本発明者らは鋭意検討の結果、トナー粒子の円形度を制御し、且つ、トナー粒子の表面粗さを制御することで、トナーの現像特性をコントロールできることを見出した。
本発明のトナー粒子は、粒径3μm以上400μm以下のトナー粒子において、平均円形度が0.935以上0.970未満、好ましく0.935以上0.965未満、より好ましくは0.935以上0.960未満、より好ましくは0.940以上0.955未満であることにより、画像面積あたりのトナーの消費量を低減することができる。トナー粒子の円形度が高くなると、トナーの流動性が増すので個々のトナーが自由に動きやすくなる。紙などの転写材上に現像されたトナーは、円形度が高いトナーほど一つ一つのトナー単位で現像される確率が高くなるため、転写材上での画像高さが低くなり、トナーの消費量を低減することができる。この時に、トナー粒子の円形度が十分に高くないと、トナーは凝集体としての挙動を示しやすくなり、凝集体として転写材上に現像されやすくなる。そのような画像は転写材からの画像高さが高くなり、同じ面積を現像する場合において流動性の優れたトナーよりも多くのトナーが現像されてしまい、トナーの消費量が増加する。また、円形度の高いトナー粒子からなるトナーは現像された画像においてより密な状態をとりやすい。その結果、転写材に対するトナーの隠蔽率が高くなり、少ないトナー量でも十分な画像濃度を得ることができる。
平均円形度が0.935未満だと、現像された画像の高さが高くなり、トナーの消費量が増加する。また、トナー間の空隙が増え、現像された画像上においても十分な隠蔽率が得られないため、必要な画像濃度を得るためにはより多くのトナー量を必要とし、結果的にトナー消費量を増加させてしまう。平均円形度が0.970以上だと、現像スリーブ上にトナーが過剰に供給されることによってスリーブ上に不均一にトナーがコートされてしまい、結果としてブロッチが発生する。
また、本発明のトナーは、粒径3μm以上400μm以下のトナーにおいて、平均円形度が0.935以上0.970未満、好ましく0.935以上0.965未満、より好ましくは0.935以上0.960未満、より好ましくは0.940以上0.955未満であることにより、画像面積あたりのトナーの消費量を低減することができる。これは、円形度の高いトナーは現像された画像においてより密な状態をとりやすくなるために、転写材に対するトナーの隠蔽率が高くなり、少ないトナー量でも十分な画像濃度を得られることによる。平均円形度が0.935未満だとトナー消費量が増加し、平均円形度が0.970以上だとブロッチが発生しやすくなる。
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて23℃、60%RHの環境下で測定を行い、円相当径0.60μm〜400μmの範囲内の粒子を測定し、そこで測定された粒子の円形度を下式(1)により求め、更に円相当径3μm以上400μm以下の粒子において、円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
円形度a=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子投影像の周囲長を示す。〕
本発明に用いている円形度はトナー粒子及びトナーの凹凸の度合いの指標であり、トナー粒子及びトナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出にあたって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度の値と、各粒子の円形度の総和を用いる算出式によって算出される平均円形度の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、各粒子の円形度の総和を用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。さらに本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナー粒子及びトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA1000」と比較して、処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)することによりトナー粒子及びトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な捕捉を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状及び粒度分布を測定する必要がある場合には、より正確に形状及び粒度分布に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
具体的な測定方法としては、予め容器中の不純物を除去した水200〜300ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波発振器で2分間分散し、分散液濃度を0.2〜1.0万個/μlとして粒子の円形度分布を測定する。超音波発振器としては、例えば以下の装置を使用し、以下の分散条件を用いる。
UH−150(株式会社エス・エム・テー社製)
OUTPUT レベル:5
コンスタントモード
測定の概略は、以下の通りである。
試料分散液は、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
また、本発明においては、フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径0.6μm以上400μm以下のトナー粒子における個数基準粒径分布において0.6μm以上3μm未満のトナー粒子比率が0個数%以上20個数%未満、好ましくは0個数%以上17個数%未満、より好ましくは1個数%以上15個数%未満であることが好ましい。0.6μm以上3μm未満のトナー粒子は、トナーの現像性、特にカブリ特性に大きな影響を与える。このような微粒子トナーは過度に高い帯電性を有しており、トナーの現像時に過剰に現像されやすく、画像上にカブリとして現れる。しかし本発明においてはこのような微粒子トナーの比率が少ないことによってカブリを低減することができる。
また、本発明のトナーは前述したとおり平均円形度が高いためにトナーがより密に詰まった状態を取りやすいために現像スリーブ上により厚くトナーがコートされ、結果的にスリーブ上のトナー層の上層と下層で帯電量が異なり、連続して広い面積の画像を現像した時に先端の画像濃度よりもスリーブ2周目以降の画像の方が画像濃度が低下してしまう、所謂スリーブネガゴーストを発生する場合がある。この時にトナー粒子中に超微粉が多く存在すると、超微粉は他のトナー粒子よりも高い帯電量を有しているために画像濃度差を発生させやすく、スリーブネガゴーストを悪化させるが本発明においては超微粉量が少ないのでスリーブネガゴーストの悪化を抑制することができる。0.6μm以上3μm未満の粒子比率が20個数%以上だと、画像上のカブリが増加し、更にスリーブネガゴーストが悪化する場合がある。また、本発明のトナー粒子は円形度0.960未満のトナー粒子の個数累積値が20個数%以上70個数%未満、好ましくは25個数%以上65個数%未満、より好ましくは30個数%以上65個数%未満、より好ましくは35個数%以上65個数%未満であることが好ましい。トナー粒子の円形度は、個々のトナー粒子によって異なる。円形度が異なるとトナー粒子としての特性も異なるため、適度な円形度のトナー粒子比率が適正な値であることが、トナー粒子の現像性を高める上で好ましい。本発明のトナー粒子は適度な円形度を有しており、且つ適度な円形度分布を有しているため、トナー粒子の帯電分布が均一になり、カブリを低減することができる。円形度0.960未満のトナー粒子の個数累積値が20個数%未満だと、トナー粒子が耐久時に劣化する場合がある。円形度0.960未満のトナー粒子の個数累積値が70個数%以上だと、カブリが悪化したり、高温高湿環境下での画像濃度が低下する場合がある。
また、本発明においては、トナー粒子の平均面粗さが5.0nm以上35.0nm未満、好ましくは8.0nm以上30.0nm未満、より好ましくは10.0nm以上25.0nm未満であることを特徴とする。トナー粒子が適度な表面粗さを有していることにより、トナー間に適度な空隙が生まれ、トナーの流動性を向上させることができ、より良好な現像性をもたらすことができる。特に本発明の特徴とする円形度を有するトナー粒子において、前記平均面粗さを有していることにより優れた流動性をトナー粒子に付与することができる。また、本発明のトナー粒子において、3μm未満の超微粒子が少ない場合により良好な流動性をトナーに付与することができる。即ち、トナー粒子中に超微粒子が多く存在すると、トナー表面の凹部分に超微粒子が入り込み、見かけ上のトナー平均面粗さを小さくしてしまい、トナー粒子間の空隙が減り、トナーにより好ましい流動性を付与することを妨げてしまう場合がある。トナー粒子の平均面粗さが5.0nm未満だと、トナーに十分な流動性が付与できず、フェーディングを生じて画像濃度が低下する。トナー粒子の平均面粗さが35.0nm以上だと、トナー粒子間の空隙が多くなりすぎることでトナーの飛び散りを生じる。
また本発明においては、外添剤が添加されたトナーに関しても、粒径3μm以上400μm以下のトナーにおいて平均円形度が0.935以上0.970未満であって、平均面粗さが好ましくは10.0nm以上26.0nm未満であり、より好ましくは12.0nm以上24.0nm未満である。トナーの平均面粗さが10.0nm未満の場合、トナー凹部に多数の外添剤粒子が埋め込まれている状態と思われ、流動性に劣るようになり、フェーディングを生じて良好な画像が得られにくい。トナーの平均面粗さが26.0nm以上の場合、トナー表面の外添剤粒子が均一にコートされていない状態と思われ、帯電不良により飛び散りが生じやすくなる。このようにトナーにおいても、適度な表面粗さと円形度を有することで、本発明の効果を得られやすくなる。
また、トナー粒子の最大高低差が50nm以上250nm未満、好ましくは80nm以上220nm未満、より好ましくは100nm以上200nm未満であることが好ましく、より良好な流動性をトナーに付与することができる。トナー粒子の最大高低差が50nm未満だと、トナーに十分な流動性を付与できず、フェーディングを生じて画像濃度が低下する場合がある。トナー粒子の最大高低差が250nm以上だと、トナーの飛び散りを生じる場合がある。
また、走査型プローブ顕微鏡で測定されるトナー粒子の表面の1μm四方のエリアを測定した時の表面積が1.03μm2以上1.33μm2未満、好ましくは1.05μm2以上1.30μm2未満、より好ましくは1.07μm2以上1.28μm2未満であることが好ましく、より良好な流動性をトナー粒子に付与することができる。トナー粒子の表面積が1.03μm2未満だと、トナーに十分な流動性を付与できず、フェーディングを生じて画像濃度が低下する場合がある。トナー粒子の表面積が1.33μm2以上だと、飛び散りを生じる場合がある。
本発明において、トナー粒子及びトナーの平均面粗さ、トナー粒子の最大高低差、表面積は、走査型プローブ顕微鏡を用いて測定される。以下に、測定方法の例を示す。
プローブステーション:SPI3800N(セイコーインスツルメンツ(株)製)測定ユニット:SPA400
測定モード:DFM(共振モード)形状像
カンチレバー:SI−DF40P
解像度:Xデータ数 256
Yデータ数 128
本発明においては、トナー粒子及びトナーの表面の1μm四方のエリアを測定する。測定するエリアは、走査型プローブ顕微鏡で測定されるトナー粒子及びトナー表面の、中央部の1μm四方のエリアとする。測定するトナー粒子及びトナーは、コールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)に等しいトナー粒子及びトナーをランダムに選択して、そのトナー粒子及びトナーを測定する。測定されたデータは、2次補正を行う。異なるトナー粒子及びトナーを5個以上測定し、得られたデータの平均値を算出して、そのトナー粒子及びトナーの平均面粗さ、トナー粒子の最大高低差、表面積とする。
トナー粒子に外添剤が外添されているトナーにおいて、トナー粒子の表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて測定する場合は外添剤を取り除く必要があり、具体的な方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)トナー45mgをサンプル瓶に入れ、メタノールを10ml加える。
2)超音波洗浄機で1分間試料を分散させて外添剤を分離させる。
3)吸引ろ過(10μmメンブランフィルター)してトナー粒子と外添剤を分離する。磁性体を含むトナーの場合は、磁石をサンプル瓶の底にあててトナー粒子を固定して上澄み液だけ分離させても構わない。
4)上記2)、3)を計3回行い、得られたトナー粒子を真空乾燥機で室温で十分に乾燥させる。
外添剤を取り除いたトナー粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、外添剤がなくなっているのを確認した後、走査型プローブ顕微鏡でトナー粒子の表面観察をすることができる。外添剤が十分に取り除ききれていない場合には、外添剤が十分に取り除かれるまで2)、3)を繰り返し行った後に走査型プローブ顕微鏡でのトナー粒子の表面観察を行う。
2)、3)に代わる外添剤を取り除く他の方法としては、アルカリで外添剤を溶解させる方法が挙げられる。アルカリとしては水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
以下に各用語を説明する。
・平均面粗さ(Ra)
JIS B0601で定義されている中心線平均粗さRaを、測定面に対して適用できるよう三次元に拡張したもの。基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値で次式で表される。
F(X,Y):全測定データの示す面
S
0 :指定面が理想的にフラットであると仮定したときの面積
Z
0 :指定面内のZデータ(指定面に対して垂直方向のデータ)の平均値
指定面とは、本発明においては1μm四方の測定エリアを意味する。
・最大高低差(P−V)
指定面内におけるZデータの最大値と最小値の差。
・表面積(S)
指定面の表面積。
次に、本発明の特徴とするトナー粒子を得るための好ましい方法として、表面改質工程を用いたトナー粒子製造方法について説明する。以下に、表面改質工程で使用される表面改質装置及び表面改質装置を利用したトナー粒子の製造方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。
尚、本発明において表面改質とは、トナー粒子の表面を平滑化することを意味する。
図1は、本発明に使用することのできる表面改質装置の一例を示し、図2は図1において高速回転する回転子の上面図の一例を示す。
図1に示す表面改質装置では、ケーシング、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、表面改質手段である、ケーシング内にあって中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤上の回転体である分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、更に、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、更に、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、更に、表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、更に、分級手段である分級ローター31と表面改質手段である分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級手段へ導入される前の第一の空間41と、分級手段により微粉を分級除去された粒子を表面改質手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39とから構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター31及びローター周辺部分が分級ゾーンである。
尚、分級ローター31の設置方向は図1に示したように縦型でも構わないし、横型でも構わない。また、分級ローター31の個数は図1に示したように単体でも構わないし、複数でも構わない。
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁38を閉とした状態で原料供給口33から原料トナー粒子を投入すると、投入された原料トナー粒子は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ローター31で分級される。
その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれ、分級ローター31により、再度微粉は機外へ排出され、粗粉は、循環流にのり、再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開とし、排出口37より表面改質粒子を回収する。
本発明においては、トナー粒子表面改質工程において、トナー粒子の表面改質と同時に微粉成分を除去できる。それにより、トナー粒子中に存在する超微粒子がトナー粒子表面に固着することがなく、所望の円形度、平均面粗さ及び超微粒子量を有するトナー粒子を効果的に得ることができる。表面改質と同時に微粉を除去することができない場合、表面改質後のトナー粒子中の超微粒子量が多く存在してしまう上に、トナー粒子表面改質工程において、機械的、熱的な影響により、適正な粒径を有するトナー粒子の表面に超微粒子成分が固着してしまう。その結果、トナー粒子の表面に、固着した微粉成分による突起が生成し、所望の円形度及び平均面粗さを有するトナー粒子が得られない。
尚、本発明において、「表面改質と同時に微粉成分を除去する」とは、トナー粒子の表面改質及び微粉除去を繰り返し行うことを意味し、それは前記のような単一装置内でそれぞれの工程を有する装置を用いても良く、また、表面改質と微粉除去を異なる装置によって行い、それぞれの工程を繰り返し行うことによっても良い。
本発明者が検討した結果、表面改質装置における表面改質時間(=サイクルタイム、原料供給が終了してから排出弁が開くまでの時間)としては、5秒以上180秒以下、更に好ましくは、15秒以上120秒以下であることが好ましい。表面改質時間が5秒未満の場合、改質時間が短時間過ぎるため、表面改質トナー粒子が十分に得られない場合がある。また、改質時間が180秒を超えると、改質時間が長時間過ぎるため、表面改質時に発生する熱による機内融着の発生、及び処理能力の低下を招く場合がある。
更に、トナー粒子の製造においては、該表面改質装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下とすることが好ましい。該表面改質装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下、特に好ましくは−10℃以下、最も好ましくは−15℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該表面改質装置内に導入する冷風温度T1が5℃を超えると、表面改質時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
尚、該表面改質装置内に導入する冷風は、装置内の結露防止という面から、除湿したものであることが好ましい。除湿装置としては公知のものが使用できる。
給気露点温度としては、−15℃以下が好ましく、更には−20℃以下が好ましい。
更に、トナー粒子の製造においては、該表面改質装置内は、機内冷却用のジャケットを具備しており、該ジャケットに冷媒(好ましくは冷却水、更に好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通しながら表面改質処理することが好ましい。該ジャケットによる機内冷却により、トナー粒子表面改質時における熱による機内融着を防止することができる。
尚、表面改質装置の該ジャケット内に通す冷媒の温度は5℃以下とすることが好ましい。表面改質装置内の該ジャケット内に通す冷媒の温度を5℃以下、より好ましくは、0℃以下、更に好ましくは、−5℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該ジャケット内に導入する冷媒の温度が5℃を超えると、表面改質時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
更に、トナー粒子の製造においては、該表面改質装置内の分級ローター後方の温度T2を60℃以下とすることが好ましい。該表面改質装置内の分級ローター後方の温度T2を60℃以下、好ましくは50℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該表面改質装置内の分級ローター後方の温度T2が60℃を超えると、表面改質ゾーンにおいては、それ以上の温度が影響するため、表面改質時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
更に、トナー粒子の製造においては、表面改質装置内の該分散ローターとライナーとの間の最小間隔が0.5mm乃至15.0mmとすることが好ましく、更には1.0mm乃至10.0mmとすることが好ましい。また、該分散ローターの回転周速は75m/sec乃至200m/secとすることが好ましく、更には85m/sec乃至180m/secとすることが好ましい。更に、表面改質装置内の該分散ローター上面に設置されている角型のディスク或いは円筒形のピンの上部と、該円筒型のガイドリングの下部との間の最小間隔が2.0mm乃至50.0mmとすることが好ましく、更には5.0mm乃至45.0mmとすることが好ましい。
本発明において、該表面改質装置内の分散ローター及びライナーの粉砕面は耐摩耗処理されていることがトナー粒子の生産性上好ましい。尚、耐摩耗処理方法は何ら限定されるものではない。また、該表面改質装置内の分散ローター及びライナーの刃形状に関しても、何ら限定されるものではない。
トナー粒子製造方法としては、あらかじめ所望の粒径付近に微粒子化された原料トナー粒子を、気流式分級機を用いて微粉及び粗粉をある程度除去した上で、表面改質装置によってトナー粒子の表面改質及び超微粉成分の除去を行うことが好ましい。あらかじめ微粉を除去しておくことにより、表面改質装置内でのトナー粒子の分散が良好になる。特に、トナー粒子中の微粉成分は、比表面積が大きく、他の大きなトナー粒子と比較して相対的に帯電量が高いために他のトナー粒子からの分離がされにくく、分級ローターで適正に超微粉成分が分級されない場合があるが、あらかじめトナー粒子中の微粉成分を除去しておくことによって、表面改質装置内で個々のトナー粒子が分散しやすくなり、超微粉成分が適正に分級ローターによって分級され、所望の粒度分布を有するトナー粒子を得ることができる。気流式分級機によって微粉を除去されたトナーは、コールターカウンター法を用いて測定される粒度分布において、4μm未満のトナー粒子の個数平均分布の累積値が10%以上50%未満、好ましくは15%以上45%未満、より好ましくは15%以上40%未満であることが好ましく、本発明の表面改質装置によって効果的に超微粉成分を除去することができる。本発明で用いられる気流式分級機としては、エルボージェット(日鉄工業社製)等があげられる。
更に本発明においては、該表面改質装置内の分散ローター及び分級ローターの回転数等を制御することにより、トナー粒子の円形度、及びトナー粒子中の0.6μm以上3μm未満の粒子比率をより適正な値に制御することができる。本発明においては、メタノール/水混合溶媒に対するトナー粒子の濡れ性を780nmの波長光の透過率で測定した時に、透過率が80%の時のメタノール濃度及び透過率50%の時のメタノール濃度が35〜75体積%、好ましくは40〜70体積%、より好ましくは45〜65体積%、より好ましくは45〜60体積%の範囲内であることが好ましい。このようなメタノール濃度−透過率特性を有するトナー粒子は、本発明の特徴とする表面改質装置を用いて、表面改質処理条件を適切な条件にすることによって得られ、トナー粒子表面における各原材料の露出割合が適切であり、適度且つシャープな帯電性をトナー粒子にもたらすことができる。また、本発明のトナー粒子は平均円形度が0.935以上0.970未満であり、トナーとしたときの流動性に優れる。このように流動性が良く、且つ帯電量分布がシャープであるトナーは、トナー容器内でトナーが均一且つ高い帯電性を有することができ、長期の使用においても良好且つ安定した画像濃度を得ることができる。特に高温高湿環境下のようなトナーが凝集して流動性が悪化したり、また、帯電量が低下しやすい環境下において特に有効に作用する。
トナー粒子の、透過率が80%の時のメタノール濃度及び透過率が50%の時のメタノール濃度が35体積%より低いと、トナーの帯電性が不十分となり、画像濃度が劣るようになる場合がある。また、透過率が80%の時のメタノール濃度及び透過率が50%の時のメタノール濃度が75体積%を超えると、トナーの凝集性が高くなるために十分な流動性が得られなくなり、高温高湿環境下での現像性が不十分となる場合がある。
また、トナー粒子の、透過率が80%の時のメタノール濃度と透過率が50%の時のメタノール濃度の濃度差が10%以下、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下であることが好ましく、より良好な現像性をトナーに付与することができる。濃度差が10%を超えると、トナーの表面状態が不均一になり、不正に現像されるトナーが増加してカブリが増加する場合がある。
本発明においては、トナー粒子の濡れ性、即ち疎水特性は、メタノール滴下透過率曲線を用いて測定する。具体的には、その測定装置として、例えば、(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pを用い、下記の条件及び手順で測定したメタノール滴下透過率曲線を利用する。まず、メタノール20〜50体積%と水50〜80体積%とからなる含水メタノール液70mlを容器中に入れ、この中に検体であるトナー粒子を0.1g精秤して添加し、トナー粒子の疎水特性を測定するためのサンプル液を調製する。次に、この測定用サンプル液中に、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、図3に示したようなメタノール滴下透過率曲線を作成する。この際に、メタノールを滴定溶媒としたのは、トナー粒子に含有される染料、顔料、荷電制御剤等の溶出の影響が少なく、トナー粒子の表面状態がより正確に観察できるためである。
本発明に使用される結着樹脂の種類としては、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂又は石油系樹脂が挙げられる。
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルの如きメタクリル酸エステル;マレイン酸;マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸エステル;アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテルが挙げられる。これらのビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
本発明においては、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体が特に好ましい結着樹脂として用いられ、それによりトナー粒子の円形度を適切な値に制御しやすくなる。
本発明で使用する結着樹脂は、保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が45〜80℃、好ましくは50〜70℃である。Tgが45℃より低いと高温雰囲気下でのトナーの劣化や定着時でのオフセットの原因となりやすい。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下する傾向にある。
Tgの測定方法は、TAインスツルメンツ社製Q−1000を用いて、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、昇温速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。定義は次のように定める。
ガラス転移点(Tg)
昇温時のDSC曲線において比熱変化の現れる前後のベースラインの中間点を結ぶ線とDSC曲線の交点の温度。
また、結着樹脂のピーク分子量は3000〜30000、好ましくは5000〜25000、より好ましくは8000〜20000であることが好ましく、これによりトナー粒子に適度な硬さを有するようになり、トナー粒子の表面改質を行いやすくなる。
本発明において、結着樹脂の、THF(テトラハイドロフラン)を溶媒としたGPCによる分子量分布は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料のTHF溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良い。
たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
試料は以下のようにして作製する。
試料をTHFに入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への試料の放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの測定試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
本発明の結着樹脂の重合法としては、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられる。
本発明に用いられる結着樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイドの1分子内に2つ以上のパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤;及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤から選択される。
これらの内、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足する為には、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の分解温度よりも低い半減期10時間を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシドの如き有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物が挙げられる。
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程において該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
これらの重合開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05〜2質量部で用いるのが好ましい。
結着樹脂は架橋性モノマーで架橋されていることも好ましい。
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。具体例としては、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.00001〜1質量部、好ましくは0.001〜0.05質量部の範囲で用いることが好ましい。
結着樹脂組成物を製造する方法として、溶液重合法により高分子量重合体と低分子量重合体を別々に合成した後にこれらを溶液状態で混合し、次いで脱溶剤する溶液ブレンド法、また、押出機等により溶融混練するドライブレンド法、溶液重合法等により得られた低分子量重合体を溶解した高分子量重合体を構成するモノマーに溶解し、懸濁重合を行い、洗浄・乾燥し、樹脂組成物を得る二段階重合法等が挙げられる。但し、ドライブレンド法では、均一な分散・相溶の点で改善すべき点がある。二段階重合法だと均一な分散性等に利点が多いが、低分子量分を高分子量分以上に増量することができ、分子量の大きい高分子量重合体の合成ができ、不必要な低分子量重合体が副生成するという問題が少ないことから、溶液ブレンド法が最も好適である。また、低分子量重合体成分に所定の酸価を導入する場合には、水系媒体を使用する重合法に比べて酸価の設定が容易である溶液重合が好ましい。
本発明で、結着樹脂として用いられるポリエステル樹脂の組成の例を以下に示す。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
式(B)で示されるジオール類;
2価の酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、又は低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸もしくはアルキルコハク酸、又はその無水物、又は低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物、又は低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
また、架橋成分として働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
3価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
また、本発明における三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−シカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;次式
(式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基である。)
で表わされるテトラカルボン酸、及びこれらの無水物、又は低級アルキルエステルの如き多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
アルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。
また三価以上の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。該ポリエステル樹脂も通常一般に知られている縮重合によって得られる。
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させることが好ましい。
トナーを負荷電性に制御するものとして下記化合物が挙げられる。
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類などがある。
中でも、下記一般式(1)で表わされるアゾ系金属錯体が好ましい。
特に中心金属としてはFeが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基又はアニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム又は脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
あるいは次の一般式(2)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与える荷電制御剤として好ましい。
特に中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn又はAlが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
トナーを正荷電性に制御するものとして下記の化合物がある。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(3)
〔式中、R
1はH又はCH
3を示し、R
2及びR
3は置換または未置換のアルキル基(好ましくはC
1〜C
4)を示す。〕
で表わされるモノマーの単重合体:前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
特に下記一般式(4)で表わされる化合物が本発明の正荷電制御剤として好ましい。
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法とトナー粒子の外部に外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
本発明のトナーはワックスを含有してもよい。本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。例えばパラフィンワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックスおよびその誘導体などである。誘導体には酸化物やビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
本発明のトナーにおいては、これらのワックス総含有量は、結着樹脂100質量部に対し、0.1〜15質量部で用いられ、好ましくは0.5〜12質量部で用いるのが効果的である。
これらのワックスは、示差熱分析測定装置(DSC)を用いて測定される融点が65℃以上130℃未満、好ましくは70°以上120℃未満、更に好ましくは70℃以上110℃未満、更に好ましくは75℃以上100℃未満であることが好ましい。トナー粒子中にこのような融点を有するワックスは適度な硬さを有しており、トナー粒子の表面改質工程において所望の円形度、粒度分布、表面面粗さを有するトナー粒子を効果的に得ることができる。ワックスの融点が65度未満の場合、トナーの保存性が悪化する場合がある。ワックスの融点が130℃を超えると、トナー粒子が硬くなりすぎて表面改質されたトナーの生産性が悪化する場合がある。
<ワックスの融点の測定方法>
試料:0.5〜2mg、好ましくは1mg
測定法:試料をアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。
温度曲線:昇温I (20℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
降温I (180℃〜10℃、降温速度10℃/min)
昇温II(10℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
上記温度曲線において昇温IIで測定される吸熱ピーク温度を融点とする。
本発明のトナーは磁性体を含有する。磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。トナーに使用される磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。
これらの磁性体は個数平均粒径が0.05〜1.0μmが好ましく、更には0.1〜0.5μmのものが好ましい。磁性体はBET比表面積が2〜40m2/g(より好ましくは4〜20m2/g)のものが好ましく用いられる。形状には特に制限はなく、任意の形状のものが用いられる。磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg(より好ましくは70〜100Am2/kg)、残留磁化が1〜100Am2/kg(より好ましくは2〜20Am2/kg)、抗磁力が1〜30kA/m(より好ましくは2〜15kA/m)であるものが好ましく用いられる。これらの磁性体は結着樹脂100質量部に対し、20〜200質量部で用いられる。好ましくは40〜150質量部で用いられる。
個数平均径は、透過電子顕微鏡等により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。磁性体の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業社製)を用いて外部磁場795.8kA/mの下で測定することができる。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソープ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することができる。
本発明のトナーに使用し得るその他の着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等が挙げられる。これらは定着画像の光学濃度を維持するのに必要充分な量が用いられ、結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部の添加量が良い。染料としては、アゾ系染料、アントラキノン染料、キサンテン系染料、メチン系染料等が挙げられる。染料は結着樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
本発明のトナー粒子には、無機微粉体または疎水性無機微粉体が外添されることが好ましい。例えば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末又はそれらの疎水化物が挙げられる。それらは、単独あるいは併用して用いることが好ましい。
シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び、水ガラス等から製造される湿式シリカの両方が挙げられる。表面及び内部にあるシラノール基が少なく、製造残渣のない乾式シリカの方が好ましい。
さらにシリカ微粉体は疎水化処理されているものが好ましい。疎水化処理するには、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ微粉体をシラン化合物で処理した後、あるいはシラン化合物で処理すると同時にシリコーンオイルの如き有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。
疎水化処理に使用されるシラン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシランメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンが挙げられる。
有機ケイ素化合物としては、シリコーンオイルが挙げられる。好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度がおよそ30〜1,000mm2/sのものが用いられる。例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが好ましい。
シリコーンオイル処理の方法は、シラン化合物で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合しても良いし、ベースとなるシリカへシリコーンオイルを噴射する方法によっても良い。
あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、ベースのシリカ微粉体とを混合し、溶剤を除去して作製しても良い。
シリカ微粉体の好ましい疎水化処理として、ヘキサメチルジシラザンで処理し、次いでシリコーンオイルで処理することにより調製する方法が挙げられる。
上記のようにシリカ微粉体をシラン化合物で処理し、後にオイル処理することが疎水化度を効果的に上げることができ、好ましい。
上記シリカ微粉体における疎水化処理、更には、オイル処理を酸化チタン微粉体に施したものも、シリカ系同様に好ましい。
本発明のトナー粒子には、必要に応じてシリカ微粉体又は酸化チタン微粉体以外の添加剤を外添してもよい。
例えば帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ロール定着時の離型剤、滑剤、研磨剤の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
樹脂微粒子としては、その平均粒径が0.03〜1.0μmのものが好ましい。その樹脂を構成する重合性単量体としては、スチレン;o−メチルスチレン,m−メチルスチレン,p−メチルスチレン,p−メトキシスチレン,p−エチルスチレン誘導体;アクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸n−ブチル,アクリル酸イソブチル,アクリル酸n−プロピル,アクリル酸n−オクチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸ステアリル,アクリル酸2−クロルエチル,アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル,メタクリル酸イソブチル,メタクリル酸n−オクチル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸ステアリル,メタクリル酸フェニル,メタクリル酸ジメチルアミノエチル,メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル;アクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
重合法としては、懸濁重合、乳化重合、ソープフリー重合が挙げられる。より好ましくは、ソープフリー重合によって得られる粒子が良い。
その他の微粒子としては、ポリ弗化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリ弗化ビニリデンの如き滑剤(中でもポリ弗化ビニリデンが好ましい);酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウムの如き研磨剤(中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい);酸化チタン、酸化アルミニウムの如き流動性付与剤(中でも特に疎水性のものが好ましい);ケーキング防止剤;カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズの如き導電性付与剤が挙げられる。さらに、トナーと逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いても良い。
トナーと混合される樹脂微粒子または無機微粉体または疎水性無機微粉体は、トナー100質量部に対して0.01〜5質量部(好ましくは0.01〜3質量部)使用するのが良い。
本発明のトナーは、好ましくは重量平均粒径を2.5〜10.0μm、好ましくは5.0〜9.0μm、より好ましくは6.0〜8.0μmとした場合に十分な効果が発揮され、好ましい。
トナーの重量平均粒径及び粒度分布はコールターカウンター法を用いて行うが、例えばコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることが可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えばISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナー粒子の体積・個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)を算出する。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを用いる。
本発明のトナーは、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものが使用可能である。具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及びそれらの合金または酸化物で形成される平均粒径20〜300μmの粒子がキャリア粒子として使用される。
キャリア粒子の表面は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の如き物質を付着または被覆されているものが好ましい。
本発明に係るトナー粒子は、結着樹脂と磁性体と、必要に応じてその他の成分を含有する組成物を溶融混練(混練工程)し、得られた混練物を粉砕(粉砕工程)することによって得られるものである。トナー粒子の構成材料は、ボールミルその他の混合機により予め十分混合した後、熱混練機を用いて混練することが好ましい。また粉砕工程は、粗粉砕工程と微粉砕工程に分かれていても良く、またその後に、分級(分級工程)を行っても良い。更に、本発明に係るトナー粒子の平均円形度及び平均面粗さを満たすために、上述したように表面改質装置を用いてトナー粒子表面を改質することが好ましく、特には、分級工程後に表面改質を行うことが好ましい。また、微粉除去を、表面改質と同時に行うことが好ましい。
本発明の如く、混練工程を経てトナーを製造した場合、トナー粒子の構成材料が粒子中で均一、且つ微細に分散させることができる。また、構成材料が良好に分散された混練物を粉砕することにより、トナー粒子表面における構成材料の分布が好適なものとなり、その結果、本発明の特徴とする特定の平均面粗さ、平均円形度を有するトナー粒子の効果を十分に発揮することができる。混練工程、粉砕工程を経ずにトナー粒子を製造した場合、トナー粒子表面における構成材料の分布の制御が困難となり、トナー粒子が適正な平均面粗さ、平均円形度を有していたとしても、十分な効果を発揮できない。例えば乳化凝集法などによってトナー粒子を製造した場合、トナー粒子の表面に親水性を有する官能基が多くなってしまい、トナー粒子の帯電性、流動性の制御が困難となり、トナー消費量の低減と良好な現像性の両立を図ることが困難となる。
例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)が挙げられる。分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボフレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所杜);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
用いられる結着樹脂を表1に、磁性体を表2に、ワックスを表3に示す。
[トナー1の調製]
・結着樹脂1 100質量部
・磁性体1 95質量部
・モノアゾ鉄錯体 2質量部
・ワックス1 4質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて、表4の条件表に基づき、エアー温度を調整して機械式粉砕させて微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボージェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。そこで得られた原料トナー粒子のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)は6.6μm、4μm未満のトナー粒子の個数平均分布の累積値は25.2%であった。
その原料トナー粒子を、図1に示す表面改質装置で表面改質及び微粉除去を行った。その際、本実施例においては、分散ローター上部に角型のディスクを16個設置し、ガイドリングと分散ローター上角型ディスクの間隔を60mm、分散ローターとライナーとの間隔を4mmとした。また分散ローターの回転周速を140m/secとし、ブロワー風量を30m3/minとした。また微粉砕品の投入量を300kg/hrとし、サイクルタイムを45secとした。またジャケットに通す冷媒の温度を−15℃、冷風温度T1を−20℃とした。更に、分級ローターの回転数を制御することにより、0.6μm以上3μm未満の粒子比率を所望の値とした。以上の工程を経て、コールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)6.8μm、4μm未満のトナー粒子の個数平均分布の累積値が18.1%の負帯電性トナー粒子1を得た。トナー粒子1の、FPIA2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に、メタノール濃度−透過率曲線を図3示す。
このトナー粒子100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.2質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合して負帯電性トナー1を調製した。
このトナー1の、FPIA2100で測定された円相当径3μm以上400μm以下のトナーにおける平均円形度は0.947であり、走査型プローブ顕微鏡で測定されるトナー1の平均面粗さは19.1nmであった。
[トナー2〜8の調製]
用いる結着樹脂、磁性体、ワックスを表4のようにして、更にターボミルの微粉砕条件を表4に示すように変更し、多分割分級装置での分級条件を変更し、更に表面改質装置の条件を表4に示すようにした以外はトナー1と同様にして、トナー粒子2〜8、トナー2〜8を得た。トナー粒子2〜8の、FPIA2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に示す。
[トナー9の調製]
用いる結着樹脂、磁性体、ワックスを表4のようにして、更にターボミルの微粉砕条件を表4に示すように変更し、多分割分級装置での分級条件を変更し、得られたトナー粒子を300℃の熱風中を瞬間的に通過させる処理を行った以外はトナー1と同様にして、トナー粒子9、トナー9を得た。トナー粒子9の、FPIA2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に示す。
このトナー9の、FPIA2100で測定された円相当径3μm以上400μm以下のトナーにおける平均円形度は0.973であり、走査型プローブ顕微鏡で測定されるトナー9の平均面粗さは3.7nmであった。
[トナー10の調製]
用いる結着樹脂、磁性体、ワックスを表4のようにして、更にターボミルの微粉砕条件を表4に示すように変更し、多分割分級装置での分級条件を変更し、更に表面改質装置による表面改質を行わなかった以外はトナー1と同様にして、トナー粒子10、トナー10を得た。トナー粒子10の、FPIA2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に示す。
[トナー11の調製]
用いる結着樹脂、磁性体、ワックスを表4のようにして、機械式粉砕機を用いずにジェット気流式粉砕機を用い、更に多分割分級装置での分級条件を変更し、得られたトナー粒子を300℃の熱風中を瞬間的に通過させる処理を行った以外はトナー1と同様にして、トナー粒子11、トナー11を得た。トナー粒子11の、FPIA2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に示す。
[トナー12の調製]
用いる結着樹脂、磁性体、ワックスを表4のようにして、機械式粉砕機を用いずにジェット気流式粉砕機を用い、多分割分級装置での分級条件を変更し、更に表面改質装置による表面改質を行わなかった以外はトナー1と同様にして、トナー粒子12、トナー12を得た。トナー粒子12の、FPIA2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に示す。
[トナー13の調製]
用いる結着樹脂、磁性体、ワックスを表4のようにして、機械式粉砕機を用いずにジェット気流式粉砕機を用い、更に多分割分級装置での分級条件を変更し、得られたトナー粒子を300℃の熱風中を瞬間的に通過させる処理を行った以外はトナー1と同様にして、トナー粒子13、トナー13を得た。トナー粒子13の、FPIA−2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に示す。
[トナー14の調製]
用いる結着樹脂、磁性体、ワックスを表4のようにして、機械式粉砕機を用いずにジェット気流式粉砕機を用い、多分割分級装置での分級条件を変更し、更に表面改質装置による表面改質を行わなかった以外はトナー1と同様にして、トナー粒子14、トナー14を得た。トナー粒子14の、FPIA−2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に示す。
[トナー15の調製]
・結着樹脂1 100質量部
・磁性体1 95質量部
・モノアゾ鉄錯体(T−77、保土ヶ谷化学工業社製) 2質量部
・ワックス1 4質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて、表4の条件表に基づき、エアー温度を調整して機械式粉砕させて微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボージェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。そこで得られた処理前トナー粒子のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)は6.8μm、4μm未満のトナー粒子の個数平均分布の累積値は15.2%であった。
得られたトナー粒子を、図5に示す連続的に機械的衝撃力を加える表面処理装置内を通過させる表面処理工程によって表面処理した。
図5に沿って、本装置を用いた表面処理について簡単に説明する。図5は表面改質装置システムの構造を示す模式的概略構成図であり、図6は、図5のシステムにおける表面改質装置Iの処理部401の構造を示す模式的部分的断面図である。この表面改質装置は、高速回転する羽根によりトナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、少なくとも圧縮力及び摩擦力による熱機械的衝撃力を繰り返し与えることによりトナー粒子の表面処理を行うものである。図6に示すように、処理部401には鉛直方向に4枚の回転ローター402a、402b、402c及び402dが設置されている。これら回転ローター402a〜402dは、最外縁部の周速が例えば30〜60m/sとなるように、電動モーター434により回転駆動軸403を回転させることによって回転される。さらに、吸引ブロアー424を稼働させて、各回転ローター402a〜402dと一体に設けられたブレード409a〜409dの回転によって発生する気流量と同等、またはそれよりも多い風量を吸引する。フィーダー415からトナー粒子が空気とともにホッパー432に吸引導入され、導入されたトナー粒子は、粉体供給管431及び粉体供給口430を通って第1の円筒状処理室429aの中央部に導入される。このトナー粒子は、第1の円筒状処理室429aでブレード409aと側壁407により表面処理を受け、次いで、表面処理を受けたトナー粒子はガイド板408aの中央部に設けられた第1の粉体排出口410aを通って、第2の円筒状処理室429bの中央部に導入され、さらにブレード409bと側壁407により球形化処理を受ける。第2の円筒状処理室429bで表面処理されたトナー粒子は、ガイド板408bの中央部に設けられた第2の粉体排出口410bを通って第3の円筒状処理室429cの中央部に導入され、さらにブレード409cと側壁407により表面処理を受け、さらに、ガイド板408cの中央部に設けられた第3の粉体排出口410cを通って第4の円筒状処理室429dの中央部にトナー粒子は導入され、ブレード409dと側壁407により表面処理を受ける。トナー粒子を搬送している空気は、第1〜第4の円筒状処理室429a〜429dを経由し、搬出管417、サイクロン420、バグフィルター422及び吸引ブロアー424を通って装置システムの系外に排出される。各円筒状処理室429a〜429d内に導入されたトナー粒子は、各ブレード409a〜409dによって瞬聞的に機械的打撃作用を受け、さらに、側壁407に衝突して機械的衝撃力を受ける。回転ローター402a〜402dにそれぞれ設置されている所定の大きさのブレード409a〜409dの回転により、回転ローター面の上方空間に、中央部から外周へ、外周から中央部へ循環する対流が発生する。トナー粒子は円筒状処理室429a〜429d内に滞留し、表面処理を受ける。この機械的衝撃力により発生する熱により、トナー粒子表面の処理がなされる。
表面処理の具体的な方法としては、各々のローターを周速40m/sで回転させ、ブロアー風量3.0m2に吸引した状態で、オートフィーダーにて毎時20kgの速度でトナーを供給し1時間運転して表面処理を行った。この時、トナーの処理装置内の通過時間は約20秒であった。また、この時の装置の排気出口気流温度は49℃であった。
以上の工程を経て、コールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)が6.8μm、4μm未満のトナー粒子の個数平均分布の累積値が18.0%の負帯電性トナー粒子15を得た。トナー粒子15のFPIA−2100で測定された物性、及び780nmの波長光の透過率に対するメタノール濃度の値、及び走査型プローブ顕微鏡測定値を表5に示す。
このトナー粒子100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.2質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合してトナー15を調製した。
[実施例1〜8、比較例1〜7]
次に、調製されたトナーを用いて、以下に示すような方法によって評価を行った。評価結果を表6に示す。
Hewlett−Packard社製レーザービームプリンターLaser Jet4300nを用いて以下の評価を行った。
(1)画像濃度、カブリ
常温常湿環境下(23℃,60%RH)、低温低湿環境下(15℃,10%RH)、高温高湿環境下(32.5℃,80%RH)の各環境下で、2枚/10秒のプリント速度、印字比率5%で複写機用普通紙(A4サイズ:75g/m2)に9000枚の画出し試験を行い、一日放置して再び9000枚、計18000枚の画出し試験を行った。結果を表6に示す。
画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
リフレクトメーター(東京電色(株)製)により測定した転写紙の白色度と、ベタ白をプリント後の転写紙の白色度との比較からカブリを算出した。
(2)トナー消費量
常温常湿環境下(23℃,60%RH)で印字比率4%の画像で複写機用普通紙(A4サイズ:75g/m2)に18000枚の画出し試験を行う前後で、トナー容器内のトナー量を測定し、画像1枚あたりのトナー消費量を測定した。
(3)スリーブネガゴースト
通常の複写機用普通紙(A4サイズ:75g/m2)に、低温低湿環境下(15℃,10%RH)で18000枚プリントアウトし、4500枚ごとにスリーブネガゴーストの評価を行った。ゴーストに関する画像評価には、スリーブ一周分だけベタ黒の帯を出力した後ハーフトーンの画像を出力した。パターンの概略図を図4に示す。評価方法は、一枚のプリント画像のうち、スリーブ2周目で、1周目で黒画像が形成された場所(黒印字部)と、されない場所(非画像部)での、マクベス濃度反射計により測定された反射濃度の差を下記のごとく算出した。ネガゴーストは、一般的にスリーブ2周目で出る画像において、スリーブ1周目に黒印字部だった部分の画像濃度が、スリーブ1周目に非画像部だった部分の画像濃度よりも低く、1周目で出したパターンの形がそのまま現れるゴースト現象である。ここの濃度差を、反射濃度差を測定することにより評価を行った。
反射濃度差=反射濃度(像形成されない場所)−反射濃度(像形成された場所)
反射濃度差が小さいほどゴーストの発生はなくレベルは良い。ゴーストの総合評価としてA、B、C、Dの4段階で評価し、4500枚ごとの評価の中での最悪の評価結果を表6に示す。
反射濃度差 0.00以上0.02未満:A
0.02以上0.04未満:B
0.04以上0.06未満:C
0.06以上:D
(4)飛び散り
常温常湿環境下での耐久において、初期と18000枚時に100μm(潜像)ラインでの格子パターン(1cm間隔)をプリントし、その飛び散りを光学顕微鏡を用いて目視で評価した。
A:ラインが非常にシャープで飛び散りはほとんどない。
B:わずかに飛び散っている程度でラインは比較的シャープ。
C:飛び散りがやや多くラインがぼんやりした感じになる。
D:Cのレベルに満たない。
(5)ブロッチ
低温低湿環境下での耐久において、画出し中の現像スリーブ上のトナーコート状態及びプリント画像から、ブロッチの評価を行った。
A 現像スリーブ上にブロッチが全く見られない。
B 現像スリーブ上にわずかに見られるが、画像上にはその影響は現れない。
C 現像スリーブ上に見られ、画像上にもその影響がかすかに現れる。
D 現像スリーブ上にブロッチが見られ、画像上に著しくその影響が現れる。