JP2008197566A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐薬品性、耐現像性に優れた強固な被膜を形成し、赤外線露光により速やかに耐現像性が解除され、赤外線露光におけるアブレーションの発生が抑制された赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版用原版を提供する。
【解決手段】支持体上に、(A)(a)一般式(1)で表されるモノマーと、(b)メチル(メタ)アクリレート類から選択されるモノマーと、(c)(メタ)アクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーと、(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等から選択されるモノマーと、を共重合成分として含むポリマー、及び(B)光を吸収して熱を発生する化合物を含有する記録層を有する。一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは、アルキレン基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基を表す。
Figure 2008197566

【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が向上するポジ型平版印刷版原版に関し、詳細には、コンピュータ等のデジタル信号に基づいて赤外線レーザ光を走査することにより直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能なポジ型平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ固体レーザや半導体レーザでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザを露光光源として使用する、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生する赤外線吸収染料等とを必須成分とする平版印刷版材料である。該赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料に、前記赤外線レーザを露光すると、非露光部(画像部)では、該赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料中の赤外線吸収染料等が、前記バインダー樹脂との相互作用により、該バインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働く。一方、露光部(非画像部)では、赤外線吸収染料等が、光を吸収して熱を発生するため、該染料等と前記バインダー樹脂との相互作用が弱くなる。したがって、現像時には、前記露光部(非画像部)が、アルカリ現像液に溶解、除去されて、平版印刷版が形成される。
しかし、このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料においては、UV露光により製版するポジ型平版印刷版材料と比べ、バインダー樹脂として、アルカリ現像液等の溶剤に対する溶解性の高い樹脂にせざるを得ないため、印刷中にインクの付きが悪くなった時に用いるプレートクリーナーなどの薬品に対する耐性が低く、該クリーナーで版面を拭いた時に感光性組成物が溶出してしまう問題があった。
このような耐クリーナー性向上のため、特定の官能基を有する構造単位を含むポリマーを使用した感光性組成物が提案されており(例えば、特許文献1、2参照。)、耐薬品性が改良されたことが報告されている。しかしながら、このような画像形成層を有する平版印刷版原版では、赤外線レーザを照射した時、アブレーションが生じ易く、露光機であるセッターが、飛散した赤外線吸収染料などにより汚染され、レンズなどの光学系が機能しなくなるという問題が生じている。
米国特許第6,475,692号明細書 国際出願公開第2006/101746号パンフレット
上記従来技術の欠点を克服すべくなされた本発明の目的は、耐薬品性、耐アルカリ現像液性に優れた強固な被膜を形成しうるとともに、赤外線露光により速やかに耐アルカリ現像液性が解除される記録層を有し、赤外線露光におけるアブレーションの発生が抑制された赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版用原版を提供することにある。
本発明者は鋭意研究の結果、特定の構造単位同士を共重合させてなるポリマーを用いることにより、上記課題目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(A)(a)下記一般式(1)で表されるモノマーと、(b)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、及び、エチルアクリレートから選択されるモノマーと、(c)アクリル酸、メタクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーと、(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、及び、N−ベンジルマレイミドから選択されるモノマーと、を共重合成分として含むポリマー〔以下、適宜、(A)特定共重合体と称する〕、及び(B)光を吸収して熱を発生する化合物を含有してなり、露光又は加熱によりアルカリ現像液に対する溶解性が向上するポジ型記録層を有することを特徴とする。
Figure 2008197566
上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは、アルキレン基を表す。R、及び、Rはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、RとRとが互いに結合して環を形成してもよい。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、(a)〜(d)のモノマー4種を必須の重合成分として含む共重合体である(A)特定共重合体と(B)光を吸収して熱を発生する化合物とを含むポジ型の画像形成層を有することを特徴とするものである。
ここで、各種の重合成分(モノマー)の好ましい含有量について述べれば、(a)一般式(1)で表されるモノマーは5〜40モル%、(b)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、及び、エチルアクリレートから選択されるモノマーは5〜35モル%、(c)アクリル酸、メタクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーは5〜40モル%、及び、(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、及び、N−ベンジルマレイミドから選択されるモノマーは5〜70モル%の範囲で含まれることが好ましい。
この(A)特定ポリマーは、(a)〜(d)以外の共重合成分を含むものであってもよく、例えば、皮膜の耐薬品性、画像部の耐アルカリ現像性向上の観点からは、(e)アクリルアミド、メタクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、及び、メトキシメチルメタクリレートから選択されるモノマーを共重合成分として含むことが好ましい。
本発明の作用は明確ではないが、次のように推測される。
本発明の平版印刷版原版においては、そのポジ型記録層に含まれる(A)特定共重合体は、(a)一般式(1)で表されるモノマーや、(d)イミド構造を含むモノマーに起因して、強固な相互作用が形成され、耐溶剤性や、耐アルカリ現像性に優れた皮膜を形成するものであるが、本発明では、さらに共重合成分として皮膜形成性に優れ、柔軟な膜質を与える(b)炭素数1又は2のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含むため、ポリマーが本来有する耐薬品性などの特徴を維持しながらも、赤外線レーザ露光により局所的な発熱が生じ、記録層が高温に達した際においても、その優れた膜性により、赤外線吸収染料などの低分子化合物の飛散、即ちアブレーションの発生が効果的に抑制されるものと考えられる。
一方、このような相互作用は、露光や熱により容易に解除され、且つ、相互作用が解除されると(A)特定共重合体に含まれる(c)(メタ)アクリル酸系モノマーに起因して、共重合体が本来有する親水性の特性が発現し、現像液に速やかに溶解する。
このため、このようなポジ型記録層を有する平版印刷版原版は、未露光部は、耐アルカリ現像液性、耐薬品性に優れた強固な皮膜を維持するとともに、赤外線レーザ露光部においては、アブレーションの発生が抑制され、さらに、付加的な効果として、相互作用の解除が速やかに進行し、優れた画像形成性をも有するものと考えられる。
本発明の平版印刷版原版は、耐薬品性、耐アルカリ現像液性に優れた強固な被膜を形成しうるとともに、赤外線露光により速やかに耐アルカリ現像液性が解除される記録層を有し、赤外線露光におけるアブレーションの発生が抑制された赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版用原版を提供することができる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(A)(a)下記一般式(1)で表されるモノマーと、(b)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、及び、エチルアクリレートから選択されるモノマーと、(c)アクリル酸、メタクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーと、(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、及び、N−ベンジルマレイミドから選択されるモノマーと、を共重合成分として含むポリマー、及び(B)光を吸収して熱を発生する化合物を含有してなる感光層を有し、露光又は加熱によりアルカリ現像液に対する溶解性が向上するポジ型記録層を有することを特徴とする。
以下、本発明の平版印刷版原版の記録層に含まれる各成分について順次説明する。
〔(A)特定共重合体〕
本発明に用いられる特定共重合体は、(a)下記一般式(1)で表される構造単位を含んで構成される。
Figure 2008197566
上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは、アルキレン基を表す。R、及び、Rはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、RとRとが互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、好ましくは、メチル基である。
また、R、及び、Rはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、RとRとが互いに結合して環を形成してもよい。
が脂肪族基を表す場合、その脂肪族基は、直鎖状でも、分岐鎖を有するものであっても、脂肪族環基であってもよい。
鎖状の脂肪族基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
環状の脂肪族基としては、シクロアルキル、シクロアルケニル、又はシクロアルキニル基から選択され、環原子数としては、5又は6、特に6が好ましい。このような脂肪族環としてはシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル及びシクロヘキシルが好ましく、特に、シクロヘキシルが好ましい。
芳香族基としては、フェニル基、ナフタレン基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
これらの脂肪族基、芳香族基は、それぞれ、更に置換基を有するものであってもよい。
導入しうる置換基としては、ヒドロキシ基、更に置換基を有してもよいアルコキシ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、及び−SO2NR基(ここで、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、好ましくは水素原子である)などが挙げられる。なかでも、好ましい置換基は、アルコキシ基である。
また、R又はRがフェニル基である場合、導入される置換基は4位の位置に導入されることが好ましい。
とRとが互いに結合して環を形成する場合の環構造としては、脂肪族環、芳香族環のいずれであってもよいが、好ましくは芳香族環である。
上記一般式(1)中Xは、アルキレン基から選択される2価の基を表し、より具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、 などが挙げられ、好ましくは、エチレン基またはブチレン基である。
以下に、(a)一般式(1)で表されるモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
Figure 2008197566
(a)一般式(1)で表されるモノマーは、(A)特定共重合体中に、5〜40モル%含まれることが好ましく、より好ましくは、10〜30モル%の範囲である。
本発明の特定共重合体は、以下の共重合成分を必須成分として含む。
(b)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、及び、エチルアクリレートから選択されるモノマーの少なくとも1種。
これらのモノマーは1種のみを含んでいてもよく、これらのうち2種以上を共重合成分として含んでいてもよいが、その重合モル比は、総量で5〜40モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、10〜30モル%の範囲である。
(c)アクリル酸、メタクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーの少なくとも1種。
これらのモノマーは1種のみを含んでいてもよく、これらのうち2種以上を共重合成分として含んでいてもよいが、その重合モル比は、5〜35モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、15〜30モル%の範囲である。
(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、及び、N−ベンジルマレイミドから選択されるモノマーの少なくとも1種。
これらのモノマーは1種のみを含んでいてもよく、これらのうち2種以上を共重合成分として含んでいてもよいが、その重合モル比は、5〜50モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、15〜40モル%の範囲である。
上記モノマーを共重合成分として含む特定共重合体は、前記モノマーのみを構成成分として構成されていてもよいが、他の構造単位を含んでいてもよい。併用可能な他の共重合成分の好ましい例としては、(e)アクリルアミド、メタクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、及び、メトキシメチルメタクリレートから選択されるモノマーが挙げられる。
これらのモノマーは1種のみを含んでいてもよく、2種以上を共重合成分として含んでいてもよい。これらのモノマーを用いる場合の好ましい含有量としては、5〜40モル%であり、より好ましくは、10〜25モル%の範囲である。
以下、本発明に用いうる特定共重合体の具体例(ポリマー1乃至ポリマー7)を、その共重合体に共重合成分として含まれるモノマー、その含有モル比により、重量平均分子量(Mw)とともに記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2008197566
本発明に用いられる特定共重合体の重量平均分子量は、1,000〜500,000であることが好ましく、好ましくは2,000〜400,000、更に好ましくは15,000〜300,000、特に好ましくは40,000〜200,000である。
特定共重合体の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準サンプルとして、ゲルパーメーションクロマトグラフィーを使用する方法で測定することができる。
このような特定共重合体は、例えば国際出願公開第2006/101746号パンフレットに記載の方法で得ることができ、ここに記載のポリマー及びその変性物もまた本発明に係るポジ型記録層に好適に用いることができる。
本発明における特定共重合体の含有量は、感度、及び、形成された皮膜の耐久性の観点から、記録層を構成する組成物の全固形分に対して、5〜90質量%の範囲であることが好ましく、20〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
なお、本発明においては、前記特定共重合体の1種又は2種以上を適宜混合して用いることができる。
〔(B)光を吸収して熱を発生する化合物〕
本発明に係る記録層には、上記(A)特定共重合体に加え、(B)光を吸収して熱を発生する化合物(以下、適宜、光熱変換剤と称する)を含有することを要する。
本発明に用いうる光熱変換剤は、画像形成に用いる光源の露光により発熱する化合物であればいずれも用いることができるが、本発明の平版印刷版原版が赤外線レーザ露光により画像形成されることから、700nm以上、好ましくは750〜1200nmの赤外域に光吸収域を有し、この範囲の波長域の光により、光/熱変換能を発現する赤外線吸収剤を用いることが好ましく、具体的には、上記波長域の光を吸収し熱を発生する種々の染料又は顔料を用いることができる。
染料としては、市販の染料、例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレ−ト錯体、オキソノ−ル染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリ−ルベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノ−ル染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレ−ト錯体が挙げられる。更に、下記一般式(a)〜一般式(e)で示される染料が光熱変換効率に優れるため好ましく、特に下記一般式(a)で示されるシアニン色素は、本発明に係る画像形成材料で使用した場合に、アルカリ溶解性樹脂との高い相互作用を与え、且つ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
Figure 2008197566
一般式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−NPh、−X−L又は以下に示す基を表す。ここで、Xは酸素原子又は、硫黄原子を示し、Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
Figure 2008197566
前記式中、Xaは、後述するZaと同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリ−ル基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Zaは、対アニオンを示す。ただし、但し、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZaは必要ない。好ましいZaは、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェ−トイオン、及びアリ−ルスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特開2001−133969明細書の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638明細書の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360明細書の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
Figure 2008197566
Figure 2008197566
Figure 2008197566
Figure 2008197566
前記一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zbは対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Na、K、Li)などが挙げられる。R〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリ−ル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、前記一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2008197566
Figure 2008197566
前記一般式(c)中、Y及びYは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリ−ル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Zaは対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZaと同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2008197566
Figure 2008197566
前記一般式(d)中、R29ないしR31は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリ−ル基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、更に、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X及びXは各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリ−ル基であり、X及びXの少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zcは対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZaと同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2008197566
Figure 2008197566
前記一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリ−ル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示す。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2008197566
前記顔料としては、市販の顔料又はカラ−インデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)及び「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
前記顔料の種類としては、例えば、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、ポリマ−結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレ−キ顔料、縮合アゾ顔料、キレ−トアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレ−キ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カ−ボンブラックを用いることができる。
これらの顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コ−トする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネ−ト)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、分散物の塗布液中での安定性、及び、記録層の均一性の観点から、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナ−製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライタ−、パ−ルミル、ス−パ−ミル、ボ−ルミル、インペラ−、デスパ−ザ−、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロ−ルミル、加圧ニ−ダ−等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの顔料若しくは染料(光熱変換剤)は、感度と、被膜の均一性や耐久性とのバランスの観点から、記録層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
〔その他の成分〕
本発明の平版印刷版原版の記録層中には、前記必須成分(A)特定共重合体及び(B)光熱変換剤に加え、更に必要に応じて、種々の化合物を併用することができる。
例えば、(A)特定共重合体以外の、他のアルカリ水溶液可溶性樹脂を必要に応じて記録層中に含有させることができる。この場合、他のアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されないが、汎用のノボラック樹脂が好ましい。
ノボラック樹脂としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−、m−/p−混合、m−/o−混合及びo−/p−混合のいずれでもよい。)混合ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのノボラック樹脂としては、重量平均分子量は1,500以上、数平均分子量が300以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が3,000〜300,000で、数平均分子量が500〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
また、併用しうる好ましいアルカリ可溶性樹脂としては、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有するものが挙げられる。
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO32
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂の中でも、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基及び(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、(1)フェノール基又は(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等の、先に挙げたノボラック樹脂に包含されるものが挙げられ、また、ピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。更に、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いることもできる。
フェノール基を有する化合物としては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008197566
(一般式(i)〜一般式(v)中、X1、X2は、それぞれ独立に−O−又は−NR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に単結合又は−CO−を表す。)
一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物のうち、本発明の平版印刷版原版では、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
Figure 2008197566
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、又は異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
前記共重合体は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させることができない傾向がある。
前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アクリルアミド若しくはメタクリルアミド、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、ビニルケトン類、オレフィン類、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等、不飽和イミド、カルボン酸などから選択される1種以上を使用することができる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体が好ましく、特にm−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等の、スルホンアミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体のものが好ましい。また重量平均分子量は2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。また、本発明においてアルカリ可溶性樹脂がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
これらアルカリ可溶性樹脂は、それぞれ1種類或いは2種類以上を組合せて使用してもよく、前記記録層全固形分中、5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜40質量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性樹脂の添加量が少なすぎると平版印刷版原版の記録層として用いた場合、記録層の耐久性が悪化し、また、多すぎると、実質的に本発明の必須成分である「(A)特定共重合体」の添加量が減少するため、本発明の効果が得難くなり、好ましくない。
また、記録層の溶解性を調節するために、他のオニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化合物等、添加するとアルカリ水可溶性高分子(アルカリ可溶性樹脂)の現像液への溶解阻止機能を向上させるいわゆる溶解抑止剤を添加することが好ましく、中でも、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、スルホン酸アルキルエステル等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することが、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点で好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えばS.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同5,041,358号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等があげられる。
これらのオニウム塩の中でも、溶解阻止能や熱分解性の観点から、ジアゾニウム塩及び4級アンモニウム塩が特に好ましい。特に、ジアゾニウム塩としては、特開平5−158230号公報に記載の一般式(I)で示されるジアゾニウム塩や特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)で示されるジアゾニウム塩が好ましく、可視光領域の吸収波長が小さい特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)で示されるジアゾニウム塩が最も好ましい。また4級アンモニウム塩としては、特開2002−229186号公報における〔化5〕、〔化6〕中に(1)〜(10)として記載される4級アンモニウム塩が好ましい。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物或いは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
更にナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂或いはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものをあげることができる。
分解性溶解抑止剤であるオニウム塩、及び/又は、o−キノンジアジド化合物の添加量は好ましくは記録層の全固形分に対し、1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%、特に好ましくは1〜2質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量は、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。本発明に係る添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
また、分解性を有さない溶解抑止剤を併用してもよく、好ましい溶解抑止剤としては、特開平10−268512号公報に詳細に記載されているスルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等、同じく特開平11−190903号公報に詳細に記載されているラクトン骨格、N,N−ジアリールアミド骨格、ジアリールメチルイミノ骨格を有し着色剤を兼ねた酸発色性色素、同じく特開2000−105454号公報に詳細に記載されている非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
また、記録層の最上層に使用される好ましい添加剤としては、感度を向上の観点から、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類などを挙げることができる。また、後述する界面活性剤、画像着色剤、及び可塑剤も、ポジ型記録層の添加剤として使用することができる。
環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4',4"−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4',3",4"−テトラヒドロキシ−3,5,3',5'−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類、及びカルボン酸類などが挙げられる。
上記の環状酸無水物、フェノール類、及び有機酸類の記録層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、更には特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物及び本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物等を目的に応じて適宜添加することができる。
また、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、記録層全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で記録層中に添加することができる。
更に、本発明に係る平版印刷版原版の記録層のうち最上層には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
〔平版印刷版原版の製造〕
(塗布溶剤及び塗布方法)
本発明の平版印刷版原版は、前記した記録層の構成成分を溶媒に溶かし、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。また、平版印刷版原版に目的に応じて設けられる、後述する保護層、樹脂中間層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
ここで使用する塗布溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独或いは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
〔記録層の層構成〕
本発明の平版印刷版原版の記録層は単層構造、相分離構造、及び重層構造のいずれでも用いることができる。
単層型記録層としては、例えば特開平7−285275号公報、国際公開97/39894号パンフレット記載の感光層、相分離型記録層としては、例えば特開平11−44956号公報記載の感光層、重層型記録層としては、例えば特開平11−218914号公報、米国特許第6352812B1号、米国特許第6352811B1号、米国特許第6358669B1号、米国特許第6534238B1号、欧州特許第864420B1号明細書記載の感光層として用いることができるが、これらに限定されない。
また重層構造の場合、本発明の必須成分である(A)及び(B)成分については、下層、及び最上層に限定されず、いずれの層に含まれていてもよいが、効果の観点からは、上層に(A)及び(B)成分を含む態様であることが好ましい。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般に、乾燥後の塗膜量(重層の場合はその総量)が0.5〜5.0g/m2となる量が好ましく、0.6〜2.0g/m2となる量がより好ましい。
記録層塗布液を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、皮膜特性は低下する。
(支持体)
本発明に係る平版印刷版原版に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、必要な強度、可撓性などの物性を満たすものであれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフイルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフイルム等が挙げられる。
本発明に適用し得る支持体としては、ポリエステルフイルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフイルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組合せた方法も利用することができる。このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
(下塗層)
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に前記記録層を設けたものであるが、必要に応じて支持体と記録層(下層)との間に下塗層を設けることができる。この下塗層を設けることで、支持体と記録層との間の下塗層が断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることから、高感度化が図れるという利点を有する。また、本発明に係る記録層は、この下塗層を設ける際にも、露光面或いはその近傍に位置するため、赤外線レーザに対する感度は良好に維持される。
なお、未露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性である記録層自体が下塗層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になるとともにディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられ、露光部においては、溶解抑制能が解除された記録層の成分が速やかに現像液に溶解、分散し、更には、支持体に隣接して存在するこの下塗層自体がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解し、現像性の向上にも寄与し、この下塗層は有用であると考えられる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
本発明に係る平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましく、記録材料に照射されるエネルギーは10〜500mJ/cm2であることが好ましい。
本発明に係る平版印刷版原版に適用することのできる現像液は、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、公知のアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が発揮される現像液は、一つは塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、所謂「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液で、もう一つのより好ましい現像液は、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有したいわゆる「ノンシリケート現像液」である。
前者においては、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiOとアルカリ金属酸化物MOの比率(一般に〔SiO〕/〔MO〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO/NaOのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO〕/〔NaO〕が1.0〜1.5)であって、SiOの含有量が1〜4質量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO〕/〔MO〕が1.0〜1.5)であって、SiOの濃度が1〜4質量%であり、かつ該現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有している、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好適に用いられる。
また、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有したいわゆる「ノンシリケート現像液」が、本発明の平版印刷版材料の現像に適用するのには一層好ましい。この現像液を用いて、平版印刷版材料の現像処理を行うと、ポジ型記録層の表面を劣化させることがなく、かつポジ型記録層の着肉性を良好な状態に維持することができる。また、平版印刷版材料は、一般には現像ラチチュードが狭く、現像液pHによる画線幅等の変化が大きいが、ノンシリケート現像液にはpHの変動を抑える緩衝性を有する非還元糖が含まれているため、シリケートを含む現像処理液を用いた場合に比べて有利である。更に、非還元糖は、シリケートに比べて液活性度を制御するための電導度センサーやpHセンサー等を汚染し難いため、この点でも、ノンシリケート現像液は有利である。また、ディスクリミネーション向上効果が顕著である。これは、本発明において重要な現像液との接触(浸透)がマイルドとなり、露光部及び未露光部の差が出やすくなっているためと推定される。
前記非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、及び糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも本発明において好適に用いることができる。なお、本発明においては、特開平8−305039号公報に記載された非還元糖を好適に使用することができる。
前記トレハロース型少糖類としては、例えば、サッカロース、トレハロース等が挙げられる。前記配糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。前記糖アルコールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット等が挙げられる。更に、二糖類のマルトースに水素添加したマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)等が好適に挙げられる。これらの非還元糖の中でも、トレハロース型少糖類、糖アルコールが好ましく、その中でも、D−ソルビット、サッカロース、還元水あめ、等が適度なpH領域に緩衝作用があり、低価格である点で好ましい。
これらの非還元糖は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。前記非還元糖の前記ノンシリケート現像液中における含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると十分な緩衝作用が得られなくなる傾向があり、30質量%を越えると高濃縮化し難く、また原価も高くなる傾向がある。
また、前記非還元糖と組み合わせて用いられる塩基としては、公知のアルカリ剤、例えば、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤等が挙げられる。無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等が挙げられる。
有機アルカリ剤としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。
前記塩基は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの塩基の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。また、本発明においては、前記ノンシリケート現像液として、非還元糖と塩基との併用に代えて、非還元糖のアルカリ金属塩を主成分としたものを用いることもできる。
また、前記ノンシリケート現像液に、前記非還元糖以外の弱酸と強塩基とからなるアルカリ性緩衝液を併用することができる。前記弱酸としては、解離定数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましく、例えば、Pergmon Press 社発行のIonization Constants of Organic Acidsin Aqueous Solution 等に記載されているものから選択できる。
前記現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散又は、印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて、種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が好ましい。更に、前記現像液及び補充液には、必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤等を加えることができる。
前記現像液及び補充液を用いて現像処理された平版印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量のPS版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤があげられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明のに係る印刷版原版の後処理としては、これらの処理を種々組合せて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
本発明に係る平版印刷版原版においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フイルムのフイルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行う方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力平版印刷版としたい場合には、所望によりバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、或いは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
本発明の平版印刷版原版はこのような処理によって平版印刷版となる。この平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。本発明の平版印刷版原版は、画像部の耐薬品性、耐刷性に優れ、現像ラチチュードが広く、画像再現性に優れるという利点を有する。
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜7、比較例1〜5]
〔支持体の作製〕
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、400C/dm2の電気量で電化化学的な粗面化処理を行い、水洗した。次に、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い、水洗した。更に、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜両が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、水洗、乾燥した。その後、ケイ酸ナトリウム1.0質量%水溶液で30℃において10秒間処理し、親水性処理した支持体(a)を作製した。
この支持体(a)の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.43μmであった。
〔下塗り層の形成〕
このようにして得られた支持体(a)に、下記下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥して下塗り層を設けた。下塗り層の乾燥塗布量は17mg/m2であった。
(下塗り液組成)
・下記化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
Figure 2008197566
〔記録層の形成〕
前記のようにして得られた下塗り層を有する支持体に、以下のポジ型記録層塗布液を塗布し、150℃のオーブンで1分間乾燥後、乾燥塗布量が1.5g/m2のポジ型記録層を有するポジ型感光性平版印刷版を得た。
〔ポジ型記録層塗布液1〕
・ノボラック樹脂A 0.70g
(m/p−クレゾール(6/4)、重量平均分子量;7,000、
未反応クレゾール;0.3質量%)
・特定共重合体(A)又は比較共重合体(表2に記載の化合物) 0.25g
・シアニン染料A((B)光熱変換剤:下記構造) 0.07g
・無水フタル酸 0.04g
・エチルバイオレット 0.02g
・フッ素系ポリマー 0.015g
(ディフェンサF−780F(固形分30%)、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 5g
・γ−ブチロラクトン 8g
Figure 2008197566
なお、下記表2に記載の本発明における特定共重合体ポリマー1〜7は、前記具体例で示したものであり、比較例1〜4に用いた比較共重合体は、下記表3に示す具体例(比較ポリマー1〜4)である。
〔耐刷性、耐薬品性の評価〕
得られた感光性平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetterにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpmでテストパターンを画像状に描き込みを行った。
その後、下記組成のアルカリ現像液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー900Hを用い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像した。得られた平版印刷版を小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。結果を下記表2に示す。
また、印刷の途中に5000枚印刷する毎に、クリーナー(富士写真フイルム社製、マルチクリーナー)で版面を拭く工程を加え、上記と同様に耐刷性を評価した。前者の耐刷性を通常耐刷性、後者の耐刷性をクリーナー耐刷性と称し、その結果を表2に示す。このクリーナー耐刷性が高いものほど、耐薬品性が良好であると評価する。
[アブレーションの評価]
幅600mm、縦800mmの感光性平版印刷版を50枚、Creo社製Trendsetterにてビーム強度13W、ドラム回転速度150rpmで全面露光を行った。露光前と後で、フィルターの汚れの差を観察した。露光前と後でほとんど差が無かったものを○、明らかに汚れが増加していたものを×で表した。その結果を表2に示す。
<アルカリ現像液組成>
・SiO・KO(KO/SiO=1/1(モル比)) 4.0質量%
・クエン酸 0.5質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル(重量平均分子量;1,000)
0.5質量%
・水 95.0質量%
Figure 2008197566
Figure 2008197566
表2から明らかなように、実施例1〜7(本発明の平版印刷版原版)は、クリーナー耐刷性、すなわち、耐薬品性が特に優れていることが分かる。一方、特定共重合体を含まない比較例1〜4は、耐刷性、クリーナ耐刷性は、実施例とほぼ同等であるものの、レーザ露光によりアブレーションが生じることが分かる。また、特定共重合体に変えてノボラック樹脂Aを等量用いた比較例5は、アブレーションが生じるのみならず、耐薬品性にも劣るものであった。

Claims (3)

  1. 支持体上に、(A)(a)下記一般式(1)で表されるモノマーと、(b)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、及び、エチルアクリレートから選択されるモノマーと、(c)アクリル酸、メタクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーと、(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、及び、N−ベンジルマレイミドから選択されるモノマーと、を共重合成分として含むポリマー、及び(B)光を吸収して熱を発生する化合物を含有してなり、露光又は加熱によりアルカリ現像液に対する溶解性が向上するポジ型記録層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
    Figure 2008197566
    上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは、アルキレン基を表す。R、及び、Rはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、RとRとが互いに結合して環を形成してもよい。
  2. (A)(a)前記一般式(1)で表されるモノマーと、(b)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、及び、エチルアクリレートから選択されるモノマーと、(c)アクリル酸、メタクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーと、(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、及び、N−ベンジルマレイミドから選択されるモノマーと、を共重合成分として含むポリマーが、(a)下記一般式(1)で表されるモノマーを5〜40モル%、(b)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、及び、エチルアクリレートから選択されるモノマーを5〜35モル%、(c)アクリル酸、メタクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーを5〜40モル%、(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、及び、N−ベンジルマレイミドから選択されるモノマーを5〜50モル%、共重合成分として含むことを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. (A)(a)前記一般式(1)で表されるモノマーと、(b)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、及び、エチルアクリレートから選択されるモノマーと、(c)アクリル酸、メタクリル酸、及び、ビニル安息香酸から選択されるモノマーと、(d)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、及び、N−ベンジルマレイミドから選択されるモノマーと、を共重合成分として含むポリマーが、さらに、(e)アクリルアミド、メタクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、及び、メトキシメチルメタクリレートから選択されるモノマーを共重合成分として含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平版印刷版原版。
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