JP2017122870A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1、特許文献2では、磁性粒子のイソプロピルアルコールへの分散性を制御することで、現像性、低温定着性、耐熱保存性を向上させることができる提案がなされている。
特許文献3では、ポリエステル樹脂を用いた磁性トナーの磁化を制御することで、低温定着性やドット再現性を向上させることができる提案がなされている。
該結着樹脂は、ポリエステル部位を有する樹脂を含有し、
該磁性粒子25質量部をイソプロピルアルコール75質量部に分散させた後、静置し、該磁性粒子の沈殿部分の体積について経時変化を測定したイソプロピルアルコール沈降試験において、静置して10分後のイソプロピルアルコールと該磁性粒子との混合物の体積をIPA、該磁性粒子の沈殿部分の体積をVIPAとしたとき、該VIPAと該IPAとの比(VIPA/IPA)が0.45以下であり、
該磁性粒子の粉体流動性測定装置により測定されるTotal Energyが、50mJ以上130mJ以下であることを特徴とするトナーである。
先に述べたようにトナーに対しては、より高速化、省エネルギー化、小型化への対応が求められている。
本体は設置スペースの観点から、小型化の需要が大きくなってきている。本体の小型化に対応するためには、現像器の小型化が必要になり、さらに現像器を小型化すると、現像スリーブの小型化も要求される。
現像スリーブが磁力を有する場合は、現像スリーブの磁力で磁性トナーを搬送することが可能である。一方、非磁性トナーの場合は、現像スリーブにトナーを供給するためのトナー供給部材が必要となる。このことから現像器の小型化に対しては、磁性トナーが適している場合が多い。
一般的に現像スリーブの小型化に伴い現像スリーブの磁力が弱くなり、現像スリーブへのトナーの磁気拘束力が弱くなりやすい。現像器の小型化と高速化を両立するためには、現像スリーブの磁力が弱い構成で、磁性粒子量の少ないトナーを使用した時に性能を満足させることが求められている。
また、現像スリーブへのトナーの磁気拘束力が弱くなると、トナーの搬送性も低下しやすい。特に、長期の使用においてトナーが劣化してくると、現像スリーブへのトナーのコートにムラが出やすくなり、画像濃度一様性が低下しやすくなる。
これらの問題を解決するために、トナー中の磁性粒子量を増やして現像スリーブへのトナーの磁気拘束力を高めることが有効だが、低温定着性が低下しやすくなってしまう。そのため、本発明者らは、低温定着性を低下させないために、磁性粒子を増やさずにドット再現性、濃度一様性を満足させることが重要だと考えた。
トナーは現像時に現像バイアスの力で感光体ドラムへ飛翔して画像を形成する。飛翔しているトナーには、感光体ドラム方向に現像バイアスによる現像電界力が働く一方で、現像スリーブ方向に磁気力も働いており、この両方の力のバランスが重要である。
トナー作製時に所定量の磁性粒子を配合するが、トナーへの磁性粒子の分散が悪いと、トナー1粒子に着目した場合、磁性粒子の含有量が多いトナーや、逆に磁性粒子の含有量が少ないトナーが発生しやすくなる。このように磁性粒子の含有量にばらつきが生じると、トナー1粒子に働く磁気力が変化しやすくなり、さらにはトナー1粒子に働く現像電界力にも変化が生じやすくなる。
その結果、トナー間でトナーに働く力に分布が生じてしまい、現像されやすいトナーと現像されにくいトナーが発生しやすくなる。すると、長期の使用において、現像バイアスに対して理想の挙動を示さないトナーが現像器中に蓄積しやすくなる。その結果、感光体
ドラムの画像部へトナーが飛翔しにくくなりドット再現性が低下しやすくなる。
また、トナー間で磁性粒子の含有量にばらつきが生じると、現像スリーブへのトナーのコートは主に磁力に依存しているので、トナーの搬送性にムラが生じやすくなり、画像濃度一様性が低下しやすくなる。
以上の観点から工夫を施したところ、ポリエステル部位を含有する樹脂中で、磁性粒子の親和性と解れ易さをコントロールすることで、トナー中の磁性粒子の分散性を改善し、良好なドット再現性、濃度一様性が得られることを見出した。
結着樹脂と、磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は、ポリエステル部位を有する樹脂を含有し、
該磁性粒子25質量部をイソプロピルアルコール75質量部に分散させた後、静置し、該磁性粒子の沈殿部分の体積について経時変化を測定したイソプロピルアルコール沈降試験において、静置して10分後のイソプロピルアルコールと該磁性粒子との混合物の体積をIPA、該磁性粒子の沈殿部分の体積をVIPAとしたとき、該VIPAと該IPAとの比(VIPA/IPA)が0.45以下であり、
該磁性粒子の粉体流動性測定装置により測定されるTotal Energyが、50mJ以上130mJ以下であることを特徴とするトナーを用いることで、良好なドット再現性、濃度一様性が得られることを見出した。
本発明では、良好な低温定着性を達成するために、結着樹脂はポリエステル部位を有することが重要である。
粉体流動性測定装置により測定されるTotal Energyは、磁性粒子の圧密状態からの解れ易さを示す指標であり、圧密された磁性粒子層にブレードが進入する際にブレードが受ける物理抵抗を数値化したものである。
つまりTotal Energyの値が小さいほど、磁性粒子が解れ易いことを示している。トナー製造時に磁性粒子が凝集体を形成している場合も、Total Energyの値が小さい方が磁性粒子が解れ易くなり、磁性粒子の分散性を上げられる可能性がある。
本発明の効果を得るためには、Total Energyの値は小さいほど良いと考えているが、50mJ未満となる磁性粒子の製造は困難と考えられる。
磁性粒子のTotal Energyは、磁性粒子の形状、表面性、粒径等により制御することができる。
イソプロピルアルコールは極性がポリエステル樹脂に近いため、イソプロピルアルコール沈降試験で得られる磁性粒子の物性は、磁性粒子とポリエステル樹脂との親和性を表わす指標として用いられる。VIPA/IPAの値が小さいほど、磁性粒子とポリエステル樹脂との親和性が低く、値が大きいほど親和性が高いことを示している。本発明に用いられる磁性粒子は、VIPA/IPAが0.45以下であることが重要である。
VIPA/IPAが0.45より大きくて磁性粒子とポリエステルとの親和性が高い場合は、磁性粒子のTotal Energyが、50mJ以上130mJ以下であり、トナー製造時に解れ易くても、磁性粒子が再びポリエステル中を動いて再凝集しやすくなる。その結果、トナー中の磁性粒子の分散性が低下してドット再現性、濃度一様性が低下しやすい。
VIPA/IPAは、好ましくは0.42以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは0.30以上である。VIPA/IPAは、磁性粒子の形状、表面性、粒径等により制御することができる。
磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)が50nm以上200nm以下であると、トナーへの分散性がさらに良好になり、トナーの帯電性のばらつきが少なくなり、良好なドット再現性、濃度一様性が得られやすくなる。磁性粒子のD1は、磁性粒子の合成条件により制御することができ、例えばコア粒子の製造時の酸化反応時間や空気の吹き込み速度を変えることで磁性粒子のD1を調整することができる。
磁性粒子のBET比表面積は、磁性粒子の形状、表面性、粒径等により制御することができる。
磁性粒子を八面体形状にする方法としては、例えばコア粒子の製造において酸化反応時のpHを9以上にすることが挙げられる。
本発明の磁性粒子は、マグネタイト粒子をコアとし、マグネタイト粒子の表面に、被覆層を有することが好ましい。該被覆層は最外層であることがより好ましい。
ここで、該コアは、本発明の効果を損なわない程度に、マグネタイト以外の磁性体を含んでもよい。
該被覆層はマグネタイト粒子の表面の全域を満遍なく被覆しているか、あるいはマグネタイト粒子の表面が一部露出した状態で被覆している。被覆層の厚みには、後述の凸部の大きさは含まれない。
いずれの被覆態様であっても、被覆層はマグネタイト粒子の表面を薄く被覆していることが好ましい。被覆層の厚みは、1nm以上50nm以下であることが好ましく、2nm以上20nm以下であることが更に好ましい。
該被覆層の形成方法は、特に限定されることなく、公知の方法を用いるとよい。例えば、マグネタイトを含むコア粒子を製造した後、硫酸第一鉄水溶液に、ケイ酸ナトリウムや硫酸アルミニウムなどの、ケイ素源やアルミニウム源を添加し、混合液のpH、温度を調整しつつ空気を吹き込むことで、コア粒子表面に特定の酸化物を含有する被覆層を形成するとよい。また、硫酸第一鉄水溶液、ケイ酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムなどの添加量などを調整することで被覆層の厚みを上記範囲に制御することができる。
本発明においては、八面体の平面部を基面とした場合の突起している高さが、1nm以上であるものを凸部とみなす。
凸部の高さは、1nm以上40nm以下であることが好ましく、3nm以上20nm以下であることがより好ましい。
凸部は、八面体の平面部に隙間なく存在していてもよく、疎らに存在していてもよい。凸部の個数は特に制限されるものではないが、磁性粒子1粒子に対して1個以上有すればよい。
凸部の高さは該被覆層における上記の鉄に対するケイ素のモル比、鉄に対するアルミニウムのモル比や、コア粒子の個数平均粒子径を変えることによって調整することができる。
本発明の磁性粒子は、表面性を調整するために、ミックスマーラー又はらいかい機等を用いて圧縮、せん断及びへらなでといった圧密処理を行ってもよい。
トナー中に含有させる磁性粒子の量としては、結着樹脂100質量部に対し20質量部以上100質量部以下であることが好ましい。
本発明の結着樹脂は、ポリエステル部位を有することが低温定着性の観点から重要である。
ポリエステル部位の組成は例えば以下の通りである。
アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、芳香族ジオールとしては、下記式(I)で表されるビスフェノール及びその誘導体、下記式(II)で示されるジオール類、が挙げられる。
三価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物が挙げられる。
上記ポリエステル部位は通常一般に知られている縮重合によって得られる。
と解れ易さをコントロールしやすくなり、本発明の効果を得られやすくなる。
本発明において、ハイブリッド樹脂を含有する場合には、ビニル系部位及び/又はポリエステル部位中に、両樹脂成分と化学的に結合し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル部位を構成するモノマーのうちビニル系樹脂と反応し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ハイブリッド樹脂中のポリエステル部位とビニル系部位との質量基準の含有割合は、好ましくは55:45〜95:5であり、より好ましくは60:40〜90:10である。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法を説明する。先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル部位のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明において、結着樹脂における、ポリエステル部位の含有量は、50質量%以上95質量%以下が好ましく、60質量%以上90質量%以下がより好ましい。
また、結着樹脂における、ハイブリッド樹脂の含有量は、30質量%以上100質量%以下が好ましく、40質量%以上100質量%以下がより好ましい。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのようなスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルのようなビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンのようなN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸又はメタクリル酸誘導体。
ケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルのような不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸のような不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸のようなα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物のようなα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルのようなカルボキシル基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンのようなヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
芳香族ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類[ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの];ポリエステル型ジアクリレート化合物類(日本化薬社製「MANDA」)。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10.00質量部以下、より好ましくは0.03質量部以上5.00質量部以下用いることができる。
これらの架橋剤のうち、樹脂成分に低温定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
ンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエイト、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−プチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート。
本発明に用いられる結着樹脂は、軟化点(Tm)が60℃以上150℃以下であることが好ましい。
軟化点が上記の範囲にあると、トナー製造時に結着樹脂が適度な粘度を有するために、磁性粒子の解砕性が良好となり、再凝集もしにくくなるため、本発明の効果を得られやすくなる。
離型剤としては、例えばポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。また、これらの離型剤を、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものなどがある。
該離型剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下が好ましい。
荷電制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩。その他にも、トナーを負帯電性に制御するものとしては、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。この中でも特に、安定な帯電性能が得られる芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体又は金属塩が好ましく用いられる。
具体例としては、以下のものが挙げられる。Spilon Black TRH、T−77、T−95、TN−105(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)S−34、S−44、E−84、E−88(オリエント化学工業株式会社);TP−302、TP−415(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学工業株式会社);コピーブルーPR(クラリアント社)。
ベタ黒画像の濃度一様性、及び黒色度の低下を抑制するためには、トナー粒子内/粒子間における磁性粒子及び荷電制御剤の分散状態の均一性を高めることが好ましい。そのような分散状態は、比(VIPA/IPA)が0.45以下であることに加えて、荷電制御剤のイソプロピルアルコールに対する溶解度が上記範囲にあることで達成しやすくなる。この理由については明確になっていないが、本発明者らは以下のように考えている。
イソプロピルアルコールに対する溶解度が上記規定を満たす荷電制御剤は、荷電制御剤とポリエステル部位を有する結着樹脂とのなじみ速度が遅く、ポリエステル部位を有する結着樹脂に偏在することなく他のトナー構成材料へ分散しやすいことを表している。
即ち、トナー構成材料の中で比重の大きい磁性粒子は他の材料と衝突した際に、衝突した粒子に与える運動エネルギーが大きいために分散メディアの役割を果たすことができる。このため、ポリエステル部位を有する結着樹脂中で、磁性粒子は荷電制御剤に対する分散メディアとして、ポリエステル部位を有する結着樹脂へのなじみ速度が遅い荷電制御剤と衝突した際に応力集中が起こり、荷電制御剤を微粒子化できる。そうすると、ポリエステル部位を有する結着樹脂へのなじみ速度が遅い荷電制御剤の表面積が増大し、荷電制御剤の結着樹脂へのなじみ速度が上昇することで、ポリエステル部位を有する結着樹脂中に荷電制御剤を分散させることができる。その結果、帯電特性に優れ、紙上のトナーの載り量が少ないベタ黒画像おいても、濃度一様性に特に優れた画像を得ることができるようになる。
なお、このような効果は、八面体平面部に凸部を有する磁性粒子を組み合わせて用いた場合に顕著となる。凸部を有すると、磁性粒子が荷電制御剤と衝突した際に凸部が荷電制御剤に引っ掛かるように力が働き、荷電制御剤の分散状態をより均一にすることができるためと考えられる。
荷電制御剤の一次粒子の個数平均粒径は、荷電制御剤の合成条件を制御することや、粉砕することにより制御できる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。
荷電制御剤は、下記式[2]で表される化合物であることがより好ましい。式[2]で表される荷電制御剤は配位金属を鉄原子とし、配位子に塩素原子を付加することでトナー中での荷電制御剤の安定性を向上させることができるため、長期に渡り安定な摩擦帯電性を与えることができる。即ち、トナー一粒当たりの帯電特性のバラツキを抑制することができるため、紙上トナーの載り量が少ないベタ黒画像の濃度一様性を良化させることができる。
特に、カーボンブラックを併用した場合には、チャージアップを良好に抑制することが可能となり、低温低湿環境下においてもカブリの発生をより良好に抑制でき、低温定着性に優れ、消費量が低減されたトナーを提供することが可能となる。
強固に連なった一次凝集塊を形成しており、その凝集塊同士が更に二次凝集塊を形成しており、分散性に課題を有するものであった。この傾向は現在トナーの結着樹脂として幅広く使用されているポリエステル部位を有する樹脂中でより顕著となる。ポリエステル部位を有する樹脂は構造的に極性が高く親水的であるのに対し、カーボンブラックは組成の大半が炭素原子であるために極性が低く疎水的・親油的であるためである。
しかしながら、本発明に係る磁性粒子と併用した場合に、ポリエステル部位を有する樹脂中でのカーボンブラックの分散性が大幅に改善することがわかった。
なお、カーボンブラックを併用することによって、トナー中の磁性粒子の量を減らすことができ、低温定着性に優れたトナーとすることができる。また、このような構成とした場合に生じやすいチャージアップ抑制の影響も、本発明に係る磁性粒子を用いることによって抑えることができる。
また、磁性粒子にカーボンブラックを併用したトナーの真密度としては、1.40g/cm3以上1.75g/cm3以下であることが好ましい。この範囲であれば、カーボンブラックと併用した際の磁性粒子の量が適度であり、低温定着性及び低消費量化を良好に達成できる。該真密度は、1.44g/cm3以上1.70g/cm3以下であることがより好ましい。トナーの真密度は、主にトナー中の磁性粒子の含有量により制御することができる。
流動性向上剤としては、以下のものを用いることができる。
例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカのような微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ;酸化亜鉛、酸化スズのような酸化物;チタン酸スト
ロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムのような複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムのような炭酸塩化合物等。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
流動性向上剤は、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上30nm以下であると、高い帯電性と流動性を持たせることができるので好ましい。
本発明に用いられる流動性向上剤は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤を総量で、0.01質量部以上3質量部以下使用することが好ましい。
粉砕法では、まず、トナー粒子を構成する結着樹脂、磁性粒子並びに必要に応じて着色剤、ワックス、及び電荷制御剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分に混合する。次いで、得られた混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕及び分級を行う。これによって、本発明に係るトナー粒子を得られる。
さらに必要に応じ所望の外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により充分混合し、本発明に係るトナーを得ることができる。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
ロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
<トナーからの磁性粒子の単離方法>
(1)50mLのバイアル瓶にトナーを50mg、THFを20mL秤量して5時間静置する。その後、十分振とうして、試料の合一体が無くなるまでTHFへ溶解する。溶解温度は25℃を基本とし、試料の溶解性に応じて25〜50℃の範囲で溶解させる。
(2)次にバイアル瓶の外側からネオジム磁石(アズワン社製 型式NE019、直径×厚みφ22mm×10mm、表面磁束密度450mT)をあて、磁性粒子をバイアル瓶の底面に担持させて、上澄みのTHF溶液と分離する。
(3)その後、バイアル瓶にTHFを20mL追加し、再度十分振とうして磁性粒子を洗浄した後、バイアル瓶の外側からネオジム磁石をあてて、磁性粒子をバイアル瓶の底面に担持させて、上澄みのTHF溶液と分離する。
(4)(3)の操作を少なくとも100回繰り返し行うことにより磁性粒子を十分に洗浄した。
(5)洗浄後の磁性粒子を乾燥することにより、トナーから磁性粒子を単離する。
磁性粒子のイソプロピルアルコール沈降測定方法を以下に述べる。
(1)磁性粒子2.5g、イソプロピルアルコール7.5gを有栓耐圧性ガラス瓶に入れ、ペイントシェーカで5分間振とうすることで磁性酸化鉄をイソプロピルアルコールに分散させ、スラリーを得る。
(2)前記スラリー10gをメスシリンダーに入れ、メスシリンダーの口をゴム栓で塞ぐ。メスシリンダーは、JIS R−3504規格取得の10mLメスシリンダーを用いる。メスシリンダーとしては、柴田科学製026500−10Aを用いることができる。
(3)ゴム栓をしたメスシリンダーを10秒間手で振り、これを水平な台上に静置する。静置と同時にストップウォッチをスタートし、計時を開始する。静置後、時間経過とともに磁性粒子が沈殿していき、イソプロピルアルコールの上澄み部分と、磁性酸化鉄の沈殿部分との境界が目視で確認できるようになる。
(4)静置して10分後に、メスシリンダー上部の空気と上澄み部分の液面との境界面、上澄み部分と沈殿部分の境界面、をそれぞれメスシリンダーの目盛りから読み取る。メスシリンダー上部の空気と上澄み部分の液面との境界面から読み取った体積をIPAとし、上澄み部分と沈殿部分の境界面から読み取った体積をVIPAとする。なお沈澱部分の境界面が荒れている場合、山と谷の平均を線引きして計測する。
(5)(1)〜(4)の操作を繰り返し行い、3回の測定値の平均値をIPA、VIPAそれぞれに関して計算し、得られたそれぞれの平均値からVIPA/IPAを算出する。
磁性粒子としては、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
本発明で使用する磁性粒子において、Total Energyは、回転式プロペラ型ブレードを備えた粉体流動性分析装置(パウダーレオメータFT−4、Freeman Technology社製)(以下、FT−4と省略する)を用いて測定する。
具体的には、以下の操作により測定を行う。なお、全ての操作において、プロペラ型ブレードは、FT−4測定専用23.5mm径ブレード(図5(a)参照。23.5mm×6.5mmのブレード板の中心に法線方向に回転軸が存在する。ブレード板は、両最外縁部分(回転軸から12mm部分)が、70°、回転軸から6mmの部分が35°といったように、反時計回りになめらかにねじられたもので(図5(b)参照)、材質はSUS製(型番:C416))のものを使用する。
まず、FT−4測定専用容器[直径25mm、容積25mLのスプリット容器(型番:C4031)、容器底面からスプリット部分までの高さ約51mm。以下、単に容器ともいう。]に23℃、60%環境に3日間放置された磁性粒子を14g投入する。
また、磁性粒子の圧縮は、圧縮試験用ピストン(直径24mm、高さ20mm、下部メッシュ張り)を上記プロペラ型ブレードの代わりに用いる。
(1)磁性粒子の圧密操作
上述のFT−4測定専用容器に投入した磁性粒子をFT−4測定専用の圧縮ピストンで、0.74Nで容器底面から50mmの高さまで60秒間圧密を行う。上記圧縮操作により圧密された磁性粒子が専用容器に入っている状態にする。圧密された磁性粒子を磁性粒子粉体層とする。
(2)測定操作
(A)磁性粒子粉体層表面に対して時計回り(ブレードの回転により磁性粒子粉体層を押し込まない方向)の回転方向で、ブレードの周速(ブレードの最外縁部の周速)を10mm/secとし、磁性粒子粉体層への垂直方向の進入速度を、移動中のブレードの最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角度(以下、「ブレード軌跡角」)が、5(deg)になるスピードとし、磁性粒子粉体層の底面から10mmの位置までプロペラ型ブレードを進入させる。
(B)その後、磁性粒子粉体層表面に対して時計回りの回転方向で、ブレードの周速を60mm/secとし、磁性粒子粉体層への垂直方向の進入速度を、ブレード軌跡角が、2(deg)になるスピードとし、磁性粒子粉体層の底面から1mmの位置までプロペラ型ブレードを進入させる。
(C)その後、磁性粒子粉体層表面に対して反時計回りの回転方向で、ブレードの周速を10mm/secとし、磁性粒子粉体層からの垂直方向の抜き取り速度を、ブレード軌跡角が、5(deg)になるスピードとし、磁性粒子粉体層の底面から80mmの位置までブレードを移動させ、抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着した磁性粒子を払い落とす。
上記測定操作(A)において、プロペラ型ブレードを回転させながら容器内の磁性粒子粉体層中に進入させ、磁性粒子粉体層の底面から50mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで、プロペラ型ブレードを進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和をTotal Energyとする。
磁性粒子としては、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
本発明においては、磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)及び形状の測定は、走査型電子顕微鏡(日本電子製JSM−6830F)により測定・観察した。磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)は、磁性粒子を3万倍で観察し、任意の磁性粒子100個の粒子径(最大径)を測定して、100個の粒子径の測定結果の平均値を本発明における磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)とした。
また、該100個の磁性粒子の形状を観察することにより形状を判断した。
磁性粒子としては、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
磁性粒子の表面における凸部の有無に関しては、透過型電子顕微鏡TEM(日本電子製JEM−2100)で観察し、八面体の平面部の基面を基準として、突出している部分の高さが、1nm以上であるものを凸部とみなし、その有無を確認した。
磁性粒子としては、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
磁性粒子の凸部高さは、磁性粒子を透過型電子顕微鏡TEM(日本電子製JEM−2100)で観察して測定した。凸部の大きさとは、被覆磁性粒子をTEM観察したときに、被覆層の基面から突出している高さのことである。凸部は、被覆層の表面に隙間なく存在していてもよく、あるいは、被覆層の基面(すなわち、凸部が立ち上がる基準面)がTEMで観察される程度に疎らに存在していてもよい。凸部の大きさは、被覆磁性粒子をTEM観察し、15個以上の凸部を対象として、図1に示すとおり、被覆層の基面から凸部の頂点までの高さhを測定し、測定値を相加平均することで求める。
磁性粒子としては、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
磁性粒子の被覆層に含まれる元素の割合は、以下の方法で算出する。
50℃の5質量%希硫酸5Lに、磁性粒子25gを懸濁して測定液を得た後、測定液の一部を一定時間毎(5、15、25、35、45、60、75、90、105、120分)に25mLずつサンプリングする。得られたサンプリング液をメンブランフィルタで濾過し、得られたろ液に含まれるケイ素、アルミニウム及び鉄の濃度をICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析装置(装置名:ICP−S2000、供給元:島津製作所)にて定量することで測定する。
この測定において、ケイ素及びアルミニウムの検出量が一定となった時点までのケイ素、アルミニウム及び鉄、それぞれの総量(g)を25gで除し、100を乗じることで、各元素の割合(質量%)を算出する。
磁性粒子としては、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
結着樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行なう。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.5gの結着樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散
処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナーから荷電制御剤を抽出する具体的な方法を以下に述べる。抽出した荷電制御剤は上記方法により溶解性試験を行う。
(1)磁性トナー5gを150mLのプラスチック瓶に入れる。
(2)RO水を90mL加え、更に「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を10mL加える。その後、下記条件で5分間振とうして外添剤を分離させる。
(3)吸引ろ過(10μmメンブランフィルター)して磁性トナー粒子と外添剤を分離する。
(4)上記(2)、(3)を計3回行う。
(5)上記(1)〜(4)を20回実施し、トナー粒子を得る。
(6)トナー粒子を5g精評しておき、100mLのプラスチック瓶にイソプロピルアルコールを80g入れておく。バイアル中にトナーを投入し、下記条件で30分間振とうした後、バイアル瓶の外側からネオジム磁石(アズワン社製 型式NE019、直径×厚みφ22mm×10mm、表面磁束密度450mT)をあて、トナー粒子をバイアル瓶の底面に担持させて、上澄みのイソプロピルアルコール溶液と分離した。
(7)分離したイソプロピルアルコール液を極力熱をかけずに乾燥させる。この時、25〜40℃程度で真空乾燥を行う。
(8)上記(6)〜(7)を10回実施し、トナー粒子から荷電制御剤を得る。
[振とう装置/条件]
装置:KM Shaker(いわき産業社製)
model:V.SX
振とう条件:speedを50に設定し、振とう
荷電制御剤のイソプロピルアルコールへの溶解性試験方法を以下に述べる。
(1)荷電制御剤を0.1mg、イソプロピルアルコール100.0gを有栓耐圧性ガラス瓶に精秤し、ペイントシェーカで5分間振とうし、荷電制御剤の混合溶液を得る。
(2)ろ紙(No.5A)の質量を秤量し、前記荷電制御剤の混合溶液をヌッチェ式吸引ろ過により前記ろ紙を用いて固液分離を行う。
(3)吸引ろ過に用いた前記ろ紙を真空乾燥機を用いて100℃、5時間乾燥させる。
(4)乾燥後の前記ろ紙の質量を秤量し、ろ過前の質量との差分が0.05mg以下である時、荷電制御剤はイソプロピルアルコールに溶解したと判断する。
(5)上記(1)〜(4)の操作について、荷電制御剤の質量を0.1mgから0.1mgずつ増やして同様の操作を行う。そして、荷電制御剤がイソプロピルアルコールに溶解できなくなったと判断した操作の直前の操作における荷電制御剤の質量を荷電制御剤のイソプロピルアルコールに対する溶解度とする。
荷電制御剤としては、原材料として使用した荷電制御剤を用いてもよいが、前述した、トナーからの荷電制御剤の単離方法に準じて単離した荷電制御剤を用いてもよい。
荷電制御剤をイソプロピルアルコールに飽和溶解度まで溶解させた溶液を用いて、下記手順で荷電制御剤飽和溶液の吸光度を測定した。
荷電制御剤溶液を石英セルに入れ、分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いて荷電制御剤の吸光度を測定した。吸光度のピークの波長を最大吸収波長とする。また、このとき対照セルには荷電制御剤を溶解していないイソプロピルアルコールを入れておく。
測定条件:スキャン速度(中速),スリット幅(0.5nm),サンプリングピッチ(2nm),測定範囲(600nm〜250nm)
吸光度の測定原理は以下の通りである。
A=log10(I0/I)
A:吸光度
I0:入射光強度
I:透過光強度
荷電制御剤としては、原材料として使用した荷電制御剤を用いてもよいが、前述した、トナーからの荷電制御剤の単離方法に準じて単離した荷電制御剤を用いてもよい。
本発明においては、荷電制御剤の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)を用い、校正作業後の測定及び解析条件で測定する。具体的な測定方法は、以下のとおりである。
まず、ガラス製の容器中にあらかじめ不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となるように適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像測定装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像測定装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個の磁性トナーを計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径0.50μm以上39.69μm未満に限定し、荷電制御剤の一次粒子の個数平均粒径(D1)を求める。
なお、本発明においては、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像測定装置を使用する。解析粒子径を円相当径0.010μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けたときの測定及び解析条件で測定を行う。
フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り
込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長Lなどが計測される。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、投影面積Sから計算することができる。本発明における荷電制御剤の一次粒子の個数平均粒径(D1)は上記円相当径のことを指す。
トナー及び磁性粒子の真密度は、乾式自動密度計オートピクノメーター(ユアサアイオニクス社製)により測定した。条件は下記の通りである。
セル :SMセル(10mL)
サンプル量 :約2.0g(トナー)、約4.0g(磁性粒子)
この測定方法は、気相置換法に基づいて、固体・液体の真密度を測定するものである。液相置換法と同様、アルキメデスの原理に基づいているが、置換媒体としてガス(アルゴンガス)を用いるため、微細孔への精度が高い。
磁性粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行う。また装置には、真空ポンプ、窒素ガス配管及びヘリウムガス配管を接続する。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本願発明におけるBET比表面積とする。
具体的には、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、磁性粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)と磁性粒子の窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、磁性粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈される(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片の値を算出する。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解き、VmとCを算出する。
さらに、算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、磁性粒子のBET比表面積S(m2・g−1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。ロートを使ってこの試料セルの中に約2gの磁性粒子を入れる。
磁性粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。なお、真空脱気の際には、磁性粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。この試料セルの質量を精秤し、風袋との差から磁性粒子の正確な質量を算出する。なお、この際に、試料セル内の磁性粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入して磁性粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。なお、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したように磁性粒子のBET比表面積を算出する。
磁性粒子のBET比表面積の測定は、磁性粒子としては、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
トナー中のカーボンブラックの含有量の測定には、TGA(TA−Instruments社製2950型高分解能オート式)を用いた。トナーを窒素気流中で800℃まで昇温し、そのまま約30分間維持し、トナー樹脂分を取り除いた。更に残ったサンプルを2.7(mol/L)の塩酸に分散し、25℃で24時間静置し磁性体粒子を完全に溶解させた後濾過し、得られた残渣の重量をカーボンブラックの含有量とした。
<磁性粒子1Aの製造例>
(1)コア粒子の製造
Fe2+濃度が1.79mo1/Lの硫酸第一鉄水溶液92Lと、3.74mo1/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを加えて混合撹拌した。この溶液のpHは6.5であった。
この溶液を温度89℃、pH9〜12に維持しながら、20L/minの空気を吹き込み、酸化反応を起こさせてコア粒子を生成させた。水酸化第一鉄が完全に消費された時点で、空気の吹き込みを停止し、酸化反応を終了させた。得られたマグネタイトのコア粒子は八面体の形状を有するものであった。
(2)被覆層の形成
0.7mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液2Lと、0.9mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2Lを混合した後、水1Lを加え、水溶液5Lとし、13500gのコア粒子を含む反
応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。続いて、1.5mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液2Lと0.9mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2Lを混合した後、水1Lを加え、水溶液5Lとし、コア粒子を含む反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。スラリーの温度は89℃に維持した。30分混合撹拌後にスラリーを濾過して、洗浄、乾燥、粉砕し得られた磁性体をサンドミルMPUV−2(ヨドキャスティング社製)により圧密処理を実施して磁性粒子1Aを得た。
磁性粒子1Aの形状は八面体であり、平均高さ10.3nmの凸部を有し、個数平均粒径(D1)は120nmであった。
磁性粒子1Aの諸物性を表2に示す。磁性粒子1Aの凸部を観察した結果を図2に示す。
得られる磁性粒子が表2に記載の粒径・形状になる様にコア粒子の製造条件を適宜変更した以外は、磁性粒子1Aの製造例と同様にコア粒子を製造した後、表1に示す条件で被覆層を形成し磁性粒子2A〜15Aを得た。磁性粒子2A〜15Aの物性を表2に示す。磁性粒子2Aの表面を観察した結果を図3に示す。
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加)100.0mol部
・テレフタル酸 60.0mol部
・無水トリメリット酸 20.0mol部
・アクリル酸 10.0mol部
上記混合物60.0質量部を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌する。そこに、ビニル系共重合モノマー(スチレン)40.0質量部を重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド5.0質量部を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、160℃で3時間反応した後、230℃に昇温してジブチル錫オキシドを0.2質量%添加した。
反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕してハイブリッド樹脂1Aを得た。ハイブリッド樹脂1AのTgは55℃、Tmは119℃であった。
・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.2mol付加)60.0mol部
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 40.0mol部
・テレフタル酸 77.0mol部
上記ポリエステルモノマー混合物をモノマー総量に対して、0.2質量%のジブチル錫オキシドとともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付する。オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕してポリエステル樹脂1Aを得た。ポリエステル樹脂1AのTgは56℃、Tmは121℃であった。
(高分子量成分の製造例)
・スチレン:75.3質量部
・アクリル酸n−ブチル:20.0質量部
・マレイン酸モノブチル:4.7質量部
・ジビニルベンゼン:0.008質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
:0.150質量部
上記原材料を4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後、上記各成分を4時間かけて滴下した。更にキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた樹脂を高分子量成分とする。
(低分子量成分の製造例)
・スチレン:69.5質量部
・アクリル酸n−ブチル:22.0質量部
・マレイン酸モノブチル:8.5質量部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド:1.1質量部
上記原材料をキシレン200質量部中に4時間かけて滴下した。更に、キシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた樹脂を低分子量成分とする。
上記のようにして得られた、高分子量成分及び低分子量成分を、キシレン200質量部に対して、高分子量成分/低分子量成分を20質量部/80質量部の割合で混合溶解させる。昇温して還流下で12時間、撹拌混合した後、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷延・固化後、粉砕して、スチレンアクリル樹脂1Aを得た。スチレンアクリル樹脂1AのTgは55℃、Tmは120℃であった。
・ハイブリッド樹脂1:100質量部
・磁性粒子1A:40質量部
・フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製C105、融点:105℃):2質量部
・荷電制御剤(保土谷化学工業社製、T−77):2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径(D4)7.0μmのトナー粒子1Aを得た。
このトナー粒子1A:100質量部に負帯電性疎水性シリカ1.2質量部をヘンシェルミキサーで外添混合しトナー1Aを得た。このトナーを以下の項目について評価した。
トナー1Aの製造例から、用いる結着樹脂と磁性粒子の種類、磁性粒子の添加部数を表3のように変更した以外は、トナー1Aの製造例と同様にして、トナー2A〜13A、比較トナー1A〜8Aを得た。
本実施例において評価に用いるマシンは、市販の磁性一成分方式のプリンターHP LaserJet Enterprise600 M603dn(ヒューレットパッカード社製:プロセススピード350mm/s)を用いた。現像器に改造を施して、現像スリーブをスリーブ径が14mmのものに付け替え、スリーブ表面の磁束密度を80mTに変更したものを用いた(改造前は、スリーブ径:20mm、スリーブ表面の磁束密度:90mT)。トナー1Aを用いて下記の評価を実施した。評価結果を表4に示す。
ドット再現性の評価は、低温低湿環境下(15℃,10%RH)で実施した。印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計1000枚の画出しをする。24時間放置後、図4に示す80μm×50μmのチェッカー模様を1枚プリントし、光学顕微鏡により黒色部の欠損の有無を観察して評価した。低温低湿環境下で評価を実施した理由は、低温低湿環境下ではトナーが帯電しやすいために、トナー中の磁性粒子の分散性による帯電性の変化の影響を受けやすいためである。また24時間放置するのは、トナーの帯電緩和をすることで、トナー中の帯電性のばらつきをより顕著にするためである。
A:100個中欠損が4個以下
B:100個中欠損が5〜9個
C:100個中欠損が10〜14個
D:100個中欠損が15個以上
画像濃度一様性の評価は、高温高湿環境下(32℃,80%RH)で実施した。印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計9000枚の画出しをして、ベタ黒画像を1枚プリントアウトした。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、ベタ画像の反射濃度を測定することにより測定した。反射濃度の最大値と最小値の差を濃度一様性の指標とした。数値が小さい方が良いことを示す。
A:0.05未満
B:0.05以上、0.10未満
C:0.10以上、0.30未満
D:0.30以上
現像性の評価は低温低湿環境下(15℃,10%RH)で実施した。印字率1%となる横線パターンを連続で計1000枚の画出し後、画像濃度を測定した。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、5mm丸のベタ画像の反射濃度を測定することにより測定した。数値が大きい方が良いことを示す。
低温低湿環境下で印字率1%の連続通紙で評価を実施した理由は、トナーが帯電過剰となるチャージアップを起こしやすく、画像濃度を評価するのに厳しい条件だからである。
定着装置の定着温度を任意に設定できるように改造した。この装置を用いて、定着器の温度180℃以上230℃以下の範囲で5℃おきに温調して、普通紙(90g/m2)に画像濃度が0.60〜0.65となるようにハーフトーン画像を出力する。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる最も低い温度をもって、低温定着性の評価とした。この温度が低い方が低温定着性が良いことを示す。評価は常温常湿環境下(23℃,60%RH)で行った。
トナー2A〜13A、比較トナー1A〜8Aを用いて実施例1Aと同様の評価を実施した。
トナー12Aと比較トナー7Aの評価は、現像器のスリーブ径は14mmのまま、スリーブ表面の磁束密度を70mTに変更して評価を行った。
トナー13Aと比較トナー8Aの評価は、現像器のスリーブ径は14mmのまま、スリーブ表面の磁束密度を90mTに変更して評価を行った。
評価結果を表4に示す。
<磁性粒子1Bの製造例>
(1)コア粒子の製造
Fe2+濃度が1.79mo1/Lの硫酸第一鉄水溶液92Lと、3.74モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを加えて混合撹拌した。この溶液のpHは6.5であった。
この溶液を温度89℃、pH9〜12に維持しながら、20L/minの空気を吹き込み、酸化反応を起こさせてコア粒子を生成させた。水酸化第一鉄が完全に消費された時点で、空気の吹き込みを停止し、酸化反応を終了させた。得られたマグネタイトのコア粒子は八面体の形状を有するものであった。
(2)被覆層の形成
0.7mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液2Lと、0.9mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2Lを混合した後、水1Lを加え、水溶液5Lとし、13500gのコア粒子を含む反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。続いて、1.5mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液2Lと0.9mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2Lを混合した後、水1Lを加え、水溶液5Lとし、コア粒子を含む反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。スラリーの温度は89℃に維持した。30分混合撹拌後にスラリーを濾過して、洗浄、乾燥、粉砕し得られた磁性体をサンドミルMPUV−2(ヨドキャスティング社製)により圧密処理を実施して磁性粒子Bを得た。
磁性粒子1Bの形状は八面体であり、平均高さ10.3nmの凸部を有し、個数平均粒径は120nmであった。
磁性粒子1Bの諸物性を表6に示す。磁性粒子1Bの凸部を観察した結果を図2に示す。
得られる磁性粒子が表6に記載の粒径・形状になる様にコア粒子の製造条件を適宜変更した以外は、磁性粒子1Bの製造例と同様にコア粒子を製造した後、表5に示す条件で被覆層を形成し磁性粒子2B〜11Bを得た。磁性粒子2B〜11Bの物性を表6に示す。磁性粒子2Bの表面を観察した結果を図3に示す。
・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.2mol付加)60.0mol部
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 40.0mol部
・テレフタル酸 77.0mol部
上記ポリエステルモノマー混合物をモノマー総量に対して、0.2質量%のジブチル錫オキシドとともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕してポリエステル樹脂1Bを得た。ポリエステル樹脂1BのTgは56℃、Tmは121℃であった。
(1)ジアゾ化
水76.5部及び35%塩酸15.2部の混合溶液中に、4−クロロ−2−アミノフェノールの10部を加え、冷却下で撹拌した。氷冷し、溶液の温度が0℃〜5℃になるように維持し、水24.6部に溶解させた亜硝酸ナトリウム13.6部を塩酸水溶液に滴下し、2時間撹拌しジアゾ化した。これにスルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、濾過を行ってジアゾ溶液とした。
(2)カップリング反応
次に、3−メチル−1−(3,4−ジクロロフェニル)−5−ピラゾロンの12.0部を水87部、25%水酸化ナトリウム12.1部、炭酸ナトリウム4.9部、及びn−ブタノール104.6部の混合溶液に添加し溶解させた。そこに上記ジアゾ溶液を加え、温度20℃〜22℃で4時間攪拌し、カップリング反応を行った。その後、水92.8部、25%水酸化ナトリウム水溶液43.5部を加え攪拌洗浄し、下層の水層を分液除去した。
(3)錯体化
次に、水42.2部、サリチル酸5.9部、ブタノール24.6部、及び15%炭酸ナトリウム48.5部を上記反応液に添加し攪拌した。さらに、38%塩化第二鉄水溶液15.1部と15%炭酸ナトリウム18.0部を加え、酢酸で反応液のpHを4.5に調整した。液温を温度30℃に昇温した後、8時間攪拌し錯体化反応を行った。攪拌停止後、静置して下部水層を分液した。更に水189.9部を加え攪拌洗浄し、下部水層を分液した。濾過後、水253部でケーキを洗浄した。温度60℃で24時間真空乾燥の後、モノアゾ金属錯体化合物である荷電制御剤1を得た。荷電制御剤1の諸物性を表7に示す。
赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより、荷電制御剤1の構造を同定した。荷電制御剤1の構造を表7に示す。表7中の置換基A1、A2、A3の結合部位は、下記式[1]中の数字に対応している。
得られる荷電制御剤が表2に記載の粒径となるように、製造条件を適宜調整した以外は、荷電制御剤1の製造方法と同様にして荷電制御剤2、3を得た。荷電制御剤2、3の諸物性を表7に示す。
<荷電制御剤4の製造例>
荷電制御剤1の製造例において、(3)錯体化に用いるブタノールに変え、ヘキサノールを用いること以外は荷電制御剤1の製造方法と同様にして荷電制御剤4を得た。荷電制御剤4の諸物性を表7に示す。
荷電制御剤1の製造例において、(3)錯体化に用いるブタノールに変え、エタノール
を用いること以外は荷電制御剤1の製造方法と同様にして荷電制御剤5を得た。荷電制御剤5の諸物性を表7に示す。
<荷電制御剤6>
鉄アゾ錯体(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンS34)を用いた。荷電制御剤6の諸物性を表7に示す。
・ポリエステル樹脂1B:100質量部
・磁性粒子1B:40質量部
・フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製C105、融点:105℃):2質量部
・荷電制御剤1:2質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社(旧三井三池化工機(株))にて前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級することで、重量平均粒径(D4)7.0μmのトナー粒子1Bを得た。
このトナー粒子1B(100質量部)にBET法による比表面積が200m2/gである負帯電性疎水性シリカ1.2質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社(旧三井三池化工機(株))で外添混合を行うことで、トナー1Bを得た。
トナー1Bの製造例から、用いる荷電制御剤と磁性粒子の種類と添加量を表8のように変更した以外は、トナー1Bの製造例と同様にして、トナー2B〜16B、比較トナー1B〜5Bを得た。
トナー1Bを用いて以下の項目について評価を行った。
本実施例において評価に用いるマシンは、市販の磁性一成分方式のプリンターHP LaserJet Enterprise600 M603dn(ヒューレットパッカード社製:プロセススピード350mm/s)を用いた。現像器の現像スリーブ表面の磁束密度を80mTに変更して、トナー1Bを用いて下記の評価を実施した。評価結果を表9に示す。なお、ドット再現性の評価は上記トナー1Aと同様に実施した。
現像性の評価は低温低湿環境下(15℃,10%RH)で実施した。印字率1%となる横線パターンを連続で計1000枚の画出し後、画像濃度を測定した。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、5mm丸のベタ画像の反射濃度を測定することにより測定した。数値が大きい方が良いことを示す。
低温低湿環境下で印字率1%の連続通紙で評価を実施した理由は、トナーが帯電過剰となるチャージアップを起こしやすく、画像濃度を評価するのに厳しい条件だからである。評価基準は下記の通り。
A:1.40以上
B:1.35以上、1.40未満
定着装置の定着温度を任意に設定できるように改造した。この装置を用いて、定着器の温度180℃以上230℃以下の範囲で5℃おきに温調して、普通紙(90g/m2)に画像濃度が0.6〜0.65となるようにハーフトーン画像を出力する。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率ΔD(%)が10%になるときの温度を定着開始温度とした。下式により画像濃度の低下率ΔD(%)を算出した。定着開始温度が低いほど低温定着性に優れる。評価は常温常湿環境下(23℃,60%RH)で行った。
ΔD(%)=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)×100/摺擦前の画像濃度
低温定着性の評価基準は以下の通り。
A:210℃以下
B:210℃より大きく、215℃以下
ベタ黒画像の黒色度(a*、b*)評価は高温高湿環境下(32℃,80%RH)で実施した。印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計9000枚の画出しをして、画像濃度が1.20になるように現像バイアスを調整し、ベタ画像を1枚プリントアウトした。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、ベタ画像の反射濃度を5点測定した際の平均値で評価した。この時、低温定着性の評価で用いた定着画像のうち、前記ΔDが最小となった定着温度で評価を行った。高温高湿環境でトナーを評価した理由は、高温高湿環境ではトナーの帯電性が低くなるため、着色力が低い、又は帯電性が低い(トナー粒子内の磁性体、及び荷電制御剤の分散性が悪い)トナーの影響が画像の黒色度により顕著に表れるためである。
トナー画像の黒色度(a*)は以下の方法により測定した。
国際照明委員会で規格されたL*、a*、b*表色系において、赤又は緑の度合いを表すa*、b*で示される数値で黒色度を評価した。
黒色度の評価に際しては、a*、b*値を分光測色器Spectrolino(Gretag Macbeth社製)により測定した。a*、b*値が小さい数値ほど黒色度が強く、良好であることを表す。
測定条件
・光源 D50
・測定視野 2度
・白色基準 Abs
・フィルター No
(a*) の評価基準は下記の通り。
A:1.70未満
B:1.70以上、1.85未満
C:1.85以上、2.00未満
D:2.00以上、2.15未満
E:2.15以上
(b*)の評価基準は下記の通り。
A:0.00未満
B:0.00以上、0.10未満
C:0.10以上、0.20未満
D:0.20以上 、0.30未満
E:0.30以上
ベタ黒画像の濃度一様性の評価は、高温高湿環境下(32℃,80%RH)で実施した。印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計9000枚の画出しをして、画像濃度が1.20になるように現像バイアスを調整し、ベタ画像を1枚プリントアウトした。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、ベタ画像の反射濃度を測定することにより測定した。反射濃度の最大値と最小値の差を濃度一様性の指標とした。数値が小さい方が良いことを示す。高温高湿環境でトナーを評価した理由は、高温高湿環境ではトナーの帯電性が低くなるため、着色力が低い、又は帯電性が低い(トナー粒子内の磁性体、及び荷電制御剤の分散性
が悪い)トナーの影響が画像の濃度一様性により顕著に表れるためである。評価基準は下記の通り。
A:0.05未満
B:0.05以上、0.10未満
C:0.10以上、0.15未満
D:0.15以上
トナーとして、トナー2B〜16B、及び、比較トナー1B〜5Bを使用し、実施例1と同様の条件で実施例2B〜16B、及び、比較例1B〜5Bの評価を行った。評価結果を表9に示す。
<ポリエステル樹脂1Cの製造例>
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加)100.0mol部
・テレフタル酸 60.0mol部
・無水トリメリット酸 12.8mol部
・アクリル酸 10.0mol部
上記ポリエステルモノマーを4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌した。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕してポリエステル樹脂1Cを得た。ポリエステル樹脂1CのTgは55.0℃、Tmは118.8℃であった。
(1)コア粒子の製造
Fe2+濃度が1.79mo1/Lの硫酸第一鉄水溶液92Lと、3.74モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを加えて混合撹拌した。この溶液のpHは6.5であった。
この溶液を温度89℃、pH9〜12に維持しながら、20L/minの空気を吹き込み、酸化反応を起こさせてコア粒子を生成させた。水酸化第一鉄が完全に消費された時点で、空気の吹き込みを停止し、酸化反応を終了させた。得られたマグネタイトのコア粒子は八面体の形状を有するものであった。
(2)被覆層の形成
0.7mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液2Lと、0.9mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2Lを混合した後、水1Lを加え、水溶液5Lとし、13500gのコア粒子を含む反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。続いて、1.5mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液2Lと0.9mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2Lを混合した後、水1Lを加え、水溶液5Lとし、コア粒子を含む反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。スラリーの温度は89℃に維持した。30分混合撹拌後にスラリーを濾過して、洗浄、乾燥、粉砕し得られた磁性体をサンドミルMPUV−2(ヨドキャスティング社製)により圧密処理を実施して磁性粒子1Cを得た。
磁性粒子1Cの物性を表10に示す。磁性粒子1Cの凸部を観察した結果を図2に示す。
最終的に得られる磁性粒子が表10に記載した粒径・形状になるように、コア粒子の製造条件を適宜変更した以外は磁性粒子1Cの製造例と同様にコア粒子を製造した。その後、表11に示す条件で被覆層を形成し磁性粒子2C〜9Cを得た。磁性粒子2C〜9Cの物性を表10に示す。磁性粒子2Cの表面を観察した結果を図3に示す。
・結着樹脂(ポリエステル樹脂1C) 100.0質量部
・磁性粒子1C 40.0質量部
・カーボンブラック 2.0質量部
・離型剤(フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製、C105、融点105℃))
2.0質量部
・荷電制御剤(T−77:保土ヶ谷化学社製) 2.0質量部
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)で粉砕した。得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.0μmの負帯電性の原料トナー粒子を得た。
その原料トナー粒子を、表面改質装置ファカルティー(ホソカワミクロン社製)で表面改質処理を行った。その際、分散ローターの回転周速を150m/secとし、微粉砕品の投入量を1サイクル当たり7.6kgとし、表面改質時間(=サイクルタイム、原料供給が終了してから排出弁が開くまでの時間)を82secとした。またトナー粒子排出時
の温度は44℃であった。
以上の工程を経てトナー粒子1Cを得た。
得られたトナー粒子1C:100.0質量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子の個数平均粒子径:10nm)を1.3質量部添加した。これらをFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で3200rpmで10分間混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1Cを得た。
トナー1CのTgは61.2℃、Tmは115.0℃、真密度は1.51g/cm3であった。
トナー粒子1Cの製造において、カーボンブラックの添加部数及び磁性粒子の種類と添加部数を表4の様に変更した以外は、トナー1Cの製造例と同様にして、トナー2C〜20Cを得た。トナー2C〜20Cの物性を表12に示す。
トナー1Cを以下の様に評価した。
全ての項目の評価機としてHP LaserJet EnterpriseM602dnと所定のカートリッジ(HP社製)を改造して使用した。HP LaserJet EnterpriseM602dn本体は本来のプロセススピードよりも高速である460mm/sに改造した。プロセススピードが高速化することで紙が定着器を通過する時間が短くなる為、低温定着に関してはより厳しい評価となる。また消費量・カブリに関しても現像スリーブからのトナーの飛散が増加し、より厳しい評価となる。なお、濃度一様性及びドット再現性の評価については、上記トナー1Aと同様に実施した。
低温低湿環境下(15.0℃/10%RH)に1日放置した後、同環境でカブリの評価を行った。低温低湿環境下の方がトナーが帯電し易く帯電分布がブロードになりカブリが悪化し易くより厳しい評価となる。紙種はSpringhill Digital Index White を使用した。
カブリの試験として具体的にはベタ白画像を出力し、その反射率を東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、ベタ白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。ベタ白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%) = 標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
カブリ試験は耐久初期及び印字率4%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブ間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで1000枚出力後に行った。
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
・a:非常に良好(1.5%未満)
・b:良好(1.5%以上2.0%未満)
・c:普通(2.0%以上2.5%未満)
・d:劣る(2.5%以上)
トナー消費量は印字率4%の画像を1500枚通紙した際の現像器のトナーの減少量を求め、通紙枚数で除してトナー消費量を算出した。なお、紙種はXerox4200(ゼロックス社製、75g/m2紙)を用いた。トナー消費量の判断基準は以下の通りである。
・a:トナー消費量は27.5mg/page以下
・b:トナー消費量は27.5mg/pageより多く、30.0mg/page以下
・c:トナー消費量が30.0mg/pageより多く、32.5mg/page以下
・d:トナー消費量が32.5mg/pageより多く、35.0mg/page以下
評価機の定着器の温度170℃以上220℃以下の範囲で5℃おきに温調して、ボンド紙(坪量75g/m2)に画像濃度が0.60〜0.65となるようにハーフトーン画像を出力する。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率を測定した。
定着器の設定温度横軸に、濃度低下率を縦軸にして座標平面にプロットし、全てのプロットを直線で繋ぎ、濃度低下率10%の時の定着器の設定温度をトナーの定着開始温度とし、下記の基準により低温定着性を評価した。定着開始温度が低い方が低温定着性が良いことを示す。低温定着性の評価は低温低湿環境下(7.5℃/15%RH)で行った。
・a:定着開始温度が205℃未満
・b:定着開始温度が205℃以上210℃未満
・c:定着開始温度が210℃以上215℃未満
・d:定着開始温度が215℃以上
評価結果を表13に示す。
トナー2C〜20Cを用いる以外は実施例1Cと同様にして評価を行った。評価結果を表13に示す。
Claims (14)
- 結着樹脂と、磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は、ポリエステル部位を有する樹脂を含有し、
該磁性粒子25質量部をイソプロピルアルコール75質量部に分散させた後、静置し、該磁性粒子の沈殿部分の体積について経時変化を測定したイソプロピルアルコール沈降試験において、静置して10分後のイソプロピルアルコールと該磁性粒子との混合物の体積をIPA、該磁性粒子の沈殿部分の体積をVIPAとしたとき、該VIPAと該IPAとの比(VIPA/IPA)が0.45以下であり、
該磁性粒子の粉体流動性測定装置により測定されるTotal Energyが、50mJ以上130mJ以下であることを特徴とするトナー。 - 前記磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)が、50nm以上200nm以下である請求項1に記載のトナー。
- 前記磁性粒子が八面体形状である請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記磁性粒子が、八面体における平面部に凸部を有する請求項3に記載のトナー。
- 前記磁性粒子が、マグネタイト粒子をコアとし、該マグネタイト粒子の表面に被覆層を有し、
該被覆層が、
鉄を含む酸化物に加え、
ケイ素を含む酸化物及びアルミニウムを含む酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。 - 前記結着樹脂が、ポリエステル部位とビニル系部位が化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記トナー粒子が荷電制御剤を含有し、
該荷電制御剤のイソプロピルアルコールに対する溶解度が、4.0×10−3(g/100g イソプロピルアルコール)以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。 - 前記荷電制御剤の一次粒子の個数平均粒径(D1)が、0.80μm以上2.00μm以下である請求項7に記載のトナー。
- 前記荷電制御剤をイソプロピルアルコールに分散させた溶液が、波長435nm以上445nm以下に吸光度のピークを持つ請求項7又は8に記載のトナー。
- 前記トナー粒子がカーボンブラックを含有し、
前記トナーの真密度が、1.40g/cm3以上1.75g/cm3以下である請求項1〜11のいずれか一項に記載のトナー。 - 前記磁性粒子のBET比表面積が、6.0m2/g以上20.0m2/g以下である請
求項1〜12のいずれか一項に記載のトナー。 - 前記トナーが、前記結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10.0質量部以下のカーボンブラックを含有する請求項12又は13に記載のトナー。
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