JP3683967B2 - 静電荷像現像用現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真、静電記録、静電印刷の如き画像形成方法における静電潜像を可視化するための静電荷像現像用現像剤及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報および特公昭43−24748号公報等に記載されているように多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用した静電潜像担持体表面を、種々の手段で一様に帯電させた後、静電潜像担持体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着し複写物を得るものであり、さらに静電潜像担持体上に転写されず残ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上述の工程が繰り返される。
【0003】
このうち、静電潜像担持体上の残余のトナーを除去する方法としては、ブレードクリーニング方式、ファーブラシクリーニング方式、磁気ブラシクリーニング方式など静電潜像担持体にクリーニング部材を接触させて行うのが一般的である。この場合は、クリーニング部材は適当な圧力で静電潜像担持体に圧接しているので、繰り返し使用している間に静電潜像担持体が傷ついたり、トナーが固着する現象が発生する。
【0004】
一方、帯電方法としては最近、帯電部材を静電潜像担持体表面に当接させて直流電圧と交流電圧を重畳した電圧をかけて帯電を行う接触帯電方法が多く提案されており、従来のコロナ帯電方法に比較して低い印加電圧を使用し得る。また、オゾンの発生が少ない等といった利点を有している。この接触帯電方法によると、例えば図3に図示するように、静電潜像担持体(感光体ドラム)1に帯電部材である帯電ローラ2を接触従動回転させ、交流電圧Vacと直流電圧Vdcとを重畳した電圧(Vac+Vcd)を帯電ローラ2に印加することにより、感光体ドラム1を均一に帯電することができる。
【0005】
上述からも理解されるように、帯電ローラ2は導電性を保つ必要があり、従来芯金のまわりに、EPDM,NBR等の弾性ゴムにカーボンを分散させた導電弾性部材を形成したものが使用されている。そのため、帯電ローラ2はゴム硬度がASKER(アスカー)−Cで70°以上にならざるを得なかった。上述の如き帯電ローラ2を使用して接触帯電を実施した場合に、芯金2aに印加された電圧の交流成分Vacのために導電性部材2bが振動し、そして帯電ローラ2と感光体ドラム1とのニップ部(当接部)で音が発生し問題となる。この騒音の発生は硬度が大きいと、より大きくなる傾向があった。
【0006】
また、印加電圧の交流成分Vacをなくせば音の発生はなくなるが感光体ドラム1の表面の均一な帯電を得ることができず、斑点状の帯電ムラを生じる。
【0007】
そこで本出願人は、特開平1−191161号公報等で帯電部材の硬度をASKER(アスカー)−Cで60°以下とすることによって、帯電による騒音のレベルを低下させる帯電方法を提案した。
【0008】
また最近、電子写真法を利用した複写機、プリンター等に対して、低エネルギー化、あるいは高速化という技術的要求が強くなってきており、その結果トナーは低エネルギーで軟化するように設計しなければならない。このようなトナーと前述の硬度を低下させた帯電部材を組み合わせた場合、静電潜像担持体表面にトナーが固着しやすくなり、静電潜像担持体の寿命が短くなるという欠点が生じる。帯電部材がローラ形状の場合特にその傾向が強く、その理由は、帯電部材の硬度が低下すると、静電潜像担持体の駆動力が接触面を介して帯電部材に伝わる際に、帯電部材が変形して力が分散し、帯電部材と静電潜像担持体の表面でスベリが生じるためと推測している。
【0009】
トナーが上記静電潜像担持体に固着する現象を回避するために、例えば、特開昭48−47345号公報においてトナー中に摩擦減少現像物質と研磨物質の双方を添加することが提案されている。しかし、この方法では繰り返し使用により静電潜像担持体表面に生成もしくは付着する紙粉,オゾン付加物などの低電気抵抗物質の除去が行われにくくなり、特に高温高湿環境下において低抵抗物質により潜像担持体上の潜像が著しく乱れる画像流れ現象が発生するといった欠点があった。
【0010】
また、これらを解決すべく特開昭62−61073号公報、特開平3−10311号公報では金属酸化物とシリカ微粉体を含有したトナーが提案されている。しかしこの方法では、近年要求される記録装置の高速化により、帯電工程及びクリーニング工程でのトナーの負荷が大きくなってきたため、静電潜像担持体へのトナーの融着や静電潜像担持体表面の不均一な削れを防ぐことが困難となってきた。
【0011】
更に、特開平4−44051号公報においては、疎水性シリカ粒子と樹脂微粒子及び金属酸化物を含有したトナーが提案されているが、この方法ではそれぞれの粒子の環境特性が規定されていないためにトナーが周囲の影響を受け易く、高温高湿環境下では帯電量ダウン、低温低湿環境下ではチャージアップするという問題点を有する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の問題点を解決した静電荷像現像用現像剤及び画像形成方法を提供することにある。
【0013】
即ち本発明の目的は、静電潜像担持体へのトナーの固着及び静電潜像担持体の不均一な削れを防ぎ、装置の高速化に適用しても長期にわたって高品位な画像が得られる静電荷像現像用現像剤を提供することにある。
【0014】
また本発明の目的は、帯電部材に交流成分を有する電圧を印加し、オゾンの発生が少ない接触帯電方法を用い、帯電による騒音の発生がなく、更に低温定着化,高速化を実現するトナーを用いた場合にも、静電潜像担持体表面にトナーの固着及び不均一な削れが発生することなく長寿命を達成し得る画像形成方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、静電潜像担持体表面を接触帯電方式で帯電させる帯電手段を有する画像形成装置に用いる静電荷像現像用現像剤であって、
該静電荷像現像用現像剤は、少なくとも、トナー、無機微粉体、樹脂微粒子及び金属酸化物をし、
該無機微粉体は、トナーと同極性に帯電し、比表面積が70〜300m2/gであり、
該樹脂微粒子の添加量は、トナーに対し0.050.12重量%であり、該樹脂微粒子は、トナーと同極性に帯電し、比表面積が5.0〜20.0m2/g、体積固有抵抗が107〜1014Ωcmであり、
該金属酸化物は、トナーと逆極性に帯電し、比表面積が0.5〜10.0m2/gであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤に関する。
【0016】
さらに、本発明は、静電潜像担持体表面を接触帯電方式で帯電する工程、静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程、該静電潜像を現像剤により現像しトナー画像を形成する工程、該静電潜像担持体に形成されたトナー画像を転写材に転写する工程及び転写後該静電潜像担持体の表面をクリーニング手段を当接させてクリーニングする工程を有し、クリーニング後の該静電潜像担持体を使用して上記工程を繰り返す画像形成方法において、
該現像剤として、上記の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0017】
さらに、本発明は、少なくとも交流成分を有している電圧を帯電部材に印加し、該帯電部材を静電潜像担持体に当接されて該静電潜像担持体表面を帯電する工程、静電潜像を形成する工程、静電潜像を現像剤により現像する工程を有する画像形成方法において、
該帯電部材は、静電潜像担持体に接触する高抵抗体からなる上層部と、該上層部の下層を構成し少なくとも交流成分を有している電圧が印加される導電性の下層部とを備え、該帯電部材の硬度がASKER−Cで60°以下であり、
該静電潜像担持体が、少なくとも導電性支持体、電荷発生層を有する積層構造を有し、該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子、ケイ素原子または両者を有し、
該現像剤として、上記の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0018】
上記構成にすることによって、近年要求される高速化,高耐久化においても本発明の効果を充分に発揮することができる。具体的に説明すると、主に遊離した無機微粉体と金属酸化物が、静電潜像担持体表面に付着する紙粉,トナーなどを削り取る。このうち比表面積の大きい無機微粉体は、静電潜像担持体上を微細に削り、静電潜像担持体表面とクリーニング部材及び帯電部材との摩擦抵抗を減少させるのにも効果的である。一方、金属酸化物は、無機微粉体でも除去できない様な、強く固着したり広範囲にわたって固着したりした付着物を除去するのに効果的である。さらに樹脂微粒子を含有させることによって、金属酸化物が偏って存在する部分がある時に、その部分だけ周囲と比較して極端に削れるのを緩和させつつ、遊離した様な余分な無機微粉体を吸着させクリーニングしやすくなる。
【0019】
さらに無機微粉体と樹脂微粒子の帯電性をトナーと同極性にすることによって、現像剤の帯電性を安定させることができる。
【0020】
また、転写工程において静電潜像担持体上のトナーを転写材上に移す際、トナーと逆極性に帯電した該金属酸化物が、転写材上のトナーから静電潜像担持体表面または静電潜像担持体上のトナーに移動する。もしくは、外添の際のばらつきにより、より多量の該金属酸化物が付着したトナーが転写の際、静電潜像担持体表面に残る。いずれかの原因により、転写工程を終えた静電潜像担持体上に大きな割合で金属酸化物が残存し、静電潜像担持体表面の付着物を効果的に除去することができる。
【0021】
さらに、帯電工程において、極微少にクリーニングをすり抜けるトナーによる帯電部材汚染に対して、ASKER−Cで60°以下の硬度の柔らかい帯電部材を用いた場合には、汚染物質が帯電部材表面に存在しても帯電部材表面が静電潜像担持体との当接部分で柔軟に変形し静電潜像担持体と十分に接地することにより、帯電不良を起しづらく、好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
無機微粉体の比表面積は70〜300m2/g(より好ましくは70〜150m2/g)、樹脂微粒子の比表面積は5.0〜20.0m2/g(より好ましくは8.0〜15.0m2/g)、金属酸化物の比表面積は0.5〜10.0m2/gであることが好ましい。無機微粉体の比表面積が70m2/gよりも小さいと遊離物としての存在確率が大きくなり、無機微粉体の偏在や凝集物による黒ポチの発生原因となりやすい。300m2/gよりも大きいと現像剤の吸湿性が高くなり現像剤の環境安定性が低下する。樹脂微粒子の比表面積が5.0m2/gよりも小さい場合、遊離した無機微粉体を吸着する量が減少する。20.0m2/gよりも大きい場合には、金属酸化物による静電潜像担持体の削れを充分に緩和することが困難となる。該金属酸化物の比表面積が0.5m2/gよりも小さいと静電潜像担持体表面や現像剤担持体の削れが顕著となる。10.0m2/gよりも大きいと静電潜像担持体表面の付着物を除去できなかったり、クリーニング部材をすり抜けて画像欠陥につながる場合がある。
【0023】
本発明の樹脂微粒子の体積固有抵抗は、107〜1014Ωcm(より好ましくは108〜1014Ωcm)が好ましい。該樹脂微粒子の体積固有抵抗が107Ωcmよりも低いと充分な現像剤の帯電量が得られなかったり、遊離して静電潜像担持体表面に付着した際には電荷のリークを生じやすく、1014Ωcmよりも大きいと現像剤がチャージアップを起こし充分な画像濃度が得られない。
【0024】
該無機微粉体の添加量はトナーに対し0.3〜3.0重量%であり、該樹脂微粒子の添加量はトナーに対し0.005〜0.5重量%であり、該金属酸化物の添加量はトナーに対し0.05〜5.0重量%(より好ましくは0.05〜2.0重量%)であることが好ましい。
【0025】
無機微粉体の添加量が0.3重量%未満だと現像剤の凝集性が増し、3.0重量%よりも多くなるとチャージアップを生じやすい。樹脂微粒子の添加量が0.005重量%未満だと金属酸化物の研磨力をバランス良く緩和できなくなり、0.5重量%よりも多い場合にはクリーニング不良が生じ帯電ローラ汚れが顕著となる。また金属酸化物の添加量が0.05重量%未満であると静電潜像担持体への研磨力が不充分であり、5.0重量%よりも多いと静電潜像担持体が必要以上にしかも不均一に削れてしまう。
【0026】
本発明に用いられる無機微粉体のうち特に好ましいものは、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された、いわゆる乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両方が使用可能である。なかでも、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO3 2- 等の製造残渣のない乾式シリカの方が好ましい。乾式シリカにおいては製造工程において例えば、塩化アルミニウムまたは、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。本発明において、無機微粉体はそれらも包含する。
【0027】
無機微粉体の粒径は平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0028】
本発明に用いられる無機微粉体は、疎水性であることが環境安定性から好ましい。
【0029】
疎水化処理は従来公知の疎水化処理剤及び方法が用いられる。疎水化処理剤としてはシリコーンオイルあるいはシリコーンワニスといったオルガノシロキサン単位を有するケイ素化合物が用いられることが好ましいが、特に現像剤の流動性,帯電性からシリコーンオイルが好ましい。
【0030】
本発明に用いる無機微粉体の処理に用いるシリコーンオイルとしては、一般式
【0031】
【化1】
Figure 0003683967
[Rは炭素数1乃至3のアルキル基を示し、R’はアルキル基,ハロゲン変性アルキル基,フェニル基または変性フェニルの如きシリコーンオイル変性基を示し、R”は炭素数1乃至3のアルキル基またはアルコキシ基を示し、m及びnは整数を示す]で表わされるものが例示される。例えば、ジメチルシリコーンオイル,アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。シリコーンオイルとしては上記式のものに限定されるわけではない。
【0032】
上記シリコーンオイルは、温度25℃における粘度が50乃至1000センチストークスの物が好ましい。50センチストークス未満では熱が加わることにより一部揮発し、帯電特性が劣化しやすい。1000センチストークスを超える場合では、処理作業上取扱いが困難となる。シリコーンオイル処理の方法としては、公知技術が使用できる。例えば、ケイ酸微粉体とシリコーンオイルとを混合機を用い、混合する;ケイ酸微粉体中にシリコーンオイルを噴霧器を用い噴霧する;或いは溶剤中にシリコーンオイルを溶解させた後、ケイ酸微粉体を混合する方法が挙げられる。処理方法としてはこれに限定されるものではない。
【0033】
本発明に用いられるケイ酸微粉末処理用のシリコーンワニスは公知の物質が使用できる。
【0034】
例えば、信越シリコーン社製、KR−251、KP−112等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
シリコーンワニス処理の方法としては、オイル処理と同じ公知技術が使用できる。
【0036】
無機微粉体表面を処理しているオルガノシロキサン単位を有するケイ素化合物の一部は、静電荷像保持体上に転移し、遊離ポリオレフィンの如き粉体のクリーニングをさらに容易にする効果がある。
【0037】
本発明における無機微粉体の疎水化度は、以下の方法で測定される。もちろん、本発明の測定法を参照しながら他の測定法も可能である。
【0038】
密栓式の200mlの分液ロートにイオン交換水100ml及び試料0.1gを入れ、振とう機(ターブラシェーカーミキサーT2C型)で90rpmの条件で10分間振とうする。振とう後10分間静置し、無機粉末層と水層が分離した後、下層の水層を20乃至30ml採取し、10mmセルに入れ、500nmの波長で無機微粉体を入れていないブランクのイオン交換水を基準として透過率を測定し、その透過率の値をもって無機微粉体の疎水化度とするものである。
【0039】
本発明における疎水性無機微粉体の疎水化度は、60%以上(より好ましくは90%以上)を有するのが良い。疎水化度が60%未満であると、高湿下での無機微粉体の水分吸着により高品位の画像が得られにくい。
【0040】
本発明における樹脂微粒子の体積固有抵抗値の測定の例を示す。図4に示した錠剤成型装置を用いて、試料41を錠剤に成型する。初めに、試料約0.3gを錠剤成型室43に入れる。次いで、押棒42を錠剤成型室43に差し込み、油圧ポンプ45により250kg/cm2で5分間加圧し、直径約13mm,高さ約2〜3mmのペレット状の錠剤を成型する。44は圧力計である。
【0041】
ここで得られた錠剤は必要に応じて表面及び裏面に導電剤をコートし、例えば、HEWLETT PAKARD社製16008A RESISTIVITYCELL;または同社製4329A HIGH RESISTANCE METERを用いて温度23.5℃,湿度65%RHの環境下で電圧1000V印加時の抵抗値を測定し、計算により体積固有抵抗値ρを求める。
【0042】
【数1】
Figure 0003683967
(式中、Sは試料の断面積、1は試料の高さ)
該樹脂微粒子は、乳化重合法またはスプレードライ法などによって生成条件を調整することにより製造され得る。好ましくはスチレン、アクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等、トナー用結着樹脂に用いられる成分を乳化重合法により単独あるいは共重合して得られるガラス転移点80℃以上の樹脂粒子が良好な効果を示す。
【0043】
ジビニルベンゼンの如き架橋剤で架橋されていてもよく、体積固有抵抗値及びトリボ電荷量調整のために表面が金属、金属酸化物、顔料、染料、界面活性剤等で処理されても良い。
【0044】
本発明における樹脂微粒子は、スチレン系モノマー単位を51重量%以上含む、ブロックまたはランダムスチレン系共重合体であることが特に好ましい。スチレン系樹脂微粒子は、通常、現像剤の結着樹脂に用いられるスチレン−アクリル樹脂やポリエステル樹脂と帯電列が近く、トナー粒子との相互帯電が少なく流動性が悪化しにくい。従って、トナーの結着樹脂としてスチレン系樹脂が好ましい。
【0045】
樹脂微粒子中に含まれるスチレンモノマー単位が51重量%未満であると現像剤の凝集性が強くなり、流動性が悪化し、画像白ヌケ、画像濃度ムラを生じやすい。
【0046】
金属酸化物としては、例えばマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、ジルコニウム、マンガン、セリウム、ストロンチウム等の酸化物、及びチタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複合金属酸化物が挙げられる。なかでも静電潜像担持体への研磨性及びトナーの帯電性からチタン酸ストロンチウム、及び酸化セリウムが最も好ましい。
【0047】
本発明において、疎水性シリカ,樹脂微粒子及び金属酸化物の比表面積は、例えば、湯浅アイオニクス(株)製,全自動ガス吸着量測定装置:オートソーブ1を使用し、吸着ガスに窒素を用い、BET多点法により求める。なお、サンプルの前処理としては、50℃で10時間の脱気を行う。
【0048】
また、トナー,疎水性シリカ,樹脂微粒子及び金属酸化物の帯電性は、例えば鉄粉キャリアを用いた二成分トリボの極性で判断できる。
【0049】
更に本発明は、該トナーの重合体成分が、
(a)実質的にTHF不溶分を含まず、
(b)重合体成分のTHF可溶分は、GPCクロマトグラムにおいて、分子量3×103〜3×104の領域にメインピークを有し、且つ分子量1×105〜3×106の領域にサブピーク又はショルダーを有し、
(c)1mgKOH/g以上の酸価を有する
方が好ましい。
【0050】
更に、本発明は、該トナーの重合体成分の低分子量重合体(GPCクロマトグラムにおいて分子量5×104未満の領域)の酸価(AVL)と高分子量重合体(GPCクロマトグラムにおいて分子量5×104以上の領域)の酸価(AVH)とが下記条件
VL>AVH
を満足している方が好ましい。
【0051】
更に本発明は、該重合体成分の低分子量重合体の酸価(AVL)が21〜35mgKOH/gであり、且つ高分子量重合体の酸価(AVH)が0.5〜11mgKOH/gであり、且つその差の関係が
10≦(AVL−AVH)≦27
である方が好ましい。
【0052】
更に本発明は、該重合体成分の酸価/全酸価の値が0.7以下である方が好ましい。
【0053】
更に本発明は、該重合体成分のTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量3×104以上1×105未満の領域に極小値を有する方が好ましい。
【0054】
次に、トナーの重合体成分の上記諸条件について詳しく説明する。
【0055】
本発明のトナーの重合体成分は、実質的にTHF不溶分を含まないことが好ましい。具体的には、樹脂組成物基準で5重量%以下、好ましくは3重量%以下であると、より好ましい。
【0056】
本発明でのTHF不溶分とは、トナー中の樹脂組成物中のTHF溶媒に対して不溶性となったポリマー成分(実質的に架橋ポリマー)の重量割合を示し、架橋成分を含む樹脂組成物の架橋の程度を示すパラメーターとして使うことができる。THF不溶分とは、以下のように測定された値をもって定義する。
【0057】
即ち、トナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し(w1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて6時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(w2g)。トナー中の磁性体あるいは顔料の如き樹脂成分以外の成分の重量を(w3g)とする。THF不溶分は、下記式から求められる。
【0058】
THF不溶分(%)=〔{w1−(w3+w2)}/(w1−w3)〕×100
THF不溶分を5重量%を超えて含有すると、定着性を悪化させる。
【0059】
本発明のトナー組成物中の重合体成分のTHF可溶分により測定されるGPCのクロマトグラムは、分子量3×103〜3×104(より好ましくは、5×103〜2×104)の領域にメインピークを有し、且つ、分子量1×105〜3×106(より好ましくは、5×105〜1×106 )の領域にサブピークもしくはショルダーを有することが好ましい。
【0060】
また、上記GPCのクロマトグラムにおいて分子量100万以上を示す重合体成分が面積比で3%以上(より好ましくは3〜10%)存在することが好ましい。分子量が100万以上でTHFに可溶な成分が3%以上存在することで、低温定着を阻害することなく耐オフセット性を向上させると同時に、現像剤の高温放置下での保存安定性をも高めることが出来る。
【0061】
本発明において、トナーの樹脂組成物の重合体成分の分子量分布は、GPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィ)によって次の条件で測定される。
【0062】
〈樹脂組成物及び重合体のGPC測定条件〉
装置 :GPC−150C(ウォーターズ社製)
カラム:KF801〜7(ショウデックス社製)の7連
温度 :40℃
溶媒 :THF(テトラヒドロフラン)
流速 :1.0ml/min.
試料 :濃度0.05〜0.6重量%の試料を0.1ml注入
また、本発明はトナーの重合体成分が1mgKOH/g以上(より好ましくは2mgKOH/g以上)の酸価を有することが好ましい。重合体成分が1mgKOH/g以上の酸価を有することにより、現像剤の帯電が安定し、長期の耐久性が良好となる。
【0063】
また、本発明に使用される重合体成分は、低分子量重合体の酸価(AVL)と高分子量重合体の酸価(AVH)の関係がAVL>AVHであることが好ましく、更に好ましくは低分子量重合体の酸価(AVH)が21〜35mgKOH/gであり、且つ高分子量重合体の酸価(AVH)が0.5〜11mgKOH/gであり、且つその差の関係が、
10≦(AVL−AVH)≦27
である。
【0064】
本発明者等は、鋭意検討の結果、低分子量重合体と高分子量重合体から成るトナー樹脂組成物において、上記に示す酸価をそれぞれの重合体成分が有することが低温定着性、耐オフセット性、静電潜像担持体へのトナー固着の防止、更には、現像性向上に効果的であることを見い出した。
【0065】
低温定着性は、低分子量重合体成分のTg及び分子量分布が支配するが、この成分中に酸成分を含有すること、更には高分子量重合体成分の酸価よりも10mgKOH/g以上大きくすることにより、同一のTg及び同一の分子量分布を有する酸価が上記範囲外の樹脂組成物より、低粘度化できる。
【0066】
これは、低分子量重合体成分の酸価より高分子量重合体成分の酸価を10mgKOH/g以上低く設定(酸価0.5〜11mgKOH/g)することにより、低分子量重合体成分と高分子量重合体成分の分子鎖のからみ合いをある程度抑制し、このため、低温側での低粘度化、更には高温側での弾性特性維持を達成するものと考えられる。またこのことは、高速機における低温定着化,現像特性の向上につながるものである。
【0067】
一方、その酸価の差が27mgKOH/gを超えると、低分子量重合体成分と高分子量重合体成分の混合性に不具合が生じ耐久オフセット性,現像性が低下する。
【0068】
更には、低分子量重合体成分の酸価が21mgKOH/g以上の場合に、帯電の立ち上がり性が良好となる。
【0069】
一方、低分子量重合体成分の酸価が35mgKOH/gを超えると、環境特性、特に高湿下の現像性が損われる場合がある。
【0070】
また、高分子量重合体成分の酸価が0.5mgKOH/g未満の場合では、低分子量重合体成分(酸価21〜35mgKOH/g)との混合性が不具合となり、現像性、特にカブリ特性が悪化する場合がある。
【0071】
また、重合体成分は、酸価/全酸価の比の値が、0.7以下(より好ましくは、0.4〜0.6)であることがより好ましい。酸価/全酸価の値が、0.7を超えると、トナーの帯電のバランス、すなわち、帯電・放電のバランスが、帯電傾向となり、トナー帯電安定性が低下しやすい。
【0072】
また、重合体成分は、重合体成分のTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量3×104以上1×105未満の領域に極小値(Min)を有することが好ましい。低温定着性と耐高温オフセット性を両立するために、低分子量重合体成分及び高分子量重合体成分それぞれ独立した分子量分布を形成していることが好ましい。
【0073】
また、本発明のトナー樹脂組成物の重合体成分は、低分子量重合体成分と高分子量重合体成分との関係において、その混合割合に関して、
L:WH=50:50〜90:10
を満足することが好ましい。その理由は、低分子量重合体成分と高分子量重合体成分の割合が、この範囲外であると、定着性及び耐オフセット性が不具合となるためである。すなわち、低分子量重合体成分は50重量%未満であると定着性が低下し、一方、高分子量重合体成分が10重量%未満となると耐高温オフセット性が低下する。
【0074】
更に、これらの混合量と酸価との関係においては、
【0075】
【数2】
Figure 0003683967
を満足することが好ましい。その理由は、低分子量成分と高分子成分の混合量とそれぞれの酸価が上式の関係を満足しない場合、すなわち、
【0076】
【数3】
Figure 0003683967
低分子量成分の樹脂全体に占める酸価が高分子量成分の樹脂全体に占める酸価の4倍よりも低くなる場合、低分子量成分と高分子成分の混合性が増し、低温側での低粘性,高温側での高弾性をより強調しにくくなる傾向にある。
【0077】
また、
【0078】
【数4】
Figure 0003683967
が11未満の場合、帯電の立ち上がり特性が悪化し、一方、30を超えると高湿下の現像性が低下する傾向にある。
【0079】
本発明においてトナー重合体成分の低分子重合体成分及び高分子重合体成分の酸価(JIS酸価)は以下の方法により求める。
【0080】
〈各成分の分取〉
[装置構成]
LC−908(日本分析工業株式会社製)
JRS−86(同社;リピートインジェクタ)
JAR−2(同社;オートサンプラー)
FC−201(ギルソン社;フラクッションコレクタ)
[カラム構成]
JAIGEL−1H〜5H(20φ×600mm:分取カラム)
[測定条件]
温度:40℃
溶媒:THF
流量:5ml/min.
検出器:RI
試料は、予め重合体成分以外の添加剤を分離しておく。分取方法としては、分子量が5×104となる溶出時間を予め測定し、その前後で低分子重合体成分及び高分子重合体成分を分取する。分取したサンプルから溶剤を除去し酸価測定用試料とする。
【0081】
〈酸価(JIS酸価)の測定〉
1)試料の粉砕品0.1〜0.2gを精秤し、その重さをW(g)とする。
【0082】
2)20cc三角フラスコに試料を入れ、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液10ccを加え溶解する。
【0083】
3)指示薬としてフェノールフタレインのアルコール溶液数滴を加える。
【0084】
4)0.1規定のKOHのアルコール溶液を用いてフラスコ内の溶液をビュレ
ットを用いて滴定する。この時のKOH溶液の量をS(ml)とする。
同時にブランクテストをし、この時のKOH溶液の量をB(ml)とする。
【0085】
5)次式により酸価を計算する。
【0086】
【数5】
Figure 0003683967
本発明における全酸価の測定は、下記の通り行う。
【0087】
〈全酸価の測定〉
1)試料は予め重合体成分以外の添加物を除去し使用する。試料の粉砕品約2gを精秤し、その重さをW′(g)とする。
【0088】
2)200cc三角フラスコに試料を入れ、1,4−ジオキサン30cc、ピリジン10cc、4−ジメチルアミノピリジン20mgを加え1時間溶解する。
【0089】
3)イオン交換水3.5ccを加え4時間還流する。その後冷却する。
【0090】
4)指示薬としてフェノールフタレインのアルコール溶液数滴を加える。
【0091】
5)0.1規定のKOHのTHF溶液を用いてフラスコ内の溶液をビュレットを用いて滴定する。この時のKOH溶液の量をS′(ml)とする。同時にブランクテストをし、この時のKOH溶液量をB′(ml)とする。
【0092】
6)次式により全酸価を測定する。
【0093】
【数6】
Figure 0003683967
KOHのTHF溶液としては、KOH6.6gをイオン交換水20ccに加え溶解し、次でTHF720cc、イオン交換水100ccを加え、その後撹拌しながらメタノールを透明になるまで加えたものを用いる。
【0094】
本発明の重合体成分の酸価を調整するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸などのアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水マレイン酸などがあり、このようなモノマーを単独、或いは混合して、他のモノマーと共重合させることにより所望の重合体を作ることができる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価/全酸価値をコントロールする上で好ましい。
【0095】
より具体的には、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジカルボン酸のモノエステル類;フタル酸モノメチルエステル、フタル酸モノエチルエステル、フタル酸モノブチルエステルなどのような芳香族ジカルボン酸のモノエステル類;などが挙げられる。
【0096】
以上のようなカルボキシル基含有モノマーは、結着樹脂の高分子側を構成している全モノマーに対し1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%添加すればよい。
【0097】
上記のようなジカルボン酸のモノエステルモノマーが選択される理由としては、該懸濁重合では水系の懸濁液に対して、溶解度の高い酸モノマーの形で使用するのは適切でなく、溶解度の低いエステルの形で用いるのが好ましいからである。
【0098】
本発明において、上記のような方法で得られた共重合体中のカルボン酸基及びカルボン酸エステル部位はアルカリ処理を行い、ケン化させることもできる。即ち、アルカリのカチオン成分と反応させて、カルボン酸基或いはカルボン酸エステル部位を極性官能基に変化させることが好ましい。結着樹脂の高分子側成分に含金属化合物と反応するカルボキシル基が含有されていても、カルボキシル基が無水化、すなわち閉環された状態にあると、架橋反応の効率が低下するからである。
【0099】
このアルカリ処理は、バインダー樹脂製造後、重合時に使用した溶媒中に水溶液として投入し、撹拌しながら行なえばよい。本発明に用いることのできるアルカリとしては、Na,K,Ca,Li,Mg,Baなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物;Zn,Ag,Pb,Niなどの遷移金属の水酸化物;アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ピリジウム塩などの4級アンモニウム塩の水酸化物などがあり、特に好ましい例として、NaOHやKOHが挙げられる。
【0100】
本発明において上記ケン化反応は、共重合体中のカルボン酸基及びカルボン酸エステル部位の全てに渡って行われる必要はなく、部分的にケン化反応が進行し、極性官能基に変わっていればよい。
【0101】
また、ケン化反応に用いるアルカリの量は、バインダー樹脂中の極性基の種類、分散方法、構成モノマーの種類などにより一概に決定し難いのであるが、バインダー樹脂の酸価の0.02〜5倍当量であればよい。0.02倍当量より少ない場合はケン化反応が十分でなく、反応によって生じる極性官能基の数が少なくなり、結果として後の架橋反応が不十分となる。逆に5倍当量を超える場合は、カルボン酸エステル部位などの官能基に対し、エステルの加水分解、ケン化反応による塩の生成などによって官能基に悪影響を及ぼす。
【0102】
尚、酸価の0.02〜5倍当量のアルカリ処理を施した時は、処理後の残存カチオン濃度が5〜1000ppmの間に含まれ、アルカリの量を規定するのに好ましく用いることができる。
【0103】
本発明に係る樹脂組成物は、保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が50〜70℃、好ましくは55〜65℃であり、Tgが50℃より低いと高温雰囲気下でのトナーの劣化や定着時でのオフセットの原因となる。また、Tgが70℃を超えると、定着性が低下する傾向にある。
【0104】
本発明に係る樹脂組成物の低分子量重合体成分のTgLと高分子量重合体成分のTgHの関係は、
TgL≧TgH−5(℃)
の範囲にあることが好ましく、TgLがTgH−5未満である場合、現像性が低下する傾向がある。より好ましくはTgL≧TgHがよい。
【0105】
本発明に係る結着樹脂組成物を製造する方法として、溶液重合法により高分子量重合体と低分子量重合体を別々に合成した後にこれらを溶液状態で混合し、次いで脱溶剤する溶液ブレンド法、また、押出機等により溶融混練するドライブレンド法、さらに溶液重合法等により得られた低分子量重合体を溶解した高分子量重合体を構成するモノマーに溶解し、懸濁重合を行い、水洗・乾燥し、樹脂組成物を得る2段階重合法等が挙げられる。しかし、ドライブレンド法では、均一な分散、相溶の点で問題があり、また、2段階重合法だと均一な分散性等に利点が多いものの、低分子量重合体成分を高分子量重合体成分以上に増量することが困難であり、低分子量重合体成分の存在下では、分子量の大きい高分子量重合体成分の合成が困難であるだけでなく、不必要な低分子量重合体成分が副生成する等の欠点が有ることから、本発明に適用するには、該溶液ブレンド法が最も好適である。
【0106】
本発明に係る樹脂組成物の高分子量成分の合成方法として本発明に用いることの出来る重合法として、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられる。
【0107】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。更に、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として有利な点がある。
【0108】
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要で、この不便を避けるためには懸濁重合が好都合である。
【0109】
懸濁重合においては、水系溶媒100重量部に対して、モノマー100重量部以下(好ましくは10〜90重量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、一般に水系溶媒100重量部に対して0.05〜1重量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択すべきである。
【0110】
本発明に用いられる樹脂組成物の高分子量重合体成分は、本発明の目的を達成する為に以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤を併用する。
【0111】
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤から選択される。
【0112】
これらの内、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
【0113】
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足する為には、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の分解温度よりも低いそれを有する重合開始剤と併用することが好ましい。
【0114】
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物等が利用出来る。
【0115】
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の開始剤効率を適正に保つ為には、任意の重合条件下で、重合時間が該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
【0116】
これらの開始剤は、効率の点からモノマー100重量部に対し0.05〜2重量部で用いるのが好ましい。
【0117】
本発明に用いられる樹脂組成物の高分子量重合体成分は、本発明の目的を達成する為に以下に例示する様な架橋性モノマーで架橋されていることが好ましい。架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられ、具体例としては、芳香族ジビニル化合物、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類、例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
【0118】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100重量部に対して、1重量部以下、好ましくは0.001〜0.05重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0119】
これらの架橋性モノマーのうち、トナーの定着性,耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0120】
一方、本発明に係る結着樹脂の低分子量成分の合成方法としては、公知の方法を用いることが出来る。しかし、塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を速めることで、低分子量の重合体を得ることができるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。その点、溶液重合法では、溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整することで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、本発明で用いる樹脂組成物中の低分子量体を得るには好ましい。特に、開始剤使用量を最小限に抑え、開始剤残渣の影響を極力抑えるという点で、加圧条件下での溶液重合法も好ましい。
【0121】
高分子量重合体成分を得る為のモノマー及び、低分子量重合体成分を得る為のモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
【0122】
例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;のビニル系モノマーが単独もしくは2つ以上で用いられる。
【0123】
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
【0124】
また、低分子量及び高分子量重合体成分の双方が、少なくともスチレン系重合体成分又は共重合体成分を65重量部以上含有することが混合性の点で好ましい。
【0125】
本発明に係る樹脂組成物を構成する高分子量重合体は予め低分子量ワックスと混合しておくことで、ミクロ領域での相分離が緩和され、高分子成分を再凝集させず、低分子量重合体との良好な分散状態が得られる。
【0126】
本発明に適用し得る低分子量ワックスとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックス、高級アルコール系ワックス、エステルワックス等のワックス状物質、及びこれらの酸化物やグラフト変性物等が挙げられる。
【0127】
これらの低分子量ワックスの重量平均分子量は3万以下、好ましくは1万以下のものが好ましく、添加量としてはバインダー重合体成分100重量部に対し、約1〜20重量部が好ましい。
【0128】
これらの低分子量ワックスは、トナー製造に際し、予めバインダー重合体成分中に添加、混合しても良い。特に、重合体成分の調製時に、低分子量ワックスと高分子量重合体とを溶剤に予備溶解した後、低分子量重合体溶液と混合する方法でも良い。
【0129】
係る重合体溶液の固体濃度は、分散効率、撹拌時の樹脂の変質防止、操作性等を考慮し、5〜70重量%以下であり、高分子量重合体成分とポリオレフィン重合体の予備溶液は5〜60重量%以下、低分子量重合体溶液は5〜70重量%以下の固体濃度であることが一例として挙げられる。
【0130】
高分子重合体成分と低分子量ワックスを溶解又は分散させる方法は、撹拌混合により行われ、撹拌は回分式又は連続式でおこなっても良い。
【0131】
例えば、低分子量重合体溶液を混合する方法は、該予備溶液の固形分量100重量部に対して、該低分子量重合体溶液を10〜1000重量部添加し撹拌混合を行うことが挙げられる。この場合、回分式でも連続式でも良い。
【0132】
本発明に係る樹脂組成物の溶液混合時に用いる有機溶剤としては、例えばベンゼン、トルオール、キシロール、ソルベントナフサ1号、ソルベントナフサ2号、ソルベントナフサ3号、シクロヘキサン、エチルベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、アミルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール等のエーテル系溶剤等が挙げられる。これらの中で芳香族、ケトン系、エステル系の溶剤が好ましい。また、これらを混合して用いても差し支えない。
【0133】
有機溶剤を除去する方法は、重合体の有機溶剤溶液を加熱後、常圧下で有機溶剤の10〜80重量%を除去した後、減圧下で、残存溶剤を除去する方法が好ましい。この時、有機溶剤溶液は、用いた有機溶剤の沸点以上、200℃以下に保持することが好ましい。有機溶剤の沸点を下回ると溶剤留去時の効率が悪いだけでなく、有機溶剤中の重合体に不必要な剪断力がかかったり、各構成重合体の再分散が促進され、ミクロな状態での相分離を起こす場合がある。また、200℃を超えると重合体が解重合し、分子切断によるオリゴマーが生成し、樹脂組成物内への不純物の混入を招くので好ましくない。
【0134】
本発明で使用するトナーは磁性体を含む磁性トナーであることが好ましく、磁性体としては磁性酸化鉄が好ましく、更にケイ素元素を含有することが好ましい。
【0135】
磁性トナーに用いる磁性酸化鉄のケイ素元素の含有率は、鉄元素を基準にして0.1〜5.0重量%、好ましくは0.4〜2.0重量%(より好ましくは0.5〜0.9重量%)であることが好ましい。
【0136】
磁性体にケイ素元素を含有することにより、トナーとしての流動性に優れ、その結果トナーの帯電が安定化し、トナーの耐久性が向上する。さらにケイ素元素を含有する磁性体を含有するトナーは、潜像担持体表面に対して非常にソフトな研磨効果を有し、潜像担持体表面にトナーが固着しかけても完全に固着する前に適度に研磨され、潜像担持体の耐久性を向上させる効果がある。
【0137】
磁性酸化鉄粒子中ケイ素元素量は、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理化学電機工業(株)製)を使用し、JIS K0119「けい光X線分析通則」に従って、蛍光X線分析を行うことにより測定した。
【0138】
本発明の磁性トナーに用いる磁性酸化鉄粒子は、結着樹脂100重量部に対して、20重量部乃至200重量部を用いることが好ましい。更に好ましくは30〜150重量部を用いることが良い。
【0139】
また、場合により、本発明の磁性トナーに用いる磁性酸化鉄粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、チタネート、アミノシラン、有機ケイ素化合物等で処理しても良い。
【0140】
また、本発明で使用する静電荷像現像用現像剤には、着色剤として、従来公知のカーボンブラック、銅フタロシアニンの如き顔料または染料等が使用可能である。
【0141】
また、本発明に係るトナーの帯電制御剤としては、負帯電制御剤の場合、モノアゾ染料の金属錯塩,サリチル酸,アルキルサリチル酸,ジアルキルサリチル酸またはナフトエ酸の金属錯塩等、正帯電制御剤の場合、ニグロシン染料,アジン系染料,トリフェニルメタン系染顔料,イミダゾール系化合物,4級アンモニウム塩あるいは4級アンモニウム塩を側鎖に有するポリマー等、を単独あるいは混合して使用できる。
【0142】
本発明に係るトナーを作製するには本発明の重合体成分及び着色剤としての顔料,染料又は磁性体,帯電制御剤,その他の添加剤を、ボールミルの如き混合機により充分混合してから加熱ロール,ニーダー,エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融,捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめた中に顔料又は染料を分散又は溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び厳密な分級をおこなって本発明に係るトナーを得ることが出来る。
【0143】
また、本発明に係るトナーを得るための他の方法として、重合法によってトナーを製造することが可能である。この懸濁重合法トナーは重合性単量体及び本発明の帯電制御剤,顔料又は染料,磁性酸化鉄,重合開始剤(更に必要に応じて架橋剤及びその他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物あるいは、この単量体組成物をあらかじめ重合したものを分散安定性を含有する連続相(例えば水)中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子としたものである。
【0144】
画像形成装置の一例を図1に概略的に示し、それに基づき、画像形成方法を説明する。
【0145】
1は回転ドラム状の静電潜像担持体であり、その周囲には一次帯電装置2、露光光学系3、トナー担持体5を有する現像装置4、転写装置9、クリーニング装置11が配置されている。
【0146】
この画像形成装置においては、一次帯電装置2により感光体である静電潜像担持体1の表面を一様に帯電し、露光光学系3により像露光して静電潜像担持体1の表面に静電潜像を形成する。
【0147】
次いで磁石を内包するトナー担持体5の表面上に、トナー層厚規制部材6により、本発明の構成に基づきトナーコート層を形成し、現像部において静電潜像担持体1の導電性基体とトナー担持体5との間にバイアス印加手段8により交互バイアス、パルスバイアス及び/または直流バイアスを印加しながら、静電潜像担持体1に形成した静電潜像を現像する。
【0148】
現像したトナー像は、転写紙Pを搬送し転写装置9、電圧印加手段10により、転写紙Pの背面からトナーと逆極性の電荷を加えて、転写紙Pへ静電転写される。
【0149】
トナーを転写した転写紙Pを、加熱加圧ローラ定着器12を通過させることにより定着画像が得られる。
【0150】
転写工程後の潜像担持体上に残留する磁性トナーは、クリーニング装置11により除去され、再び一次帯電以下の工程が繰り返される。
【0151】
本発明に用いる静電潜像担持体は、少なくとも導電性支持体、電荷発生層及び電荷輸送層から成る積層構造を有し、該静電潜像担持体の表面層にフッ素及び/或いはケイ素原子を有することが長寿命化及び静電潜像担持体表面の不均一な削れを防止する上で好ましい。
【0152】
本発明に用いられるフッ素化合物は、例えば公知のフッ素樹脂があげられ、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、二フッ化二塩化エチレン等の単独、及び、それらの共重合体の中から1種、或いはそれ以上が適宜選択される。また、フッ化カーボン等も使用可能である。
【0153】
本発明においては、フッ素系重合体、或いは非フッ素系重合性単量体都の重合共重合から合成されたフッ素系セグメントを含有するブロック、またはグラフトポリマー、界面活性剤、マクロモノマー等を単独あるいは上記フッ素樹脂との併用のかたちで用いることができる。
【0154】
シリコン系化合物の具体例としては、モノメチルシロキサン三次元架橋物、ジメチルシロキサン−モノメチルシロキサン三次元架橋物、超高分子量ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有するブロックポリマー、グラフトポリマー、界面活性剤、マクロモノマー、末端修飾ポリジメチルシロキサン等が用いられる。三次元架橋物の場合、微粒子の形状で用いられる粒径は0.01〜5μmの範囲で使用可能である。ポリジメチルシロキサン化合物の場合、その分子量は3,000〜5,000,000の範囲が好ましく用いられる。
【0155】
微粒子状のものは、バインダー樹脂とともに感光層組成物として分散させる。
【0156】
本発明に用いられるフッ素化合物、及びシリコン化合物は、有機感光層(OPC)組成物中50%以下の量で好ましく用いられる。より好ましくは0.5〜50%である。
【0157】
静電潜像担持体表面層にフッ素及び/或いはケイ素原子を存在させると、静電潜像担持体表面のエネルギーを低下させる作用があり、トナーが固着しにくくなる。配合量が多すぎるとクリーニング部材との摩擦係数が下がりすぎるため、逆にトナーのすり抜け、クリーニング不良の原因となる。
【0158】
一方、本発明において帯電部材の硬度を好ましくは、ASKER−Cで60°以下、さらに好ましくは55°以下とすることにより、被帯電体である静電潜像担持体表面に対し弱い押圧力で帯電に十分な接触幅を得ることができ、オゾンの発生が少なく、更に帯電部材に交流成分を有する電圧を印加した際にも、帯電による騒音の発生が少ない。
【0159】
本発明の帯電部材の硬度をASKER−Cで60°以下とするための形態としては、好ましくは、下層部を熱可塑性エラストマーまたは柔軟なゴムから成る弾性層と導電層とから構成するか、または、下層部を導電性スポンジにて形成することが好ましい。
【0160】
また、静電潜像担持体表面に接触する帯電部材の上層部は、高抵抗体から成る厚さ50〜200μm程度の層であることが、リークを発生せず安定な帯電性を得る上で好ましい。
【0161】
【実施例】
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0162】
[樹脂組成物(I)の製造]
低分子量重合体(L−1)の合成
4つ口フラスコ内にキシレン300重量部を投入し、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。
【0163】
この還流下で、スチレン75重量部、アクリル酸−n−ブチル18重量部、マレイン酸モノブチル7重量部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2重量部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持し重合を完了し、低分子量重合体(L−1)溶液を得た。
【0164】
この重合体溶液の一部をサンプリングし、減圧下で乾燥させ、得られた低分子量重合体(L−1)のGPC、及びガラス転移点(Tg)の測定を行ったところ、重量平均分子量(Mw)=9,600、数平均分子量(Mn)=6,000、ピーク分子量(PMw)=8,500、Tg=62℃、酸価23であった。
【0165】
また、この時の重合体転化率は98%であった。
【0166】
高分子量重合体(H−1)の合成
4つ口フラスコ内に脱気水180重量部とポリビニルアルコールの2重量%水溶液20重量部を投入した後、スチレン70重量部、アクリル酸−n−ブチル25重量部、マレイン酸モノブチル5重量部、ジビニルベンゼン0.005重量部、及び2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(半減期10時間温度;92℃)0.1重量部の混合液を加え、撹拌し懸濁液とした。
【0167】
フラスコ内を十分に窒素で置換した後、85℃まで昇温して、重合を開始した。同温度に24時間保持した後、ベンゾイルパーオキサイド(半減期10時間温度;72℃)0.1重量部を追加添加した。さらに、12時間保持して重合を完了した。
【0168】
反応終了後の懸濁液に、得られた高分子量重合体(H−1)の酸価(AV=7.8)の6倍当量のNaOH水溶液を投入し、2時間撹拌を行った。
【0169】
該高分子量重合体(H−1)を濾別し、水洗、乾燥した後、分析したところ、Mw=180万、PMw=120万、Tg=62℃、酸価7であった。
【0170】
樹脂組成物の製造
4つ口フラスコ内に、キシレン100重量部、上記高分子量重合体(H−1)25重量部及び低分子量ポリプロピレンワックス(Mw=6000)4重量部を投入し、昇温して還流下で撹拌し、予備溶解を行う。この状態で12時間保持した後、高分子量重合体(H−1)と低分子量ポリプロピレンワックスの均一な予備溶解液(Y−1)を得た。
【0171】
この予備溶解液の一部をサンプリングし、減圧下で乾燥させ、得られた固形分のガラス転移点を測定したところ、61℃であった。
【0172】
一方、別容器に上記低分子量重合体(L−1)の均一溶液300重量部を投入し、還流させる。
【0173】
上記予備溶解液(Y−1)と低分子量重合体(L−1)溶液を還流下で混合した後、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕してトナー用樹脂組成物(I)を得た。
【0174】
該樹脂組成物(I)を分析したところ、PMw=110万、分子量100万以上の樹脂組成物のGPCの分子量分布における面積比は9.5%、Tg=62.3℃、THF不溶分(低分子量ポリプロピレンワックスを除く)は2.0重量%であった。
【0175】
[現像剤の製造例1]
樹脂組成物(I) 100重量部
磁性体(ケイ素0.8%含有(鉄元素基準)) 100重量部
負帯電性制御剤 3重量部
低分子量ポリプロピレン 4重量部
上記混合物を、140℃に加熱された二軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕粉を固定壁型風力分級機で分級して分級粉を生成した。さらに、得られた分級粉をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で超微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去して、重量平均粒径(D4)6.7μm(粒径12.7μm以上の磁性トナー粒子の含有量0.2%)の負帯電性磁性トナーを得た。
【0176】
この磁性トナーは、GPC測定による低分子量側ピーク値8200、高分子量側ピーク値67万、AVL=23、AVH=7、酸価/全酸価=0.44であった。
【0177】
上記磁性トナーに、表1に示す無機微粉体(疎水性シリカ)A−1を1.2%、表2に示す樹脂微粒子B−1を0.08%、表3に示す金属酸化物C−1を1.5%、それぞれヘンシェルミキサーで混合して、表4に示す静電荷像現像用現像剤Iを調製した。
【0178】
[現像剤の製造例2〜6]
現像剤Iの無機微粉体、樹脂微粒子、金属酸化物をそれぞれ表1に示すA−1〜3、表2に示すB−1〜3、表3に示すC−1,2に変える以外は製造例1と同様にして、表4に示す静電荷像現像用現像剤II〜VIを調製した。
【0179】
[現像剤の製造例7]
樹脂組成物(I)をスチレン−nブチルアクリレート共重合体とした以外は製造例1と同様にして現像剤VIIを調製した。この現像剤のトナーは、GPC測定による低分子量側ピーク値8300、高分子量側ピーク値40万、AVL=0、AVH=0であった。
【0180】
[現像剤の製造例8]
樹脂組成物(I)とは異なる酸価及び分子量分布を有するスチレン−nブチルアクリレート無水マレイン酸共重合体を用いた以外は製造例1と同様にして現像剤VIIIを調製した。この現像剤のトナーは、GPC測定による低分子量側ピーク値32000、高分子量側ピーク値73万、AVL=21、AVH=7、酸価/全酸価=0.46であった。
【0181】
[現像剤の比較製造例1〜9]
現像剤VIIの無機微粉体、樹脂微粒子、金属酸化物を、表1に示す疎水性シリカA−2〜4、表2に示す樹脂微粒子B−2〜6、表3に示す金属酸化物C−1〜5に変える以外は製造例7と同様にして、表5に示す静電荷像現像用現像剤i〜ixを調製した。
【0182】
【表1】
Figure 0003683967
【0183】
【表2】
Figure 0003683967
【0184】
【表3】
Figure 0003683967
【0185】
【表4】
Figure 0003683967
【0186】
【表5】
Figure 0003683967
[実施例1〜8,比較例1〜9]
上記現像剤をプロセスカートリッジに入れ、キヤノン製レーザービームプリンターLBP−309GII(OPC感光ドラムを使用)を16枚/分から24枚/分に改造した。尚、この装置には、図2に示す転写装置及び図3に示す帯電ローラが組み込まれているがそれぞれ当接圧を現状の0.7倍にした。
【0187】
以上の設定条件で、連続24枚/分のプリントモードで通常の複写機用普通紙(75g/m2)に8000枚の画出し試験を行った。この時次の(1)〜(4)[低温低湿環境下(15℃,10%RH)]、(5)[高温高湿環境下(32.5℃,85%RH)]の項目について評価した。
【0188】
(1)画像濃度
初期、4000枚、8000枚時の画像濃度維持により評価した。尚、画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
【0189】
(2)カブリ
リフレクトメーター(東京電色(株)製)により測定した転写紙の白色度と、ベタ白をプリント後の転写紙との比較からカブリを算出した。
【0190】
(3)画像濃度ムラ
ベタ黒を出力し、目視により濃度ムラを評価した。
【0191】
◎:非常に良好
○:良好
△:実用可
×:実用不可
(4)帯電ローラ汚れ
画出し試験終了後、帯電ローラの汚れを目視により評価した。
【0192】
◎:非常に良好
○:良好
△:実用可
×:実用不可
(5)トナー固着
4000枚、8000枚時にベタ黒を出力し、画像上の白ポチの数で評価した。
【0193】
◎:非常に良好(全く固着が見られない)
○:良好 (1〜5点の固着)
△:実用可 (5〜10点の固着)
×:実用不可 (10点以上の固着)
【0194】
【表6】
Figure 0003683967
[樹脂組成物(II)の製造]
4つ口フラスコ内に、キシレン100重量部と上記高分子量重合体(H−1)25重量部を投入し、昇温して還流下で撹拌し、予備溶解を行う。この状態で12時間保持した後、高分子量重合体(H−1)の均一な予備溶解液(Y−2)を得た。
【0195】
一方、別容器に上記低分子量重合体(L−1)の均一溶液300重量部を投入し、還流させる。
【0196】
上記予備溶解液(Y−2)と低分子量重合体(L−1)溶液を還流下で混合した後、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕してトナー用樹脂組成物(II)を得た。
【0197】
該樹脂組成物(II)を分析したところ、PMw=110万、分子量100万以上の樹脂組成物のGPCの分子量分布における面積比は9.2%、Tg=62.5℃、THF不溶分は2.1重量%であった。
【0198】
[現像剤の製造例9]
樹脂組成物(II) 100重量部
磁性体(ケイ素1.1%含有(鉄元素基準)) 100重量部
負帯電性制御剤 2重量部
低分子量ポリプロピレン 4重量部
上記混合物を、140℃に加熱された二軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕粉を固定壁型風力分級機で分級して分級粉を生成した。さらに、得られた分級粉をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で超微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去して、重量平均粒径(D4)6.7μm(粒径12.7μm以上の磁性トナー粒子の含有量0.2%)の負帯電性磁性トナーを得た。
【0199】
この磁性トナーは、GPC測定による低分子量側ピーク値8400、高分子量側ピーク値64万、AVL=23、AVH=7、酸価/全酸価=0.44であった。
【0200】
上記磁性トナーに、表7に示す無機微粉体(疎水性シリカ)A−5を1.2%、表8に示す樹脂微粒子B−7を0.08%、表9に示す金属酸化物C−6を1.5%、それぞれヘンシェルミキサーで混合して、表10に示す静電荷像現像用現像剤IXを調製した。
【0201】
[現像剤の製造例10〜12]
現像剤IXの無機微粉体、樹脂微粒子、金属酸化物をそれぞれ表7に示すA−5及び6、表8に示すB−7及び8、表9に示すC−6及び7に変える以外は製造例9と同様にして、表10に示す静電荷像現像用現像剤X〜XIIを調製した。
【0202】
[現像剤の製造例13]
樹脂組成物(II)のマレイン酸モノブチル、スチレン、アクリル酸n−ブチル量及び開始剤量を変えた樹脂組成物を用いた以外は製造例9と同様にして現像剤XIIIを調製した。この現像剤のトナーは、GPC測定による低分子量側ピーク値32000、高分子量側ピーク値73万、AVL=21、AVH=7、酸価/全酸価=0.46であった。
【0203】
[現像剤の比較製造例10〜14]
現像剤XIIIの無機微粉体、樹脂微粒子、金属酸化物を、表7に示す疎水性シリカA−5及び7、表8に示す樹脂微粒子B−8〜10、表9に示す金属酸化物C−6〜8に変える以外は製造例13と同様にして、表10に示す静電荷像現像用現像剤x〜xivを調製した。
【0204】
【表7】
Figure 0003683967
【0205】
【表8】
Figure 0003683967
【0206】
【表9】
Figure 0003683967
【0207】
【表10】
Figure 0003683967
【0208】
【表11】
Figure 0003683967
[実施例9]
現像剤IXを用い、キヤノン製LBP309GIIを16枚/分から32枚/分に改造して画出し評価を行った。このときのプロセススピードは、140mm/secであった。
【0209】
本実施例において、有機光導電体(OPC)ドラムとしては、有機光導電体(OPC)層の最表層にテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体微粉末(平均粒径0.32μmの乳化重合ファインパウダー)を、該有機光導電体(OPC)層全組成物中25%の量を分散させた感光体Aを用いた。
【0210】
帯電ローラとしては、図に示すような、金属製の芯金2aと、該芯金の外周囲に形成された下層部2bと、該下層部2bの外周囲に形成された上層部2cとを有し、本実施例では、外径は15mm(芯金2a直径8mm、上層部2c厚さ150μm)のものを用いた。また、該帯電ローラの硬度はASKER−Cで45°(ASKER−C硬度計100を使用し、500g荷重により中央及び左右の各3点ずつ計9点測定した平均値)であった。
【0211】
本実施例では感光体ドラム1に所定の圧力を持って接触する帯電ローラ2を有し、感光体ドラム1の回転にともない矢印方向に従動回転する。帯電ローラ2には、電源部より交流電圧Vacと直流電圧Vcdとを重畳した電圧(Vac+Vdc;Vcd=−700V、ピーク間電圧Vpp=1500V、周波数Vf=1000Hz)を印加し、感光体ドラム1をVD=−700Vに一様に帯電された。
【0212】
このとき帯電ローラ2と感光体ドラム1との振動による帯電音は実用上全く問題のないレベルであった。次いで帯電した感光体ドラム1の表面を、画像パターンに応じて微少スポットのレーザー光を走査することにより、VL=−170Vの静電潜像を形成し、交流バイアスf=1800Hz、Vpp=1400V、及び直流バイアスVdc=−500Vを、トナーを担持した現像スリーブとの間に印加しながら、OPC表面の静電潜像を現像してトナー像を形成した。
【0213】
形成されたトナー像は、導電性弾性層を有する転写ローラを当接圧50g/cmでOPCドラムに当接させた転写装置により転写紙の裏からプラス電荷をかけて転写し、更に加熱加圧ローラ定着器を通過させることで定着画像を得た。このとき、加熱加圧ローラ定着器の加熱ローラの表面温度を185℃、加熱ローラと加圧ローラ間の総圧を5.5kg、ニップを4mmに設定した。
【0214】
以上の設定条件で、低温低湿(15℃/10%RH)及び高温高湿(32.5℃/85%RH)環境下において、以下画出し試験を行った。プリントスピードは2枚/20secとした。
【0215】
低温低湿環境下においては、初期サンプルをとった後に、5mm角のベタ黒が9個(3列3段)の画像を連続100枚プリントして、定着性評価の画像とした。その後逐次トナーを補給しながら2万枚の耐久を行った。
【0216】
(評価)
(1)画像濃度
通常の複写用普通紙(75g/m2)に5mm角のベタ黒が9個(3列3段)の画像をプリントして、“マクベス反射濃度計”(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00白地部分のプリント画像に対する相対濃度を測定した。
【0217】
(2)定着性
低温低湿環境下において、初期サンプルをとった後に5mm角のベタ黒が9個(3列3段)の画像を連続100枚プリントしたサンプルを用い、柔和な薄紙により定着画像を50g/cm2の荷重で摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率の最悪値で、下記のように評価した。
【0218】
◎(優):5%未満 ○(良):5%〜10%未満
△(可):10%〜20%未満 ×(不可):20%以上
(3)耐オフセット性
耐オフセット性は、画像面積率約5%のサンプル画像をプリントアウトし、画像上の汚れの程度により評価した。
【0219】
◎(優):未発生 ○(良):ごくわずかに発生する
△(可):わずかに発生する ×(不可):画像上の汚れが著しく発生
(4)帯電音
プリント中の帯電音を本体から50cm離れたところで聞き、評価した。
【0220】
◎(優):全く気にならない ○(良):ほとんど気にならない
△(可):少し気になる ×(不可):かなり気になる
(5)画像流れ
高温高湿環境下にて、逐次トナーを補給しながら2万枚の耐久を行い、画像流れの評価を行った。
【0221】
◎(優) :未発生
○(良) :ごくわずかに発生する
△(可) :わずかに発生する
×(不可):著しく発生し、画像全体がにじむ
(6)感光体ドラム表面のトナー固着
高温高湿環境下での2万枚耐久終了後の感光体ドラム表面の目視評価及び画像評価を行った。
【0222】
◎(優) :未発生
○(良) :わずかに発生するが、画像への影響はない
△(可) :固着が目立つが画像への影響は少ない
×(不可):固着が顕著で画像への影響が大きい
評価結果を表12に示す。
【0223】
[実施例10、参考例1及び実施例11〜12]
それぞれの現像剤として現像剤IX〜XIIIを用いた以外は実施例9と同様にして評価を行った。結果を表12に示す。
【0224】
[実施例13]
帯電ローラを硬度59°のものに変える以外は実施例9と同様にして評価を行った。結果を表12に示す。
【0225】
[実施例14]
帯電ローラを硬度62°のものに変える以外は実施例9と同様にして評価を行った。結果を表12に示す。
【0226】
[比較例10〜13]
それぞれの現像剤としてx〜xiiiを用いる以外は実施例9と同様にして評価を行った。結果を表12に示す。
【0227】
[比較例14]
感光体ドラムとして、感光体ドラムAのフッ素系樹脂微粒子を抜いた感光体Bを用い、現像剤xivを用いる以外は実施例9と同様にして評価を行った。結果を表12に示す。
【0228】
[比較例15]
帯電ローラを硬度70°のものに変える以外は比較例14と同様にして評価を行った。結果を表12に示す。
【0229】
【表12】
Figure 0003683967
【0230】
【発明の効果】
以上説明した様に本発明は、現像剤に、帯電極性,比表面積を規定した疎水性シリカと金属酸化物、さらに帯電極性,比表面積,体請求項固有抵抗を規定した樹脂微粒子を混合することによって、トナーの帯電性が安定し、またトナーによる静電潜像担持体の削れのバランスがとれ、静電潜像担持体へのトナーの固着、静電潜像担持体の不均一な削れを防ぎ装置の高速化に適用しても長期にわたって高品位な画像を得ることができる。
【0231】
また、硬度を低下させた帯電部材を有する画像形成方法に上記現像剤を用いることで、帯電音の低減と静電潜像担持体の高寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法を説明するための概略図である。
【図2】転写装置の概略を示した図である。
【図3】帯電ローラの概略を示した図である。
【図4】樹脂微粒子の錠剤を成形するための錠剤成型装置を示す図である。
【符号の説明】
1 潜像担持体(感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ)
5 現像剤担持体(現像スリーブ)
9 転写装置(転写ローラ)
10 電源
11 クリーニング装置

Claims (21)

  1. 静電潜像担持体表面を接触帯電方式で帯電させる帯電手段を有する画像形成装置に用いる静電荷像現像用現像剤であって、
    該静電荷像現像用現像剤は、少なくとも、トナー、無機微粉体、樹脂微粒子及び金属酸化物を有し、
    該無機微粉体は、トナーと同極性に帯電し、比表面積が70〜300m2/gであり、
    該樹脂微粒子の添加量は、トナーに対し0.050.12重量%であり、該樹脂微粒子は、トナーと同極性に帯電し、比表面積が5.0〜20.0m2/g、体積固有抵抗が107〜1014Ωcmであり、
    該金属酸化物は、トナーと逆極性に帯電し、比表面積が0.5〜10.0m2/gであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
  2. 該無機微粉体の添加量がトナーに対し0.3〜3.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用現像剤。
  3. 該無機微粉体の比表面積が70〜150m2/gであり、該樹脂微粒子の比表面積が8.0〜15.0m2/gであり、該金属酸化物の比表面積が0.5〜10.0m2/gであることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用現像剤。
  4. 該無機微粉体が疎水性シリカであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  5. 該無機微粉体が、シリコーンオイルにて処理されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  6. 該樹脂微粒子は、スチレン系又は及びアクリル系有機微粒子であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  7. 該金属酸化物が、チタン酸ストロンチウム又は酸化セリウムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  8. 該金属酸化物がチタン酸ストロンチウムであることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用現像剤。
  9. 該トナーの重合体成分が、
    (a)実質的にTHF不溶分を含まず、
    (b)重合体成分のTHF可溶分は、GPCクロマトグラムにおいて、少なくとも分子量3×103〜3×104の領域にメインピークを有し、且つ分子量1×105〜3×106の領域にサブピーク又はショルダーを有し、
    (c)1mgKOH/g以上の酸価を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  10. 該トナーの重合体成分の低分子量重合体(GPCクロマトグラムにおいて分子量5×104未満の領域)の酸価(AVL)と高分子量重合体(GPCクロマトグラムにおいて分子量5×104以上の領域)の酸価(AVH)とが下記条件
    VL>AVH
    を満足していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  11. 該重合体成分の低分子量重合体の酸価(AVL)が21〜35mgKOH/gであり、且つ高分子量重合体の酸価(AVH)が0.5〜11mgKOH/gであり、且つその差の関係が
    10≦(AVL−AVH)≦27
    であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  12. 該重合体成分の酸価/全酸価の値が0.7以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  13. 該重合体成分のTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量3×104以上1×105未満の領域に極小値を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  14. 該トナーが磁性体を含有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  15. 該トナーがケイ素を含有する磁性体を含有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤。
  16. 静電潜像担持体表面を帯電する工程、静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程、該静電潜像を現像剤により現像しトナー画像を形成する工程、該静電潜像担持体に形成されたトナー画像を転写材に転写する工程及び転写後該静電潜像担持体の表面をクリーニング手段を当接させてクリーニングする工程を有し、クリーニング後の該静電潜像担持体を使用して上記工程を繰り返す画像形成方法において、
    該帯電工程は、接触帯電方式の帯電工程であり、
    該現像剤は、少なくとも、トナー、無機微粉体、樹脂微粒子及び金属酸化物を有し、
    該無機微粉体は、トナーと同極性に帯電し、比表面積が70〜300m2/gであり、
    該樹脂微粒子の添加量は、トナーに対し0.050.12重量%であり、
    該樹脂微粒子は、トナーと同極性に帯電し、比表面積が5.0〜20.0m2/g、体積固有抵抗が107〜1014Ωcmであり、
    該金属酸化物は、トナーと逆極性に帯電し、比表面積が0.5〜10.0m2/gであることを特徴とする画像形成方法。
  17. 該静電潜像担持体は、少なくとも導電性支持体、電荷発生層を有する積層構造を有しており、該静電潜像担持体の表面層は、フッ素原子、ケイ素原子または両者を有していることを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
  18. 該現像剤は、請求項2乃至15のいずれかの静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする請求項16又は17に記載の画像形成方法。
  19. 少なくとも交流成分を有している電圧を帯電部材に印加し、該帯電部材を静電潜像担持体に当接させて該静電潜像担持体表面を帯電する工程、静電潜像を形成する工程、該静電潜像を現像剤により現像する工程を有する画像形成方法において、
    該帯電部材は、静電潜像担持体に接触する高抵抗体からなる上層部と、該上層部の下層を構成し少なくとも交流成分を有している電圧が印加される導電性の下層部とを備え、
    該静電潜像担持体が、少なくとも導電性支持体、電荷発生層を有する積層構造を有し、該静電潜像担持体の表面層にフッ素原子、ケイ素原子または両者を有し、
    該現像剤は少なくとも、トナー、無機微粉体、樹脂微粒子及び金属酸化物を有し、
    該無機微粉体は、トナーと同極性に帯電し、比表面積が70〜300m2/gであり、
    該樹脂微粒子の添加量は、トナーに対し0.050.12重量%であり、
    該樹脂微粒子は、トナーと同極性に帯電し、比表面積が5.0〜20.0m2/g、体積固有抵抗が107〜1014Ωcmであり、
    該金属酸化物は、トナーと逆極性に帯電し、比表面積が0.5〜10.0m2/gであることを特徴とする画像形成方法。
  20. 該帯電部材は、硬度がASKER−Cで60°以下であることを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
  21. 該現像剤は、請求項2乃至15のいずれかの静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする請求項19又は20に記載の画像形成方法。
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