本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子と、複合無機微粉体とを少なくとも有する。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子の結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、エポキシ樹脂、又はビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリット樹脂を含む結着樹脂が好ましい。
前記結着樹脂にポリエステル系の樹脂を用いる場合は、原料モノマーとして、アルコールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が用いられる。
2価アルコール成分の具体的例には、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が含まれる。
3価以上のアルコール成分の例には、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が含まれる。
カルボン酸成分の例には、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;炭素数6乃至12のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類またはその無水物;が含まれる。
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分の例には、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、および、これらの無水物やエステル化合物が含まれる。3価以上の多価カルボン酸成分の使用量は、全モノマー基準で0.1乃至1.9mol%が好ましい。
それらの中でも、特に、下記一般式(イ)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、良好な帯電特性を有するので好ましい。
また、前記結着樹脂にビニル系共重合体樹脂を用いる場合、ビニル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーの例には、次のようなものが含まれる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が含まれる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが含まれる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが含まれる。
前記ビニル系共重合体樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤の例には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等のエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等の芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが含まれる。
多官能の架橋剤の例には、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが含まれる。
前記ビニル系共重合体樹脂を製造する場合に用いられる重合開始剤の例には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが含まれる。
さらに、前記結着樹脂にポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂を用いる場合は、さらに良好な耐久性が期待できる。本発明における「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂成分を意味する。具体的には、ハイブリッド樹脂成分とは、ポリエステルユニットと、(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものである。好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)である。
尚、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系共重合体ユニット」とはビニル系共重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーは、上述した多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系共重合体ユニットを構成するモノマーは、上述したビニル基を有するモノマー成分である。
前記結着樹脂にハイブリット樹脂を用いる場合は、ビニル系重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系重合体成分と反応し得るものの例には、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが含まれる。ビニル系重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものの例には、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するビニルモノマーや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が含まれる。
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物、すなわち、ハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応し得るモノマー成分を含むポリマーの存在下、どちらか一方もしくは両方の樹脂を重合反応させることにより得る方法が好ましい。
トナー粒子に含まれるハイブリッド樹脂の製造方法の例には、以下の(1)〜(6)に示す製造方法が含まれる。
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造した後にブレンドして得る方法である。ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分としては、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができる。
(2)ビニル系重合体を製造した後に、この存在下にポリエステル樹脂及び/又はハイブリッド樹脂成分を反応させて、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂を得る方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルユニットとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂を製造した後に、この存在下にビニル系重合体及び/又はハイブリッド樹脂成分を反応させて、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を得る方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(4)ビニル系重合体樹脂及びポリエステル樹脂をそれぞれ製造した後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加し、反応させることによりビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造した後に、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂が製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(5)の製造方法において、分子量、架橋度が異なる複数のビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットを用いてハイブリッド樹脂を製造してもよい。
前記結着樹脂のガラス転移温度は40乃至90℃が好ましく、より好ましくは45乃至85℃である。前記結着樹脂の酸価は1乃至40mgKOH/gであることが好ましい。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じて離型剤を添加することができる。
本発明に使用可能な離型剤の例には次のものが含まれる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックス、又はその酸化物のブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが含まれる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが含まれる。これら離型剤のうち必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させることができる。
前記離型剤の好ましい添加量は、結着樹脂100質量部あたり0.1乃至20質量部であり、さらに好ましくは0.5乃至10質量部である。
また、これらの離型剤は、通常、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法でトナー粒子に含有させることができる。
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤の例には、次のものが含まれる。
トナーを負荷電性に制御する負荷電性制御剤としては、有機金属錯体又はキレート化合物が有効である。負荷電性制御剤の例には、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が含まれる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェノール誘導体類が含まれる。
トナーを正荷電性に制御する正荷電性制御剤の例には、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのキレート顔料として、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等)、高級脂肪酸の金属塩として、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキシド等のジオルガノスズオキサイドやジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートが含まれる。
前記荷電制御剤の好ましい含有量は、結着樹脂100質量部あたり0.5乃至10質量部である。荷電制御剤の量が0.5質量部未満の場合は、十分な帯電特性が得られないことがあり好ましくなく、10質量部を超える場合は、他材料との相溶性が悪化したり、低湿下において帯電過剰になったりすることがあり好ましくない。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じて磁性体を添加することができる。前記磁性体は、マグネタイト、マグヘマタイト、フェライト等の磁性酸化物及びその混合物が好ましく用いられる。
前記磁性体の例には、リチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウ、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、バリウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ガリウム、インジウム、銀、パラジウム、金、白金、タングステン、モリブデン、ニオブ、オスミニウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ビスマス等からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄が含まれる。なかでも、リチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、バリウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ストロンチウム、ビスマス及び亜鉛が好ましい。特に好ましくは、異種元素としてマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン及びジルコニウムから選択される元素を含有する磁性酸化鉄である。これらの元素は酸化鉄結晶格子に取り込まれてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在してもよいが、酸化物として酸化鉄に含有されることが好ましい。
これらの磁性体の好ましい個数平均粒径は0.05乃至1.0μmであり、さらに好ましくは0.1乃至0.5μmである。磁性体の好ましい窒素吸着によるBET比表面積は2乃至40m2/gであり、さらに好ましくは4乃至20m2/gである。磁性体の好ましい磁気特性は、磁場795.8kA/mで測定した飽和磁化が10乃至200Am2/kgであり、さらに好ましくは70乃至100Am2/kgである。好ましい残留磁化は1乃至100Am2/kgであり、さらに好ましくは2乃至20Am2/kgである。好ましい抗磁力は1乃至30kA/mであり、さらに好ましくは2乃至15kA/mである。磁性体の好ましい含有量は結着樹脂100質量部に対して20乃至200質量部である。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じて着色剤を添加することができる。前記着色剤として、任意の適当な顔料または染料を用いることができる。
前記顔料の例には、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンイエロー、アリザリンイエロー、ベンガラ、フタロシアニンブルー等が含まれる。顔料の好ましい添加量は結着樹脂100質量部に対して0.1乃至20質量部であり、さらに好ましくは0.2乃至10質量部である。
また、前記染料の例には、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料等が含まれる。染料の好ましい添加量は結着樹脂100質量部に対して0.1乃至20質量部であり、さらに好ましくは0.3乃至10質量部である。
前述の通り、本発明のトナーには、下記式(1)の複合無機微粉体が含まれる。
〔SrO〕1-X〔M2O3〕X〔TiO2〕 (1)
〔式中、MはAl、及びFeからなるグループから選択される金属元素を示す。Xは、0.01乃至0.20である。〕
前記複合無機微粉体はチタン酸ストロンチウムとアルミナ、または酸化鉄の混晶体である。これら帯電能の異なる2成分の混晶により、再転写防止効果を発揮する。また、チタン酸ストロンチウムは安定した結晶構造を有するため、例えば、現像工程における現像ローラとブレード近接部等の機械的ストレスが強くかかる環境においても構造が変化することなく、長期に渡り帯電緩和による現像剤への均一帯電付与効果を維持することができる。
本発明のトナーに含まれる複合無機微粉体は、CuKα特性X線回折パターンにおいてブラッグ角(2θ±0.20deg)の32.20degに最大ピークを有し、43.20degまたは25.80degの少なくとも一方にピークを有し、且つ、該ブラッグ角(2θ±0.20deg)=32.20degにおけるX線回折ピークの半値幅が0.20乃至0.30degであることを特徴とする。本発明のトナーは、上記複合無機微粉体を含有することにより、トナー表面の帯電が均一化され、静電凝集が緩和される。
前記32.20degのピークはチタン酸ストロンチウム結晶の(1,1,0)面ピークに起因し、前記43.20degのピークはアルミナに起因し、前記25.80degのピークは酸化鉄に起因する。前記32.20degに最大ピークを有することは、複合無機微粉体が、チタン酸ストロンチウムの結晶構造を主体としていることをあらわす。
前記ピーク半値幅が0.30deg未満であることは、格子欠陥等が少なく、チタン酸ストロンチウム結晶性が高いことを示す。前記ピーク半値幅が0.30deg以上の場合は、チタン酸ストロンチウムの結晶格子欠陥により耐水性が弱くなり、吸湿による水和が発生し易く、トナーの帯電低下を引き起こしやすい。また、チタン酸ストロンチウムが安定した構造を維持できないため、機械的ストレスに弱く、長期の使用において安定した効果を維持することができない。また、前記ピーク半値幅が0.20deg未満の場合は、チタン酸ストロンチウム結晶粒子径が大きくなり、トナー中でのチタン酸ストロンチウムの分散が不十分となるため、トナーの帯電が不均一となり、画像濃度の低下、カブリ等が発生する。
本発明のトナーに含まれる複合無機微粉体のCuKα特性X線回折パターンにおいて、ブラッグ角(2θ±0.20deg)=32.20degのピークの強度レベル(Ia)、43.20degのピークの強度レベル(Ib)及び25.80degのピークの強度レベル(Ic)が下記式
0.005<(Ib)/(Ia)<0.050
0.010<(Ic)/(Ia)<0.100
を満たすことが好ましい。
(Ib)/(Ia)が0.050以上、すなわち、アルミナのピーク強度とチタン酸ストロンチウムのピーク強度比が0.050以上の場合、複合無機微粉体の粒子硬度が低くなり、高温環境下において現像ローラやブレードに付着した現像剤の掻き取り効果が低下する。これにより、現像剤が帯電不良を引き起こし、画質、画像濃度、カブリ等へ悪影響を及ぼし易くなる。また、前記(Ib)/(Ia)が0.005以下の場合、トナー粒子への帯電緩和効果が低くなり静電凝集が発生し、現像剤の搬送不良から画像ムラ等が発生し易い。
また、(Ic)/(Ia)が0.100以上、すなわち、酸化鉄のピーク強度とチタン酸ストロンチウムのピーク強度比が0.100以上の場合、高湿環境下において現像剤の帯電量不足が発生し、画像濃度の低下やカブリ現象等を引き起こし易い。また、前記(Ic)/(Ia)が0.010未満の場合、同様に帯電緩和効果が低くなり静電凝集が発生し、画質の低下や画像ムラが発生し易くなる。
本発明におけるX線回折測定は以下の方法で行う。
[外添剤サンプルの調製]
1)500mlのビーカーに3gの現像剤を入れ、該現像剤3gに対して200mlのTHF(テトラヒドロキシフラン)を加える。
2)上記1)で得られた溶液に超音波を3分間照射し、現像剤を分散させ、外添剤を遊離させる。
3)上記2)で得られた、遊離した外添剤を含むTHF上澄み溶液をデカンテーションにより分離し、サンプル溶液とする。
4)上記3)の操作で残ったトナー粒子に再びTHFを200ml加え、2)、3)の操作を繰り返す(3回程度)。
5)上記1)乃至4)の操作を、必要量のサンプル溶液が得られるまで繰り返す。
6)得られたサンプル溶液(遊離した外添剤を含むTHF上澄み溶液)を2μmのメンブレンフィルターを用いて、真空ろ過し、固形分を回収して外添剤サンプルを得る。
得られた外添剤サンプルを、CuKα線を用いてX線回折測定を行う。X線回折測定は、例えば、リガク社製/試料水平型強力X線回折装置(RINT TTRII)を用いて、以下の条件で行う。
[X線回折の測定条件]
管球:Cu
平行ビーム光学系
電圧:50kV
電流:300mA
開始角度:30°
終了角度:50°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:4.00°/min
発散スリット:開放
発散縦スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:1.0mm
得られたX線回折ピークの帰属、半値幅の算出は、リガク製解析ソフト「Jade6」を用いて行う。また同様にピーク強度は、同ソフトによりピーク分離を行いピーク面積により算出する。
本発明のトナーに含まれる複合無機微粉体の個数平均粒子径は50nm以上1000nm未満であることが好ましい。複合無機微粉体の個数平均粒子径が50nm未満の場合は、複合無機微粉体の比表面積が増大し、吸湿特性が悪化し、トナーの帯電低下を引き起こし易くなる。また、本体部材への付着により画像の乱れを引き起こし、更には、本体部材の寿命を縮める原因となり易い。1000nm以上の場合は、トナー粒子への帯電緩和効果が低下し、静電凝集が発生し、画像ムラ、画質低下が発生し易くなる。
本発明における複合無機微粉体の個数平均粒子径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から無作為に100個のサンプルを取り出し、球状粒子に関してはその直径、楕円形球状粒子に関しては短径と長径の平均値をもって、前記粒子の粒径とし、それらの平均の値を求め個数平均粒径として、その平均を求めた。
本発明のトナーに含まれる複合無機微粉末の好ましい含有量はトナー粒子100質量部に対して0.01乃至5.0質量部であり、より好ましくは0.05乃至3.0質量部である。
複合無機微粉末の含有量が5.0質量部よりも大きいと、トナーの帯電のバランスが崩れ、濃度低下やカブリなどの問題が生じ易くなる。複合無機微粉体の含有量が0.01質量部よりも小さいと、複合無機微粉体の効果が発現し難く、現像器内で静電凝集が発生し、これによる画像ムラ等が発生し易くなる。
本発明のトナーに含まれる前記複合無機微粉体は、前記の要件を満足する限り、その調製法は特に制限を受けないが、例えば、以下の方法で製造される。
一般的なチタン酸ストロンチウム粒子の製造方法として、酸化チタンと炭酸ストロンチウムとの固相反応後、焼結する方法が挙げられる。この製造方法において採用される公知の反応は下記式
TiO2+SrCO3→SrTiO3+CO2
によって表すことができる。
すなわち、酸化チタンと炭酸ストロンチウムを含む混合物を洗浄、乾燥後、焼結させて、機械粉砕、分級を行い、作製される。この時、原材料に所望量のアルミナまたは酸化鉄を加えることにより、チタン酸ストロンチウムとアルミナまたは酸化鉄を含有する複合無機微粉体を得ることができる。
この場合の原料である炭酸ストロンチウムは、SrCO3組成を有する物質であれば、特に制限されず、何れの市販のものも用いることができる。炭酸ストロンチウムの好ましい粒径は30乃至300nmであり、さらに好ましくは50乃至150nmである。
また、この場合の原料である酸化チタンは、TiO2組成を有する物質であれば特に制限されない。前記酸化チタンの例には、硫酸法によって得られたメタチタン酸スラリー(未乾燥の含水酸化チタン)、酸化チタン粉体などが含まれる。好ましい酸化チタンは、硫酸法によって得られたメタチタン酸スラリーである。これは、水系湿式中での均一分散性に優れているためである。酸化チタンの好ましい粒径は20乃至50nmである。
前記により得られるチタン酸ストロンチウムをアルミナとの混晶体にするために加えるアルミナは、Al2O3組成を有する物質であれば特に制限されず何れの市販のものも用いることができ、または調製の工程で反応によってAl2O3となるAlを含んだ何れの物質であっても構わない。
チタン酸ストロンチウムを酸化鉄との混晶体にするために加える酸化鉄は、Fe2O3組成を有する物質であれば特に制限されず何れの市販のものも用いることができ、または調製の工程で反応によってFe2O3となるFeを含んだ何れの物質であっても構わない。
これら必須原料のモル比率は特に制限されないが、好ましくはTiO2:SrCO3=1:0.80〜1:1.10であり、TiO2:Al2O3=1:0.02〜0.20、TiO2:Fe2O3=1:0.015〜0.15である。
前記焼結は、複合無機微粉体が前記要件を満足する限り、その焼成条件に制限はないが、好ましい焼成温度は500〜1300℃であり、更に好ましくは650〜1100℃である。焼成温度が1300℃より高いと、粒子間での焼結による2次凝集化が起こり易くなり粉砕工程における負荷が大きくなる。また、焼成温度が600℃より低いと、未反応成分が多く残り、安定したチタン酸ストロンチウム粒子の製造が困難である。
また、好ましい焼成時間は0.5〜16時間であり、更に好ましくは1乃至10時間である。焼成時間が16時間より長いと粒子間での焼結による2次凝集が起こりやすくなり粉砕工程における負荷が大きくなり、焼成時間が0.5時間より短いと未反応部分が多く残り、安定したチタン酸ストロンチウム粒子の製造が困難である。
本発明のトナーに含まれる複合無機微粉体以外に、その他の外添剤として、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機酸化物、カーボンブラック、フッ化カーボン等の微粒径の無機微粉体をトナー粒子に外添してもよい。これらは、現像剤に流動性および帯電性などを付与する。
トナー粒子表面に分散されたシリカ微粉体、アルミナ微粉体または酸化チタン微粉体が細かい粒子であると、これら微粉体は高いトナーへの流動性付与効果を有するので、これら微粉体は細かい粒子であることが好ましい。これら微粉体の好ましい個数平均粒径は5乃至100nmであり、さらに好ましくは5乃至50nmである。
これら無機微粉体の好ましい添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.03乃至5質量部である。該無機微粉体の添加量が0.03質量部未満の場合は、十分な流動性付与効果を得ることができないことが多い。また、5質量部以上の場合は、トナーの圧縮指数が高くなり、トナーが締まり易くなるとともに、過剰な外添剤が遊離し、悪影響を及ぼし易い。
本発明のトナーは流動性向上剤を添加してもよい。前記流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が向上し得るものである。前記流動性向上剤の例には、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ;微粉末酸化チタン;微粉末アルミナ;それらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ等が含まれる。
また、好ましい流動性向上剤は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は下記式
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
で表される。
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の金属複合シリカを得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。
流動性向上剤の粒径は、平均の一次粒径として、0.001乃至2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002乃至0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
上記ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体の例には、以下のような商品名のものが含まれる。
AEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84;Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5;(WACKER−CHEMIE GMBH社)HDK、N20、N15、N20E、T30、T40;D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社);Fransol(Fransil社)等が含まれる。
流動性向上剤の疎水化は、シリカ微粉体と反応、あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって行われる。好ましい疎水化流動性向上剤は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理したものである。
前記有機ケイ素化合物の例には、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位のSiにそれぞれ水酸基を一つずつ有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが含まれる。これらは一種あるいは二種以上の混合物で用いられる。
流動性向上剤の好ましい比表面積は30m2/g以上、さらに好ましくは50m2/g以上である。この比表面積は、窒素吸着によるBET法で測定される。流動性向上剤の好ましい添加量はトナー100質量部に対して0.01乃至8質量部であり、更には好ましくは0.1乃至4質量部である。
本発明のトナーに用いられる流動性向上剤の好ましい疎水化度は、粉体濡れ性試験機(WET−100P、レスカ社製)を用いた測定において、100mlのビーカーに純水(イオン交換水または市販の精製水)50mlを入れ、無機微粉体0.2gを精秤して添加し、撹拌しながらメタノールを3ml/分の割合で滴下し、透過率が80%を示した時点のメタノール濃度(%)において30%以上であり、好ましくは50%以上である。疎水化処理剤としては、含ケイ素表面処理剤であるシラン化合物とシリコーンオイルが好ましい。
該含ケイ素表面処理剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン当のアルキルアルコキシシラン;ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチレンジメチルクロルシラン、アリルフェニルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジビニルクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン等のシランカップリング剤が含まれる。
本発明のトナーの、フロー式粒子像測定装置における円相当径3μm以上の粒子において、粒度分布の粗大粒子率30%以上の粒子は、平均円形度0.920以上の粒子を60乃至90質量%含有することが好ましい。更に、65乃至85質量%含有することがより好ましく、70乃至80質量%含有することが更に好ましい。トナー中の粗大粒子の形状を制御することにより、本発明における複合無機微粉体の能力が十分に発揮され、現像器内の現像剤を均一に帯電させ、静電凝集による現像剤の搬送不良をなくすことができる。通常、摩擦帯電系においてはトナー中の粒子が微小粒子であるほど、粗大粒子と比較して、比表面積が大きいので迅速に帯電し易い。そのため微小粒子−粗大粒子間で帯電のバラツキが発生するが、本発明の如く、トナー中の粗大粒子の形状を制御することにより、粗大粒子の帯電量を均一化すると共に、粗大粒子の流動度が増す。更には複合無機微粉体のトナー粒子表面への付着量を微小粒子−粗大粒子間で均一化することが可能となり、現像器内での循環によりトナー間での帯電緩和を起こさせ、擬似的均一帯電状態にすることができる。
トナーの、フロー式粒子像測定装置における円相当径3μm以上の粒子において、粒度分布の粗大粒子率30%以上の粒子の平均円形度0.920以上の粒子含有率が60wt%未満の場合、粗大粒子が不均一な粒子形状となり、現像剤は安定的な帯電ができず、それにより画像ムラ、カブリ等が発生し易い。また、平均円形度0.920以上の粒子含有率が90wt%を超える場合、現像器内にて、トナーがパッキングし易くなり、同様に均一帯電しにくくなると共に、現像剤担持体への、現像剤の付着・固着が発生し易くなる。
本発明のトナーの、フロー式粒子像測定装置における円相当径3μm以上の粒子の平均円形度aと、円相当径3μm以上の粒子において、粒度分布の粗大粒子率30%以上の粒子の平均円形度bが、現像剤の均一帯電を高度に達成する上で下記式
0.975<b/a<1.01
を満足することが好ましい。
b/aが上記の範囲にあることは、粗大粒子と微小粒子が同等の形状を有していることであり、現像器内での、現像剤の流動を均一化し、摩擦帯電機会を同一化し、現像器内のトナーの帯電を高度に均一化することができる。
本発明におけるトナーの平均円形度及び円相当径の測定は、次の条件で測定する。
本発明における平均円形度は、粒子の形状定量的に表現できる簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA2100」を用いて測定を行い、測定された粒子の円相当径は下式(1)により求められ、円形度は下式(2)により求め、平均円形度は下式(3)で示すように測定された全粒子の円形度の総和と定義した。
下式において「粒子投影面積」とは二値化された粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義される。測定は512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理したときの粒子像の周囲長を用いる。
上式(3)において、ciは円形度分布の分割点iでの円形度の中心値を表し、fciは頻度を表し、mは測定粒子数を表す。
本発明に用いている円形度はトナーの凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値を示す。また、本発明における円形度分布のSDは、バラツキの指標であり、数値が小さいほどトナー形状のバラツキが小さいことを表す。
本発明のトナーの平均円形度などの測定に用いられる「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出した後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4乃至1.0を61分割したクラスに振り分ける。各クラスの分割点の中心値と、各クラスに振り分けられた粒子の個数を用いて、平均円形度及び円形度標準偏差を算出する方法を用いている。しかしながら、この算出法で得られる平均円形度と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって得られる平均円形度の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度である。従って、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用しており、一部変更したこのような算出法を用いても良い。さらに本発明のトナーの平均円形度などの測定に用いられる「FPIA−2100」は、従来からトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μmに)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度の向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補足を達成している。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100を用いることが好ましい。
FPIA2100の具体的な測定方法としては、常温常湿環境下(23℃、50%RH)にて予め容器中の不純物を除去した水100乃至150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1乃至0.5ml加え、更に測定試料を0.1乃至0.5g程度加える。超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、超音波(50kHz,120W)を2分間照射し、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
分散液濃度を1.2乃至2.0万個/μlとして試料分散液を作製し、上記フロー式粒子像測定装置を用い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の円形度分布を測定する。
上記フロー式粒子像測定装置を用いた測定の概略は、以下の通りである。
試料分散液は、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
この方法により得られたデータを用い、円相当径3.00μm未満をカットした上で、本発明のトナー全体の平均円形度円相当径の個数基準で粗大粒子側30%の平均円形度及び円形度0.920以上の粒子の個数基準での累積値を算出する。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行い、更に複合無機微粉体と必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合し、作製される。
前記混合機の例には、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサ一(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が含まれ、混練機の例には、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が含まれ、粉砕機の例には、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザー(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製)が含まれ、分級機の例には、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が含まれ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置の例には、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が含まれる。
特に、本発明の好ましい形態である粗大粒子の形状を制御したトナーの製造方法に使用される粉砕手段としては機械式粉砕機を用いることが好ましい。前記機械式粉砕機の例には、ホソカワミクロン(株)製粉砕機イノマイザー、川崎重工業(株)製粉砕機KTM、ターボ工業(株)製ターボミルなどが含まれる。これらの装置をそのまま、あるいは適宜改良して使用することが好ましい。
本発明においては、これらの中でも図1、図2及び図3に示したような機械式粉砕機を用いることが、粗大粒子の形状制御及び粉体原料の粉砕処理を容易に行うことが出来るので効率向上が図られ、好ましい。
以下、図1、図2及び図3に示した機械式粉砕機について説明する。図1は、本発明において使用される機械式粉砕機の一例の概略断面図を示しており、図2は図1におけるD−D’面での概略的断面図を示しており、図3は図1に示す回転子314の斜視図を示している。機械式粉砕機は、図1に示されている様に、ケーシング313、ジャケット316、ディストリビュータ220、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、更に、被処理原料を導入する為の原料投入口311、処理後の粉体を排出する為の原料排出口302とから構成されている。
以上のように構成してなる機械式粉砕機での粉砕操作は、例えば次のようにして行う。
図1に示した機械式粉砕機の粉体入口311から、所定量の粉体原料が投入されると、粒子は、粉砕処理室内に導入され、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314と、表面に多数の溝が設けられている固定子310との間に発生する回転子と粉末、又は固定子と粉末との衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。その後、原料排出口302を通り、排出される。トナー粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口302、パイプ219、捕集サイクロン229、バグフィルター222、及び吸引フィルター224を通って装置システムの系外に排出される。本発明においては、この様にして、粉体原料の粉砕が行われる為、微粉及び粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことが出来る。この搬送エアーの流量を調整することにより、特にトナー粒子の粗大粒子の形状を制御することができる。
また、粉体原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、冷風発生手段321により、粉体原料と共に、機械式粉砕機内に冷風を送風することが好ましい。更に、その冷風の温度は、0乃至−18℃であることが好ましい。
更に、機械式粉砕機本体の機内冷却手段として、機械式粉砕機はジャケット構造316を有する構造とし、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通水することが好ましい。更に、上記の冷風装置及びジャケット構造により、機械式粉砕機内の粉体導入口に連通する渦巻室212内の好ましい室温Tは0℃以下、より好ましくは−5乃至−15℃、更に好ましくは−7乃至−12℃である。粉砕機内の渦巻室の室温T1を0℃以下、より好ましくは−5乃至−15℃、更に好ましくは−7乃至−12℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができるのでトナー生産性という点からこの範囲の室温が好ましい。粉砕機内の渦巻室の室温T1が0℃を超える場合は、粉砕時に熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。また、粉砕機内の渦巻室の室温T1を−15℃より低い温度で運転する場合、上記冷風発生手段321で使用している冷媒(代替フロン)をフロンに変更しなければならない。
現在、オゾン層保護の観点からフロンの撤廃が進められており、上記冷風発生手段321の冷媒にフロンを使用することは地球全体の環境問題という点から好ましくない。
代替フロンの例には、R134A、R404A、R407C、R410A、R507A、R717等が含まれるが、この中では省エネルギー性や安全性という点から、特にR404Aが好ましい。
なお、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)は、冷却水供給口317よりジャケット内部に供給され、冷却水排出口318より排出される。
また、機械式粉砕機内で生成した微粉砕物は、機械式粉砕機の後室320を経由して粉体排出口302から機外へ排出される。その際、機械式粉砕機の後室320の好ましい室温T2は30〜60℃である。機械式粉砕機の後室320の室温T2を30〜60℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができ、トナー生産性という点からこの範囲の室温が好ましい。機械式粉砕機の温度T2が30℃より小さい場合、粉砕されずにショートパスを起こしている可能性があり、トナー性能という点から好ましくない。また、60℃より大きい場合、粉砕時に過粉砕されている可能性があり、熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
また、粉体原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1と後室320の室温T2の好ましい温度差ΔT(T2−T1)は40乃至70℃であり、より好ましくは42乃至67℃、更に好ましくは45乃至65℃である。機械式粉砕機の温度T1と温度T2とのΔTを40乃至70℃、より好ましくは42乃至67℃、更に好ましくは45乃至65℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができ、トナー生産性という点からこの範囲の温度差ΔTが好ましい。機械式粉砕機の温度T1と温度T2とのΔTが40℃より小さい場合、粉砕されずにショートパスを起こしている可能性があり、トナー性能という点から好ましくない。また、70℃より大きい場合、粉砕時に過粉砕されている可能性があり、熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
また、粉体原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、結着樹脂の好ましいガラス転移点(Tg)は45〜75℃、更に好ましくは55乃至65℃である。また、機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1は、0℃以下であり、且つ前記Tgよりも60乃至75℃低くすることがトナー生産性という点から好ましい。機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1を0℃以下であり、且つTgよりも60乃至75℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができる。また、機械式粉砕機の後室320の室温T2は、Tgよりも5乃至30℃、更には、10乃至20℃低いことが好ましい。機械式粉砕機の後室320の室温T2をTgよりも5乃至30℃、より好ましくは10乃至20℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができる。
また、回転する回転子314の好ましい先端周速は80乃至180m/secであり、より好ましくは90乃至170m/sec、更に好ましくは100乃至160m/secである。回転する回転子314の先端周速を80乃至180m/sec、より好ましくは90乃至170m/sec、更に好ましくは100乃至160m/secとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができ、トナー生産性という点からこの範囲の先端周速にすることが好ましい。回転子の先端周速が80m/secより遅い場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また、回転子314の先端周速が180m/secより速い場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
また、回転子314と固定子310との間の好ましい最小間隔は0.5乃至10.0mmであり、より好ましくは1.0乃至5.0mm、更に好ましくは1.0乃至3.0mmである。回転子314と固定子310との間の間隔を0.5乃至10.0mm、より好ましくは1.0乃至5.0mm、更に好ましくは1.0乃至3.0mmとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉体原料を粉砕することができる。回転子314と固定子310との間の間隔が10.0mmより大きい場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また回転子314と固定子310との間の間隔が0.5mmより小さい場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
この粉砕方法はシンプルな構成に加え、粉体原料を粉砕するのに多量のエアーを必要としない構成のため、粉砕工程で消費するトナー1kg当たりに消費する電力量は、図4に示す従来の衝突式気流粉砕機で製造したときに比べ約1/3以下となり、エネルギーコストを低く抑えることができる。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない
〔複合無機微粉体の製造例1〕
硫酸チタニル粉末を蒸留水に溶解し、溶液中のTi濃度が1.5(mol/l)、反応終了時の酸濃度が2.0(mol/l)になるように、硫酸及び蒸留水を添加した溶液を調整し、この溶液を、密閉した容器により、110℃の加熱処理を36時間行い、加水分解反応を行った。その後、水洗浄を行い十分に硫酸、不純物を除去し、メタチタン酸スラリーを得た。このスラリーに、酸化チタンに対して等モル量になるように炭酸ストロンチウム(平均粒子径80nm)を添加、また酸化チタンに対して8%モル量になるようにアルミナ(平均粒子径20nm)を添加する。水系湿式中で十分に混合した後、洗浄、乾燥後、800℃にて8時間焼結し、機械粉砕、分級工程を経て個数平均粒子径が100nmでCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.20deg)の32.20degに最大ピークを持つ複合無機微粉体1を得た。得られた複合無機微粉体1の物性を表2に示す。
〔複合無機微粉体の製造例2乃至24〕
上記メタチタン酸スラリーを用い、炭酸ストロンチウムの粒子径、アルミナまたは酸化鉄の添加量、及び焼成条件を表1に示すように変更し、粉砕、分級条件を適宜調整し、複合無機微粉体の製造例1と同様にして、複合無機微粉体2乃至24を得た。得られた複合無機微粉体の物性を表2に示す。
[樹脂の製造例1]
(ハイブリッド樹脂)
(1)ポリエステル樹脂の製造
・テレフタル酸 :6.2mol
・無水ドデセニルコハク酸 :3.7mol
・無水トリメリット酸 :3.3mol
・PO−BPA :7.4mol
・EO−BPA :3.0mol
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を付し、窒素ガス雰囲気下で215℃まで加熱しながら縮重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
(2)ハイブリッド樹脂成分の製造
上記ポリエステル樹脂80質量部をキシレン100質量部に溶解・膨潤した。次に、スチレン15質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル5質量部、エステル化触媒としてジブチルスズオキサイド0.15質量部を添加してキシレンの還流温度まで加熱してポリエステル樹脂のカルボン酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとのエステル交換反応を開始した。更にラジカル重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド1質量部をキシレン30質量部に溶解したキシレン溶液を約1時間かけて滴下した。その温度で6時間保持してラジカル重合反応を終了した。減圧下200℃まで加熱して脱溶剤することによりポリエステル樹脂の水酸基とビニル系重合体ユニットの共重合モノマーであるアクリル酸2−エチルヘキシルとのエステル交換反応を行い、これにより、ポリエステル樹脂、ビニル系重合体及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットがエステル結合して生成したハイブリッド樹脂1を得た。
得られたハイブリッド樹脂1は、酸価が28.5mgKOH/gであり、Tgが58℃であり、ピーク分子量(Mn)が7400、重量平均分子量(Mw)が45000、Mw/Mnが8.3であり、THF不溶分を約12質量%含有していた。
[樹脂の製造例2]
(ポリエステル樹脂)
・テレフタル酸 10mol%
・フマル酸 25mol%
・無水トリメリット酸 5mol%
・PO−BPO 35mol%
・EO−BPA 25mol%
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を付し、窒素ガス雰囲気下で210℃まで加熱しながら縮重合反応を行い、第1のポリエステル樹脂Aを得た。
得られた第1のポリエステル樹脂Aは、酸価が27mgKOH/gであり、水酸基価が42mgKOH/gであり、Tgが58℃であり、Mnが3,000であり、Mwが11,000であり、THF不溶分が0%であった。
次に、
・フマル酸 33mol%
・無水トリメリット酸 10mol%
・PO−BPO 35mol%
・EO−BPA 22mol%
これらを同様に縮合重合反応を行い、重合途中で無水トリメリット酸3mol%をさらに追加し、第2のポリエステル樹脂Bを得た。得られた第2のポリエステル樹脂Bは、酸価が24mgKOH/gであり、水酸基価が34mgKOH/gであり、Tgが62℃であり、Mnが3,000であり、Mwが155,000であり、THF不溶分を27質量%含有していた。
得られたポリエステル樹脂A及びBを50重量部ずつヘンシェルミキサーで混合し、ポリエステル樹脂2を得た。得られたポリエステル樹脂2は、酸価が25mgKOH/gであり、水酸基価が35mgKOH/gでり、Tgが59℃であり、Mnが2,700であり、Mwが83,000であり、THF不溶分を15wt%含有していた。
[樹脂の製造例3]
(スチレン−アクリル樹脂)
・スチレン 70質量部
・アクリル酸n−ブチル 25質量部
・マレイン酸モノブチル 6質量部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド 1質量部
4つ口フラスコにキシレン200質量部を入れ、攪拌しながら容器内を十分に窒素で置換し、130℃に昇温させた後、上記各成分を3.5時間かけて滴下した。更にキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、スチレン−アクリル樹脂3を得た。得られたスチレン−アクリル樹脂3は、酸価が27mgKOH/gであり、Tgが59℃であり、ピーク分子量が14000、重量平均分子量(Mw)が78000、Mw/Mnが12.0であった。
〔現像剤の製造例1〕
上記ハイブリット樹脂1 100質量部
低分子量エチレン−プロピレン共重合体 7質量部
・荷電制御剤(アゾ系鉄錯体化合物) 2質量部
・磁性酸化鉄 90質量部
(平均粒径0.19μm、保磁力11.2KA/m、残留磁化10.8Am2/kg、飽和磁化82.3Am2/kg)
上記混合物を、130℃に加熱された二軸混練機で溶融混練して、冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した。さらに粉砕工程は、図1に示す機械式粉砕機(ターボ工業社製)ターボミルT−250型を用い、図1に示す回転子314と固定子310の間隙を1.5mmとし、回転子314の先端周速を115m/s、搬送エアー風量を30m3/h、粗砕品供給量を24kg/hとして運転した。
得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、重量平均径7.8μm、10.1μm以上の粒子が、6.3体積%であるトナー粒子を得た。
このトナー粒子100質量部に対して、上記複合無機微粉体1を1.0質量部、及び疎水性乾式シリカ(BET比表面積:300m2/g)を1.0質量部、攪拌羽根回転速度1100rpmのヘンシェルミキサーFM500(三井三池社製)により、4分間回転させて、外添させ、本発明の現像剤(1)を得た。
〔現像剤の製造例2乃至18及び比較現像剤の製造例1乃至9〕
表3に示すように、上記複合無機微粉体2乃至24、樹脂成分を変更する以外は現像剤の製造例1と同様にして、現像剤(2)乃至(18)、比較現像剤(1)乃至(8)を得た。また、製造時に無機微粉体として市販のチタン酸ストロンチウム:ST−C(チタン工業製/粒径1400nm)を使用した他は現像剤の製造例1と同様にして、比較現像剤(9)を得た。
〔実施例1〕
上記現像剤(1)を用いて以下に示す評価を行った。評価結果を表4及び表5に示す。
・転写性および画像濃度の評価
キヤノン製レーザービームプリンターMF7240を改造しプロセススピードを150%に、さらに可変の転写バイアス電源を取り付けた装置を用い、23℃/60%RHの環境でベタ黒画像を現像し、75g/m2の転写紙上に転写させ、感光体上に残った転写残画像を透明なポリエステル製粘着テープではくりさせ白紙上に貼り、その反射濃度をマクベス反射濃度計にて測定し、標準としてテープのみを白紙上に貼った部分の濃度をそこから差し引いた値をもって評価した。転写電圧は3.0乃至5.0kVまで1.0kV刻みで評価した。
[転写残 評価ランク]
ランク5:反射濃度 0.10以下
ランク4:反射濃度 0.11〜0.15
ランク3:反射濃度 0.16〜0.24
ランク2:反射濃度 0.25〜0.39
ランク1:反射濃度 0.40以上
また、その際にベタ黒画像をプリントし、その画像濃度をマクベス反射濃度計にて測定し評価した。
[画像濃度 評価ランク]
ランク5:反射濃度 1.44以上
ランク4:反射濃度 1.40〜1.43
ランク3:反射濃度 1.36〜1.39
ランク2:反射濃度 1.31〜1.35
ランク1:反射濃度 1.30以下
さらに、長期耐久時の性能劣化を確認するため30万枚の耐久を行った後、初期と同様に転写性および画像濃度を測定し評価した。
〔実施例2乃至18、比較例1乃至9〕
上記現像剤(2)乃至(18)、および比較現像剤(1)乃至(9)を用いて、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表4及び表5に示す。