JP2010066413A - 赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
Description
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザを露光光源として使用する、赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版は、バインダー樹脂と光を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とする平版印刷版原版である。該赤外線レーザ用平版印刷版原版に前記赤外線レーザを露光すると、ポジ型感光層を有する場合、未露光部(画像部)では該赤外線レーザ用平版印刷版原版中のIR染料等が、前記バインダー樹脂との相互作用により該バインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働く。一方、露光部(非画像部)では、前記IR染料等が光を吸収して熱を発生するため、該IR染料等と前記バインダー樹脂との相互作用が弱くなる。したがって現像時には、前記露光部(非画像部)がアルカリ現像液に溶解し、平版印刷版が形成される。
これらの課題に対し、これまで種々の検討がなされている。例えば、耐薬品性に優れたアルカリ可溶性樹脂を有する記録層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この記録層は耐薬品性の向上は見られるものの、現像前に入った僅かな傷の周辺が現像時に溶解し、画像部に白ヌケが発生するという問題があった。
また、平版印刷版の樹脂層の構造を2層以上にすることが、耐薬品性と耐傷性の両立に有用であると考えられ、例えば下層にマレイミド化合物を構成単位とする高分子化合物を使用することが提案されているが(例えば、特許文献2参照)、下層と上層の密着が必ずしも十分ではなく、更なる向上が求められてきた。
即ち、本発明は、
親水性表面を有する支持体上に、下記一般式(I)で示される重合性モノマーに由来する単位を少なくとも有する高分子化合物を含有する下層と、下記一般式(II)で示される基を側鎖に有する高分子化合物を含有する上層と、をこの順に有することを特徴とする赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版、である。
以下に、各項目について順次説明する。
一般式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を、R2はメチレンまたはエチレンを、R3はメチル基を、XはOまたはNHを表わす。
R1は好ましくは水素原子であり、R2は好ましくはメチレンである。
また、その他の共重合可能なモノマーとしては、酸基を有するモノマーであることが好ましい。
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するモノマーとしては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(6)リン酸基を有するモノマーとしては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
高分子化合物(I)の合成法としては、特に限定されず、広く公知のラジカル重合法を使用することが出来る。
また、高分子化合物(I)の分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量で、好ましくは5000〜50万、より好ましくは8000〜30万である。
(1) N-メトキシメチルメタアクリルアミド/メタクリル酸/アクリロニトリル=40/30/30(モル比)、重量平均分子量6万の共重合体
(2) N-メトキシメチルメタアクリルアミド/メタクリル酸/ベンジルメタクリレート=50/25/25(モル比)、重量平均分子量7万の共重合体
(3) N-メトキシエチルメタアクリルアミド/メタクリル酸/N−フェニルマレイミド=65/20/15(モル比)、重量平均分子量4万の共重合体
(4) N-メトキシエチルメタアクリルアミド/4-ヒドロキシフェニルメタアクリルアミド/アクリロニトリル=30/25/45(モル比)、重量平均分子量5万の共重合体
(5) メトキシメチルメタアクリレート/メタクリル酸/p−ヒドロキシスチレン/アクリロニトリル=40/20/5/35(モル比)、重量平均分子量7万の共重合体
(6) メトキシメチルメタアクリレート/メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/アクリロニトリル=25/25/10/40(モル比)、重量平均分子量7万の共重合体
一般式(II)において、Z1、Z2、及びZ3は、各々独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。
Z1、Z2、又はZ3で表される非金属原子からなる1価の置換基は、連結部位と末端部位とからなる置換基であることが好ましい。なお、連結部位は必要に応じて用いられるものであり、非金属原子からなる1価の置換基が下記に挙げる末端部位のみから形成されていてもよい。
また、非金属原子からなる1価の置換基は、更に、アルキル基、アリール基等により置換されていてもよい。
なお、下記に示す一般式(2)は、高分子化合物(II)の好ましい構造を示したものであり、一般式(2)中の各置換基R、Z1、Z2及びZ3の例を下記表1〜表3に示す。なお、下記表1〜表3に示される置換基R、Z1、Z2及びZ3は、それぞれを任意で組み合わせることができる。
本発明の平版印刷版原版における下層、上層には、前述の高分子化合物以外に、他の高分子化合物を併用することができ、併用する他の高分子化合物は1種類でも2種類以上でもよい。また、前記下層、上層に他の高分子化合物を用いる場合、それぞれ異なる他の高分子化合物であることが好ましい。
ここでは、これらの高分子化合物について記載する。
本発明で用いることができる他の高分子化合物は、アルカリ性水溶液に可溶もしくは膨潤性の高分子化合物であることが好ましい。このような高分子化合物としては、前記高分子化合物(I)において、好ましい共重合可能なモノマーが有する前記(1)〜(6)に挙げる酸性基を、高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有する高分子化合物を挙げることができる。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する他の高分子化合物としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
上記高分子化合物が共重合体である場合は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に3モル%以上含まれているものが好ましく、5モル%以上含まれているものがより好ましい。3モル%以上であると、実質的に溶剤を含まないアルカリ性現像液への溶解性が十分になり好ましい。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
本発明の平版印刷版原版は、下層の高い記録感度及び均一性・耐久性のため、下層に赤外線吸収剤を含有することが好ましい。
赤外線吸収剤としては、公知の種々の顔料や染料等が好適に挙げられる。前記顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
顔料の粒径は、公知の測定方法を用いて測定することができ、本明細書においては、光学顕微鏡、電子顕微鏡等による観察により粒径を複数測定し、それらの平均値をとったものである。
また、前記染料としては、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物、Epolight III−178、EpolightIII−130、Epolight III−125、EpolightV−176A等は特に好ましく用いられる。
また、前記染料として、特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料が挙げられる。
前記染料の場合には、0.5〜10質量%が特に好ましく、顔料の場合には、3.1〜10質量%が特に好ましい。
前記顔料又は染料の添加量が前記の範囲内にあると高い記録感度が得られ、下層(感光層)の均一性、耐久性が高い点で好ましい。
本発明の平版印刷版原版に設けられる層には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
例えば、前記平版印刷版原版に設けられる層の溶解性を調節するために、他のオニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化合物等、添加するとアルカリ水可溶性高分子(アルカリ可溶性樹脂)の現像液への溶解阻止機能を向上させるいわゆる溶解抑止剤を添加することが好ましく、中でも、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、スルホン酸アルキルエステル等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することが、画像部の現像液への溶解阻止性を制御できる点で好ましい。
本発明に用いることができるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量は、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。本発明に係る添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。
具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
これらの染料は、前記上層又は下層の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で上層又は下層中に添加することができる。
例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
本発明の平版印刷版原版は、前述の下層及び上層に含有される高分子化合物及び赤外線吸収剤等の成分を溶媒に溶かした塗布液を調製して、親水性表面を有する支持体上に下層用塗布液、上層用塗布液の順に塗布することにより、前記支持体上に下層、上層を製造形成することができる。
また、目的に応じて、後述する保護層、樹脂中間層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
前記塗布液中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、親水性表面を有するものを用いる。
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板又は微量の異元素を含むアルミニウムを主成分とした合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフイルムでもよい。
前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組合せた方法も利用することができる。
このうち、少なくとも塩酸電解液中で粗面化する工程を含むことが好ましい。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。
それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不充分であったり、平版印刷版原版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に先述したような下層を設けたものであるが、必要に応じて支持体と下層との間に下塗り層を設けることができる。
この下塗り層を設けることで、支持体と下層との間の下塗り層が断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることから、高感度化が図れるという利点を有する。
また、本発明に係る下層は、この下塗り層を設ける際にも、露光面或いはその近傍に位置するため、赤外線レーザに対する感度は良好に維持される。
なお、未露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性である下層自体が下塗り層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になるとともにディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられる。
また、露光部においては、溶解抑制能が解除された下層の成分が速やかに現像液に溶解、分散し、さらには、支持体に隣接して存在するこの下塗り層自体がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解し、現像性の向上にも寄与し、この下塗り層は有用であると考えられる。
具体的には、酸基を有するモノマーとオニウム基を有するモノマーの共重合体が挙げられる。
酸基として好ましいのは酸解離指数(pKa)が7以上の酸基であり、より好ましくは−COOH、−SO3H、−OSO3H、−PO3H2、―OPO3H2、―CONHSO2―、または−SO2NHSO2−であり、特に好ましくは−COOHである。
酸基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、上記酸基を有するスチレンなどが挙げられる。
オニウム基として好ましいのは、周期表V族あるいは第VI族の原子からなるオニウム基であり、より好ましくは窒素原子、リン原子あるいは硫黄原子から成るオニウム基であり、特に好ましくは窒素原子から成るオニウム基である。オニウム基を有するモノマーの具体例としては、側鎖にアンモニウム基を有するメタクリレート、メタクリルアミド、第4級アンモニウム基などのオニウム基を含む置換基などのオニウム基を含む置換基を有するスチレン等が挙げられる。
さらに、特開2000−108538号公報、特願2002−257484号公報、特願2003−78699号公報、等に記載されているような化合物についても、必要に応じて用いることができる。
また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。
また、下塗り層には画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
本発明の平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光により画像形成されることが好ましい。
熱記録ヘッド等による直接画像様記録、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いることもできる。
赤外線レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましく、平版印刷版原版に照射されるエネルギーは10〜500mJ/cm2であることが好ましい。
本発明においては、平版印刷版原版は、実質的に有機溶剤を含まないpH12以上のアルカリ性水溶液で現像されることが好ましい。ここで「実質的に有機溶剤を含まない」とは、環境衛生、安全性、作業性等の観点からみて不都合を生じる程度までは有機溶剤を含有しない、の意味であるが、本発明においては現像液中の有機溶剤の割合が0.5重量%以下であることをいい、好ましくは0.3重量%以下、全く含有しないのが最も好ましい。またpHは12.0以上であるが、より好ましくは12.0〜14.0である。
非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、及び糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも本発明において用いることができる。なお、本発明においては、特開平8−305039号公報に記載された非還元糖を好適に使用することができる。
これらの非還元糖は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記非還元糖の前記ノンシリケート現像液中における含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記の含有量が0.1〜30質量%の範囲内であると、適切な緩衝作用が得られ、また高濃縮化及び原価低減の点で好ましい。
有機アルカリ剤としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。
前記塩基は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの塩基の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。また、本発明においては、前記ノンシリケート現像液として、非還元糖と塩基との併用に代えて、非還元糖のアルカリ金属塩を主成分としたものを用いることもできる。
具体的には、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール等のアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド、ピリジン−4−アルデヒド等のアルデヒド類、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、カテコール、没食子酸、スルホサリチル酸、3,4−ジヒドロキシスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール、o−、m−,p−クレゾール、レゾルソノール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトキシム、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム、ジメチルグリオキシム、エタンジアミドジオキシム、アセトフェノンオキシム等のオキシム類、アデノシン、イノシン、グアニン、シトシン、ヒポキサンチン、キサンチン等の核酸関連物質、その他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸、ベンズイミダゾール、バルビツル酸等が好適に挙げられる。
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えた現像液を用いることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量のPS版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
平版印刷版原版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版原版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版原版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
[実施例1]
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、下記に示す工程を経て処理することで支持体を作製した。
上述のアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
次に温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で450C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
更にその後、0.5%のポリビニルホスホン酸水溶液を60℃に加熱した液に、陽極酸化処理したアルミニウム板を5秒間浸漬し、スプレーにて水洗した。
以上のようにして、感光性平版印刷版用の支持体を得た。
・一般式(I)記載の共重合体〔高分子化合物(I)〕例(1) 0.80g
・下記構造のシアニン染料P 0.15g
・エチルバイオレット 0.05g
・メチルエチルケトン 5.00g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.00g
・N,N−ジメチルホルムアミド 10.00g
<上層用塗布液A>
(重量平均分子量8,000) 0.90g
・上記構造のシアニン染料P 0.10g
・メチルエチルケトン 10.00g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.00g
実施例1で、下層の共重合体(1)、上層の化合物番号1の化合物(化合物1)を表5に記載の化合物(いずれも重量平均分子量8,000)に変更したほかは実施例1と同様にし、感光性平版印刷版(b)〜(g)を得た。
[比較例1]
実施例1で、下層の共重合体例(1)のかわりに、高分子化合物としてN−フェニルマレイミド/メタクリルアミド/メタクリル酸=45/35/20(モル比)の共重合体(重量平均分子量20,000)を使用したほかは実施例1と同様にし、感光性平版印刷版(h)を得た。
[比較例2]
実施例1で、上層の化合物1のかわりに、m−クレゾール/p−クレゾール=60/40のノボラック樹脂(重量平均分子量5,000)を使用したほかは実施例1と同様にし、感光性平版印刷版(i)を得た。
[比較例3]
実施例1で、上層を設けなかったほかは実施例1と同様にし、感光性平版印刷版(j)を得た。
得られた感光性平版印刷版(a)〜(j)を、富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−9800HSにて、ビーム出力100%、ドラム回転速度150rpmの条件で、175lpi/2400dpiの網点面積率1〜99%のチャートが入ったテストパタ−ンの画像状に描き込み(露光)を行った。
次に、AGFA社製AutolithPN85CE自動現像機を用い、現像液温を30℃、現像時間25秒で現像処理およびガム引き処理を行うことで、平版印刷版を得た。このとき、現像液としてはAGFA社製現像液EP26を、またガム液としては、富士フイルム(株)製FG−1を水で1:1に希釈した液を用いた。このようにして得られた平版印刷版は、いずれも良好に現像されており、現像性に差がないことを確認した。
次に、このようにして得られた平版印刷版を用いて印刷を行った。このとき、印刷機としては小森コーポレーション(株)製のリスロン印刷機を、インキとしては大日本インキ化学工業(株)製のバリウスGの墨インキを、湿し水としては富士フイルム(株)製のIF−102を水で4%の濃度に希釈した液を、それぞれ用い、また5000枚印刷するごとに、富士フイルム(株)製マルチクリーナーで版面を拭くことを行った。上質紙に印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。数値が大きいほど耐薬品性が良好であることを意味する。結果を表5に示す。
表5に示すように、本発明の構成の要件を満たす感光性平版印刷版(a)〜(g)はいずれも良好な耐薬品性を示した。これに対し、感光性平版印刷版(h)〜(j)はいずれも耐薬品性が劣っていた。
得られた感光性平版印刷版(a)〜(j)を、TOYOSEIKI社製ロータリーアブレーションテスターを用い、250g重の荷重を加えたアブレーザーフェルトCS5で15回転摩擦した。
次にこの版を、上述の耐薬品性の評価と同じ方法で、現像処理を行った。このようにして得られた版について、摩擦をかけた部分とかけていない部分をそれぞれマクベス社製濃度計で版面の濃度を測定し、その差の絶対値を算出した。結果を表5に示す。値が大きいほど摩擦による版面のダメージが大きかったことを意味する。
表5に示すように、本発明の要件を満たす感光性平版印刷版(a)〜(g)では値が小さく、耐傷性が良好であることを示している。これに対し、感光性平版印刷版(h)、(i)はいずれも耐傷性が劣り、感光性平版印刷版(j)は耐傷性が著しく劣っていた。
得られた感光性平版印刷版(a)〜(j)を、耐薬品性の評価と同様に露光、現像して、平版印刷版を得た。
次にこの版を水洗しガム液を落とした後、整面液として富士フイルム(株)製のBC−3をスポンジに含ませて塗布し、自然乾燥させた。その後にWisconsin社製バーニングオーブンで、260℃5分間加熱処理した。室温に冷却させてから水洗し整面液を落とした後、富士フイルム(株)製ガムコーターG−800を用い、ガム引きを行った。ガムとしては富士フイルム(株)製GU−7を水で1:1に希釈した液を用いた。
このようにしてバーニング処理した版を、耐薬品性の評価と同様に印刷して、耐刷性を評価した。結果を表5に示す。
表5に示すように、本発明の要件を満たす感光性平版印刷版(a)〜(g)はいずれも良好な耐刷性を示した。これに対し、感光性平版印刷版(h)〜(j)はいずれも(a)〜(g)ほどの耐刷性は得られなかった。
以上の実施例に示したように、本発明の構成により、耐薬品性と耐傷性のいずれにも優れ、バーニングでより高耐刷性が得られる感光性平版印刷版を得ることが出来た。
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