JP4147147B2 - トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真,静電荷像を顕像化するための画像形成方法及びトナージェットに使用される現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁性トナーを用いたジャンピング現像(特許文献1)では、高温高湿環境下では常温常湿環境下並みの帯電量を保持することが難しく、高温高湿環境下で画像濃度を保持する設定を現像装置に対して行うと常温常湿環境及び低温低湿環境下では尾引きやカブリといった画質を低下させるという過剰現像に起因する問題を生じてしまう。
【0003】
また、より高速な現像プロセスにおける高温高湿環境下において現像性を維持するためには、帯電量をコントロールするために露出している磁性体の抵抗を調整することでトナー帯電量を適正に、また比表面積を適度に調整することでトナー表面の吸湿を抑え帯電し易く、且つリークサイトとしての役割を他の環境下においても同様に働くようにすることが重要となってくる。
【0004】
従来、磁性トナーに含有される磁性酸化鉄に関し、特許文献2及び3においては、ケイ素元素を含有する磁性酸化鉄粒子を含有する磁性トナーが提案されている。かかる磁性酸化鉄粒子は、積極的にケイ素元素を磁性酸化鉄粒子の内部に存在させているが、該磁性酸化鉄粒子を含有する磁性トナーにおいては、トナーとしての流動性や長期の使用における現像性の低下等、改良すべき点を有している。
【0005】
特許文献4乃至6では、ケイ素を含み最表面における鉄原子とケイ素の比を規定した磁性酸化鉄粒子が提案されているが、トナーの流動性、環境安定性を更に追及する必要性があった。
【0006】
一方、特にグラフィック画像の品質において「スリーブゴースト」という品質低下現象がある。スリーブゴーストとは、ベタ白画像の連続形成後、ベタ黒画像の黒部と、ベタ白画像の白地部との縞模様の画像部の後にハーフトーン画像部が形成されているような画像を形成した場合に、縞模様の画像部の白地部に隣接するハーフトーン画像部に、この白地部の残像が画像濃度薄、または画像濃度増となって出現してしまう現象である。このスリーブゴーストも改善する必要があった。
【0007】
特許文献7及び8は、Si換算でFeに対して1.7〜4.5原子%のケイ素を含み、鉄以外の金属元素として、Mn,Zn,Ni,Cu,Al,Tiから選ばれる1種又は2種以上の金属元素をFeに対して0〜10原子%含むマグネタイト粒子に関して記載している。
【0008】
これにより磁気特性、流動性が改善され、帯電性を改良することはできるが、単に上記金属を添加するだけでは、高温高湿環境における現像安定性やスリーブゴーストを改善するまでには至っておらず、さらに改良すべき点を有している。
【0009】
特許文献9及び10には、ケイ素元素を含有し磁性酸化鉄表面にMn、Zn、Ti、Zr、Si、Alから選ばれる1種以上の元素の化合物、またはこれらの混合物の被覆層を有する磁性酸化鉄粒子が開示されている。また特許文献11には、ケイ素元素を含有し磁性酸化鉄表面にAl、Ti、Mg、Si、Co、Zr、Mn、Znから選ばれる1種以上の元素の化合物、またはこれらの混合物の被覆層を有する磁性酸化鉄粒子が開示されている。特許文献12には、磁性酸化鉄粒子表面から半径方向に3.5%の厚さにおけるFeとFeOの比と磁性酸化鉄粒子表面にAl、Si、Zr、Tiから選ばれた酸化物元素を含有する磁性酸化鉄粒子が開示されている。
【0010】
これらの発明により流動性の改良が図ることはできるが、磁性酸化鉄粒子表面に限定された元素を配位させるだけでは高温高湿環境における現像安定性に更なる改良とスリーブゴーストの改善が必要である。
【0011】
特許文献13には、マグネタイト粒子の中心から表面へ連続的にケイ素成分を含有し、粒子表面にケイ素成分が露出し、かつケイ素成分と結合したZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Tiの中から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分からなる金属化合物によって粒子外殻を被覆したマグネタイト粒子が開示されているが、長期の使用における画質や現像性の低下、さらにはスリーブゴーストを十分に改善するには至っておらず、さらに改良すべき点を有している。
【0012】
特許文献14には、鉄元素溶解率20%における溶解液中のケイ素元素含有率と磁性酸化鉄中のケイ素元素含有率の比を規定した磁性酸化鉄が提案されている。
【0013】
特許文献15乃至17には、鉄元素を基準として、Mn、Zn、Ni、Cu、Co、Cr、Cd、Al、Sn及びMgからなるグループから選択される1種以上の金属元素の含有量、及びケイ素元素含有量、及び鉄元素溶解率20質量%までに存在するケイ素元素の含有比率、及び鉄元素溶解率10%までに存在するケイ素元素の含有比率を規定した磁性酸化鉄が開示されている。
【0014】
このように、各種金属を磁性酸化鉄中に含有させるとともに、磁性酸化鉄中のSiの分布を規定することで、高温高湿環境での改善効果は見られるものの、スリーブゴーストに関しては更なる改良が望まれる。
【0015】
特許文献18には、マグネタイト粒子の中心から表面へ連続的にケイ素成分とアルミニウム成分を含有し、粒子表面にそれら成分が露出し、かつケイ素成分及びアルミニウム成分と結合したZn、Mn、Cu、Ni、Co、Cr、Cd、Al、Sn、Mg、Tiの中から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分からなる金属化合物によって粒子外殻を被覆したマグネタイト粒子が開示されているが、未だ十分な帯電安定性を磁性トナーに付与するまでには至っていない。
【0016】
特許文献19及び20等に、マグネタイトの2価鉄を亜鉛、銅等の2価の金属に置き換えるなどしてトナーの飽和磁化を低下させる方法が開示されているが、磁性体やトナーの磁気特性を制御するだけではトナーの帯電安定性及びスリーブゴーストの改善を十分には達成できていない。
【0017】
特許文献21では、磁性酸化鉄粒子について鉄元素溶解率20%のときのAl、Si、Zn、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1つの元素の溶解率についてコントロールし画質改善する方法が開示されている。この方法によってある程度のスリーブゴースト改善効果は見られるが、より簡便な現像プロセスにおいては更なる改良の必要性があった。
【0018】
【特許文献1】
特開昭55−18656号公報(対応米国特許第4,395,476及び第4,473,627号明細書)
【特許文献2】
特開昭62−279352号公報(対応米国特許第4820603号明細書)
【特許文献3】
特開昭62−278131号公報(対応米国特許第4975214号明細書)
【特許文献4】
特開平7−239571号公報
【特許文献5】
特開平8−278660号公報
【特許文献6】
特開平8−297413号公報
【特許文献7】
特開平9−59024号公報
【特許文献8】
特開平9−59025号公報
【特許文献9】
特開平10−171157号公報
【特許文献10】
特開平10−171158号公報
【特許文献11】
特開平10−182163号公報
【特許文献12】
特開2001−312096号公報
【特許文献13】
特開平11−157843号公報
【特許文献14】
特開平7−128901号公報
【特許文献15】
特開平11−316474号公報
【特許文献16】
特開平11−249335号公報
【特許文献17】
特開平11−282201号公報
【特許文献18】
特開平11−189420号公報
【特許文献19】
特開平4−184354号公報
【特許文献20】
特開平4−223487号公報
【特許文献21】
特開2002−323794号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記問題点を解消した乾式トナーを提供することにある。
【0020】
即ち、本発明の目的は、トナーの帯電量の立ち上がりが速く、高温高湿環境でも画像濃度の低下が生じず、さらに環境安定性に優れたスリーブゴーストを改善した乾式トナーを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナーであって、
該磁性酸化鉄が少なくともSiを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜2.0質量%、Znを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜1.5質量%、及びTiを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜1.5質量%含有しており、該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が5%〜60%、該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が30%〜95%、及び該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が50%〜100%であり、
該磁性酸化鉄を含むトナーの重量平均径が4.0乃至12.0μmであることを特徴とするトナーに関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、トナー構成材料に関して検討を進める中、磁性酸化鉄中のSi、Zn、Ti原子の含有率及び鉄に対する、Si、Zn、Ti原子の表面から半径方向への濃度分布がトナーの現像性,環境安定性,画質と密接な関係があることを見出した。
【0023】
即ち本発明者らは、結着樹脂及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナーであって、該磁性酸化鉄が少なくともSiを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜2.0質量%、Znを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜1.5質量%、及びTiを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜1.5質量%含有しており、該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が5%〜60%、該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が30%〜95%、及び該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が50%〜100%であり、該磁性酸化鉄を含むトナーの重量平均径が4.0乃至12.0μmであることを特徴とするトナーが現像性を向上させ、スリーブゴーストが発生しない、または軽微であり、画質に対するトナーの経時変化の影響を少なくするということを見出した。
【0024】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は、少なくともSiを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜2.0質量%、より好ましくは0.1質量%〜1.5質量%含有しているものが良い。
【0025】
Siの含有量が0.1質量%未満であると、トナーが所望の帯電量を得ることが出来ず、また帯電量の立ち上がりも遅くなるため、画像濃度の低下を起こす。Siの含有量が2.0質量%より多いと、トナーの帯電量が高すぎるため、チャージアップによる濃度の低下やカブリの増加を招く。
【0026】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は、少なくともZnを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜1.5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1.0質量%含有しているものが良い。
【0027】
Znを含有する磁性酸化鉄は、粒子表面への磁性酸化鉄粒子の露出具合等のバランスに優れており、トナーの帯電量を環境によらず高いままで保持することが出来る。さらにトナーの帯電量の分布が狭くなるようにコントロールする働きをもっている。その結果、現像剤担持体上での帯電均一性を保ちやすく、スリーブゴーストが発生し難く高画質がえられやすい。
【0028】
Znの含有量が0.1質量%未満であると、磁性酸化鉄自身の電気抵抗が下がり、トナーの帯電量を高温高湿のような環境下で保持しにくくなり、結果として画像濃度の維持の困難や朝一の画像濃度の低下につながる。また、Znの含有量が0.1質量%未満であると、トナー粒子表面に磁性酸化鉄が露出しにくくなり、チャージアップによる濃度の低下やカブリの増加を招く。また、Zn量が1.5質量%より多いと、磁性酸化鉄自身の電気抵抗が上がりすぎ、カブリが増加する。また、トナーの帯電量の立ち上がりの速度が遅くなるためトナーとしての帯電量の分布がブロードになりやすく、現像剤担持体上での帯電均一性を保ち難くなり、スリーブゴーストが発生し易くなり飛び散りも悪化する。
【0029】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は、少なくともTiを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜1.5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1.0質量%含有しているものが良い。
【0030】
Tiを含有する磁性酸化鉄はトナー表面への露出と同時に磁性酸化鉄粒子のトナーからの脱落・遊離を抑える効果が高い。この特徴により、Tiを含有する磁性酸化鉄を用いたトナーは帯電の立ち上がり性能と共に、現像剤担持体への遊離磁性酸化鉄粒子の付着を防止でき耐久における現像安定性・スリーブゴーストの改善に効果がある。
【0031】
Tiの含有量が0.1質量%未満であると、磁性酸化鉄自身の電気抵抗が下がり、トナーの帯電量を保持しにくくなり、結果として画像濃度の維持の困難や朝一の画像濃度の低下につながる。また、Tiの含有量が0.1質量%未満であると、トナー粒子表面に磁性酸化鉄が露出しにくくなると同時に磁性酸化鉄粒子の比表面積も下がりトナーからの脱落・遊離が起こり易くなる。その結果チャージアップや現像剤担持体への遊離磁性酸化鉄の付着による濃度の低下やカブリの増加を招くなどTi含有の効果を得難い。
【0032】
また、Ti量が1.5質量%より多いと、磁性酸化鉄自身の電気抵抗が上がりすぎ、カブリが増加する。また、トナーの帯電量の立ち上がりの速度が遅くなり磁性酸化鉄の比表面積の増加に伴い流動性も悪化するためトナ−としての帯電量の分布がブロードになりやすく、現像剤担持体上での帯電均一性を保ち難くなり、スリーブゴーストが発生し易くなる。また磁性酸化鉄の比表面積が大きくなることでトナーが水分を吸着し易くなり画像濃度低下を招くこともある。
【0033】
磁性酸化鉄粒子がSi、Zn、Tiを上記のような量的な関係で含むことにより、結着樹脂への分散がされ易くなりスリーブゴーストなどの弊害を招き難い。
【0034】
磁性酸化鉄粒子にSi、Zn、Tiが下記のような関係で含まれることが結着樹脂への分散性良化において好ましい。
Si含有率>Zn含有率≧Ti含有率
【0035】
より好ましくは下記のような関係である。
Si含有率>Zn含有率×1.5
Zn含有率≧Ti含有率×1.2
【0036】
本発明においては磁性酸化鉄の表面から5%溶解させたとき及び10%溶解させたときのSi、Zn、Tiを同時に所望の溶解率にすることで磁性酸化鉄の帯電性と電気抵抗を適度に制御しており、トナーにおける帯電の立ち上がり性能とチャージアップを抑制することで現像における環境安定性、スリーブゴースト改善効果を有効に発揮し易くなる。
【0037】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が5%〜60%(より好ましくは8%〜40%)、該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が30%〜95%(より好ましくは40%〜90%)、及び該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が50%〜100%(より好ましくは70%〜100%)であり、該磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が20%〜70%(より好ましくは25%〜65%)、該磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が50%〜100%(より好ましくは55%〜95%)、及び該磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が70%〜100%(より好ましく75%〜100%)である物がよい。
【0038】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が5%未満であると、トナーとしての流動性が悪化し耐久による劣化により現像性を損なう。また、磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が60%より多いと、チャージアップによる画像濃度の低下が発生し易い。
【0039】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が30%未満であると、トナーの帯電量を高く保てなくなり高温高湿環境における画像濃度薄が発生する。また、磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が95%より多いと、トナーとしての電気抵抗が高くなりカブリの悪化を生じる。
【0040】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が50%未満であると、磁性酸化鉄の電気抵抗が低下が顕著となりトナーとしての帯電量を維持し難い。その結果、画像濃度薄を生じ易くなる。
【0041】
本発明におけるトナーの重量平均径は4.0乃至12.0μm、より好ましくは5.0乃至8.0μmの範囲であることが現像性の面で好ましい。粒度の調整は粉砕・分級の操作により調整が可能である。
【0042】
本発明におけるトナーの重量平均径が4.0μm未満であると現像した際にカブリを悪化するという問題が発生する。また、12.0μmを超えると帯電量が不十分となり画像濃度が低下する。
【0043】
本発明における各種物性データの測定法を以下に詳述する。
【0044】
<トナー粒度分布の測定方法>
本発明のトナーの重量平均径及び粒度分布は、コールター法を用いて測定することができ、例えばコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることが可能である。この測定法では電解液が使用されるが、この電解液には、例えば1級塩化ナトリウムを用いて調製された1%NaCl水溶液や、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0045】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。これを超音波分散器で約1〜3分間分散処理して試料を分散し、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、前記測定装置により2.00μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定し、体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均径(D4)を算出する。
【0046】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを用いる。
【0047】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が20%〜70%(より好ましくは25%〜65%)、磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が50%〜100%(より好ましくは55%〜95%)、及び該磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が70%〜100%(より好ましくは75%〜100%)であることが好ましい。
【0048】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が20%未満であると、トナーとしての帯電量を維持しにくく画像濃度が低下する。また、磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が70%より多いと、トナーのチャージアップが顕著になり画像濃度の低下と共にカブリの発生につながる。
【0049】
磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)及びTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が50%及び70%未満であると、トナーの帯電量を高く保てなくなり高温高湿環境における画像濃度薄が発生する。
【0050】
このように磁性酸化鉄を磁性酸化鉄基準で5%及び10%溶解させたときのSi及びZnの各元素の溶解率において、表面に向かってSi及びZnの各元素濃度が上昇するような所望の溶解率を有し、磁性酸化鉄を磁性酸化鉄基準で5%及び10%溶解させたときのTiの溶解率においてTi総含有量のほとんどが磁性酸化鉄表面近傍にあるような5%溶解時のTi溶解率50%以上を有する磁性酸化鉄は、トナーの帯電の立ち上がりとチャージアップの抑制効果とのバランスが良く現像における環境安定性やスリーブゴーストの改善効果を生む。
【0051】
上記のような磁性酸化鉄中の各添加元素(Si,Zn,Ti)の表面から半径方向への濃度分布の構成は磁性酸化鉄表面への各添加元素の露出具合、帯電的特性や電気抵抗的特性、磁性酸化鉄粒子の形状に与える影響を含め互いにバランスを保つ要素となっている。いずれかの添加元素が上記の濃度分布より少なくても効果を得にくく、多くてもその他元素の特性を打ち消してしまい弊害を生じる。
【0052】
上記のようなバランスにおける特性を有効にするために、各添加元素の濃度は磁性酸化鉄基準で5%溶解部分にSiを0.1乃至1.2質量%、より好ましくは0.1乃至0.8質量%、Znを0.1乃至1.4質量%、より好ましくは0.1乃至1.2質量%、Tiを0.1乃至1.5質量%、より好ましくは0.1乃至1.2質量%の割合で含有していることが好ましい。
【0053】
更には磁性酸化鉄基準で5%溶解時の各添加元素の溶解率が下記の関係であることが各添加元素の溶解率の変化の挙動の関係において好ましい。
Si溶解率<Zn溶解率<Ti溶解率
【0054】
本発明において、磁性酸化鉄は、後述する測定方法に基づく個数平均粒径が、好ましくは0.05乃至1.00μm、より好ましくは0.10乃至0.40μmであることが、磁性トナーの結着樹脂中での分散性及び帯電の均一性の点で良い。
【0055】
本発明において、磁性酸化鉄は、後述する測定方法に基づく比表面積が15.0m2/g以下、好ましくは12.0m2/g以下を満足することである。磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が15.0m2/gを超える場合、磁性酸化鉄粒子の水分吸着性が増加し、該磁性酸化鉄粒子を含有した磁性トナーの吸湿性、帯電性に影響を及ぼす。
【0056】
本発明において、磁性酸化鉄は、磁気特性としては磁場796kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg、より好ましくは70〜100Am2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、より好ましくは2〜20Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/m、より好ましくは2〜15kA/mであるものが好ましくい。このような磁気特性を有することで、磁性トナーが画像濃度とカブリのバランスの良い現像性を得ることができる。
【0057】
本発明において、磁性トナーは、磁性酸化鉄粒子を結着樹脂100質量部に対して、好ましくは20乃至200質量部、より好ましくは30乃至150質量部含有していることが良い。
【0058】
本発明において、磁性酸化鉄の表面近傍にFe、Si、Zn、Ti以外の金属元素を有していても良い。磁性酸化鉄の表面近傍にAl元素を有することで、磁性酸化鉄の製造の安定化や磁性酸化鉄の流動性、トナー中における分散性の向上の点で好ましい。
【0059】
本発明において、磁性酸化鉄粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、チタネート、アミノシラン又は有機ケイ素化合物等で処理しても良い。
【0060】
磁性酸化鉄粒子の表面処理に使用されるシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシランメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
【0061】
チタンカップリング剤としては、イソプロポキシチタン・トリイソステアレート;イソプロポキシチタン・ジメタクリレート・イソステアレート;イソプロポキシチタン・トリドデシルベンゼンスルホネート;イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスフェート;イソプロポキシチタントリN−エチルアミノエチルアミナト;チタニウムビスジオクチルピロホスフェートオキシアセート;ビスジオクチルホスフェートエチレンジオクチルホスファイト;ジn−ブトキシ・ビストリエタノールアミナトチタン等が挙げられる。
【0062】
有機ケイ素化合物としては、シリコーンオイルが挙げられる。好ましいシリコーンオイルとしては、温度25℃における粘度が30〜1,000mm2/sのものが用いられる。例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が好ましい。
【0063】
本発明における各種物性データの測定法を以下に詳述する。
【0064】
(1)磁性酸化鉄中に存在する金属元素量の定量
本発明において、磁性酸化鉄中の鉄以外の金属元素の溶解率(磁性酸化鉄を基準とする)は次のような方法によって求めることができる。例えば、5リットルのビーカーに約3リットルの脱イオン水を入れ45乃至50℃になるようにウォーターバスで加温する。約400mlの脱イオン水でスラリーとした磁性酸化鉄約25gを約300mlの脱イオン水で水洗いしながら、該脱イオン水とともに5リットルビーカー中に加える。
【0065】
次いで、温度を約50℃、撹拌スピードを約3.33s-1に保ちながら、特級塩酸または塩酸とフッ化水素酸との混酸を加え、溶解を開始する。このとき、塩酸水溶液を約3mol/リットルとする。溶解開始から、すべて溶解して透明になるまでの間に数回約20mlサンプリングし、0.1μメンブランフィルターでろ過し、ろ液を採取する。ろ液をプラズマ発光分光(ICP)によって、鉄元素及び鉄元素以外の金属元素の定量を行う。
【0066】
次式において各サンプルの鉄元素溶解率を計算する。
鉄元素溶解率(質量%)=(a/b)×100
a:サンプル中の鉄元素濃度(mg/l)
b:完全に溶解したときの鉄元素濃度(mg/l)
【0067】
鉄元素以外の金属元素の溶解率は次式によって計算される。
金属元素の溶解率(質量%)=(c/d)×100
c:採取したサンプル中の金属元素濃度(mg/l)
d:全て溶解したときの金属元素濃度(mg/l)
【0068】
これら両者の式により各磁性酸化鉄溶解率に対する他の金属元素の溶解率を算出する。
【0069】
(2)磁性酸化鉄粒子の平均粒径
本発明における磁性酸化鉄の平均粒径は磁性酸化鉄粒子の透過型電子顕微鏡写真を撮影し、4万倍に拡大したものにつき、任意に250個選定後、投影径の中のMartin径(定方向に投影面積を2等分する線分の長さ)を測定し、これを個数平均径で表した。
【0070】
(3)磁性酸化鉄の比表面積
BET法に従って、比表面積測定装置オートソープ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することができる。
【0071】
(4)磁性酸化鉄の磁気特性
「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業社製)を用いて外部磁場796kA/mの下で測定することができる。
【0072】
本発明に用いられる結着樹脂としては、従来より結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を使用することができ、例えば、ビニル系樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。中でもビニル系樹脂が現像剤に使用したときに帯電性が高く現像性が良好であり、さらには定着性も優れていることから好ましい。
【0073】
ビニル系樹脂としては、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチレンスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸またはメタクリル酸誘導体;α,β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸等のアクリル酸及びそのα−またはβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水物等のビニル系モノマーを用いた重合体が挙げられる。上記ビニル系樹脂では、前述したようなビニル系モノマーが単独または二つ以上で用いられる。これらの中でもスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
【0074】
本発明に用いられる結着樹脂としては、下式の(B)に示されている構造を含むものが好ましい。更には下式の(A)及び(B)に示されている構造を含む物が特に好ましい。この構造を樹脂内に有することで帯電性が良好で、定着可能温度領域が広いトナーが得ることができる。
【0075】
【化2】
【0076】
上式により示されるような構造は、エポキシ基と反応する官能基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂の架橋反応によって生じており、本発明に用いられる結着樹脂としては、エポキシ基と反応する官能基を有するビニル樹脂、エポキシ基を有するビニル樹脂及びこれらの架橋した樹脂である上式の構造をもつビニル樹脂の混合物、または上式の構造をもつビニル樹脂単体でもよい。
【0077】
上式の(B)を含有する結着樹脂の酸価は1乃至30mgKOH/g、より好ましくは2乃至20mgKOH/gであることが帯電量を維持する上で好ましい。
【0078】
結着樹脂の酸価が1mgKOH/g未満であると十分な帯電性能を得られにくく現像性が劣る。結着樹脂の酸価が30mgKOH/gを越えるとカブリが悪化するという問題を生じ易い。
【0079】
このような上式構造や酸価を有する結着樹脂と本発明に用いられている所望の割合でSi、Zn、Tiを含有し、各添加元素の含有濃度の勾配を制御した磁性酸化鉄粒子の両者をトナー構成成分として用いると、帯電の立ち上がりに良化傾向が見られた。メカニズムは明らかではないがこれは、結着樹脂の酸価(酸基の数)と磁性酸化鉄粒子の関係、またエポキシ基を含有することによる結着樹脂の粘弾性により樹脂と磁性酸化鉄粒子の親和性・トナー製造工程における応力の伝達が適度になり結着樹脂への分散性の向上が図られるためと推察される。
【0080】
前記ビニル樹脂の混合物は、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂とを用意し、これらを混合することによって得られる。前記カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂は、例えばカルボキシル基を有するビニル系モノマーと、エポキシ基を有するビニル系モノマーとを共重合することによって得られる。前記カルボキシル基とエポキシ基とが反応したビニル樹脂は、例えばカルボキシル基を有するビニル樹脂のカルボキシル基と、エポキシ基を有するビニル樹脂のエポキシ基とを、エポキシ基の環状エーテルが少なくとも開環する適当な条件下で反応させることによって得られる。
【0081】
前記カルボキシル基を有するビニル樹脂は、カルボキシル基を有するモノマーの一種又は二種以上を用いて、ビニル系モノマーと公知の重合方法により共重合させることにより得られる。カルボキシル基を有するビニル樹脂を構成する、カルボキシル基を有するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
【0082】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、チグリン酸及びアンゲリカ酸等の不飽和モノカルボン酸、及びこれらのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和ジカルボン酸、そのモノエステル誘導体、無水物及びα−あるいはβ−アルキル誘導体が挙げられる。
【0083】
エポキシ基を有するビニル樹脂は、エポキシ基を有するモノマーの一種又は二種以上と、ビニル系モノマーとを用いて、公知の重合方法により共重合させることにより得られる。
【0084】
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、ビニル基とエポキサイドを有する化合物であれば良く、例えば、グリシジルアルコールと不飽和カルボン酸のエステル、不飽和グリシジルエーテル等が挙げられ、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリル−β−メチルグリシジルエーテル等が挙げられる。特に、下記一般式(1)で表されるグリシジルモノマーが好ましく用いられる。
【0085】
【化3】
[式中、R’1、R’2及びR’3は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基及びアルコキシカルボニルから選ばれる一種又は二種以上を示す。]
【0086】
エポキシ基を有するビニル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が2,000乃至100,000であることが好ましく、2,000乃至50,000であることがより好ましく、3,000乃至40,000であることがさらに好ましい。Mwが2,000未満の場合では、結着樹脂中の架橋反応において分子量が増大しても混練工程においての分子鎖切断が多く、耐オフセット性への効果が少なくなる場合がある。Mwが100,000を超える場合には、定着性に影響を及ぼすようになる場合がある。
【0087】
グリシジル基を有するビニル樹脂は、エポキシ価が0.01乃至5.0eq/kgであることが好ましく、0.01乃至3.0eq/kgの範囲であることが更に好ましく、0.05乃至1.0eq/kgの範囲であることが特に好ましい。0.01eq/kg未満の場合では、架橋反応が起こりにくく、高分子量成分やTHF不溶分の生成量が少なく、耐オフセット性への効果が減少する。5.0eq/kgを超える場合では、架橋反応は起こりやすくなる反面、混練工程においての分子鎖切断が多く、耐オフセット性への効果が減少する。
【0088】
グリシジル基を有するビニル樹脂及び、本発明のようなグリシジル基を有するビニル樹脂の混合物等のエポキシ価を測定することができる具体的な測定例を以下に示す。前記エポキシ価の測定における基本操作はJIS K−7236に準ずる。
【0089】
<エポキシ価の測定>
試料を0.5〜2.0(g)を精秤する。グリシジル基を有するビニル樹脂の重さをW(g)とする。精秤した試料を300mlのビーカーに入れ、クロロホルム10ml及び酢酸20mlに溶解する。この溶液に、臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10mlを加える。0.1mol/lの過塩素酸酢酸溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。この滴定には、例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットとを用いての自動滴定が利用できる。この滴定による過塩素酸酢酸溶液の使用量をS(ml)とする。一方でブランクを測定し、この時の過塩素酸酢酸溶液の使用量をB(ml)とする。これらの結果から下記式によりエポキシ価を計算する。fは過塩素酸酢酸溶液のファクターである。
エポキシ価(eq/kg)=0.1×f×(S−B)/W
【0090】
混合すること又は反応させることを目的に、前述した両ビニル樹脂を用いる場合では、グリシジル基を有するビニル樹脂は、カルボキシル基を有するビニル樹脂中のカルボキシル基1当量に対して、グリシジル基が0.01乃至100.0当量、好ましくは0.03乃至10.0当量、さらに好ましくは0.05乃至5.0当量の混合比率で用いられることが好ましい。グリシジル基が0.01当量未満の場合は、結着樹脂中において、架橋点が少なくなり、耐オフセット性等の架橋反応による効果が発現しにくくなる。また、100当量を超えると、架橋反応は起こりやすくなる反面、現像性への影響が出る場合がある。
【0091】
本発明のトナーは、結着樹脂成分中のカルボキシル基とグリシジル基が製造工程における混練工程等の加熱工程において、架橋反応を施しても良い。混合された結着樹脂のTHF可溶成分の分子量や粘弾性は混練工程等によっても調整可能である。この架橋性成分は、耐オフセット性の向上と現像性、耐久性に対して有利に働いている。
【0092】
また本発明に用いられる結着樹脂は必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体又は共重合体であってもよい。
【0093】
前記架橋性モノマーとしては、架橋可能な二以上の不飽和結合を有するモノマーを用いることができる。このような架橋性モノマーとしては、以下に示すような種々のモノマーが従来より知られており、本発明の現像剤に好適に用いることができる。
【0094】
前記架橋性モノマーには、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルべンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロバンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)等が挙げられる。
【0095】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
【0096】
これらの架橋剤は、架橋しようとするモノマーの種類や、結着樹脂の所望の物性等によって使用量を調整することが好ましいが、一般に結着樹脂を構成する他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部(さらに好ましくは0.03〜5質量部)用いることができる。
【0097】
これらの架橋性モノマーのうち、現像剤用樹脂(結着樹脂)に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルべンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0098】
本発明において、ビニル系モノマーの単重合体又は共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を、前述した結着樹脂に、必要に応じて混合して用いることができる。二種以上の樹脂を混合して、結着樹脂として用いる場合、より好ましい形態としては分子量の異なるものを適当な割合で混合するのが好ましい。
【0099】
さらに本発明に用いられる上記式の(B)の構造を樹脂内に有する結着樹脂のガラス転移温度は好ましくは45〜80℃、より好ましくは50〜70℃であり、数平均分子量(Mn)は2,500〜50,000、より好ましくは3,000〜20,000である物が良い。重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000、より好ましくは20,000〜300,000であることが好ましい。
【0100】
本発明における結着樹脂のガラス転移温度が上記範囲を下回ると保存性が悪化する。また、ガラス転移温度が上記範囲を超えると定着性が悪化する。
【0101】
本発明における結着樹脂の分子量分布が上記範囲を下回ると画像濃度を維持しにくくなる。また、分子量分布が上記範囲を超えるとトナーの帯電量がブロードになりスリーブゴーストなどの画像品質に悪影響を及ぼす。
【0102】
結着樹脂のガラス転移点温度は、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度が45〜80℃を示すように、結着樹脂の構成物質(重合性単量体)を選択することにより調整することができる。また結着樹脂のガラス転移点温度は、示差走査熱量計、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン社製のDSC2920を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。測定方法については更に後述する。結着樹脂のガラス転移温度が上記範囲よりも小さいと現像剤の保存安定性が不十分となることがあり、結着樹脂のガラス転移温度が上記範囲よりも大きいと現像剤の定着性が不十分となることがある。
【0103】
ビニル系重合体又は共重合体からなる結着樹脂を合成する方法としては特に限定されず、従来より知られている種々の製法を利用することができ、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法の如き重合法が利用できる。カルボン酸モノマー又は酸無水物モノマーを用いる場合には、モノマーの性質上、塊状重合法又は溶液重合法を利用することが好ましい。
【0104】
本発明に用いられる結着樹脂としては、以下に示すポリエステル樹脂でも良い。ポリエステル樹脂は、全成分中45〜55mol%がアルコール成分であり、55〜45mol%が酸成分であることが好ましい。
【0105】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記(イ)式で表されるビスフェノール誘導体;
【0106】
【化4】
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
(ロ)式で示されるジオール類;
【0107】
【化5】
またはグリセリン、ソルビット、ソルビタン等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0108】
また、酸成分としてはカルボン酸が例示することができ、二価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きべンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられ、また、3価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、べンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。
【0109】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は好ましくは50〜75℃、より好ましくは55〜65℃であり、更に数平均分子量(Mn)は1,500〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)は6,000〜100,000であることが好ましい。
【0110】
本発明における各種物性データの測定法を以下に詳述する。
【0111】
<GPCによる分子量分布の測定>
試料は以下のようにして作製する。
【0112】
測定対象となる結着樹脂をTHF中に入れ、数時間放置した後、十分振とうし、測定対象物の合一体がなくなるまでTHFとよく混ぜ、さらに12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)等が使用できる。)を通過させ、得られた溶液をGPCの試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分が、0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0113】
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合わせを挙げることができる。
【0114】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、前記THF試料溶液を約100μl注入して測定する。
【0115】
分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製あるいは昭和電工社製の、分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも十点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0116】
本発明における結着樹脂のTHF可溶成分の酸価を測定することができる測定方法の具体例を以下に示す。この測定例における基本操作はJIS K−0070に準ずる。また以下の測定例は結着樹脂を測定対象とする方法であるが、同様にしてトナーのTHF可溶成分の酸価を測定することができる。
【0117】
<酸価の測定>
試料0.5〜2.0(g)を精秤する。試料には必要に応じて粉砕品を用いる。また試料は、着色剤、結着樹脂中の不溶分等のTHF不溶成分を予め除去して使用するか、THF不溶成分の含有量を予め求めておく。精秤した試料中のTHF可溶成分の重さをW(g)とする。
【0118】
300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。この溶液に、電位差滴定装置を用いて0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を滴定する。より具体的には、例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。得られた結果から次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0119】
本発明のトナーのガラス転移温度を測定することができる測定方法の具体例を以下に示す。
【0120】
<ガラス転移温度の測定>
トナーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)や他機種を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。
【0121】
測定試科は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、本発明におけるトナーのガラス転移温度Tgとする。
【0122】
本発明のトナーは、ワックスを含有してもよい。
【0123】
本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0124】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0125】
更にこれらのワックスを2種以上混合して用いても良い。
【0126】
また、本発明においては、荷電制御剤を添加して使用することが好ましい。負荷電制御剤の具体例としては、特公昭41−20153号,特公昭42−27596号,特公昭44−6397号,特公昭45−26478号などに記載されているモノアゾ染料の金属錯体、さらには特開昭50−133838号に記載されているニトロフミン酸及びその塩或いはC.I.14645などの染顔料、特公昭55−42752号,特公昭58−41508号,特公昭58−7384号,特公昭59−7385号などに記載されているサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸のZn,Al,Co,Cr,Fe,Zr等の金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、ニトロ基,ハロゲンを導入したスチレンオリゴマー,塩素化パラフィン等を挙げることができる。特に分散性に優れ、画像濃度の安定性やカブリの低減に効果のある、一般式(I)で表されるアゾ系金属錯体や一般式(II)で表される塩基性有機酸金属錯体が好ましい。
【0127】
【化6】
[式中、Mは配位中心金属を表し、Cr,Co,Ni,Mn,Fe,Ti又はAlを示す。Arは、フェニル基,ナフチル基の如きアリール基であり、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基,ハロゲン基,カルボキシル基,アニリド基及び炭素数1〜18のアルキル基,炭素数1〜18のアルコキシ基がある。X,X’,Y,Y’は−O−,−CO−,−NH−,−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。A+は水素,ナトリウムイオン,カリウムイオン,アンモニウムイオン又は脂肪族アンモニウムイオンを示す。]
【0128】
【化7】
【0129】
そのうち上記式(I)で表されるアゾ系金属錯体がより好ましく、とりわけ、中心金属がFeである下記式(III)あるいは(IV)で表されるアゾ系鉄錯体が最も好ましい。
【0130】
【化8】
[式中、X2及びX3は水素原子,低級アルキル基,低級アルコキシ基,ニトロ基又はハロゲン原子を示し、k及びk’は1〜3の整数を示し、Y1およびY3は水素原子,C1〜C18のアルキル,C2〜C18のアルケニル,スルホンアミド,メシル,スルホン酸,カルボキシエステル,ヒドロキシ,C1〜C18のアルコキシ,アセチルアミノ,ベンゾイル,アミノ基又はハロゲン原子を示し、l及びl’は1〜3の整数を示し、Y2およびY4は水素原子またはニトロ基を示し(上記のX2とX3,kとk’,Y1とY3,lとl’,Y2とY4は同一でも異なっていても良い。)、
A”+はアンモニウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン,水素イオン又はそれらの混合イオンを示し、好ましくはアンモニウムイオン75〜98モル%を有する。]
【0131】
【化9】
[式中R1〜R20は水素,ハロゲン,アルキル基を示し、A+はアンモニウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン,水素イオン又はそれらの混合イオンを示す。]
【0132】
次に上記式(III)で示されるアゾ系鉄錯体の具体例を示す。
【0133】
【化10】
【0134】
【化11】
【0135】
【化12】
【0136】
また、上記式(I),(II),(IV)で示される荷電制御剤の具体例を以下に示す。
【0137】
【化13】
【0138】
【化14】
【0139】
【化15】
【0140】
これらの金属錯化合物は、単独でも或いは2種以上組み合わせて用いることが可能である。これらの帯電制御剤の使用量は、トナーの帯電量の点から結着樹脂100質量部あたり0.1〜5.0質量部が好ましい。
【0141】
一方、トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。
【0142】
また、本発明の磁性トナーには、無機微粉体または疎水性無機微粉体が混合されることが好ましい。例えば、シリカ微粉末を添加して用いることが好ましい。
【0143】
本発明に用いられるシリカ微粉体は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両方が使用可能であるが、表面及び内部にあるシラノール基が少なく、製造残渣のない乾式シリカの方が好ましい。
【0144】
さらに本発明に用いるシリカ微粉体は疎水化処理されているものが好ましい。疎水化処理するには、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ微粉体をシラン化合物で処理した後、あるいはシラン化合物で処理すると同時にシリコーンオイルの如き有機ケイ素化合物で処理する方法が上げられる。
【0145】
疎水化処理に使用されるシラン化合物としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシランメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンが挙げられる。
【0146】
有機ケイ素化合物としては、シリコーンオイルが挙げられる。好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度がおよそ3×10-5〜1×10-3m2/sのものが用いられ、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が好ましい。
【0147】
シリコーンオイル処理の方法は例えばシラン化合物で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合しても良いし、ベースとなるシリカへシリコーンオイルを噴射する方法によっても良い。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、ベースのシリカ微粉体とを混合し、溶剤を除去して作製しても良い。
【0148】
本発明中の磁性トナーには、必要に応じてシリカ微粉体以外の外部添加剤を添加してもよい。
【0149】
例えば帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
【0150】
例えばポリ弗化エチレン,ステアリン酸亜鉛,ポリ弗化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリ弗化ビニリデンが好ましい。或いは酸化セリウム,炭化ケイ素,チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。或いは例えば酸化チタン,酸化アルミニウム等の流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。ケーキング防止剤、或いは例えばカーボンブラック,酸化亜鉛,酸化アンチモン,酸化スズ等の導電性付与剤、また逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0151】
磁性トナーと混合される無機微粉体または疎水性無機微粉体は、磁性トナー100質量部に対して0.1〜5.0質量部(好ましくは、0.1〜3.0質量部)使用するのが良い。
【0152】
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂,磁性酸化鉄及び着色剤を少なくとも含有する混合物が材料として用いられるが、その他、必要に応じて荷電制御剤、及びその他の添加剤等が用いられる。これらの材料をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和び混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、顔料又は染料を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
【0153】
例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社製);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0154】
【実施例】
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。
【0155】
実施例に用いられる樹脂を表1に、磁性酸化鉄粒子を表2に記す。スチレン系樹脂は溶液重合法により合成し、ポリエステル樹脂は脱水縮合法により合成した。磁性体の製造方法については以下のとおりである。
【0156】
(磁性酸化鉄粒子の製造方法)
第一鉄塩水溶液(硫酸第一鉄水溶液)と、該第一鉄水溶液中の第一鉄塩に対し0.90〜0.99当量の水酸化アルカリ水溶液とを反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含むpH8.0〜9.5の第一鉄塩反応水溶液に、酸素含有ガスを通気することによりマグネタイト粒子を生成させるにあたり、前記水酸化アルカリ水溶液または前記水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩のいずれかにあらかじめ水可溶性ケイ酸塩を鉄元素に対してケイ素元素換算で、全含有量(0.1質量%〜3.0質量%)の50〜99%を添加し、85〜100℃の温度範囲で加熱しながら、酸素含有ガスを通気して酸化反応することにより、前記水酸化第一鉄コロイドからケイ素元素を含有する磁性酸化鉄粒子を生成させる。(第一段反応)
【0157】
このスラリー液に更に第一鉄塩水溶液を適宜加え、スラリー液のpHを6.0〜7.5に調整しながら空気を吹き込み酸化反応を進めた。その間に、未反応の水酸化第一鉄濃度を調べながら反応の進行率を調べつつ、適宜含有させる各金属元素(硫酸亜鉛、硫酸チタニル)を段階的に加え反応を進行させることで磁性酸化鉄内での金属元素の分布を制御し、酸化反応終了後の懸濁液中に残存する第一鉄塩に対して1.00当量以上の水酸化アルカリ水溶液及び残りの水可溶性ケイ酸塩(全含有量(0.1質量%〜3.0質量%)の1〜50%)を添加して、さらに85〜100℃の温度範囲で加熱しながら酸化反応を完結させ磁性酸化鉄粒子を生成させる。(第二段反応)
【0158】
生成した磁性酸化鉄粒子を常法により洗浄、ロ過乾燥した。得られた磁性酸化鉄粒子の一次粒子は、凝集して凝集体を形成しているので、ミックスマーラーを使用して磁性酸化鉄粒子の凝集体に圧縮力及びせん断力を付与して、該凝集体を解砕して磁性酸化鉄粒子を一次粒子にするとともに、磁性酸化鉄粒子の表面を平滑にし、所望の特性を有する磁性酸化鉄粒子を得る。
【0159】
・磁性酸化鉄粒子の製造例1
上記の磁性酸化鉄粒子の製造方法に従いケイ酸ソーダの添加量を1.00質量%、硫酸亜鉛の添加量を0.41質量%及び硫酸チタニアの添加量を0.20質量%、最後にケイ酸ソーダの添加量を更に0.05質量%加え、Si、Zn、Tiの元素の添加時期・反応液のpHも調整して、表2に示す物性を有する磁性酸化鉄1を得た。
【0160】
・磁性酸化鉄粒子の製造例2〜4、6〜13及び15、17、18
ケイ酸ソーダの添加量、硫酸亜鉛及び硫酸チタニアの添加量及び時期・反応液のpHを調整した以外は製造例1と同様にして、表2に示す物性を有する磁性酸化鉄2〜4、6〜13及び15、17、18を得た。
【0161】
・磁性酸化鉄粒子の製造例5
ケイ酸ソーダの添加量を1.05質量%に変更し、第二段反応でケイ酸ソーダを加えず、硫酸亜鉛及び硫酸チタニアの添加時期・反応液のpHを調整した以外は製造例1と同様にして、表2に示す物性を有する磁性酸化鉄5を得た。
【0162】
・磁性酸化鉄粒子の製造例14
第一段反応においてケイ酸ソーダの添加量を加えず、第二段反応においてケイ酸ソーダ0.03質量%、硫酸亜鉛の添加量を0.05%に変更し硫酸亜鉛及び硫酸チタニアの添加時期・反応液のpHを調整した以外は製造例1と同様にして、表2に示す物性を有する磁性酸化鉄14を得た。
【0163】
・磁性酸化鉄粒子の製造例16
上記の製造方法に基づき第一段反応のpHを8.0に調整し、ケイ酸ソーダを1.05質量%(全量)、硫酸亜鉛を0.40質量%、硫酸チタニルを0.20質量%を添加し反応液のpHを調整して酸化反応を進めた以外は製造例1と同様にして、表2に示す物性を有する磁性酸化鉄16を得た。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
[実施例1]
・結着樹脂A 100質量部
・磁性酸化鉄粒子1 95質量部
・パラフィンワックス 4質量部
・荷電制御剤A 2質量部
上記混合物を、130℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕粉を風力分級して重量平均粒径(D4)6.8μmの負帯電性磁性トナー粒子を得た。この得られたトナー粒子100質量部に対し、ヘキサメチルジシラザン15質量%とジメチルシリコーン15質量%で疎水化処理したBET比表面積120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.2質量部を外添混合してトナー1を調製した。
【0167】
トナー内添処方を表3に記す。
【0168】
このトナー1を、市販のLBPプリンター(Laser Jet 4200,ヒューレットパッカード社製)を用いて、15℃,10%RHの環境と30℃,80%RHの環境で1万枚のプリント試験を行った。15℃,10%RHの環境では初期評価とからめて帯電量立ち上がり評価を行ったあと続けて耐久試験を実施している。
【0169】
画像濃度はマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度測定を行い、5mm角の画像を測定した。カブリは反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて行い、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Ds−Drをカブリ量としてカブリの評価を行った。数値の少ない方がカブリが良い。これらの評価を機外に一日放置した後に、初期及び10000枚時に、30℃/80%RHの環境では約12時間放置後にも行った。
【0170】
帯電量立ち上がり評価は15℃,10%RHの環境で4ドットの横ラインを176ドットスペースおきに印字した横ラインパターンを10秒に1枚の間隔で画だしする間欠プリント試験を行い、1枚目,3枚目,7枚目,15枚目,50枚目時に5mm角の画像をサンプリングし、画像濃度を測定した。画出し枚数の早いうちから高い画像濃度が得られているものほど帯電量の立ち上がりが早いと言える。
【0171】
ゴーストは、ベタ白部とベタ黒部が隣り合う画像を現像した現像スリーブの位置が、現像スリーブの次の回転時には現像位置にきて、ハーフトーンを現像するようにして、ハーフトーン画像上に現れる濃度差を下記の基準に基づいて10,000枚耐久後の状態を評価した。(15℃/10%RH)
A:濃度差がまったく見られない。
B:かすかに濃度差があるがほとんどわからない。
C:濃度差がやや見られるが実用可。
D:濃度差が顕著に見られ、実用不可。
【0172】
上記試験をした結果を表4〜6に示す。
【0173】
[実施例2〜20,比較例1〜5]
表3に記載の処方で実施例1と同様にトナーNo.2〜25を作製し、同様の試験をした結果を表4〜6に示す。
【0174】
[比較例6]
表3に記載の処方で粉砕と分級により12.2μmに調整した以外は実施例1と同様にトナーNo.26を作製し、同様の試験をした。その結果を表4〜6に示す。
【0175】
【表3】
【0176】
【化16】
【0177】
【表4】
【0178】
【表5】
【0179】
【表6】
【0180】
【発明の効果】
磁性酸化鉄中のSi、Zn、Ti原子の含有率及び鉄に対する、Si、Zn、Ti原子の表面から半径方向への濃度分布が規定された本発明トナーによれば、トナーの帯電量の立ち上がりが速く、高温高湿環境でも画像濃度の低下が生じず、さらに環境安定性に優れ、スリーブゴーストを改善することができる。
Claims (4)
- 結着樹脂及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナーであって、
該磁性酸化鉄が少なくともSiを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜2.0質量%、Znを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜1.5質量%、及びTiを磁性酸化鉄基準で0.1質量%〜1.5質量%含有しており、該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が5%〜60%、該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が30%〜95%、及び該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から5%を溶解させたときのTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が50%〜100%であり、
該磁性酸化鉄を含むトナーの重量平均径が4.0乃至12.0μmであることを特徴とするトナー。 - 該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのSi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のSi溶解率を100%とする)が20%〜70%、該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのZn溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のZn溶解率を100%とする)が50%〜100%、及び該磁性酸化鉄を該磁性酸化鉄の表面から10%を溶解させたときのTi溶解率(該磁性酸化鉄を全て溶解した時のTi溶解率を100%とする)が70%〜100%であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該結着樹脂の酸価が1〜30mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
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