JP2022008176A - 樹脂組成物、および電磁波吸収体 - Google Patents

樹脂組成物、および電磁波吸収体 Download PDF

Info

Publication number
JP2022008176A
JP2022008176A JP2021099922A JP2021099922A JP2022008176A JP 2022008176 A JP2022008176 A JP 2022008176A JP 2021099922 A JP2021099922 A JP 2021099922A JP 2021099922 A JP2021099922 A JP 2021099922A JP 2022008176 A JP2022008176 A JP 2022008176A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
mass
resin
parts
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021099922A
Other languages
English (en)
Inventor
秀太 井関
Shuta Izeki
英和 庄司
Hidekazu Shoji
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Engineering Plastics Corp filed Critical Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Publication of JP2022008176A publication Critical patent/JP2022008176A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)

Abstract

【課題】 電磁波の吸収率が高く、かつ、電磁波の透過率および反射率が低い樹脂組成物であって、電磁波の周波数の違いによる反射率の差が小さい電磁波吸収体用樹脂組成物、ならびに、電磁波吸収体の提供。【解決手段】 熱可塑性樹脂100質量部に対して、カーボンナノチューブ0.1~10.0質量部を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差が20.0%以下であり、電磁波吸収体用である、樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、電磁波吸収体用樹脂組成物および電磁波吸収体に関する。
ミリ波レーダーは、30~300GHz、特に、60~90GHzの周波数の、1~10mmの波長を持つミリ波帯の電波を発信し、対象物に衝突して戻ってくる反射波を受信することによって障害物の存在や、対象物との距離や相対速度を検知するものである。ミリ波レーダーとしては、自動車の衝突防止用センサー、自動運転システム、道路情報提供システム、セキュリティシステム、医療・介護デバイス等幅広い分野の利用が検討されている。
かかるミリ波レーダー用の樹脂組成物として、特許文献1に記載のものが知られている。また、特許文献2には、電磁干渉遮蔽用または無線周波数干渉遮蔽用として用いられうる多機能性樹脂組成物が開示されている。
特開2019-197048号公報 特開2010-155993号公報
ここで、ミリ波レーダーにおいては、透過する電磁波に加え、反射する電磁波もノイズとなり、誤作動の原因となる。そのため、電磁波の吸収率が高く、透過率および反射率が小さい材料の需要が増加している。さらに、電磁波の周波数によって、反射率の差が大きいと、安定性や生産性に影響を与える。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、電磁波の吸収率が高く、かつ、電磁波の透過率および反射率が低い電磁波吸収体用樹脂組成物であって、電磁波の周波数の違いによる反射率の差が小さい電磁波吸収体用樹脂組成物および電磁波吸収体を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>熱可塑性樹脂と電磁波吸収材を含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差が20.0%以下であり、電磁波吸収体用である、樹脂組成物。
式(A)
Figure 2022008176000001
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
式(B)
Figure 2022008176000002
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
<2>前記電磁波吸収材が炭素含有電磁波吸収材である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>熱可塑性樹脂100質量部に対して、カーボンナノチューブ0.1~10.0質量部を含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差が20.0%以下であり、電磁波吸収体用である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、さらに、ガラス繊維10~100質量部を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記電磁波吸収材と前記ガラス繊維の質量比率(電磁波吸収材/ガラス繊維)が、0.01~0.30である、<4>に記載の樹脂組成物。
<6>さらに、反応性化合物を、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01~5.0質量部含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7>前記熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>さらに、ポリカーボネート樹脂を、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1.0~75質量部含む、<7>に記載の樹脂組成物。
<9>さらに、ポリスチレン系樹脂を、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1.0~60質量部含む、<7>に記載の樹脂組成物。
<10>さらに、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を1.0~75質量部、および、ポリスチレン系樹脂を1.0~60質量部含む、<7>に記載の樹脂組成物。
<11>熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<12>熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<13>前記電磁波吸収材が、多層カーボンナノチューブを含む、<1>~<12>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<14>前記樹脂組成物が、炭素繊維を含まないか、炭素繊維の含有量が3質量%未満である、<1>~<13>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<15>前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下である、<1>~<14>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(B)
Figure 2022008176000003
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
<16>前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が15.0%以下である、<1>~<15>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(C)
Figure 2022008176000004
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
<17>熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物あって、
前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が60.0%以上であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が30.0%以下であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が10.0%以下であり、電磁波吸収体用である、樹脂組成物。
式(A)
Figure 2022008176000005
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
式(B)
Figure 2022008176000006
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
式(C)
Figure 2022008176000007
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
<18><1>~<17>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された電磁波吸収体。
本発明により、電磁波の吸収率が高く、かつ、電磁波の透過率および反射率が低い電磁波吸収体用樹脂組成物であって、電磁波の周波数の違いによる反射率の差が小さい電磁波吸収体用樹脂組成物、ならびに、電磁波吸収体を提供可能になった。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、特に述べない限り、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、反射減衰量および透過減衰量の単位は「dB」(デシベル)である。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と電磁波吸収材を含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差が20.0%以下であり、電磁波吸収体用であることを特徴とする。
式(A)
Figure 2022008176000008
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
式(B)
Figure 2022008176000009
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
このような構成とすることにより、電磁波の吸収率が高く、かつ、電磁波の透過率および反射率が低い電磁波吸収体用樹脂組成物であって、電磁波の周波数の違いによる反射率の差が小さい電磁波吸収体用樹脂組成物が得られる。
<熱可塑性樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む。
本実施形態で用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂);ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂;等が好ましく例示され、ポリオレフィン樹脂(好ましくはポリプロピレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂の少なくとも1種を含むことがより好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂の少なくとも1種を含むことがさらに好ましく、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むことがさらに好ましい。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい一例は、ポリエステル樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリエステル樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)であることである。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい他の一例は、ポリカーボネート樹脂を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリカーボネート樹脂であることである。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい他の一例は、ポリフェニレンエーテル樹脂を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリフェニレンエーテル樹脂であることである。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい一例は、ポリオレフィン樹脂(好ましくは、ポリピロピレン樹脂)を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリオレフィン樹脂(好ましくは、ポリプロピレン樹脂)であることである。
本実施形態における、熱可塑性樹脂の好ましい他の一例は、ポリアミド樹脂を含むことであり、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)がポリアミド樹脂であることである。本実施形態におけるポリアミド樹脂としては、後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂や脂肪族ポリアミド樹脂(好ましくはポリアミド1010)が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、また、2種以上の熱可塑性樹脂をブレンドしたアロイであってもよい。2種以上の熱可塑性樹脂を配合すると、通常は、完全に相溶せず、海島構造ができる。この島の部分には、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)は存在しにくくなるため、結果的に、樹脂組成物または電磁波吸収体中の電磁波吸収材が存在する領域が狭くなり、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)の配合量を少なくしても、電磁波吸収性等の各種性能を効果的に達成させることができる。
例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、ポリカーボネート樹脂および/またはポリスチレン樹脂を配合する態様が例示される。
本実施形態の樹脂組成物のブレンド形態としては、以下のものが好ましい。
第一のブレンド形態は、ポリカーボネート樹脂を、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1.0~75質量部含む形態である。ポリカーボネート樹脂を配合することにより、得られる電磁波吸収体の反りを効果的に抑制することができる。第一のブレンド形態では、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂からなる。
第一のブレンド形態におけるポリカーボネート樹脂の含有量の下限値は、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることがさらに好ましく、45質量部以上であることが一層好ましく、50質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形品の反り量を小さくできる傾向にある。第一のブレンド形態におけるポリカーボネート樹脂の含有量の上限値は、70質量部以下であることが好ましく、65質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性および耐加水分解性がより向上する傾向にある。
第一のブレンド形態において、ポリカーボネート樹脂は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上を用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
第二のブレンド形態は、ポリスチレン系樹脂(好ましくはAS樹脂)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1.0~60質量部含む形態である。ポリスチレン系樹脂を配合することにより、得られる電磁波吸収体の反りを効果的に抑制できる。第二のブレンド形態では、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂とポリスチレン系樹脂(好ましくはAS樹脂)からなる。
第二のブレンド形態におけるポリスチレン系樹脂(好ましくはAS樹脂)の含有量の下限値は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましく、25質量部以上であることが一層好ましく、30質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形品の反り量をより小さくできる傾向にある。第二のブレンド形態におけるポリスチレン系樹脂(好ましくはAS樹脂)の含有量の上限値は、90質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性という効果がより向上する傾向にある。
第二のブレンド形態において、ポリスチレン系樹脂は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上を用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
第三のブレンド形態は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を1.0~75質量部、および、ポリスチレン系樹脂(好ましくは、HIPS)を1.0~60質量部含む形態である。ポリスチレン系樹脂とポリカーボネート樹脂を配合することにより、得られる電磁波吸収体の反りを効果的に抑制できる。第三のブレンド形態では、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とポリスチレン系樹脂(好ましくは、HIPS)とからなる。
第三のブレンド形態におけるスチレン系樹脂(好ましくは、HIPS)の含有量の下限値は、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、35質量部以上であることが一層好ましく、38質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形品の反り量をより小さくできる傾向にある。第三のブレンド形態におけるスチレン系樹脂の含有量の上限値は、70質量部以下であることが好ましく、65質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることがさらに好ましく、55質量部以下であることが一層好ましく、50質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性がより向上する傾向にある。
第三のブレンド形態におけるポリカーボネート樹脂の含有量の下限値は、4質量部以上であることが好ましく、8質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、12質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形品の反り量をより小さくできる傾向にある。第三のブレンド形態におけるポリカーボネート樹脂の含有量の上限値は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以下であることが一層好ましく、18質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性および耐加水分解性がより向上する傾向にある。
第三のブレンド形態において、ポリカーボネート樹脂とスチレン樹脂の質量比率は、1:2.0~4.0であることが好ましく、1:2.5~3.5であることがより好ましい。このような質量比率とすることにより、成形品の反りが抑制され、機械的強度もより向上する傾向にある。
第三のブレンド形態において、スチレン系樹脂およびポリカーボネート樹脂は、それぞれ、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上を用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
以下、各熱可塑性樹脂の詳細について述べる。
<<ポリエステル樹脂>>
ポリエステル樹脂としては、公知の熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることができ、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましく、少なくともポリブチレンテレフタレート樹脂を含むことがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位および1,4-ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有するポリエステル樹脂であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位および1,4-ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーとポリブチレンテレフタレート共重合体との混合物を含む。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸以外のジカルボン酸単位を1種または2種以上含んでいてもよい。
他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ビス(4,4’-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4-シクロへキサンジカルボン酸、4,4’-ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類、および、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。
本実施形態で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位が全ジカルボン酸単位の80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましい。
ジオール単位としては、1,4-ブタンジオールの外に1種または2種以上の他のジオール単位を含んでいてもよい。
他のジオール単位の具体例としては、炭素数2~20の脂肪族または脂環族ジオール類、ビスフェノール誘導体類等が挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ一ル、4,4’-ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’-ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノ一ルAのエチレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
本実施形態で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、1,4-ブタンジオール単位が全ジオール単位の80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、上記した通り、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールとを重縮合させたポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましい。また、カルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上および/またはジオール単位として、前記1,4-ブタンジオール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。ポリブチレンテレフタレート樹脂が、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂である場合、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類、特にはポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いることが好ましい。
なお、これらの共重合体は、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が、好ましくは2モル%以上50モル%未満、より好ましくは3~40モル%、さらに好ましくは5~20モル%である。このような共重合割合とすることにより、流動性、靱性、耐トラッキング性が向上しやすい傾向にあり、好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。上記上限値以下とすることにより、耐アルカリ性および耐加水分解性が抗向上する傾向にある。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/ton以上である。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリブチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lのベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、0.5~2dL/gであるのが好ましい。成形性および機械的特性の点からして、0.6~1.5dL/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度を0.5dL/g以上とすることにより、得られる樹脂組成物の機械強度がより向上する傾向にある。また、2dL/g以下とすることにより、樹脂組成物の流動性がより向上し、成形性が向上する傾向にある。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分またはこれらのエステル誘導体と、1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式または連続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレフタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下または減圧下固相重合させることにより、重合度(または分子量)を所望の値まで高めることもできる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法で得られたものが好ましい。
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂としては、上記の他、特開2010-174223号公報の段落番号0013~0016の記載を参酌でき、その内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物におけるポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、樹脂組成物がポリブチレンテレフタレート樹脂を含む場合、樹脂組成物中、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、37質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐薬品性がより向上する傾向にある。また、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、樹脂組成物がポリブチレンテレフタレート樹脂を含む場合、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、72質量%以下であることがさらに好ましく、66質量%以下であることが一層好ましく、60質量%以下であることがより一層好ましく、さらには、55質量%以下、50質量%以下、47質量%以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、成形品の反り量をより効果的に小さくできる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<ポリカーボネート樹脂>>
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい単独重合体または共重合体である。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。
原料のジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4-ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂、または、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。さらには、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m-およびp-メチルフェノール、m-およびp-プロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることがさらに好ましい。粘度平均分子量が5,000以上のものを用いることにより、得られる樹脂組成物の機械的強度がより向上する傾向にある。また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることがさらに好ましい。60,000以下のものを用いることにより、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性が向上する傾向にある。
なお、本実施形態において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、20℃にて、ポリカーボネート樹脂のメチレンクロライド溶液の粘度を測定し極限粘度([η])を求め、次のSchnellの粘度式から算出される値を示す。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)および溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、溶融法で製造したポリカーボネート樹脂に、末端のOH基量を調整する後処理を施したポリカーボネート樹脂も好ましい。
<<ポリスチレン系樹脂>>
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の単独重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、より具体的には、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン-IPN型ゴム共重合体等の樹脂等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂がゴム成分を含む場合、ポリスチレン系樹脂中のゴム成分の含有量は3~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、7~30質量%がさらに好ましい。ゴム成分の含有量を3質量%以上とすることにより、耐衝撃性が向上する傾向にあり、50質量%以下とすることにより、難燃性が向上する傾向となり好ましい。また、ゴム成分の平均粒子径は、0.05~10μmであることが好ましく、0.1~6μmであることがより好ましく、0.2~3μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が0.05μm以上であると耐衝撃性が向上しやすい傾向にあり、10μm以下であると外観が向上する傾向にあり好ましい。
ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、通常、50,000以上であり、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは150,000以上であり、また、通常、500,000以下であり、好ましくは400,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。また、数平均分子量は、通常、10,000以上であり、好ましくは30,000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、また、好ましくは500,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。
ポリスチレン系樹脂の、JIS K7210(温度200℃、荷重5kgf)に準拠して測定されるメルトフローレイト(MFR)は、0.1~30g/10分であることが好ましく、0.5~25g/10分であることがより好ましい。MFRが0.1g/10分以上であると流動性が向上する傾向にあり、30g/10分以下であると耐衝撃性が向上する傾向にある。
このようなポリスチレン系樹脂の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
<<ポリフェニレンエーテル樹脂>>
本実施形態では、公知のポリフェニレンエーテル樹脂を用いることができ、例えば、下記式で表される構成単位を主鎖に有する重合体(好ましくは、下記式で表される構成単位が末端基を除く全構成単位の90モル%以上を占める重合体)が例示される。ポリフェニレンエーテル樹脂は、単独重合体または共重合体のいずれであってもよい。
Figure 2022008176000010
(式中、2つのRaは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭化水素オキシ基、またはハロゲン化炭化水素オキシ基を表し、2つのRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、炭化水素オキシ基、またはハロゲン化炭化水素オキシ基を表す。ただし、2つのRaがともに水素原子になることはない。)
aおよびRbとしては、それぞれ独立に、水素原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基が好ましい。第1級アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-アミル基、イソアミル基、2-メチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-、3-もしくは4-メチルペンチル基またはヘプチル基が挙げられる。第2級アルキル基の好適な例としては、例えば、イソプロピル基、sec-ブチル基または1-エチルプロピル基が挙げられる。特に、Raは第1級もしくは第2級の炭素数1~4のアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。Rbは水素原子であることが好ましい。
好適なポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体としては、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-エチル-6-メチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレンエーテル)等の2,6-ジアルキルフェニレンエーテルの重合体が挙げられる。共重合体としては、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリエチルフェノール共重合体、2,6-ジエチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジプロピルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体等の2,6-ジアルキルフェノール/2,3,6-トリアルキルフェノール共重合体、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
本実施形態におけるポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノールランダム共重合体が好ましい。また、特開2005-344065号公報に記載されているような末端基数と銅含有率を規定したポリフェニレンエーテル樹脂も好適に使用できる。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、クロロホルム中で測定した30℃の固有粘度が0.2~0.8dL/gのものが好ましく、0.3~0.6dL/gのものがより好ましい。固有粘度を0.2dL/g以上とすることにより、樹脂組成物の機械的強度がより向上する傾向にあり、0.8dL/g以下とすることにより、流動性がより向上し、成形加工がより容易になる傾向にある。また、固有粘度の異なる2種以上のポリフェニレンエーテル樹脂を併用して、この固有粘度の範囲としてもよい。
本実施形態に使用されるポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って、例えば、2,6-ジメチルフェノール等のモノマーをアミン銅触媒の存在下、酸化重合する方法を採用することができ、その際、反応条件を選択することにより、固有粘度を所望の範囲に制御することができる。固有粘度の制御は、重合温度、重合時間、触媒量等の条件を選択することにより達成できる。
<<ポリオレフィン樹脂>>
ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、およびポリ-4-メチルペンテン、ならびにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリエチレンは、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。
ポリプロピレンは、例えば、結晶性または非晶性ポリプロピレンが挙げられる。
前記共重合体は、例えば、エチレン-プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、α-オレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体およびエチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらの中でも結晶性または非晶性ポリプロピレン、エチレン-プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体が好ましく、プロピレン-エチレンブロック共重合体がより好ましい。また安価で、比重が小さいために成形品を軽量化できる観点からはポリプロピレン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂のメルトフローレイト(MFR)は0.1~5.0g/10分が好ましい。
<<ポリアミド樹脂>>
ポリアミド樹脂としては、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮合、ジアミンと二塩基酸の重縮合により得られる酸アミドを構成単位とする高分子であり、具体的には、ポリアミド6、11、12、46、66、610、612、6I、6/66、6T/6I、6/6T、66/6T、66/6T/6I、1010、詳細を後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド等が挙げられる。なお、上記「I」はイソフタル酸成分、「T」はテレフタル酸成分を示す。また、ポリアミド樹脂としては、特開2011-132550号公報の段落番号0011~0013の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態で用いるポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が好ましい。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジアミン由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上がメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも1種に由来する。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジカルボン酸由来の構成単位は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上が、炭素数が4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。炭素数が4~20のα,ω-直鎖脂肪族二塩基酸は、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸などが好適に使用でき、アジピン酸およびセバシン酸がより好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジアミン成分として用いることができるメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4-アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
上記炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸といったナフタレンジカルボン酸類の異性体等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
本実施形態の樹脂組成物における熱可塑性樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)の含有量は、樹脂組成物中、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、37質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐薬品性がより向上する傾向にある。また、前記熱可塑性樹脂(好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂)の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、72質量%以下であることがさらに好ましく、66質量%以下であることが一層好ましく、60質量%以下であることがより一層好ましく、さらには、55質量%以下、50質量%以下、47質量%以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、成形品の反り量をより効果的に小さくできる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<電磁波吸収材>
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収材を含む。電磁波吸収材を含むことにより、樹脂組成物に電磁波吸収性を付与することができる。
本実施形態に用いる電磁波吸収材は、金属、金属酸化物、炭素含有電磁波吸収材および導電性ポリマーが例示され、炭素含有電磁波吸収材が好ましい。
金属としては、銅、ニッケル、銀、ステンレスからなるものが例示され、金属フィラーやステンレス繊維、磁性フィラーが好ましい。金属酸化物としては、アルミナ、酸化亜鉛が例示され、アルミナ繊維、酸化亜鉛ナノチューブが好ましい。炭素含有電磁波吸収材としては、カーボンブラック、ケッチェンカーボン、グラフェン、黒鉛、フラーレン、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーが好ましく、カーボンナノチューブがより好ましい。
また、金属や金属酸化物、炭素含有電磁波吸収材で被覆された繊維なども好ましい。例えば、カーボンでコートされたチタン酸カリウムウィスカー、金属被覆繊維などが例示される。
本実施形態における電磁波吸収材は、繊維状、チューブ状、ウィスカー状など、比較的細くて長い形状のものが好ましい。
電磁波吸収材の直径(数平均繊維径)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、3nm以上であることがさらに好ましく、また、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることが一層好ましい。
電磁波吸収材のアスペクト比としては、良好な電磁波吸収性を付与する観点から、5以上が好ましく、50以上がより好ましい。上限は特に定めるものではないが、例えば、500以下である。
上述の通り、炭素系電磁波吸収材としては、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブなどが知られている。本実施形態においては、これらの炭素系電磁波吸収材から、カーボンナノチューブを選択することにより、電磁波の吸収率が高く、かつ、電磁波の透過率および反射率が低く、さらに、周波数に関係なく、反射率の差を小さくしている。また得られる成形体の機械的強度を高くすることができる。
本実施形態に用いるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブ、あるいは、混合物のいずれでもよいが、多層カーボンナノチューブを含むことが好ましい。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有している炭素材料も使用できる。また、カーボンナノチューブは、円筒形状に限らず、1μm以下のピッチでらせんが一周するコイル状形状を有していてもよい。
カーボンナノチューブは、市販品として入手可能であり、例えば、バイエルマテリアルサイエンス社製、ナノシル社製、昭和電工株式会社製、ハイペリオン・キャタリシス・インターナショナル社から入手可能なカーボンナノチューブが挙げられる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリル、カーボンフィブリルなどと称されることもある。
カーボンナノチューブの直径としては、0.5~100nmが好ましく、1~30nmがより好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比としては、良好な電磁波吸収性を付与する観点から、5以上が好ましく、50以上がより好ましい。上限は特に定めるものではないが、例えば、500以下である。
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)を、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、0.1~10.0質量部含むことが好ましい。電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)を含むことにより、配合量が少量でも効果的に電磁波を吸収できる。さらに、電磁波の透過および反射を効果的に抑制できる。さらに、周波数が70~80GHzの電磁波における反射率の差を小さくできる。また、得られる成形体の機械的強度を高くすることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)を、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上含むことが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがさらに好ましく、1.8質量部以上であることが一層好ましく、2.0質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、電磁波吸収性が効果的に発揮される。また、本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)を、熱可塑性樹脂100質量部に対して、10.0質量部以下含み、8.0質量部以下であることが好ましく、7.0質量部以下であることがより好ましく、6.0質量部以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、ガラス繊維の配合量を相対的に多くすることができ、得られる成形体の機械的強度を高くすることができる。
特に、本実施形態の樹脂組成物がポリブチレンテレフタレート樹脂を含む場合、より特には、実質的に樹脂成分がポリブチレンテレフタレート樹脂のみからなる場合、本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)を、好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上含むことが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがさらに好ましく、1.8質量部以上であることが一層好ましく、2.0質量部以上であることがより一層好ましく、3.0質量部以上であることがさらに一層好ましく、3.0質量部を超えることが最も好ましい。前記下限値以上とすることにより、電磁波吸収性が効果的に発揮される。また、本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、10.0質量部以下含むことが好ましく、8.0質量部以下であることがより好ましく、7.0質量部以下であることがさらに好ましく、6.0質量部以下であることが一層好ましく、5.0質量部以下であることがより一層好ましく、4.0質量部以下であることがさらに一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、例えば、ガラス繊維の配合量を相対的に多くすることができ、得られる成形体の機械的強度を高くすることができる。
本実施形態の樹脂組成物の一実施形態は、カーボンナノチューブ以外の炭素系電磁波吸収材を含まないか、樹脂組成物の3質量%未満で含むことである。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。
本実施形態におけるカーボンナノチューブ以外の炭素系電磁波吸収材の含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物の一実施形態は、また、炭素繊維を含まないか、炭素繊維の含有量が3質量%未満であることである。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。また、電磁波の反射率をより低くすることができる。
本実施形態における前記炭素繊維の含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物の他の一実施形態は、また、黒鉛を含まないか、黒鉛の含有量が3質量%未満である。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。また、電磁波の吸収率をより高くすることができる。さらに、得られる電磁波吸収体の機械的強度をより向上させることができる。
本実施形態における前記黒鉛の含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物の他の一実施形態は、また、カーボンブラックを含まないか、カーボンブラックの含有量が3質量%未満である。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。また、得られる電磁波吸収体の機械的強度をより向上させることができる。
本実施形態における前記カーボンブラックの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
本実施形態の樹脂組成物の他の一実施形態は、また、ケッチェンブラックを含まないか、ケッチェンブラックの含有量が3質量%未満である。このような構成とすることにより、電磁波の反射率の周波数依存性をより改善できる傾向にある。また、得られる電磁波吸収体の機械的強度をより向上させることができる。
本実施形態における前記ケッチェンブラックの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.05質量%未満、さらに一層好ましくは0.01質量%未満である。
また、上記実施形態の2つ以上を満たす実施形態も好ましい。さらに、上記実施形態のすべてを満たす実施形態も好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)の含有量は、樹脂組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より安定した電磁波吸収性能が得られる傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の耐衝撃強度を高く維持できる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<ガラス繊維>
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、ガラス繊維10~100質量部を含む。ガラス繊維を含むことにより、本実施形態の樹脂組成物から形成される電磁波吸収体の機械的強度を向上させることができる。
ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Rガラス、Dガラス、Mガラス、Sガラスなどのガラス組成から選択され、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が好ましい。
ガラス繊維は、長さ方向に直角に切断した断面形状が真円状または多角形状の繊維状の材料をいう。ガラス繊維は、単繊維の数平均繊維径が通常1~25μm、好ましくは5~17μmである。数平均繊維径を1μm以上とすることにより、樹脂組成物の成形加工性がより向上する傾向にある。数平均繊維径を25μm以下とすることにより、得られる電磁波吸収体の外観が向上し、補強効果も向上する傾向にある。ガラス繊維は、単繊維または単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。
ガラス繊維の形態は、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取ったガラスロービング、長さ1~10mmに切りそろえたチョップドストランド(すなわち、数平均繊維長1~10mmのガラス繊維)、長さ10~500μm程度に粉砕したミルドファイバー(すなわち、数平均繊維長10~500μmのガラス繊維)などのいずれであってもよいが、長さ1~10mmに切りそろえたチョップドストランドが好ましい。ガラス繊維は、形態が異なるものを併用することもできる。
また、ガラス繊維としては、異形断面形状を有するものも好ましい。この異形断面形状とは、繊維の長さ方向に直角な断面の長径/短径比で示される扁平率が、例えば、1.5~10であり、中でも2.5~10、さらには2.5~8、特に2.5~5であることが好ましい。
ガラス繊維は、本実施形態の樹脂組成物の特性を大きく損なわない限り、樹脂成分との親和性を向上させるために、例えば、シラン系化合物、エポキシ系化合物、ウレタン系化合物などで表面処理したもの、酸化処理したものであってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、ガラス繊維を、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、10質量部以上含み、20質量部以上であることが好ましく、35質量部以上であることがより好ましく、47質量部以上であることがさらに好ましく、55質量部以上であることが一層好ましく、63質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、機械的強度がより上昇する傾向にある。また、前記ガラス繊維の含有量は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、100質量部以下であり、90質量部以下であることが好ましく、85質量部以下であることがより好ましく、80質量部以下であることがさらに好ましく、75質量部以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形品外観が向上し、かつ、溶融樹脂の流動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物におけるガラス繊維の含有量は、樹脂組成物中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、機械的強度がより上昇する傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、成形品外観が向上し、かつ、溶融樹脂の流動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ガラス繊維を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)とガラス繊維の質量比率(電磁波吸収材/ガラス繊維)が、0.01以上であり、0.02以上であることが好ましく、0.025以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましく、0.05以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より高い電磁波吸収性能が得られる傾向にある。また、前記電磁波吸収材とガラス繊維の質量比率は、0.30であり、0.20以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましく、0.07以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の耐衝撃強度をより高くできる維持できる傾向にある。
<反応性化合物>
本実施形態の樹脂組成物は、反応性化合物を、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対して、0.01~5.0質量部含むことが好ましい。反応性化合物を含むことにより、機械的強度が向上し、また、耐加水分解性に優れた樹脂組成物が得られる。
本実施形態で用いる反応性化合物は、エポキシ基を有する化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基を有する化合物およびオキサジン基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、エポキシ基を有する化合物を含むことがより好ましい。
<<エポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)>>
エポキシ基を有する化合物は、一分子中に一個以上のエポキシ基を有する化合物であり、グリシジル化合物、エポキシ基を有する芳香族環含有化合物、エポキシ基を有する脂環式化合物などが挙げられ、エポキシ基を有する芳香族環含有化合物を少なくとも含むことが好ましい。
エポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ビスフェノールAジグリシジルエーテルを含む)、ビスフェノールF型エポキシ化合物(ビスフェノールFジグリシジルエーテルを含む)、ビフェニル型エポキシ化合物(ビス(グリシジルオキシ)ビフェニルを含む)、レゾルシン型エポキシ化合物(レゾルシノールジグリシジルエーテルを含む)、ノボラック型エポキシ化合物、安息香酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステルなどの芳香族環を有するエポキシ化合物、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの(ジ)グリシジルエーテル類、ソルビン酸グリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油などのパラフィン系(例えば飽和脂肪酸系)またはオレフィン系(例えば不飽和脂肪酸系)の(ジ)グリシジルエステル類、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシドなどの脂環式エポキシ化合物類、また、エポキシ変性スチレン-アクリル共重合体等が挙げられる。
中でも、側鎖にグリシジル基を含有するスチレン-アクリル共重合体、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ化合物がより好ましい。
<<カルボジイミド化合物>>
本実施形態の樹脂組成物においては、反応性化合物として、カルボジイミド化合物を含有することもまた好ましい。カルボジイミド化合物は、分子中にカルボジイミド基(-N=C=N-)を含有する化合物である。カルボジイミド化合物としては、主鎖が脂肪族の脂肪族カルボジイミド化合物、主鎖が脂環式の脂環式カルボジイミド化合物、主鎖が芳香族の芳香族カルボジイミド化合物の何れも使用することができる。中でも、ポリマー末端との反応性が良好である脂肪族カルボジイミド化合物の使用が好ましい。カルボジイミド化合物のタイプとして、モノマー型であっても、ポリマー型であってもよいが、本実施形態においてはポリマー型が好ましい。
上記脂肪族カルボジイミド化合物としては、ジイソプロピルカルボジイミド、ジオクチルデシルカルボジイミド等を挙げることができる。上記脂環式カルボジイミド化合物としてはジシクロヘキシルカルボジイミド、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等を挙げることができ、特にポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)が好ましい。
市販のものとしては、「カルボジライト」(商品名;日清紡ケミカル社製)等を挙げることができる。
上記芳香族カルボジイミド化合物としては、ジフェニルカルボジイミド、ジ-2,6-ジメチルフェニルカルボジイミド、N-トリイル-N’-フェニルカルボジイミド、ジ-p-ニトロフェニルカルボジイミド、ジ-p-アミノフェニルカルボジイミド、ジ-p-ヒドロキシフェニルカルボジイミド、ジ-p-クロロフェニルカルボジイミド、ジ-p-メトキシフェニルカルボジイミド、ジ-3,4-ジクロロフェニルカルボジイミド、ジ-2,5-ジクロロフェニルカルボジイミド、ジ-o-クロロフェニルカルボジイミド、p-フェニレン-ビス-ジ-o-トリイルカルボジイミド、p-フェニレン-ビス-ジシクロヘキシルカルボジイミド、p-フェニレン-ビス-ジ-p-クロロフェニルカルボジイミド、エチレン-ビス-ジフェニルカルボジイミド等のモノまたはジカルボジイミド化合物、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,5’-ジメチル-4,4’-ビフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,5’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(1,3-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1-メチル-3,5-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリエチルフェニレンカルボジイミド)およびポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミド化合物が挙げられ、これらは2種以上併用することもできる。
<<オキサゾリン基を有する化合物>>
上記オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、オキサゾリン、アルキルオキサゾリン(2-メチルオキサゾリン、2-エチルオキサゾリン等の炭素数1~4のアルキルオキサゾリン)やビスオキサゾリン化合物等を挙げることができる。
上記ビスオキサゾリン化合物としては、例えば2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(アルキル-2-オキサゾリン)[2,2’-ビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)等の2,2’-ビス(炭素数1~6のアルキル-2-オキサゾリン)など]、2,2’-ビス(アリール-2-オキサゾリン)[2,2’-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)など]、2,2’-ビス(シクロアルキル-2-オキサゾリン)[2,2’-ビス(4-シクロヘキシル-2-オキサゾリン)など]、2,2’-ビス(アラルキル-2-オキサゾリン)[2,2’-ビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)など]、2,2’-アルキレンビス(2-オキサゾリン)[2,2’-エチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(2-オキサゾリン)等の2,2’-炭素数1~10のアルキレンビス(2-オキサゾリン)等]、2,2’-アルキレンビス(アルキル-2-オキサゾリン)[2,2’-エチレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)等の2,2’-炭素数1~10のアルキレンビス(炭素数1~6のアルキル-2-オキサゾリン)等]、2,2’-アリーレンビス(2-オキサゾリン)[2,2’-(1,3-フェニレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,4-フェニレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,2-フェニレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ジフェニレンビス(2-オキサゾリン)等]、2,2’-アリーレンビス(アルキル-2-オキサゾリン)[2,2’-(1,3-フェニレン)-ビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-(1,4-フェニレン)-ビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)等の2,2’-フェニレン-ビス(炭素数1~6のアルキル-2-オキサゾリン)等]、2,2’-アリーロキシアルカンビス(2-オキサゾリン)[2,2’-9,9’-ジフェノキシエタンビス(2-オキサゾリン)など]、2,2’-シクロアルキレンビス(2-オキサゾリン)[2,2’-シクロヘキシレンビス(2-オキサゾリン)など]、N,N’-アルキレンビス(2-カルバモイル-2-オキサゾリン)[N,N’-エチレンビス(2-カルバモイル-2-オキサゾリン)、N,N’-テトラメチレンビス(2-カルバモイル-2-オキサゾリン)等のN,N’-炭素数1~10のアルキレンビス(2-カルバモイル-2-オキサゾリン)等]、N,N’-アルキレンビス(2-カルバモイル-アルキル-2-オキサゾリン)[N,N’-エチレンビス(2-カルバモイル-4-メチル-2-オキサゾリン)、N,N’-テトラメチレンビス(2-カルバモイル-4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)等のN,N’-炭素数1~10のアルキレンビス(2-カルバモイル-炭素数1~6のアルキル-2-オキサゾリン)等]、N,N’-アリーレンビス(2-カルバモイル-2-オキサゾリン)[N,N’-フェニレンビス(2-カルバモイル-オキサゾリン)など]等を挙げることができる。
また、オキサゾリン基を有する化合物には、オキサゾリン基を含有するビニルポリマー(日本触媒社製、エポクロスRPSシリーズ、RASシリーズおよびRMSシリーズなど)なども含まれる。これらのオキサゾリン化合物のうちビスオキサゾリン化合物が好ましい。
<<オキサジン基を有する化合物>>
上記オキサジン基を有する化合物として、オキサジンやビスオキサジン化合物等を用いることができる。
上記ビスオキサジン化合物としては、例えば2,2’-ビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-ビス(アルキル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)[2,2’-ビス(4-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-ビス(4,4-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-ビス(4,5-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等の2,2’-ビス(炭素数1~6のアルキル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)など]、2,2’-アルキレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)[2,2’-メチレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-エチレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-ヘキサンメチレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等の2,2’-炭素数1~10のアルキレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等]、2,2’-アリーレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)[2,2’-(1,3-フェニレン)-ビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-(1,4-フェニレン)-ビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-(1,2-フェニレン)-ビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-ナフチレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-ジフェニレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等]、N,N’-アルキレンビス(2-カルバモイル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)[N,N’-エチレンビス(2-カルバモイル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、N,N’-テトラメチレンビス(2-カルバモイル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等のN,N’-炭素数1~10のアルキレンビス(2-カルバモイル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等]、N,N’-アルキレンビス(2-カルバモイル-アルキル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)[N,N’-エチレンビス(2-カルバモイル-4-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、N,N’-ヘキサメチレンビス(2-カルバモイル-4,4-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等のN,N’-炭素数1~10のアルキレンビス(2-カルバモイル-炭素数1~6のアルキル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等]、N,N’-アリーレンビス(2-カルバモイル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)[N,N’-フェニレンビス(2-カルバモイル-オキサジン)など]等を挙げることができる。これらのオキサジン化合物のうち、ビスオキサジン化合物が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における反応性化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることがさらに好ましく、0.5質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐加水分解性がより向上する傾向にある。また、前記反応性化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以下であることがさらに好ましく、1.2質量部以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、溶融粘度がより安定し、成形性が向上する傾向にある。
特に、本実施形態の樹脂組成物がポリブチレンテレフタレート樹脂を含む場合、より特には、実質的に樹脂成分がポリブチレンテレフタレート樹脂のみからなる場合、本実施形態の樹脂組成物における反応性化合物の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることがさらに好ましく、0.5質量部以上であることが一層好ましく、0.8質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐加水分解性がより向上する傾向にある。また、前記反応性化合物の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、5.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以下であることがさらに好ましく、1.2質量部以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、溶融粘度がより安定し、成形性が向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、反応性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
具体的には、安定剤、離型剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。本実施形態の樹脂組成物は、安定剤および離型剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)およびガラス繊維、ならびに、選択的に配合される他の成分の合計が100質量%となるように調整される。本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)およびガラス繊維の合計が樹脂組成物の95質量%以上を占めることが好ましい。また、本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)、ガラス繊維、安定剤、および、離型剤の合計が樹脂組成物の99質量%以上を占めることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、また、ポリカーボネート樹脂を実質的に含まない構成であってもよい。ポリカーボネート樹脂を実質的に含まないとは、ポリカーボネート樹脂の含有量が樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂の10質量%以下であることをいい、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂を実質的に含まない樹脂組成物は、特に、ガラス繊維を含まない樹脂組成物において、好ましく採用される。
<<安定剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を含んでいてもよい。安定剤は、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、硫黄系安定剤等が例示される。これらの中でも、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。また、ヒンダードフェノール系化合物とリン系化合物を併用することも好ましい。
安定剤としては、具体的には、特開2018-070722号公報の段落0046~0057の記載、特開2019-056035号公報の段落0030~0037の記載、国際公開第2017/038949号の段落0066~0078の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対し、0.01質量部以上含むことが好ましく、0.05質量部以上含むことがより好ましく、0.08質量部以上含むことがさらに好ましい。また、前記安定剤の含有量の上限値は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対し、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<離型剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を含むことが好ましい。
離型剤は、公知の離型剤を広く用いることができ、脂肪族カルボン酸のエステル化物、パラフィンワックスおよびポリエチレンワックスが好ましく、ポリエチレンワックスがより好ましい。
離型剤としては、具体的には、特開2013-007058号公報の段落0115~0120の記載、特開2018-070722号公報の段落0063~0077の記載、特開2019-123809号公報の段落0090~0098の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対し、0.01質量部以上含むことが好ましく、0.08質量部以上含むことがより好ましく、0.2質量部以上含むことがさらに好ましい。また、前記離型剤の含有量の上限値は、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0.8質量部以下であることが一層好ましい。
樹脂組成物は、離型剤を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<樹脂組成物の物性>
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波の吸収率が高いことが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物は、150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%である。
式(A)
Figure 2022008176000011
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
前記吸収率は、50.0%以上であることが好ましく、55.0%以上であることがより好ましく、60.0%以上であることがさらに好ましく、65.0%以上であることが一層好ましい。上限は、100%が理想であるが、90.0%以下であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波の反射率が低いことが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物は、150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下であることが好ましい。
式(B)
Figure 2022008176000012
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
前記反射率は、35.0%以下であることが好ましく、30.0%以下であることがより好ましく、25.0%以下であることがさらに好ましい。下限は、0%が理想であるが、10.0%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は、透過率が低いことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が15.0%以下であることが好ましい。
式(C)
Figure 2022008176000013
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
前記透過率は、12.0%以下であることが好ましく、10.0%以下であることがより好ましく、5.0%以下であってもよい。下限は、0%が理想であるが、1.0%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は、また、電磁波の周波数依存性に優れることが好ましい。
例えば、本実施形態の樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差が20.0%以下である。
式(B)
Figure 2022008176000014
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
前記反射率の最も高い値と最も低い値の差は、18.0%以下であることが好ましく、17.0%以下であることがより好ましく、12.0%以下であることがさらに好ましく、10.0%以下であることが一層好ましい。下限は、0%が理想であるが、1.0%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は、上記式(A)に従って求められる吸収率、および、上記周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差に加え、上記式(B)に従って求められる反射率、および/または、上記式(C)に従って求められる透過率を満たすことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、また、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物あって、前記式(A)に従って求められる吸収率が60.0%以上であり、前記式(B)に従って求められる反射率が30.0%以下であり、前記式(C)に従って求められる透過率が10.0%以下であり、電磁波吸収体用である、樹脂組成物であることも好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の特に好ましい形態は、また、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、カーボンナノチューブ0.1~10.0質量部を含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差が20.0%以下であり、電磁波吸収体用である、樹脂組成物である。
上記樹脂組成物は、さらに、上記式(B)に従って求められる反射率、および/または、式(C)に従って求められる透過率を満たすことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、機械的強度に優れていることが好ましい。
例えば、本実施形態の樹脂組成物をISO多目的試験片(厚さ4mm)に成形したときの、ISO527-1およびISO527-2に従って測定した引張最大点強度が、130MPa以上であることが好ましい。前記引張最大点強度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、200MPa以下でも、実用レベルである。
また、本実施形態の樹脂組成物は、曲げ特性に優れていることが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物をISO多目的試験片(厚さ4mm)に成形したときの、曲げ強さが180MPa以上であることが好ましく、190MPa以上であることがより好ましい。また、前記曲げ強さの上限値は、特に定めるものではないが、例えば、280MPa以下が実際的である。
また、本実施形態の樹脂組成物をISO多目的試験片(厚さ4mm)に成形したときの、曲げ弾性率が8,000MPa以上であることが好ましく、9,000MPa以上であることがより好ましい。また、前記曲げ弾性率の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、14,000MPa以下が実際的である。
上記測定方法の詳細は実施例の記載に従って測定される。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の常法の製法によって製造できる。例えば、熱可塑性樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂)と、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)と、必要に応じ配合される他の成分(ガラス繊維等)を押出機に投入し、溶融混練することによって製造される。
押出機には、各成分をあらかじめ混合して一度に供給してもよいし、各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給してもよい。押出機は、一軸押出機であっても、二軸押出機であってもよい。また、電磁波吸収材(好ましくはカーボンナノチューブ)等の一部の成分は、樹脂成分(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂)と溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの成分を配合して溶融混練してもよい。
また、ガラス繊維を配合する場合、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することが好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常、170~350℃の範囲から適宜選ぶことができる。
<電磁波吸収体の製造方法>
電磁波吸収体の製造方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形が好ましい。
<用途>
本実施形態の電磁波吸収体は、本実施形態の樹脂組成物から形成される。すなわち、本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収体用(電磁波吸収部材用ともいう)であり、少なくとも周波数60~90GHzの電磁波吸収体用であることがより好ましく、少なくとも周波数70~80GHzの電磁波吸収体用であることがさらに好ましい。このような電磁波吸収体は、好ましくは、レーダー用途に用いられる。具体的には、ミリ波レーダー用の筐体、カバー等に用いられる。
本実施形態の電磁波吸収体は、ブレーキ自動制御装置、車間距離制御装置、歩行者事故低減ステアリング装置、誤発信抑制制御装置、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、接近車両注意喚起装置、車線維持支援装置、被追突防止警報装置、駐車支援装置、車両周辺障害物注意喚起装置などに用いられる車載用ミリ波レーダー;ホーム監視/踏切障害物検知装置、電車内コンテンツ伝送装置、路面電車/鉄道衝突防止装置、滑走路内異物検知装置などに用いられる鉄道・航空用ミリ波レーダー;交差点監視装置、エレベータ監視装置などの交通インフラ向けミリ波レーダー;各種セキュリティ装置向けミリ波レーダー;子供、高齢者見守りシステムなどの医療・介護用ミリ波レーダー;各種情報コンテンツ伝送用ミリ波レーダー;等に好適に利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
1.原料
以下の原料を用いた。
Figure 2022008176000015
Figure 2022008176000016
実施例1~8、比較例1~10
<樹脂組成物(ペレット)の製造>
表2~表6に示すように、各成分をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、噛み合い型同方向二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX-30α」、スクリュー径32mm、L/D=42)にメインフィード口から供給した。第一混錬部のバレル設定温度を260℃に設定して可塑化し、ガラス繊維は表2~表6に示す割合でサイドフィーダーより供給し、ガラス繊維を添加した後のバレル温度を250℃に設定し、吐出量40kg/h、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混錬し、ノズル数4穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)の条件でストランドとして押出した。押出したストランドを水槽に導入して冷却し、ペレタイザーに挿入してカットすることで樹脂組成物(ペレット)を得た。
<引張最大点強度>
上記で得られた樹脂ペレットを120℃で5時間乾燥したのちISO多目的試験片(厚さ4mm)を、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で射出成形した。
成形した多目的ISO多目的試験片を用い、ISO527-1およびISO527-2に準拠し、最大点引張強度(単位:MPa)および引張弾性率(単位:MPa)を測定した。
<引張最大点強度増加率>
炭素系電磁波吸収材として、カーボンブラックを配合した場合に対する引張最大点強度増加率を算出した。これに際し、同じ樹脂組成のもので増加率を算出した。すなわち、実施例1、実施例2、比較例4、比較例5、比較例8については、比較例1の引張最大点強度を基準とした比率とし、実施例3、実施例4、比較例6、比較例9については、比較例2の引張最大点強度を基準とした比率とし、実施例5、実施例6、比較例7、比較例10については、比較例3の引張最大点強度を基準とした比率とした。
例えば、実施例1の場合、実施例1の引張最大点強度が147MPaであり、比較例1の引張最大点強度が134MPaであるから、(147/134)×100=110(%)となる。
<曲げ特性>
上記で得られた樹脂ペレットを120℃で5時間乾燥したのちISO多目的試験片(厚さ4mm)を、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で射出成形した。
成形した多目的ISO多目的試験片を用い、ISO178に準拠し、曲げ強さ(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
<低反り性>
上記樹脂組成物ペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成形機(東芝社製「EC160」)を用いてシリンダー温度260℃、金型温度80度の条件で150×150×2mmの正方形プレート状試験片を射出成形し、成形品の反り量(mm)を測定した。以下の基準に基づいて、低そり性の判定を実施した。ここでの反り量とは、150×150×2mmの正方形プレート状試験片の3つの頂点を平面に固定した際の、もう1頂点部分と平面との直線距離を意味する。
A:反り量が3mm未満
B:反り量が3mm以上15mm未満
C:反り量が15mm以上
<吸収率、透過率、反射率>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(東芝機械社製「EC160」)にて、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃で射出成形し、150mm×150mm×2mm厚の試験片を得た。得られた試験片を用いて、周波数76.5GHzにおける、式(A)に従って求められる吸収率、式(B)に従って求められる反射率、および、式(C)に従って求められる透過率を以下の通り測定した。
測定に際し、アンリツ社製のネットワークアナライザ「MS4647B Vector Network Analyzer」を用いた。
なお、射出成形品のTD(トランスバースディレクション)方向が、電場方向と平行になる向きに試験片を設置して測定した。
式(A)
Figure 2022008176000017
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
式(B)
Figure 2022008176000018
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
式(C)
Figure 2022008176000019
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
<反射率の周波数依存性>
上記で得られた試験片について、周波数70~80GHzにおける反射率を測定した。その中で最大の反射率と最小の反射率の差を算出した。最大の反射率と最小の反射率の差が小さいほど、周波数依存性に優れ、安定した樹脂組成物が得られていることを意味する。
<電磁波吸収性能判定>
上記で測定した吸収率、反射率、および、透過率に基づき、以下の通り評価した。
A:下記(1)~(3)をすべて満たしている。
B:少なくとも、下記(1)を満たしている(Aに該当するものを除く)。
C:上記AおよびB以外
(1)吸収率が60.0%以上
(2)反射率が30.0%以下
(3)透過率が10.0%以下
<総合評価>
上記で測定した吸収率、反射率、透過率、低反り性、引張最大点強度、および曲げ強さに基づき、以下の通り評価した。
6:下記(1)~(6)のいずれも満たしている。
5:下記(1)~(6)のうち、5つを満たしている。
4:下記(1)~(6)のうち、4つを満たしている。
3:下記(1)~(6)のうち、3つを満たしている。
2:下記(1)~(6)のうち、2つを満たしている。
1:下記(1)~(6)のうち、1つを満たしている。
(1)吸収率が60.0%以上
(2)反射率が30.0%以下
(3)透過率が10.0%以下
(4)低反り性の評価がAまたはB
(5)引張最大点強度が130MPa以上
(6)曲げ強さが190MPa以上
Figure 2022008176000020
Figure 2022008176000021
Figure 2022008176000022
Figure 2022008176000023
Figure 2022008176000024
表2~表6において、*は樹脂100質量部になるように表記したものである。
表2~表6において、CNT/GFは、カーボンナノチューブとガラス繊維の質量比率(カーボンナノチューブ/ガラス繊維)を示す。
上記結果から明らかなとおり、本発明の樹脂組成物は、電磁波の吸収率が高く、かつ、電磁波の透過率および反射率が低かった。さらに、電磁波の周波数の違いによる反射率の差が小さかった。さらに、本発明の樹脂組成物は、機械的強度に優れていた。

Claims (18)

  1. 熱可塑性樹脂と電磁波吸収材を含む樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差が20.0%以下であり、電磁波吸収体用である、樹脂組成物。
    式(A)
    Figure 2022008176000025
    (上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
    式(B)
    Figure 2022008176000026
    (上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
  2. 前記電磁波吸収材が炭素含有電磁波吸収材である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂100質量部に対して、
    カーボンナノチューブ0.1~10.0質量部を含む樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、
    前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数70GHz~80GHzの範囲における式(B)に従って求められる反射率のうち、最も高い値と最も低い値の差が20.0%以下であり、電磁波吸収体用である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、さらに、ガラス繊維10~100質量部を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記電磁波吸収材と前記ガラス繊維の質量比率(電磁波吸収材/ガラス繊維)が、0.01~0.30である、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. さらに、反応性化合物を、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01~5.0質量部含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. さらに、ポリカーボネート樹脂を、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1.0~75質量部含む、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. さらに、ポリスチレン系樹脂を、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1.0~60質量部含む、請求項7に記載の樹脂組成物。
  10. さらに、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を1.0~75質量部、および、ポリスチレン系樹脂を1.0~60質量部含む、請求項7に記載の樹脂組成物。
  11. 熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 前記電磁波吸収材が、多層カーボンナノチューブを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. 前記樹脂組成物が、炭素繊維を含まないか、炭素繊維の含有量が3質量%未満である、請求項1~13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  15. 前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下である、請求項1~14のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    式(B)
    Figure 2022008176000027
    (上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
  16. 前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が15.0%以下である、請求項1~15のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    式(C)
    Figure 2022008176000028
    (上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
  17. 熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物あって、
    前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が60.0%以上であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が30.0%以下であり、前記樹脂組成物を150mm×150mm×2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が10.0%以下であり、電磁波吸収体用である、樹脂組成物。
    式(A)
    Figure 2022008176000029
    (上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
    式(B)
    Figure 2022008176000030
    (上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
    式(C)
    Figure 2022008176000031
    (上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定される透過減衰量を表す。)
  18. 請求項1~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された電磁波吸収体。
JP2021099922A 2020-06-17 2021-06-16 樹脂組成物、および電磁波吸収体 Pending JP2022008176A (ja)

Applications Claiming Priority (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020104511 2020-06-17
JP2020104511 2020-06-17
JP2020109525 2020-06-25
JP2020109525 2020-06-25
JP2020168735 2020-10-05
JP2020168735 2020-10-05
JP2020191979 2020-11-18
JP2020191979 2020-11-18

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022008176A true JP2022008176A (ja) 2022-01-13

Family

ID=80110090

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021099922A Pending JP2022008176A (ja) 2020-06-17 2021-06-16 樹脂組成物、および電磁波吸収体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022008176A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2021256488A1 (ja) 樹脂組成物および電磁波吸収体
WO2021256487A1 (ja) 樹脂組成物、成形体、電磁波吸収体および樹脂組成物の吸収率の測定方法
JPH0749468B2 (ja) 改良ポリエステル樹脂の製造法
WO2022181696A1 (ja) 樹脂組成物、成形体、電磁波吸収体、および、樹脂組成物の製造方法
JP2022008176A (ja) 樹脂組成物、および電磁波吸収体
JP2022008175A (ja) 樹脂組成物、成形体、電磁波吸収体および樹脂組成物の吸収率の測定方法
WO2022181697A1 (ja) 樹脂組成物、成形体、および、電磁波吸収体
WO2022210013A1 (ja) 樹脂組成物および成形体
JP2022104212A (ja) 樹脂組成物、成形体および電磁波吸収体
JP2022130343A (ja) 樹脂組成物、成形体、および、電磁波吸収体
JP2022104214A (ja) 樹脂組成物、成形体および電磁波吸収体
JP2023089871A (ja) 樹脂組成物、成形体、および、電磁波吸収体
JP2023089872A (ja) 破砕物、材料、成形体および成形体の製造方法
JP2022172939A (ja) 電磁波の吸収率を向上させる方法および電磁波吸収率向上剤
JP2022130342A (ja) 樹脂組成物、成形体、電磁波吸収体、および、樹脂組成物の製造方法
JP2022104213A (ja) 樹脂組成物、成形体および電磁波吸収体
JP2022129847A (ja) 樹脂組成物、成形体、電磁波吸収体、および、樹脂組成物の製造方法
JP2022129846A (ja) 樹脂組成物、成形体、電磁波吸収体、および、樹脂組成物の製造方法
JP2023082368A (ja) 樹脂組成物の製造方法
JP2001131406A (ja) 気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成物
JP2024006790A (ja) 樹脂組成物、ペレット、成形体、および、電磁波吸収体
JP2023089873A (ja) 樹脂組成物、ペレット、成形体、電磁波吸収体、および、樹脂組成物の製造方法
EP4357111A1 (en) Structure, structure manufacturing method, and millimeter wave radar module
JP4406977B2 (ja) 気体および/または液体バリア成形体用樹脂組成物
WO2024009848A1 (ja) 樹脂組成物、ペレット、および、成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20231208

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240501