JP2009203201A - フッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機溶媒中にて、フッ素以外のハロゲン原子を有する1,3−ジオキソラン−2−オン誘導体にアミンのフッ酸付加塩を反応させるフッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)1,3−ジオキソラン−2−オンを出発物質とし、フッ素ガスで直接フッ素化する方法、
(2)フッ素化剤として、ほぼ等量の金属フッ化物を用いてハロゲン(Cl、BrまたはI)化1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「ハロゲン化EC」ということもあるが、これには目的物である「フッ素化EC」は含まれない。以下同様)のハロゲン原子(Cl、BrまたはI)をフッ素原子で置換する方法
が知られている(特許文献2〜4)。
有機溶媒中にて、式(1):
で示される1,3−ジオキソラン−2−オン誘導体にアミンのフッ酸付加塩を反応させるフッ素化工程(A)を含むフッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法に関する。
式(2):
式(3):
で示される化合物が、非プロトン性溶媒への溶解性が良好な点から好ましく、特に、置換反応の反応性が良好な点から式(2)および(3)において、nが1〜3、さらには1〜2の範囲の値である化合物が好ましい。
で示される化合物である。
たとえば、n=3のアミンのフッ酸付加塩1モルとn=1のアミンのフッ酸付加塩1モルを混合してn=2[=(3×1+1×1)/2]のアミンのフッ酸付加塩とする。
たとえば、n=3のアミンのフッ酸付加塩1モルとアミン1モルを混合してn=1.5[=(3×1)/2]のアミンのフッ酸付加塩とする。
たとえば有機溶剤にアミン1モルを溶解させた溶液にフッ酸2モルを混合してn=2のアミンのフッ酸付加塩をその場で調製する。
すなわち出発原料であるハロゲン化ECを制酸剤で処理する。出発原料であるハロゲン化ECには、合成の過程で生ずる塩素根(Cl-、HCl、Cl2など)が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
フッ素化工程(A)中では、出発原料中の塩素根に加えて、フッ素化剤(フッ素ガス、フッ酸、MFなど)に由来するフッ素(F2)、フッ化水素(HF)、フッ素イオン(F-)などのほか、フッ素化反応の副生物である不純物由来のフッ素イオンなどが存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
フッ素化工程(A)で得られる反応生成物中には、上記(2)と同様なハロゲン根が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
フッ素化工程(A)で得られた反応生成物に対して精留工程(B)の前に、有機溶媒の除去(蒸留)や、既に制酸剤処理が少なくとも1回行われていた場合は制酸剤の除去(ろ過)処理が行われることがある。
精留工程(B)中では、不純物が分解して生ずるハロゲン根が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
精留工程(B)の後には、精留による加熱や減圧により蒸発または留去されるもの以外のハロゲン根が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
(1)NMR
装置:BRUKER製のAC−300
測定条件:
19F−NMR:282MHz(トリフルオロメチルベンゼン=−62.3ppm)
(2)ガスクロマトグラフィ(GC)
装置:島津製作所製のGC−17A
カラム:DB624(J&Wサイエンティフィック社製)
測定条件:100℃→5分間保持→10℃/分で昇温→230℃
(3)ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)
装置:PERKIN ELMER社製のClaus500
測定条件:100℃→5分間保持→10℃/分で昇温→230℃
リフラックスコンデンサーを備えた30mlの3口フラスコにトリエチルアミン3フッ酸付加塩(3.2g:19.6mmol)、トリエチルアミン(1.3g:12.8mmol)、酢酸エチル(5ml)およびアセトニトリル(1ml)を加えた(フッ酸モル比n=1.8)。これに4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(Cl−EC。2.0g:16.3mmol。アミンモル比m=2)を仕込み、反応温度80℃で1時間かけてフッ素化反応を行なった。
実施例1において、トリエチルアミン3フッ酸付加塩とトリエチルアミンの量、有機溶媒の種類と量、反応温度、反応時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてF−ECの製造を行い、得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析して、Cl−ECの転化率とF−ECの選択率を調べた。結果を表1に示す。
実施例1において、トリエチルアミンを使用しなかったほかは実施例1と同様にしてF−ECの製造を行い、得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析して、Cl−ECの転化率とF−ECの選択率を調べた。結果を表1に示す。
実施例1において、使用する反応物質の量を10倍にスケールアップし、またトリエチルアミン3フッ酸付加塩とトリエチルアミンの量比を表2に示すとおりに変更したほかは実施例1と同様にしてF−ECの製造を行い、得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析して、Cl−ECの転化率とF−ECの選択率を調べた。結果を表2に示す。
トリエチルアミン3フッ酸付加塩に代えて、イソプロピルアミン1フッ酸付加塩を1.5g(20.1mmol)用い、トリエチルアミンを使用しなかったほかは実施例1と同様にフッ素化反応を実施した(フッ酸モル比n=1.0。アミンモル比m=1.2)。
トリエチルアミン3フッ酸付加塩に代えて、ピリジン1フッ酸付加塩を1.99g(20.1mmol)用い、トリエチルアミンを使用しなかったほかは実施例1と同様にフッ素化反応を実施した(フッ酸モル比n=1.0。アミンモル比m=1.2)。
リフラックスコンデンサーを備えた30mlの3口フラスコにトリエチルアミン3フッ酸付加塩(2.3g:14.3mmol)、酢酸エチル(10ml)、トリエチルアミン(2.51g:24.78mmol)を加えた(フッ酸モル比n=1.1)。これに4,5−ジメチル−4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(3.00g:16.3mmol。アミンモル比m=2.4)を仕込み、反応温度80℃で1時間かけてフッ素化反応を行なった後、重炭酸水素ナトリウムを用いて中和した。
撹拌装置を備えた3Lのガラス製3口フラスコの上部に還流管を取り付け、スプレードライのフッ化カリウム355g(6.12mol)を加え真空下で攪拌しながらフレームドライにより水分を除去した。その後シリンジを用いてアセトニトリル1.3L、制酸剤処理されたCl−EC500g(4.08mol)を加えて攪拌した。反応温度85℃で6時間かけてフッ素化反応を行なった後、重炭酸水素ナトリウムを用いて中和した。
実施例20において、使用する反応物質を25倍にスケールアップし、出発原料であるCl−ECについて、つぎの制酸剤処理工程(C)および固形分除去工程(E)を事前に施した。
出発原料であるCl−ECに非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)100gを加えて室温下で2時間撹拌した。
その後、制酸剤(非晶質性シリカ・アルミナゲル)などをろ過した。
得られたろ液からエバポレーターを用いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。
残留物をリグリュー管を用いて精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF−ECを収率65%、GC純度99.8%で得た。
室温下で一日保管して着色の有無を目視で判定する。
○:着色が認められなかった。
×:着色が認められた。
装置として、(株)島津製作所製のイオンクロマトグラフィーHIC−20A SUPER(検出限界:1ppm)を用いて陰イオン(Cl-、F-、I-、NO2、NO3、PO4、SO4)の濃度を測定する。
装置として、セイコーインスツルメント(株)製の発光分光分析装置SPS3000 ICP(検出限界:10ppb)を用いて金属イオン(Al、Fe、Ca、K、Mg、Na、Ni、Zn)の濃度を測定する。
装置として、リトマス試験紙を用いて精留後のF−ECのpHを調べる。
実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得られた有機層をつぎの工程に供した。
得られた有機層に非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)100gを加えて室温下で2時間撹拌した。
ついで制酸剤(非晶質性シリカ・アルミナゲル)などをろ過した。
得られたろ液からエバポレーターを用いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。
残留物をリグリュー管を用いて精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF−ECを収率64%、GC純度99.7%で得た。
実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得られた有機層をつぎの工程に供した。
得られた反応生成液からエバポレーターを用いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。
非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)が充填された蒸留塔を用いて残留物を精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF−ECを収率65%、GC純度99.8%で得た。
実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得られた有機層をつぎの工程に供した。
得られた反応生成液からエバポレーターを用いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。
残留物をリグリュー管を用いて精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF−ECを得た。
得られたF−EC留分に非晶質性シリカ・アルミナゲル100gを添加し、室温下に2時間攪拌した。
得られた制酸剤処理F−ECから、ろ過により非晶質性シリカ・アルミナゲルを除去し、精製F−ECを収率70%、GC純度99.8%で得た。
実施例25で得られた有機層について、制酸剤処理工程および固形分除去工程を実施しなかったほかは実施例28と同様にして有機溶媒除去工程および精留工程を行って精製F−ECを収率50%、GC純度99.5%で得た。
Claims (9)
- 前記アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに対するフッ酸のモル比nが1〜10である請求項1記載の製造方法。
- 前記式(1)の1,3−ジオキソラン−2−オン誘導体におけるCl、Brおよび/またはI原子1モルに対するアミンのフッ酸付加塩のモル比mが0.5〜4である請求項1または2記載の製造方法。
- 式(2)および(3)において、nが1〜3の範囲の値である請求項4記載の製造方法。
- 有機溶媒が、非プロトン性溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 有機溶媒が、ニトリル系溶媒、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、エステル系溶媒、鎖状カーボネート系溶媒、ケトン系溶媒またはアミド系溶媒である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- フッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンを精留する精留工程(B)を含む請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 制酸剤で処理する工程(C)を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
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