JP2024006790A - 樹脂組成物、ペレット、成形体、および、電磁波吸収体 - Google Patents

樹脂組成物、ペレット、成形体、および、電磁波吸収体 Download PDF

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Abstract

【課題】 電磁波の吸収率が高く、かつ、成形体としたときの吸収率の異方性が小さい樹脂組成物、ペレット、成形体、および、電磁波吸収体、および、樹脂組成物の製造方法の提供。【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブと、相溶化剤と、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材とを含む樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物、ペレット、成形体、および、電磁波吸収体に関する。
ミリ波レーダーは、30~300GHz、特に、60~90GHzの周波数の、1~10mmの波長を持つミリ波帯の電波を発信し、対象物に衝突して戻ってくる反射波を受信することによって障害物の存在や、対象物との距離や相対速度を検知するものである。ミリ波レーダーとしては、自動車の衝突防止用センサー、自動運転システム、道路情報提供システム、セキュリティシステム、医療・介護デバイス等幅広い分野の利用が検討されている。
かかるミリ波レーダー用の樹脂組成物として、特許文献1に記載のものが知られている。また、特許文献2には、電磁干渉遮蔽用または無線周波数干渉遮蔽用として用いられうる多機能性樹脂組成物が開示されている。
特開2019-197048号公報 特開2010-155993号公報
ここで、ミリ波レーダーにおいては、透過する電磁波が最も大きな誤作動の原因となる。そのため、電磁波の吸収率が高い樹脂組成物が求められている。また、成形体において、例えば、縦方向(TD方向)と横方向(MD方向)での吸収率の差が大きいなど、吸収率の異方性が大きいと、用途によっては、問題となる。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、電磁波の吸収率が高く、かつ、成形体としたときの吸収率の異方性が小さい樹脂組成物、成形体、および、電磁波吸収体、および、樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブと、相溶化剤を用い、かつ、充填材として小さいものを用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブと、相溶化剤と、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材とを含む樹脂組成物。
<2>前記相溶化剤がポリカーボネート樹脂を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、ポリカーボネート樹脂を5~20質量部含む、<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、
スチレン系樹脂を10~50質量部含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>最長長さが1000μm超、かつ、アスペクト比が100超である充填材の含有量が、前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の含有量の20質量%以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記カーボンナノチューブがマスターバッチ化したカーボンナノチューブであり、マスターバッチのベース樹脂がスチレン系樹脂である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7>前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材がタルクを含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>電磁波吸収体用である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(A)
Figure 2024006790000001
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
<10>前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(B)
Figure 2024006790000002
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
<11>前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が15.0%以下である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(C)
Figure 2024006790000003
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
<12>前記相溶化剤がポリカーボネート樹脂を含み、
前記熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、ポリカーボネート樹脂を5~20質量部含み、
前記熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、
スチレン系樹脂を10~50質量部含み、
最長長さが1000μm超、かつ、アスペクト比が100超である充填材の含有量が、前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の含有量の20質量%以下であり、
前記カーボンナノチューブがマスターバッチ化したカーボンナノチューブであり、マスターバッチのベース樹脂がスチレン系樹脂であり、
前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材がタルクを含み、
電磁波吸収体用であり、
前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、
前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下であり、
前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が15.0%以下である、<1>に記載の樹脂組成物。
式(A)
Figure 2024006790000004
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
式(B)
Figure 2024006790000005
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
式(C)
Figure 2024006790000006
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
<13><1>~<12>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成されたペレット。
<14><1>~<12>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形体。
<15><1>~<12>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された電磁波吸収体。
<16><13>に記載のペレットから形成された電磁波吸収体。
<A>熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブと、相溶化剤を含む樹脂組成物。このような樹脂組成物は、高い電磁波吸収率を達成する。
<B>熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブと、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材とを含む樹脂組成物。このような樹脂組成物は、電磁波吸収率の異方性を効果的に抑制する。
上記<A>または<B>の樹脂組成物は、上記<2>~<12>を満たすことが好ましい。
本発明により、電磁波の吸収率が高く、かつ、成形体としたときの吸収率の異方性が小さい樹脂組成物、ペレット、成形体、および、電磁波吸収体、および、樹脂組成物の製造方法を提供可能になった。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、特に述べない限り、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、反射減衰量および透過減衰量の単位は「dB」(デシベル)である。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブと、相溶化剤と、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材とを含むことを特徴とする。このような構成とすることにより、電磁波の吸収率が高く、かつ、成形体としたときの吸収率の異方性が小さい樹脂組成物が得られる。この理由は以下の通りであると推定される。熱可塑性ポリエステル樹脂にカーボンナノチューブを配合することによって、電磁波吸収性が一定レベルで達成される。本実施形態では、さらに、スチレン系樹脂を配合することにより、熱可塑性ポリエステル樹脂中により効果的にカーボンナノチューブを分散させることができ、得られる樹脂組成物の吸収率をより高くできたと推測される。また、相溶化剤を配合することにより、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の相溶性を向上させ、樹脂組成物の吸収率をより高くできたと推測される。また、充填材として、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材を用いることにより、成形体における吸収率の異方性を小さくできたと推測される。
以下、本実施形態について説明する。
<熱可塑性ポリエステル樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂を含む。
本実施形態で用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂は、その種類について特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂が例示され、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
<<ポリブチレンテレフタレート樹脂>>
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、酸成分の主成分としてテレフタル酸を、ジオール成分の主成分として1,4-ブタンジオールを重縮合させて得られる樹脂である。酸成分の主成分がテレフタル酸であるとは、酸成分の50質量%以上がテレフタル酸であることをいい、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。ジオール成分の主成分であるが1,4-ブタンジオールとは、ジオール成分の50質量%以上が1,4-ブタンジオールであることをいい、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂が、他の酸成分を含む場合、イソフタル酸、ダイマー酸が例示される。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂が他のジオール成分を含む場合、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリアルキレングリコール等が例示される。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ポリテトラメチレングリコールを共重合したものを用いる場合は、共重合体中のテトラメチレングリコール成分の割合は3~40質量%であることが好ましく、5~30質量%がより好ましく、10~25質量%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性と耐熱性とのバランスにより優れる傾向となり好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレートを用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として0.5~30モル%であることが好ましく、1~20モル%がより好ましく、3~15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性、長期耐熱性および靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレートを用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として1~30モル%であることが好ましく、1~20モル%がより好ましく、3~15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性、耐熱性、射出成形性および靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
本実施形態で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、酸成分の90質量%以上がテレフタル酸であり、ジオール成分の90質量%以上が1,4-ブタンジオールである樹脂(ポリブチレンテレフタレートホモポリマー)、または、ポリテトラメチレングリコールを共重合した共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、0.5dL/g以上であることが好ましく、0.6dL/g以上の固有粘度を有することがより好ましく、また、2.0dL/g以下であることが好ましく、1.5dL/g以下であることがより好ましく、1.1dL/g以下であることがさらに好ましい。固有粘度が0.5dL/g以上のものを用いることにより、得られる成形体の機械的強度がより向上する傾向にある。また、固有粘度が2dL/g以下のものを用いることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂の流動性が向上し、成形性が向上する傾向にある。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定される値である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂を2種以上含む場合、固有粘度は混合物の固有粘度とする。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。末端カルボキシ基量を50eq/ton以下とすることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂の溶融成形時のガスの発生をより効果的に抑制できる。また、末端カルボキシ基量の下限値は特に定めるものではないが、通常、5eq/tonである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂を2種以上含む場合、末端カルボキシ基量は混合物の末端カルボキシ基量とする。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基量は、ベンジルアルコール25mLにポリブチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を用いて滴定することにより、求められる値である。末端カルボキシ基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法が挙げられる。
<<ポリエチレンテレフタレート樹脂>>
本実施形態で用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂は、酸成分の主成分としてテレフタル酸を、ジオール成分の主成分としてエチレングリコールを重縮合させて得られる樹脂である。酸成分の主成分がテレフタル酸であるとは、酸成分の50質量%以上がテレフタル酸であることをいい、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。ジオール成分の主成分がエチレングリコールであるとは、ジオール成分の50質量%以上がエチレングリコールであることをいい、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂が他の酸成分を含む場合、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸およびこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸およびその誘導体、p-ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸等のオキシ酸またはその誘導体が挙げられる。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂が他の酸成分を含む場合、他のジオール成分として、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体等が挙げられる。
さらに、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメリシン酸、トリメリット酸等の如き三官能、もしくはピロメリット酸の如き四官能のエステル形成能を有する酸またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の如き三官能もしくは四官能のエステル形成能を有するアルコールを1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、さらに好ましくは0.3モル%以下を共重合せしめたものであってもよい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、好ましくは0.3~1.5dL/gであり、より好ましくは0.3~1.2dL/gであり、さらに好ましくは0.4~0.8dL/gである。
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基の濃度は、好ましくは3~60eq/tonであり、より好ましくは5~50eq/tonであり、さらに好ましくは8~40eq/tonである。末端カルボキシ基濃度を60eq/ton以下とすることで、樹脂材料の溶融成形時にガスが発生しにくくなり、得られる成形体の機械的特性が向上する傾向にあり、逆に末端カルボキシ基濃度を3eq/ton以上とすることで、得られる成形体の耐熱性、滞留熱安定性や色相が向上する傾向にあり、好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基濃度は、ベンジルアルコール25mLにポリエチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定することにより、求められる値である。
本実施形態の樹脂組成物における熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は、樹脂組成物中、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましく、57質量%以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、機械的強度が向上する傾向にある。また、前記樹脂組成物における熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は、樹脂組成物中、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、75質量%以下であることがさらに好ましく、70質量%以下であることが一層好ましく、68質量%以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、電磁波吸収性が向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<スチレン系樹脂>
本実施形態の樹脂組成物はスチレン系樹脂を含む。スチレン系樹脂を用いることにより、カーボンナノチューブがポリブチレンテレフタレート樹脂中へより拡散しやすくなり、樹脂組成物の電磁波吸収性がより向上する傾向にある。さらに、樹脂組成物の電磁波透過率および反射率がより低くなる傾向にある。
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の単独重合体、スチレン系単量体とスチレン系単量体と共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体とは、例えばスチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、メチルスチレン、tert-ブチルスチレンが挙げられる。本実施形態におけるスチレン系樹脂は、単量体単位のうち、50モル%以上がスチレン系単量体である。
スチレン系樹脂としては、より具体的には、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS、ブタジエンゴム含有ポリスチレン)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン-IPN型ゴム共重合体等の樹脂等が挙げられる。
本実施形態では、スチレン系樹脂が、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS、ブタジエンゴム含有ポリスチレン)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン-IPN型ゴム共重合体であることが好ましく、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS、ブタジエンゴム含有ポリスチレン)であることがより好ましい。このようなスチレン系樹脂は、カーボンナノチューブがポリブチレンテレフタレート樹脂に拡散していく際の駆動力となり、カーボンナノチューブの凝集がほぐれると推測される。結果的に、効果的にカーボンナノチューブの分散が促進されると推測される。特に、スチレン系樹脂が、カーボンナノチューブマスターバッチに由来すると、上記カーボンナノチューブの拡散がより効果的に促進される傾向にある。
スチレン系樹脂がゴム成分を含む場合、スチレン系樹脂中のゴム成分の含有量は3~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、7~30質量%がさらに好ましい。ゴム成分の含有量を3質量%以上とすることにより、耐衝撃性が向上する傾向にあり、50質量%以下とすることにより、難燃性が向上する傾向となり好ましい。また、ゴム成分の平均粒子径は、0.05~10μmであることが好ましく、0.1~6μmであることがより好ましく、0.2~3μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が0.05μm以上であると耐衝撃性が向上しやすい傾向にあり、10μm以下であると外観が向上する傾向にあり好ましい。
スチレン系樹脂の重量平均分子量は、通常、50,000以上であり、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは150,000以上であり、また、通常、500,000以下であり、好ましくは400,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。また、数平均分子量は、通常、10,000以上であり、好ましくは30,000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、また、好ましくは500,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。
スチレン系樹脂の、JIS K7210(温度200℃、荷重5kgf)に準拠して測定されるメルトボリュームレイト(MVR)は、0.1cm3/10分以上であることが好ましく、0.5cm3/10分以上であることがより好ましく、1cm3/10分以上であることがさらに好ましく、また、30cm3/10分以下であることが好ましく、20cm3/10分以下であることがより好ましく、10cm3/10分以下であることがさらに好ましく、7cm3/10分以下であることが一層好ましく、5cm3/10分以下であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、樹脂組成物の流動性が向上する傾向にあり、上記上限値以下とすることにより、耐衝撃性が向上する傾向にある。
このようなスチレン系樹脂の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物におけるスチレン系樹脂の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、10質量部以上であることが好ましく、13質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましく、18質量部以上であることが一層好ましく、20質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、電磁波吸収性能が向上する傾向にある。また、得られる成形体の反りを効果的に抑制できる傾向にある。また、前記スチレン系樹脂の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、35質量部以下であることがさらに好ましく、30質量部以下であることが一層好ましく、25質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、スチレン系樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<カーボンナノチューブ>
本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブを含むことにより、電磁波吸収率の高い樹脂組成物ないし成形体が得られる。
本実施形態に用いるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブであり、少なくとも多層カーボンナノチューブを含むことが好ましい。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有している炭素材料も使用できる。また、カーボンナノチューブは、円筒形状に限らず、1μm以下のピッチでらせんが一周するコイル状形状を有していてもよい。
カーボンナノチューブは、市販品として入手可能であり、例えば、バイエルマテリアルサイエンス社製、ナノシル社製、昭和電工株式会社製、ハイペリオン・キャタリシス・インターナショナル社から入手可能なカーボンナノチューブが挙げられる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリル、カーボンフィブリルなどと称されることもある。
カーボンナノチューブの直径(数平均繊維径)としては、0.5~100nmが好ましく、1~30nmがより好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比としては、良好な電磁波吸収性を付与する観点から、5以上が好ましく、50以上がより好ましい。上限は特に定めるものではないが、例えば、500以下である。
本実施形態においては、カーボンナノチューブが樹脂でマスターバッチ化されたカーボンナノチューブに由来することが好ましく、マスターバッチのベース樹脂がスチレン系樹脂であることがより好ましい。このような構成とすることにより、得られる樹脂組成物ないし成形体の電磁波吸収性がより向上する傾向にある。
カーボンナノチューブは、上述の通り、マスターバッチ化して配合してもよく、この場合、マスターバッチにおけるカーボンナノチューブの濃度は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが一層好ましい。上記上限値以下および下限値以上の範囲とすることにより、カーボンナノチューブの熱可塑性ポリエステル樹脂への分散性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物中のカーボンナノチューブの含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、0.2質量%以上であってもよく、さらには0.4質量%以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、電磁波吸収性が効果的に発揮される。また、本実施形態の樹脂組成物中のカーボンナノチューブの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが一層好ましく、3質量%以下であることがより一層好ましく、2質量%以下であってもよく、さらには1質量%以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、樹脂の流動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、また、カーボンナノチューブを、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.1質量部以上含むことが好ましく、0.3質量部以上含むことがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、電磁波吸収性が効果的に発揮される。また、本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブを、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、10.0質量部以下含むことが好ましく、8.0質量部以下であることがより好ましく、6.0質量部以下であることがさらに好ましく、4.0質量部以下であることが一層好ましく、3.0質量部以下であることがより一層好ましく、さらには、2.5質量部以下、特には、1.5質量部以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、樹脂の流動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、カーボンナノチューブを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<相溶化剤>
本実施形態の樹脂組成物は、相溶化剤を含む。本実施形態の相溶化剤は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂を相溶化させる物質であればよく、その種類は特に定めるものではない。本実施形態においては、相溶化剤がポリカーボネート樹脂および/またはスチレン-マレイン酸共重合体が好ましく、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
スチレン-マレイン酸共重合体は、単量体単位のうち、スチレン系単量体が50モル%未満である。このようなスチレン-マレイン酸共重合体は、特開2020-176159号公報の段落0048~段落0050の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい単独重合体または共重合体である。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。
原料のジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4-ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂、または、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。さらには、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m-およびp-メチルフェノール、m-およびp-プロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることがさらに好ましい。粘度平均分子量が5,000以上のものを用いることにより、得られる樹脂組成物の機械的強度がより向上する傾向にある。また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることがさらに好ましい。60,000以下のものを用いることにより、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性が向上する傾向にある。
ポリカーボネート樹脂を2種以上含む場合、混合物が上記範囲を満たすことが好ましい(以下、分子量について、同様に考える。)。
なお、本実施形態において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、20℃にて、ポリカーボネート樹脂のメチレンクロライド溶液の粘度を測定し固有粘度([η])を求め、次のSchnellの粘度式から算出される値を示す。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)および溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、溶融法で製造したポリカーボネート樹脂に、末端のOH基量を調整する後処理を施したポリカーボネート樹脂も好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における相溶化剤(好ましくは、ポリカーボネート樹脂)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましく、6質量部以上であることがより好ましく、7質量部以上であることがさらに好ましく、8質量部以上であることが一層好ましく、9質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の相溶性がより向上する傾向にある。また、前記相溶化剤(好ましくは、ポリカーボネート樹脂)の含有量の上限値は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、20質量部以下であることが好ましく、18質量部以下であることがより好ましく、16質量部以下であることがさらに好ましく、14質量部以下であることが一層好ましく、12質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、電磁波吸収性が向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、相溶化剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材>
本実施形態の樹脂組成物は、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材を含む。このような充填材を含むことにより、得られる成形体の機械的強度を高く維持しつつ、TD方向とMD方向の吸収率の差を小さくすることができる。
前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材におけるアスペクト比は、80以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましく、40以下であることが一層好ましく、30以下であることがより一層好ましく、20以下であることがさらに一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、本発明の効果がより向上する傾向にある。前記アスペクト比の下限値は、理想は1であるが、2以上が実際的であり、5以上あっても十分に要求性能を満たす。
前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材における最長長さは、800μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることが一層好ましく、150μm以下であることがより一層好ましく、100μm以下であることがさらに一層好ましく、80μm以下、60μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、本発明の効果がより向上する傾向にある。前記最長長さの下限値は、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形体の機械的強度がより向上する傾向にある。
ここで、アスペクト比および最長長さは、後述する実施例の記載に従って測定される。
アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材としては、タルク、ミルドファイバー、ワラストナイト、マイカが好ましく、タルクがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物におけるアスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、0.8質量部以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、電磁波吸収性の異方性が小さくなる効果がより向上する傾向にある。また、前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の含有量の上限値は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましく、15質量部以下であることが一層好ましく、10質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂の流動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他の充填材>
本実施形態の樹脂組成物は、最長長さが100超、かつ、アスペクト比が1000μm超である充填材を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
最長長さが100超、かつ、アスペクト比が1000μm超である充填材としては、ガラス繊維チョップドストランド、ステンレス繊維が例示される。
本実施形態においては、最長長さが1000μm超、かつ、アスペクト比が100超である充填材の含有量が、前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の含有量の20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形体の電磁波吸収率の異方性をより小さくできる傾向にある。
<他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
各種樹脂添加剤としては、安定剤、離型剤、難燃剤、反応性化合物、顔料、染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。本実施形態の樹脂組成物は、安定剤および離型剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、カーボンナノチューブ、相溶化剤、および、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材、ならびに、選択的に配合される他の成分の合計が100質量%となるように調整される。本実施形態の樹脂組成物の一例は、可塑性ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、カーボンナノチューブ、相溶化剤、および、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の合計が樹脂組成物の95質量%以上を占めることである。また、本実施形態の樹脂組成物の他の一例は、可塑性ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、カーボンナノチューブ、相溶化剤、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材、安定剤、および、離型剤の合計が樹脂組成物の99質量%以上を占めることである。
<<安定剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を含んでいてもよい。安定剤は、熱安定剤や酸化防止剤、光安定剤と称されるものが含まれる。
安定剤は、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、硫黄系安定剤等が例示される。これらの中でも、リン系化合物、硫黄系安定剤が好ましい。
安定剤としては、具体的には、特開2018-070722号公報の段落0046~0057の記載、特開2019-056035号公報の段落0030~0037の記載、国際公開第2017/038949号の段落0066~0078の記載、特開2020-084037号公報の段落0071~0078の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
安定剤の市販品としては、BASF社製(商品名、以下同じ)「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO-50」、ADEKA社製「アデカスタブAX-71」、「アデカスタブAO-60」、「アデカスタブAO-412S」等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.01質量部以上含むことが好ましく、0.05質量部以上含むことがより好ましく、0.08質量部以上含むことがさらに好ましい。また、前記安定剤の含有量の上限値は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<離型剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を含むことが好ましい。
離型剤は、公知の離型剤を広く用いることができ、脂肪族カルボン酸のエステル化物、パラフィンワックス、ポリスチレンワックス、ポリオレフィンワックスが好ましく、ポリエチレンワックスがより好ましい。
離型剤としては、具体的には、特開2013-007058号公報の段落0115~0120の記載、特開2018-070722号公報の段落0063~0077の記載、特開2019-123809号公報の段落0090~0098の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.01質量部以上含むことが好ましく、0.08質量部以上含むことがより好ましく、0.2質量部以上含むことがさらに好ましい。また、前記離型剤の含有量の上限値は、熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0.8質量部以下であることが一層好ましい。
樹脂組成物は、離型剤を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<樹脂組成物の物性>
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波の吸収率が高いことが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物は、2mm厚(好ましくは、100mm×100mm×2mm厚さ)に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であることが好ましい。
式(A)
Figure 2024006790000007
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
前記吸収率は、45.0%以上であることが好ましく、50.0%以上であることがより好ましく、55.0%以上であることがさらに好ましく、60.0%以上であることが一層好ましく、65.0%以上であることがより一層好ましく、68.0%以上であることがさらに一層好ましい。上限は、100%が理想であるが、90.0%以下であっても十分に要求性能を満たすものである。
このような低い吸収率は、熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブと、相溶化剤を併用することによって達成される。
本実施形態の樹脂組成物は、電磁波の反射率が低いことが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物は、2mm厚(好ましくは、100mm×100mm×2mm厚さ)に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下であることが好ましい。
式(B)
Figure 2024006790000008
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
前記反射率は、35.0%以下であることが好ましく、30.0%以下であることがより好ましく、26.0%以下であることがさらに好ましく、24.0%以下であることが一層好ましく、22.5%以下であることがより一層好ましい。下限は、0%が理想であるが、1.0%以上、さらには5.0%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は、透過率が低いことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、2mm厚(好ましくは、100mm×100mm×2mm厚さ)に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が15.0%以下であることが好ましい。
式(C)
Figure 2024006790000009
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
前記透過率は、12.0%以下であることが好ましく、10.0%以下であることがより好ましく、8.0%以下であってもよい。下限は、0%が理想であるが、1.0%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は、上記式(A)に従って求められる吸収率、上記式(B)に従って求められる反射率、および、上記式(C)に従って求められる透過率のいずれをも満たすことが好ましい。
式(A)に従って求められる吸収率、式(B)に従って求められる反射率、および、式(C)に従って求められる透過率は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。なお、上記値は、樹脂組成物から形成された成形体のTD方向およびMD方向の少なくとも一方が上記範囲を満たすことが好ましい。特に、式(A)に従って求められる吸収率については、TD方向およびMD方向の両方が上記範囲を満たすことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、成形体の吸収率の異方性が小さいことが好ましい。例えば、100mm×100mm×2mm厚の試験片に射出成形したときの、TD方向とMD方向の式(A)に従って求められる吸収率の差が小さいことが好ましい。
具体的には、TD方向とMD方向の式(A)に従って求められる吸収率の差が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらに好ましく、6%以下であることが一層好ましく、5%以下であることがより一層好ましい。TD方向とMD方向の式(A)に従って求められる吸収率の差の下限値は、0%が理想であるが、0%超が実際的である。このような低い吸収率の異方性は、充填材として、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材を用いることによって達成される。さらには、最長長さが1000μm超、かつ、アスペクト比が100超である充填材の含有量を、前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の含有量の20質量%以下とすることによって達成される。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の常法の製法によって製造できる。例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブ(好ましくはスチレン系樹脂でマスターバッチ化されたカーボンナノチューブ)と、相溶化剤と、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材を溶融混練することによって得られる。このような樹脂組成物から形成された一形態がペレットである。
押出機には、各成分をあらかじめ混合して一度に供給してもよいし、各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給してもよい。押出機は、一軸押出機であっても、二軸押出機であってもよい。
また、カーボンナノチューブは、上述の通り、樹脂(好ましくはスチレン系樹脂)でマスターバッチ化してから供給することが好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常、170~350℃の範囲から適宜選ぶことができる。
<成形体の製造方法>
成形体、特に、電磁波吸収体は、本実施形態の樹脂組成物ないしペレットから形成される。
本実施形態における成形体の製造方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形法が好ましい。
<用途>
本実施形態の電磁波吸収体は、本実施形態の樹脂組成物から形成される。すなわち、本実施形態の樹脂組成物は、電磁波吸収体用(電磁波吸収部材用ともいう)であることが好ましく、少なくとも周波数60~90GHzの電磁波吸収体用であることがより好ましく、少なくとも周波数70~80GHzの電磁波吸収体用であることがさらに好ましい。このような電磁波吸収体は、好ましくは、レーダー用途に用いられる。具体的には、ミリ波レーダー用の筐体、カバー、反射防止体等に用いられる。
本実施形態の電磁波吸収体は、さらには、ブレーキ自動制御装置、車間距離制御装置、歩行者事故低減ステアリング装置、誤発信抑制制御装置、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、接近車両注意喚起装置、車線維持支援装置、被追突防止警報装置、駐車支援装置、車両周辺障害物注意喚起装置などに用いられる車載用ミリ波レーダー;ホーム監視/踏切障害物検知装置、電車内コンテンツ伝送装置、路面電車/鉄道衝突防止装置、滑走路内異物検知装置などに用いられる鉄道・航空用ミリ波レーダー;交差点監視装置、エレベータ監視装置などの交通インフラ向けミリ波レーダー;各種セキュリティ装置向けミリ波レーダー;子供、高齢者見守りシステムなどの医療・介護用ミリ波レーダー;各種情報コンテンツ伝送用ミリ波レーダー;等に好適に利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
1.原料
以下の原料を用いた。
Figure 2024006790000010
上記表1において、PBTはポリブチレンテレフタレートを、CNTはカーボンナノチューブを示している。
<アスペクト比および最長長さの測定方法>
アスペクト比および最長長さは、電子顕微鏡によって観察し、測定した。アスペクト比は、板状フィラーの場合は、厚み方向の最も厚い部分の長さに対して、板面の最も長辺の長さ(最も長い部分の長さ)の比率と定義する。また、繊維状フィラーの場合は、繊維径に対する繊維長の比率となる。また楕円体フィラーの場合は短径に対する長径の比率として定義し、真球の場合アスペクト比は1となる。その他の形状の充填材については、充填材の最も長い部分の長さと前記最も長い部分に垂直な方向のうち、最も短長い部分の長さの比とした。
アスペクト比および最長長さは、任意の充填材100個についての平均値とした。
2.実施例1~3、比較例1~4
<樹脂組成物(ペレット)の製造>
表2に示すように、表1に記載の各成分(各成分の割合は質量部である)をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、噛み合い型同方向二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX-30α」、スクリュー径32mm、L/D=42)にメインフィード口から供給した。バレル設定温度を260℃に設定して可塑化し、吐出量40kg/h、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練し、ノズル数5穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)の条件でストランドとして押出した。押出したストランドを水槽に導入して冷却し、ペレタイザーに挿入してカットすることで樹脂組成物(ペレット)を得た。
<76.5GHz電磁波吸収率、反射率、透過率>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃で射出成形し、100mm×100mm×2mm厚の試験片を得た。得られた試験片を用いて、周波数76.5GHzにおける、式(A)に従って求められる吸収率、式(B)に従って求められる反射率、および、式(C)に従って求められる透過率を以下の通り測定した。
測定に際し、キーサイト社製のネットワークアナライザ「N5252A」を用いた。
なお、射出成形体のTD(トランスバースディレクション)方向が、電場方向と平行になる向きに試験片を設置した場合と、MD(マシンディレクション)方向が、電場方向と平行になる向きに試験片を設置した場合の両方について、測定した。
式(A)
Figure 2024006790000011
(上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
式(B)
Figure 2024006790000012
(上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
式(C)
Figure 2024006790000013
(上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
<外観>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃で射出成形し、100mm×100mm×2mm厚の試験片を得た。得られた成形品表面の外観を目視によって判定した。
A:充填材による凹凸が少なく、表面が平滑で光沢がある。
B:充填材による凹凸が目立ち、表面光沢が少ない。
Figure 2024006790000014
上記結果から明らかなとおり、本発明の樹脂組成物から形成された成形体は、吸収率が高く、かつ、TD方向とMD方向の吸収率の差が小さく、吸収率の異方性が小さかった。さらに成形体の外観にも優れていた。これに対し、スチレン系樹脂や相溶化剤を含まない場合(比較例1~4)、吸収率が低めであった。

Claims (16)

  1. 熱可塑性ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂と、カーボンナノチューブと、相溶化剤と、アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材とを含む樹脂組成物。
  2. 前記相溶化剤がポリカーボネート樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、ポリカーボネート樹脂を5~20質量部含む、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、
    スチレン系樹脂を10~50質量部含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. 最長長さが1000μm超、かつ、アスペクト比が100超である充填材の含有量が、前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の含有量の20質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 前記カーボンナノチューブがマスターバッチ化したカーボンナノチューブであり、マスターバッチのベース樹脂がスチレン系樹脂である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材がタルクを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  8. 電磁波吸収体用である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
    式(A)
    Figure 2024006790000015
    (上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
  10. 前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
    式(B)
    Figure 2024006790000016
    (上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
  11. 前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が15.0%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
    式(C)
    Figure 2024006790000017
    (上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
  12. 前記相溶化剤がポリカーボネート樹脂を含み、
    前記熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、ポリカーボネート樹脂を5~20質量部含み、
    前記熱可塑性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、
    スチレン系樹脂を10~50質量部含み、
    最長長さが1000μm超、かつ、アスペクト比が100超である充填材の含有量が、前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材の含有量の20質量%以下であり、
    前記カーボンナノチューブがマスターバッチ化したカーボンナノチューブであり、マスターバッチのベース樹脂がスチレン系樹脂であり、
    前記アスペクト比100以下、かつ、最長長さが1000μm以下の充填材がタルクを含み、
    電磁波吸収体用であり、
    前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(A)に従って求められる吸収率が40.0~100%であり、
    前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(B)に従って求められる反射率が40.0%以下であり、
    前記樹脂組成物を2mm厚に成形したときの、周波数76.5GHzにおける式(C)に従って求められる透過率が15.0%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
    式(A)
    Figure 2024006790000018
    (上記式(A)中、Rはフリースペース法によって測定される反射減衰量を表し、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
    式(B)
    Figure 2024006790000019
    (上記式(B)中、Rは、フリースペース法によって測定される反射減衰量を表す。)
    式(C)
    Figure 2024006790000020
    (上記式(C)中、Tはフリースペース法によって測定させる透過減衰量を表す。)
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成されたペレット。
  14. 請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形体。
  15. 請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された電磁波吸収体。
  16. 請求項13に記載のペレットから形成された電磁波吸収体。
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