JP2009265158A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿、低温低湿のような厳しい環境下での長期の使用においても高い現像性を維持し、且つ耐静電オフセット性と尾引きの少ないトナーを提供することにある。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、重合体A及び磁性酸化鉄を有する磁性トナーであって、
該磁性酸化鉄はSi、Ti、Al、Mg及びZnから選ばれる少なくとも一つの元素αを含有し、Fe溶解率20%の時の、該磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率が50%以上100%以下であり、該重合体Aは、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体であり、該磁性トナーは熱風により表面改質工程を経て製造されたこと特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真、静電荷像を顕像化するための画像形成方法に使用されるトナー及びトナージェットに使用されるトナーに関する。
近年、電子写真法を用いた機器の普及は目覚しく、インターネットなどのネットワーク通信環境が整備されてきている。それに伴い、レーザプリンターで画像を出力する機会は従来からのオフィス分野以外のホームユースなどのパーソナル分野において急速に増加している。それらの現像方式としては、キャリア粒子を要する二成分現像方式と比較して現像装置自体を小型化、軽量化でき、メンテナンスも容易な磁性を有するトナーより構成される一成分現像方式が好ましく用いられる。磁性一成分現像方式に用いるトナー中には、微粉末状の磁性体が相当量混合分散されており、この存在状態がトナーの流動性及び摩擦帯電性に大きく影響する。また磁性トナーにおいては、磁性材料をそのまま着色剤として用いる場合が多く、トナーの着色力を向上させるためにも磁性体の小粒径化、及び均一分散性が重要になる。近年の高画質画像や高精細画像の要求に対して、磁性トナーの小粒径化や表面改質などの工夫がなされている。表面改質としては、機械的衝撃力により、トナーを球形化する方法(特許文献1参照)が挙げられる。また、熱を利用する製造方法、表面改質として、トナー粒子を圧縮空気により熱風中に分散噴霧させ、表面改質と球形化を達成する方法(特許文献2参照)がある。さらには、トナー粒子にシリカ等の添加剤を加えた後、熱処理を施し、固着させる事で遊離した添加剤を除く方法(特許文献3参照)等が挙げられる。
しかしながら、機械的衝撃力による方法においては、球形化の際、その衝撃により、トナーが過粉砕されてしまい、微粉が多くなってしまうという問題点などから表面平滑性を上げるのには限界があった。
一方、熱を利用した方法では、非常に高い表面平滑性が得られるものの、トナーが熱の影響を受けやすい。熱の影響を受けるようなトナーは原材料からの工夫が必要であると考えられる。特に磁性トナーの場合には熱処理工程中に磁性体粒子の酸化が進行し、トナーの黒色度の低下など性能面への影響が生じる可能性がある。また、トナー粒子表面に露出している磁性酸化鉄とトナー粒子内部に存在する磁性酸化鉄との間で、熱的な履歴が異なり、磁性トナーの磁気特性などが変化することなどが考えられる。従来から、磁性トナーに含有される磁性酸化鉄の問題を改善する為に数々の提案が出されている。特許文献4にはZnを含む複合酸化鉄被覆を有する磁性酸化鉄、特許文献5にはSiO2を有する被覆層を有する磁性酸化鉄等が挙げられている。上記のような磁性体粒子は磁性トナー粒子への分散性の改良や経時劣化による黒色度の低下などに対して一定の効果は期待できる。しかし、熱風による表面改質処理を行う場合の磁性トナー材料の設計という点においては検討はなされておらず、熱風による表面改質処理を磁性トナー粒子に行う為には改良の必要があった。
特開平9−85741号公報 特開平11−295929号公報 特開平7−271090号公報 特開平6−3103318号公報 特開2006−133735号公報
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決したトナーを提供することにある。
本発明の目的は、どのような環境においても優れた現像性を有するトナーを提供することにある。
本発明の目的は、耐静電オフセット性に優れたトナーを提供することにある。
本発明の目的は、転写性に優れ中抜けのないトナーを提供することにある。
本発明は、少なくとも結着樹脂、重合体A及び磁性酸化鉄を有する磁性トナーであって、
該磁性酸化鉄は、Si、Ti、Al、Mg及びZnから選ばれる少なくとも一つの元素αを含有し、Fe溶解率20%の時の、該磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率が50%以上100%以下であり、該重合体Aは、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体であり、該磁性トナーは少なくとも熱風により表面改質工程を経て製造されたこと特徴とする磁性トナーに関する。
本発明によれば、高温高湿、低温低湿のような厳しい環境下での長期の使用においても高い現像性を維持し、且つ耐静電オフセット性と尾引きの少ないトナーを得ることができる。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、少なくとも結着樹脂及び磁性酸化鉄を有する磁性トナーにおいて、磁性酸化鉄の元素分布をコントロールし、かつ該磁性トナーを熱風により表面改質工程を経たトナーは高い現像性を有し、且つ耐静電オフセット性と転写性に優れることを見出した。尚、本発明において表面改質とは、磁性トナー粒子の表面を平滑化することを意味する。
本発明の磁性酸化鉄はSi、Ti、Al、Mg及びZnから選ばれる少なくともひとつの元素αを含有することを特徴とする。好ましい元素としてはSi、Ti、Alである。さらに好ましい元素としてはAl、Tiである。また、磁性酸化鉄は元素αを含め、Fe、O以外の異種元素を2種類以上含有してもよい。元素αを上記の溶解率で含有する磁性酸化鉄は結着樹脂に対して馴染みが良く、トナー材料との分散性に優れるため、トナーの熱風による表面改質工程においても遊離の磁性酸化鉄を生じにくい。また、磁性酸化鉄の表面をFeO以外の元素で覆うことで耐熱性に優れ熱風による処理を行っても磁性酸化鉄の磁気特性などの変化が少なく、現像性に優れたトナーを得ることができる。αのような異種元素を含有することで磁性酸化鉄の耐熱性が向上することは一般的に知られている。
さらに本発明の磁性酸化鉄は上記の元素αを含有し、且つ、該磁性酸化鉄を1mol/Lの塩酸溶液に溶解させたとき、Fe溶解率20%の時、該磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率が50%以上100%以下であることを特徴とする。1mol/Lの塩酸溶液に溶解させたときFe溶解率20%の時、該磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率がFe溶解率よりも高いことは、磁性酸化鉄に含まれる元素αが磁性酸化鉄の内部よりも外側に偏在し、表面リッチであることを示す。元素αが磁性酸化鉄の表層により多く存在することで、磁性酸化鉄の耐熱性が向上し、熱風による表面改質工程を経ても黒色度などが変化しない磁性トナーを得られると考えられる。更に、Fe溶解率20%の時、該磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率は、60%以上85%以下であることが好ましい。本発明の磁性酸化鉄において、表面リッチに元素αが存在することが重要であるが、内部にも元素αを含有することで表面の元素αの固着力が向上し、緻密な被覆層として形成される為、より耐熱性に優れた磁性酸化鉄を得られると考えられる。
さらに、好ましい元素αの存在比は、Fe溶解率が60%のときの該磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率が80%以上100%以下であることが好ましい。より好ましくはFe溶解率が80%のときの、該磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率が95%以上100%以下である。すなわち、磁性酸化鉄の中心から上記のような特殊な分布で元素αを含有することがより好ましい形態である。
磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率が50%未満の場合には、磁性酸化鉄表層よりも内部に元素αが存在するため、磁気特性が不安定かつ不均一になり、トナーの現像性が悪化することがある。
また、磁性酸化鉄中の元素αの分布を示す、塩酸によって溶解する元素αの溶解率(磁性酸化鉄に含有される元素α全量を基準とする)は次のような方法によって求めることができる。
例えば、5リットルのビーカーに約3リットルの脱イオン水を入れ45乃至50℃になるようにウォーターバスで加温する。磁性酸化鉄25gを400mlの脱イオン水でスラリーにし、スラリーをさらに300mlの脱イオン水で水洗いしながら、加温してある5リットルビーカー中に加える。次いで温度を約50℃、撹拌スピードを200rpmに保ちながら、磁性酸化鉄濃度を5g/L、かつ塩酸水溶液の濃度が1mol/Lとなるように、特級塩酸を加え(磁性酸化鉄全量を溶解するときには混酸も加えても良く、濃度3mol/L程度にして使用してもよい)溶解を開始する。30分間放置し、溶解液を0.1μmメンブランフィルターでろ過し、ろ液を20ml採取する。ろ液をプラズマ発光分光(ICP)によって、酸水溶液に溶解する元素α成分の溶解濃度の定量を行う。全て溶解して透明になるまで、10分間隔で溶解液を0.1μmメンブランフィルターでろ過し、ろ液を約20mL採取する。ろ液をプラズマ発光分光(ICP)によって、各溶解液中におけるFeおよび元素αの溶解濃度の定量を行う。
次式によって、塩酸水溶液で洗浄したときの元素α溶解率が計算される。
磁性酸化鉄が含有する全元素α量を基準としたときの元素α溶解率(表面元素α量)(質量%)=(a/b)×100
a:酸洗浄において採取したサンプル中の元素αの濃度[mg/L]
b:磁性酸化鉄を塩酸水溶液に完全に溶解したときの元素αの濃度[mg/L]
また次式によって、Fe溶解率が計算される。
Fe溶解率(%)=(c/d)×100
c:採取したサンプル中のFe濃度[mg/L]
d:完全に溶解したときのFe濃度[mg/L]
さらに次式によって、元素α溶解率が計算される。
磁性酸化鉄が含有する全元素α量を基準としたときの元素α溶解率[%]
=(e/f)×100
e:各Fe溶解率における採取したサンプル中の元素α含有率[質量%]
f:完全に溶解したときの元素αの含有率[質量%]
さらに本発明の磁性酸化鉄は、元素αを磁性酸化鉄基準で0.1質量%以上8.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下有している磁性酸化鉄であって、且つ0.002mol/Lの塩酸水溶液に磁性酸化鉄濃度10g/L、40℃で5分間浸漬させたときのFeの溶出量が1ppm以上100ppm以下、好ましくは1ppm以上80ppm以下であることが好ましい。この磁性酸化鉄の元素αの含有量が磁性酸化鉄基準で0.1質量%未満の場合、磁性酸化鉄内部に元素αが含有されるものの、磁性酸化鉄の粒径を大きくするときに、元素αが磁性酸化鉄表面に均一かつ十分被覆するに至らない。このため、このような磁性酸化鉄の含有する磁性トナーを熱風による表面改質処理を行った際に、磁性トナー表面に露出している磁性酸化鉄が酸化し、色味や帯電特性が劣る場合がある。一方、元素αの含有量が8.0質量%より多くなると、磁性トナーの磁気特性が不安定かつ不均一になり、トナーの帯電特性が悪化するため、濃度の低下やカブリの増加などの発生がみられる場合がある。また、トナー粒子の帯電が不均一になるためにトナーが静電的に凝集し易くなり、熱風による表面改質工程中に合一した粒子を生成してしまうことがある。なお、磁性酸化鉄のAlおよびその他異種元素の含有量は、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業社製)を使用し、JIS K0119「蛍光X線分析通則」に従って、含有元素の定性・定量分析を行うことにより測定する。
本発明の磁性酸化鉄は、0.002mol/Lの塩酸水溶液に磁性酸化鉄濃度10g/L、40℃で5分間浸漬させたときのFeの溶出量が1ppm以上100ppm以下であることが好ましい。Feの溶出量が1ppm未満の場合には、磁性酸化鉄表面に十分な磁性酸化鉄が露出しておらず、磁性トナーの帯電量が高くなりすぎて、チャージアップなどの問題を生じ易い。一方、100ppmより多い場合には磁性酸化鉄に表面の被覆層が少ないため、表面が酸化し易く耐酸化性に劣ることを示す。
磁性酸化鉄の塩酸水溶液に対するFeの溶出量は、次のような方法によって求めることができる。
例えば、磁性酸化鉄4gをイオン交換水393.5mlに懸濁させ、超音波分散機にて15分間分散処理を行う。40℃に加温後、0.12mol/Lの塩酸水溶液を6.5ml添加する。撹拌開始後に溶液を約60ml分取する。磁気分離して上澄みを0.1μのメンブランフィルターでろ過する。ろ液をプラズマ発光分光(ICP)によって、アルカリ水溶液に溶解するFeの溶解濃度を測定し、磁性酸化鉄に対するFe溶解量を算出する。
さらに本発明の磁性酸化鉄は、空気中において160℃で1時間熱処理したときのFe(2+)の含有量の保持率が60%以上であることが好ましい。以下、熱処理前の磁性酸化鉄におけるFe(2+)の含有量に対する熱処理後の磁性酸化鉄におけるFe(2+)の含有量の比率をFe(2+)の含有量の保持率とも称する。Fe(2+)の含有量の保持率が60%以上である磁性酸化鉄は、耐熱性に優れるため、トナーの熱風による表面改質処理を行っても酸化されにくく、最終的に黒色度の高い磁性トナーを得る観点からより一層好ましい。
磁性酸化鉄におけるFe(2+)の含有量は、例えば、試料(磁性酸化鉄)を硫酸にて溶解し、過マンガン酸カリウム標準溶液を使用して酸化還元滴定することにより測定され得る。また、磁性酸化鉄におけるFe(2+)の含有量は、例えば磁性酸化鉄の種類や磁性酸化鉄の含有される非磁性材料種類および含有量、磁性酸化鉄を被覆する材料の種類および被覆量や被覆状態の制御によって調整することができる。
本発明の磁性酸化鉄の形状は球状、六面体、八面体、十二面体等いずれでもよいが、トナーに使用する際の流動性の面で球状であることが好ましい。
また、個数平均粒子径が0.08μm以上0.25μm以下、好ましくは0.14μm以上0.20μm以下であることが好ましい。磁性酸化鉄を上記範囲に制御することで結着樹脂中への分散性、及び黒色度、磁気特性等の点で好ましい。個数平均粒子径が0.08μm未満となる場合、磁性トナー中における磁性酸化鉄の再凝集等による分散不良を引き起こしたり、上記Alを含有させ、被覆層を有した磁性酸化鉄を用いても、黒色度が低下したりする場合があるため好ましくない。個数平均粒子径が0.25μmより大きくなると、黒色度の観点では有利になるが、磁性トナー中での磁性酸化鉄の分散悪化の原因となる場合があり、好ましくない。
磁性酸化鉄の個数平均粒子径は、以下の方法により測定する。磁性酸化鉄の透過電子顕微鏡写真(倍率30,000倍)を用い、写真上の粒子を無作為に100個選び、各粒子の最大長を計測し、その平均値をもって平均粒子径とする。
本発明における磁性体は、磁場795.8kA/m(10kエルステッド)下における磁気特性として、σ10kが10Am2/kg以上200Am2/kg以下、より好ましくは70Am2/kg以上90Am2/kg以下;残留磁化σrが1Am2/kg以上100Am2/kg以下、より好ましくは2Am2/kg以上20Am2/kg以下;保磁力Hcが1kA/m以上30kA/m以下、より好ましくは2kA/m以上15kA/m以下であるものが好ましく用いられる。このような磁気特性を有することで、磁性トナーが画像濃度とカブリのバランスのとれた良好な現像性を得ることができる。磁性酸化鉄の磁気特性は、「振動試料型磁力系VSM−3S−15」(東英工業社製)を用い、外部磁場795.8kA/mの下で測定することができる。
さらに本発明に用いられる磁性酸化鉄は、絶縁破壊電圧が160V/cm以上1600V/cm以下、好ましくは400V/cm以上900V/cm以下、より好ましくは600V/cm以上800V/cm以下であるものが好ましく用いられる。絶縁破壊電圧が160V/cm未満である磁性酸化鉄は、トナー表面に露出したときに、電荷のリークサイトからトナーの摩擦帯電電荷がリークしやすいと考えられる。また高温雰囲気下においては、転写工程において、転写材として通常用いられる転写紙への静電気的な転写が不良となって転写紙へのトナーの転写率が低くなると考えられる。その結果最終定着画像の濃度が低下する問題点がある。磁性トナーが不均一に帯電し、帯電量の分布にばらつきがあると、高い印字面積の画像を連続で現像するときに、後の画像を現像する際に現像スリーブ上に供給された磁性トナーが十分に帯電しておらず、結果的に後の画像の画像濃度が低下して画像上に濃淡差が生じてしまう、所謂ゴースト画像が発生してしまうことがある。さらに、帯電性に分布が生じると、磁性トナー個々の付着力にも分布が生じるため、静電潜像に対し正確に磁性トナーが画像を形成できず、飛び散りといった画像欠陥が発生してしまうことがある。一方、絶縁破壊電圧が1600V/cmより高くなると、帯電が過大になりやすく、かつ帯電をリークしにくくなるため、耐久後半でチャージアップによる濃度の低下やカブリの増加を招くことになる。
即ち、本発明においては、磁性酸化鉄の絶縁破壊電圧が160V/cm以上1600V/cm以下であることにより、磁性トナー表面での摩擦帯電電荷のリークによる帯電不均一、帯電不安定を改善し、かつ過帯電を抑制することができ、磁性トナーの帯電量を適正な値に保つことができる。その結果、環境に依らず、高い画像濃度を維持し、ゴースト、飛び散り、カブリといった現象を抑制することができる。
磁性酸化鉄の絶縁破壊電圧は、JIS C 2161に従い以下の方法により測定する。
本発明に用いられる磁性酸化鉄を2g秤量し、内径1.3cmの錠剤成型器を用い、13720kPa(140kg/cm2)の圧力を加え、面積1.33cm2、厚さ0.50〜0.60cmの加圧サンプルを作製する。加圧サンプルをステンレス電極板に設置する。その際、ステンレス電極間をフッ素樹脂製ホルダーにて外部と完全に隔離する。設置したサンプルに抵抗測定器(YOKOGAWA−HEWLETT−PACKARD製:4329A HIGH RESISTANCE METER)を用いて10V乃至1000Vの範囲で所定の電圧を印加して、加圧サンプルの抵抗値Rを測定する。印加電圧が低いところから測定を開始し、ある程度印加電圧が高くなると絶縁破壊が起こり、抵抗値Rが測定不能になる。この絶縁破壊が起こる前の最大印加電圧値を絶縁破壊電圧とする。なお、加圧サンプルは23℃,50%RHで24時間調温・調湿し、同じ環境下で測定される。
本発明に用いられる磁性酸化鉄の絶縁破壊電圧は、Al、Mn、Znなどの異種金属を磁性酸化鉄に含有させることで制御可能である。特に磁性酸化鉄粒子表面にAl、Mn、Znなどの金属酸化物、あるいは金属水和物の被覆層を形成することによって広範に渡る制御が可能である。本発明に用いられる磁性酸化鉄が、所望の磁気特性を維持しつつ、かつ通常の磁性体に対し、非常に高い絶縁破壊電圧を発現させるには、Alを含有させるのが最も好ましい。さらに、磁性酸化鉄を製造する際に、第2族金属(Mg、Ca、Sr、Ba)のうち少なくとも1種類を含有させるのが好ましい。最も好ましくはMgを含有させるのがよい。これは、Mgを用いることで、最終的なAlの被覆層がより緻密に形成されたこと、より高い絶縁破壊電圧を発現したことによる。詳細なメカニズムの解明はできていないが、発明者らはマグネタイトに対し、Mg2+が結晶格子に配位選択性を持って配位すること、MgとAlがマグネタイトと同じ結晶構造を持つMgAl24を形成することから、上述のような緻密な被覆層を形成すると考えている。
以下、本発明に用いられる磁性酸化鉄に用いられる具体的材料及びその製造方法について説明する。本発明において、製造方法は何ら限定されるものではなく、前述の磁性酸化鉄の物性が達成できればよく、公知の磁性酸化鉄の製造方法を用いても特に問題はない。なお、本発明に用いられる磁性酸化鉄は、母粒子としての磁性酸化鉄と、必要に応じて磁性酸化鉄表面に形成される元素αを含有する被覆層を有する。以下、被覆層を有する磁性酸化鉄と区別するために、被覆層を有さない(被覆層形成前の)磁性酸化鉄を「母体磁性酸化鉄」と表記する。即ち、本発明に用いられる磁性酸化鉄は、母体磁性酸化鉄と被覆層とを有するものである。
本発明における母体磁性酸化鉄としては、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄及びそれらの混合物がいずれも使用可能であるが、好ましくはFeO含有量の高いマグネタイトを主成分とするものである。本発明のマグネタイト粒子は、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液と中和混合後、得られた水酸化第一鉄コロイドを含むスラリーを酸化してマグネタイト粒子を製造するに際して、該第一鉄コロイドを含むスラリーに、Si、Ti、Al、Mg及びZnの少なくとも1種類以上を含有する可溶性無機化合物塩又はその水溶液を酸化反応中に徐々に添加することによって得られる。また、Si、Ti、Al、Mg及びZnの少なくとも1種類以上を含有する可溶性無機化合物塩又はその水溶液を添加する時期は、酸化反応中に徐々に添加することが好ましい。
本発明に用いられる第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等が挙げられる。また、本発明に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物水溶液、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸アルカリ水溶液、並びにアンモニア水等が挙げられる。
添加する元素αの少なくとも1種類以上を含有する可溶性無機化合物塩は、水溶性、酸/アルカリ溶解性の硫酸化合物、硝酸化合物、塩化物等であればよいが、好ましくは液性に合致したものを採用すればよい。
また、本発明に用いられる母体磁性酸化鉄は、Si、Ti、Al、Mg及びZnから選ばれる少なくとも一つの元素αを含有しているが、元素αは母体磁性酸化鉄の内部と表面の両方にそれぞれ少なくともひとつ存在することが好ましい。一方、本発明に使用する磁性酸化鉄は、P、S、Cr、Mn、Co、Ni、Cuを含有していてもよいが、総含有量が少ないことが好ましい。上記成分は磁性酸化鉄製造時に原料由来の不可避成分として含有される場合が多い。本発明用の磁性酸化鉄においては、黒色度及び磁気特性の維持を考慮した場合、上記成分の総含有量は低い方がより効果を発揮しやすく、1質量%以下であることが好ましい。母体磁性体酸化鉄への元素αの含有方法としては、製造過程において元素αを段階的に添加することにより、表面に優先的に存在させることが好ましい。その後、母体磁性酸化鉄の表面に被覆層を形成することが好ましい。母体磁性酸化鉄が表面に元素αを含有する場合、更にその外殻に元素αの化合物を含有する被覆層を形成する際に、母体磁性酸化鉄表面と元素αの化合物との固着力が向上し、緻密な被覆層を形成することができる。また被覆層を形成することにより、優れた耐熱性を示すことができる。
本発明で用いられる磁性酸化鉄は、一般的な磁性酸化鉄の製造方法を用いながら、所望の元素αの含有分布を有する母体磁酸化鉄を得たのち、元素αの溶解率、Fe(2+)の保持率などを上記範囲に調整すべく、上記母体磁性酸化鉄を元素αを含む化合物で被覆処理することが好ましい。
母体磁性酸化鉄を元素αとしてAlを含む化合物で被覆処理する場合には、例えば、母体磁性酸化鉄を含むスラリー状の液に、相当量のAl成分を添加し、75乃至85℃で撹拌し、pHをpH11以上に調整した後に第2類の金属元素(Mg、Ca、Sr、Ba)から選ばれる1種以上の金属塩を含む水溶液を添加し、少なくとも10分以上混合する。その後酸性水溶液を添加して、一旦pHをpH8乃至10に調整して5分以上混合し、再度酸性水溶液を添加してpHを徐々に低下させて、最終的にpH6.5乃至7.5に調整し、このスラリーを洗浄・ろ過・乾燥して、磁性酸化鉄粒子を製造する。さらに、平均粒子径、平滑度、比表面積を好ましい範囲に調整する方法として、ミックスマーラー又はらいかい機を用いて、圧密、せん断およびへらなですることが好ましい。
さらに本発明の目的を達成するために好ましい磁性トナーの構成を以下に詳述する。
本発明の磁性トナーにおいては、結着樹脂100質量部に対して、磁性酸化鉄は50乃至150質量部、好ましくは60乃至120質量部使用することが好ましい。磁性酸化鉄の含有量が50質量部未満となる場合には、画像のカブリ、飛び散りが悪化するだけでなく、着色力不足となる場合もあり、好ましくない。150質量部より多い場合には、帯電付与部材(現像スリーブ)からの磁性トナーの飛翔が十分に行えなくなり、画像濃度低下の原因となる場合もあり、好ましくない。
本発明の磁性トナーは、上記磁性酸化鉄の他、少なくとも結着樹脂を含有する。本発明に用いられる結着樹脂としては、従来結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を使用することができ、例えば、ビニル系樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。特に、結着樹脂が少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であることが好ましい。なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示す。即ち、本発明における「ポリエステルユニットを有する樹脂」とは、少なくともエステル結合を有する繰り返し単位を有する樹脂を示す。
本発明の磁性トナーに含まれる結着樹脂は酸価を有することが好ましく、より好ましくは1mgKOH/g乃至50mgKOH/gの酸価を有し、さらに好ましくは4mgKOH/g乃至40mgKOH/gの酸価を有する。
結着樹脂の酸価が1mgKOH/g未満の場合、または、50mgKOH/gを超える場合には、磁性トナーの帯電特性の環境依存性が大きくなり、カブリが悪化するなど画質の低下を生じる場合がある。
また、結着樹脂のOH価(水酸基価)は、60mgKOH/g以下であることが好ましく、45mgKOH/g以下であることがより好ましい。これは、分子鎖の末端基数が増えると磁性トナーの帯電特性の環境依存性が大きくなるので、磁性トナーの流動性、静電付着性、現像剤表面抵抗(吸着水の影響)が変動し、画質の低下を生じる場合があるためである。
結着樹脂の酸価は、下記1)乃至5)の操作により求められる。基本操作はJIS K0070に準ずる。
1)試料はあらかじめ結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、試料の結着樹脂以外の成分の含有量を求めておく。磁性トナーまたは結着樹脂の粉砕品0.5乃至2.0gを精秤する。このときの結着樹脂成分の質量をW(g)とする。
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(質量比:4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液で滴定する。この滴定は、例えば、京都電子株式会社の電位差滴定測定装置AT−400(winworkstation)とABP−410電動ビュレットとを用いて自動滴定することができる。
4)この滴定におけるKOH溶液の使用量をS(ml)とする。一方、樹脂を含まないブランクを滴定して、この滴定におけるKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
5)下記式により酸価を計算する。なお下記式中のfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
OH価は、下記1)乃至8)の操作により求められる。基本操作はJIS K0070に準ずる。
1)試料はあらかじめ結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、試料の結着樹脂以外の成分の含有量を求めておく。トナーまたは結着樹脂の粉砕品0.5乃至2.0gを200ml平底フラスコに精秤する。
2)これに5mlのアセチル化試薬(無水酢酸25gをフラスコ(100ml)にはかりとり、ピリジンを加えて全量を100mlにして十分撹拌する)を加える。なお試料が溶解しにくい場合は、少量のピリジンを追加するか、キシレン又はトルエンを加えて溶解する。
3)フラスコの口に小さなロートを置き、温度95乃至100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。フラスコの首がグリセリン浴の熱を受けて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円板をフラスコの首の付け根に被せる。
4)1時間後、フラスコをグリセリン浴から取り出し、放冷後ロートから水1mlを加えて振り動かし、無水酢酸を分解する。
5)さらに無水酢酸を完全に分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中に浸して10分間加熱し、放冷後エタノール5mlでロート及びフラスコ壁を洗う。
6)数滴のフェノールフタレイン溶液を指示薬として加え、0.5kmol/m3の水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを終点とする。
7)樹脂を入れないで上記2)乃至6)を空試験として行う。
8)下記式によりOH価を計算する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
(但し、Aは水酸基価(mgKOH/g)であり、Bは空試験において用いた0.5kmol/m3水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)であり、Cは滴定に用いた0.5kmol/m3水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)であり、fは0.5kmol/m3水酸化カリウムエタノール溶液のファクターであり、Sは試料中に含まれる結着樹脂の量(g)であり、Dは試料の酸価である。なお式中「28.05」は水酸化カリウムの式量(56.11×1/2)である)。
結着樹脂の酸価及び水酸基価は、例えば結着樹脂を構成するモノマーの種類およびそれらの配合量によって調整することができる。
本発明の磁性トナーに含まれるポリエステル樹脂は、全成分中45乃至55mol%がアルコール成分であり、55乃至45mol%が酸成分であることが好ましい。
アルコール成分の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記一般式(B)で表されるビスフェノール誘導体;下記一般式(C)で示されるジオール類;又はグリセリン、ソルビット、ソルビタン等の多価アルコール類等が含まれる。
Figure 2009265158
(上記一般式(B)中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、xおよびyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2乃至10である。)
Figure 2009265158
(上記一般式(C)中、R’は下記構造式
Figure 2009265158
のいずれかを示し、同一であっても良いし異なっていても良い。)
また、酸成分としてはカルボン酸を好ましくは例示することができ、二価のカルボン酸の例にはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が含まれる。また、三価以上のカルボン酸の例にはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が含まれる。
ポリエステル樹脂の特に好ましいアルコール成分の例には前記(B)式で示されるビスフェノール誘導体が含まれ、特に好ましい酸成分の例には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、コハク酸、n−ドデセニルコハク酸又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸類;トリメリット酸又はその無水物のトリカルボン酸類が含まれる。これらの酸成分及びアルコール成分から得られたポリエステル樹脂を結着樹脂として使用した磁性トナーは、定着性が良好で、耐オフセット性に優れているからである。
本発明の磁性トナーにおいては、以下のようなビニル系樹脂を結着樹脂に使用してもよい。
ビニル系樹脂の例には、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチレンスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸又はメタクリル酸誘導体;α、β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸等のアクリル酸及びそのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水物等のビニル系モノマーを用いた重合体が含まれる。
上記ビニル系樹脂は、前述したビニル系モノマーの単独又は二種以上の組み合わせから製造される。好ましいビニル系樹脂の例には、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体が含まれる。
また、本発明の磁性トナーに含まれる結着樹脂は、必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体又は共重合体であってもよい。
前記架橋性モノマーとしては、架橋可能な二以上の不飽和結合を有するモノマーを用いることができる。このような架橋性モノマーとしては、以下に示すような種々のモノマーが従来より知られており、本発明の磁性トナーに好適に用いることができる。
前記架橋性モノマーの例には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等のエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロバンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等の芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;商品名MANDA(日本化薬)等のポリエステル型ジアクリレート類;などが含まれる。
架橋可能な三以上の不飽和結合を有する多官能の架橋剤の例には、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシア
ヌレート、トリアリルトリメリテートなどが含まれる。
これらの架橋剤の使用量は、架橋しようとするモノマーの種類や、結着樹脂の所望の物性等によって調整されることが好ましいが、一般に、結着樹脂を構成する他のモノマー成分100質量部に対して、0.01乃至10.00質量部(さらに好ましくは0.03乃至5.00質量部)の架橋剤を用いることができる。
これらの架橋性モノマーのうち、現像剤の定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられる例には、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が含まれる。
本発明の磁性トナーの磁性トナー粒子に含まれる結着樹脂には、必要に応じて、ビニル系モノマーの単重合体または共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等の他の樹脂が混合されていてもよい。二種以上の樹脂を混合して結着樹脂として用いる場合、分子量の異なるものを適当な割合で混合するのが好ましい。
さらに本発明に用いられる結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは45乃至80℃、より好ましくは55乃至70℃であり、数平均分子量(Mn)は2,500乃至50,000、重量平均分子量(Mw)は10,000乃至1,000,000であることが好ましい。
結着樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、結着樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶かす。この溶液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定する。サンプル(結着樹脂)からの測定値であるカウント数(リテンションタイム)と、数種の単分散ポリスチレン標準試料から作成した検量線の対数値とから、数平均分子量及び重量平均分子量を求めることができる。また、結着樹脂の分子量は、重合条件、架橋剤の使用、結着樹脂の混練等によって調整することができる。
結着樹脂のガラス転移温度は45乃至80℃であることが好ましく、ガラス転移温度は結着樹脂の構成物質(重合性単量体)を選択することにより調整することができる。ここでガラス転移温度とは、出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度である。
また結着樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン社製のDSC2920を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。結着樹脂のガラス転移温度が上記範囲よりも小さいと、磁性トナーの保存安定性が不十分となることがあり、結着樹脂のガラス転移温度が上記範囲よりも大きいと、磁性トナーの定着性が不十分となることがある。
ビニル系重合体又は共重合体からなる結着樹脂を合成する方法は特に限定されず、従来より知られている種々の製法を利用することができ、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法の如き重合法が利用できる。カルボン酸モノマー又は酸無水物モノマーを用いる場合には、モノマーの性質上、塊状重合法又は溶液重合法を利用することが好ましい。
本発明の磁性トナーは、ワックスを含有してもよい。
本発明の磁性トナーに含まれるワックスの例には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水
素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが含まれる。
さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいはさらに長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
また、本発明の磁性トナーには、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体A(以下重合体A)を含有することを特徴とする。、
上記の重合体Aは、トナーの帯電性の制御及びトナー製造時の材料分散性の観点などから、本発明には重合体Aを含有することが重要である。
本発明の検討において、各種環境における耐静電オフセット性及び転写性を安定して満足する為には、磁性トナーの表面特性を制御し、かつスルホン酸を始めとするスルホニル基を含有する重合体又は共重合体を微分散させることで両立出来ることを知見した。従来から現像性向上を目的として、摩擦帯電制御の為の荷電制御樹脂の検討は行われている。しかし、本発明のような熱風による表面改質処理を行う磁性トナーの材料設計という観点での検討はなされていなかった。
本発明者らが、鋭意検討を行った結果、上記のトナー材料と製造方法を組み合わせることで本発明の磁性トナーに適した荷電制御樹脂及び磁性体の分散状態及び表面存在状態とすることができることがわかった。
本発明の効果発現のメカニズムは、確証はないが以下のように考える。磁性体、重合体Aが相互作用することで互いの分散性を促進しており、磁性体、荷電制御樹脂共に良好な微分散性を得ることができる。つまり、トナー中の全領域で帯電性に優れ、熱の影響に対しても磁性体が凝集することなく微分散性且つ均一帯電量を得ることが出来ていると推察している。その結果、各種環境における耐静電オフセット性及び転写性に優れた性能を発揮できるものと考える。
重合体Aとしては、本発明の効果を最大限に発揮する点で、特にスチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド単量体との共重合体(スルホン酸基含有共重合体)が好ましく用いられる。
重合体Aに用いられるスチレン系単量体及びアクリル系単量体としては、上述のビニル系共重合体を生成する為のビニル系モノマーの中から適宜選択される。好ましくはスチレンとアクリル酸エステル、又は、スチレンとメタクリル酸エステルとの組み合わせが挙げられる。
重合体Aに用いられるスルホン酸含有アクリルアミド系単量体としては、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸等を挙げることができる。この中で、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が帯電性の面からより好ましい。
重合体Aを合成する際に使用される重合開始剤としては、上述のビニル系共重合体を生成する際に使用される開始剤の中から適宜選択される。好ましくは過酸化物開始剤が使用される。
また、重合体Aの合成方法としては、特に制限はなく、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、いずれの方法も使用可能であるが、低級アルコールを含む有機溶剤中で共重合させる溶液重合が好ましい。
スチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合質量比は、スチレン系単量体及びアクリル系単量体:スルホン酸含有アクリルアミド系単量体=98:2〜80:20であることが好ましい。スルホン酸含有アクリルアミド系単量体の割合が2質量%よりも少ない場合には、十分な帯電特性が得られない場合があり好ましくなく、20質量%よりも多い場合には、環境安定性が不安定になる場合があり好ましくない。
重合体Aの酸価(mgKOH/g)は3.0乃至80が好ましい。より好ましくは5.0乃至50が良い。さらに好ましくは10乃至40が良い。酸価が3.0未満の場合には、本発明で言及するような十分な電荷制御作用が得られず、かつ環境特性が悪い。酸価が80を超える場合には、高温高湿下において水分の影響を受けやすく環境安定性が低下する。
重合体Aの分子量は重量平均分子量(Mw)が2000乃至200000であればよいが、好ましくは、17000乃至100000であり、より好ましくは、27000乃至50000である。重量平均分子量(Mw)が2000未満の場合には、重合体Aが結着樹脂中に相溶する、あるいは、微分散状態となり、帯電特性が改良されない場合があるばかりか、トナーの流動性、転写性が悪化する場合があり好ましくない。又、重量平均分子量が(Mw)が200000を超える場合には、重合体Aが結着樹脂と相分離し、トナー粒子から完全に遊離する場合もあり、カブリ、環境安定性が悪化する場合があり好ましくない。
重合体Aのガラス転移点(Tg)は30℃乃至120℃となれば良いが、好ましくは、50℃乃至100℃となる場合であり、更に好ましくは、70℃乃至95℃となる場合である。重合体Aのガラス転移点(Tg)が30℃未満の場合には、トナーの流動性や保存性に劣り、更に転写性も劣る場合があり好ましくない。ガラス転移点(Tg)が120℃を超える場合には、トナー印字率の多い画像の時の定着性が劣る場合があり好ましくない。
重合体Aの揮発分は0.010%乃至2.0%が好ましい。揮発分を0.010%未満とするためには、揮発分除去工程が複雑になり、揮発分が2.0%を超える場合には、高温高湿下での帯電、特に放置後の帯電に関して劣るようになる。該重合体揮発分は、高温(135℃)で1時間加熱したときに減少する質量の割合である。
重合体Aの「MELT INDEX値」(MI値:g/10min)は、0.100乃至200が好ましい。より好ましくは0.200乃至150が良い。MI値が0.100未満の場合には、重合体の結着樹脂との相溶性が低下するのでトナー中での分散性が不均一になり、トナーの帯電量分布が広がってしまう。MI値が200を超える場合には、重合体がシャープメルト過ぎ、トナー化した時に耐ブロッキング性が悪くなり、耐久性に悪影響を及ぼす。該MI値の測定方法は、JIS規格K7210のA法にのっとって行われる。その後測定値を10分値に換算する。
なお、重合体Aのトナーからの抽出は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
重合体Aの「GPCによる分子量及び分子量分布」は以下の方法で測定される。
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせが挙げられる。
試料は以下のようにして作製する。
試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
重合体Aの「ガラス転移点」はDSC測定により求められる。
DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7が利用できる。
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。測定は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
重合体Aの「酸価」は、JIS−K0070に準じて結着樹脂の酸価の測定と同様にして求めることができる。
更に、重合体Aは、そのまま使用することができるが、公知の粉砕手段により粉砕して粒径を揃えることが、他材料との相溶性・分散性向上となり好ましい。粉砕粒子径としては、好ましくは300μm以下、更に好ましくは150μm以下とすることで、他材料との分散が良好となり、画質面で特にカブリが抑制できる。
重合体Aは、結着樹脂100質量部当り0.80乃至5.0質量部含有されていることが良い。好ましくは0.90乃至4.5質量部、より好ましくは1.0乃至4.0質量部が良い。
重合体Aの含有量が0.80質量部未満の場合には、十分な帯電付与能が得られにくく、5.0質量部を超えると、他材料との相溶性が悪化したり、低湿下において帯電過剰になったりする場合があり好ましくない。
トナー中の重合体Aの含有量は、キャピラリー電気泳動法等を用いて測定することができる。
本発明のトナーには、重合体Aの他にその帯電量を更に安定化させる為に、必要に応じて荷電制御剤を併用することができる。本発明のトナーには、その帯電量を更に安定化させる為に、必要に応じて荷電制御剤を併用することができる。負帯電性のものとしては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ハイドロキシカルボン酸または芳香族ダイカルボン酸の金属錯体及びその金属塩、無水物、エステル類やビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。
トナーを正帯電性に制御するものとして下記の物質がある。例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物がある。これらを単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下の範囲で用いられる。
本発明の磁性トナーには、流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。このような流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理微粉末;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等が挙げられる。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001μm以上2μm以下の範囲内であることが好ましく、特に0.002μm以上0.2μm以下の範囲内のシリカ微粉体を使用することが好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えばAEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84、Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5、Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GMBH社)V15、N20E、T30、T40、D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社)、Fransol(Fransil社)等の商品名で市販されているものがあり、本発明ではこれらも好適に用いることができる。
さらには、本発明に用いられる流動性向上剤としては、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。前記処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30以上80以下の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
前記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメトリジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2個以上12個以下のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは一種或いは二種以上の混合物で用いられる。
前記流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動性向上剤を総量で0.01質量部以上8質量部以下、好ましくは0.1質量部以上4質量部以下使用することが良い。
本発明の磁性トナーは、前記流動性向上剤と混合して、また必要に応じてさらに他の外添剤(例えば荷電制御剤等)と混合して一成分現像剤として用いることができ、またキャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、平均粒径20μm以上300μm以下の粒子が好ましくは使用される。
また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂等の物質を付着又は被覆させたもの等が好ましく使用される。
本発明の磁性トナーを作製するには、少なくとも結着樹脂、磁性酸化鉄を含有する混合物が材料として用いられるが、必要に応じてワックス、荷電制御剤、その他の添加剤等が用いられる。これらの材料をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、ワックスや磁性体を分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
本発明の磁性トナーは、公知の製造装置を用いて製造することができ、例えば、状況に応じて以下に詳述する製造装置を用いることができるが、熱風による表面改質工程を行うことを必須とする。本発明の磁性酸化鉄は特定の元素αを含有し、磁性酸化鉄の内部よりも外側に多く有することで磁性酸化鉄の耐熱性と耐酸化性が向上している。前述のような特徴を有する磁性酸化鉄を含有した磁性トナーに熱風による表面改質工程を行うことで現像性や転写性が優れ、かつ帯電性が安定し耐静電オフセット性に優れたトナーとすることが可能となった。
ここで、静電オフセットは記録材上の帯電したトナーが静電的にフィルムに転移することで発生するものを指す。静電オフセットはトナーの帯電性が不均一な場合、逆帯電性のトナーが存在するときに起こり易いと考えられる。現像材上のトナーのみでなく、感光体上および記録材上のトナーの電荷が定着前、定着中も安定していることが重要となる。
本発明ような手法によってトナー粒子の表面を改質の効果を発揮させるためには、トナー粒子に過度の熱を加えることなく、原材料成分の変質を防ぎつつトナー粒子の表面改質を行うことが重要である。高温の熱風を吹き付けるとトナー粒子は瞬間的に溶融状態になる。溶融状態のトナー粒子には表面張力が働くために表面が平滑な状態になり、さらにその状態で瞬間的に冷却されるため、表面が平滑なトナー粒子を得ることができる。このようなある表面の平滑性を有するトナーは転写性に優れる。表面改質工程において、熱風を吹き付けるとトナー粒子は瞬間的に溶融状態になる。トナー粒子の表面に露出している磁性酸化鉄は熱的な影響を受けるが、トナー粒子内部に存在する磁性酸化鉄は結着樹脂やワックスに覆われている為に熱的な影響を直接受け難い。表面に露出している磁性酸化鉄と内部に存在する磁性酸化鉄では熱履歴が異なる為、磁性酸化鉄に必要な耐熱性と耐酸化性はより高度なものが必要になると考えられる。また、熱的な処理を行う場合には、トナー粒子中の結着樹脂およびワックスと磁性酸化鉄の分散状態をコントロールすることも重要となる。そこで本発明のように、磁性酸化鉄が表層近傍に元素αが存在するように分布がコントロールされていることで表面改質の効果を充分に発揮し得る磁性トナーとすることができる。
以下に本発明における熱風による表面改質工程について具体的な例について説明する。
トナー粒子の表面改質には例えば図1に示すような表面改質装置を用いることができる。トナー粒子1はオートフィーダー2で供給ノズル3を通じて、一定量で表面改質装置内部4に供給される。表面改質装置内部4はブロワー9で吸引されているので、供給ノズル3から導入されたトナー粒子1は機内に分散する。機内に分散にされたトナー粒子1は、熱風導入口5から導入される熱風で、瞬間的に熱が加えられて表面改質される。本発明ではヒーターにより熱風を発生させているが、トナー粒子の表面改質に十分な熱風を発生させられるものであれば装置は特に限定されない。表面改質されたトナー粒子7は、冷風導入口6から導入される冷風で瞬時に冷却される。本発明では冷風には液体窒素を用いているが、表面改質されたトナー粒子7を瞬時に冷却することができれば、手段は特に限定されない。表面改質されたトナー粒子7はブロワー9で吸引されて、サイクロン8で捕集される。本発明では磁性トナー中の磁性酸化鉄は耐熱性と耐酸化性に優れているので、熱処理を経ても磁性酸化鉄が劣化せず、遊離の磁性酸化鉄を生じることなく微分散状態を保つことができると考えられる。
本発明の磁性トナーにおいては、該表面改質工程の熱風は160℃以上450℃以下であることが好ましい。
温度が160℃未満の場合にはトナーの改質にばらつきが生じる場合があり、トナーの転写性の面で好ましくない。また、450℃を超える場合には溶融状態が進みすぎる事でトナー同士の合一が進み、トナーの粗大化や融着が生じる場合があり好ましくない。また、磁性酸化鉄が酸化され易いなどトナーの磁気特性が変化してしまう。
本発明の該磁性トナー粒子は、走査型プローブ顕微鏡で測定される平均面粗さが1.0nm以上10.0nm以下、好ましくは1.0nm以上5.0nm以下であることが好ましい。
本発明において、トナー粒子の平均面粗さは、走査型プローブ顕微鏡を用いて測定される。以下に、測定方法の例を示す。
プローブステーション:SPI3800N(セイコーインスツルメンツ(株)製)
測定ユニット:SPA400
測定モード:DFM(共振モード)形状像
カンチレバー:SI−DF40P
解像度:Xデータ数 256
Yデータ数 128
本発明においては、トナー粒子及びトナーの表面の1μm四方のエリアを測定する。測定するエリアは、走査型プローブ顕微鏡で測定されるトナー粒子及びトナー表面の、中央部の1μm四方のエリアとする。測定するトナー粒子及びトナーは、コールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)に等しいトナー粒子及びトナーをランダムに選択して、そのトナー粒子及びトナーを測定する。測定されたデータは、2次補正を行う。異なるトナー粒子及びトナーを5個以上測定し、得られたデータの平均値を算出して、そのトナー粒子の平均面粗さとする。
トナー粒子に外添剤が外添されているトナーにおいて、トナー粒子の表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて測定する場合は外添剤を取り除く必要があり、具体的な方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)トナー45mgをサンプル瓶に入れ、メタノールを10ml加える。
2)超音波洗浄機で1分間試料を分散させて外添剤を分離させる。
3)吸引ろ過(10μmメンブランフィルター)してトナー粒子と外添剤を分離する。磁性体を含むトナーの場合は、磁石をサンプル瓶の底にあててトナー粒子を固定して上澄み液だけ分離させても構わない。
4)上記2)、3)を計3回行い、得られたトナー粒子を真空乾燥機で室温で十分に乾燥させる。
外添剤を取り除いたトナー粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、外添剤がなくなっているのを確認した後、走査型プローブ顕微鏡でトナー粒子の表面観察をすることができる。外添剤が十分に取り除ききれていない場合には、外添剤が十分に取り除かれるまで上記2)、3)を繰り返し行った後に走査型プローブ顕微鏡でのトナー粒子の表面観察を行う。
上記2)、3)に代わる外添剤を取り除く他の方法としては、アルカリで外添剤を溶解させる方法が挙げられる。アルカリとしては水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
平均面粗さ(Ra)は、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さRaを、測定面に対して適用できるよう三次元に拡張したものである。基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値で次式で表される。
Figure 2009265158
F(X,Y):全測定データの示す面
0:指定面が理想的にフラットであると仮定したときの面積
0:指定面内のZデータの平均値
指定面とは、本発明においては1μm四方の測定エリアを意味する。
表面が非常に平滑でトナー粒子の平均面粗さが1.0nm以上10.0nm以下、好ましくは1.0nm以上5.0nm以下であると、トナー間での帯電分布にばらつきが少なく、飛び散りが少なくなり、かぶりも良化する。またトナー粒子の表面が平滑で、表面のあらゆる部位で均一な帯電が可能と考えられるため、帯電の立ち上がりが非常に早くなり、耐久初期から良好な現像性を持たせることが可能となる。さらにトナー粒子の表面は均一な表面帯電性を有し、非常に平滑なので、トナー1個当たりの帯電性は大きくなると予想される。そして表面が平滑なので密に詰まることが可能なので、ドラム上の静電潜像を少ないトナー量で忠実に再現できる。その結果、消費量を低減することができる。
トナー粒子の平均面粗さが1.0nm未満の場合、トナー粒子の平滑度が極めて高いので、帯電性が高く、チャージアップによる濃度低下が発生しやすい。トナー粒子の平均面粗さが10.0nmより大きい場合、表面の平滑性が低下するため、帯電分布にばらつきが生じ飛び散りやすくなる。また隠蔽力が低下するため消費量が多くなりやすい。また帯電の立ち上がりにも影響を及ぼし、耐久初期の濃度がやや低下する傾向がある。
その他のトナー製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)等が挙げられる。
混練機としては、例えばKRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。
粉砕機としては、例えばカウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等が挙げられる。
分級機としては、例えばクラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボジェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)等が挙げられる。
粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、例えばウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
本発明の磁性トナーは、好ましくは重量平均粒径を2.5μm以上10.0μm以下、好ましくは5.0μm以上8.0μm以下とした場合に、本発明の効果を得るのに適した帯電分布や隠蔽力をとりやすいと考えられる。
トナーの重量平均粒径及び粒度分布はコールターカウンター法を用いて行うが、例えばコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることが可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えばISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100ml以上150ml以下中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1ml以上5ml以下加え、更に測定試料を2mg以上20mg以下加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナー粒子の体積・個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)を算出する。チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを用いる。
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。なお、実施例中の部数は質量部である。
実施例に用いられる磁性酸化鉄(磁性体粒子)を表1に、結着樹脂を表2にそれぞれ示す。なお、磁性酸化鉄および結着樹脂の製造方法は以下の通りである。
〈磁性酸化鉄の製造例1〉
硫酸第一鉄水溶液中に、母体磁性酸化鉄中のAl元素の含有量が0.60質量%となるように硫酸アルミニウムを、また母体磁性酸化鉄中のMg元素の含有量が500ppmとなるように水酸化マグネシウムを添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。水溶液のpHをpH11以上に調整しながら空気を吹き込み、90℃で酸化反応を行い、母体磁性酸化鉄Aを生成させるスラリーを調製する。次に、Alを被覆し、磁性酸化鉄を得る工程には、上記のスラリー状で次の反応を行ってもよく、生成した母体磁性酸化鉄Aを洗浄、ろ過、乾燥工程を経て粉体として得た(個数平均粒子径0.14μm)後、再びスラリー状にして反応を行っても良い。
次に、母体磁性酸化鉄Aを含むスラリー状の液に、磁性酸化鉄を基準として0.50質量%のAl成分(硫酸アルミニウム)を添加し、80℃で撹拌し、pHをpH11以上に調整した後に、磁性酸化鉄を基準として900ppmになるようMg元素(水酸化マグネシウム)を添加し、少なくとも15分均一混合する。その後硫酸水溶液を添加して、一旦pHをpH8以上pH10以下に調整して5分混合し、再度硫酸水溶液を添加してpHを徐々に低下させて、最終的にpH7.1に調整し、このスラリーを洗浄・ろ過・乾燥して、個数平均粒子径0.16μmの磁性酸化鉄粒子1を製造する。磁性酸化鉄1の物性を表1に示す。
〈磁性酸化鉄の製造例2〉
磁性酸化鉄の製造例1において、母体磁性酸化鉄を、母体中のAl元素の含有量が1.20質量%、Mg元素の含有量が100ppmとなるよう、硫酸アルミニウム量と水酸化マグネシウム量をそれぞれ調整し、母体磁性酸化鉄Bとして生成する。このようにして生成した母体磁性酸化鉄Bを使用し、Al被覆処理の過程で使用するAl元素量を、磁性酸化鉄を基準に1.5質量%、同じくMg元素量を650ppmとし、さらに個数平均粒子径を0.17μmとなるようにした以外は同様にして、Alで被覆された磁性酸化鉄2を得た。磁性酸化鉄2の物性を表1に示す。
〈磁性酸化鉄の製造例3〉
硫酸第一鉄水溶液中に、Fe(2+)に対して、0.965当量の水酸化ナトリウム水溶液を混合して、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液を生成した。
その後、ケイ酸ソーダをFe元素に対してSi元素換算で0.3質量%となるように添加した。次いで、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液に温度90℃において空気を通気して、pH6.5の条件下で酸化反応させた。
さらに、この懸濁液に、0.1質量%のケイ酸ソーダを溶解した水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、懸濁液中に残存するFe2+に対してケイ酸ソーダをSi元素換算で1.05当量加えた。さらに温度90℃で加熱しながら、pH9.0の条件下で酸化反応して、常法により洗浄、ろ過、乾燥し、母体磁性体粒子Cを得た。
次いで、母体磁性体粒子Cを水中に分散させ、100g/lの濃度とした懸濁水溶液を70℃に保持した。水酸化ナトリウム水溶液あるいは希硫酸を加えて懸濁水溶液のpHを5.0に調整した。この懸濁水溶液を撹拌しながら、これに約1時間をかけて、TiO2として80g/lの濃度の硫酸チタン水溶液を、TiO2/Fe34として2.8質量%相当分添加した。この際に、懸濁水溶液のpHを5.0に保つように水酸化ナトリウム水溶液を同時に添加した。ついで水酸化ナトリウム水溶液を添加して、懸濁水溶液のpHを中性とした。これを、常法により洗浄、ろ過、乾燥、解砕処理して、TiO2で被覆処理された磁性体粒子3を得た。磁性体粒子3の平均粒径は0.15μmであった。磁性体粒子3の物性を表1に示す。
〈磁性酸化鉄の製造例4〉
硫酸第一鉄溶液中に、Fe(2+)に対して0.96当量の水酸化ナトリウム水溶液を混合した後、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液の生成を行った。その後、ケイ酸ソーダをFe元素に対してSi元素換算で、1.0質量%となるように添加した。次いで、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液に温度90℃において空気を通気してpH6乃至7の条件下で酸化反応を行うことにより、Si元素を含有する母体磁性体粒子を生成した。
更に、この懸濁液に(Fe元素に対してSi元素換算で)0.2質量%のケイ酸ソーダを溶解した水酸化ナトリウム水溶液を、残存Fe(2+)に対して1.05当量添加し、更に温度90℃で加熱しながらpH8以上pH10.5以下の条件下で酸化反応させてSi元素を含有した磁性体粒子を生成させた。生成した磁性体粒子を常法により洗浄、ろ過、乾燥し、母体磁性体粒子Dを得た。母体磁性体粒子DのSi元素の含有量は母体磁性体粒子D中のFe元素に対して2.0質量%であった。
次いで、母体磁性体粒子Dを水中に分散させて、100g/lの濃度の懸濁水溶液を得た。この懸濁水溶液を80℃以上に保持し、水酸化ナトリウム水溶液を加えて懸濁水溶液のpHを9.0以上に調整した。この懸濁水溶液を撹拌しながら、これにケイ酸ナトリウム水溶液をSiO2/Fe34として6.0質量%相当分添加した。ついで希硫酸を添加して、懸濁水溶液のpHを徐々に下げ、約4時間かけて最終的に懸濁水溶液のpHを中性とした。これを、常法により洗浄、ろ過、乾燥、解砕処理して、高密度シリカ被覆処理の磁性体粒子4を得た。磁性体粒子4は球状で、平均粒子径は0.18μmであった。磁性体粒子4の物性を表1に示す。
〈磁性酸化鉄の製造例5〉
磁性酸化鉄の製造例4において、母体磁性酸化鉄を、母体中のSi元素の含有量が0.60質量%となるように調整し、母体磁性酸化鉄Eとして生成する。母体磁性酸化鉄Eを使用し、磁性酸化鉄を基準に1.20質量%、さらに個数平均粒子径を0.13μmとなるようにした以外は同様にして、Siで被覆された磁性酸化鉄5を得た。磁性酸化鉄5の物性を表1に示す。
〈磁性酸化鉄の製造例6〉
硫酸第一鉄溶液中に、Fe(2+)に対して0.96当量の水酸化ナトリウム水溶液を混合した後、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液の生成を行った。次いで、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液にZn(2+)0.5mol/lとなるように硫酸亜鉛を添加した後、温度90℃において空気を通気してpH5以上7以下に調整した条件下で酸化反応を行うことにより、母体磁性体粒子Fを生成した。
次いで、母体磁性体粒子Fの懸濁水溶液に、pH1.0に調整した硫酸チタニル水溶液と硫酸第一鉄水溶液の混合水溶液(Ti(+4)3.0mol/l、Fe(2+)9.0mol/l)を混合した。この懸濁水溶液をpH8以上9以下、温度90℃に保持しながら空気を吹き込み、酸化反応を行った。これを、常法により洗浄、ろ過、乾燥、解砕処理して、TiとFeの複合酸化鉄で被覆処理した磁性体粒子6を得た。磁性体粒子6の物性を表1に示す。
〈比較用磁性酸化鉄の製造例7〉
磁性酸化鉄の製造例1において、Al元素もMg元素も添加せず、母体磁性酸化鉄を生成する方法で磁性酸化鉄7を得た。磁性体粒子7の物性を表1に示す。
〈比較用磁性酸化鉄の製造例8〉
磁性酸化鉄の製造例4の母体磁性酸化鉄Dの製造において、硫酸第一鉄溶液中に添加する水酸化ナトリウム濃度を調整して、得られる母体自体粒子を0.10μmとし、1回目に添加したケイ酸ソーダの濃度を4.0質量%、2回目に添加したケイ酸ソーダの濃度を1.0質量%として、得られる母体磁性酸化鉄のSi元素の含有量を磁性体粒子中のFe元素に対して4.5%とした。次いで、母体磁性酸化鉄のSiO2処理の被覆処理を同様に行い、シリカ被覆処理の磁性体粒子8を得た。磁性体粒子8のSi被覆量は磁性体粒子の質量基準で0.4質量%であった。磁性体粒子8の物性を表1に示す。
〈比較用磁性酸化鉄の製造例9〉
硫酸第一鉄溶液中に、Fe(2+)に対して0.96当量の水酸化ナトリウム水溶液を混合した後、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液の生成を行った。さらにこの懸濁液に所定量の硫酸亜鉛を溶解した水酸化ナトリウム水溶液をFe(2+)に対して1.05当量添加して、温度90℃で加熱しながら酸化反応を行い、亜鉛を含有した磁性酸化鉄を生成させた。これを、常法により洗浄、ろ過、乾燥、解砕処理して磁性体粒子9を得た。磁性体粒子9の物性を表1に示す。
Figure 2009265158
〈重合体Aの製造例〉
・メタノール 300質量部
・トルエン 100質量部
・スチレン 470質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 78質量部
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 42質量部
・ラウロイルパーオキサイド 6質量部
上記原料をフラスコに仕込み、撹拌装置,温度測定装置,窒素導入装置を装着して、窒素雰囲気下70℃で溶液重合させ、10時間保持して重合反応を終了させた。得られた重合物を減圧乾燥・粗粉砕して、重量平均分子量(Mw)31500,ガラス転移温度(Tg)71.8℃、酸価15mgKOH/g、平均粒子径410μmの重合体Aを得た。
〈結着樹脂の製造例1〉
結着樹脂1(a)
・テレフタル酸 28質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 71質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、結着樹脂1(a)(Tg58℃、ピーク分子量Mp=5700)を得た。
結着樹脂1(b)
・テレフタル酸 20質量部
・イソフタル酸 3質量部
・無水トリメリット酸 7質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 70質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、結着樹脂1(b)(Tg57℃、ピーク分子量Mp=7800)を得た。
結着樹脂1(a)、結着樹脂1(b)をヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)で予備混合し、溶融混練機 PCM30(池貝鉄工所社製)にて回転数200rpm、混練樹脂温度100℃の条件で溶融ブレンドを行い結着樹脂1を得た。得られた結着樹脂の酸価は30mgKOH/gであり、水酸基価は32mgKOH/gであり、Tgは58℃であった。
〈結着樹脂の製造例2〉
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物100質量部、イソフタル酸32質量部、テレフタル酸12質量部、無水トリメリット酸1質量部及びジブチルチンオキサイド0.5質量部を入れ、220℃でこれらを縮合重合し、ポリエステルの結着樹脂2を得た。この樹脂の酸価は2.0mgKOH/gであり、水酸基価は54mgKOH/gであり、Mwは6万であり、Tgは52℃であった。
〈結着樹脂の製造例3〉
4つ口フラスコ内にキシレン300質量部を投入し、昇温して還流させ、スチレン80質量部、アクリル酸−n−ブチル20質量部、及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2質量部の混合液を5時間かけて滴下して、Mwが1.5万の低分子量重合体(L−1)溶液を得た。
一方、4つ口フラスコ内に脱気水180質量部とポリビニルアルコールの2質量%水溶液20質量部を投入した後、スチレン75質量部、アクリル酸−n−ブチル25質量部、ジビニルベンゼン0.005質量部、及び2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(半減期10時間温度;92℃)0.1質量部の混
合液を加え、撹拌し懸濁液とした。フラスコ内を十分に窒素で置換した後、85℃まで昇温して重合し、24時間保持した後、ベンゾイルパーオキサイド(半減期10時間温度;72℃)0.1質量部を追加添加し、さらに、12時間保持して高分子量重合体(H−1)の重合を完了した。
上記低分子量重合体(L−1)の均一溶液300質量部に上記高分子量重合体(H−1)25質量部を投入し、還流下で十分に混合した後、有機溶剤を留去して、スチレン系の結着樹脂3を得た。この結着樹脂の酸価は、0mgKOH/gであり、水酸基価は0mgKOH/gであり、Tgは57℃であり、Mwは30万であった。
Figure 2009265158
(磁性トナーの製造例1)
・結着樹脂1: 100質量部
・ワックス: 3質量部
(低分子量ポリエチレン、DSC最大ピーク温度:102℃、Mn:850)
・磁性体粒子1: 95質量部
・重合体A: 2質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて、表3の条件表に基づき、入口と出口のエアー温度を調整して機械式粉砕させて微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。そこで得られた原料トナー粒子のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)は6.0μmであった。
得られたトナー粒子を図1に示す表面改質装置により表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度は2kg/hr、熱風の吐出温度は300℃で表面改質を行い、重量平均粒径(D4)6.1μmのトナー粒子1を得た。トナー粒子1の走査型プローブ顕微鏡で測定される平均面粗さRaを表3に示す。
このトナー粒子100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.35質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合して負帯電性トナー1を調製した。
[トナー2乃至8の調製]
用いる結着樹脂、磁性酸化鉄を表3のようにして、更に表面改質時の条件を表3に示すように変更した以外はトナー1と同様にしてトナー2乃至8、10、11を得た。トナー粒子トナー2乃至8、10、11の走査型プローブ顕微鏡で測定される平均面粗さRaを表3に示す。
[トナー9の調製]
用いる結着樹脂、磁性酸化鉄を表3のようにし、重合体Aの代わりにモノアゾ鉄錯体を用い、更に表面改質装置による表面改質を行わなかった以外はトナー1と同様にしてトナー9を得た。トナー粒子9の走査型プローブ顕微鏡で測定される平均面粗さRaを表3に示す。
[トナー10及び11の調製]
用いる結着樹脂、磁性酸化鉄を表3のようにし、重合体Aの代わりにモノアゾ鉄錯体を用いて、更に表面改質時の条件を表3に示すように変更した以外はトナー1と同様にしてトナー10、11を得た。トナー粒子10、11の走査型プローブ顕微鏡で測定される平均面粗さRaを表3に示す。
Figure 2009265158
<実施例1>
磁性トナー1の評価用画出し試験機として、市販のLBPプリンター(HP LaserJet 5200、ヒューレットパッカード製)を用いて、32.5℃,80%RH(高温高湿)の環境と15℃,10%RH(低温低湿)の環境で以下に示す評価を行った。
(1)画像濃度
高温高湿(32.5℃,80%RH)、低温低湿(15℃,10%RH)環境下で、それぞれ通常の複写機用普通紙(75g/m2)に10,000枚プリントアウトし、開始時及び終了時の画像濃度の評価を行った。画像をチェックする時以外は、2%印字率の格子パターンを2枚通紙後2秒間欠するモードで耐久を行った。なお、画像濃度ベタ画像を出力し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。
マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、原稿濃度が0.00の白地部分(即ち、画像形成前の複写機用普通紙)のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。評価結果を表4に示す。
(2)静電オフセット
低温低湿(15℃,10%RH)環境下で、静電オフセットは、トナーの載った紙が定着器を通過する際、トナーが定着ローラー側に静電気的に付着することにより発生する現象である。従って、低湿環境の如き過剰帯電を促す環境下で、且つ連続通紙後のような定着ローラーが帯電する状況下での評価が、静電オフセットに対して最も厳しいものとなる。また、通紙する用紙も表面がコートされたものであると、再生紙の如き通常紙に比べてトナー、定着フィルム共に帯電しやすくなるため静電オフセットは生じやすくなる。これらのことを考慮して本発明の磁性トナーを評価した。
コート紙評価
再生紙評価後の現像器を用いて、用紙をコート紙(イメージコートグロス100、キヤノン株式会社製)に換えて再びベタ白画像を1000枚通紙した。その後、画像の前半半分が孤立ドットで形成される印字率33%の均一ハーフトーン画像、後半半分が白地の静電オフセット試験用チャートを用いて連続100枚の画出しを行い、目視にて耐静電オフセット性の評価を行った。耐静電オフセット性の評価基準は以下のように定めた。
A:全くみられない。
B:白地部にごく一部にかすかに見られる。
C:白地部に広範囲に現れる。
D:白地部に著しく現れる。
(3)クリーニング性
上記(1)の低温低湿(15℃,10%RH)環境下での耐久試験中のプリント面を定期的に観察し、クリーニング不良としてプリント面に現れる、スジ状或いはカスミ状の画像欠陥をもとに評価し、クリーニング性を以下に示す評価ランクに分類した。
A:クリーニング不良無し
B:クリーニング不良あるも軽微
C:クリーニング不良あり
(4)転写効率
転写効率は、低温低湿(15℃,10%RH)環境下でベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
Figure 2009265158
上記の計算結果から得られた転写効率を以下の基準で判断した。
A:転写効率が96%以上。
B:転写効率が92%以上、96%未満。
C:転写効率が89%以上、92%未満。
D:転写効率が89%未満。
<実施例2乃至8、比較例1乃至3>
各々、磁性トナー2乃至11を用いる他は実施例1と同様に評価を行い、表4に結果を示した。
Figure 2009265158
本発明に使用される表面改質装置の概略図を示す。
符号の説明
1 トナー粒子
2 オートフィーダー
3 供給ノズル
4 表面改質装置内部
5 熱風導入口
6 冷風導入口
7 表面改質されたトナー粒子
8 サイクロン
9 ブロワー

Claims (7)

  1. 少なくとも結着樹脂、重合体A及び磁性酸化鉄を有する磁性トナーであって、
    該磁性酸化鉄はSi、Ti、Al、Mg及びZnから選ばれる少なくとも一つの元素αを含有し、Fe溶解率20%の時の、該磁性酸化鉄が有する全元素に対する元素αの溶解率が50%以上100%以下であり、該重合体Aは、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体であり、該磁性トナーは少なくとも熱風により表面改質工程を経て製造されたこと特徴とする磁性トナー。
  2. 該磁性酸化鉄は、Si、Ti、Al、Mg及びZnから選ばれる少なくとも一つの元素αを磁性酸化鉄基準で0.1質量%以上8.0質量%以下有している磁性酸化鉄であって、且つ0.002mol/Lの塩酸水溶液に磁性酸化鉄濃度10g/L、40℃で5分間浸漬させたときのFeの溶出量が1ppm以上100ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 該磁性酸化鉄を、空気中において160℃で1時間熱処理したときのFe(2+)の含有量の保持率が60%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
  4. 該磁性トナー粒子の走査型プローブ顕微鏡で測定される平均面粗さが1.0nm以上10.0nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
  5. 該表面改質工程の熱風は160℃以上450℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性トナー。
  6. 該結着樹脂の酸価が1mgKOH/g乃至50mgKOH/gである、請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性トナー。
  7. 該結着樹脂が少なくともポリエステルユニットを有する樹脂である、請求項1乃至6のいずれかに記載の磁性トナー。
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