JP2010032581A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】静電オフセットおよび定着尾引きに対する性能に優れたトナーを提供すること。
【解決手段】Ti成分の含有量が0.30質量%以上5.00質量%以下であり、Al成分の含有量が0.10質量%以上3.00質量%以下であり、アルカリ水溶液溶出されるAl量が、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の50.0%以上95.0%以下であり、Al成分溶出後の磁性酸化鉄をさらに酸水溶液で溶解し、総Fe元素量の10質量%が溶解した溶解液中に含まれるAl成分量と、前記アルカリで溶出されるAl成分量の合計が、前記磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の95.0%以上100.0%以下であり、Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量とAl成分量の比が2.0以上30.0以下である磁性体を含有するトナーであり、温度140℃、周波数10kHzで測定された誘電正接が1.0×10−3乃至5.0×10−1であるトナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、又はトナージェット方式記録法の如き画像形成方法に用いられるトナーに関する。
画像形成装置は、デジタル化により他の情報機器と結びついた情報出力機器としてすでに広く普及している。そして、当該画像形成装置に対しては、高精細、高品位、高画質、高速、及び高信頼性などの要求はもちろんのこと、ユーザーの使用方法の多様化により生じる、低価格化及びメディア対応などへの要望も大きい。
画像形成装置の低価格化を達成するためには、装置内の各画像形成過程を単純化せざるを得ず、高生産性を備える高価格マシンには搭載しうる各種機能を削除し、低コスト化を図らなければならない。一方で、高品位、高画質、高信頼性などへの要望に応えるために、画像形成装置内のトナーや各キーパーツに要求される性能は多くなる一方である。
また、ユーザーの使用地域、使用環境、及び使用方法の多様化により、従来はなかなか表面化しなかった問題が顕在化するようになってきている。
例えば、カラープリント用のコート紙のような比較的平滑な紙を用いる場合には問題になりにくいが、リサイクル紙やボンド紙といった凹凸の大きい紙を使用した場合に顕著に起こる問題もある。
その一つに静電オフセットという問題がある。静電オフセットは、コート紙のような表面平滑性の高い紙では起こりにくいが、リサイクル紙のように表面凹凸の大きい紙で発生しやすい。
静電オフセットとは、以下の現象を意味する。すなわち、未定着トナー像が転写された紙が、定着器の定着フィルムと加圧ローラーの間の定着ニップ部を通過する際に、紙の凹部に存在する半溶融のトナーが定着フィルム側に飛翔する。そして、定着フィルムが1周
した後、当該定着フィルム側に飛翔したトナーが紙に定着してしまう現象である。この現象は低温低湿環境で顕著となる。特に、トナー間の付着力が働きにくく、紙に対する定着性で不利な孤立ドット画像でさらに顕著となる。
また、表面凹凸の大きい紙で発生しやすいという点では、定着尾引きも同様である。定着尾引きとは、未定着トナーライン像が転写された紙が、定着ニップ部に突入する際に、紙に含まれる水蒸気が紙の凹部で爆発し、続くライン像を吹き飛ばし、尾引いてしまう現象である。当該現象は、特に高温高湿環境下で顕著であり、高温高湿環境に放置された紙ではさらに顕著となる。
また、これらの問題は、紙上のトナー像が完全に溶融していないときに、より顕著となりやすいため、トナーの定着性が不利になりやすい、速いプロセススピードのマシンで顕著になりやすい。
このような、トナーの定着に関わる問題は、定着器構成や定着バイアスの制御によっても低減することが可能であるが、画像形成装置本体の構成に対する対策は、上述のような装置の低コスト化に反するために、好ましくない。
一方、近年では、荷電制御剤として摩擦帯電制御及び安全性の観点から電荷制御樹脂の検討が進められている。例えば、スチレン系単量体と2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸の重合体を使用する方法が開示されている(特許文献1)。また、ポリエステル樹脂に対してスチレン系単量体と2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸の重合体を電荷制御剤として使用する方法が開示されている(特許文献2)。さらに、特定のガラス転移温度を有するスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド共重合体を荷電制御剤として
含有するトナーが開示されている(特許文献3)。しかしながら、これらの方法は共通して摩擦帯電付与性には優れるが、定着過程における静電オフセットや尾引きについては言及されていない。
また、さらなる現像性向上を目的として、上記荷電制御樹脂と別の荷電制御剤を2種類併用することがなされている。例えば、荷電制御樹脂と芳香族オキシカルボン酸系荷電制御剤を併用し、トナーの帯電性や現像性を改良する試みがある(特許文献4及び5)。また、荷電制御樹脂中のモノマー量を制御し、高温高湿環境下の現像性を改良した試みがある(特許文献6)。さらに、荷電制御樹脂を含有させたトナーの誘電特性に着目し、さらなる性能向上を図った試みもある(特許文献7及び8)。一方、荷電制御樹脂を含有させたトナーの吸着水分量に着目し、アゾ系鉄化合物をさらに含有させた系を例示し、現像性向上の効果を示しているものもある(特許文献9)。
これらの試みは全て、画像形成過程中の現像部における効果を目的とし、実際、現像性向上の効果が確認されているが、定着ニップを通過する前後でのトナー挙動については言及されておらず、現像過程より、定着過程でのトナーの挙動が非常に重要となる静電オフセット、尾引きについては改良の余地が残されていた。
画像形成装置の小型化が有利な一成分現像方式に用いられる磁性トナーの場合、該磁性トナーに含有される磁性酸化鉄粒子の分散状態や酸化鉄粒子自体の物性が、現像特性、耐久性等のトナーに要求される種々の特性や、トナーの劣化等に多大な影響を与えることが一般的に知られている。
例えば、磁性トナー粒子中の磁性酸化鉄粒子の分散が不十分な場合、トナー粒子表面に露出する磁性酸化鉄粒子の総量が個々に異なる。トナー粒子の表面に磁性酸化鉄粒子が少ない場合、帯電付与部材(以下、現像スリーブともいう)と摩擦帯電する際、トナー粒子の表面の帯電は高くなり、過剰に帯電してしまうことがある。逆にトナー粒子の表面に磁性酸化鉄粒子が過剰に存在する場合、磁性酸化鉄粒子からトナーの電荷がリークしやすく、高帯電量が得られにくくなるだけでなく、この磁性体粒子と結着樹脂との接触で逆極性トナーが発生しやすくなり、トナーの帯電分布の幅が拡大しやすい。
上記磁性酸化鉄粒子からトナーの電荷がリークしやすく、トナーの帯電量分布の幅が広い場合には、近年の長寿命カートリッジにおいては、使用後半で、トナーの帯電安定性が不十分になりやすい。その結果、特にカートリッジが使用後半に放置された場合、一晩放置後で朝一番のスタートアップ時の濃度低下やかぶりが顕著となりやすい。
この現象は、トナー充てん量が多い大容量カートリッジで、比較的低印字率のプリントが多くとられた場合には、現像スリーブに供給されるトナーの帯電量分布が広がりやすいため、より顕著となりやすい。
特に、上述の静電オフセットや定着尾引きは、紙上のトナーの電荷がリークしやすい場合に、悪化しやすい。従って、上述のように、磁性酸化鉄粒子のトナー中での分散状態、及び磁性酸化鉄粒子自体の物性制御が重要である。
従来、磁性トナーに含有される磁性酸化鉄に関し、特定の元素を表面及び内部に含有させることによって、流動性や高抵抗化を目的とした件が多数提案されている。
例えば、0.10〜1.00質量%のSiを含有し、表面にシリカとアルミナの共沈物が存在し、さらにその共沈物上にFe、Ti、Zr、Si、Alから選ばれた元素の酸化物粒子又は含水酸化物粒子が固着された磁性粒子粉末が開示されている(特許文献10)。
また、TiとFeの複合酸化鉄層にて被覆されたことを特徴とする酸化鉄粒子が開示されている(特許文献11)。
さらに、少なくとも、SiとZnとTiを含有し、磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときの、それぞれの溶解率を規定した磁性酸化鉄を含有するトナーが開示されている(特許文献12)。
これらの試みは、最表層にTiやZnを局在させることにより、磁性体の流動性や高抵抗化をある程度達成しているが、静電オフセットや尾引きに大きく関与するトナーの誘電正接を制御するという点では不十分であった。
また、粒子の中心から表面へ連続的にケイ素成分を含有し、ケイ素成分と結合したZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Tiの中から選ばれる少なくとも一種以上の金属成分からなる金属化合物によって外殻が被覆され、かつ外殻部と内殻部とで、Feに対する上記金属成分の濃度が外殻部の方が高く、かつ表層部の方が高くなるように勾配をつけたマグネタイト粒子が開示されている(特許文献13)。さらに、ケイ素成分が露出した芯粒子に、Al成分を被覆したことを特徴とする酸化鉄粒子が開示されている(特許文献14)。
これらの試みは、表面から20%及び40%溶解させた場合の元素の存在量を制御することにより、効果を発揮している。しかし、静電オフセットや尾引きに大きく関与するトナーの誘電正接を制御するうえでは、表面から10%程度までの表面近傍の物性が重要であることから、特に表面凹凸の大きな紙上での静電オフセットや定着尾引きを改良するには不十分であった。
すなわち、使用環境によらず、優れた帯電安定性を維持することは勿論のこと、定着過程に着目し、静電オフセット、定着尾引きについて十分な対策がとられた磁性酸化鉄を含有するトナーが存在しないというのが現状である。
特開昭63−184762号公報 特開平3−161761号公報 特開2000−56518号公報 特開2006−113313号公報 特開2006−47367号公報 特開2003−255575号公報 特開2004−157342号公報 特開2002−341598号公報 特開2004−78055号公報 特開平7−240306号公報 特開2004−161551号公報 特開2004−354810号公報 特許第3224774号公報 特許第3544316号公報
したがって、本発明は従来技術における上記のような事情に鑑み、その欠点を改善することを目的としてなされたものである。
即ち、本発明の目的は、静電オフセットおよび定着尾引きに対する性能に優れたトナーを提供することにある。
さらに本発明の目的は、大容量で長寿命のカートリッジにおいて、使用後半に放置された場合でも、トナーの帯電の立ち上がりに優れ、高い画像濃度が得られ、かぶりが生じない良好な画像が得られるトナーを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、下記トナーを用いることによって、本発明の目的を達成しうることを見出し、本発明の完成に至った。即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 結着樹脂、ワックス、及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子とを有するトナーであって、
前記磁性酸化鉄は、
(1)Ti成分、Al成分、Si成分及びFe成分を少なくとも含有し、
(2)前記Ti成分の含有量が、Ti元素換算で、前記磁性酸化鉄全体に対して、0.30質量%以上5.00質量%以下であり、
(3)前記Al成分の含有量が、Al元素換算で、前記磁性酸化鉄全体に対して、0.10質量%以上3.00質量%以下であり、
(4)前記磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、前記磁性酸化鉄に含まれるAl成分を前記アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の50.0%以上95.0%以下であり、
(5)前記磁性酸化鉄に含まれるAl成分を前記アルカリ水溶液で溶出した後の磁性酸化鉄をさらに酸水溶液で溶解し、溶解液を得、前記磁性酸化鉄が全て溶解された溶解液中に含まれるFe元素量を総Fe元素量としたときに、前記総Fe元素量の10質量%が溶解液に存在する状態まで前記磁性酸化鉄を溶解した溶解液(以下、Fe元素溶解率10質量%溶解液という)中に含まれるAl成分量と、前記(4)で溶出されるAl成分量の合計が、前記磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の95.0%以上100.0%以下であり、
(6)前記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Al成分量のAl元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Al成分量のAl元素換算値)が、2.0以上30.0以下であり、
前記トナーは、温度140℃、周波数10kHzで測定されたトナーの複素誘電率から算出される誘電正接が、1.0×10−3乃至5.0×10−1であることを特徴とするトナー。
[2] 前記磁性酸化鉄を前記アルカリ水溶液に投入し、前記磁性酸化鉄に含まれるSi成分を前記アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるSi成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Si成分量の5.0%以上30.0%以下であることを特徴とする[1]に記載のトナー。
[3] 前記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Si成分量のSi元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Si成分量のSi元素換算値)が、1.0以上5.0以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のトナー。
[4] 前記トナー粒子が、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体Aを含有することを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載のトナー。
[5] 前記トナー粒子が、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体A及び芳香族オキシカルボン酸又はその誘導体の金属化合物Bを含有することを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載のトナー。
[6] 前記トナー粒子が、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体A、芳香族オキシカルボン酸又はその誘導体の金属化合物B、及びアゾ系鉄化合物Cを含有することを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載のトナー。
本発明によれば、静電オフセットおよび定着尾引きに対する性能に優れたトナーを提供することが可能である。さらに、大容量で長寿命のカートリッジにおいて、使用後半に放置された場合でも、トナーの帯電の立ち上がりに優れ、高い画像濃度が得られ、かぶりが生じない良好な画像が得られるトナーを提供することが可能である。
本発明のトナーは、結着樹脂、ワックス、及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子とを有するトナーであって、前記磁性酸化鉄は、
(1)Ti成分、Al成分、Si成分及びFe成分を少なくとも含有し、
(2)前記Ti成分の含有量が、Ti元素換算で、前記磁性酸化鉄全体に対して、0.30質量%以上5.00質量%以下であり、
(3)前記Al成分の含有量が、Al元素換算で、前記磁性酸化鉄全体に対して、0.10質量%以上3.00質量%以下であり、
(4)前記磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、前記磁性酸化鉄に含まれるAl成分を前記アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の50.0%以上95.0%以下であり、
(5)前記磁性酸化鉄に含まれるAl成分を前記アルカリ水溶液で溶出した後の磁性酸化鉄をさらに酸水溶液で溶解し、溶解液を得、前記磁性酸化鉄が全て溶解された溶解液中に含まれるFe元素量を総Fe元素量としたときに、前記総Fe元素量の10質量%が溶解液に存在する状態まで前記磁性酸化鉄を溶解した溶解液(以下、Fe元素溶解率10質量%溶解液という)中に含まれるAl成分量と、前記(4)で溶出されるAl成分量の合計が、前記磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の95.0%以上100.0%以下であり、
(6)前記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Al成分量のAl元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Al成分量のAl元素換算値)が、2.0以上30.0以下であり、
前記トナーは、温度140℃、周波数10kHzで測定されたトナーの複素誘電率から算出される誘電正接が、1.0×10−3乃至5.0×10−1であることを特徴とする。
上述のように、本発明のトナーは、特定の磁性酸化鉄を用い、温度140℃、周波数10kHzで測定されたトナーの複素誘電率から算出される誘電正接(以下、単にトナーの誘電正接ともいう)が、1.0×10−3乃至5.0×10−1であることにより、本発明の効果を発揮しうる。
本発明者らは、種々検討の結果、特定の磁性酸化鉄を用い、トナーの誘電正接を上記範囲とすることの技術的意味が以下の通りであることを見出した。つまり、定着ニップに突入する直前の紙上のトナーにおいて、効果的に帯電緩和を抑制し、帯電量を高いまま保持することが可能となる。その結果、紙に対して、静電的な吸着力が強く働くことにより、静電オフセット、定着尾引きが発生しにくくなる、というものである。
すなわち、静電オフセット、定着尾引きの発生を防止するためには、紙上のトナーの帯電量を高くし、かつ、高いまま保持することが重要である。本発明においては、特定の磁性酸化鉄を用い、かつ、トナーの誘電正接を1.0×10−3乃至5.0×10−1に制御することにより、本発明の目的を達成することができた。
ここで、静電オフセットとは、定着ニップ付近で溶融の不十分なトナーが定着部材(定着フィルム)側に飛翔することで発生する現象である。
特に、トナーが、トナー粒子における磁性体の分散が不十分なトナーであったり、過剰に帯電しやすい処方のトナーであったりする場合、過剰に帯電したトナーが現像スリーブ下層に蓄積しやすい。その場合、現像スリーブ上のトナーコート上層部のトナーが帯電量を持ちにくくなる。その結果、トナーの帯電量分布が広がりやすい。これにより、定着ニップ突入前の紙上トナーの帯電量が低くなりやすく、静電オフセットが悪化しやすい。さらに、低温低湿環境においては、トナーが過剰に帯電しやすいだけでなく、トナーの定着性が不十分になりやすいため、静電オフセットが顕著になりやすい。
また、表面凹凸の大きな紙を使用した場合は、凹部で溶融の不十分なトナーが多くなりやすく、さらに静電オフセットが顕著となりやすい。特に、トナー間の付着力が働きにくく、紙に対する定着性で不利な孤立ドット画像でさらに顕著となる。
一方、定着尾引きとは、未定着トナーライン像が転写された紙が、定着ニップ部に突入する際に、紙に含まれる水蒸気が紙の凹部で爆発し、続くライン像を吹き飛ばし、尾引いてしまう現象である。ここで、トナーの帯電量が低い場合、ライン画像を出力した際に、ラインのトナー載り高さが高くなりやすいため、定着ニップに突入する際に、トナーが吹
き飛ばされやすい状態となり、定着尾引きが悪化しやすい。特に、紙から発生する水蒸気量が多い高温高湿環境下で顕著になりやすい。さらに、トナーが一晩放置された後の朝一番のスタートアップ時など、トナー帯電量が低下しやすい場合に特に顕著となる。
表面凹凸の大きな紙では、凹部に水蒸気が溜まりやすく、この凹部を中心に溜まった水蒸気が定着時に爆発することから、定着尾引きも、静電オフセットと同様に、表面凹凸の大きな紙で発生しやすい。特に、高温高湿環境下に放置された紙は水分を多く含むため、さらに定着尾引きを悪化させやすい。
上述のように、本発明者らは、上記問題に対する解決策が、トナーの組成に特定の磁性酸化鉄を用い、かつ、当該トナーの誘電正接を特定の範囲に制御することであることを見出した。
すなわち、本発明のトナーの誘電正接は、1.0×10−3乃至5.0×10−1であり、2.0×10−3乃至4.8×10−1であることが好ましく、3.0×10−3乃至4.6×10−1であることがより好ましい。
上記トナーの誘電正接が、1.0×10−3乃至5.0×10−1であることにより、紙上のトナーが定着ニップに突入して高温下にさらされた場合においても、トナーの帯電緩和を効果的に抑制することが可能であるため、帯電量を保持しやすく、静電オフセットや定着尾引きが悪化しにくい。定着ニップにおいて、瞬間的に熱を与えられるトナーの挙動が、温度140℃、周波数10kHzで測定されたトナーの複素誘電率から算出される誘電正接と相関する理由は定かではないが、おそらく、紙の凹部に入り込み、加熱されている定着フィルムに直接接しないトナーに対して瞬間的に与えられる熱が、140℃という温度で近似できるためと考えられる。また、低周波数であるとノイズを拾いやすく誤差が大きくなりやすいため、周波数10kHzという十分な高周波数で測定した。なお、上
記トナーの誘電正接は、磁性酸化鉄の添加元素量、元素の存在分布や、後述する重合体A、化合物B及び化合物Cの添加量を等制御することで、上記範囲に調整することが可能である。
本発明に用いられる磁性酸化鉄は、以下の特性を有する。
(1)Ti成分、Al成分、Si成分及びFe成分を少なくとも含有する。
(2)上記Ti成分の含有量は、Ti元素換算で、上記磁性酸化鉄全体に対して、0.30質量%以上5.00質量%以下であり、0.30質量%以上4.00質量%以下であることが好ましく、0.30質量%以上3.00質量%以下であることがより好ましい。
(3)上記Al成分の含有量は、Al元素換算で、上記磁性酸化鉄全体に対して、0.10質量%以上3.00質量%以下であり、0.10質量%以上2.50質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上2.00質量%以下であることがより好ましい。
(4)上記磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、上記磁性酸化鉄に含まれるAl成分を当該アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量は、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の50.0%以上95.0%以下であり、55.0%以上95.0%以下であることが好ましく、60.0%以上95.0%以下であることがより好ましい。
(5)上記磁性酸化鉄に含まれるAl成分を上記アルカリ水溶液で溶出した後の磁性酸化鉄をさらに酸水溶液で溶解し、溶解液を得、当該磁性酸化鉄が全て溶解された溶解液中に含まれるFe元素量を総Fe元素量としたときに、総Fe元素量の10質量%が溶解液に存在する状態まで上記磁性酸化鉄を溶解した溶解液(以下、Fe元素溶解率10質量%溶解液ともいう)中に含まれるAl成分量と、上記(4)で溶出されるAl成分量の合計は、上記磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の95.0%以上100.0%以下であり、96.0%以上100.0%以下であることが好ましく、97.0%以上100.0%以下であることがより好ましい。
(6)上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Al成分量のAl元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Al成分量のAl元素換算値)は、2.0以上30.0以下であり、2.2以上25.0以下であ
ることが好ましく、2.5以上20.0以下であることがより好ましい。
上記(4)のアルカリ水溶液による溶出過程においては、Fe成分とTi成分はほとんど溶出しない。すなわち、最表層のAl成分のみが溶出する(最表層にSi成分を含有する場合は、Si成分も溶出する)と考えられる。
また、上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれるAl成分量と、上記(4)で溶出されるAl成分量の合計は、上記磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の95.0%以上100.0%以下であることが重要である。
上記(4)で溶出されるAl成分量(磁性酸化鉄の最表層のAl成分量)が、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量に対して比較的多く、かつ、上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれるAl成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量に対して少ないことで、上記磁性酸化鉄は高抵抗になりやすい。
そのため、理由は定かではないが、トナー表面の一部に、磁性酸化鉄が多く露出していても、磁性酸化鉄の抵抗が比較的高いために、トナーの誘電正接を本発明の意図する範囲に制御しやすく、その結果、紙上トナーの帯電量を保持しやすい。
上記(4)で溶出されるAl成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の50.0%未満である場合、磁性酸化鉄の最表層のAl成分量が少ないことを意味し、磁性酸化鉄の抵抗が低下する傾向にある。
一方、上記(4)で溶出されるAl成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の95.0%を超える場合、上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれるAl成分量が、少なくなる傾向にあり、高温下での誘電正接が制御しにくい。
また、上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれるAl成分量と、上記(4)で溶出されるAl成分量の合計が、上記磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の95.0%未満である場合、磁性酸化鉄の最表層のAl成分量が少ないことを意味し、磁性酸化鉄の抵抗が低下する傾向にある。
これらの場合は、いずれも、紙上トナーが高温下にさらされたときは特に、トナーの帯電緩和が大きくなりやすく、本発明の効果を発揮しにくい。
さらに、本発明においては、上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Al成分量のAl元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Al成分量のAl元素換算値)が、2.0以上30.0以下であることが重要である。
理由は定かではないが、当該[Ti成分量のTi元素換算値/Al成分量のAl元素換算値](以下、単に[Ti/Al]ともいう)が、上記範囲であることにより、はじめて高温下でのトナーの誘電正接を本発明の意図する範囲に制御しやすくなる。
これはおそらく、耐熱性の高いTi成分と、高抵抗のAl成分の相乗効果によるものと推察される。すなわち、Al成分のみの場合でも、常温では磁性酸化鉄の高抵抗化を達成しやすいが、100℃以上の高温環境にさらされると、Al成分と周囲のFe成分部分を介して電荷がリークしやすくなり、トナーの誘電正接も大きくなりやすいと考えられる。
一方、熱伝導率の低いTi成分が、Al成分の周囲に多く存在することで、高温環境にさらされても、Al成分による高抵抗化が維持されやすくなり、トナーの誘電正接が大きくなりにくくなると考えられる。また、Ti成分自体も抵抗が比較的高いために、Al成分に対して過剰に存在することで、低抵抗化してしまうなどの弊害が起きにくいと考えられる。
上記[Ti/Al]が、2.0未満である場合、磁性酸化鉄が熱による影響を受けやすくなり、トナーの高温下での誘電正接が大きくなりやすい。一方、[Ti/Al]が、3
0.0より大きい場合、磁性酸化鉄の抵抗が低下しやすく、その結果、トナーの誘電正接が大きくなりやすい。
このように、高温下でのトナーの誘電正接を制御するには、上記[Ti/Al]を調整することが非常に重要であり、前述の特許文献11や特許文献12などのように、Al成分を含有しない場合や、特許文献10、13、及び14などのように、一部にAlやTiを含有していても、上記[Ti/Al]を調整しない場合は、高温下でのトナーの誘電正接を制御しにくく、静電オフセットや定着尾引きを改善するには至らなかった。
本発明に用いられる磁性酸化鉄は、Ti成分及びAl成分を、上記割合で含有することが重要である。
Ti成分及びAl成分の含有量が、上述の範囲であることにより、磁性酸化鉄の最表層のAl成分量、及び、上記[Ti/Al]を制御することが可能になる。
Ti成分の含有量が、Ti元素換算で、磁性酸化鉄全体に対して、0.30質量%未満の場合、磁性酸化鉄の耐熱性が低下しやすい。その結果、トナー製造時の熱の影響を受けやすくなり、磁性酸化鉄の抵抗が低下しやすく、トナーの誘電正接が大きくなりやすい。
一方、5.00質量%より多い場合、飽和磁化が低下する傾向にあり、トナー間の磁気凝集力が不足することにより、トナーを一定期間使用せず放置した後に使用を再開した時のかぶりが悪化しやすい。
Al成分の含有量が、Al元素換算で、磁性酸化鉄全体に対して、0.10質量%未満の場合、磁性酸化鉄の抵抗が低下しやすく、トナーの誘電正接が大きくなりやすい。
一方、3.00質量%より多い場合、磁性酸化鉄の比表面積が大きくなりやすく、水分吸着量が多くなることにより、トナーを一定期間使用せず放置した後に使用を再開した時に画像濃度が低下しやすくなるなど、環境安定性が低下しやすい。
また、本発明の磁性酸化鉄は、Si成分の含有量が、Si元素換算で、磁性酸化鉄全体に対して、好ましくは、0.10質量%以上4.00質量%以下であり、より好ましくは、0.15質量%以上3.50質量%以下であり、さらに好ましくは、0.20質量%以上3.00質量%以下である。磁性酸化鉄がSi成分を上述の範囲で含有することにより、磁性酸化鉄のトナー粒子中への良好な分散性が達成しやすい。
トナー粒子中に磁性酸化鉄が良好に分散していることにより、トナー粒子表面の磁性酸化鉄の露出量が比較的少なくなると同時に、凝集する磁性酸化鉄が少なくなることにより、トナー粒子中において、帯電がリークするルートを低減させることが可能となり、結果、トナーの帯電緩和をより抑制することができる。
さらに、本発明の磁性酸化鉄は、磁性酸化鉄を上記(4)と同じ組成のアルカリ水溶液に投入し、磁性酸化鉄に含まれるSi成分を上記アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるSi成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Si成分量の5.0%以上30.0%以下であることが好ましく、8.0%以上27.0%以下であることがより好ましく、10.0%以上25.0%以下であることがさらに好ましい。
磁性酸化鉄の最表層のアルカリ水溶液で溶出されるSi成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Si成分量に対して、上記範囲である場合、磁性酸化鉄の高抵抗が維持しやすく、また、磁性酸化鉄のトナー粒子中への良好な分散性が達成しやすい。
磁性酸化鉄の最表層のアルカリ水溶液で溶出されるSi成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Si成分量の5.0%未満である場合は、磁性酸化鉄のトナー粒子中への分散性がやや低下する傾向にあり、30.0%より多い場合は、磁性酸化鉄の表面の吸湿性が高くなり、出力画像の濃度低下が起きやすい傾向にある。
さらに、上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Si成分量のSi元素換算値に対する比[Ti成分量のTi元素換算値/Si成分量のSi元素換算値](以下、単に[Ti/Si]ともいう)は、1.0以上5.0以下であることが好ましく、1.2以上4.5以下であることがより好ましく、1.4以上4.0以下であることがさらに好ましい。
上記[Ti/Si]が上記範囲にある場合、磁性酸化鉄のトナー粒子中への良好な分散性が達成されやすく、トナーの帯電緩和を抑制しやすいと同時に、トナーを一定期間使用せず放置した後に使用を再開した時の出力画像の濃度低下を防止しやすい。
本発明のトナーに用いられる磁性酸化鉄は、透過型電子顕微鏡写真による観察で、磁性酸化鉄粒子が主に平滑面を有さない曲面で形成された球形状粒子から構成され、八面体粒子を殆ど含まないことが好ましい。
本発明のトナーに用いられる磁性酸化鉄は、後述する測定方法に基づく個数平均粒径が、0.05乃至0.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.08乃至0.40μmであり、さらに好ましくは、0.10乃至0.30μmである。当該個数平均粒径を上記範囲にすることで、トナー粒子を構成する結着樹脂中での磁性酸化鉄の分散性、及び、トナーの帯電均一性をより向上させることができる。
本発明のトナーに用いられる磁性酸化鉄は、後述する測定方法に基づくBET比表面積が、5.0m/g以上15.0m/g以下であることが好ましく、より好ましくは、6.0m/g以上13.0m/g以下である。当該BET比表面積を上記範囲にすることで、トナーの帯電性に影響する磁性酸化鉄の水分吸着量を適正化しやすい。
本発明のトナーに用いられる磁性酸化鉄の磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10.0〜200.0Am/kgであることが好ましく、より好ましくは60.0〜100.0Am/kgであり、残留磁化が1.0〜100.0Am/kgであることが好ましく、より好ましくは2.0〜20.0Am/kgであり、保磁力が1.0〜30.0kA/mであることが好ましく、より好ましくは2.0〜15.0kA/mである。このような磁気特性を有することで、トナーが画像濃度とかぶりのバランスのとれた良好な現像性を得ることができる。
本発明のトナーにおいて、上記磁性酸化鉄の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、磁性酸化鉄が50〜150質量部であることが好ましく、より好ましくは磁性酸化鉄が60〜120質量部である。磁性酸化鉄の含有量が、結着樹脂100質量部に対して、50質量部未満となる場合には、かぶりや文字周辺へのトナー飛び散りが悪化しやすい傾向にある。一方、磁性酸化鉄の含有量が、結着樹脂100質量部に対して、150質量部より多い場合には、現像スリーブからのトナー飛翔が不十分になりやすく、画像濃度低下の原因となりやすい。
本発明における各種物性データの測定法を以下に詳述する。
(I)上記磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、上記磁性酸化鉄に含まれるAl成分、又はSi成分を当該アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量又はSi成分量の定量方法。
<1>試料の調製
磁性酸化鉄0.9gを計量し、メチルペンテン製ビーカーに入れる。次に、1mol/
LのNaOHを25ml計量して、ビーカー中に投入する。回転子をビーカーに入れて、蓋をし、ホットスターラー上で4時間加温・攪拌(液温70℃)した後、放冷する。放冷後、回転子に付着している磁性酸化鉄を含め、全ての磁性酸化鉄をメスシリンダー中に純
水で流しいれる。純水で液量を125mlに調整後、ビーカーに移し変えて十分に攪拌させる。その後、磁石上にビーカーを静置し、上澄みが透明になるまで磁性酸化鉄を沈降させる。沈降後、上澄みをろ過し、ろ液を得る。
<2>測定方法
得られたろ液をICP発光光度分析装置(商品名:ICPS2000、製造元:島津製作所)の誘導結合プラズマ中に噴霧し、波長288.16nm(Si)、波長396.15nm(Al)での発光強度を測定して、濃度既知の検量線液の発光強度と比較することで、当該ろ液中のAl元素濃度(mg/L)、Si元素濃度(mg/L)を定量する。
<3>上記検量線液の調製方法
100mLポリメスフラスコに、4gのNaOH、Si成分、及びAl成分を加え、イオン交換水で100mLに定容して、Si成分のSi元素濃度が[0〜50mg/L]の
範囲にあり、Al成分のAl元素濃度が[0〜40mg/L]の範囲にある検量線液を数
水準作製する。
<4>計算式
磁性酸化鉄に含まれるAl成分、又はSi成分を上記アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量(Al元素換算値:[質量%])又はSi成分量(Si元素換算値:[質量%])は以下の式より算出する。
(式):Al成分量(Al元素換算値:[質量%])又はSi成分量(Si元素換算値:[質量%])= (L×0.125)/(S×1000)×100
但し L: 各元素のICP測定値から得られた各元素の濃度(mg/L)
S: 試料質量0.9(g)
(II)Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含有される各元素の定量方法
<1>試料の調製
上記(I)の[<1>試料の調製]に記載された、試料調製終了後のビーカー内に沈降した磁性酸化鉄、即ち、磁性酸化鉄に含まれるAl成分、又はSi成分をアルカリ水溶液で溶出した後の磁性酸化鉄を集めて乾燥させる。得られた磁性酸化鉄の乾燥物を25g計量し、5Lガラスビーカーに入れる。次に、0.5mol/LのHSOを5L添加し攪拌しながら、ウォーターバス中で室温から80℃まで徐々に昇温させて、当該磁性酸化鉄を表面から徐々に溶解し、溶解液を得る。ここで、特に、磁性酸化鉄が全て溶解された溶解液中に含まれるFe元素量を総Fe元素量としたときに、総Fe元素量の10質量%が溶解液に存在する状態まで磁性酸化鉄を溶解した溶解液(Fe元素溶解率10質量%溶解液という)を取得する。得られたFe元素溶解率10質量%溶解液(スラリー)を25ml採取する。採取したスラリーを0.1μmメンブランフィルターでろ過し、ろ液を得る。
<2>測定方法
得られたろ液を、ICP発光光度分析装置(商品名:ICPS2000、製造元:島津製作所)の誘導結合プラズマ中に噴霧し、波長288.16nm(Si)、波長396.15nm(Al)、波長334.94nm(Ti)、波長259.94nm(Fe)での発光強度を測定して、濃度既知の検量線液の発光強度と比較することで、当該ろ液中のSi元素濃度(mg/L)、Ti元素濃度(mg/L)、Al元素濃度(mg/L)、Fe元
素濃度(mg/L)を定量する。
<3>上記検量線液の調製方法
1000mLポリメスフラスコに、51gのHSO、Fe成分、Si成分、Al成分、及びTi成分を加え、イオン交換水で1000mLに定容して、Fe成分のFe元素濃度が[100〜4000mg/L]の範囲にあり、Si成分のSi元素濃度が[0〜1
50mg/L]の範囲にあり、Al成分のAl元素濃度が[0〜40mg/L]の範囲にあり、Ti成分のTi元素濃度が[0〜30mg/L]の範囲にある検量線液を数水準作製
する。
<4>計算式
上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含有される、Si成分量(Si元素換算値:[質量%])、Ti成分量(Ti元素換算値:[質量%])、Al成分量(Al元素換算値:[質量%])、及びFe成分量(Fe元素換算値:[質量%])は次式を用いて算出する。
(式): Si成分量(Si元素換算値:[質量%])、Ti成分量(Ti元素換算値:[質量%])、Al成分量(Al元素換算値:[質量%])、又はFe成分量(Fe元素換算値:[質量%])
= (L×5)/(S×1000)×100
但し L: 各元素のICP測定値から得られた各元素の濃度(mg/L)
S: 試料質量25(g)
(III)磁性酸化鉄に含有される全Si成分量(Si元素換算値[質量%])、全Ti成分量(Ti元素換算値:[質量%])、又は全Al成分量(Al元素換算値:[質量%])の定量方法。
<1>試料の調製
磁性酸化鉄1.00gを計量し100mLテフロンビーカーに入れる。次に水10mL、濃塩酸16mLを添加後、加熱し、磁性酸化鉄を全て溶解する。冷却後、弗化水素酸(1+1)を4mL添加し、20分放置する。次に、得られた溶液を100mLポリメスフラスコに移して、界面活性剤(商品名:トリトンX[10g/L])を1mL添加し10
0mLにメスアップする。
<2>測定方法
上記調製された試料溶液をICP発光光度分析装置(商品名:ICPS2000、製造元:島津製作所)の誘導結合プラズマ中に噴霧し、波長288.16nm(Si)、波長396.15nm(Al)、波長334.94nm(Ti)での発光強度を測定して、濃度既知の検量線液の発光強度と比較することで、当該試料溶液中のSi元素(mg/L)
、Ti元素(mg/L)、Al元素(mg/L)を定量する。
<3>上記検量線液の調製方法
1000mLポリメスフラスコに、16mLのHCl、4mLのHF(1+1)、1m
Lの界面活性剤(1%トリトンX)、650mgのFe、Si成分、Al成分、及びTi成分を加え、イオン交換水で1000mLに定容して、Si成分のSi元素濃度、Al成分のAl元素濃度、及びTi成分のTi元素濃度がそれぞれ[0〜200mg/L]の範
囲にある検量線液を数水準作製する。
<4>計算式
磁性酸化鉄に含有される全Si成分量(Si元素換算値[質量%])、全Ti成分量(Ti元素換算値:[質量%])、又は全Al成分量(Al元素換算値:[質量%])は次式を用いて算出する。
(式): 全Si成分量(Si元素換算値[質量%])、全Ti成分量(Ti元素換算値:[質量%])、又は全Al成分量(Al元素換算値:[質量%])
= (L×0.1)/(S×1000)×100
但し L: 各元素のICP測定値から得られた各元素の濃度(mg/L)
S: 試料質量1.00(g)
本発明において使用される、磁性酸化鉄に含有される、(全)Ti成分量(Ti元素換算値:[質量%])、又は(全)Al成分量(Al元素換算値:[質量%])は、上記(III)の方法により算出される。
本発明において使用される、磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、磁性酸化鉄に含まれるAl成分を当該アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量の、当該磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量に対する割合(%)、又は、磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、磁性酸化鉄に含まれるSi成分を当該アルカリ水溶液で溶出したときに溶出され
るSi成分量の、当該磁性酸化鉄に含まれる全Si成分量に対する割合(%)は、上記(I)、及び(III)の結果より算出される。
本発明において使用される、磁性酸化鉄に含まれるAl成分をアルカリ水溶液で溶出した後の磁性酸化鉄をさらに酸水溶液で溶解し、溶解液を得、磁性酸化鉄が全て溶解された溶解液中に含まれるFe元素量を総Fe元素量としたときに、総Fe元素量の10質量%が溶解液に存在する状態まで磁性酸化鉄を溶解した溶解液(Fe元素溶解率10質量%溶解液)中に含まれるAl成分量と、磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、磁性酸化鉄に含まれるAl成分を当該アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量との合計の、当該磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量に対する割合(%)は、上記(I)、(II)、及び(III)の結果より算出される。
本発明において使用される、上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Al成分量のAl元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Al成分量のAl元素換算値)、又は、上記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Si成分量のSi元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Si成分量のSi元素換算値)は、上記(II)の結果より算出される。
(IV)磁性酸化鉄の個数平均粒径の測定方法
透過型電子顕微鏡を用い、倍率30000倍で、磁性酸化鉄の写真を撮影する。当該写真に撮影された磁性酸化鉄粒子を無造作に100個選び、そのフェレ径を計測し、その平均値をもって、個数平均粒径とする。
(V)磁性酸化鉄の比表面積の測定方法
比表面積測定装置オートソープ1(湯浅アイオニクス社製)を用い、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
(VI)磁性酸化鉄の磁気特性の測定方法
振動試料型磁力計(VSM−3S−15、東英工業社製)を用いて、外部磁場795.8kA/mの下で測定する。
(VII)トナー及び結着樹脂の誘電正接の測定方法
4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、1kHz及び1MHzの周波数で下記ARESを校正後、周波数10kHzにおける複素誘電率の測定値から誘電正接(tanδ=ε”/ε’)を算出する。
試料(トナー又は結着樹脂)を0.7g秤量し、39200kPa(400kg/cm)の荷重を2分間かけて、直径25mm、厚さ1mm以下(好ましくは0.5〜0.9mm)の円盤状の測定試料に成型する。この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度130℃まで加熱して溶融固定する。その後、温度25℃まで冷却し、0.49N(50g)の荷重をかけた状態で10kHzの周波数一定として、毎分2℃の昇温速度で15秒毎に測定値を取り込みながら、150℃まで加熱し、140℃における複素誘電率の測定値を記録した。
本発明で用いられる磁性酸化鉄の製造方法について例示するが、以下の製造方法に限定されるものではない。
(第一工程)
硫酸第一鉄水溶液、ケイ酸ソーダ、水酸化ナトリウム及び水を混合し、混合溶液を調製する。この混合溶液の温度を90℃に維持し、かつpHを6〜9に維持しながら空気を吹
き込み、液中に生成した水酸化第一鉄を湿式酸化する。水酸化第一鉄が、当初の量に対して、70〜90%消費された時点で生成されたマグネタイト粒子の中心域の形成を確認する。
(第二工程)
第一工程を行っている途中に、液中における未反応の水酸化第一鉄の濃度を調べることで酸化反応の進行率を調べ、上記水酸化第一鉄が、当初の量に対して70〜90%消費された時点を特定する。特定された時点において、第一工程で用いたものと同濃度の硫酸第一鉄水溶液と、硫酸チタニル、硫酸アルミニウムを当該溶液に加え、更に水を加えて液量を調整する。これに、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを9〜12に調整する。この溶液には、第一工程で加えたケイ酸ソーダが残存している。液温90℃にて空気を吹き込み湿式酸化を進行させ、中間域を生成させる。
(第三工程)
第二工程を行っている途中に、液中における未反応の水酸化第一鉄が、95〜99%消費された時点で空気の吹き込みを停止し、ケイ酸ソーダ、及び硫酸アルミニウムを当該溶液に添加する。また、希硫酸を添加して液のpHを5〜9に調整する。
(第四工程)
このようにして得られたマグネタイト粒子を、常法により洗浄、ろ過し、更に乾燥させた後に粉砕して、本発明に用いられる磁性酸化鉄を得る。
なお、本発明に用いられる磁性酸化鉄は、特に
<1>第一工程において、水酸化第一鉄が、当初の量に対して、70〜90%消費された時点で第二工程に移行し、
<2>二工程で、硫酸チタニルを添加し、その際の硫酸チタニルと硫酸アルミニウムの量を適宜調整し、かつ、
<3>第二工程でのpHを9〜12に調整し、さらに、
<4>水酸化第一鉄が、95〜99%消費された時点で第三工程に移行し、
<5>第三工程において、ケイ酸ソーダと硫酸アルミニウムの添加量を適宜調整することによって、上記特性を付与することが可能である。
本発明のトナーの帯電性は正負のどちらでも良いが、結着樹脂自体は負帯電性が高いので、負帯電性トナーであることが好ましい。しかしながら、本発明の目的を達成するうえで、本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体A(以下、重合体Aともいう)を含有することが好ましい。
高温下では、磁性酸化鉄の分散状態及びその他の材料の影響により、トナーの誘電正接が大きくなり、帯電緩和が生じやすくなる場合がある。しかしながら、上記重合体Aを含有させることにより、理由は定かではないが、高温下でのトナーの誘電正接を本発明の範囲に制御しやすくなる。
荷電制御樹脂である上記重合体Aを単独でトナーに含有させると、使用環境や使用状況によっては、トナーが過剰に帯電しやすくなる。特に、近年のレーザービームプリンタで採用されている弾性ブレードを採用した現像器においてはその傾向が顕著になりやすかった。しかし、本発明において、上記重合体Aと上記磁性酸化鉄とを同時に使用することにより、トナーの過剰帯電が抑制され、トナーの誘電正接を適切に制御しやすいことを見出した。
さらに、本発明において、本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、上記重合体A及び芳香族オキシカルボン酸又はその誘導体の金属化合物B(以下、化合物Bともいう)を同時に含有することがより好ましい。これにより、トナーの誘電正接をより制御しやすく、上記重合体Aを添加することによるトナーの過剰帯電を効果的に抑制でき、濃度やかぶ
りなどの現像性と両立させやすい。
上記化合物Bは、トナー粒子製造の溶融混練工程で結着樹脂のカルボキシル基と相互作用、すなわち配位子の交換反応と推定される一種の錯形成反応を行い、トナー粒子の結着樹脂に架橋構造を形成する。その結果、溶融混練工程で適度なシェアがかかり、重合体Aがトナー粒子中に微分散しやすく、重合体Aの添加効果をより発揮することが可能になる。
さらに、本発明において、本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、上記重合体A、上記化合物B及びアゾ系鉄化合物C(以下、化合物Cともいう)を同時に含有することがさらに好ましい。これにより、トナーの誘電正接をさらに制御しやすく、上記重合体Aを添加することによるトナーの過剰帯電を効果的に抑制でき、濃度やかぶりなどの現像性と両立させやすい。
明確ではないが、3者を同時に含有させた場合に、効果を発現する理由は以下のように考えられる。
重合体Aは、化合物B及び化合物Cに比べて、トナーへの帯電量付与能が大きい傾向がある。本発明者らは、化合物Cは、重合体Aと併用した場合に、重合体Aの周囲に共存することによって、重合体Aによるトナーの過剰帯電を抑制するような働きがあると推定する。
一方、上述のように、化合物Bは、トナー粒子製造の溶融混練工程で架橋構造を形成するため、溶融混練工程で適度なシェアがかかる。結果、重合体Aの周囲に、化合物Cがより微分散しやすくなる。また、トナー粒子全体において、重合体Aと化合物Cが均一に分散しやすくなる。本発明の目的とする効果を発現するためには、この重合体Aと化合物Cの高い均一分散性を達成することが好ましい。
上記重合体Aとしては、本発明の効果を最大限に発揮する点で、特にスチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド単量体との共重合体(スルホン酸基含有共重合体)が好ましく用いられる。
重合体Aに用いられるスチレン系単量体及びアクリル系単量体としては、ビニル系共重合体を生成する為に用いられる公知のビニル系モノマーの中から適宜選択される。好ましくはスチレンとアクリル酸エステル、又は、スチレンとメタクリル酸エステルとの組み合わせが挙げられる。
重合体Aに用いられるスルホン酸含有アクリルアミド系単量体としては、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸等を挙げることができる。この中で、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が帯電性の面からより好ましい。
重合体Aを合成する際に使用される重合開始剤としては、上述のビニル系共重合体を生成する際に使用される開始剤の中から適宜選択される。好ましくは過酸化物開始剤が使用される。
また、重合体Aの合成方法としては、特に制限はなく、溶液重合、懸濁重合、塊状重合
等、いずれの方法も使用可能であるが、低級アルコールを含む有機溶剤中で共重合させる溶液重合が好ましい。
スチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合質量比は、スチレン系単量体及びアクリル系単量体:スルホン酸含有アクリルアミド系単量体=98:2〜80:20であることが好ましい。スルホン酸含有アクリルアミド系単量体の割合が2質量%よりも少ない場合には、十分な帯電特性が得られない場合がある。一方、20質量%よりも多い場合には、環境安定性が不安定になる場合がある。
重合体Aの酸価(mgKOH/g)は3.0乃至80.0が好ましい。より好ましくは5.0乃至50.0であり、さらに好ましくは10.0乃至40.0である。重合体Aの酸価が3.0未満の場合には、電荷制御作用を得にくくなる傾向にあり、かつ環境特性が低下する傾向にある。一方、重合体Aの酸価が80.0を超える場合には、高温高湿下において水分の影響を受けやすく環境安定性が低下する傾向にある。
重合体Aの分子量は重量平均分子量(Mw)が2000乃至200000であることが好ましく、より好ましくは、17000乃至100000であり、さらに好ましくは、27000乃至50000である。重量平均分子量(Mw)が2000未満の場合には、重合体Aが結着樹脂中に相溶する、あるいは、微分散状態となり、帯電特性への影響が大きくなく、かつ、トナーの流動性、転写性を低下させる傾向にある。一方、重量平均分子量が(Mw)が200000を超える場合には、重合体Aが結着樹脂と相分離しやすく、環境安定性が低下する傾向にある。
重合体Aのガラス転移点(Tg)は30℃乃至120℃であることが好ましく、より好ましくは、50℃乃至100℃であり、更に好ましくは、70℃乃至95℃である。
重合体Aのガラス転移点(Tg)が30℃未満の場合には、トナーの流動性、保存性、転写性が低下する傾向にある。一方、ガラス転移点(Tg)が120℃を超える場合には、トナー印字率の多い画像を出力する際の定着性が低下する傾向にある。
本発明において、上記重合体A及び結着樹脂の「GPCによる分子量及び分子量分布」は以下の方法で測定される。なお、重合体Aのトナー粒子からの抽出は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
まず、室温で24時間かけて、サンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
本発明において、上記重合体A及び結着樹脂の「ガラス転移点」は、示差走査熱量分析
装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。測定は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点を通る線とDSC曲線との交点を、本発明における重合体A及び結着樹脂のガラス転移点(Tg)とする。
本発明において、上記重合体Aおよび結着樹脂の「酸価」は以下のように求める。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。当該酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料(重合体A又は結着樹脂)2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
本発明において、上記重合体Aは、そのまま使用することができるが、公知の粉砕手段により粉砕して粒径を揃えることが、他材料との相溶性・分散性向上となり好ましい。粉砕粒子径としては、好ましくは300μm以下、更に好ましくは150μm以下とすることで、他材料との分散が良好となりやすい。
上記重合体Aは、結着樹脂100質量部当り0.80乃至6.0質量部含有されていることが好ましい。より好ましくは0.90乃至4.5質量部であり、さらに好ましくは1.0乃至4.0質量部である。
上記化合物Cとしては、下記一般式で表されるアゾ系鉄化合物が、帯電量を高く、安定して与えることが可能であることから好ましい。
Figure 2010032581
[式中、X及びXは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、k及びk‘は1〜3の整数を示し、YおよびYは水素原子、C〜C18のアルキル,C〜C18のアルケニル、スルホンアミド、メシル、スルホン酸、カルボキシエステル、ヒドロキシ、C〜C18のアルコキシ、アセチルアミノ、ベンゾイル、アミノ基又はハロゲン原子を示し、l及びl’は1〜3の整数を示し、YおよびYは水素原子またはニトロ基を示し(上記のXとX、kとk‘、YとY、lとl’、YとYは同一でも異なっていても良い。)、A’’はアンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、水素イオン又はそれらの混合イオンを示す]
上記式において、A’’はアンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、水素イオン又はそれらの混合イオンを示すが、本発明においては、理由は定かではないが、重合体Aによるトナーの過剰帯電を抑制するという点においては、ナトリウムイオンであることが好ましい。
次に、アゾ系鉄化合物の具体例を示す。
Figure 2010032581
Figure 2010032581
Figure 2010032581
なかでも、上記アゾ系鉄化合物(1)式で表されるものが、重合体Aによるトナーの過剰帯電抑制効果という点で好ましい。アゾ系鉄化合物(1)は、Cl元素をターゲットとすることにより、トナー中の含有量を特定することが可能である。
上記アゾ鉄化合物(化合物C)の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して0.10〜5.0質量部が好ましく、より好ましくは0.10〜4.0質量部である。
上記化合物Bとしては、下記一般式に示した芳香族オキシカルボン酸又はその誘導体の金属化合物Bが挙げられる。
Figure 2010032581
Figure 2010032581
なかでも、中心金属としてAl元素、Zn元素、Zr元素のものが、帯電量の高さから好ましく、特に、中心金属としてAl元素のものが、上記重合体Aと化合物Cの帯電を阻害することのない程度に、比較的高い帯電量を有するため、好ましい。
上記化合物Bの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.10〜2.0質量部が好ましく、より好ましくは、0.15〜1.5質量部である。特に、架橋構造の形成と重合体Aと化合物Cの均一分散性の点で、0.20質量部以上1.0質量部未満とすることが好ましい。
本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、上述の理由で、重合体A、化合物Bおよび化合物Cを全て含有することが特に好ましい。これらを全て含有する場合は、結着樹脂100質量部に対する、重合体A、化合物Bおよび化合物Cの含有量を、それぞれMA(質量部)、MB(質量部)、MC(質量部)とした場合、下記式(1)乃至(3)を満たすことが、特に好ましい。
式(1): 8.0 > MA/MB > 1.5
(より好ましくは、7.0 > MA/MB > 1.8、さらに好ましくは、6.0 > MA/MB > 2.0)
式(2): 5.0 > MA/MC > 0.80
(より好ましくは、4.5 > MA/MB > 0.90、さらに好ましくは、4.0
> MA/MB > 1.0)
式(3): MA > MC > MB
また、より好ましくは、下記(4)式を満たすことである。
式(4): 1.0×10 > MC/MB > 1.2
(より好ましくは、8.0 > MA/MB > 1.3、さらに好ましくは、6.0 > MA/MB > 1.4)
上記式(1)〜(4)を満たすように、重合体A、化合物B、及び化合物Cを添加することによって、より本発明の意図する効果を得られやすい。
また、トナーの帯電性と定着性の両立の点で、好ましくは、該MA 、MB及びMCが下記式(5)を満たすことが好ましい。
式(5): 5.0 > MA + MB + MC > 1.0
MA + MB + MC ≧ 5.0 の場合、結着樹脂に対する重合体A、化合物B、化合物Cの総量が過剰になり、トナーの定着性を阻害しやすい。一方、MA + MB + MC ≦ 1.0の場合、帯電付与能が不足し、帯電安定性が低下しやすくなる傾向がある。
このように、本発明においては、重合体Aと化合物B及び化合物Cを同時に含有させることが好ましいが、この3者を以下に示すような特定の関係式を満たすように含有させることが特に好ましい。
すなわち、該トナーの蛍光X線測定により得られる元素強度において、イオウ元素の強度[Is]と、Cl元素強度[Ia]、および、元素b群(Al、Zn、Zr)のうち、最大強度を示す元素強度[Ib]が、特定の関係を満たすことが、本発明の効果を発揮する上で特に好ましい。
まず、トナー粒子中における重合体Aの含有量と、化合物Cの含有量を、該トナーの蛍光X線測定により得られる元素強度において、イオウ元素の強度[Is]と、Cl元素強度[Ia]が、下記式(6)を満たすように、調整することが好ましい。
式(6): 0.10 < Is/Ia < 0.80
より好ましくは、0.12 < Is/Ia < 0.70、さらに好ましくは、0.15 < Is/Ia < 0.60 である。
(ただし、Is、Iaは、全トナー中の強度から、トナー中の着色剤由来の強度を引いた値。)
Is/Iaが上記範囲であることにより、重合体Aと化合物Cが、本発明の効果を得るうえで、適正量入っていることになり、重合体A、化合物Cの添加効果が明確になりやすい。
また、トナー粒子中における重合体Aの含有量と、化合物Bの含有量を、該トナーの蛍光X線測定により得られる元素強度において、イオウ元素の強度[Is]と、元素b群(Al、Zn、Zr)のうち、最大強度を示す元素強度[Ib]が下記式(7)を満たすように、調整することも好ましい。
式(7): 0.30 < Is/Ib < 1.0
より好ましくは、0.35 < Is/Ib < 0.95、さらに好ましくは、0.40 < Is/Ib < 0.90 である。
(ただし、Is、Ibは、全トナー中の強度から、トナー中の着色剤由来の強度を引いた値。)
Is/Ibが上記範囲であることにより、重合体Aと化合物Bが、本発明の効果を得るうえで、適正量入っていることになり、重合体A、化合物Bの添加効果が明確になりやすい。すなわち、帯電付与能に影響するスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基による適正な架橋構造が多く形成されるため、トナーの帯電量分布が広がりにくい。
また、Is、Ia、Ibが、本発明の効果をより発揮するという点で、下記式(8)を満たすことが好ましい。
式(8): 2.0 < (Is+Ia)/ Ib < 1.0×10
(Is+Ia)/ Ibが上記範囲であることにより、トナー粒子製造における溶融混練時にシェアが適度にかかることにより、重合体Aと化合物Cの高い均一分散性が達成されやすくなり、かつ、重合体Aと化合物Cを適正量含有する架橋構造が形成されるために、トナーの帯電量分布が広がりにくい。
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー約4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
本発明においては、使用する磁性酸化鉄にも、Is、Ia、Ibに関る元素を含有する場合があるため、蛍光X線強度、Is、Ia、Ibは、全トナー中の強度から、トナー中の磁性酸化鉄由来の強度を引いた値である。
好ましくは、使用する磁性酸化鉄単体およびトナーをそれぞれ別々に蛍光X線分析して、強度差をとるのがよいが、例えば、トナーをTHFなどの溶媒に入れ、一晩以上静置したのち、磁石を用いて、磁性酸化鉄を分離し、磁性酸化鉄以外の部分を捕集し、蛍光X線
分析することによって、全トナー中の強度から、トナー中の磁性酸化鉄由来の強度を引いたIs、Ia、Ibを知ることが可能である。
本発明のトナーは、結着樹脂、ワックス、及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子とを有するトナーである。
上記結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられるが、特に限定されず従来公知の樹脂を用いることができる。なかでも帯電性と定着性の両立の観点から、ポリエステル樹脂もしくはビニル系樹脂を含有することが好ましいが、特に、ポリエステルユニットを有する樹脂を使用することにより、定着性が有利となり好ましい。
上記ポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体、下記式(B)で示されるジオール類、が挙げられる。
Figure 2010032581
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+y平均値は0〜10である。)
Figure 2010032581
(x’,y’は、0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
2価の酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
本発明においては、芳香族カルボン酸化合物を90モル%以上含有したカルボン酸成分と、アルコール成分を縮重合したポリエステルであり、芳香族カルボン酸化合物の80モル%以上が、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸であることが、理由は定かではないが、磁性酸化鉄やワックスなどの内添剤の均一な分散性を高めるという点で好ましい。
また、架橋成分として働く3価以上のアルコール成分や3価以上の酸成分を単独で使用するか、もしくは併用することが、磁性酸化鉄やワックスなどの内添剤のより均一な分散性を達成するうえで好ましい。
3価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;下記式(C)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
Figure 2010032581
(式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)
上記アルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂は通常一般に知られている縮重合によって得られる。
一方、ビニル系樹脂を生成する為のビニル系モノマーとしては、次に様なものが挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−nヘキシルスチレン、p−nオクチルスチレン、p−nノニルスチレン、p−nデシルスチレン、p−nドデシルスチレンの如きスチレンの誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸nブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nオクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸nオクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如
きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル系樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。
この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレ一ト、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及び工一テル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフエニル)プロパンジアクリレード、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフエニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート化合物類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が掲げられる。
また、多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;が挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜1
0質量部(より好ましくは0.03〜5質量部)用いることができる。
これらの架橋剤のうち、定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
また、ビニル系共重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾピス(−2メチルプチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソプチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デ力ノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジーイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−工トキシエチルパーオキシカーボネト、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソプチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキンベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−プチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
上記結着樹脂は、低温定着性と保存性の両立のさせやすさという観点で、ガラス転移点(Tg)が45〜70℃、好ましくは50〜70℃、さらに好ましくは、52〜65℃であることがよい。
ガラス転移点(Tg)が45℃より低い場合には、トナーの保存性が低下しやすい傾向にある。一方、ガラス転移点(Tg)が70℃より高い場合には、低温定着性が低下しやすい傾向にある。
また、本発明において使用する結着樹脂は、上記化合物Bを添加した場合の架橋構造の生成のしやすさと、トナーの帯電安定性という点で、酸価(mgKOH/g)を有していることが好ましく、より好ましくは、10.0乃至60.0mgKOH/gであり、さらに好ましくは、15.0乃至40.0mgKOH/gである。
さらに、結着樹脂の140℃における誘電正接が、5.0×10−3未満であると、帯電量をもともと持ちにくい構成となっていると考えられる。逆に、0.10より大きい場合には、紙上のトナー帯電量が低下しやすい傾向にあり、静電オフセットや尾引きが低下しやすい。
本発明において、トナー粒子はワックスを含有する。当該ワックスとして、トナー粒子
中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。しかしながら、必要に応じて一種又は二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。併用されるワックスとしては以下のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
また、上記ワックスの示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピークのピーク温度で規定される融点は、70乃至140℃であることが好ましく、より好ましくは90乃至135℃である。融点が70℃より小さい場合は、トナーの粘度が低下し、感光体へのトナー付着が発生しやすい傾向にあり、融点が140℃を超える場合は、低温定着性が低下する傾向にある。
上記ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度(以下、融点ともいう)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックス約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、DSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークとする。そして、この最大吸熱ピークのピーク温度を求める。
上記ワックスの添加量は、結着樹脂100質量部あたり、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
また、これらのワックスは、結着樹脂製造時、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら当該ワックスを添加混合する方法や、トナー粒子製造中の溶融混練時に当該ワックスを添加する方法などにより結着樹脂に含有させることができる。
本発明のトナーは、トナーの流動性を向上させるために、トナー粒子に無機微粒子が添加される。上記無機微粒子として、フッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子の如きフッ素系樹脂微粒子;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粒子シリカ、微粒子酸化チタン、微粒子アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコ−ンオイル等により表面処理(疎水化処理)を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ等が挙げられる。
上記のうち、好ましい無機微粒子としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粒子であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H+0→SiO+4HCl
この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、それらも包含する。その粒径として、一次粒径の個数平均粒径が、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、0.002〜0.2μmの範囲内であることが特に好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粒子としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
AEROSIL 130、200、300、380、TT600、MOXl70、MOX80、COK84(以上、日本アエロジル社);Ca−O−SiL M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5(以上、CABOT Co.社);Wacker
HDK N20、V15、N20E、T30、T40(以上、WACKER−CHEMIE GMBH社);D−C Fine Si1iCa(ダウコーニングCO.社);Franso1(Fransil社)。
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粒子は、表面を疎水化処理された処理シリカ微粒子であることがより好ましい。該処理シリカ微粒子は、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粒子が処理されたものが特に好ましい。
上記疎水化処理の方法としては、シリカ微粒子と反応あるいは物理吸着する、有機ケイ素化合物及び/又はシリコーンオイルで化学的に処理する方法が挙げられる。ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で化学的に処理する方法が、好ましい方法として挙げられる。
上記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカブタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位のSiに水酸基を1つずつ有するジメチルポリシロキサンが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
また、窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラノ、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミンの如きシランカップリング剤も単独あるいは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、へキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
上記シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5〜10000mm/sのものが好ましく、より好ましくは1〜1000mm/s、さらに好ましくは10〜200mm/sである。具体的には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイル処理の方法としては、例えば、シランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粒子を加え混合し溶剤を除去する方法;が挙げられる。
シリコーンオイルで処理されたシリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
本発明においては、シリカをあらかじめ、カップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、または、シリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものを用いることも可能である。
上記無機微粒子は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が好ましくは30m/g以上であり、より好ましくは50m/g以上である。
また、上記無機微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、無機微粒子0.01〜8質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜4質量部である。
上記BET法で測定した窒素吸着による比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。
本発明のトナーの製造方法としては、特に限定されず、公知なトナーの製造方法を用いることができる。これら製造方法のうち、所望の粒子径が容易に制御できる製造方法がより好ましい。
上記製造方法の具体例を以下に示す。まず、結着樹脂、ワックス及び磁性酸化鉄、並びに、必要に応じて、電荷制御剤などのその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により乾式混合する。得られた混合物をニーダー、ロールミル、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融・混練して樹脂類を互いに相溶せしめる。得られた溶融混練物を冷却固化後に固化物を粗粉砕する。得られた租粉砕物をジェットミル、ミクロンジェット、IDS型ミル等の衝突式気流粉砕機又はクリプトロン、ターボミル、イノマイザ等の機械式粉砕機を用いて微粉砕する。得られた微粉砕品を、気流式分級機等を用いて所望の粒度分布とし、トナー粒子を得る。そして、該トナー粒子に、上記無機微粒子を外添混合することで本発明のトナーを得る。
上記トナー粒子は、重量平均粒径(D4)が3.0〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは、3.5〜9.0μm、さらに好ましくは、4.0〜8.0μmである。トナー粒子の重量平均粒子径(D4)が3.0μm未満である場合には、かぶり及び飛び散りが発生しやすくなる、また、トナーのハンドリング性も低下しやすい。一方、D4が10.0μmより大きい場合には、トナー粒子自体の大きさにより、高画質化の面で問題が生じやすいだけでなく、トナーの消費量が増加する傾向にあるため、装置の小型化という面で不利になってしまう。
トナーの粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールター・カウンターのマルチサイザーを用いて測定する。
<重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下と
なる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
上記トナーの製造において使用される装置を以下に例示する。
上記混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサ一(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
上記混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機〈東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製銅所社製)が挙げられる。
上記粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製)が挙げられる。
上記分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日新エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる箭い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動飾い等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の配合における部数は特に説明が無い場合は質量部である。
(磁性酸化鉄の製造例1)
[工程1]
Fe2+を1.8mol/L含む硫酸第一鉄水溶液8.1Lと、Si品位13.4%のケイ酸ソーダ75gと、水酸化ナトリウム1.06kgを混合し、水を加えて全量を16.2Lとした。この溶液の温度を90℃に維持し、かつpHを6〜9に維持しながら空気を2L/minで吹き込み、液中に生成した水酸化第一鉄を湿式酸化した。水酸化第一鉄が、当初の量に対して90%消費された時点でマグネタイトの中心域の形成を確認した。この中心域は、Si元素を含有するものであった。
[工程2]
工程1を行っている途中に、溶液中における未反応の水酸化第一鉄の濃度を調べることで酸化反応の進行率を調べ、水酸化第一鉄が、当初の量に対して90%消費された時点で、上記工程1で用いたものと同濃度の硫酸第一鉄水溶液0.9Lと、Ti品位20.0%の硫酸チタニル70gを溶液に加え、更に水を加えて液量を18Lとした。これに加えて、水酸化ナトリウムを添加して液のpHを9〜12に調整した。この溶液には、工程1で加えたケイ酸ソーダが残存していた。液温90℃にて空気を1L/minで吹き込み湿式酸化を進行させ、Si元素及びTi元素を含むマグネタイトからなる中間域を生成させた。
[工程3]
上記工程2を行っている途中に、液中における未反応の水酸化第一鉄が、当初の量に対して95%消費された時点で空気の吹き込みを停止し、Si品位が13.4%のケイ酸ソーダ15g及び、Al品位が6%の硫酸アルミニウム110gを溶液に添加した。また、希硫酸を添加して液のpHを5〜9に調整した。
このようにして得られたマグネタイト粒子を、常法により洗浄、ろ過し、更に乾燥させた後に粉砕した。得られた磁性酸化鉄1について、その諸特性を測定した。結果を表1に示す。
(磁性酸化鉄の製造例2乃至9、比較磁性酸化鉄の製造例1乃至6)
上記磁性酸化鉄の製造例1において、硫酸チタニル、ケイ酸ソーダ、硫酸アルミニウムの量を適宜変更し、工程1、2において、それぞれ水酸化第一鉄が消費された割合をモニターしながら、工程1から硫酸チタニルを添加する工程2、工程2から硫酸アルミニウムを添加する工程3への移行のタイミング(水酸化第一鉄の消費割合)を微調整した以外は製造例1と同様にして、磁性酸化鉄2乃至9、比較磁性酸化鉄1乃至6を得た。その諸特性を測定した結果を表1に示す。
(結着樹脂の製造例1)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物4000g、ビスフェノールAプロピレンオキシド3モル付加物2800g、テレフタル酸1200g、イソフタル酸1200g及び縮合触媒としてテトラブチルチタネート20gを入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸250gを加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後粉砕しポリエステル樹脂1(ガラス転移点(Tg)が61.0℃、酸価が18.5mgKOH/g、140℃における誘電正接が0.045)を得た。
(スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体Aの製造例1)
・メタノール 300g
・トルエン 100g
・スチレン 470g
・2−エチルヘキシルアクリレート 78g
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 42g
・ラウロイルパーオキサイド 6g
上記原料をフラスコに仕込み、撹拌装置、温度測定装置、窒素導入装置を装着して、窒素雰囲気下70℃で溶液重合させ、10時間保持して重合反応を終了させた。得られた重合物を減圧乾燥・粗粉砕して、重量平均分子量(Mw)31500、ガラス転移点(Tg)が71.8℃、酸価が15mgKOH/g、個数平均粒子径が410μmの重合体A―1を得た。
(トナーの製造例1)
・ポリエステル樹脂1 100質量部
・ワックス 4.0質量部
(低分子量ポリエチレン、融点102℃、Mn=850)
・磁性酸化鉄1 95質量部
(組成:Fe、形状:球状、個数平均粒径0.19μm、795.8kA/mにおける磁気特性;保磁力(Hc)=5.7kA/m、飽和磁化(σs)=83.0Am/kg、残留磁化(σr)=6.8Am/kg)
・重合体A―1 1.5質量部

・例示アゾ系鉄化合物(1)[カウンターイオンはナトリウムイオン]
1.0質量部
・例示サリチル酸Al化合物(1) 0.5質量部
上記原材料を450rpmに設定したヘンシェルミキサーで3分間予備混合した後、130rpmに設定した二軸混練押し出し機により、混練物の出口付近における直接温度が150乃至160℃となるように設定温度を調節し、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物を、ターボミル(ターボ工業社製)を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均径(D4)6.8μmの負帯電性磁性トナー粒子1を得た。
この磁性トナー粒子1の100質量部に対し、疎水性シリカ微粒子(ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたBET200m/gのシリカ微粒子をヘキサメチルジシラザンで表面処理したもの)を1.3質量部添加し、ヘンシェルミキサーで、外添混合しトナー1を得た。トナー1について、磁性酸化鉄を上述の方法で取り出し、蛍光X線分析を実施し、Is/Ia、Is/Ib、(Is+Ia)/ Ibを算出した。結果を表3に示す。また、140℃において誘電正接を測定した結果を表2に示す。
(トナーの製造例2〜14)
トナーの製造例1において、磁性酸化鉄を表2に示すように変更し、重合体A、化合物B、化合物Cを表2に示すように使用したこと以外は、トナーの製造例1と同様にして、トナー2乃至14を得た。
各トナーの誘電正接を表2に示す。トナー2及び3については、磁性酸化鉄を上述の方法で取り出し、蛍光X線分析を実施し、Is/Ia、Is/Ib、(Is+Ia)/ Ibを算出した。結果を表3に示す。
(比較トナーの製造例1〜6)
トナーの製造例1において、磁性酸化鉄を表2に示すように変更し、重合体A、化合物B、化合物Cを表2に示すように使用したこと以外は、トナーの製造例1と同様にして、比較トナー1乃至6を得た。各トナーの誘電正接を表2に示す。
<実施例1>
トナー1について、以下の評価を実施した。結果を表4に示す。
[評価1:静電オフセット]
静電オフセットは、トナーが過剰に帯電しやすく、かつ定着性が悪化しやすい低温低湿環境(15℃、10%RH)において、不利になることから、評価は低温低湿環境で行った。
ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:Laser Jet3005の定着装置の定着温度を任意に設定できるようにし、かつプロセススピードを350mm/secとなるように改造した評価機を用いた。
また、プロセスカートリッジを改造し、容量を2倍にし、この改造プロセスカートリッジにトナー1を1000g充てんした。この改造カートリッジを、評価機にセッティングし、低温低湿環境(15℃、10%RH)に一晩放置した。
翌日、低温低湿環境(15℃、10%RH)において、評価機の定着温度をデフォルト値から25℃下げて温調し、低温低湿環境(15℃、10%RH)に24時間放置したFOX RIVER BOND紙(90g/m)紙に、3cm四方の孤立ドット画像(画像濃度が0.5〜0.6になるように設定)を出力したのち、そのドット画像の下のベタ白部に発生する静電オフセットのレベルを目視で判断した。
静電オフセットの判断基準を以下に示す。本発明においては、ランクC以上であることが好ましい。
A :目視で確認できない。
B :ごくわずかに確認できる。
C :オフセットしている部分が一目でわかるが、オフセットしていない部分もある。
D :3cm四方の四角がはっきりと確認できる。
[評価2:定着尾引き]
定着尾引きは、紙から発生する水蒸気量が多い高温高湿環境で悪化しやすいことから、評価は高温高湿環境(32.5℃、85%RH)で行った。
評価1で使用した改造プロセスカートリッジにトナー1を1000g充てんしたのち、この改造プロセスカートリッジを搭載させた評価機を、高温高湿環境(32.5℃、85%RH)に、一晩放置した。
翌日、この高温高湿環境において、評価機の定着温度をデフォルト値から25℃下げて温調したのち、同じ高温高湿環境(32.5℃、85%RH)に3日間放置した、FOX
RIVER BOND紙[90g/m](以下、放置紙ともいう)に、4ドットラインを、20ドットスペースで並べたヨコ線画像を出力した。同時に、上記環境に放置していない開封直後のFOX RIVER BOND紙[90g/m](以下、開直紙ともいう)にも同様に出力した。発生した定着尾引きレベルを目視で評価した。
定着尾引きの判断基準を以下に示す。本発明においては、ランクC以上であることが好ましい。
A :放置紙でも、一目で尾引き部分を確認できない。
B :放置紙でやや尾引きが発生しているが、開直紙では、一目で尾引き部分を確認できない。
C :開直紙でも、1ラインに2〜3箇所、尾引きが発生している。
D :開直紙でも、尾引きが多く(1ラインに3箇所以上)発生している。
[評価3:放置後のスタートアップ時の画像濃度低下]
トナーを一定期間放置した後のスタートアップ時に生じる画像濃度の低下は、トナーの帯電量の立ち上がりがおそくなりやすい高温高湿環境で悪化しやすいことから、評価は高温高湿環境(32.5℃、80%RH)で行った。
評価1で使用した改造プロセスカートリッジにトナー1を1000g充てんしたのち、この改造プロセスカートリッジを搭載させた評価機を、高温高湿環境(32.5℃、80%RH)に、一晩放置した。
これを画出し試験機として、印字率1.5%となる横線パターンを1枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、A4普通紙(75g/m)を使用して2万枚のプリント耐久試験を行った。2万枚終了時のベタ画像の画像濃度を測定したのち、そのまま同環境に7日間放置後、再度ベタ画像を出力し、画像濃度を測定した。
画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
上記画像濃度の低下の判断基準を以下に示す。本発明においては、ランクC以上である
ことが好ましい。
A :7日放置前の濃度に対して、0.10未満の濃度低下。
B :7日放置前の濃度に対して、0.15未満の濃度低下。
C :7日放置前の濃度に対して、0.25未満の濃度低下。
D :7日放置前の濃度に対して、0.25以上の濃度低下。
[評価4:朝一かぶり]
トナーが一晩放置された後の朝一番のスタートアップ時に発生する朝一かぶりは、トナーが過剰に帯電しやすい低温低湿環境で悪化しやすいことから、評価は低温低湿環境(15℃、10%RH)で行った。
評価1で使用した改造プロセスカートリッジにトナー1を1000g充てんしたのち、この改造プロセスカートリッジを搭載させた評価機を、低温低湿環境(15℃、10%RH)に、一晩放置した。
これを画出し試験機として、印字率1.5%となる横線パターンを1枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、A4普通紙(75g/m)を使用して5000枚のプリント耐久試験を行った。
5000枚終了後、そのまま低温低湿環境(15℃、10%RH)に一晩放置後、翌朝、ベタ白画像を出力し、朝一かぶりを評価した。かぶりは、リフレクトメーター(東京電色(株)製)により測定した転写紙の白色度と、ベタ白をプリント後の転写紙の白色度との比較からかぶり(%)を算出した。
かぶりの判断基準を以下に示す。本発明においては、ランクC以上であることが好ましい。
A :紙面内のかぶり最大値が1.0%未満。
B :紙面内のかぶり最大値が1.5%未満。
C :紙面内のかぶり最大値が2.5%未満。
D :紙面内のかぶり最大値が2.5%以上。
<実施例2乃至14>
実施例1において、トナー1のかわりに、トナー2乃至14を用いて、同様の評価を行なった。評価結果を表4に示す。
<比較例1乃至7>
実施例1において、トナー1のかわりに、比較トナー1乃至7を用いて、同様の評価を行なった。評価結果を表4に示す。
Figure 2010032581
(*1) 磁性酸化鉄に含有される、全Ti成分量(Ti元素換算値
(*2) 磁性酸化鉄に含有される、全Al成分量(Al元素換算値:[質量%])
(*3) 磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、磁性酸化鉄に含まれるAl成分を当該アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量の、当該磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量に対する割合(%)
(*4) Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれるAl成分量と、磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、磁性酸化鉄に含まれるAl成分を当該アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量との合計の、当該磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量に対する割合(%)
(*5) Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量(Ti元素換算値:[質量%])
(*6) Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Al成分量(Al元素換算値:[質量%])
(*7) Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Al成分量のAl元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Al成分量のAl元素換算値)
(*8) 磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、磁性酸化鉄に含まれるSi成分を当該アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるSi成分量の、当該磁性酸化鉄に含まれる全Si成分量に対する割合(%)
(*9) Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Si成分量(Si元素換算値:[質量%])
(*10)Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Si成分量のSi元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Si成分量のSi元素換算値)
Figure 2010032581
表中、各右列の数字は、結着樹脂100質量部に対する質量部数を示す。
Figure 2010032581
Figure 2010032581

Claims (6)

  1. 結着樹脂、ワックス、及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子とを有するトナーであって、
    前記磁性酸化鉄は、
    (1)Ti成分、Al成分、Si成分及びFe成分を少なくとも含有し、
    (2)前記Ti成分の含有量が、Ti元素換算で、前記磁性酸化鉄全体に対して、0.30質量%以上5.00質量%以下であり、
    (3)前記Al成分の含有量が、Al元素換算で、前記磁性酸化鉄全体に対して、0.10質量%以上3.00質量%以下であり、
    (4)前記磁性酸化鉄をアルカリ水溶液に投入し、前記磁性酸化鉄に含まれるAl成分を前記アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるAl成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の50.0%以上95.0%以下であり、
    (5)前記磁性酸化鉄に含まれるAl成分を前記アルカリ水溶液で溶出した後の磁性酸化鉄をさらに酸水溶液で溶解し、溶解液を得、前記磁性酸化鉄が全て溶解された溶解液中に含まれるFe元素量を総Fe元素量としたときに、前記総Fe元素量の10質量%が溶解液に存在する状態まで前記磁性酸化鉄を溶解した溶解液(以下、Fe元素溶解率10質量%溶解液という)中に含まれるAl成分量と、前記(4)で溶出されるAl成分量の合計が、前記磁性酸化鉄に含まれる全Al成分量の95.0%以上100.0%以下であり、
    (6)前記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Al成分量のAl元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Al成分量のAl元素換算値)が、2.0以上30.0以下であり、
    前記トナーは、温度140℃、周波数10kHzで測定されたトナーの複素誘電率から算出される誘電正接が、1.0×10−3乃至5.0×10−1であることを特徴とするトナー。
  2. 前記磁性酸化鉄を前記アルカリ水溶液に投入し、前記磁性酸化鉄に含まれるSi成分を前記アルカリ水溶液で溶出したときに溶出されるSi成分量が、磁性酸化鉄に含まれる全Si成分量の5.0%以上30.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記Fe元素溶解率10質量%溶解液中に含まれる、Ti成分量のTi元素換算値の、Si成分量のSi元素換算値に対する比(Ti成分量のTi元素換算値/Si成分量のSi元素換算値)が、1.0以上5.0以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記トナー粒子が、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体Aを含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子が、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体A及び芳香族オキシカルボン酸又はその誘導体の金属化合物Bを含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子が、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体A、芳香族オキシカルボン酸又はその誘導体の金属化合物B、及びアゾ系鉄化合物Cを含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトナー。
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