JP4422877B2 - トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真、静電記録などの画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するためのトナーまたは、トナージェット方式の画像形成方法に使用されるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
トナーの荷電制御剤として用いられるアゾ染料構造の金属錯体の多くは、一般に安定性に乏しく、たとえば機械的な摩擦や衝撃、温度や湿度条件の変化、電気的衝撃、光照射などにより分解または変化して初期の荷電制御性が失われやすい。また、実用レベルの帯電付与性を有すものであっても電荷の安定性に問題があり、製造方法の違いにより荷電制御効果を持たない不純化学物質を含むことが多く、品質の安定性及び信頼性などの点で諸問題を残していた。
【0003】
特開平02−35465号公報、特公平07−27283号公報及び特開平09−169919号公報に開示されているモノアゾ染料の金属錯塩化合物は摩擦帯電付与という観点からは優れたものであるが、環境変動、経時、使用状況にかかわらず、安定した現像が得られるまでにはいたっていない。
【0004】
近年、電子写真法を用いた機器は、オリジナル原稿を複写するための複写機以外にも、コンピューターの出力用のプリンター、ファクシミリなどにも使われ始めた。よりコンパクトで高速アウトプットマシンの需要が増えつつあることから、高速機においても優れた現像特性をもつトナーが必要とされている。しかし、そのような需要に対応するために、トナーに要求される性能として転写性、低温定着性、耐オフセット性、高温多湿環境においての長期耐久性などにおいていくつかの改善項目があった。
【0005】
このことから、より高速化した印刷機器に対応するトナーであるためには、高速の印字スピードにおいても確実にスリーブから感光体ドラムへと現像され、かつ感光体ドラムから紙へと転写され、印字される必要がある。転写効率を向上させる一つの方法として、トナーの形状を球形に近付けるものがあり、それら噴霧造粒法、溶液溶解法、重合法といった製造方法によるトナーが特開平3−84558号公報、特開平3−229268号公報、特開平4−1766号公報及び特開平4−102862号公報等により開示されている。
【0006】
一般に、トナーの製造方法としては、樹脂、着色剤、離形剤などの材料が用いられ、これらを乾式混合したのちにロールミル、エクストルーダー等の汎用混練装置にて溶融混練した後、冷却固化した後、混練物を粉砕し、風力分級機等で分級することによって、トナーとして必要な粒径をそろえた後、さらに必要に応じて流動化剤や滑剤などを外添して画像形成に供するトナーとしている。
【0007】
粉砕手段としては、各種粉砕装置が用いられるが、結着樹脂を主とするトナー粗砕物の粉砕には、ジェット気流を用いたジェット気流式粉砕機、特に衝突式気流粉砕機が用いられている。
【0008】
しかしながら、上記の衝突式気流粉砕機は、粉体原料を高圧気体とともに噴出して衝突部材の衝突面に衝突させ、その衝撃によって粉砕するという構成のため、粉砕されたトナーは、不定形で角張ったものとなる場合がある。
【0009】
特開平2−87157号公報や特開平10−097095号公報では、粉砕法で製造されたトナーを機械式衝撃(ハイブリタイザー)により粒子の形状及び表面性を改質することで転写効率を向上させる方法が開示されている。しかし、この方法では粉砕後に更に処理工程が入るため、トナー生産性やコストの面で好ましい方法とは言えない。
【0010】
角が取れた滑らかな表面をもつ、形状が球状に近いトナーは、現像スリーブ、感光体ドラムと粉体自体の接触面積が少ないため、それらの部材に付着する力も小さくなることから転写効率の良いトナーが得られるという効果がある。
【0011】
しかし、形状を球に近づけると、摩擦帯電の際に帯電量の上昇率が大きいため、高速機などの機械においてスリーブ上での摩擦回数が増えてくると、新しいトナーが供給された際に新旧トナーの帯電量の差が大きくなり、画像濃度差が発生するゴースト現象という弊害を引き起こす。このとき、特に低温低湿環境では、補給された新トナーより、スリーブ上に乗っている旧トナーのほうが帯電量が高いため、旧トナーのほうが画像濃度が高いネガゴーストという現象を示し、また、高温多湿環境においては旧トナーのほうが帯電が高くなりすぎて画像濃度が反対に低くなってしまうポジゴーストという現象を示す(図7および8参照)。
【0012】
また、帯電量が上昇すると、感光体ドラム上に残ったトナーは、クリーニングブレード部分で凝集体を形成し、とくに高温多湿環境下の高速機においてクリーニングブレードをめくれ易くし、クリーニング障害を引き起こすという問題があった。そのため、それら問題点を解決するべく、トナーの新規原材料等による新たな改善策が求められていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題点を解決したトナーを提供することにある。
【0014】
すなわち、本発明の目的は、高速のマシンにおいて、高温多湿環境においても、帯電の立ち上がりが速く、長期にわたって現像性が良好なトナーを提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、機内飛散が少ないトナーを提供することにある。
【0016】
本発明の目的は、高温多湿環境においてブレードめくれ現象が生じないトナーを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を少なくとも含有するトナーであって、前記有機金属化合物は、下記一般式(A)で表されるモノアゾ化合物より生成され得るアゾ鉄化合物であり、
【0018】
【化3】
(式中、R1〜R10は独立して水素、ハロゲン、アルキル基を示し、R1〜R10は、それらのうち2以上が互いに連結して芳香族環又は脂肪族環を形成していてもよく、置換基R5〜R10のうち少なくとも一つはアルキル基であって、置換基R 7 が炭素原子数4〜12の3級アルキル基である。)
該トナーの重量平均粒子径Xが5〜12μmであり、
且つ、該トナーの円相当径3μm以上の粒子において、下記式(1)より求められる円形度aが0.900以上の粒子を個数基準の累積値で90%以上有し、
円形度a=L0 / L (1)
[式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは粒子像の周囲長を示す。]
a)カット率Zとトナー重量平均粒子径Xの関係が下記式(2)を満足し、
カット率Z≦5.3×X (2)
[但し、カット率Zは、トナー分散液中の全測定粒子の粒子濃度をA(個数/μl)、トナー分散液中の円相当径3μm以上の測定粒子濃度をB(個数/μl)とした時、下記式(3)で表される。
Z=(1−B/A)×100 (3)]
且つ、円形度0.950以上の粒子の個数基準累積値Yとトナー重量平均粒子径Xの関係が下記式(4)を満足するか、
Y≧exp5.51×X-0.645 (4)
[但し、トナー重量平均粒子径X:5.0〜12.0μm]
或いは、
b)カット率Zとトナー重量平均径Xの関係が、下記式(5)を満足し、
カット率Z>5.3×X (5)
且つ、円形度0.950以上の粒子の個数基準累積値Yとトナー重量平均粒子径Xの関係が下記式(6)を満足する、
Y≧exp5.37×X-0.545 (6)
[但し、トナー重量平均粒子径X:5.0〜12.0μm]
ことを特徴とするトナーに関する。
【0019】
また、前記アゾ鉄化合物は下記一般式(B)で表されることが好ましい。
【0020】
【化4】
(式(B)中、A,Bはそれぞれo−フェニレンおよび1,2−ナフチレンを表し、また、A,Bはそれぞれハロゲン、アルキル基を置換基として有していてもよく、ナフチレン残基には少なくとも一つのアルキル基を有しており、M+はカチオンであり、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンを表す。)
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、トナーの形状及びトナー構成材料に関して検討を進め、ある特定の有機金属鉄錯体を用い、トナーの形状を制御することにより、より高速の機械において、優れた現像性を発揮するトナーを作製できることを見出した。
【0022】
本発明を達成する手段の一つである有機金属鉄化合物は、下記一般式(A)で表されるモノアゾ化合物より生成されるアゾ鉄化合物である。
【0023】
【化5】
(式中、R1〜R10は独立して水素、ハロゲン、アルキル基を示し、R1〜R10は、それらのうち2以上が互いに連結して芳香族環又は脂肪族環を形成していてもよく、置換基R5〜R10のうち少なくとも一つはアルキル基であって、置換基R 7 が炭素原子数4〜12の3級アルキル基である。)
【0024】
本発明で用いられるアゾ鉄化合物は、鉄原子と結合可能な2個の水酸基を有する上記一般式(A)で表されるモノアゾ化合物より生成され得るアゾ鉄化合物であり、アゾ鉄化合物は上記モノアゾ化合物の水酸基が鉄原子にそれぞれ配位した化合物であって、鉄錯体、鉄錯塩、あるいはこれらの混合物である。
【0025】
また、置換基R5〜R10のうち少なくとも一つはアルキル基であることを特徴とし、トナー中での分散性を高め、優れた帯電制御性を示す。また、アルキル基の炭素数が4から12、さらには6から10であるモノアゾ化合物が好ましい。アルキル基をある一定以上の長さにすることで、トナー樹脂表面からの剥離を防ぐことができ、そして帯電制御剤同士の適度な相互作用が働くことにより、より高い帯電を瞬時に持つことが可能となる。また、そのアルキル基の形態が3級アルキルあるいは、その置換基として存在するアルキル基の側鎖に、アルキル基を2個以上有することが好ましい。アルキル基に、側鎖を含むことで化合物の立体構造を大きくすることができる。その結果、化合物全体の電子構造がより安定化するため、帯電を長期に亘って保持することが容易となる。
【0026】
特には、側鎖にアルキル基を3個以上有することが、高い帯電能力を発揮するために好ましい。更に、3級アルキル基であり、側鎖を3個以上有することが好ましい。アルキル基の形態を3級アルキルとすることで、ナフタレン環と結合している置換基の超共役性により、最も電荷が安定に存在できる構造をとる。また、側鎖に電子供与性の置換基であるアルキル基が付くことでC=C二重結合の電子密度が増大し、帯電時の電荷の長期保持に重要な役割を果たす。特に、R7の位置に上記の条件を満たすアルキル基を有する場合、化合物が最も安定な電子構造をとることができ、化合物の構造を立体的に大きくすることができる。このため、高温多湿環境などにおいてもその帯電量を保持することができる。また、(A)の構造のアゾ鉄化合物において、R5〜R10の置換基のうち一つもアルキル基を含まない場合、トナー化したときに、とくに高温多湿環境下で高速印字時に帯電保持能力が失われやすく、画像濃度の低下が発生する。
【0027】
前記鉄化合物は、下記一般式(B),(C)または(D)で表される。この中の構造において、高温多湿環境でも、トナーに良好な帯電性を付与するという点から、式(B)の構造を有するモノアゾ化合物が好ましい。
【0028】
【化6】
(式(B)中、A,Bはそれぞれo−フェニレンおよび1,2−ナフチレンを表し、また、A,Bはそれぞれハロゲン、アルキル基を置換基として有していてもよく、ナフチレン残基には少なくとも一つのアルキル基を有しており、M+はカチオンであり、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンを表す。)
【0029】
【化7】
【0030】
このようなモノアゾ化合物は、ジアゾ化カップリング反応により得ることができる。
【0031】
以下に、本発明で好ましく用いられるモノアゾ化合物の具体例をあげる。
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】
【化15】
【0040】
【化16】
【0041】
【化17】
【0042】
本発明におけるアゾ鉄化合物のトナーへの好ましい添加量としては、結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。
【0043】
本発明のアゾ鉄化合物は、上記鉄原子と結合可能なモノアゾ化合物を、水及び/または有機溶媒中(好ましくは有機溶媒中)で、金属化剤と反応させることにより得ることができる。
【0044】
一般に、有機溶媒中で得られた反応生成物は、適当量の水に分散させ、析出物を濾取して水洗するか、または溶媒中で析出させ、濾別して水洗して乾燥させることにより取り出すことができる。このような金属化反応に用いられる有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系、エーテル系、及びグリコール系有機溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などの水にかような有機溶媒を挙げることができる。上記有機溶媒として好ましいものは、イソプロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールである。
【0045】
この有機溶剤の使用量は特に限定されるものではないが、配位子として用いられる上記モノアゾ化合物に対して質量比で2〜5倍量である。
【0046】
また、上記鉄化剤として好適なものの例としては、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄が挙げられる。鉄化剤は、一般に配位子となるモノアゾ化合物1モルに対して、鉄原子当量で1/3〜2/3当量が用いられる。
【0047】
また、本発明の化合物は、従来技術で述べたような公知の荷電制御剤と組み合わせて使用することもできる。たとえば、他の有機金属錯体、金属塩、キレート化合物であり、具体的にはモノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体などが挙げられる。その他には、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類などのカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体なども挙げられる。また、ビスフェノール類、カリックスアレーンなどの、フェノール誘導体なども挙げられる。
【0048】
トナーは現像器内の撹拌翼により現像スリーブに搬送され、そこでブレードによりある一定の量に規制される際に、ブレードとトナー間で摩擦されて帯電する。この時、ある一定以上の帯電量を持つことができない場合、現像スリーブから感光体ドラムへ現像されるトナー総量が減少し、紙に印刷される画像濃度が低くなり、結果的に現像不良を起こしてしまう。例えば、従来のジェット気流式粉砕機などを用いて粉砕した場合、粉体原料をジェット気流により搬送し、衝突部材の衝突面に衝突させ、その衝撃力により粉砕するため、粉砕面が粗く角張った形状のものが得られる。このようなトナーは、磁性酸化鉄が多く存在する部所で粉砕されやすくなるため、表面に磁性酸化鉄が多く存在する場合が多い。このため、ある一定量の帯電を持っても、表面の磁性酸化鉄がリークサイトとなり、その帯電を保持することができない。また、その角張った形状のトナーは、不均一に割れた角などに帯電の電荷が集中してしまう。このため、現像した際に現像ムラを起こしやすく、ドット再現性に弱いというデメリットがあった。
【0049】
そこで、本発明者らの検討により、粉砕トナーにおいて、スリーブ上で高い帯電量を瞬時にもち、環境に依存されることなく保持するためには、前述したアゾ鉄化合物を含む原料を用いて、特定の円形度を有していることが重要である。
【0050】
本発明における円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亞医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、測定された粒子の円形度を下式(1)によって求め、更に下式(7)で示すように、測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数mで除した値を平均円形度と定義する。
【0051】
円形度a=L0 / L (1)
[式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは粒子像の周囲長を示す。]
【0052】
【数1】
【0053】
また、円形度標準偏差SDは、下式(8)から算出される。
【0054】
【数2】
【0055】
本発明に用いている円形度aはトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。また、本発明における円形度分布の標準偏差SDは、バラツキの指標であり、数値が小さいほどトナー形状のバラツキが小さくシャープな円形度分布であることを示す。本発明においては、円形度標準偏差SDが0.034〜0.043であれば問題はない。
【0056】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0と61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
【0057】
具体的な測定方法としては、予め容器中の不純物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波(50kHz,120W)を1〜3分間照射し、分散液濃度を1.2〜2.0万個/μlとして、上記フロー式粒子像測定装置を用い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の円形度分布を測定する。尚、分散液濃度を1.2〜2.0万個/μlとすることで、カット率が大きくなった場合でも装置の精度が保てるだけの粒子濃度を維持することができる。
【0058】
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年6月版)、測定装置の操作マニュアル及び特開平8−136439号公報に記載されているが、以下の通りである。
【0059】
試料分散液は、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
【0060】
従来、トナー形状がトナーの諸特性に影響を与えることが知られているが、本発明者らは、種々の検討によって3μm未満の円相当径の粒子群がある一定量を超えると現像性等の性能を悪化させる要因となることを見出した。即ち、トナーの微紛や外部添加剤等の3μm未満の微紛がある量以上になった場合、3μm以上のトナーの円形度をより高くしないと所望の性能を得にくいことが明らかとなった。
【0061】
従って、本発明では3μm以上の円相当径の粒子群についての円形度が本発明の効果を発現するために重要であるが、本発明において現像性に大きく影響を与える3μm以上トナー粒子の円形度の作用をより効果的に発揮するためには、以下のように3μm以下の微紛の存在量により3μm以上のトナー粒子の円形度を制御する必要がある。
【0062】
即ち、3μm以下の微紛の存在量により3μm以上のトナー粒子の円形度を制御することで、転写性,現像性の優れたトナーを得ることができる。
【0063】
本発明では3μm以下の微紛の存在量を、下記式(3)のように、全測定粒子の粒子濃度に対する、3μm以上の円相当径の粒子群の粒子濃度の割合を100%から差し引くことにより求めている。
【0064】
カット率Z=(1−B/A)×100 (3)
[式中、Aは全測定粒子の粒子濃度(個数/μl)を示し、Bは3μm以上の円相当径の粒子群の粒子濃度(個数/μl)を示す。]
【0065】
即ち、本発明のトナーは該トナーの円相当径3μm以上の粒子における円形度aが0.900以上の粒子を個数基準の累積値で90%以上含有し、
且つ、
a)カット率Zとトナー重量平均径Xの関係が
カット率Z≦5.3×X (2)
の式を満たす場合(但しトナー重量平均粒子径Xは5.0〜12.0μm)、円形度aが0.950以上の粒子の個数基準累積値Yが、
円形度が0.950以上の粒子の個数基準累積値
Y≧exp5.51×X-0.645 (4)
を満足することが重要である。
或いは、
b)カット率Zとトナー重量平均径Xの関係が
カット率Z>5.3×X (5)
の式を満たす場合(但しトナー重量平均粒子径Xは5.0〜12.0μm)、円形度aが0.950以上の粒子の個数基準累積値Yが、
円形度が0.950以上の粒子の個数基準累積値
Y≧exp5.37×X-0.545 (6)
を満足することが重要である。
【0066】
本発明のトナーは上述の円形度を有するため、トナー粒子の比表面積は低減する。このため、トナー粒子間の接触回数が増加し、トナー粉体の帯電性が高くなり、ドット再現性の良いトナーを得ることができる。また、トナーの比表面積が減少することで、トナーがつまりやすくなる。つまり、かさ密度が低くなるためスリーブにのるトナーの量を減らしても現像が可能となる。結果として、以上のような形状を持つトナーでは少量で高い現像性を持つトナーが得られることから、高速で、大量に印刷する高速機に最も適したトナーを得ることができる。
【0067】
該トナーの円相当径3μm以上の粒子において、円形度aが0.900以上の粒子の存在が個数基準の累積値で90%未満となる場合には、トナー粒子と感光体との接触面積が大きくなり、トナー粒子の感光体への付着力が増すため、十分な転写効率を得ることができなくなる。
【0068】
また、該トナーの円相当径3μm以上の粒子において、円形度aが0.950以上の粒子の、個数基準の累積値Yに関して、
a)カット率Zとトナー重量平均径Xの関係が式(2)、即ち、カット率Z≦5.3×Xの式を満たしながら、下式(4)を満足しない場合、
円形度が0.950以上の粒子の個数基準累積値
Y≧exp5.51×X-0.645 (4)
即ち、
円形度が0.950以上の粒子の個数基準累積値
Y≧exp5.51×X-0.645
となるような場合、或いは、
b)カット率Zとトナー重量平均径Xの関係が式(5)、即ち、カット率Z>5.3×X(好ましくは95≧カット率Z>5.3×X)の式を満たしながら、下式(6)を満足しない場合、
円形度が0.950以上の粒子の個数基準累積値
Y≧exp5.37×X-0.545 (6)
即ち、
円形度が0.950以上の粒子の個数基準累積値
Y≧exp5.37×X-0.545
となるような場合には、十分な転写効率が得られないだけでなくトナーの流動性も低下するため、高温多湿環境においての現像障害がおきやすく、また、帯電の立ち上がりも遅くなるという問題が浮上する。
【0069】
また、本発明のトナーを製造する場合、トナーの重量平均粒径は5〜12μmであることが好ましい。更に好ましくは、重量平均径が5〜10μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が40個数%以下であり、粒径10.1μm以上の粒子が35体積%以下であるトナーであることが好ましい。
【0070】
重量平均径が12μmを上回るトナーを得る場合には、粉砕機内での負荷を極力減らすか、処理量を多くすることで粒径的には対応可能であるが、形状は角張ったものとなり、所望の円形度にすることは難しくなり、その結果、帯電の速い立ち上がりや、高帯電量を得ることができなくなる。
【0071】
重量平均径が5μmを下回るトナーを得る場合には、粉砕機内での負荷を増大させるか、処理量を極端に少なくすることで対応は可能であるが、微粉・超微粉の発生を押さえ切れなくなり、その結果、カブリや機内飛散の悪化など悪影響を及ぼす。
【0072】
また、粒径4.0μm以下の粒子が40個数%を超えるトナーを得る場合も、粉砕機内での負荷を増大させるか、処理量を極端に少なくすることで対応は可能であるが、超微粉の発生に伴うカブリや飛び散り現象の悪化が生じてくる。
【0073】
更に、粒径10.1μm以上の粒子が35体積%を超えるトナーを得る場合、粉砕機内での負荷を極力減らすか、処理量を多くすることで粒径的には対応可能であるが、形状は角張ったものとなり、所望の円形度にすることは難しくなり、その結果、高帯電性を得ることができなくなる。
【0074】
なお、粒度分布の測定については、以下の方法で行った。
【0075】
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行った。
【0076】
測定装置としては、コールターカウンターのマルチサイザーII型或いはIIE型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び一般的なパーソナルコンピューターを接続し、電解液は特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、100μmアパーチャーを用いて測定する。トナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布とを算出し、体積分布から求めた重量基準の重量平均径を求める。
【0077】
前述のアゾ鉄化合物を含み、特定の高い円形度をもつトナーに粉砕することで、高い帯電量をわずかな時間で持つことができ、その帯電量を環境によらず、長期に亘って保持することが可能となるため、特に、一分間に40枚機以上を印刷する能力を持つ機械に対して画像特性を満足させうるトナーを得ることができる。また、高温多湿環境においても帯電能力が落ちることなく、そのような環境下において、立ち上げ時や放置後の画像濃度の低下が見られない。
【0078】
また、円形度が高いトナーを得ることで、トナー同士の接触面積が最小限に抑えられるため、トナー同士の凝集性が低くなる。また、角張ったトナーよりも、摩擦帯電されるポイントが多くなるため、高い帯電量を持つことができる。しかし、トナーは高い帯電量を得ることができるが、その帯電量が増加しつづけるため、スリーブ上で現像されたトナー部分に新しいトナーが補給された時に、周りの現像されずに残ったトナーとの帯電量差ができてしまうことで、ある一定部分だけ濃度が薄い、または反対に濃くなってしまうというゴースト現象が生じる。しかし、本発明のアゾ鉄化合物を用いると、高い帯電量を短時間で持つことができ、また、その帯電量を変えることなく長期に亘って保持することができる。これらの作用により、ゴースト現象を改善することができる。
【0079】
円形度が高いトナーは、時間が経過するごとに帯電量が増大しつづけるため、スリーブ上の穂立ちの先端部分などに高い電荷が集中しすぎてしまうため、その穂立ちがカートリッジ外の部分にまで飛散し、機内を汚してしまうという問題がある。反対にトナーの帯電量が不足した場合、トナーがスリーブ上に引き寄せられる力が弱まり、スリーブ上にトナーが補給される時にスリーブから落ちてしまい、同じように機内を汚染してしまう。本発明のアゾ鉄化合物を用いた場合、帯電の立ち上がりも速く適度に高い帯電量を安定して持つことができるため、機内飛散のないトナーを得ることができる。
【0080】
また、高温多湿環境で発生するブレードめくれ現象は、高温多湿時にクリーニングブレードと感光体ドラムとの間にかきとられたトナーが感光ドラムとの摩擦帯電により高い帯電量を持つことでトナー同士の凝集力が高まり、さらに湿度が高いためにトナーの凝集体が発生してしまう。この凝集体がブレードから取れる時、局部的にトナーがなくなり、クリーニングブレードと感光体ドラム間の摩擦力が増大し、クリーニングブレードがめくれかえってクリーニング障害を起こしてしまう。
【0081】
しかし、本発明のようにアゾ鉄化合物を含み、円形度を制御することを組み合わせたトナーにおいては、前述した高温多湿環境でも高い帯電量を長期に亘って保持できるだけでなく、ブレードと感光体ドラム間でトナーの帯電量の振れが小さくなり、トナーが安定に存在するため、ブレードがめくれることがなく良好な現像性を保ったまま長期耐久が可能となる。
【0082】
本発明において、トナー又は結着樹脂の、THF(テトラハイドロフラン)を溶媒としたGPCによる分子量分布は次の条件で測定される。
【0083】
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料のTHF溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良い。たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0084】
試料は以下のようにして作製する。
【0085】
試料をTHFに入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への試料の放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの測定試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0086】
該トナーのテトラハイドロフラン可溶成分のゲルろ過クロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、分子量3000〜50000の領域に少なくとも一つのピークを持つことが望ましい。また、分子量100000〜5000000の領域に少なくとも一つのピーク、またはショルダーを有することが好ましい。この領域にそれぞれピーク、ショルダーを有することで、低温でも樹脂が融解しやすく優れた定着能力をもち、また、高温でも、樹脂の粘度が下がりすぎず、ホットオフセットを起こさない樹脂を得ることができる。
【0087】
上記分子量の範囲を満足させる結着樹脂の種類としては、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。
【0088】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルの如きメタクリル酸エステル;マレイン酸;マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸エステル;アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン;塩化ビニル;酢酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテルが挙げられる。これらのビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0089】
本発明における結着樹脂は、1〜100mgKOH/gの範囲で酸価を有することが好ましい。とくに好ましくは、1〜70mgKOH/gの酸価を有する樹脂である。
【0090】
結着樹脂の酸価を調整するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸などのアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水物などがあり、このようなモノマーを単独、或いは混合し、他のモノマーと共重合させることにより所望の重合体を作ることができる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価値をコントロールする上で好ましい。
【0091】
より具体的には、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジカルボン酸のモノエステル類などが挙げられる。
【0092】
以上のようなカルボキシル基含有モノマーは、結着樹脂を構成している全モノマー100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部添加すればよい。
【0093】
樹脂の酸価が1〜100mgKOH/gの範囲である時、本発明のアルキル基を有するアゾ鉄化合物との相溶性が良い。これにより、トナー作製時に、アゾ鉄化合物は樹脂とともにトナー中に均一に分散することができ、また、トナーの表面からの遊離が起こりにくくなる。このため、長期耐久後も耐久初期と同様に優れた帯電特性を持つことができる。
【0094】
樹脂の酸価が100mgKOH/gよりも大きい場合、有機金属化合物と樹脂との相溶性が悪くなり始め、有機金属化合物が樹脂中に均一に分散することが困難となる。その結果、帯電が均一に生じず、画像形成において、トナーの劣化を起こしやすくなる。また、それに伴い、樹脂の表面から有機金属化合物の遊離が生じ易い。
【0095】
また、樹脂の酸価が1mgKOH/gより小さい場合は、帯電の保持には効果を示すが、その効果はやや減少する。
【0096】
本発明に係る樹脂組成物は、保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が45〜80℃、好ましくは50〜70℃であり、Tgが45℃より低いと高温雰囲気下でのトナーの劣化や定着時でのオフセットの原因となる。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下する傾向にある。
【0097】
本発明の結着樹脂の合成方法として本発明に用いることの出来る重合法として、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられる。
【0098】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。更に、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として有利な点がある。
【0099】
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要で、この不便を避けるためには懸濁重合が好都合である。
【0100】
懸濁重合においては、水系溶媒100質量部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは10〜90質量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、一般に水系溶媒100質量部に対して0.05〜1質量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択される。
【0101】
本発明に用いられる結着樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
【0102】
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤から選択される。
【0103】
これらのうち、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
【0104】
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足するためには、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得るための分解温度よりも低い半減期10時間を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
【0105】
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物等が挙げられる。
【0106】
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つためには、重合工程において該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
【0107】
これらの開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05〜2質量部で用いるのが好ましい。
【0108】
結着樹脂は架橋性モノマーで架橋されていることも好ましい。
【0109】
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。具体例としては、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
【0110】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.00001〜1質量部、好ましくは0.001〜0.05質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0111】
これらの架橋性モノマーのうち、トナーの定着性,耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0112】
その他の合成方法としては、塊状重合方法や溶液重合方法を用いることができる。しかし、塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を速めることで、低分子量の重合体を得ることができるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。その点、溶液重合法は、溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整することで、所望の分子量の重合体を温和な条件で容易に得ることができるので好ましい。特に、開始剤使用量を最小限に抑え、開始剤が残留することによる影響を極力抑えるという点で、加圧条件下での溶液重合法も好ましい。
【0113】
本発明に用いられるポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
【0114】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(E)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0115】
【化18】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
また(F)式で示されるジオール類;
【0116】
【化19】
【0117】
が挙げられる。
【0118】
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0119】
また架橋成分として働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0120】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0121】
また、本発明における三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;次式
【0122】
【化20】
(式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)
で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0123】
本発明に用いられるアルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
【0124】
該ポリエステル樹脂も通常一般に知られている縮重合によって得られる。
【0125】
本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N‘−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0126】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0127】
本発明に用いられる着色剤としては磁性酸化鉄または金属が挙げられ、磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の酸化鉄、金属としては、鉄,コバルト,ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム,コバルト,銅,鉛,マグネシウム,マンガン,セレン,チタン,タングステン,バナジウムのような金属の合金及びその混合物が用いられ、その磁性酸化鉄表面あるいは内部に非鉄元素を含有するものが好ましい。
【0128】
本発明に用いられる磁性酸化鉄は、鉄元素基準で異種元素を0.05〜10質量%含有することが好ましい。とくに好ましくは0.1〜5質量%である。
【0129】
異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウから選択される元素であることが好ましい。また、以下のリチウム,ベリリウム,ボロン,ゲルマニウム,チタン,ジルコニウム,錫,鉛,亜鉛,カルシウム,バリウム,スカンジウム,バナジウム,クロム,マンガン,コバルト,銅,ニッケル,ガリウム,カドミウム,インジウム,銀元素,パラジウム,金,水銀,白金,タングステン,モリブデン,ニオブ,オスミウム,ストロンチウム,イットリウム,テクネチウム等の金属が挙げられる。
【0130】
また、トナー中に含有される量としては樹脂成分100質量部に対して20〜200質量部、特に好ましくは樹脂成分100質量部に対して40〜150質量部がさらに良い。
【0131】
また、場合により、本発明の磁性トナーに用いる磁性酸化鉄は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、チタネート、アミノシラン等で処理しても良い。
【0132】
本発明のトナーに流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ等があり、無機微粉末としては、酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等がある。
【0133】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0134】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0135】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包合する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0136】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0137】
【0138】
更には、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0139】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0140】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメトリジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。更に、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0141】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0142】
以下、本発明の好ましいトナーの製造方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【0143】
図1は、本発明のトナーに用いられる好ましい製造方法の概要を示すフローチャートの一例である。この製造方法は、フローチャートに示されている様に、粉砕処理前の分級工程を必要とせず、粉砕工程及び分級工程が1パスで行われる。
【0144】
上記トナーの製造方法においては、結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粉砕手段によって粉砕して得られた粗粉砕物が粉体原料として使用される。そして、先ず、所定量の粉砕原料を少なくとも中心回転軸に取り付けられた回転体からなる回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを有し、且つ該間隔を保持することによって形成される環状空間が気密状態となるように構成されている機械式粉砕機に導入し、該機械式粉砕機の上記回転子を高速回転させることによって被粉砕物を微粉砕する。次に、微粉砕された粉砕原料は分級工程に導入され分級されて、好ましい粒度を有する粒子群からなるトナー原料となる分級品が得られる。この際、分級工程では、少なくとも粗粉領域、中粉領域及び微粉領域を有する多分割気流式分級機が好ましく用いられる。例えば、3分割気流式分級機を使用した場合には、粉体原料は、少なくとも微粉体、中粉体及び粗粉体の3種類に分級される。このような分級機を用いる分級工程で、好ましい粒度よりも粒径の大きな粒子群からなる粗粉体及び好ましい粒度未満の粒子群からなる微粉体は除かれ、中粉体がトナー製品としてそのまま使用されるか、又は、疎水性コロイダルシリカの如き外添剤と混合された後、トナーとして使用される。
【0145】
上記の分級工程で分級された好ましい粒度未満の粒子群からなる微粉体は、一般的には、粉砕工程に導入されてくるトナー材料からなる粉体原料を生成するための溶融混練工程に供給されて再利用されるか、或いは廃棄される。また、上記微粉体より更に粒子径が小さい、粉砕工程及び分級工程で僅かに発生する超微粉体も同様に、溶融混練工程に供給されて再利用されるか、或いは廃棄される。
【0146】
図2に本発明のトナーの製造方法に適用した装置システムの一例を示し、説明する。この装置システムに導入されるトナー原料である粉体原料には結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有する着色樹脂粒子粉体が用いられるが、該粉体原料は、例えば、結着樹脂、着色剤及びワックスからなる混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却し、更に冷却物を粉砕手段によって粗粉砕したものが用いられる。
【0147】
この装置システムにおいて、トナー粉原料となる粉砕原料は、先ず、粉砕手段である機械式粉砕機301に第1定量供給機315を介して所定量導入される。導入された粉砕原料は、機械式粉砕機301で瞬間的に粉砕され、補集サイクロン229を介して第2定量供給機2に導入される。次いで振動フィーダー3を介し、更に原料供給ノズル16を介して分級手段である多分割気流式分級機1内に供給される。
【0148】
また、この装置システムにおいて、第1定量供給機315から粉砕手段である機械式粉砕機301に導入される所定量と、第2定量供給機2から分級手段である多分割気流式分級機1に導入される所定量との関係を、第1定量供給機315から機械式粉砕機301に導入される所定量を1とした場合、第2定量供給機2から多分割気流式分級機1に導入される所定量を好ましくは0.7〜1.7、より好ましくは0.7〜1.5、更に好ましくは1.0〜1.2とすることがトナー生産性及び生産効率という点から好ましい。
【0149】
通常、この気流式分級機は、相互の機器をパイプの如き連通手段で連結し、装置システムに組み込まれて使用される。そうした装置システムの好ましい例を図2は示している。図2に示す一体装置システムは、多分割分級装置1(図6に示される分級装置)、定量供給機2、振動フィーダー3、補集サイクロン4、補集サイクロン5、補集サイクロン6を連通手段で連結してなるものである。
【0150】
この装置システムにおいて、粉体は、適宜の手段により、定量供給機2に送り込まれ、次いで振動フィーダー3を介し、原料供給ノズル16により3分割分級装置1内に導入される。導入に際しては、10〜350m/秒の流速で3分割分級機1内に粉体を導入する。3分割分級機1の分級室を構成する大きさは通常[10〜50cm]×[10〜50cm]なので、粉体は0.1〜0.01秒以下の瞬時に3種類以上の粒子群に分級し得る。そして、3分割分級機1により、大きい粒子(粗粒子)、中間の粒子、小さい粒子に分級される。その後、大きい粒子は排出導管11aを逝って、補集サイクロン6に送られ機械式粉砕機301に戻される。中間の粒子は排出導管12aを介して系外に排出され補集サイクロン5で補集されトナーとなるべく回収される。小さい粒子は排出導管13aを介して系外に排出され補集サイクロン4で補集され、トナー材料からなる粉体原料を生成する為の溶融混練工程に供給されて再利用されるか、或いは廃棄される。補集サイクロン4、5、6は粉体を原料供給ノズル16を介して分級室に吸引導入する為の吸引減圧手段としての働きをすることも可能である。また、この際分級される大きい粒子は、第1定量供給機315に再導入し、粉体原料中に混入させて、機械式粉砕機301にて再度粉砕することが好ましい。
【0151】
また、多分割気流式分級機1から機械式粉砕機301に再導入される大きい粒子(粗粒子)の再導入量は、第2定量供給機2から供給される微粉砕品の質量を基準として、0乃至10.0質量%、更には0乃至5.0質量%とすることがトナー生産上好ましい。多分割気流式分級機1から機械式粉砕機301に再導入される大きい粒子(粗粒子)の再導入量が10.0質量%を超えると、機械式粉砕機301内の粉塵濃度が増大し、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0152】
この装置システムにおいて、粉体原料の粒度は、18メッシュパス(ASTME−11−61)が95質量%以上であり、100メッシュオン(ASTME−11−61)が90質量%以上であることが好ましい。
【0153】
また、この装置システムにおいて、重量平均粒径が5〜12μmのシャープな粒度分布を有するトナーを得るためには、機械式粉砕機で微粉砕された微粉砕物の重量平均粒径が4乃至12μm、4.0μm以下が70個数%以下、更には65個数%以下、10.1μm以上が40体積%以下、更には35体積%以下であることが好ましい。また、分級された中粉体の粒度は、重量平均粒径が5乃至12μm、4.0μm以下が40個数%以下、更には35個数%以下、10.1μm以上が35体積%以下、更には30体積%以下であることが好ましい。
【0154】
本発明のトナーの製造方法に適用した上記装置システムにおいては、粉砕処理前の第1分級工程を必要とせず、粉砕工程及び分級工程を1パスで行うことができる。
【0155】
本発明のトナーの製造方法に使用される粉砕手段として好ましく用いられる機械式粉砕機について説明する。機械式粉砕機としては、例えば、川崎重工業(株)製粉砕機KTM、クリプトロン、ターボ工業(株)製ターボミル等を挙げることができ、これらの装置をそのまま、或いは適宜改良して使用することが好ましい。
【0156】
本発明においては、これらの中でも図3、図4及び図5に示したような機械式粉砕機を用いることが、粉体原料の粉砕処理を容易に行うことができるので効率向上が図られ、好ましい。
【0157】
以下、図3、図4及び図5に示した機械式粉砕機について説明する。図3は、本発明において使用される機械式粉砕機の一例の概略断面図を示しており、図4は図3におけるD−D’面での概略的断面図を示しており、図5は図3に示す回転子314の斜視図を示している。該装置は、図3に示されているように、ケーシング313、ジャケット316、ディストリビュータ220、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、更に、被処理原料を導入するための原料投入口311、処理後の粉体を排出するための原料排出口302とから構成されている。
【0158】
以上のように構成してなる機械式粉砕機での粉砕操作は、例えば次の様にして行う。
【0159】
即ち、図3に示した機械式粉砕機の粉体入口311から、所定量の粉体原料が投入されると、粒子は、粉砕処理室内に導入され、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314と、表面に多数の溝が設けられている固定子310との間に発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬時に粉砕される。その後、原料排出口302を通り、排出される。トナー粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口302、パイプ219、補集サイクロン229、バグフィルター222及び吸引フィルター224を通って装置システムの系外に排出される。本発明においては、このようにして粉体原料の粉砕が行われるため、微粉及び粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことができる。
【0160】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、冷風発生手段321により、粉体原料と共に、機械式粉砕機内に冷風を送風することが好ましい。更に、機械式粉砕機本体の機内冷却手段として、ジャケット構造316を有する構造とし、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通水することが好ましい。更に、上記の冷風装置及びジャケット構造により、機械式粉砕機内の粉体導入口に連通する渦巻室212内の室温T1を0℃以下、より好ましくは−5〜−15℃、更に好ましくは−7〜−12℃とすることがトナー生産性という点から好ましい。粉砕機内の渦巻室の室温T1を0℃以下、より好ましくは−5〜−15℃、更に好ましくは−7〜−12℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。粉砕機内の渦巻室の室温T1が0℃を超える場合、粉砕時に熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。また、粉砕機内の渦巻室の室温T1を−15℃より低い温度で運転しようとすると、上記冷風発生手段321で使用している冷媒(代替フロン)をフロンに変更しなければならない。
【0161】
現在、オゾン層保護の観点からフロンの撤廃が進められている。上記冷風発生手段321の冷媒にフロンを使用することは地球全体の環境問題という点から好ましくない。
【0162】
なお、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)は、冷却水供給口317よりジャケット内部に供給され、冷却水排出口318より排出される。
【0163】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1と後室320の室温T2の温度差ΔT(T2−T1)を30〜80℃とすることが好ましく、より好ましくは35〜75℃、更に好ましくは37〜72℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。機械式粉砕機の温度T1(入口温度)と温度T2(出口温度)とのΔTが30℃より小さい場合、粉砕されずにショートパスを起こしている可能性があり、トナー性能という点から好ましくない。また、80℃より大きい場合、粉砕時に過粉砕されている可能性があり、熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0164】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1は、0℃以下であり、且つ、結着樹脂のガラス転移点(Tg)に対して60乃至75℃低くすることがトナー生産性という点から好ましい。機械式粉砕機の入口温度を0℃以下であり且つTgよりも60乃至75℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。また、機械式粉砕機の後室320の室温T2は、Tgよりも5乃至30℃、更には10乃至20℃低いことが好ましい。機械式粉砕機の後室320の室温T2をTgよりも5乃至30℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。
【0165】
また、回転する回転子314の先端周速としては、80〜180m/sであることが好ましく、より好ましくは90〜170m/s、更に好ましくは100〜160m/sとすることがトナー生産性という点から好ましい。回転する回転子314の周速を80〜180m/sであることが好ましく、より好ましくは90〜170m/s、更に好ましくは100〜160m/sとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。回転子の周速が80m/sより遅い場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また、回転子314の周速が180m/sより速い場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕されて熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0166】
また、回転子314と固定子310との間の最小間隔は0.5〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜3.0mmとすることが好ましい。回転子314と固定子310との間の間隔を0.5〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.8〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜3.0mmとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。回転子314と固定子310との間の間隔が10.0mmより大きい場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また回転子314と固定子310との間の間隔が0.5mmより小さい場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0167】
上述の粉砕方法は、粉砕工程前の第1分級工程を必要としないため、トナーが微粒子化されることにより粒子間の静電凝集が高まり、本来は第2分級手段に送られるトナーが再度第1分級手段に循環されることにより過粉砕となった微粉及び超微粉が発生せず、そのため分級収率が良好となる。更に、シンプルな構成に加え、粉砕原料を粉砕するのに多量のエアーを必要としないため、電力消費が低く、エネルギーコストを低く抑えることができる。
【0168】
次に、これらのトナー製造方法を構成している分級手段として好ましく用いられる気流式分級機について説明する。
【0169】
本発明に使用される好ましい多分割気流式分級機の一例として、図6(断面図)に示す形式の装置を一具体例として例示する。
【0170】
図6において、側壁22及びGブロック23は分級室の一部を形成し、分級エッジブロック24及び25は分級エッジ17及び18を具備している。Gブロック23は左右に設置位置をスライドさせることが可能である。また、分級エッジ17及び18は、軸17a及び18aを中心にして、回動可能であり、分級エッジを回動して分級エッジ先端位置を変えることができる。各分級エッジブロック24及び25は左右に設置位置をスライドさせることが可能であり、それに伴ってそれぞれのナイフエッジ型の分級エッジ17及び18も左右にスライドする。この分級エッジ17及び18により、分級室32の分級域30は3分割されている。
【0171】
原料粉体を導入するための原料供給口40を原料供給ノズル16の最後端部に有し、該原料供給ノズル16の後端部に高圧エアーノズル41と原料粉体導入ノズル42とを有し、且つ分級室32に開口部を有する原料供給ノズル16を側壁22の右側に設け、該原料供給ノズル16の下部接線の延長方向に対して長楕円弧を描く様にコアンダブロック26が設置されている。分級室32の左部ブロック27は、分級室32の右側方向にナイフエッジ型の入気エッジ19を具備し、更に分級室32の左側には分級室32に開口する入気管14及び15を設けてある。また、図2に示すように、入気管14及び15には、ダンパーの如き第1気体導入調節手段20及び第2気体導入調節手段21と静圧計28及び29を設けてある。
【0172】
分級エッジ17、18、Gブロック23及び入気エッジ19の位置は、被分級処理原料であるトナーの種類及び所望の粒径により調整される。
【0173】
また、分級室32の上面にはそれぞれの分画域に対応させて、分級室内に開口する排出口11、12及び13を有し、排出口11、12及び13にはパイプの如き連通手段が接続されており、それぞれにバルブ手段の如き開閉手段を設けて良い。
【0174】
原料供給ノズル16は直角筒部と角錘筒部とからなり、直角筒部の内径と角錘筒部の最も狭い個所の内径の比を20:1から1:1、好ましくは10:1から2:1に設定すると、良好な導入速度が得られる。
【0175】
以上の様に構成してなる多分割分級域での分級操作は、例えば次の様にして行う。即ち、排出口11、12及び13の少なくとも一つを介して分級室内を減圧し、分級室内に開口部を有する原料供給ノズル16中を該減圧によって流動する気流と高圧エアー供給ノズル41から噴射される圧縮エアーのエゼクター効果により、好ましくは流速10〜350m/secの速度で粉体を原料供給ノズル16を介して分級室に噴射し、分散する。
【0176】
分級室に導入された粉体中の粒子は、コアンダブロック26のコアンダ効果による作用と、その際流入する空気の如き気体の作用とにより湾曲面を描いて移動し、それぞれの粒子の粒径及び慣性力の大小に応じて、大きい粒子(粗粒子)は気流の外側、すなわち分級エッジ18の外側の第1分画、中間の粒子は分級エッジ18と17の間の第2分画、小さい粒子は分級エッジ17の内側の第3分画に分級され、分級された大きい粒子は排出口11より排出され、分級された中間の粒子は排出口12より排出され、分級された小さい粒子は排出口13よりそれぞれ排出される。
【0177】
上記の粉体の分級において、分級点は、粉体が分級室32内へ飛び出す位置であるコアンダブロック26の下端部分に対する分級エッジ17及び18のエッジ先端位置によって主に決定される。更に、分級点は、分級気流の吸引流量或いは原料供給ノズル16からの粉体の噴出速度等の影響を受ける。
【0178】
また、上述のトナーの製造方法及び製造システムにおいては、粉砕及び分級条件をコントロールすることにより、重量平均径が5〜12μmである粒径のシャープな粒度分布を有するトナーを効率良く生成することができる。
【0179】
トナーを作製するには、結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を少なくとも含有する混合物が材料として用いられるが、その他、必要に応じて磁性粉、ワックス、及びその他の添加剤等が用いられる。これらの材料をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、顔料又は染料を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。本発明のトナーの製造方法は、前記のものに限定されるものではなく、望ましい円形度、粒径を持ったトナーを得るために状況に応じて以下の製造装置を用いることもできる。
【0180】
例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロール、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。また、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社製);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日新エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製); ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0181】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
【0182】
<アゾ鉄化合物 製造例 1 >
4−クロロ−2−アミノフェノールと6−t−オクチル−2−ナフトールの一般的なジアゾカップリング反応により合成したモノアゾ化合物を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に加えて撹拌した。この溶液に炭酸ナトリウムを加えて70℃に昇温させ、硫酸鉄(II)・7水和物を加えて5時間反応させた。この反応液を水に分散させ、ろ過・水洗し、乾燥させて、下記式で表されるアゾ化合物(I)を得た。
【0183】
【化21】
【0184】
<アゾ鉄化合物 製造例 2>
アゾ鉄化合物製造例1において、原料に4−t−ブチル−2−アミノフェノールを用いた以外は、アゾ鉄化合物製造例1と同様の方法を用いて下記式(II)で表されるアゾ鉄化合物(II)を得た。
【0185】
【化22】
【0186】
<アゾ鉄化合物 製造例 3>
アゾ鉄化合物製造例1において、原料に2−アミノフェノールを用いた以外は、アゾ鉄化合物製造例1と同様の方法を用いて下記式(III)で表されるアゾ鉄化合物(III)を得た。
【0187】
【化23】
【0188】
<アゾ鉄化合物 製造例 4>
アゾ鉄化合物製造例1において、原料に6−t−ブチル−2−ナフトールを用いは、アゾ鉄化合物製造例1と同様の方法を用い最後に希塩酸を用いて反応液を酸性にした後水分散して、下記式(IV)で表されるアゾ鉄化合物(IV)を得た。
【0189】
【化24】
【0190】
<アゾ鉄化合物 製造例 5>
アゾ鉄化合物製造例1において、原料に6−n−ブチル−2−ナフトールを用いた以外は、アゾ鉄化合物製造例1と同様の方法を用いて下記式(V)で表されるアゾ鉄化合物(V)を得た。
【0191】
【化25】
【0192】
<アゾ鉄化合物 製造例 6>
アゾ鉄化合物製造例1において、原料に3−メチル−2−アミノフェノールを用いた以外は、アゾ鉄化合物製造例1と同様の方法を用いて下記式(VI)で表されるアゾ鉄化合物(VI)を得た。
【0193】
【化26】
【0194】
<アゾ鉄化合物 製造例 7>
アゾ鉄化合物製造例1において、原料に6−n−オクチル−2−ナフトールを用いた以外は、アゾ鉄化合物製造例1と同様の方法を用いて下記式(VII)で表されるアゾ鉄化合物(VII)を得た。
【0195】
【化27】
【0196】
<アゾ鉄化合物 製造例 8>
アゾ鉄化合物製造例1において、中心金属をCrにし、2ナフトールと、2−t−ペンチルアミノフェールを用いた以外は、アゾ鉄化合物製造例1と同様の方法を用いて下記式(VIII)で表されるアゾクロム化合物(VIII)を得た。
【0197】
【化28】
【0198】
<アゾ鉄化合物 製造例 9>
アゾ鉄化合物製造例1において、原料に2−ナフトールを用いた以外は、アゾ鉄化合物製造例1と同様の方法を用いて下記式(IX)で表されるアゾ鉄化合物(IX)を得た。
【0199】
【化29】
【0200】
[実施例に使用した結着樹脂製造方法]
四つ口フラスコ内にキシレン300質量部を投入し、撹拌しながらフラスコ内を十分に窒素置換した後、昇温して還流させ、この還流下でスチレン68.8質量部、アクリル酸−n−ブチル22質量部、マレイン酸モノブチル9.2質量部、および ジ−t−ブチルパーオキサイド1.8質量部の混合液を4時間かけて滴下した後2時間ほど保持し、重合を完了した後、脱溶剤し重合体1を得た。
【0201】
四つ口フラスコ内に脱気水180質量部とポリビニルアルコールの2質量%水溶液20質量部を投入した後、スチレン78.4質量部、アクリル酸−n−ブチル20質量部、マレイン酸モノブチル1.6質量部、及び2,2−ビス(4,4−ジt−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.2質量部の混合液を加え、撹拌して懸濁液とした。フラスコ内を十分に窒素で置換した後、90℃まで昇温して重合を開始した。同温度で24時間保持して重合を完了し、重合体2を得た。
【0202】
上記で得られた重合体1と重合体2を70:30の質量比でキシレン溶液中で混合して結着樹脂を得た。
【0203】
得られた結着樹脂のGPC測定を行ったところ、16000と700000の位置にピークを持つことがわかった。また、以下の方法で酸価測定を行ったところ、12.5mgKOH/gであった。
【0204】
(酸価の測定)
基本操作はJIS K−0070に属する。
1)試料はあらかじめ結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、試料の結着樹脂以外の成分の含有量を求めておく。トナーまたは結着樹脂の粉砕品0.5〜2.0gを精秤する。このときの結着樹脂成分をWgとする。
2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
3)0.1mol/リットルのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定測定装置を用いて測定する。たとえば、京都電子株式会社の電位差的定測定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。
4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とする。同時にブランクを測定して、この時のKOHの使用量をB(ml)とする。
次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
【0205】
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0206】
〔実施例1〕
・結着樹脂 100質量部
・磁性酸化鉄 95質量部
・ポリプロピレンワックス 4質量部
・アゾ鉄化合物I 2質量部
【0207】
結着樹脂は前述のものを、上記磁性酸化物(球形で、ケイ素0.9質量%、アルミニウム0.3%を含み、個数平均粒径は0.22μm)、ポリプロピレンワックス(融点143℃、25℃における針入度0.5mm)はそれぞれ、実施例1で使用したものを以下の実施例2〜12、比較例1〜9においても使用した。
【0208】
上記化合物を、130℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで祖粉砕し、ターボミル(ターボ工業社製)を用いて機械式粉砕させ、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で、超微粉および粗粉を厳密に分級除去して分級粉1を得た。
・分級粉 1 100質量部
・疎水性シリカ 1.2質量部
【0209】
疎水性シリカはジメチルシリコーンオイルとヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された、BET200m2/g,メタノールウエッタビリティ68%の疎水性シリカを使用。以下の実施例、比較例において、疎水性シリカはこの材料を指す。表1にトナー構成材料の組み合わせを示す。
【0210】
上記の材料をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー1を得た。
【0211】
得られたトナー1の重量平均径、円形度測定を明細書に記載の方法で測定した。このトナーの重量平均径は6.8μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で95.8、円形度0.95以上の個数基準累積値が78.2であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。
【0212】
次に、この調製されたトナーを以下の5つの方法で評価した。評価結果を表3に示す。
【0213】
(画出し試験)
上記トナーをプロセスカートリッジに充填し、キヤノン製レーザービームプリンターLBP950をA4横送りで32枚/分から50枚/分に改造した。この時のプロセススピードは、235mm/secであった。
【0214】
上記設定条件で高温多湿環境下(32.5℃,相対湿度80%)において、画出し試験(画像形成試験)を行った。得られた画像を下記の項目について評価した。プリントスピードは2枚2秒間欠。一日6000枚、合計30000枚耐久し、一日毎の耐久初期と、耐久終わりの画像濃度の平均で評価を行った。
【0215】
▲1▼画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に30000枚プリントアウトし、プリント開始時(機械立ち上げ時)と終了時の画像濃度の評価を行った。なお、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いた。
【0216】
▲2▼ブレードめくれ
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に30000枚プリントアウトし、プリント開始時(機械立ち上げ時)から終了時までのブレードめくれについて評価した。一度めくれたものについては、ブレード交換後耐久を続けた。
【0217】
ブレードめくれ評価としては、5000枚耐久までにめくれたものについては×、10000枚耐久までにめくれたものは△×、20000枚耐久までにめくれたものについては△、25000以上耐久でめくれたものについては○△、30000枚までめくれなかったものは○という評価をした。
【0218】
▲3▼ポジゴースト
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に30000枚プリントアウトし、プリント開始時(機械立ち上げ時)と終了時のポジゴーストの評価を行った(図7参照)。スリーブ2週目に印刷されるハーフトーン部分に一週目で印刷された黒帯のパターンの形がそのまま印刷された部分 B と、その他の部分 Aとの反射濃度差によってポジゴーストレベルを比較した。
BとAの反射濃度差 ○:0.0〜0.2
○△:0.3〜0.5
△:0.6〜0.8
△×:0.8〜1.0
×:1.1以上
【0219】
▲4▼転写効率
常の複写機用普通紙(75g/m2)に30000枚プリントアウトし、一日に耐久する6000枚のうち、終了時(6000枚/日 印刷終了後)の転写効率の評価を行った。図9に示すような5mm角のパターンを流し、紙にパターンが現像される現像途中で機械を止め、感光体ドラム上に残った、転写前のパターン部分と、転写後のパターン部分をテープではがし、その画像濃度をマクベス濃度計で測定した。このとき、何もついていないテープの濃度をRefとして測定した。
【0220】
ドラム上の潜像パターンの濃度A,ドラム上での転写残パターンの濃度B,Refの濃度Cとした時、
転写効率(%)=(B−C)/(A−C)× 100 で求められる。図9にその詳細を示す。
【0221】
▲5▼機内飛散
通常の複写機用普通紙(75g/m2)で30000枚プリントアウトした後、プリンター内に飛び散ったトナーの状態でレベル分けを行った。
スリーブ端に少し飛散が見られる程度 : ○
スリーブ端から飛散が見られる : ○△
転写ローラーにまで少し飛散が見られる : △
転写ローラー付近にかなり飛散している : △×
飛散により画像が汚れる : ×
【0222】
〔実施例2〕
アゾ鉄化合物を(II)に変更した以外は、実施例1と同じ方法を用いて作製し、トナー2を得た。このときの重量平均径は5.5μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で96.8、円形度0.95以上の個数基準累積値が88.4であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0223】
〔実施例3〕
アゾ鉄化合物を(III)に変更し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕し、ハイブリダイザーで表面処理して分級粉を得た以外は、実施例1と同じ方法を用いて作製し、トナー3を得た。このときの重量平均径は6.8μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で95.6、円形度0.95以上の個数基準累積値が84.2であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0224】
〔実施例4〕
アゾ鉄化合物を(IV)に変更した以外は、実施例1と同じ方法を用いて作製し、トナー4を得た。このときの重量平均径は6.2μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で96.0、円形度0.95以上の個数基準累積値が83.1であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0225】
〔参考例1〕
アゾ鉄化合物を(V)に変更した以外は、実施例1と同じ方法を用いて作製し、トナー5を得た。このときの重量平均径は7.2μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で94.9、円形度0.95以上の個数基準累積値が74.9であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0226】
〔実施例5〕
実施例1と同じ方法を用いて作製しトナー1と粒径の異なる、トナー6を得た。このときの重量平均径は9.1μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で92.3、円形度0.95以上の個数基準累積値が65.0であった。測定結果を表2に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0227】
〔参考例2〕
アゾ鉄化合物を(VI)に変更した以外は実施例1と同じ方法を用いて作製し、トナー7を得た。このときの重量平均径は10.5μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で90.2、円形度0.95以上の個数基準累積値が57.3であった。測定結果を表2に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0228】
〔実施例6〕
アゾ鉄化合物を(III)に変更し、外添剤にチタン酸ストロンチウム3.0質量部を新たに加えた以外は実施例1と同じ方法を用いて作製し、トナー8を得た。このときの重量平均径は6.5μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で95.8、円形度0.95以上の個数基準累積値が80.9であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図11に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0229】
〔参考例3〕
アゾ鉄化合物を(VII)に変更した以外は実施例6と同じ方法を用いて作製し、トナー9を得た。このときの重量平均径は7.0μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で95.5、円形度0.95以上の個数基準累積値が78.4であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図11に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0230】
〔参考例4〕
アゾ鉄化合物を(V)に変更した以外は実施例6と同じ方法を用いて作製し、トナー10を得た。このときの重量平均径は10.2μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で91.3、円形度0.95以上の個数基準累積値が65.2であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図11に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0231】
〔比較例1〕
アゾ鉄化合物を(V)に変更し、ジェット気流を用いた微粉砕機を利用して分級粉を得たこと以外は実施例1と同じ方法を用いて作製し、トナー11を得た。このときの重量平均径は6.80μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で90.1、円形度0.95以上の個数基準累積値が68.8であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0232】
〔比較例2〕
アゾ鉄化合物を(VIII)に変更した以外は比較例1と同じ方法を用いて作製し、トナー12を得た。このときの重量平均径は7.3μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で88.7、円形度0.95以上の個数基準累積値が65.0であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0233】
〔比較例3〕
アゾ鉄化合物を(IX)に変更した以外は比較例1と同じ方法を用いて作製し、トナー13を得た。このときの重量平均径は9.1μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で73.5、円形度0.95以上の個数基準累積値が52.3であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0234】
〔比較例4〕
アゾ鉄化合物を(VIII)に変更した以外は実施例1と同じ方法を用いて作製し、トナー14を得た。このときの重量平均径は6.8μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で93.2、円形度0.95以上の個数基準累積値が80.8であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図10に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0235】
〔比較例5〕
アゾ鉄化合物を(VI)に変更し、外添剤としてチタン酸ストロンチウムを3.0質量部加えた以外は比較例1と同じ方法を用いて作製し、トナー15を得た。このときの重量平均径は6.7μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で88.7、円形度0.95以上の個数基準累積値が70.3であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図11に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0236】
〔比較例6〕
アゾ鉄化合物を(VIII)に変更した以外は比較例5と同じ方法を用いて作製し、トナー16を得た。このときの重量平均径は7.4μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で88.6、円形度0.95以上の個数基準累積値が69.8であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図11に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0237】
〔比較例7〕
アゾ鉄化合物を(IX)に変更し、外添剤としてチタン酸ストロンチウムを0.6質量部を加えた以外は比較例4と同じ方法を用いて作製し、トナー17を得た。このときの重量平均径は5.8μm、粒径3μm以下カットの時0.900以上の円形度が個数基準累積値で96.9、円形度0.95以上の個数基準累積値が85.3であった。測定結果を表2に、カット率に応じた重量平均径と0.900以上の円形度の個数基準累積値との相関を図11に示す。また、このトナーの評価結果を表3に示す。
【0238】
【表1】
【0239】
【表2】
【0240】
【表3】
【0241】
【発明の効果】
本発明のアゾ鉄化合物を原料とし、規定の円形度を持つトナーを得ることで、高温多湿環境での高速機耐久において、帯電の立ち上がりが速く、長期耐久においてブレードめくれの発生がなく良好な画像濃度を示し、機内飛散を起こさないという効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】本発明のトナーの製造方法を実施するための装置システムの一具体例を示す概略図である。
【図3】本発明のトナーの粉砕工程において使用される一例の機械式粉砕機の概略断面図である。
【図4】図3におけるD−D’面での概略的断面図である。
【図5】図3に示す回転子の斜視図である。
【図6】本発明のトナーの分級工程に用いられる多分割気流式分級装置の概略断面図である。
【図7】ポジゴーストの概念図を示す。
【図8】ネガゴーストの概念図を示す。
【図9】本発明で使用した転写効率測定方法の詳細である。
【図10】カット率Z≦5.3×Xの場合の重量平均径と個数基準累積値との相関図である。
【図11】カット率Z>5.3×Xの場合の重量平均径と個数基準累積値との相関図である。
【符号の説明】
1 :多分割分級機
2 :第2定量供給機
3 :振動フィーダー
4,5,6 :補集サイクロン
11,12,13 :排出口
11a,12a,13a :排出導管
15 :入気管
16 :原料供給ノズル
18 :分級エッジ
19 :入気エッジ
20 :第1気体導入調節手段
21 :第2気体導入調節手段
23 :側壁
24,25 :分級エッジブロック
26 :コアンダブロック
27 :左部ブロック
29 :静圧計
30 :分級域
32 :分級室
40 :原料供給口
41 :高圧エアーノズル
42 :原料粉体導入ノズル
65 :インジェクションフィーダー
212 :渦巻室
219 :パイプ
220 :ディストリビュータ
222 :バグフィルター
224 :吸引フィルター
229 :補集サイクロン
301 :機械式粉砕機
302 :粉体排出口
310 :固定子
311 :粉体投入口
312 :回転軸
313 :ケーシング
314 :回転子
315 :第1定量供給機
316 :ジャケット
317 :冷却水供給口
318 :冷却水排出口
320 :後室
321 :冷風発生手段
Claims (15)
- 結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を少なくとも含有するトナーであって、前記有機金属化合物は、下記一般式(A)で表されるモノアゾ化合物より生成され得るアゾ鉄化合物であり、
該トナーの重量平均粒子径Xが5〜12μmであり、
且つ、該トナーの円相当径3μm以上の粒子において、下記式(1)より求められる円形度aが0.900以上の粒子を個数基準の累積値で90%以上有し、
円形度a=L0 / L (1)
[式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは粒子像の周囲長を示す。]
a)カット率Zとトナー重量平均粒子径Xの関係が下記式(2)を満足し、
カット率Z≦5.3×X (2)
[但し、カット率Zは、トナー分散液中の全測定粒子の粒子濃度をA(個数/μl)、トナー分散液中の円相当径3μm以上の測定粒子濃度をB(個数/μl)とした時、下記式(3)で表される。
Z=(1−B/A)×100 (3)]
且つ、円形度0.950以上の粒子の個数基準累積値Yとトナー重量平均粒子径Xの関係が下記式(4)を満足するか、
Y≧exp5.51×X-0.645 (4)
[但し、トナー重量平均粒子径X:5.0〜12.0μm]
或いは、
b)カット率Zとトナー重量平均径Xの関係が、下記式(5)を満足し、
カット率Z>5.3×X (5)
且つ、円形度0.950以上の粒子の個数基準累積値Yとトナー重量平均粒子径Xの関係が下記式(6)を満足する、
Y≧exp5.37×X-0.545 (6)
[但し、トナー重量平均粒子径X:5.0〜12.0μm]
ことを特徴とするトナー。 - 前記モノアゾ化合物(A)の置換基R5〜R10のうち少なくとも一つの置換基が、炭素原子数が4〜12のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記モノアゾ化合物(A)の置換基R5〜R10のうち少なくとも一つの置換基が、炭素原子数6〜10のアルキル基をであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記モノアゾ化合物(A)の置換基R5〜R10のうち少なくとも一つの置換基が、炭素原子数4〜12の3級アルキル基であることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
- 前記モノアゾ化合物(A)の置換基R5〜R10のうち少なくともひとつの置換基が、炭素原子数6〜10の3級アルキル基であることを特徴とする請求項4に記載のトナー。
- 前記モノアゾ化合物(A)の置換基R5〜R10のうち少なくとも一つの置換基が、炭素原子数4〜12のアルキル基であり、側鎖にアルキル基を2個以上有することを特徴とする請求項3に記載のトナー。
- 前記モノアゾ化合物(A)の置換基R5〜R10のうち少なくとも一つの置換基が、炭素原子数6〜10のアルキル基であり、側鎖にアルキル基を3個以上有することを特徴とする請求項4に記載のトナー。
- 前記モノアゾ化合物(A)の置換基R7が、炭素原子数6〜10の3級アルキル基であることを特徴とする請求項8に記載のトナー。
- 前記アゾ鉄化合物が、前記結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部含有されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーのテトラハイドロフラン可溶成分のゲルろ過クロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、分子量3000〜50000の領域に少なくとも一つのピークを持ち、分子量100000〜5000000の領域に少なくとも一つのピーク、またはショルダーを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーの酸価が1〜100mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー。
- 前記着色剤は磁性酸化鉄であり、結着樹脂100質量部に対して20〜200質量部含有されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
- 前記磁性酸化鉄は、鉄元素基準で異種元素を0.05〜10質量%の割合で含有することを特徴とする請求項13に記載のトナー。
- 前記異種元素がマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウから選択される元素であることを特徴とする請求項14に記載のトナー。
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