トナーは、結着樹脂、着色剤、及びその他の添加剤により構成される。望ましい帯電特性(帯電速度、帯電レベル、帯電安定性等)、経時安定性、環境安定性等を付与するために一般に電荷制御剤が添加される。この電荷制御剤の添加によりトナーの特性は大きく改善される。
本発明者等は、この荷電制御剤に関して、鋭意検討を行った。そして、各種荷電制御剤の中でもピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物を用いると、高い帯電量を有し、且つ著しく高い帯電立ち上がり性を有する負帯電性トナーが得られることを見出した。ピラゾロンモノアゾ金属錯体が、高い帯電量と高い帯電立ち上がり性を有する詳しい理由は明確になっていないが、ピラゾロン骨格を配位子内に有することで、帯電性が向上すると考えられる。
しかしながら、単にピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物を用いただけでは、過酷環境下に長期間放置、具体的には40℃,95%RH,30日間放置すると、その帯電量を良好な状態に維持することが困難になる。このため、放置された該トナーを用いると、帯電性能の低下によって画像濃度が低下し易く、安定な画像が得られ難い場合がある。これは、40℃,95%RHという高温高湿環境に30日間という長期間放置されることで、トナー中のピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物が吸湿し帯電性能が低下したことによるものと考えられる。
そこで本発明者等は、ピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物に関して、過酷環境条件に放置されても帯電性能を維持させる為には、ピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物の凝集状態を制御することが必要であることを見出した。
即ち、本発明の荷電制御剤は、温度77KにおけるN2分子の吸・脱着等温線において、
i)飽和蒸気圧p0に対する吸着平衡圧pの比である相対圧p/p0が0.4の時の吸着過程の吸着量M1が3.0cm3/g以上8.0cm3/g以下であり、
ii)該吸着量M1と、相対圧p/p0が0.4の時の脱着過程の吸着量M2(cm3/g)との差(M2−M1)が0.4cm3/g以下であり、
該荷電制御剤は、下記式〔1〕
(式中、A
1、A
2及びA
3は、相互に独立して、水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。B
1は水素原子又はアルキル基を示す。Mは、Fe原子、Cr原子、又は、Al原子を示し、X
+は、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、又は、これらの混合イオンを示す。)
で表される化合物を含有することを特徴とする。
本発明者等は、ピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物の凝集状態の評価に、温度77KにおけるN2分子の吸・脱着等温線が有用であることを見出した。
温度77KにおけるN2分子の吸・脱着等温線は、N2分子の相対圧を増加させた際の吸着量をプロットした吸着等温線と、逆に相対圧を下げていった際の残存吸着量をプロットした脱着等温線から構成される。吸・脱着等温線は、吸着過程のN2分子吸着量より、脱着過程のN2分子吸着量の方が高い、所謂ヒステリシス構造をとることがある。
このヒステリシスは、粒子が凝集状態を有すると、吸着過程においてN2分子が凝集粒子の奥深くまで入り込み、吸着する為、脱着過程において相対圧が下がってもN2分子が脱離しきれず、ヒステリシスが閉じなくなる。この現象は低圧ヒステリシスと呼ばれる。
つまり、低圧ヒステリシス構造を有すると、例えば高湿環境に放置すると分子レベルで水分が凝集粒子の奥深くまで入り込み、その後、低湿環境になったとしても脱離せず、水分の影響が残り、帯電性能が低下し、画像濃度が低下し易くなると考えられる。
そこで、本発明者等は、ピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物に関して、低圧ヒステリシスの状態と過酷環境放置後の画像特性を検討した。
その結果、低圧ヒステリシスの差が効果的に現れる、相対圧p/p0が0.4の時の吸着過程の吸着量M1(cm3/g)と、相対圧p/p0が0.4の時の脱着過程の残存している吸着量M2(cm3/g)との差(M2−M1)を用いた。そして、(M2−M1)が0.4cm3/g以下、好ましくは0.3cm3/g以下であれば、過酷環境に放置後も、トナーが十分な帯電性能を維持出来ることを見出した。
尚、吸着量測定においては、一定圧力で保持すると平衡状態(吸着分子数と脱着分子数とが同じ状態)となり、この平衡状態をとる時の圧力を吸着平衡圧pと言い、この吸着平衡圧pと飽和蒸気圧p0との比を相対圧と言う。圧力を変えながら、吸着平衡圧と吸着量とを測定し、その結果を、横軸に相対圧、縦軸に吸着量をプロットしたものが、等温線である。本発明においては、相対圧が0.4の時の吸着量M1及びM2を規定している。
また、ピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物がトナー中で均一な分散性を得るには、吸着過程の吸着量M1が3.0cm3/g以上8.0cm3/g以下、好ましくは4.0cm3/g以上6.0cm3/g以下であることが好ましい。
本発明において、式〔1〕で表されるピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物は、公知のモノアゾ錯体化合物の製造方法を用いて製造することができる。以下に代表的な製造方法を記載する。まず、4−クロロ−2−アミノフェノール等のジアゾ成分に、塩酸や硫酸のような鉱酸を加え、液温が5℃以下になったら、水に溶解させた亜硝酸ナトリウムを液温10℃以下に維持しながら滴下する。10℃以下で30分以上3時間以下撹拌して反応させることにより、4−クロロ−2−アミノフェノールをジアゾ化する。スルファミン酸を加え、ヨウ化カリウムでんぷん紙により過剰に亜硝酸が残存していないことを確認する。
次に、3−メチル−1−(3,4−ジクロロフェニル)−5−ピラゾロンであるカップリング成分、水酸化ナトリウムの水溶液、炭酸ナトリウム、有機溶媒を添加し、室温で撹拌溶解する。そこに前記ジアゾ化合物を注加し、室温で数時間撹拌し、カップリングを行う。撹拌後、ジアゾ化合物とレゾルシンとの反応がないことを確認し反応終了とする。水を加えた後十分に撹拌し、静置してから分液する。更に水酸化ナトリウム水溶液を加え、撹拌洗浄し分液を行う。これによって、モノアゾ化合物の溶液を得る。
上記カップリングの際に使用する有機溶媒としては、1価アルコール、2価アルコール、ケトン系有機溶媒が好ましい。1価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、エチレングリコールモノアルキル(炭素数1乃至4)エーテルが挙げられる。2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。ケトン系としてはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
次に、金属化反応を行う。上記モノアゾ化合物の溶液に、水、サリチル酸、n−ブタノール、炭酸ナトリウムを添加し撹拌する。配位金属として鉄を用いる場合は、塩化第二鉄水溶液と炭酸ナトリウムを添加する。
液温を30℃乃至40℃に昇温し、TLC(薄層クロマトグラフィー)で反応を追跡する。5時間乃至10時間経過後、原料のスポットが消失したことを確認し、反応終了とする。撹拌停止後、静止し、分液を行う。更に水、n−ブタノール、水酸化ナトリウム水溶液を加え、アルカリ洗浄を行う。濾過を行いケーキを取り出し、水で洗浄する。
さらに、本発明の目的である、低圧ヒステリシスを有さないピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物を得るために、上記で水洗浄したケーキを有機溶剤に溶解させる。この時用いる有機溶剤としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、1価アルコール、2価アルコールが好ましい。1価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、エチレングリコールモノアルキル(炭素数1乃至4)エーテルが挙げられる。2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。
この溶解液を50℃に昇温し、撹拌させながら水を添加していくことで、徐々に荷電制御剤を析出させる。あらかじめ水に消泡剤を添加しておくと、系内で発生する泡を除去することで、荷電制御剤を均一にできる。その結果、トナー中での荷電制御剤の分散が向上するために、本発明の効果を得られやすくなる。冷却濾過後、水によりケーキを洗浄し、さらにケーキを真空乾燥することで、本発明のピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物を得ることができる。
本発明に使用する荷電制御剤であるモノアゾ金属錯体化合物をトナーに含有させる方法としては、以下のものがある。結着樹脂に着色剤等とともに添加し、混練し、粉砕する方法(粉砕トナー)、又は重合性の単量体モノマーにモノアゾ金属錯体化合物を添加し、重合せしめてトナーを得る方法(重合トナー)のように、予めトナー粒子の内部に添加(内添)する方法;予めトナー粒子を製造し、トナー粒子の表面に添加(外添)する方法。
本発明における、荷電制御剤の温度77KにおけるN2分子の吸・脱着等温線は、細孔分布測定装置Tristar3000(島津製作所社製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させるガス吸着法により測定したものである。測定の概略は、島津製作所社発行の操作マニュアルに記載されており、以下の通りである。測定前には、試料管にサンプル0.3乃至0.5gを入れ、23℃で24時間真空引きを行う。真空引き終了後サンプル質量を精秤し、サンプルを得た。得られたサンプルを上記細孔分布測定装置を用いて、温度77KにおけるN2分子の吸・脱着等温線を得た。得られた、吸・脱着等温線より、飽和蒸気圧p0に対する吸着平衡圧pの比である相対圧p/p0が0.4の時の吸着過程の吸着量M1(cm3/g)と、相対圧p/p0が0.4の時の脱着過程の吸着量M2(cm3/g)との差(M2−M1)を算出した。
また、本発明の荷電制御剤の比表面積は、9.0m2/g以上23.0m2/g以下、好ましくは12.0m2/g以上18.0m2/g以下であることが好ましい。荷電制御剤の比表面積を上記範囲に制御することで、帯電分布がシャープになり、過酷環境放置後も、非画像部へのかぶりレベルが良好になる為好ましい。荷電制御剤の比表面積は、上記N2分子の吸・脱着等温線の測定により、算出される。
また、本発明に用いられる荷電制御剤は、下記式〔2〕で表されるモノアゾ鉄錯体化合物であることが好ましい。
(式中、A
1、A
2及びA
3は、相互に独立して、水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。B
1は水素原子又はアルキル基を示す。J
+は、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。)
即ち、配位金属が鉄であることが好ましい。配位金属を鉄とすることで、トナーに長期に渡り安定な帯電性能を与えることが出来る。
本発明に用いられる荷電制御剤は、下記式〔3〕で表されるモノアゾ鉄錯体化合物であることがさらに好ましい。
(式中、J
+は、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。)
式〔3〕に示す構造をとることで、より安定な帯電性能が得られる。
また、本発明のピラゾロンモノアゾ金属錯体化合物を用いた、トナー粒子は、メタノール/水混合溶媒に対する濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が50%時のメタノール濃度(TA)が50体積%以上70体積%以下であることが好ましい。
トナー粒子のメタノール濡れ性を上記範囲に制御することで、過酷放置後も帯電の均一性がより維持され易くなり、スリーブゴースト等が発生し難くなる為、好ましい。
トナー粒子のメタノール濡れ性を本発明の範囲に制御する為には、例えばトナー用結着樹脂の極性を制御することで達成可能である。
水/メタノール濡れ性試験は(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pを用い、下記の条件及び手順で測定したメタノール滴下透過率曲線を利用する。
先ず、メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度0%)を50ml、フラスコに入れて透過率を測定する。このときの透過率を100%、全く光が透過しない状態を透過率0%として、透過率の測定を行う。即ち、測定時の透過光強度が、メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度0%)を透過させた時の透過光強度の半分になった際のメタノール質量%を本発明の濡れ性とする。
透過率の測定は以下の様にして行う。
メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度0%)を50ml入れたビーカーに、マグネティックスターラーをいれる。そして、目開き150μmのメッシュでふるったトナーまたはトナー粒子0.1gを精秤し、それを上記フラスコに入れる。次に、撹拌速度300rpm(5回転/秒)でマグネティックスターラーによって撹拌を開始し、この測定用サンプル液中に、ガラス管によって1.3ml/minの添加速度でメタノールを連続的添加する。波長780nmの光の透過率を測定し、メタノール滴下透過率曲線を作成する。この際に、メタノールを滴定溶媒としたのは、トナーに含有される染料、顔料、荷電制御剤等の溶出の影響が少なく、トナーの表面状態をより正確に観察できるためである。
尚、この測定において、ビーカーとしては、直径5cmのガラス製のものを用い、マグネティックスターラーとしては、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形でありテフロン(登録商標)コーティングを施されたものを用いた。
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。中でも好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応したハイブリッド樹脂。
本発明にかかる結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂或いは上記ハイブリッド樹脂のポリエステル系ユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、下記(I−1)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(I−2)式で示されるジオール類。
酸成分としては、以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類またはその無水物、またさらに炭素数6以上18以下のアルキル基またはアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物。
また本発明にかかるポリエステル樹脂或いはポリエステル系ユニットは、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物及び/または三価以上の多価アルコールによる架橋構造を含むポリエステル樹脂であることが好ましい。三価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物または低級アルキルエステル。三価以上の多価アルコールとしては、以下のものが挙げられる。1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール。本発明の結着樹脂においては、環境変動による安定性も高い芳香族系アルコールが特に好ましく、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物が挙げられる。
本発明にかかる結着樹脂に用いられるビニル系樹脂或いはハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーとしては、次の化合物が挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
さらに、以下のものが挙げられる。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの如きアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂に用いられるビニル系樹脂或いはビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類[ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの];ポリエステル型ジアクリレート化合物類(日本化薬社製「MANDA」)。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上5.00質量部以下用いることができる。
これらの架橋剤のうち、結着樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
上記ビニル系樹脂或いはビニル系重合体ユニットの重合に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−プチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート。
本発明において、結着樹脂に前記したハイブリッド樹脂を用いる場合には、ビニル系樹脂及び/またはポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系樹脂と反応し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物が挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
また、上記のような結着樹脂を単独で使用してもよいが、軟化点の異なる2種類の高軟化点樹脂(H)と低軟化点樹脂(L)とを任意の範囲で混合して使用しても良い。高軟化点樹脂(H)は、軟化点が120℃以上170℃以下であることが好ましい。また、低軟化点樹脂(L)は軟化点が70℃以上120℃未満であることが好ましい。
このような系では、トナーの分子量分布の設計を比較的容易に行うことができ、幅広い定着領域を持たせることができるので好ましい。特に、低温定着性、現像性、および材料分散性とのバランスの観点から、高軟化点樹脂(H)としてはハイブリッド樹脂、低軟化点樹脂(L)としてはポリエステル樹脂が好ましい。
結着樹脂1種類を単独で使用する場合、軟化点Tmは95℃以上170℃以下が好ましい。さらに好ましくは120℃以上160℃以下である。Tmが上記の範囲内であれば、耐高温オフセット性と低温定着性のバランスが良好となる。
なお、軟化点は、以下のようにして測定される。樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度Tmである。
測定試料は、約1.0gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、保存安定性の観点から45℃以上であることが好ましい。また、低温定着性の観点から、Tgは75℃以下であることが好ましく、65℃以下であることが特に好ましい。
トナー用結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC)、MDSC−2920(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて、常温常湿下で測定する。測定試料として、結着樹脂約3mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
本発明のトナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナー、非磁性二成分トナーのいずれのトナーとしても使用できる。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物が挙げられる。
非磁性一成分トナー及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独或いは2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独或いは2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独或いは2以上のものを併用して用いる。
トナーに離型性を与えるために、トナーは離型剤(ワックス)を含有することが好ましい。ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低気圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したワックス。
脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。具体的には、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
離型剤を添加するタイミングは、粉砕法でトナーを作製する場合においては、溶融混練時に添加しても良いが、トナー用樹脂の製造時であっても良い。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用しても良い。離型剤は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
本発明のトナーは、荷電制御剤として、上記モノアゾ金属錯体化合物以外に、既知の他の荷電制御剤と併用することができる。他の荷電制御剤としては、アゾ系鉄錯体又は錯塩、アゾ系クロム錯体又は錯塩、アゾ系マンガン錯体又は錯塩、アゾ系コバルト錯体又は錯塩、アゾ系ジルコニウム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のクロム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体の亜鉛錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のアルミ錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のジルコニウム錯体又は錯塩が挙げられる。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。本発明に用いられる荷電制御剤と他の荷電制御剤とを併用する場合、他の荷電制御剤をトナー用樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下使用することが好ましい。
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独あるいは複数を併用して用いることができる。
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のために、シリカ微粉末をトナー粒子に外添することが好ましい。シリカ微粉末は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上400m2/g以下であることがさらに好ましい。また、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粉体を0.01質量部以上8.00質量部以下用いることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下用いることがより好ましい。シリカ微粉末のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉末の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
シリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
更に本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。このような外部添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
トナーを製造する方法としては、以下の方法を用いることができる。結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、必要に応じてワックス、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により混合し、トナーを得ることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。実施例における「部」は、特に断りが無い限り、質量部を表す。
<トナー用結着樹脂(A−1)の製造例>
・テレフタル酸:24mol%
・ドデセニルコハク酸:16mol%
・トリメリット酸:7mol%
・下記式(I−1)で示されるビスフェノール誘導体:31mol%
(プロピレンオキサイド2.5mol付加物)
・下記式(I−1)で示されるビスフェノール誘導体:22mol%
(エチレンオキサイド2.5mol付加物)
上記原料と、触媒としてテトラブトキシチタネートを4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着した。そして、窒素雰囲気下にて温度130℃で撹拌しつつ、上記原料100部に対し、下記に示すスチレン−アクリル系樹脂ユニットを生成するためのモノマー25部を加えた。その際、下記モノマーは、重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド)と混合し、滴下ロートから4時間かけて滴下した。
・スチレン:82質量%
・2−エチルヘキシルアクリレート:16質量%
・アクリル酸:2質量%
これを温度130℃に保持したまま3時間熟成し、230℃に昇温して反応を行った。反応終了後、生成物を容器から取り出して粉砕し、トナー用結着樹脂(A−1)を得た。トナー用結着樹脂(A−1)は、ポリエステル樹脂成分、ビニル系重合体成分、及び、ポリエステルユニットとスチレン−アクリル系樹脂ユニットとが化学的に結合したハイブリッド樹脂成分を含有し、軟化点が131℃、ガラス転移点Tgが65℃であった。
<トナー用結着樹脂(A−2)の製造例>
・テレフタル酸:50.0mol%
・エチレングリコール:35.0mol%
・ネオペンチルグリコール:15.0mol%
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、上記モノマーを仕込み、重合触媒として、テトラブトキシチタネートを加えた。210℃に加熱し、窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5mmHg以上20mmHg以下の減圧下で1時間反応させた後、20mmHg以上40mmHg以下の減圧下で反応させ、所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕して粒子化し、トナー用結着樹脂(A−2)を得た。得られたトナー用結着樹脂(A−2)は、軟化点が112℃、ガラス転移点Tgが55℃であった。
<トナー用結着樹脂(A−3)の製造例>
トナー用結着樹脂(A−2)の製造例の中で、トナー用結着樹脂のモノマーを下記に変更した。それ以外は、トナー用結着樹脂(A−2)の製造例と同様にして、トナー用結着樹脂(A−3)を得た。
・テレフタル酸:12.0mol%
・フマル酸:35.0mol%
・エチレングリコール:44.5mol%
・ネオペンチルグリコール:6.0mol%
得られたトナー用結着樹脂(A−3)は、軟化点が128℃、ガラス転移点Tgが54℃であった。
<トナー用結着樹脂(A−4)の製造例>
トナー用結着樹脂(A−2)の製造例の中で、トナー用結着樹脂のモノマーを下記に変更した。それ以外は、トナー用結着樹脂(A−2)の製造例と同様にして、トナー用結着樹脂(A−4)を得た。
・テレフタル酸:45.0mol%
・フマル酸:2.0mol%
・エチレングリコール:33.0mol%
・ネオペンチルグリコール:17.5mol%
得られたトナー用結着樹脂(A−4)は、軟化点が135℃、ガラス転移点Tgが59℃であった。
<トナー用結着樹脂(A−5)の製造例>
四つ口フラスコ内にキシレン300部を投入し、撹拌しながら容器内を充分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。
この還流下で、スチレン76.0部、アクリル酸−n−ブチル24.0部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド(開始剤1;半減期10時間温度:129℃)2部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持し重合を完了し、低分子量重合体溶液を得た。
次に四つ口フラスコ内に脱気水180部とポリビニルアルコールの2質量%水溶液20部を投入した後、スチレン71.0部、アクリル酸−n−ブチル24.0部、マレイン酸モノn−ブチル5.0部、ジビニルベンゼン0.005部及び2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(開始剤2;半減期10時間温度:92℃)0.1部の混合液を加え、撹拌し懸濁液とした。
フラスコ内を充分に窒素で置換した後、85℃まで昇温して、重合を開始した。同温度に24時間保持した後、ベンゾイルパーオキサイド(半減期10時間温度:72℃)0.1部を追加した。さらに、12時間保持して重合を完了した。その後、該高分子量重合体を濾別し、水洗、乾燥し高分子量成分を得た。
四つ口フラスコ内に、上記低分子量成分のキシレン溶液200部(低分子量成分60部相当)を投入し、昇温して還流下で撹拌する。一方、別容器に上記高分子量成分溶液200部(高分子量成分40部相当)を投入し、還流させる。上記低分子量成分溶液と高分子量成分溶液を還流下で混合した後、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕してトナー用結着樹脂(A−5)を得た。
得られたトナー用結着樹脂(A−5)は、軟化点が137℃、ガラス転移点Tgが60℃であった。
<荷電制御剤(B−1)乃至(B−10)>
荷電制御剤(B−1)乃至(B−10)として、表1に記載した物性を有するものを使用した。
荷電制御剤(B−1)乃至(B−10)の構造を、赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより同定したところ、いずれも式〔3〕の化合物であることを確認した。また、いずれの荷電制御剤においても、カウンターイオンJ+は、水素イオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンを含む混合物であった。
また、吸・脱着等温線の代表的な例として、荷電制御剤(B−1)及び(B−6)の77KにおけるN2分子の吸・脱着等温線のプロファイルを、図1、図2にそれぞれ示す。
<実施例1>
・トナー用結着樹脂(A−1):70部
・トナー用結着樹脂(A−2):30部
・磁性酸化鉄粒子:50部
(平均粒径0.20μm、Hc=11.5kA/m、σs=85Am2/kg、σr=16Am2/kg)
・ポリエチレンワックス(サゾール社製、C105、融点105℃):2部
・荷電制御剤(B−1):1部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、PCM−30(池貝鉄工所社製)を用い、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルT250(ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子の水/メタノール濡れ性試験を実施し透過率が50%時のメタノール濃度(TA)を測定した。結果を表2に示す。
次に、トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET比表面積150m2/g、シリカ微粉体100部に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部及びジメチルシリコンオイル10部で疎水化処理をしたもの)1.0部とチタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm)3.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー(C−1)を得た。得られたトナー(C−1)の一部に関して、過酷環境(40℃,95%RH)に30日間放置した。放置前後のサンプルに関して、以下の評価を行った。過酷環境放置前の評価結果を表3に、過酷環境放置後の評価結果を表4に示す。
<現像性の評価(1)>
市販のデジタル複写機imageRUNNER iR 3245(キヤノン(株)社製)を用い、低温低湿環境(10℃,30%RH)、高温高湿環境(35℃,85%RH)で印字比率5%のテストチャートを用いて10万枚の連続プリントを行った。そして、100枚目に対する10万枚耐久後の画像濃度の低下率を算出した。なお、画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、5mm丸のベタ黒画像の反射濃度を測定することにより測定した。評価基準を以下に示す。
A(非常に良い):画像濃度低下率が3%未満である。
B(良い):画像濃度低下率が3%以上6%未満である。
C(普通):画像濃度低下率が6%以上10%未満である。
D(悪い):画像濃度低下率が10%以上である。
<カブリ値の評価>
現像性の評価(1)において、初期10枚目と10万枚耐久後の画像の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Dr−Dsをカブリ値とした。白地部反射濃度の測定には、反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いた。数値が小さいほどカブリ抑制が良いことを示す。評価基準を以下に示す。
A(非常に良い):カブリ値が1未満である。
B(良い):カブリ値が1以上3未満である。
C(普通):カブリ値が3以上5未満である。
D(悪い):カブリ値が5以上である。
現像性の評価(1)においての評価途中で、10000枚プリントアウト毎にスリーブゴーストの評価もあわせて行った。図3に示すような、現像スリーブ1周分にブロック状のベタ黒画像があり、その下にハーフトーンの全面ベタが続く画像をプリントした。そして、現像スリーブ2周目以降のハーフトーンに、現像スリーブ1周目の画像の履歴がどれくらい現れるかについて、画像の目視による評価をもって下記判断基準により判定した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差が顕著に見られる。
D:濃淡差がスリーブ3周目以降にも見られる。
(ハーフトーン画像の縦スジ評価)
現像性の評価(1)において10万枚耐久後のハーフトーン画像を目視で評価し、現像起因の縦スジの発生の有無を評価した。
A(非常に良い) 縦スジが全く見られない
B(良い) 注意して見ると、少し縦スジが発生している
C(普通) わずかに縦スジによるムラがあるが、画像上問題にならない
D(やや悪い) 縦スジによるムラが分かる
実施例1に関しては、何れも良好な結果が得られた。
<実施例2乃至5>
表2に記載の処方を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナー(C−2)乃至(C−8)を作製した。なお、トナー(C−5)は、トナー用結着樹脂(A−6)として、スチレン−アクリル系共重合体樹脂(三井化学社製、製品名:CPR−100 軟化点:111℃)を用いた。
得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表3及び表4に示す。
<比較例1乃至5>
表2に記載の処方を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナー(C−6)乃至(C−10)を作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表3及び表4に示す。