JP3907327B2 - トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録のような画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するためのトナー又はトナージェット方式の画像形成方法におけるトナー像を形成するためのトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
トナーは、現像される静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷を有する必要がある。
【0003】
トナーに電荷を保有せしめるためには、トナーの成分である樹脂の摩擦帯電性を利用することも出来るが、この方法ではトナーの帯電が安定しないので、濃度の立ち上がりが遅く、カブリ易い。そこで、所望の摩擦帯電性をトナーに付与するために帯電制御剤を添加することが行われている。
【0004】
今日、当該技術分野で知られている帯電制御剤としては、負摩擦帯電性帯電制御剤として、モノアゾ染料の金属錯塩、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、芳香族ジオール等の金属錯塩、酸成分を含む樹脂等が知られている。正摩擦帯電性帯電制御剤として、ニグロシン染料、アジン染料、トリフェニルメタン系染顔料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩を側鎖に有するポリマー等が知られている。
【0005】
しかしながら、これらの帯電制御剤のほとんどは、有色でありカラートナーには使えないものが多い。そして、カラートナーに適用可能な、無色、白色あるいは淡色のものは、性能的に不十分なものがほとんどである。それらはハイライトの均一性が得られなかったり、耐久試験での画像濃度の変動が大きい等の欠点を有する。
【0006】
この他、帯電制御剤によっては、以下のような欠点を有する。画像濃度とカブリのバランスが取りにくい、高湿環境で、十分な画像濃度を得にくい、樹脂への分散性が悪い、保存安定性、定着性、耐オフセット性に悪影響を与える等である。
【0007】
従来、芳香族カルボン酸類の金属錯体、金属塩は特開昭53−127726号公報、特開昭57−111541号公報、特開昭57−124357号公報、特開昭57−104940号公報、特開昭61−69073号公報、特開昭61−73963号公報、特開昭61−267058号公報、特開昭62−105156号公報、特開昭62−145255号公報、特開昭62−163061号公報、特開昭63−208865号公報、特開平3−276166号公報、特開平4−84141号公報、特開平8−160668号公報を始めとして、いくつかの提案がなされている。しかしながら、これらの公報に提案されているのは、摩擦帯電付与という観点からはいずれも優れたものであるが、簡易な現像器構成で環境変動、経時、使用状況に関わらず、安定した現像性の得られるものは少ない。また、高速機において長期耐久時おいても安定した現像性が得られるものも少ない。更に、他の原材料の影響があり、他の原材料への制約が発生するものも多い。以上のようなすべての項目において満足するものは無いのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低湿下で使用しても、高湿下で使用しても高い画像品質が安定して得られ、経時において画像欠陥を生じないトナーを提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、カートリッジタイプのような簡易な現像器構成においても劣化したトナーが発生しにくく、優れた現像性の得られるトナーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を含有するトナーにおいて、該有機金属化合物が金属元素としてチタンを有し、配位子として芳香族ポリカルボン酸を配位している後述の一般式(1)または(2)で示される構造を有するチタン錯体あるいはチタン錯塩であることを特徴とするトナーに関する。
【0011】
本発明者らは、チタンの芳香族ポリカルボン酸錯化合物を用いることにより、立ち上がりの良さを保持しつつ、高湿環境においても高い帯電量を得、低湿環境においても帯電過剰となることのないトナーを得ることができることを見い出した。
【0012】
さらに、この特徴を磁性体を含有する磁性トナーと組み合わせたり、あるいは一成分現像方法に適用することにより、優れた現像性が得られることを見いだした。すなわち、小さな摩擦帯電機会で素速い帯電の立ち上がりと、高い帯電量を必要とする磁性トナーや一成分現像用トナーにとって本発明の有機チタン化合物はこれらの要件を満たす好適な負帯電制御剤となるのである。以上のように一成分現像法に用いられるトナーにも好適に用いられ、非磁性の一成分現像方法に用いられるトナーにも最適である。もちろん二成分現像剤にも使用可能である。
【0013】
更に本発明では、酸価を有する結着樹脂と共に用いると、水分子の持つ極性を利用し、帯電が強調される効果の寄与を大きいものとすることができる。また、融点の異なるワックスあるいは組成の異なるワックスを二種類以上と用いることで非常に分散性を良好にすることができ、耐久性や帯電均一性を向上させることができる。
【0014】
以上のように低湿、高湿環境での帯電量が十分になるだけでなく、長期の耐久での濃度低下も抑えられる。本発明は特に種々の異種元素を有する磁性酸化鉄を含有する磁性トナーにとっては最適になる。異種元素の酸化物、水酸化物、異種元素を取り込んだ酸化鉄、異種元素を混晶させた酸化鉄が、水分子を吸着し、水分子の極性を利用した帯電の強調を効果的に行うことができる。また酸価を有する結着樹脂と共に用いると一層効果的に帯電強調を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の有機チタン化合物は、カルボキシル基、水酸基などの酸素が配位し易いことなどから、チタンイオンにカルボキシル基などが配位する機会が多くなる。結着樹脂として官能基にカルボキシル基を有するスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂など酸価を有する結着樹脂と用いると、結着樹脂中へのなじみがよく分散性に優れ、トナー粒子中からの脱落を防ぎ、帯電均一化と帯電の耐久安定性が得られる。更には、トナーの透明性への影響が小さくなり、カラートナーにとって鮮やかな色彩を表現するのに好ましいものとなる。
【0016】
本発明の有機チタン化合物は、摩擦帯電能力にすぐれ、高い帯電量が得られるので、高い帯電量を必要とする磁性トナーにとって好適な荷電制御剤となるのである。さらに、有機チタン化合物自体の良好な分散性に加え、結着樹脂に酸価を有するものを用いると磁性体の分散性向上に働くので、耐久性、帯電均一性が得られるようになるのである。
【0017】
また、本発明の有機チタン化合物は、複数種のワックスと用いると、非常に離型性に優れることが見いだされた。このことから耐オフセット性に優れ、定着部材汚れ防止に効果のあるトナーとすることができる。また、酸価を有する結着樹脂と共に用いると特にこの効果は大きい。
【0018】
本発明は、芳香族ポリカルボン酸のチタン錯体あるいはチタン錯塩を含有することを特徴とするトナーによって、本発明の目的を達成するものである。好ましくは一般式(1)または(2)で表わせるチタン錯体あるいは錯塩である。
【0019】
【化1】
Figure 0003907327
【0020】
一般式(1),(2)において、R1,R2は水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基を表わし、相互に連結して脂肪族環、芳香環あるいは複素環を形成しても良く(すなわち、式(1),(2)ではベンゼン環により芳香族残基を示しているが芳香族残基としてナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等を有するものである。)、この場合この環に置換基R1,R2を有していても良く、置換基R1,R2は1から4個持っていてもよく(芳香族残基によってはそれ以上でもよい)、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、Lは中性配位子、水、アルコール、アンモニア、アルキルアミン、ピリジンを表わし、Cは、1価のカチオン、水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムを表わし、zは1〜4の整数を表わし(芳香族残基によってはそれ以上でもよい)、各錯体または錯塩において配位子となる芳香族ポリカルボン酸類は同じものであっても異なるものであってもよい。結着樹脂中への錯体、錯塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、置換基R1,R2としてはアルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、水酸基が好ましく、Lとしては水が好ましく、Cとしては水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウムが好ましい。特に好ましいのは、カウンターイオンを有さない、一般式(2)の場合の4価のチタンを有する中性錯体であり、優れた環境安定性が得られ、結着樹脂中ヘの分散性にも優れ、良好な耐久性が得られる。
【0021】
本発明の有機チタン化合物は、3価のチタン錯化合物の場合には三塩化チタンを、4価のチタン錯化合物の場合はチタンイソプロポキシドを水、アルコール、アルコール水溶液に溶解し、芳香族ポリカルボン酸およびこれらのアルカリ金属塩を添加するか、あるいは芳香族ポリカルボン酸とアルカリ剤を添加することにより合成される。これらの有機チタン化合物は、アルコール水溶液などで再結晶し、アルコール洗浄で精製する。また、3価のチタンの錯塩の場合は、生成物を鉱酸、アルカリ剤、アミン剤で処理することにより種々のカウンターイオンを持つ錯塩が得られる。本発明においては、チタン錯塩のカウンターイオンに水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなど複数種有しているものも含む。
【0022】
以下に、本発明に用いられる有機チタン化合物の具体例を挙げるが、ここでは、示性式を示す。水分子を2個配位しているものも含まれるが、ここでは水分子の記載を省略する。また、カウンターイオンは複数種有するものも含むが、ここでは一番多いカウンターイオンのみを記載する。
【0023】
【化2】
Figure 0003907327
【0024】
【化3】
Figure 0003907327
Figure 0003907327
【0025】
【化4】
Figure 0003907327
【0026】
【化5】
Figure 0003907327
【0027】
【化6】
Figure 0003907327
【0028】
【化7】
Figure 0003907327
【0029】
【化8】
Figure 0003907327
【0030】
【化9】
Figure 0003907327
【0031】
本発明の有機チタン化合物をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。内添する場合の好ましい添加量としては結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、より好ましくは、0.5〜5重量部の範囲で用いられる。また、外添する場合は、0.01〜5重量部が好ましく、特にメカノケミカル的にトナー表面に固着させるのが好ましい。
【0032】
また本発明の化合物は、従来の技術で述べたような公知の電荷制御剤と組み合わせて使用することもできる。例えば、他の有機金属錯体、金属塩、キレート化合物で、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体などがあげられる。そのほかには、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類などのカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体などもあげられる。またビスフェノール類、カリックスアレーンなどのフェノール誘導体なども用いられる。
【0033】
本発明に使用される結着樹脂の種類としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が使用できる。
【0034】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル等のメタクリル酸エステル類;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル等のような二重結合を有するジカルボン酸類;例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のようなビニルエステル類;例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のようなエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のようなビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のようなビニルエーテル類;等のビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0035】
架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0036】
結着樹脂がスチレン−アクリル系の場合、トナーの分子量分布が、THF可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つピークが存在し、分子量10万以上の領域に少なくとも1つピークが存在し、分子量分布10万以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましい。
【0037】
結着樹脂がポリエステル系の樹脂の場合は、同様のトナーの分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つピークが存在し、分子量10万以下の成分が60〜100%となるような結着樹脂が好ましい。さらに好ましくは、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つピークが存在するのが良い。
【0038】
本発明で用いる有機チタン化合物を含有したトナーは、高湿あるいは低湿環境下においても帯電特性の変動が少なく、安定した現像特性を保持できると同時に、酸価を有する結着樹脂を用いた場合、分散性が非常によい上、トナーからの該有機チタン化合物の欠落が少ない為、耐久安定性に優れる。
【0039】
また、本発明で用いられるトナーは、現像剤担持体との摩擦帯電プロセスにおいて、優れた帯電付与能力を示すことが明らかになった。すなわち、酸価を有する結着樹脂と有機チタン化合物を含有したトナーについて、現像剤担持体材質との帯電能力をみると、現像剤担持体表面との少ない接触でも大きな帯電量が発生することがわかった。
【0040】
本発明で用いられる結着樹脂の酸価は、1mgKOH/g乃至100mgKOH/gであることが好ましく、1mgKOH/g乃至70mgKOH/gがさらに良く、更に好ましくは1mgKOH/g乃至50mgKOH/gが良く、特には2mgKOH/g乃至40mgKOH/gであることが好ましい。結着樹脂の酸価が1mgKOH/g未満の場合は、有機チタン化合物との相互作用による現像安定性や耐久安定効果を十分に発揮しきれなかったり、架橋効果が現れにくい。一方、100mgKOH/gを超える場合は結着樹脂の吸湿性が強くなり、画像濃度が低下し、カブリが増加する傾向がある。
【0041】
本発明において、トナー組成物の重合体成分全体の酸価は、以下の方法により求める。
【0042】
<酸価の測定>
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
1)試料は予め重合体成分以外の添加物を除去して使用するか、重合体以外の成分の酸価、含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0(g)を精秤し、重合体成分の重さをW(g)とする。
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる)。
4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、
この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
【0043】
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0044】
重合体成分の酸価を調整するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸などのアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水物などがあり、このようなモノマーを単独、或いは混合して、他のモノマーと共重合させることにより所望の重合体を作ることができる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価値をコントロールする上で好ましい。
【0045】
より具体的には、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジカルボン酸のモノエステル類などが挙げられる。
【0046】
以上のようなカルボキシル基含有モノマーは、結着樹脂を構成している全モノマー100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部添加すればよい。
【0047】
上記のようなジカルボン酸のモノエステルモノマーが選択される理由としては、水系の懸濁液に対して、溶解度が低く、有機溶媒や他のモノマーへの溶解度の高いエステルの形で用いるのが好ましいからである。
【0048】
本発明において、上記のような方法で得られた共重合体中のカルボン酸基及びカルボン酸エステル部位はアルカリ処理を行い、ケン化させることもできる。即ち、アルカリのカチオン成分と反応させて、カルボン酸基或いはカルボン酸エステル部位を極性官能基に変化させても良い。
【0049】
このアルカリ処理は、バインダー樹脂製造後、重合時に使用した溶媒中に水溶液として投入し、撹拌しながら行なえばよい。本発明に用いることのできるアルカリとしては、Na,K,Ca,Li,Mg,Baなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物;Zn,Ag,Pb,Niなどの遷移金属の水酸化物;アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ピリジウム塩などの4級アンモニウム塩の水酸化物などがあり、特に好ましい例として、NaOHやKOHが挙げられる。
【0050】
本発明において上記ケン化反応は、共重合体中のカルボン酸基及びカルボン酸エステル部位の全てに渡って行われる必要はなく、部分的にケン化反応が進行し、極性官能基に変わっていればよい。
【0051】
また、ケン化反応に用いるアルカリの量は、バインダー樹脂中の極性基の種類、分散方法、構成モノマーの種類などにより一概に決定し難いのであるが、バインダー樹脂の酸価の0.02〜5倍当量であればよい。0.02倍当量より少ない場合はケン化反応が十分でなく、反応によって生じる極性官能基の数が少なくなり、結果として後のケン化による架橋反応が不十分となる。逆に5倍当量を超える場合は、カルボン酸エステル部位などの官能基に対し、エステルの加水分解、ケン化反応による塩の生成などによって官能基に悪影響を及ぼす。
【0052】
尚、酸価の0.02〜5倍当量のアルカリ処理を施した時は、処理後の残存カチオン濃度が5〜1000ppmの間に含まれ、アルカリの量を規定するのに好ましく用いることができる。
【0053】
本発明に係る樹脂組成物は、保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が45〜75℃、好ましくは50〜70℃であり、Tgが45℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなる。また、Tgが75℃を超えると、定着性が低下する傾向にある。
【0054】
本発明の結着樹脂の合成方法として本発明に用いることの出来る重合法として、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられる。
【0055】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。更に、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として有利な点がある。
【0056】
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要で、この不便を避けるためには懸濁重合が好都合である。
【0057】
懸濁重合においては、水系溶媒100重量部に対して、モノマー100重量部以下(好ましくは10〜90重量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、一般に水系溶媒100重量部に対して0.05〜1重量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択される。
【0058】
本発明に用いられる結着樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
【0059】
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤から選択される。
【0060】
これらの内、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
【0061】
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足する為には、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の分解温度よりも低い半減期10時間を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
【0062】
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物等が挙げられる。
【0063】
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程において該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
【0064】
これらの開始剤は、効率の点からモノマー100重量部に対し0.05〜2重量部で用いるのが好ましい。
【0065】
本発明の目的を達成する為に以下に例示する様な架橋性モノマーで架橋されていることも好ましい。
【0066】
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いらる。具体例としては、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
【0067】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100重量部に対して、0.0001〜1重量部、好ましくは0.001〜0.5重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0068】
これらの架橋性モノマーのうち、トナーの定着性,耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0069】
その他の合成方法としては、塊状重合方法、溶液重合方法を用いることが出来る。しかしながら、塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を速めることで、任意の重合体を得ることができるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。その点、溶液重合法では、溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整することで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、本発明で用いる樹脂組成物中の低分子量体を得るには好ましい。特に、開始剤使用量を最小限に抑え、開始剤が残留することによる影響を極力抑えるという点で、加圧条件下での溶液重合法も好ましい。
【0070】
本発明の結着樹脂を得る為のコモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
【0071】
例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ステアリル、アクリル酸(2−クロルエチル)、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸誘導体もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。これらのビニル系モノマーは単独もしくは2つ以上のモノマーを混合して用いられる。
【0072】
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレンアクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
【0073】
また、本発明の結着樹脂が、少なくともスチレン系重合体成分又はスチレン系共重合体成分を65重量部以上含有することが混合性の点で好ましい。
【0074】
結着樹脂を製造する方法として、溶液重合法により高分子量重合体と低分子量重合体を別々に合成した後にこれらを溶液状態で混合し、次いで脱溶剤する溶液ブレンド法、また、押出機等により溶融混練するドライブレンド法、溶液重合法等により得られた低分子量重合体を溶解した高分子量重合体を構成するモノマーに溶解し、懸濁重合を行い、水洗・乾燥し、樹脂組成物を得る二段階重合法等も挙げられる。しかしながら、ドライブレンド法では、均一な分散、相溶の点で問題があり、また、二段階重合法だと均一な分散性等に利点が多いものの、低分子量分を高分子量分以上に増量することが困難であり、低分子量重合体成分の存在下では、分子量の大きい高分子量重合体の合成が困難であるだけでなく、不必要な低分子量重合体が副生成する等の問題があることから、該溶液ブレンド法が最も好適である。また、低分子量重合体成分に所定の酸価を導入する方法としては、水系の重合法に比べて酸価の設定が容易である溶液重合が好ましい。
【0075】
ポリエステル樹脂を用いることで酸価を得ることも可能で、ポリエステル樹脂の組成について説明する。
【0076】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0077】
【化10】
Figure 0003907327
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)。
【0078】
また、式(B)で示されるジオール類;
【0079】
【化11】
Figure 0003907327
であり、x′,y′は0以上の整数であり、かつ、x′+y′の平均値は0〜10である。)
が挙げられる。
【0080】
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0081】
また、架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0082】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0083】
また、本発明における3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;
次式
【0084】
【化12】
Figure 0003907327
(式中、Xは炭素数1以上の側鎖を1個以上有する炭素数1〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0085】
本発明に用いられるアルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。
【0086】
また3価以上の多価の成分は、全成分中の1〜60mol%であることも好ましい。
【0087】
該ポリエステル樹脂も通常一般に知られている縮重合によって得られる。
【0088】
本発明に用いられる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物が用いられ、その磁性体表面或いは内部に非鉄元素を含有するものが好ましい。
【0089】
本発明に用いられる磁性体は、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄及びその混合物が好ましく用いられる。
【0090】
中でもリチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、バリウム、スカンジウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ガリウム、カドミウム、インジウム、銀、パラジウム、金、水銀、白金、タングステン、モリブデン、ニオブ、オスミウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ビスマスから選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄であることが好ましい。特にリチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、第4周期の遷移金属元素が好ましい元素である。これらの元素は酸化鉄結晶格子の中に取り込まれても良いし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていても良いし、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在しても良い。また、酸化物として含有されているのが好ましい形態である。
【0091】
これらの元素は、磁性体生成時に各々の元素の塩を混在させpH調整により、粒子中に取り込むことが出来る。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより粒子表面に析出させることが出来る。
【0092】
これらの元素を有する磁性体は、結着樹脂に対し馴染みが良く、非常に分散性が良い。更にこの分散性のよさが、本発明で用いられる有機チタン化合物の分散性を向上することができ、本発明の有機チタン化合物の効果を十分に発揮することが出来る。つまり磁性体が分散メディアとして働き、有機チタン化合物の分散を磁性体の分散性の良さが援助し、有機チタン化合物の分散性を向上させるわけである。また、これらの磁性体は水分子を吸着し、有機チタン化合物が、水分子による帯電に強調を発揮しやすくする効果を持っている。この効果は酸価を有する結着樹脂と共に用いると一層効果的に発揮できる。
【0093】
またこれらの磁性体は、粒度分布が揃い、その結着樹脂中への分散性とあいまって、トナーの帯電性を安定化することが出来る。また近年はトナー粒径の小径化が進んできており、重量平均粒径10μm以下のような場合でも、帯電均一性が促進され、トナーの凝集性も軽減され、画像濃度の向上、カブリの改善等現像性が向上する。特に重量平均粒径8.0μm以下のトナーにおいてはその効果は顕著であり、極めて高精細な画像が得られる。重量平均粒径は2.5μm以上である方が十分な画像濃度が得られて好ましい。一方でトナーの小粒径化が進むとチタン化合物の遊離も生じやすくなるが、本発明のトナーは帯電均一性に優れているので多少のチタン化合物が存在してもスリーブ汚染の影響を受けにくくなる。
【0094】
これらの異種元素の含有率は、磁性酸化鉄の鉄元素を基準として0.05〜10重量%であることが好ましい。更に好ましくは0.1〜7重量%であり、特に好ましくは0.2〜6重量%、更には0.3〜5重量%である。0.05重量%より少ないと、これら元素の含有効果が得られなく、良好な分散性、帯電均一性が得られなくなる。10重量%より多くなると、電荷の放出が多くなり帯電不足を生じ、画像濃度が低くなったり、カブリが増加することがある。
【0095】
また、これら異種元素の含有分布において、磁性体の表面に近い方に多く存在しているものが好ましい。たとえば、酸化鉄の鉄元素の溶解率が20%のときの異種元素の溶解率が、全異種元素の存在量の20%〜100%が好ましい。さらには25%〜100%がよく、30%〜100%が特に好ましい。表面存在量を多くすることにより分散効果や電気的拡散効果を、より向上させることができる。
【0096】
これらの磁性体は平均粒径0.05〜1.0μmが好ましく、さらには0.1〜0.5μmのものが好ましい。BET比表面積は2〜40mm2/gのものが用いられる。形状には特に制限はなく、任意の形状のものが用いられる。磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/mであるものが用いられる。これらの磁性体は結着樹脂100重量部に対し、20〜200重量部で用いられる。
【0097】
本発明の磁性酸化鉄中の元素量は、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業(株)社製)を使用し、JIS K0119蛍光X線分析通則に従って、蛍光X線分析を行なうことにより測定した。元素分布については、塩酸溶解しながらの元素量をプラズマ発光分光(ICP)により測定定量し、各元素の全溶時の濃度に対する各溶解時の各元素濃度からその溶解率を求めることにより得られる。
【0098】
また、個数平均径は透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることが出来る。磁性体の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業社製)を用いて外部磁場795.8kA/mの下で測定した値である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソープ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試科表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0099】
本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;または、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうなどの植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタムなどの鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0100】
好ましく用いられるワックスとしては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィン重合時にえられる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン;放射線、電磁波、光等を利用して重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス;ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基、カルボキシル基などの官能基を有する炭化水素系ワックス;炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物;更に、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸などのビニルモノマーでグラフト変性したワックスなどである。
【0101】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法、融液晶析法等を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0102】
本発明のトナーにおいては、これらのワックス総含有量は、結着樹脂100重量部に対し、0.2〜20重量部で用いられ、好ましくは0.5〜10重量部で用いるのが効果的である。
【0103】
本発明においてワックスの融点は、DSCにおいて測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
【0104】
本発明においてワックスの示差走査熱量計によるDSC測定では、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7が利用できる。
【0105】
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温,降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
【0106】
本発明の有機チタン化合物は、2種類以上の異なるワックスと用いると、更に優れた効果が得られる。ワックスには、トナーに対して、可塑化作用と離型作用を発揮し、同時に用いるとどちらかの作用が強調されるようになる。ここに本発明の有機チタン化合物が存在すると、これらの効果が際だって現れるようになり、それぞれのワックスを単独に用いたときよりもその作用が効果的に働くようになる。ワックスにより可塑化されると、有機チタン化合物の分散が良くなり、それにつれてもう一つのワックスの離型性がより鮮明に現れるようになる。この時、酸価を有する結着樹脂と共に用いるとなお一層効果的である。
【0107】
ここで、2種のワックスの選択であるが、同様構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10℃〜100℃の時この機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくく、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくい。
【0108】
また、相対的に、枝別れ構造のものや官能基などの極性基を有するものや主成分とは異なる成分で変成されたものなどが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基等を有さない無極性のものや未変成のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、例えば、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー・コポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー・コポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス・脂肪酸ワックス・エステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フイシャートロプシュワックス・ポリオレフィンワックスとパラフィンワックス・マイクロクリスタリンワックスの組み合わせ、フイッシャートロプシュワックスとポリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの組み合わせ、カルナバワックス・キャンデリラワックス・ライスワックス・モンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせなどである。
【0109】
本発明のトナーに使用できる着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。例えば顔料として、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を維持するために必要な量が用いられ、結着樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の添加量が良い。また、同様の目的で、更に染料が用いられる。例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、結着樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の添加量が良い。
【0110】
本発明においては、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機酸化物や、カーボンブラック、フッ化カーボンなど粒径の細かい粒子の無機微粉末を添加することが好ましい。
【0111】
シリカ、アルミナ、酸化チタンは、トナー表面に分散させた時に細かい粒子となる方が流動性付与性が高くなるので好ましい。平均粒径としては5〜100nmになるものが良く、さらに好ましくは5〜50nmが良い。BET法で測定した窒素吸着による比表面積では30m2/g以上(特に60〜400m2/g)の範囲のものが母体微粉体として好ましく、表面処理された微粉体としては、20m2/g以上(特に40〜300m2/g)の範囲のものが好ましい。
【0112】
これらの微粉体の適用量は、トナー母体重量に対して、0.03〜5wt%添加した時に適切な表面被覆率になる。
【0113】
本発明に用いる無機微粉体の疎水化度としては、メタノールウエッタビリティーで30%以上の値を示すのが好ましく、更に好ましくは50%以上である。疎水化処理剤としては、含ケイ素表面処理剤であるシラン化合物とシリコーンオイルが好ましい。
【0114】
例えば、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン等のようなアルキルアルコキシシランや、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。
【0115】
また、以下の正帯電性のものも、帯電量の調整等のため用いても良い。アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラシ、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、アミノ変性のシリコーンオイル等を用いることができる。
【0116】
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分トナーとして用ることができる。キャリアの電流値は、キャリア表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して20〜200μAにするのが良い。
【0117】
キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂など或いは、これらの混合物を用いることができる。
【0118】
キャリアコアの磁性材料としては、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの合金を用いることができる。また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等が挙げられる。
【0119】
本発明で用いられる各種特性付与を目的とした添加剤としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
【0120】
(1)研磨剤:金属酸化物(チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸化クロムなど)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウム)など。
【0121】
(2)滑剤:フッ素系樹脂粉末(ポリフッ化ビニリデン,ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)など。
【0122】
(3)荷電制御性粒子:金属酸化物(酸化錫,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化ケイ素,酸化アルミニウムなど)・カーボンブラック・樹脂微粒子など。
【0123】
これら添加剤は、トナー粒子100重量部に対し、0.05〜10重量部が用いられ、好ましくは、0.1〜5重量部が用いられる。これら添加剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。
【0124】
磁性トナーの場合は、2種以上の無機酸化物あるいは金属酸化物の微粉体を用いることが現像の耐久安定性、放置後の現像安定性を得る上で好ましい。非磁性一成分現像方法の場合は、酸化チタン,アルミナを用いることが流動性向上、画像均一性を得る為に好ましい。
【0125】
本発明に係るトナーを製造するにあたっては、上述したようなトナー構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、熱ロールニーダー、エクストルーダーの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、機械的な粉砕、分級によってトナーを得る方法が好ましく、他には、あるいは結着樹脂を構成すべき単量体に所定の材料を混合して乳化懸濁液とした後に、重合させてトナーを得る重合法トナー製造法;あるいはコア材、シェル材から成るいわゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるいはシェル材、あるいはこれらの両方に所定の材料を含有させる方法;結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法;等の方法が応用できる。さらに必要に応じ所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分に混合し、本発明に係るトナーを製造することができる。
【0126】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0127】
実施例に用いられる樹脂を表1に、ワックスを表2に、磁性体を表3に記す。スチレン系樹脂は溶液重合法により合成し、ポリエステル樹脂は脱水縮合法により合成した。磁性体はマグネタイト生成時に内部に存在する元素の塩を添加しpHを調整しながら、マグネタイト粒子を生成させ、磁性体α〜εを得た。磁性体αは珪酸塩を、磁性体βは珪酸塩とアルミニウム塩を、磁性体γは燐酸塩を、磁性体δはマグネシウム塩を添加してマグネタイト粒子を製造した。磁性体εは亜鉛塩を添加して、マグネタイト粒子を生成させ更に珪酸塩を添加しpHを調整して、磁性体を得た。磁性体ζは燐酸塩を添加して、マグネタイト粒子を生成させ更に珪酸塩を添加しpHを調整して、磁性体を得た。特に塩を添加せずにマグネタイト粒子を生成させ、磁性体θを得た。磁性体θ生成後、ジルコニウム塩を添加してpH調整しマグネタイト粒子表面に、ジルコニアを析出させて磁性体ηを得た。
【0128】
【表1】
Figure 0003907327
【0129】
【表2】
Figure 0003907327
【0130】
【表3】
Figure 0003907327
【0131】
実施例1
結着樹脂B 100重量部
磁性体α 100重量部
チタン化合物21 2重量部
ワックスc 3重量部
ワックスe 4重量部
【0132】
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径5.8μmのトナー粒子を得た。トナー粒子100重量部に対し、ヘキサメチルジシラザン10wt%とジメチルシリコーン10wt%で疎水化処理したBET比表面積120m2/gのシリカ1.0重量部を外添混合してトナーNo.1を調製した。
【0133】
このトナーNo.1を、市販のプリンターLBP−930(キヤノン社製)を用いて、15℃,10%RHの環境と30℃,80%RHの環境で4,000枚のプリント試験を行った。その結果、両環境で画像濃度が高くカブリのない高精細な画像が得られた。その詳細は表5及び6に記す。
【0134】
画像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度を測定を行い、5mm角の画像を測定した。カブリは、反射濃度計(リフレクトメーターモデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて行い、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Ds−Drをカブリ量としてカブリの評価を行った。数値の少ない方がカブリ抑制が良い。画質の評価としては、孤立ドット100個画像形成し、100個のうち何ドット表すことができたかによって評価する。ドット再現数が多い方が高画質といえるものである。定着部材の汚れは、次に基準で評価した。
A:定着部材に汚れ無し
B:定着部材に少し汚れあり
C:定着部材が汚れているが、画像には影響なし
D:定着部材が汚れ、画像にもオフセットが発生
【0135】
実施例2〜10
表4に記載の処方で実施例1と同様にトナーNo.2〜10を作製し、同様の試験をした結果を表5及び6に記す。
【0136】
比較例1〜4
表4に記載の処方で実施例1と同様にトナーNo.11〜14を作製し、同様の試験をした結果を表5及び6に記す。化合物として亜鉛化合物,鉄化合物,アルミニウム化合物及びクロム化合物である下記化合物46〜49を使用した。
【0137】
【化13】
Figure 0003907327
【0138】
実施例11
結着樹脂H 100重量部
銅フタロシアニン 4重量部
チタン化合物11 2重量部
【0139】
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、100℃に設定した二軸混練押し出し機にて混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.8μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子100重量部に、硫酸法で製造されたアナターゼ型チタニア微粉体100重量部にイソブチルトリメトキシシラン10重量部とジメチルシリコーン10重量部で処理した疎水性チタニア微粉体(メタノールウエッタビリティ65%、BET比表面積75m2/g)1.5重量部を外添混合してトナーNo.15を調製した。
【0140】
得られたトナーNo.15について、次に示す各評価試験を行った。
【0141】
<画像評価試験>
市販のカラープリンター(LBP−2030,キヤノン社製)を用い、15℃,10%RH、および30℃,80%RHの各環境下においてそれぞれ3000枚プリントを行い、画像濃度、カブリを評価した。
【0142】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは、「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度と、ベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度とを測定し、その差分をカブリ値とし、その値が小さい方がカブリ抑制が良い。カブリの測定は、画像形成前の転写材、及び画像形成後の白地部について、反射濃度計(リフレクトメーターモデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて反射濃度を測定し、平均値を求める。画像形成前後での反射濃度の差をカブリの評価とする。
【0143】
画質は、孤立ドットを100個画像形成し100個のうち何ドット表すことできたかによって評価する。ドット再現数が多い方が高画質といえるものである。
【0144】
画像評価試験の評価結果を表7及び8にまとめた。
【0145】
実施例12
結着樹脂H 100重量部
ジメチルキナクリドン 5重量部
チタン化合物15 2重量部
【0146】
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、100℃に設定した二軸混練押し出し機にて混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.8μmのトナー粒子を得た。熱分解法で製造されたγ型アルミナ微粉体100重量部にn−ブチルトリメトキシシラン10重量部、ジメチルシリコーン5重量部で処理した疎水性アルミナ微粉体(メタノールウエッタビリティ70%、BET比表面積82m2/g)1.5重量部を、トナー粒子100重量部に加え外添混合してトナーNo.16を調製した。
【0147】
このトナーNo.16を用い、実施例11と同様のランニング試験を行った。画像濃度、カブリ、画質等の現像性評価結果を表7及び8に記す。
【0148】
実施例13
結着樹脂H 100重量部
ジスアゾ顔料(C.I.Pig.Yellow17) 3重量部
チタン化合物29 2重量部
【0149】
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、100℃に設定した二軸混練押し出し機にて混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.8μmのトナー粒子を得た。火焔分解法で製造されたδ型アルミナ微粉体100重量部にn−ブチルトリメトキシシラン10重量部、ジメチルシリコーン5重量部で処理した疎水性アルミナ微粉体(メタノールウエッタビリティ75%、BET比表面積77m2/g)1.5重量部を、トナー粒子100重量部に加え外添混合してトナーNo.17を調製した。
【0150】
このトナーNo.17を用い、実施例11と同様のランニング試験を行った。画像濃度、カブリ、画質等の現像性評価結果を表7及び8に記す。
【0151】
実施例14
結着樹脂H 100重量部
カーボンブラック 4重量部
チタン化合物34 2重量部
【0152】
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、100℃に設定した二軸混練押し出し機にて混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.8μmのトナー粒子を得た。
【0153】
得られたトナー粒子100重量部に、硫酸法で製造されたルチル型チタニア微粉体100重量部にイソブチルトリメトキシシラン10重量部とジメチルシリコーン10重量部で処理した疎水性チタニア微粉体(メタノールウエッタビリティ70%、BET比表面積59m2/g)1.5重量部を外添混合してトナーNo.18を調製した。
【0154】
このトナーNo.18を用い、実施例11と同様のランニング試験を行った。画像濃度、カブリ、画質等の現像性評価結果を表7及び8に記す。
【0155】
【表4】
Figure 0003907327
【0156】
【表5】
Figure 0003907327
【0157】
【表6】
Figure 0003907327
【0158】
【表7】
Figure 0003907327
【0159】
【表8】
Figure 0003907327
【0160】
【発明の効果】
本発明は、複写機、プリンター等の使い切りカートリッジタイプ等の簡易な現像器構成においても、優れた現像性が得られるトナーである。また、本発明はどのような電子写真出力装置においても、定着部材からの画像汚れの発生を抑制するトナーである。更に本発明は、使用環境によらず高画質の得られるトナーであって、経時よっても変化せず、長期にわたり潜像に忠実な画像の得られるトナーである。

Claims (5)

  1. 少なくとも、結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を含有するトナーにおいて、該有機金属化合物が金属元素としてチタンを有し、配位子として芳香族ポリカルボン酸を配位している下記一般式(1)または(2)
    Figure 0003907327
    〔上記一般式(1)または(2)において、R 1 ,R 2 は水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基を表わし、相互に連結して脂肪族環、芳香環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環に置換基R 1 ,R 2 を有していても良く、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。Lは水、アルコール、アンモニア、アルキルアミン、ピリジンを表わす。Cは、水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムを表わす。zは1〜4の整数を表わす(芳香族残基によってはそれ以上でもよい)。また、各錯体または錯塩において配位子となる芳香族ポリカルボン酸類は同じものであっても異なるものであってもよい。〕
    で示される構造を有するチタン錯体あるいはチタン錯塩であることを特徴とするトナー。
  2. 該結着樹脂の酸価が1mgKOH/g乃至100mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 該着色剤が鉄元素基準で異種元素を0.05重量%乃至10重量%で含有している磁性酸化鉄であって、該異種元素は、珪素、アルミニウム、鱗、マグネシウム、亜鉛及びジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一つ以上の元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 融点の差が10℃乃至100℃ある融点の異なるワックスを少なくとも2種類含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 組成の異なるワックスを少なくとも2種含有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
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