボン酸単位の80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましい。
ジオール単位としては、1,4-ブタンジオールの外に1種または2種以上の他のジオール単位を含んでいてもよい。
他のジオール単位の具体例としては、炭素数2~20の脂肪族または脂環族ジオール類、ビスフェノール誘導体類等が挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ一ル、4,4’-ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’-ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
本実施形態で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、1,4-ブタンジオール単位が全ジオール単位の80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、上記した通り、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールとを重縮合させたポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましい。また、カルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上および/またはジオール単位として、前記1,4-ブタンジオール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。ポリブチレンテレフタレート樹脂が、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂である場合、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類、特にはポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いることが好ましい。
なお、これらの共重合体は、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が、好ましくは2モル%以上50モル%未満、より好ましくは3~40モル%、さらに好ましくは5~20モル%である。このような共重合割合とすることにより、流動性、靱性、耐トラッキング性が向上しやすい傾向にあり、好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。上記上限値以下とすることにより、耐アルカリ性および耐加水分解性が向上する傾向にある。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/ton以上である。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリブチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lのベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、0.5~2dL/gであるのが好ましい。成形性および機械的特性の点からして、0.6~1.5dL/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度を0.5dL/g以上とすることにより、得られる樹脂組成物の機械強度がより向上する傾向にある。また、2dL/g以下とすることにより、樹脂組成物の流動性がより向上し、成形性が向上する傾向にある。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分またはこれらのエステル誘導体と、1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式または連続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレフタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下または減圧下固相重合させることにより、重合度(または分子量)を所望の値まで高めることもできる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法で得られたものが好ましい。
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂としては、上記の他、特開2010-174223号公報の段落番号0013~0016の記載を参酌でき、その内容は本明細書に組み込まれる。
<<ポリカーボネート樹脂>>
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい単独重合体または共重合体である。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。
原料のジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4-ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂、または、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。さらには、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m-およびp-メチルフェノール、m-およびp-プロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることがさらに好ましい。粘度平均分子量が5,000以上のものを用いることにより、得られる樹脂組成物の機械的強度がより向上する傾向にある。また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることがさらに好ましい。60,000以下のものを用いることにより、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性が向上する傾向にある。
ポリカーボネート樹脂を2種以上含む場合、混合物が上記範囲を満たすことが好ましい(以下、分子量について、同様に考える。)。
なお、本実施形態において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、20℃にて、ポリカーボネート樹脂のメチレンクロライド溶液の粘度を測定し固有粘度([η])を求め、次のSchnellの粘度式から算出される値を示す。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)および溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、溶融法で製造したポリカーボネート樹脂に、末端のOH基量を調整する後処理を施したポリカーボネート樹脂も好ましい。
<<ポリスチレン樹脂>>
ポリスチレン樹脂としては、スチレン系単量体の単独重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
ポリスチレン樹脂としては、より具体的には、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン-IPN型ゴム共重合体等の樹脂等が挙げられる。
ポリスチレン樹脂がゴム成分を含む場合、ポリスチレン樹脂中のゴム成分の含有量は3~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、7~30質量%がさらに好ましい。ゴム成分の含有量を3質量%以上とすることにより、耐衝撃性が向上する傾向にあり、50質量%以下とすることにより、難燃性が向上する傾向となり好ましい。また、ゴム成分の平均粒子径は、0.05~10μmであることが好ましく、0.1~6μmであることがより好ましく、0.2~3μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が0.05μm以上であると耐衝撃性が向上しやすい傾向にあり、10μm以下であると外観が向上する傾向にあり好ましい。
ポリスチレン樹脂の重量平均分子量は、通常、50,000以上であり、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは150,000以上であり、また、通常、500,000以下であり、好ましくは400,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。また、数平均分子量は、通常、10,000以上であり、好ましくは30,000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、また、好ましくは500,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。
ポリスチレン樹脂の、JIS K7210(温度200℃、荷重5kgf)に準拠して測定されるメルトフローレイト(MFR)は、0.1~30g/10分であることが好ましく、0.5~25g/10分であることがより好ましい。MFRが0.1g/10分以上であると流動性が向上する傾向にあり、30g/10分以下であると耐衝撃性が向上する傾向にある。
このようなポリスチレン樹脂の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
<<ポリフェニレンエーテル樹脂>>
本実施形態では、公知のポリフェニレンエーテル樹脂を用いることができ、例えば、下記式で表される構成単位を主鎖に有する重合体(好ましくは、下記式で表される構成単位が末端基を除く全構成単位の90モル%以上を占める重合体)が例示される。ポリフェニレンエーテル樹脂は、単独重合体または共重合体のいずれであってもよい。
Figure 2022104212000002
(式中、2つのRaは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭化水素オキシ基、またはハロゲン化炭化水素オキシ基を表し、2つのRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、炭化水素オキシ基、またはハロゲン化炭化水素オキシ基を表す。ただし、2つのRaがともに水素原子になることはない。)
aおよびRbとしては、それぞれ独立に、水素原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基が好ましい。第1級アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-アミル基、イソアミル基、2-メチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-、3-もしくは4-メチルペンチル基またはヘプチル基が挙げられる。第2級アルキル基の好適な例としては、例えば、イソプロピル基、sec-ブチル基または1-エチルプロピル基が挙げられる。特に、Raは第1級もしくは第2級の炭素数1~4のアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。Rbは水素原子であることが好ましい。
好適なポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体としては、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-エチル-6-メチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレンエーテル)等の2,6-ジアルキルフェニレンエーテルの重合体が挙げられる。共重合体としては、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリエチルフェノール共重合体、2,6-ジエチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジプロピルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体等の2,6-ジアルキルフェノール/2,3,6-トリアルキルフェノール共重合体、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
本実施形態におけるポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノールランダム共重合体が好ましい。また、特開2005-344065号公報に記載されているような末端基数と銅含有率を規定したポリフェニレンエーテル樹脂も好適に使用できる。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、クロロホルム中で測定した30℃の固有粘度が0.2~0.8dL/gのものが好ましく、0.3~0.6dL/gのものがより好ましい。固有粘度を0.2dL/g以上とすることにより、成形体の機械的強度がより向上する傾向にあり、0.8dL/g以下とすることにより、樹脂組成物の流動性がより向上し、成形加工がより容易になる傾向にある。また、固有粘度の異なる2種以上のポリフェニレンエーテル樹脂を併用して、この固有粘度の範囲としてもよい。
本実施形態に使用されるポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って、例えば、2,6-ジメチルフェノール等のモノマーをアミン銅触媒の存在下、酸化重合する方法を採用することができ、その際、反応条件を選択することにより、固有粘度を所望の範囲に制御することができる。固有粘度の制御は、重合温度、重合時間、触媒量等の条件を選択することにより達成できる。
<<ポリアミド樹脂>>
ポリアミド樹脂としては、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮合、ジアミンと二塩基酸の重縮合により得られる酸アミドを構成単位とする高分子であり、具体的には、ポリアミド6、11、12、46、66、610、612、6I、6/66、6T/6I、6/6T、66/6T、66/6T/6I、詳細を後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド等が挙げられる。なお、上記「I」はイソフタル酸成分、「T」はテレフタル酸成分を示す。また、ポリアミド樹脂としては、特開2011-132550号公報の段落番号0011~0013の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態で用いるポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が好ましい。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジアミン由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上がメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも1種に由来する。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジカルボン酸由来の構成単位は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上が、炭素数が4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。炭素数が4~20のα,ω-直鎖脂肪族二塩基酸は、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸などが好適に使用でき、アジピン酸およびセバシン酸がより好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジアミン成分として用いることができるメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4-アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
上記炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸といったナフタレンジカルボン酸類の異性体等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
本実施形態の樹脂組成物における熱可塑性樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)の含有量は、樹脂組成物中、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、45質量%以上であることが一層好ましく、50質量%以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐薬品性がより向上する傾向にある。また、前記熱可塑性樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましく、65質量%以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形体の反り量をより効果的に小さくできる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<カーボンナノチューブ>
本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブを含むことにより、配合量が少量でも効果的に電磁波を吸収できる。さらに、高い難燃性を達成できる。
本実施形態に用いるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブ、あるいは、混合物のいずれでもよいが、多層カーボンナノチューブを含むことが好ましい。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有している炭素材料も使用できる。また、カーボンナノチューブは、円筒形状に限らず、1μm以下のピッチでらせんが一周するコイル状形状を有していてもよい。
カーボンナノチューブは、市販品として入手可能であり、例えば、バイエルマテリアルサイエンス社製、ナノシル社製、昭和電工株式会社製、ハイペリオン・キャタリシス・インターナショナル社から入手可能なカーボンナノチューブが挙げられる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリル、カーボンフィブリルなどと称されることもある。
カーボンナノチューブの直径(数平均繊維径)としては、0.5~100nmが好ましく、1~30nmがより好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比としては、良好な電磁波吸収性を付与する観点から、5以上が好ましく、50以上がより好ましい。上限は特に定めるものではないが、例えば、500以下である。
カーボンナノチューブは、マスターバッチ化して配合してもよく、この場合、カーボンナノチューブの含有量は、5~30質量%が好ましい。マスターバッチに用いる樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)が例示される。
本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブを、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、0.1質量部以上含むことが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好ましく、1.8質量部以上であってもよく、さらには2.0質量部以上であってもよく、特には、2.4質量部以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、電磁波吸収性が効果的に発揮される。また、本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブを、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、10.0質量部以下含むことが好ましく、8.0質量部以下であることがより好ましく、6.0質量部以下であることがさらに好ましく、4.0質量部以下であることが一層好ましく、3.0質量部以下であることがより一層好ましく、2.5質量部以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、燃焼試験時の燃焼時間をより短縮できる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態においては、カーボンナノチューブ(CNT)と臭素系難燃剤に含まれる臭素原子(Br)の質量比率であるCNT/Brが0.01~0.40である。前記下限値以下とすることにより、電磁波吸収性が向上する。前記下限値以上とすることにより、燃焼時間を短くすることができる。ここで、臭素系難燃剤の難燃性は、概ね、臭素原子の量に比例すると考えられている。これは、臭素原子は、酸素と結合しくいため、燃焼を抑制することに基づく。さらに、臭素原子は、アンチモンと高温で反応して、難燃性をより効果的に発現する。
前記CNT/Brは、0.05以上であることが好ましく、0.08以上であることがより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましく、0.16以上であってもよく、さらには、0.20以上、0.25以上であってもよい。また、前記CNT/Brは、0.38以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.30以下であってもよく、さらには、0.28以下、0.16以下であってもよい。特に、前記CNT/Brを0.05以上とすることにより、電磁波特性、特に、吸収率が高く、透過率が低い樹脂組成物が得られる。また、前記CNT/Brを0.14以下することにより、燃焼時間を短くすることができる。
<臭素系難燃剤>
本実施形態の樹脂組成物は、臭素系難燃剤を含む。臭素系難燃剤を含むことにより、難燃性を達成できる。臭素系難燃剤の種類は特に定めるものではないが、臭素化フタルイミド、臭素化ポリ(メタ)アクリレート、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ、および、臭素化ポリスチレンが好ましく、臭素化ポリ(メタ)アクリレート、臭素化ポリカーボネートおよび臭素化エポキシがより好ましい。
臭素化フタルイミドとしては、式(1)で表されるものが好ましい。
Figure 2022104212000003
(式(1)中、Dは、アルキレン基、アリーレン基、-S(=O)2-、-C(=O)-、および、-O-の2つ以上の組み合わせからなる基を表す。iは1~4の整数である。)
式(1)において、Dは、アルキレン基、アリーレン基、-S(=O)2-、-C(=O)-、および、-O-の2つ以上の組み合わせからなる基を表し、アルキレン基またはアリーレン基と、-S(=O)2-、-C(=O)-、および、-O-の少なくとも1つとの組み合わせからなる基が好ましく、アルキレン基またはアリーレン基と、-S(=O)2-、-C(=O)-、および、-O-の1つとの組み合わせからなる基がより好ましく、アルキレン基がさらに好ましい。
アルキレン基と-O-との組み合わせからなる基としては、例えば、2つのアルキレン基と1つの-O-といった組み合わせも含む趣旨である(他の組み合わせについても同じ。)。
Dとしてのアルキレン基は、炭素数1~6のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基がより好ましい。アリーレン基は、フェニレン基が好ましい。
iは1~4の整数であり、4であることが好ましい。
式(1)で示される臭素化フタルイミドとしては、例えば、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)エタン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)プロパン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ブタン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジエチルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジプロピルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジブチルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルスルフォン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルケトン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルエーテル等が挙げられる。
臭素化フタルイミドとしては、式(1)は、式(2)で表される臭素化フタルイミドであることが好ましい。
Figure 2022104212000004
(式(2)中、iは1~4の整数である。)
iは1~4の整数であり、4であることが好ましい。
臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、または2種以上を共重合、あるいは、他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましく、臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1~5個、中でも4~5個付加したものであることが好ましい。
臭素原子を含有するベンジルアクリレートとしては、ペンタブロムベンジルアクリレート、テトラブロムベンジルアクリレート、トリブロムベンジルアクリレート、またはそれらの混合物等が挙げられる。また、臭素原子を含有するベンジルメタクリレートとしては、上記したアクリレートに対応するメタクリレートが挙げられる。
臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートと共重合させるために使用される他のビニル系モノマーとしては、具体的には、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレートのようなアクリル酸エステル類;メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類;スチレン、アクリロニトリル、フマル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸またはその無水物;酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられる。
これらは通常、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートに対して等モル量以下、中でも0.5倍モル量以下が用いることが好ましい。
また、ビニル系モノマーとしては、キシレンジアクリレート、キシレンジメタクリレート、テトラブロムキシレンジアクリレート、テトラブロムキシレンジメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン等を使用することもでき、これらは通常、臭素原子を含有するベンジルアクリレートまたはベンジルメタクリレートに対し、0.5倍モル量以下が使用できる。
臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、臭素原子を含有する(メタ)アクリレートモノマー、特にベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、または2種以上を共重合、もしくは他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましい。また、臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1~5個、中でも4~5個付加したものであることが好ましい。
臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、ペンタブロモベンジルポリ(メタ)アクリレートが、高臭素含有量であることから好ましい。
臭素化ポリ(メタ)アクリレートの分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、重量平均分子量(Mw)で、3,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、15,000以上であることがさらに好ましく、20,000以上であることが一層好ましく、25,000以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より高い機械的強度を有する成形体が得られる傾向にある。また、前記重量平均分子量(Mw)の上限は、100,000以下であることが好ましく、80,000以下であることがより好ましく、60,000以下であることがさらに好ましく、50,000以下であることが一層好ましく、35,000以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の流動性がより向上する傾向にある。
臭素化ポリカーボネートは、遊離臭素含有量が0.05質量%以上であることが好ましく、また、0.20質量%以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、樹脂組成物の耐熱安定性がより向上する傾向にある。臭素化ポリカーボネートは、また、塩素原子含有量が0.001質量%以上であることが好ましく、また、0.20質量%以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、成形の際の耐金型腐食性がより向上する傾向にある。
臭素化ポリカーボネートとしては、具体的には例えば、臭素化ビスフェノールA、特にテトラブロモビスフェノールAから得られる、臭素化ポリカーボネートであることが好ましい。その末端構造は、フェニル基、4-t-ブチルフェニル基や2,4,6-トリブロモフェニル基等が挙げられ、特に、末端基構造に2,4,6-トリブロモフェニル基を有するものが好ましい。
臭素化ポリカーボネートにおける、カーボネート構成単位数の平均は適宜選択して決定すればよいが、2~30であることが好ましく、3~15であることがより好ましく、3~10であることがさらに好ましい。
臭素化ポリカーボネートの分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、好ましくは、粘度平均分子量で1,000~20,000、中でも2,000~10,000であることが好ましい。
上記臭素化ビスフェノールAから得られる臭素化ポリカーボネートは、例えば、臭素化ビスフェノールとホスゲンとを反応させる通常の方法で得ることができる。末端封鎖剤としては芳香族モノヒドロキシ化合物が挙げられ、これはハロゲンまたは有機基で置換されていてもよい。
臭素化エポキシとしては、具体的には、テトラブロモビスフェノールAエポキシ化合物や、グリシジル臭素化ビスフェノールAエポキシ化合物に代表されるビスフェノールA型ブロモ化エポキシ化合物が好ましく挙げられる。
臭素化エポキシ化合物の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、重量平均分子量(Mw)で、3,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることがさらに好ましく、15,000以上であることが一層好ましく、18,000以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より高い機械的強度を有する成形体が得られる傾向にある。また、前記重量平均分子量(Mw)の上限は、100,000以下であることが好ましく、80,000以下であることがより好ましく、78,000以下であることがさらに好ましく、75,000以下であることが一層好ましく、70,000以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の流動性がより向上する傾向にある。
臭素化エポキシ化合物は、そのエポキシ当量が3,000~40,000g/eqであることが好ましく、中でも4,000~35,000g/eqが好ましく、特に10,000~30,000g/eqであることが好ましい。
また、臭素化エポキシとして臭素化エポキシオリゴマーを併用することもできる。この際、例えばMwが5,000以下のオリゴマーを50質量%程度以下の割合で用いることで、難燃性、離型性および流動性を適宜調整することができる。臭素化エポキシ化合物における臭素原子含有量は任意だが、十分な難燃性を付与する上で、通常10質量%以上であり、中でも20質量%以上、特に30質量%以上であることが好ましく、その上限は60質量%、中でも55質量%以下であることが好ましい。
臭素化ポリスチレンとしては、好ましくは、式(3)で示される構成単位を含有する臭素化ポリスチレンが挙げられる。
Figure 2022104212000005
(式(3)中、tは1~5の整数であり、nは構成単位の数である。)
臭素化ポリスチレンとしては、ポリスチレンを臭素化するか、または、臭素化スチレンモノマーを重合することによって製造するかのいずれであってもよいが、臭素化スチレンを重合したものは遊離の臭素(原子)の量が少ないので好ましい。なお、式(3)において、臭素化ベンゼンが結合したCH基はメチル基で置換されていてもよい。また、臭素化ポリスチレンは、他のビニル系モノマーが共重合された共重合体であってもよい。この場合のビニル系モノマーとしてはスチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、ブタジエンおよび酢酸ビニル等が挙げられる。また、臭素化ポリスチレンは単一物あるいは構造の異なる2種以上の混合物として用いてもよく、単一分子鎖中に臭素数の異なるスチレンモノマー由来の単位を含有していてもよい。
臭素化ポリスチレンの具体例としては、例えば、ポリ(4-ブロモスチレン)、ポリ(2-ブロモスチレン)、ポリ(3-ブロモスチレン)、ポリ(2,4-ジブロモスチレン)、ポリ(2,6-ジブロモスチレン)、ポリ(2,5-ジブロモスチレン)、ポリ(3,5-ジブロモスチレン)、ポリ(2,4,6-トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5-トリブロモスチレン)、ポリ(2,3,5-トリブロモスチレン)、ポリ(4-ブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,4-ジブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,5-ジブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,4,6-トリブロモ-α-メチルスチレン)およびポリ(2,4,5-トリブロモ-α-メチルスチレン)等が挙げられ、ポリ(2,4,6-トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5-トリブロモスチレン)および平均2~3個の臭素基をベンゼン環中に含有するポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレンが特に好ましく用いられる。
臭素化ポリスチレンは、式(3)における構成単位の数n(平均重合度)が30~1,500であることが好ましく、より好ましくは150~1,000、特に300~800のものが好適である。平均重合度が30未満ではブルーミングが発生しやすく、一方、1,500を超えると、分散不良を生じやすく、機械的性質が低下しやすい。また、臭素化ポリスチレンの重量平均分子量(Mw)としては、5,000~500,000であることが好ましく、10,000~500,000であることがより好ましく、10,000~300,000であることがさらに好ましく、10,000~100,000であることが一層好ましく、10,000~70,000であることがより一層好ましい。特に、上記したポリスチレンの臭素化物の場合は、重量平均分子量(Mw)は50,000~70,000であることが好ましく、重合法による臭素化ポリスチレンの場合は、重量平均分子量(Mw)は10,000~30,000程度であることが好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
臭素系難燃剤における臭素濃度は45質量%以上であることが好ましく、48質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形体の難燃性が効果的に向上する傾向にある。前記臭素濃度の上限値は、75質量%以下であることが好ましく、73質量%以下であることがより好ましく、71質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における臭素系難燃剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、下限値が1.0質量部以上であることが好ましく、3.0質量部以上であることがより好ましく、5.0質量部以上であることがさらに好ましく、7.0質量部以上であることが一層好ましく、10.0質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形体の難燃性がより向上する。前記臭素系難燃剤の含有量の上限値は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、40.0質量部以下であることが好ましく、35.0質量部以下であることがより好ましく、30.0質量部以下であることがさらに好ましく、25.0質量部以下であることが一層好ましく、20.0質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形体の機械的強度の低下をより効果的に抑制できる。
本実施形態の樹脂組成物は、臭素系難燃剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<アンチモン化合物>
本実施形態の樹脂組成物は、アンチモン化合物を含むことが好ましい。アンチモン化合物を含むことにより、臭素系難燃剤と作用し、相乗的に難燃性が向上する傾向にある。すなわち、アンチモン化合物は、難燃助剤としての役割を果たす。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb23)、五酸化アンチモン(Sb25)およびアンチモン酸ナトリウム等が好ましく、これらの中でも三酸化アンチモンが特に好ましい。
本実施形態において、臭素系難燃剤に含まれる臭素原子とアンチモン化合物に含まれるアンチモン原子の質量比(Br/Sb)は、0.3以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、また、5.0以下であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、難燃性が発現しやすい傾向にあり好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、アンチモン化合物は、熱可塑性樹脂とのマスターバッチとして配合することが好ましい。これにより、アンチモン化合物が、熱可塑性樹脂相に存在しやすくなり、溶融混練、成形加工時の熱安定性が良好となり、耐衝撃性の低下が抑えられ、さらに、難燃性、耐衝撃性のばらつきが少なくなる傾向となる。
マスターバッチ中のアンチモン化合物の含有量は20~90質量%であることが好ましい。マスターバッチ中のアンチモン化合物の含有量は、より好ましく30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、一層好ましくは50質量%以上、より一層好ましくは60質量%以上、特に一層好ましくは70質量%以上である。
本実施形態の樹脂組成物におけるアンチモン化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましく、2.0質量部以上であることがさらに好ましく、3.0質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形体の難燃性がより向上する。また、前記アンチモン化合物の含有量の上限値は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、20.0質量部以下であることが好ましく、15.0質量部以下であることがより好ましく、10.0質量部以下であることがさらに好ましく、8.0質量部以下であることが一層好ましく、7.0質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形体の離型性や耐衝撃性が向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、アンチモン化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<強化材>
本実施形態の樹脂組成物は、強化材を含んでいてもよい。強化材を含むことにより、得られる成形体の機械的強度を向上させることができる。
本実施形態で用いることができる強化材は、その種類等、特に定めるものではなく、繊維、フィラー、ビーズ等のいずれであってもよいが、繊維が好ましい。
強化材が繊維である場合、短繊維であってもよいし、長繊維であってもよい。
強化材が短繊維やフィラー、ビーズ等の場合、本実施形態の樹脂組成物は、ペレット、前記ペレットを粉末化したもの、および前記ペレットから成形されるフィルム等が例示される。
強化材が長繊維の場合、強化材は、いわゆる、UD材(Uni-Directional)用の長繊維、織物および編み物等のシート状の長繊維などが例示される。これらの長繊維を用いる場合、本実施形態の樹脂組成物の強化材以外の成分を、前記シート状の長繊維である強化材に含浸させて、シート状の樹脂組成物(例えば、プリプレグ)とすることができる。
強化材の原料は、ガラス、炭素(炭素繊維等)、アルミナ、ボロン、セラミック、金属(スチール等)等の無機物、および、植物(ケナフ(Kenaf)、竹等を含む)、アラミド、ポリオキシメチレン、芳香族ポリアミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、超高分子量ポリエチレン等の有機物などが挙げられ、ガラスが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、強化材として、ガラス繊維を含むことが好ましい。
ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Rガラス、Dガラス、Mガラス、Sガラスなどのガラス組成から選択され、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が好ましい。
ガラス繊維は、長さ方向に直角に切断した断面形状が真円状または多角形状の繊維状の材料をいう。ガラス繊維は、単繊維の数平均繊維径が通常1~25μm、好ましくは5~17μmである。数平均繊維径を1μm以上とすることにより、樹脂組成物の成形加工性がより向上する傾向にある。数平均繊維径を25μm以下とすることにより、得られる成形体の外観が向上し、補強効果も向上する傾向にある。ガラス繊維は、単繊維または単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。
ガラス繊維の形態は、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取ったガラスロービング、長さ1~10mmに切りそろえたチョップドストランド(すなわち、数平均繊維長1~10mmのガラス繊維)、長さ10~500μm程度に粉砕したミルドファイバー(すなわち、数平均繊維長10~500μmのガラス繊維)などのいずれであってもよいが、長さ1~10mmに切りそろえたチョップドストランドが好ましい。ガラス繊維は、形態が異なるものを併用することもできる。
また、ガラス繊維としては、異形断面形状を有するものも好ましい。この異形断面形状とは、繊維の長さ方向に直角な断面の長径/短径比で示される扁平率が、例えば、1.5~10であり、中でも2.5~10、さらには2.5~8、特に2.5~5であることが好ましい。
ガラス繊維は、本実施形態の樹脂組成物の特性を大きく損なわない限り、樹脂成分との親和性を向上させるために、例えば、シラン系化合物、エポキシ系化合物、ウレタン系化合物などで表面処理したもの、酸化処理したものであってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、強化材(好ましくはガラス繊維)を、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、10質量部以上含むことが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、35質量部以上であることがさらに好ましく、47質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形体の機械的強度がより上昇する傾向にある。また、前記強化材(好ましくはガラス繊維)の含有量は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、85質量部以下であることがさらに好ましく、80質量部以下であることが一層好ましく、75質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形体外観が向上し、かつ、樹脂組成物の流動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物における強化材(好ましくはガラス繊維)の含有量は、樹脂組成物中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、25質量%以上であることが一層好ましい。また、前記強化材(好ましくはガラス繊維)の含有量は、樹脂組成物中、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、35質量%以下であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、機械的強度がより上昇する傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、成形体の外観が向上し、かつ、樹脂組成物の溶融時の流動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、強化材(好ましくはガラス繊維)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
具体的には、臭素系難燃剤以外の難燃剤、反応性化合物、安定剤、離型剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。本実施形態の樹脂組成物は、安定剤および離型剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)、カーボンナノチューブおよび臭素系難燃剤、ならびに、選択的に配合される他の成分の合計が100質量%となるように調整される。本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)、カーボンナノチューブ、臭素系難燃剤、および、強化材(好ましくはガラス繊維)の合計が樹脂組成物の95質量%以上を占めることが好ましい。また、本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)、カーボンナノチューブ、臭素系難燃剤、強化材(好ましくはガラス繊維)、安定剤、離型剤、および、反応性化合物(好ましくはエポキシ化合物)の合計が樹脂組成物の99質量%以上を占めることが好ましい。
<<反応性化合物>>
本実施形態の樹脂組成物は、反応性化合物を、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)含むことが好ましい。反応性化合物を含むことにより、機械的強度が向上し、また、耐加水分解性に優れた樹脂組成物が得られる。ここでの反応性化合物は、臭素を含まないものとする。
本実施形態で用いる反応性化合物は、エポキシ基を有する化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基を有する化合物およびオキサジン基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、エポキシ基を有する化合物を含むことがより好ましい。
エポキシ基を有する化合物は、一分子中に一個以上のエポキシ基を有する化合物であり、グリシジル化合物、エポキシ基を有する芳香環含有化合物、エポキシ基を有する脂環式化合物などが挙げられ、エポキシ基を有する芳香環含有化合物を少なくとも含むことが好ましい。
エポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ビスフェノールAジグリシジルエーテルを含む)、ビスフェノールF型エポキシ化合物(ビスフェノールFジグリシジルエーテルを含む)、ビフェニル型エポキシ化合物(ビス(グリシジルオキシ)ビフェニルを含む)、レゾルシン型エポキシ化合物(レゾルシノールジグリシジルエーテルを含む)、ノボラック型エポキシ化合物、安息香酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステルなどの芳香環を有するエポキシ化合物、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの(ジ)グリシジルエーテル類、ソルビン酸グリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油などのパラフィン系(例えば飽和脂肪酸系)またはオレフィン系(例えば不飽和脂肪酸系)の(ジ)グリシジルエステル類、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシドなどの脂環式エポキシ化合物類、また、エポキシ変性スチレン-アクリル共重合体等が挙げられる。
中でも、側鎖にグリシジル基を含有するスチレン-アクリル共重合体、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ化合物がより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における反応性化合物(好ましくはエポキシ基を有する化合物)の含有量は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることがさらに好ましく、0.5質量部以上であることが一層好ましく、0.8質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐加水分解性がより向上する傾向にある。また、前記反応性化合物(好ましくはエポキシ基を有する化合物)の含有量は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、10.0質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以下であることがより好ましく、3.0質量部以下であることがさらに好ましく、2.0質量部以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、溶融粘度がより安定し、成形性が向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、反応性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<安定剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を含んでいてもよい。安定剤は、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、硫黄系安定剤等が例示される。これらの中でも、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。また、ヒンダードフェノール系化合物とリン系化合物を併用することも好ましい。
安定剤としては、具体的には、特開2018-070722号公報の段落0046~0057の記載、特開2019-056035号公報の段落0030~0037の記載、国際公開第2017/038949号の段落0066~0078の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上含むことが好ましく、0.05質量部以上含むことがより好ましく、0.08質量部以上含むことがさらに好ましい。また、前記安定剤の含有量の上限値は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<離型剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を含むことが好ましい。
離型剤は、公知の離型剤を広く用いることができ、脂肪族カルボン酸のエステル化物、パラフィンワックス、ポリスチレンワックス、ポリオレフィンワックスが好ましく、ポリエチレンワックスがより好ましい。
離型剤としては、具体的には、特開2013-007058号公報の段落0115~0120の記載、特開2018-070722号公報の段落0063~0077の記載、特開2019-123809号公報の段落0090~0098の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上含むことが好ましく、0.08質量部以上含むことがより好ましく、0.2質量部以上含むことがさらに好ましい。また、前記離型剤の含有量の上限値は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0.8質量部以下であることが一層好ましい。
樹脂組成物は、離型剤を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブ以外の炭素系電磁波吸収材を1種または2種以上を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブ以外の炭素系電磁波吸収材を含まないか、樹脂組成物の3質量%未満で含むことが好ましい。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。
前記カーボンナノチューブ以外の炭素系電磁波吸収材の含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物は、また、炭素繊維を含まないか、炭素繊維の含有量が3質量%未満であることが好ましい。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。また、電磁波の反射率をより低くすることができる。
前記炭素繊維の含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物は、また、黒鉛を含まないか、黒鉛の含有量が3質量%未満であることが好ましい。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。また、電磁波の吸収率をより高くすることができる。さらに、得られる成形体の機械的強度をより向上させることができる。
前記黒鉛の含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物は、また、カーボンブラックを含まないか、カーボンブラックの含有量が3質量%未満であることが好ましい。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。また、得られる成形体の機械的強度をより向上させることができる。
前記カーボンブラックの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物は、また、ケッチェンブラックを含まないか、ケッチェンブラックの含有量が3質量%未満であることが好ましい。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。また、得られる成形体の機械的強度をより向上させることができる。
前記ケッチェンブラックの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物は、臭素系難燃剤以外の難燃剤(例えば、リン系難燃剤など)を含んでいてもよいが、臭素系難燃剤以外の難燃剤を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、臭素系難燃剤以外の難燃剤の含有量が臭素系難燃剤の含有量の10質量%以下であることをいい、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
<樹脂組成物の物性>
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性に優れていることが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物を0.8mm厚さの試験片に成形し、UL94燃焼試験に従った難燃性の判定がV-0またはV-1であることが好ましく、V-0であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収性を有することが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物は、2mm厚(例えば、100mm×100mm×2mm)に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であることが好ましい。
式(A)
Figure 2022104212000006
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
前記吸収率は、50.0%以上であることが好ましく、55.0%以上であることがより好ましく、60.0%以上であることがさらに好ましく、65.0%以上であることが一層好ましい。上限は、100%が理想であるが、90.0%以下であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波の反射率が低いことが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物は、2mm厚(例えば、100mm×100mm×2mm)に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下であることが好ましい。
式(B)
Figure 2022104212000007
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
前記反射率は、35.0%以下であることが好ましく、30.0%以下であることがより好ましく、30.0%未満であることがさらに好ましく、25.0%以下であることが一層好ましい。下限は、0%が理想であるが、1.0%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は、透過率が低いことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、2mm厚(例えば、100mm×100mm×2mm)に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が25.0%以下であることが好ましい。
式(C)
Figure 2022104212000008
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
前記透過率は、25.0%未満であることが好ましく、20.0%未満であることがより好ましく、19.0%以下であることがさらに好ましく、10.0%未満であることが一層好ましく、8.0%以下であってもよく、さらには5.0%以下であってもよい。下限は、0%が理想であるが、0.5%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
前記吸収率、反射率および透過率を測定するための試験片は、150mm×150mm×2mmであっても、実質的に同じ値となる。
本実施形態の樹脂組成物は、上記式(A)に従って求められる吸収率、上記式(B)に従って求められる反射率、および、上記式(C)に従って求められる透過率について、少なくとも2つを満たすことが好ましく、すべてを満たすことがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、引張特性に優れていることが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物をISO多目的試験片(厚さ4mm)に成形したときの、ISO527-1およびISO527-2に従って測定した引張最大点強度が、100MPa以上であることが好ましく、110MPa以上であることがより好ましい。前記引張最大点強度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、200MPa以下でも、実用レベルである。
また、本実施形態の樹脂組成物をISO多目的試験片(厚さ4mm)に成形したときの、ISO527-1およびISO527-2に従って測定した引張弾性率が、6,000MPa以上であることが好ましく、7,000MPa以上であることがより好ましく、8,000PMa以上であることがより好ましく、9,000MPa以上であってもよい。また、前記引張弾性率の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、14,000MPa以下が実際的である。
また、本実施形態の樹脂組成物をISO多目的試験片(厚さ4mm)に成形したときの、ISO527-1およびISO527-2に従って測定した引張歪みが、4.0%以下であることが好ましく、3.5%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることがより好ましい。また、前記引張歪みの下限値は、特に定めるものではないが、例えば、1.0%以上が実際的である。
本実施形態の樹脂組成物は、曲げ特性に優れていることが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物をISO多目的試験片(厚さ4mm)に成形したときの、曲げ強さが150MPa以上であることが好ましく、160MPa以上であることがより好ましい。また、前記曲げ強さの上限値は、特に定めるものではないが、例えば、280MPa以下が実際的である。
また、本実施形態の樹脂組成物をISO多目的試験片(厚さ4mm)に成形したときの、曲げ弾性率が6,000MPa以上であることが好ましく、7,000MPa以上であることがより好ましく、8,000PMa以上であることがより好ましく、9,000MPa以上であってもよい。また、前記曲げ弾性率の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、16,000MPa以下が実際的である。
本実施形態の樹脂組成物は、耐衝撃性に優れていることが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物をISO引張り試験片(4mm厚)に成形したときの、ISO179規格に従ったノッチ付きシャルピー衝撃強さが、5.0kJ/m2以上であることが好ましく、6.0kJ/m2以上であることがより好ましい。前記ノッチ付きシャルピー衝撃強さの上限値は、特に定めるものでは無いが、例えば、20.0kJ/m2以下であり、さらには12.0kJ/m2以下であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、また、100mm×100mm×2mmの試験片に成形したときのIEC60093に準拠した表面抵抗が1.0×1011Ω以上であることが好ましく、また、1.0×1016Ω以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、さらに、100mm×100mm×2mmの試験片に成形したときのIEC60093に準拠した体積抵抗が1.0×1010Ω・cm以上であることが好ましく、また、1.0×1017Ω・cm以下であることが好ましい。
上記の各種測定方法の詳細は実施例の記載に従って測定される。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の常法の製法によって製造できる。例えば、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)と、カーボンナノチューブと、臭素系難燃剤と、必要に応じ配合される他の成分を押出機に投入し、溶融混練することによって製造される。
押出機には、各成分をあらかじめ混合して一度に供給してもよいし、各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給してもよい。押出機は、一軸押出機であっても、二軸押出機であってもよい。また、カーボンナノチューブ等の一部の成分は、樹脂成分(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂)と溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの成分を配合して溶融混練してもよい。
また、強化材(例えば、ガラス繊維)は、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することが好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常、170~350℃の範囲から適宜選ぶことができる。
<成形体の製造方法>
成形体の製造方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形が好ましい。
<用途>
本実施形態の成形体は、本実施形態の樹脂組成物から形成される。本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収体用(電磁波吸収部材用ともいう)であることが好ましく、少なくとも周波数60~90GHzの電磁波吸収体用であることがより好ましく、少なくとも周波数70~80GHzの電磁波吸収体用であることがさらに好ましい。このような電磁波吸収体は、好ましくは、レーダー用途に用いられる。具体的には、ミリ波レーダー用の筐体、カバー等に用いられる。
本実施形態の電磁波吸収体は、ブレーキ自動制御装置、車間距離制御装置、歩行者事故低減ステアリング装置、誤発信抑制制御装置、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、接近車両注意喚起装置、車線維持支援装置、被追突防止警報装置、駐車支援装置、車両周辺障害物注意喚起装置などに用いられる車載用ミリ波レーダー;ホーム監視/踏切障害物検知装置、電車内コンテンツ伝送装置、路面電車/鉄道衝突防止装置、滑走路内異物検知装置などに用いられる鉄道・航空用ミリ波レーダー;交差点監視装置、エレベータ監視装置などの交通インフラ向けミリ波レーダー;各種セキュリティ装置向けミリ波レーダー;子供、高齢者見守りシステムなどの医療・介護用ミリ波レーダー;各種情報コンテンツ伝送用ミリ波レーダー;等に好適に利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
原料
以下の原料を用いた。下記表において、PBTはポリブチレンテレフタレート樹脂を意味している。
Figure 2022104212000009
実施例1~5、比較例1~5
<樹脂組成物(ペレット)の製造>
表2および表3に示すように、各成分をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、噛み合い型同方向二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX-30α」、スクリュー径32mm、L/D=42)にメインフィード口から供給した。第一混練部のバレル設定温度を260℃に設定して可塑化し、強化材(ガラス繊維)は表2または表3に示す割合でサイドフィーダーより供給し、強化材を添加した後のバレル温度を250℃に設定し、吐出量40kg/h、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練し、ノズル数4穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)の条件でストランドとして押出した。押出したストランドを水槽に導入して冷却し、ペレタイザーに挿入してカットすることで樹脂組成物(ペレット)を得た。
<燃焼性試験UL94判定>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(日本製鋼所社製「J50」)にて、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃で射出成形し、125mm×13mm×0.8mm厚の試験片を得た。
得られた試験片を用いて、燃焼性試験UL94に基づいて、燃焼時たれ落ちおよび燃焼時間を測定し、評価した。
<引張特性>
上記で得られた樹脂ペレットを120℃で5時間乾燥したのちISO多目的試験片(厚さ4mm)を、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で射出成形した。
成形した多目的ISO多目的試験片を用い、ISO527-1およびISO527-2に準拠し、最大点引張強度(単位:MPa)、引張弾性率(単位:MPa)および引張歪み(単位:%)を測定した。
<曲げ特性>
上記で得られた樹脂ペレットを120℃で5時間乾燥したのちISO多目的試験片(厚さ4mm)を、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で射出成形した。
成形した多目的ISO多目的試験片を用い、ISO178に準拠し、曲げ強さ(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
<ノッチ付きシャルピー衝撃強さ>
上記で得られた樹脂ペレットを120℃で5時間乾燥したのちISO多目的試験片(厚さ4mm)を、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で射出成形した。
ISO179規格に従い、上記で得られたISO多目的試験片を所定のサイズ形状に切削し、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)の測定を行った。単位は、kJ/m2で示した。
<吸収率、透過率、反射率>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃で射出成形し、100mm×100mm×2mm厚の試験片を得た。得られた試験片を用いて、周波数76.5GHzにおける、式(A)に従って求められる吸収率、式(B)に従って求められる反射率、および、式(C)に従って求められる透過率を以下の通り測定した。
測定に際し、キーサイト社製のネットワークアナライザ「N5252A」を用いた。
なお、射出成形体のTD(トランスバースディレクション)方向が、電場方向と平行になる向きに試験片を設置して測定した。
式(A)
Figure 2022104212000010
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
式(B)
Figure 2022104212000011
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
式(C)
Figure 2022104212000012
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
<電磁波吸収性能判定>
電磁波吸収性能は、吸収率、反射率および透過率について、3つとも満たした場合をA、少なくとも吸収率が下記を満たす場合(Aに該当する場合を除く)をB、AおよびB以外をCとして、評価した。
判定基準
吸収率が50.0%以上
反射率が30.0%未満
透過率が25.0%未満
<表面抵抗>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃で射出成形し、100mm×100mm×2mm厚の試験片を得た。
得られた試験片を用いて、IEC60093に準拠して表面抵抗(単位:Ω)を測定した。
測定にあたっては、ADVANTEST社製「R8340 ULTRA HIGH RESISTANCE METER」を用いた。
<体積抵抗>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃で射出成形し、100mm×100mm×2mm厚の試験片を得た。
得られた試験片を用いて、IEC60093に準拠して体積抵抗(単位:Ω・cm)を測定した。
測定にあたっては、ADVANTEST社製「R8340 ULTRA HIGH RESISTANCE METER」を用いた。
<総合評価>
上記の燃焼試験結果および電磁波吸収性能判定に基づき、以下の通り評価した。
燃焼試験の結果がV-0の場合3点、V-1の場合2点とし、V-2の場合を1点とし、不適合の場合を0点とした。また、電磁波吸収性能判定がAの場合2点、Bの場合1点とし、Cの場合を0点とした。燃焼試験と電磁波吸収性能判定の合計点数を5点満点で総合評価とした。
Figure 2022104212000013
Figure 2022104212000014
表2および表3において、(b-1)におけるカーボンナノチューブは、マスターバッチの添加量ではなく、カーボンナノチューブそのものの量を示している。
本発明の樹脂組成物から形成された成形体は、吸収率が高く、難燃性に優れていた。さらに、機械的強度が高かった。加えて、本発明の樹脂組成物から形成された成形体は、透過率および反射率が小さかった。
ミリ波レーダーにおいては、透過する電磁波に加え、反射する電磁波もノイズとなり、誤作動の原因となる。そのため、電磁波の吸収率が高く、透過率および反射率が小さい材料の需要が増加している。本発明の樹脂組成物はこれらの需要に応えることができる。さらに、高い難燃性の要求にも応えることができる。
そのため、難燃性と電磁波吸収特性が求められる用途に広く活用が期待できる。

Claims (12)

  1. 熱可塑性樹脂と、
    カーボンナノチューブと
    臭素系難燃剤とを含み、
    前記カーボンナノチューブ(CNT)と臭素系難燃剤に含まれる臭素原子(Br)の質量比率であるCNT/Brが0.01~0.40である、
    樹脂組成物。
  2. さらに、アンチモン化合物を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. さらに、強化材を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記強化材がガラス繊維を含む、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、前記カーボンナノチューブを0.1~10.0質量部含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂組成物を0.8mm厚さの試験片に成形し、UL94燃焼試験に従った難燃性の判定がV-0またはV-1である、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 電磁波吸収性である、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%である、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    式(A)
    Figure 2022104212000015
    (上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形体。
  12. 請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された電磁波吸収体。
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